特許拒絶査定不服審判
2018-015605
ポリマーフォームを発泡させる方法および関連フォーム物品
- 審判番号
- 2018-015605
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-503533外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年11月26日
- 審決日
- 2019年11月13日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ミューセル・エクストルージョン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
- 【請求人代理人】山尾 憲人
- 【請求人代理人】言上 惠一
- 分類
- P18 .121-Z (B29C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-503533「ポリマーフォームを発泡させる方法および関連フォーム物品」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月 3日国際公開、WO2013/148841、平成27年 5月18日国内公表、特表2015-514027〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)3月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年3月30日、アメリカ合衆国、2013年3月15日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 3月25日 :手続補正書の提出
平成28年12月 2日付け:拒絶理由通知書
平成29年 6月 5日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 6月12日付け:拒絶理由通知書
平成29年12月19日 :意見書の提出
平成29年12月28日付け:拒絶理由通知書
平成30年 7月 9日 :意見書の提出
平成30年 7月18日付け:拒絶査定
平成30年11月26日 :審判請求書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし19に係る発明は、平成29年6月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「ポリマーフォームを形成する方法であって:
第1の流体(stream)および少なくとも第2の流体を押出して押出物を形成し、ここに第1の流体はポリマー材料および発泡剤を含み、第2の流体はポリマー材料を含み、押出物はポリマーフォーム層およびポリマースキン層を含み;
ポリマースキン層からポリマーフォーム層を分離し;ついで
ポリマーフォーム層を収集する
ことを含み、ポリマーフォーム層が複数の気泡を有し、気泡の平均アスペクト比が10:1未満である方法。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定は、平成29年12月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由1、2及び平成29年6月12日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶をすべきものとするところ、このうち平成29年6月12日付け拒絶理由通知書に記載した理由は、概略、次のとおりの理由を含むものである。
理由1 本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
・引用文献1:特開昭59-124815号公報
第4 引用文献等の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
引用文献1には、次の事項が記載されている。
「第9図は本発明法により押出発泡体を成形する装置を示す。
第9図に於て、第1の押出機28で発泡剤を含有する熱可塑性樹脂(本発明では結晶性樹脂が好ましい)を加熱可塑化し、発泡に適した温度にまでできるだけ冷却した後、ダイ29に圧入する。第2の押出機30で樹脂を被覆する重合体を押出し、ダイ内表面と樹脂の界面に圧入して、樹脂を被覆する。
ダイのK部分で樹脂全体を均一な発泡適性温度にする。樹脂の表面部、内核部共に均一な発泡適性温度にするには、K部の長さを十分にとる必要があり、しかも、かなりの高粘度のためK部分で生ずる圧力損失は一般に大きくなる。本発明は被覆された重合体によりK部分の圧力損失を著しく小さくすることができるため、K部分を十分に長くすることが可能で、その結果、均一な発泡適性温度にした発泡性樹脂を押出すことができる。
押出された発泡性樹脂は発泡体31になる。表面の重合体32を剥離することも必要に応じてできる。」(第6ページ右下欄第4行~第7ページ左上欄第4行)
「実施例4
第9図に示した成形装置を用いて本文に示した成形法で発泡体を押出成形した。MI 0.5(ASTM D1238)のポリプロピレンに発泡剤としてフレオン114を5重量%、核剤0.5重量%配合した発泡性樹脂を用い、表面被覆する重合体として低密度ポリエチレンM6520にステアリン酸5重量%練込んだ重合体を使用した。発泡性樹脂を押出成形機で、できるだけ温度を下げてダイに圧入し、更にダイのK部分で均一に冷却した後、ダイ外へ押出して発泡させ、発泡体を得た。重合体で表面被覆を行わないで発泡性樹脂を押出すと、ダイ内流動抵抗が大きく押出すことができなかつた。」(第9ページ左上欄第6~18行)
「
」(第9図)
2 引用発明
引用文献1には、特に実施例4の記載から、次のとおりの発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「発泡体を押出成形する方法であって、MI 0.5(ASTM D1238)のポリプロピレンに発泡剤としてフレオン114を5重量%、核剤0.5重量%配合した発泡性樹脂を用い、表面被覆する重合体として低密度ポリエチレンM6520にステアリン酸5重量%練込んだ重合体を使用し、第1の押出機28で発泡剤を含有する熱可塑性樹脂を加熱可塑化し、ダイ29に圧入し、第2の押出機30で樹脂を被覆する重合体を押出し、ダイ内表面と樹脂の界面に圧入して樹脂を被覆し、ダイ外へ押出して発泡させ、発泡体を得る方法。」
第5 対比
そこで、本願発明と引用発明を対比すると、引用発明の「発泡性樹脂」又は「発泡剤を含有する熱可塑性樹脂」、「MI 0.5(ASTM D1238)のポリプロピレン」、「表面被覆する重合体」又は「樹脂を被覆する重合体」、「低密度ポリエチレンM6520」及び「発泡体」は、本願発明の「第1の流体」、第1の流体の「ポリマー材料」、「第2の流体」、第2の流体の「ポリマー材料」及び「ポリマーフォーム層」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「表面被覆する重合体」は、「発泡体」の表面を被覆していることから、ポリマースキン層を形成しているといえ、引用発明においてもダイからの「押出物はポリマーフォーム層およびポリマースキン層を含」むものと認められる。このことは引用文献1の図9からも看取できる。
そうすると、本願発明と引用発明は、以下の点で一致する。
「ポリマーフォームを形成する方法であって:
第1の流体および第2の流体を押出して押出物を形成し、ここに第1の流体はポリマー材料および発泡剤を含み、第2の流体はポリマー材料を含み、押出物はポリマーフォーム層およびポリマースキン層を含み、ポリマーフォーム層が複数の気泡を有する方法。」
また、本願発明と引用発明は、以下の点で相違又は一応相違する。
相違点1
ポリマーフォームを形成する方法において、本願発明は「ポリマースキン層からポリマーフォーム層を分離し;ついで
ポリマーフォーム層を収集する」ものであるが、引用発明は、そのように特定されていない点
相違点2
ポリマーフォーム層に関し、本願発明は、「気泡の平均アスペクト比が10:1未満である」と特定するのに対し、引用発明は、気泡のアスペクト比について特定されていない点
第6 判断
1 相違点1について
引用文献1における実施例4で用いた成形装置である第9図には、表面の重合体32の剥離が図示されていること、及び第9図に対応する「押出された発泡性樹脂は発泡体31になる。表面の重合体32を剥離することも必要に応じてできる。」との記載からみて、引用発明においても表面の重合体(本願発明の「ポリマースキン層」)は、発泡体(本願発明の「ポリマーフォーム層」)から剥離されていると考えられるから、相違点1は、実質的な相違点ではない。仮に、実質的に相違するとしても、上記の引用文献1の記載に基づいて当業者が容易になし得たことである。
2 相違点2について
ポリマーフォーム層の「気泡の平均アスペクト比」に関し、発泡性樹脂を押出成形機でダイに圧入し、ダイ外へ押出して発泡体を得る場合、気泡が球形に近く、通常、平均アスペクト比が10:1未満になることは技術常識であって、当然、引用発明においても、気泡の平均アスペクト比が10:1未満であると推認できる(要すれば、特開2009-149054号公報の段落【0069】に記載される、押出発泡後、更に延伸を経た発泡層の気泡セルの平均アスペクト比を2~10にする旨の記載を参照。)。
また、そうでないとしても、アスペクト比の上限に関し、10:1程度の上限値を設定することは、発泡体に求められる強度等の仕様に応じて、当業者が適宜なし得ることである。
そして、係る上限値の設定が、顕著な効果をもたらすとは認められない。
第7 請求人の主張について
請求人は、審判請求書の「3.本願発明が特許されるべき理由」において、引用文献1では「本願発明の気泡の平均アスペクト比については認識」されていない点、及び、引用文献1には「潤滑技術と、高圧縮力および/または高伸縮率を利用して材料を二軸配向することを含む方法が記載され」、「このような高圧縮力および高伸縮率は、必然的に気泡の形状を歪め、気泡アスペクト比を高め」るが故に「気泡の形状が平べったくな」る点を主張している。
前者については、上記相違点2において述べたとおりであり、後者については、引用文献1には、その目的に関し、「発泡押出成形の様に高粘度状態で押出すことが必要な成形の改良」(第2ページ左上欄下から第1行~同右上欄第1行)することとは別に、「超高分子量体樹脂等の様な高粘度のため押出成形が困難な樹脂の成形性の改良」(第2ページ左上欄下から第3~2行)及び「高粘度状態で押出ダイ内で2軸延伸して2軸配向シートあるいはパイプ等を成型する方法の改良、圧縮金型内で熱可塑性樹脂を圧縮して2軸配向シートを成型する方法の改良」(第2ページ右上欄第2~6行)することが記載されていることから理解できるように、複数の課題と、それに対応した複数の発明が記載されている。
確かに、引用文献1には、請求人の主張する発明も記載されているが、上記「発泡押出成形の様に高粘度状態で押出すことが必要な成形の改良」という課題に対応した発明(引用発明)も記載されており、当該引用発明は、請求人の主張する発明とは異なる発明であって「高圧縮力および高伸縮率」を必須とするものではない。
よって、請求人の主張は採用することができない。
第8 むすび
上記のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定によ
り特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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