特許拒絶査定不服審判
2018-008822
クラスタに基づいた依存信号
- 審判番号
- 2018-008822
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-526588外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年06月27日
- 審決日
- 2019年08月14日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ジーイー ビデオ コンプレッション エルエルシー
- 【請求人代理人】岡田 全啓
- 分類
- P18 .113-Z (H04N) / P18 .575-Z (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-526588「クラスタに基づいた依存信号」拒絶査定不服審判事件〔平成27年1月22日国際公開、WO2015/007750、平成28年9月8日国内公表、特表2016-527794〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)7月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年7月15日、米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 3月 8日 :手続補正書の提出
平成29年 2月17日付け:拒絶理由通知書
同年 8月28日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月22日付け:拒絶査定
同年 6月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 8月 8日 :手続補正書(請求の理由)の提出
第2 平成30年6月27日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年6月27日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、平成29年8月28日にされた手続補正により補正された請求項12(以下、「補正前の請求項12」という。)を、以下の請求項12(以下、「補正後の請求項12」という。)とする補正事項を含むものである。(下線は、補正箇所である。)
(補正前の請求項12)
「【請求項12】
ビデオ素材が相互層予測を使用して、情報量の異なるレベルと一致している異なる層で符号化される、多層データストリーム(10)を処理し、前記多層データストリームは複数のパケット(12)を含み、前記複数のパケット(12)のそれぞれは前記異なる層の1つと関連し、それぞれの層はベース層ID(20)、または、ベース層ID(20)および拡張層ID(22)によって索引を付けられ、
前記ベース層ID(20)によって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示している第1相互依存構文構造(24)、および、前記拡張層ID(22)によって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示している第2相互依存構文構造(26)を、前記多層データストリームから読み取り、
前記第1相互依存構文構造および前記第2相互依存構文構造に基づいて、前記異なる層の間の可能な相互層予測依存を記載している相互層依存記述(14)を生成することを特徴とする方法。」
(補正後の請求項12)
「【請求項12】
相互層予測を使用して、異なる情報量レベルに対応する異なる層でビデオ素材が符号化されている、多層データストリーム(10)を処理するための方法であって、前記多層データストリームはそれぞれが前記異なる層の1つと関連する複数のパケット(12)を含み、それぞれの層はベース層ID(20)、または、ベース層ID(20)および拡張層ID(22)によって索引を付けられる方法であって、前記方法は、
前記ベース層ID(20)によって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第1相互依存構文構造(24)、および、前記拡張層ID(22)によって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第2相互依存構文構造(26)を、前記多層データストリームから読み取り、
前記第1相互依存構文構造および前記第2相互依存構文構造に基づいて、前記異なる層の間の可能な相互層予測依存を明らかにする相互層依存記述(14)を生成し、
前記第1相互依存構文構造(24)は、同じベース層IDを持つ全ての層は1つのセットに属するところ、異なる層のセット間の相互依存を定義し、前記第2相互依存構文構造(26)は、前記第1相互依存構文構造によって連結されていると示されているセットのペアにある層の間の相互依存を定義していることを特徴とする方法。」
2 補正の適否
上記請求項12に係る補正事項は、補正前の請求項12の記載事項を整理するとともに、本件補正前の請求項12に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1相互依存構文構造」及び「第2相互依存構文構造」について、「前記第1相互依存構文構造(24)は、同じベース層IDを持つ全ての層は1つのセットに属するところ、異なる層のセット間の相互依存を定義し、前記第2相互依存構文構造(26)は、前記第1相互依存構文構造によって連結されていると示されているセットのペアにある層の間の相互依存を定義している」との限定を付加するものであって、補正前の請求項12に記載された発明と補正後の請求項12に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項12に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1に記載したとおりであり、以下に再掲する。
なお、各構成の符号(A)~(D)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A~構成Dと称する。
(本件補正発明)
(A)相互層予測を使用して、異なる情報量レベルに対応する異なる層でビデオ素材が符号化されている、多層データストリーム(10)を処理するための方法であって、前記多層データストリームはそれぞれが前記異なる層の1つと関連する複数のパケット(12)を含み、それぞれの層はベース層ID(20)、または、ベース層ID(20)および拡張層ID(22)によって索引を付けられる方法であって、前記方法は、
(B)前記ベース層ID(20)によって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第1相互依存構文構造(24)、および、前記拡張層ID(22)によって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第2相互依存構文構造(26)を、前記多層データストリームから読み取り、
(C)前記第1相互依存構文構造および前記第2相互依存構文構造に基づいて、前記異なる層の間の可能な相互層予測依存を明らかにする相互層依存記述(14)を生成し、
(D)前記第1相互依存構文構造(24)は、同じベース層IDを持つ全ての層は1つのセットに属するところ、異なる層のセット間の相互依存を定義し、前記第2相互依存構文構造(26)は、前記第1相互依存構文構造によって連結されていると示されているセットのペアにある層の間の相互依存を定義していることを特徴とする
(A)方法。
(2)引用文献、引用発明
(2-1)引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、Karsten Suehring et al., “MV-HEVC/SHVC HLS: Extending the supported number of layers”, Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extensions of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11, JCT3V-D0211_v1, 2013.04.13, p. 1 - 7(以下、「引用文献」という。)には、図面とともに次の記載がある。
ア「This contribution proposes an extension mechanism for layer identifiers to increase the number of supported layers in MV-HEVC and 3D-HEVC.」(1頁2~3行)
(仮訳:本稿はMV-HEVCや3D-HEVCにおいてサポートされるレイヤの数を増加させるレイヤ識別子の拡張メカニズムを提案する。)
イ「When the layer extension is enabled nuh_layer_id can be used to pre-select a set of related layers (a "layer cluster"), which can e.g. exist of neighboring views or a texture and a depth layer related to the same position.」(1頁下6~4行)
(仮訳:レイヤの拡張が有効となると、nuh_layer_idを、例えば隣接する視野や同じ位置におけるテクスチャと奥行きのレイヤのような関係するレイヤのセット(“レイヤのクラスタ”)の事前の選択に用いることが可能である。)
ウ「The variable ScalabilityId[i][smIdx] specifying the identifier of the smIdx-th scalability dimension type of the i-th layer, the variable ViewId[layer_id_in_nuh[i]] specifying the view identifier of the i-th layer and DependencyId[layer_id_in_nalu[i]] specifying the spatial/SNR scalability identifier of the i-th layer are derived as follows:」(5頁12~15行)
(仮訳:i番目のレイヤのsmIdx番目のスケーラビリティ次元タイプの識別子を示す変数ScalabilityId[i][smIdx]、i番目のレイヤの視野の識別子を示す変数ViewId[layer_id_in_nuh[i]]、i番目のレイヤの空間/SN比のスケーラビリティ識別子を示すDependencyId[layer_id_in_nalu[i]]は、次のとおり導出される:)
エ「
」(5頁)
オ「direct_dependency_flag[i][j] equal to 0 specifies that the layer or cluster with index j is not a direct reference layer or reference cluster for the layer or cluster with index i. direct_dependency_flag[i][j] equal to 1 specifies that the layer or cluster with index j may be a direct reference layer or reference cluster for the layer or reference cluster with index i.」(5頁下11~8行)
(仮訳:direct_dependency_flag[i][j]が0であることは、インデックスjのレイヤ又はクラスタがインデックスiのレイヤ又はクラスタの直接参照レイヤ又は参照クラスタでないことを示す。direct_dependency_flag[i][j]が1であることは、インデックスjのレイヤ又はクラスタがインデックスiのレイヤ又はクラスタの直接参照レイヤ又は参照クラスタになり得ることを示す。)
カ「direct_ext_dependency_flag[i][j] equal to 0 specifies that the layer with extension index j is not a direct reference layer for the layer with extension index i within the same layer cluster. direct_dependency_flag[i][j] equal to 1 specifies that the layer with extension index j may be a direct reference layer for the layer with extension index i within the same cluster.」(5頁下6~3行)
(仮訳:direct_ext_dependency_flag[i][j]が0であることは、拡張インデックスjのレイヤが同一のクラスタに属する拡張インデックスiのレイヤの直接参照レイヤでないことを示す。direct_ext_dependency_flag[i][j]が1であることは、拡張インデックスjのレイヤが同一のクラスタに属する拡張インデックスiのレイヤの直接参照レイヤになり得ることを示す。)
(合議体注:上記記載カの「direct_dependency_flag[i][j] equal to 1」は、同記載カにおける「direct_ext_dependency_flag[i][j] equal to 0」との整合性に基づき「direct_ext_dependency_flag[i][j] equal to 1」の誤記であると判断した。)
(2-2)引用発明
(ア)上記(2-1)エには、シンタックス「vps_extension( )」において、1からvps_max_layers_minus1までの範囲のiと、0からi未満までの範囲のjについての「direct_dependency_flag[i][j]」、及び、1からlayer_id_ext_len未満までの範囲のiと、0からi未満までの範囲のjについての「direct_ext_dependency_flag[i][j]」を規定することが記載されている。
(イ)上記(2-1)の記載及び(ア)より、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
(引用発明)
MV-HEVCや3D-HEVCにおいて、レイヤのセット(“レイヤのクラスタ”)の事前の選択を行い、サポートされるレイヤの数を増加させるレイヤ識別子の拡張メカニズムであって、
前記レイヤは空間/SN比のスケーラビリティ識別子を有し、
シンタックスvps_extension( )において、1からvps_max_layers_minus1までの範囲のiと、0からi未満までの範囲のjについてのdirect_dependency_flag[i][j]、及び、1からlayer_id_ext_len未満までの範囲のiと、0からi未満までの範囲のjについてのdirect_ext_dependency_flag[i][j]を規定し、
ここで、direct_dependency_flag[i][j]が0であることは、インデックスjのレイヤ又はクラスタがインデックスiのレイヤ又はクラスタの直接参照レイヤ又は参照クラスタでないことを示し、direct_dependency_flag[i][j]が1であることは、インデックスjのレイヤ又はクラスタがインデックスiのレイヤ又はクラスタの直接参照レイヤ又は参照クラスタになり得ることを示し、
direct_ext_dependency_flag[i][j]が0であることは、拡張インデックスjのレイヤが同一のクラスタに属する拡張インデックスiのレイヤの直接参照レイヤでないことを示し、direct_ext_dependency_flag[i][j]が1であることは、拡張インデックスjのレイヤが同一のクラスタに属する拡張インデックスiのレイヤの直接参照レイヤになり得ることを示す
メカニズム。
(3)対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(3-1)本件補正発明の構成Dについて
引用発明の「レイヤ」は、本件補正発明の「層」に相当し、引用発明の「レイヤのセット(“レイヤのクラスタ”)」に含まれる全てのレイヤは、1つのインデックスのクラスタに属するから、当該クラスタのインデックスは、構成Dにおける「同じベース層IDを持つ全ての層は1つのセットに属する」との構成を備えた「ベース層ID」に相当する。
そして、引用発明は、レイヤのセット(“レイヤのクラスタ”)の事前の選択を行うものであり、引用発明の「direct_dependency_flag[i][j]」は、インデックスjのクラスタがインデックスiのクラスタの参照クラスタになり得るか否かを示すものである。ここで、前記jは0からi未満の値をとり、iと同じ値をとらないから、引用発明の「direct_dependency_flag[i][j]」は、構成Dにおける「異なる層のセット間の相互依存を定義し」との構成を備えた「第1相互依存構文構造」に相当する。
また、引用発明の「direct_ext_dependency_flag[i][j] 」は、拡張インデックスjのレイヤが同一のクラスタに属する拡張インデックスiのレイヤの直接参照レイヤになり得るか否かを示すものである。
ここで、前記「同一のクラスタに属する」とは、引用発明が、前記レイヤのセット(“レイヤのクラスタ”)の事前の選択を行う構成であることからして、「direct_dependency_flag[i][j]」により参照クラスタの関係になり得ると示されたインデックスiのクラスタに全ての拡張インデックスiが属していることを意味すると解することが相当である。
よって、引用発明の「direct_ext_dependency_flag[i][j] 」は、構成Dにおける「前記第1相互依存構文構造によって連結されていると示されているセットのペアにある層の間の相互依存を定義している」との構成を備えた「第2相互依存構文構造」に相当する。
以上から、引用発明は、構成Dの「前記第1相互依存構文構造は、同じベース層IDを持つ全ての層は1つのセットに属するところ、異なる層のセット間の相互依存を定義し、前記第2相互依存構文構造は、前記第1相互依存構文構造によって連結されていると示されているセットのペアにある層の間の相互依存を定義していること」に相当する構成を有している。
(3-2)本件補正発明の構成B、構成Cについて
引用発明の「direct_dependency_flag[i][j]」は、インデックスi及びインデックスj(ベース層ID)により参照関係が示されるものであるから、構成Bの「ベース層IDによって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第1相互依存構文構造」に相当する。
また、引用発明の「direct_ext_dependency_flag[i][j] 」は、拡張インデックスi及び拡張インデックスjにより参照関係が示されるものであるから、引用発明の「拡張インデックス」及び「direct_ext_dependency_flag[i][j]」は、構成Bの「拡張層ID」及び「拡張層IDによって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第2相互依存構文構造」にそれぞれ相当する。
ここで、MV-HEVCや3D-HEVCが、相互層予測を使用して、異なる層でビデオ素材を符号化する手法を規定するものであり、当該符号化により多層データストリームの構成を示すものであること、及び、MV-HEVCや3D-HEVCが前記多層データストリームを復号する処理も規定するものであることは、当業者において周知の事項である。
また、シンタックスvps_extension( )が多層データストリームに含まれ、復号処理等の際に参照されるものであることも、当業者において周知の事項である。
すると、引用発明の「vps_extension( )」における「direct_dependency_flag[i][j]」及び「direct_ext_dependency_flag[i][j]」を用いて「レイヤのセット(“レイヤのクラスタ”)の事前の選択を行い、サポートされるレイヤの数を増加させるレイヤ識別子の拡張メカニズム」は、構成Bの「前記第1相互依存構文構造、および、前記拡張層IDによって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第2相互依存構文構造を、多層データストリームから読み取り」及び構成Cの「前記第1相互依存構文構造および前記第2相互依存構文構造に基づいて、前記異なる層の間の可能な相互層予測依存を明らかにする相互層依存記述を生成し」に相当する構成を有しているといえる。
以上から、引用発明は、構成Bの「前記ベース層IDによって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第1相互依存構文構造、および、前記拡張層IDによって表現できる異なる値のペア間の相互依存を示す第2相互依存構文構造を、前記多層データストリームから読み取り」及び構成Cの「前記第1相互依存構文構造および前記第2相互依存構文構造に基づいて、前記異なる層の間の可能な相互層予測依存を明らかにする相互層依存記述を生成し」に相当する構成を有している。
(3-3)本件補正発明の構成Aについて
MV-HEVCや3D-HEVCが、多層データストリームを処理するための規定であって、多層データストリームのそれぞれにおいて異なる層の1つと関連する複数のパケットを含む構成を有し、異なる層でビデオ素材を符号化するものであることは、当業者において周知の事項である。また、引用発明は、各レイヤが空間/SN比のスケーラビリティ識別子を有するから、異なる情報量レベルに対応する異なる層でビデオ素材を符号化する構成を有するといえる。さらに、引用発明の「direct_dependency_flag[i][j]」は、インデックスjのレイヤがインデックスiのレイヤの直接参照レイヤになり得るか否かを示すものでもあるから、構成Aにおける「それぞれの層はベース層IDによって索引を付けられる」に相当する構成も有している。
そして、上記(3-2)のとおり、引用発明は、構成B及び構成Cに相当する構成を有するから、構成B及び構成Cの処理を行う構成Aの「相互層予測を使用して、異なる情報量レベルに対応する異なる層でビデオ素材が符号化されている、多層データストリームを処理するための方法であって、前記多層データストリームはそれぞれが前記異なる層の1つと関連する複数のパケットを含み、それぞれの層はベース層ID、または、ベース層IDおよび拡張層IDによって索引を付けられる方法」に相当するといえる。
(3-4)請求人の主張について
なお、請求人は、審判請求書において、以下の主張を行っている。
『 例えば、引用文献1は、direct_dependency_flagによって、層IDが直接(拡張なしで)指向(addressed)しているレイヤクラスタ間の相互依存を記述している構造を記載しており、一方、direct_ext_dependency_flagは「同じ層クラスタ内の」層間の相互依存を記述する構造を記載しております。
これに対して、補正後の請求項1では、「第2の相互依存構造(26)は、第1の相互依存構文構造によって連結されていると示されているセットペアにある層の間の相互依存を定義しております。そして、補正後の請求項1に記載の構成では、「第1の相互依存構文構造(24)」は、「同じベース層IDを持つ全ての層が1つのセットに属するところ、異なる層のセット間の相互依存を定義する…」との特有の構成を有しており、これらの構成は、引用文献1においてはなんら開示されておりません。引用文献1においては、異なる層クラスタに属する層間の相互依存が単位行列によって最善の記述をされる、つまり、異なる(相互依存する)層クラスタの層のみが、互いに依存し、これが拡張IDに合致します。』
しかしながら、請求人が引用文献1((2-1)の引用文献)について「同じ層クラスタ内の」と説明している「within the same cluster」(上記(2-1)カを参照。)については、上記(3-1)のとおり、「direct_dependency_flag[i][j]」により参照クラスタの関係になり得ると示されたインデックスiのクラスタに全ての拡張インデックスiが属していることを意味すると解することが相当であるから、「direct_ext_dependency_flagは「同じ層クラスタ内の」層間の相互依存を記述する構造を記載しております。」との認定に基づく請求人の主張は、採用することができない。
(3-5)対比のまとめ
以上から、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年6月27日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年8月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項12に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項12に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1において「補正前の請求項12」として記載したとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明に係る原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項12に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、というものなどである。
3 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項及び引用発明は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2において検討した本件補正発明の構成Dにおける限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2に記載したとおり、引用文献1に記載された発明であるから、本願発明も、引用文献1に記載された発明である。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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