特許拒絶査定不服審判
2018-007264
ドローンの練習場及び/又は飛行場のターゲットマーク設置法
- 審判番号
- 2018-007264
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-117108
- 請求日
- 2018年05月28日
- 審決日
- 2019年06月19日
- 公報発行日
- 2019年09月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ドクター中松創研
- 審判長/審判官
- 審判長 氏原 康宏
- 審判官 島田 信一
- 審判官 一ノ瀬 覚
- 分類
- P18 .121-Z (B64F) / P18 .57 -Z (B64F) / P18 .56 -Z (B64F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-117108号「ドローンの練習場及び/又は飛行場のターゲットマーク設置法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月16日出願公開、特開2017-202695号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成27年6月10日を出願日とする特許出願であって、平成29年6月13日付けで拒絶の理由が通知され、同年9月4日に意見書及び手続補正書が提出され、平成30年2月1日付けで拒絶査定がされた。
これに対して、同年5月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 平成30年5月28日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年5月28日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を以下のように補正することを含むものである。 なお、下線部は補正箇所を示す。
(1)本件補正前の請求項1
「ドローン練習場の地面に発光素子やその制御部やそのための電源を設けること無く、テープを貼るなどして目印をつけ、前記発光せず電源の無い目印をドローンの下部に設置されたカメラでドローンの位置決めと着陸点となし得ることを特徴とするドローンの練習場及び/又は飛行場。」
(2)本件補正後の請求項1
「ドローン練習場の地面に発光素子やその制御部やそのための電源を設けること無く発光せず、ターゲットマークは欠内輪でなく、円形、矩形、三角形が同心多重に配置される事無く、各円の直径が既知の値ではなく、接着テープで印をつけたり、コーン、球、板などで立体目印を設ける事を特徴とするドローンの練習場及び/又は練習場の設置法。」
2 補正の適否
(1)補正の目的の適否について
ア 本件補正は、補正前に「ドローンの練習場及び/又は飛行場」とあったものを補正後に「ドローンの練習場及び/又は練習場の設置法」とする補正事項を含むものである。
そして、上記補正後の「及び/又は」について「又は」を選択すると、「ドローンの」「練習場の設置法。」と特定されることになるから、本件補正後の請求項1に係る発明は、方法の発明となる。
他方、本件補正前の請求項1に係る発明は「ドローンの練習場及び/又は飛行場」と特定されているから物の発明である。
そうすると、本件補正の当該補正事項は、発明のカテゴリーを変更する補正といえるものであり、特許請求の範囲の減縮には該当しない。
また、上記補正後の「及び/又は」について「及び」を選択すると、「ドローンの練習場及び練習場の設置法」となり、発明のカテゴリーが不明確となるものであるから、特許請求の範囲の減縮には該当しない。
イ 本件補正前の請求項1に係る発明は、「目印」に関し、「目印をドローンの下部に設置されたカメラでドローンの位置決めと着陸点となし得ること」を発明特定事項としていたが、本件補正後の請求項1に係る発明では、かかる事項が省かれているから、本件補正は、「目印」について実質的に拡張するものということができる。
ウ 上記ア及びイにより、本件補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正又は明りょうでない記載の釈明を目的とするものということもできない。
(2)小括
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号ないし4号に掲げられたいずれの事項を目的とするものに該当しないから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年9月4日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1(1)」に記載したとおりである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2012-232654号公報
引用文献2:特開2012-71645号公報
引用文献3:特開平5-16894号公報
3 引用文献の記載事項等
(1)引用文献1
ア 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)
「【請求項4】
飛行体と離着陸ターゲット装置とを有する自動離着陸システムであり、前記離着陸ターゲット装置はパターンを表示する所要数の発光素子を有するターゲットと、前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部とを有し、前記発光素子はターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマークを形成する様に配列され、前記ターゲット制御部は、最初に前記発光素子を全灯した全灯パターンを表示し、次に前記発光素子が所定のパターンを表示する様発光を制御し、前記飛行体は、下方を撮像する撮像装置と、航行手段と、前記撮像装置で取得した画像を処理し、前記航行手段を制御する飛行体制御部とを有し、該飛行体制御部は、前記撮像装置で取得した前記ターゲットマークの画像に基づき、該ターゲットマークと前記飛行体との位置関係を演算し、演算結果に基づき前記飛行体の離着陸を制御する様にしたことを特徴とする自動離着陸システム。」
「【0001】
本発明は飛行体が、自動で離着陸できる様にした離着陸ターゲット装置及び自動離着陸システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上空からの写真撮影、測量では、地上からの写真撮影、地上での測量では得られない情報が得られ、或は人の立入れない場所、写真撮影、測量が困難な場所の情報が得られる。又、近年、リモートコントロールされる小型飛行機、小型ヘリコプタ等の飛行体の性能の向上、遠隔操作技術の向上、更に撮像装置の性能の向上、小型化促進等により、小型飛行体に撮像装置を搭載し、リモートコントロールにより上空からの写真撮影が無人で行える様になっている。
【0003】
例えば、小型飛行体を所定の位置(発着甲板)からリモートコントロールにより或は小型飛行体に内蔵されたプログラムにより自動で離陸させ、予定の範囲を飛行させ写真撮影を行い、写真撮影の完了後、発着甲板の設置位置に帰還させ、更に自動で発着甲板に着陸させる。
【0004】
小型飛行体を自動で離陸、飛行、着陸させる場合に、制御が難しいのは、離陸、着陸であり、特に所定の位置に小型飛行体を着陸させる制御が難しい。従って、小型飛行体を自律飛行させる為に、簡便な制御で安全、確実に自動離着陸させる技術の確立が求められる。」
「【0027】
図1は本発明の第1の実施例に係る自動離着陸システムの基本的な構成を示しており、該自動離着陸システムは、主に飛行体1と基地側に設置された離着陸ターゲット装置2から構成され、前記飛行体1は、例えば自律飛行する小型飛行体としてのヘリコプタである。又、ヘリコプタ1は、遠隔操作可能となっており、図1中、12は遠隔操作用のリモートコントローラを示している。
【0028】
前記離着陸ターゲット装置2は、発光素子の発光によりターゲットマークが表示されるターゲット(後述)、及び前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部(後述)を具備している。
【0029】
前記ヘリコプタ1は、機体3、該機体3に設けられた所要数のプロペラ、例えば前後左右、計4組のプロペラ4,5,6,7を有し、該プロペラ4,5,6,7はそれぞれ個別に第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11(後述)に連結され、又後述する様に各第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11は独立して駆動が制御される様になっている。尚、前記プロペラ4,5,6,7及び前記第1モータ8、第2モータ9、第3モータ10、第4モータ11等は飛行体の航行手段を構成する。
【0030】
前記ヘリコプタ1の機体3には、制御装置13が設けられている。図2に示される様に、該制御装置13は、主に飛行誘導部14、飛行制御部15、主演算制御部16、通信部17、電源部18から構成される。
【0031】
前記飛行誘導部14は、位置測定装置としてのGPS装置20、前記機体3の下面に設けられた撮像装置21、飛行誘導用CPU22、第1記憶部23を有し、前記撮像装置21は、デジタル画像を撮像するデジタルカメラ、或はビデオカメラ等であり、ヘリコプタ1下方の画像を取得する。」
「【0075】
予定された作業が完了すると、前記飛行誘導部14からは帰還指令が発せられ、前記ヘリコプタ1は基地に帰還し、前記ターゲット37に着陸する。」
「【0095】
次に、遠隔操作による前記ヘリコプタ1の飛行について説明する。
・・・
【0099】
前記ヘリコプタ1の着陸には、自律飛行と同様に、前記撮像装置21により前記ターゲット37を撮像し、ターゲット37の画像からターゲットマーク43を抽出する。ターゲットマーク43(発光素子44全灯の状態)の中心を求め、該ターゲットマーク43と前記機体3との位置合せを行う。尚、前記撮像装置21で撮像したターゲットマーク43の画像を前記リモートコントローラ12の表示部(図示せず)に表示させ、画像を基に手動の遠隔操作で着陸を行ってもよい。」
イ 上記アの記載事項のうち、特に請求項4の記載、段落【0027】の「該自動離着陸システムは、主に飛行体1と基地側に設置された離着陸ターゲット装置2から構成され」との記載、及び段落【0075】の「前記ヘリコプタ1は基地に帰還し、前記ターゲット37に着陸する」との記載から、自動離着陸システムにおける離着陸ターゲット装置が設置された基地に関する発明が記載されているといえるところ、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「飛行体と離着陸ターゲット装置とを有する自動離着陸システムであり、前記離着陸ターゲット装置はパターンを表示する所要数の発光素子を有するターゲットと、前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部とを有し、前記発光素子はターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマークを形成する様に配列され、前記ターゲット制御部は、最初に前記発光素子を全灯した全灯パターンを表示し、次に前記発光素子が所定のパターンを表示する様発光を制御し、前記飛行体は、下方を撮像する撮像装置と、航行手段と、前記撮像装置で取得した画像を処理し、前記航行手段を制御する飛行体制御部とを有し、該飛行体制御部は、前記撮像装置で取得した前記ターゲットマークの画像に基づき、該ターゲットマークと前記飛行体との位置関係を演算し、演算結果に基づき前記飛行体の離着陸を制御する自動離着陸システムにおける、前記離着陸ターゲット装置が設置された基地。」
(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に周知技術として引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【請求項1】
飛行体と離着陸ターゲットとを有する自動離着陸システムであり、前記飛行体は、下方を撮像する撮像装置と、航行手段と、前記撮像装置で取得した画像を処理し、前記航行手段を制御する制御部とを有し、該制御部は、前記撮像装置で取得した前記離着陸ターゲットの像に基づき、該離着陸ターゲットと前記飛行体との位置関係を演算し、演算結果に基づき前記飛行体の離着陸を制御する様にしたことを特徴とする自動離着陸システム。
【請求項2】
前記離着陸ターゲットがターゲットマークを有し、前記制御部は、前記撮像装置で撮像したターゲットマークの画像処理により該ターゲットマークの基準位置を求め、該ターゲットマークの基準位置と飛行体の基準位置との関係に基づき飛行体の離着陸を誘導する様にした請求項1の自動離着陸システム。」
「【0001】
本発明は飛行体が、自動で離着陸できる様にした自動離着陸システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上空からの写真撮影、測量では、地上からの写真撮影、地上での測量では得られない情報が得られ、或は人の立入れない場所、写真撮影、測量が困難な場所の情報が得られる。又、近年、リモートコントロールされる小型飛行機、小型ヘリコプタ等の飛行体の性能の向上、遠隔操作技術の向上、更に撮像装置の性能の向上、小型化促進等により、小型飛行体に撮像装置を搭載し、リモートコントロールにより上空からの写真撮影が無人で行える様になっている。
【0003】
例えば、小型飛行体を所定の位置(発着甲板)からリモートコントロールにより或は小型飛行体に内蔵されたプログラムにより自動で離陸させ、予定の範囲を飛行させ写真撮影を行い、写真撮影の完了後、発着甲板の設置位置に帰還させ、更に自動で発着甲板に着陸させる。
【0004】
小型飛行体を自動で離陸、飛行、着陸させる場合に、制御が難しいのは、離陸、着陸であり、特に所定の位置に小型飛行体を着陸させる制御が難しい。従って、小型飛行体を自律飛行させる為に、簡便な制御で安全、確実に自動離着陸させる技術の確立が求められる。」
「【0046】
該ターゲットマーク36は、相似形の図形(例えば円形、矩形、3角形等、図示では円形)が同心多重に配置されたものであり、前記ヘリコプタ1の任意の高度で、認識可能な形状を有している。又、各形状は既知の大きさを有しており、前記ターゲットマーク36が多重円で構成されていれば、各円の直径が既知の値となっている。又、前記ターゲットマーク36は基準位置を有し、該基準位置は例えば図形中心である。」
「【0085】
該離着陸ターゲット2は、ターゲットマーク36に加えて発光手段、例えば発光ダイオード41,42を具備する。
【0086】
前記発光ダイオード41は、中心から所要距離離れた位置に、所要数適宜な配置で設けられている。図示では、2等辺3角形の頂点に配置された例を示している。更に、離着陸ターゲット2の中心に発光ダイオード42が配置されている。該発光ダイオード42が配置されることで、該発光ダイオード42を検出すれば、直ちにターゲットマーク36の中心が検出できる。従って、前記発光ダイオード41の配置から演算で中心を求める必要がなくなる。尚、前記発光ダイオード41自体により前記ターゲットマーク36を形成する様、多数配設してもよい。
【0087】
又、前記発光ダイオード41を設けることで、前記ターゲットマーク36を識別するには光量が不足している状態、天候が曇り、夕方、夜等でも確実に離着陸ターゲット2を認識できる。
【0088】
尚、前記発光ダイオード41,42を設けた場合、前記ターゲットマーク36を省略することもできる。」
「【0092】
尚、本発明は小型飛行体を利用して情報を収集する作業、例えば、農作物調査、土量管理、工事管理、地形調査、建造物調査、送電塔、ダム、橋梁調査、危険地域状況調査、監視等種々適用できることは言う迄もない。」
4 対比 ・判断
(1)引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。
後者の「飛行体」は、引用文献1の段落【0027】の「前記飛行体1は、例えば自律飛行する小型飛行体としてのヘリコプタである。又、ヘリコプタ1は、遠隔操作可能となっており、図1中、12は遠隔操作用のリモートコントローラを示している。」との記載を参酌すると、遠隔操作可能な自律飛行する小型飛行体としてのヘリコプタが適用の範囲といえるから、前者の「ドローン」に相当する。
後者の「前記離着陸ターゲット装置はパターンを表示する所要数の発光素子を有するターゲットと、前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部とを有し、前記発光素子はターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマークを形成する様に配列され」との構成に関し、後者の「離着陸ターゲット装置」が有する「ターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマーク」と、前者の「前記発光せず電源の無い目印」とは、「目印」の限度で共通し、後者の「前記離着陸ターゲット装置はパターンを表示する所要数の発光素子を有するターゲットと、前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部とを有し、前記発光素子はターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマークを形成する様に配列され」との構成と、前者の「発光素子やその制御部やそのための電源を設けること無く、テープを貼るなどして目印をつけ」との構成とは、「目印をつけ」との構成の限度で共通する。
後者の「下方を撮像する撮像装置」と、前者の「ドローンの下部に設置されたカメラ」とは、「ドローンに設置されたカメラ」の限度で共通する。 また、後者の「ターゲットマーク」を「下方を撮像する撮像装置」「で取得した前記ターゲットマークの画像に基づき、該ターゲットマークと前記飛行体との位置関係を演算し、演算結果に基づき前記飛行体の離着陸を制御する」との構成は、「下方を撮像する撮像装置」で「ターゲットマーク」を撮像し、「飛行体」を「ターゲットマーク」に対して位置決めをするとともに、該「ターゲットマーク」を着陸点としているといえるから、前者の「目印をドローンに設置されたカメラでドローンの位置決めと着陸点となし得る」との構成に相当する。
後者の「自動離着陸システムにおける、前記離着陸ターゲット装置が設置された基地」は、引用文献1の段落【0075】に記載されているように飛行体が帰還し、着陸する場所をなし、「飛行体」の飛行場と位置付けられ得ることも明らかであるから、前者の「ドローンの練習場及び/又は飛行場」とは、「ドローンの飛行場」の限度で共通する。
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりのものである。
【一致点】
「目印をつけ、前記目印をドローンに設置されたカメラでドローンの位置決めと着陸点となし得るドローンの飛行場。」
【相違点1】
「目印」に関し、
本願発明は、「発光素子やその制御部やそのための電源を設けること無く、テープを貼るなど」するものであり、「前記発光せず電源の無い」ものであるのに対し、
引用発明は、「前記離着陸ターゲット装置はパターンを表示する所要数の発光素子を有するターゲットと、前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部とを有し、前記発光素子はターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマークを形成する様に配列され」と特定されている「ターゲットマーク」を有する「離着陸ターゲット装置」であり、制御部や電源を有している点。
【相違点2】
「カメラ」に関し、
本願発明は、ドローンの「下部に」設置されているものであるのに対し、
引用発明は、「下方を撮像する」ものであるが、具体的な設置位置までは特定されていない点。
【相違点3】
本願発明は、目印を「ドローン練習場の地面に」つける「ドローンの練習場及び/又は飛行場」であるのに対し、
引用発明は、ターゲットマークを有する離着陸ターゲット装置は、「基地側に設置される」ものであり、飛行体の練習場の地面につけることが特定されていない点。
(2)判断
ア 相違点1について検討する。
例えば、引用文献2の段落【0085】~段落【0088】には、「離着陸ターゲット」に関し、天候や夕方、夜等の時間帯によっては発光手段を具備してもよいこと、該発光手段を具備する場合には、ターゲットマークを省略してもよいこと等記載され、「離着陸ターゲット」の構成が変更可能であることが記載ないし示唆されている。
さらに、一般常識を加味すると、撮像装置を有する飛行体の自動離着陸システムで用いられる離着陸ターゲットには、単純な形状のものから複雑な機能を有するものまで種々考えられるところ、離着陸を行う環境(地形、天候、昼夜等の時間帯等)、飛行体の用途(写真撮影、運搬、練習、趣味娯楽等)、及び操縦者による遠隔操作を行う際には操縦者の熟練度等に応じて、上記「離着陸ターゲット」の構成は変更可能なものといえる。
また、引用文献2には、上記3(2)の記載事項から次の技術的事項が記載されていると認められる。
「飛行体と離着陸ターゲットとを有する自動離着陸システムであり、前記飛行体は、下方を撮像する撮像装置と、航行手段と、前記撮像装置で取得した画像を処理し、前記航行手段を制御する制御部とを有し、該制御部は、前記撮像装置で取得した前記離着陸ターゲットの像に基づき、該離着陸ターゲットと前記飛行体との位置関係を演算し、演算結果に基づき前記飛行体の離着陸を制御する様にし、
前記離着陸ターゲットがターゲットマークを有し、前記制御部は、前記撮像装置で撮像したターゲットマークの画像処理により該ターゲットマークの基準位置を求め、該ターゲットマークの基準位置と飛行体の基準位置との関係に基づき飛行体の離着陸を誘導する様にした自動離着陸システムにおいて、
前記離着陸ターゲットが有するターゲットマークは、相似形の図形(例えば円形、矩形、3角形等、図示では円形)が同心多重に配置されたものであること。」が記載されている。
引用文献2には、上述したように、発光手段を具備するか否かは変更可能な事項であることが記載ないし示唆されている中で、発光素子やその制御部やそのための電源を設けること無く、発光しないターゲットマークを有する離着陸ターゲットを用いることは従来周知の技術であることが示されている。
そして、引用発明と例えば引用文献2に記載された周知技術とは、飛行体は、下方を撮像する撮像装置と、航行手段と、前記撮像装置で取得した画像を処理し、前記航行手段を制御する制御部とを有し、該制御部は、前記撮像装置で取得したターゲットマークに基づき、該ターゲットマークと前記飛行体との位置関係を演算し、演算結果に基づき前記飛行体の離着陸を制御する様にし自動離着陸システムである点で共通しているから、引用発明に、引用文献2に記載されるような周知技術を参考にして、引用発明の「前記離着陸ターゲット装置はパターンを表示する所要数の発光素子を有するターゲッ
トと、前記発光素子の発光を制御するターゲット制御部とを有し、前記発光素子はターゲットの離着陸面に設けられ、全灯状態で図形中心を有するターゲットマークを形成する様に配列され」と特定されている「ターゲットマーク」を有する「離着陸ターゲット装置」に代えて、発光素子やその制御部やそのための電源を設けること無く、発光しないターゲットマークを有する離着陸ターゲット等に変更することは当業者であれば適宜になし得ることである。
また、本願発明は「目印」について「テープを貼るなど」と特定されており、テープを貼ることは例示にすぎず、本願明細書の段落【0012】の「目標印の形状は、図2に示すように平たいものに限るものではない。例えば、突起物状のものであってもよい。図3はこの例を示し、コーン15,球16,板(丸や四角形)17を示しているが、立体目印の形状、大きさは種々のものを用いることができる。」との記載を参酌すれば、上記「テープを貼るなど」にはテープを貼ることに限らず種々の目印を用いることをも特定されているものと認められるから、引用発明及び上記周知技術を参考にして、上記相違点1に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到できたものである。
イ 相違点2について検討する。
引用発明の「撮像装置」は、「下方を撮像する」ものであるところ、引用文献1の【図1】を参酌すると、該「撮像装置」の「光軸19」は「ヘリコプター1」の「機体3」の下部を始点としていることが看取できる。
そうすると、引用発明の「撮像装置」は「飛行体」の下部に設置されているものといえるものであるから、相違点2は実質的な相違点とはいえない。
仮に、相違点であるとしても、「下方を撮像する撮像装置」を「飛行体」の下部に設置することは当業者であれば適宜になし得ることである。
よって、引用発明において、相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到できたものである。
ウ 相違点3について検討する。
引用発明の「飛行体」の「自動離着陸システム」は、引用文献1の段落【0099】に「前記撮像装置21で撮像したターゲットマーク43の画像を前記リモートコントローラ12の表示部(図示せず)に表示させ、画像を基に手動の遠隔操作で着陸を行ってもよい。」と記載されているように、手動の遠隔操作で着陸を行う態様も記載されている。
そして、手動の遠隔操作を着実に行うためには、操縦者が練習を積んで習熟を図ることは通常行われていることであるから、引用発明の「自動離着陸システムにおける、前記離着陸ターゲット装置が設置された基地」を練習場とし、ターゲットマークを有する離着陸ターゲットを当該練習場の地面に置くことで、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易に想到できたものである。
エ 本願発明の効果も、引用発明及び周知技術から予測し得る程度のものであり、格別なものでない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-007264