意匠拒絶査定不服審判
2018-006125
メガネ拭き
- 審判番号
- 2018-006125
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2017-017447外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年05月07日
- 審決日
- 2018年09月25日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ハグ・オザワ
- 【請求人代理人】戸川 公二
- 分類
- D18 .121-WY (B3-6)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2017- 17447「メガネ拭き」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成29年8月11日の意匠登録出願であって,平成30年2月26日付けの拒絶理由の通知に対し,平成30年3月13日に意見書を提出されたが,平成30年4月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成30年5月7日に拒絶査定不服審判請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「メガネ拭き」とし,その形状,模様若しくは色彩またはこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。
この意匠登録出願の意匠に係る「メガネ拭き」の分野においては,メガネ拭きの形状を,種々の形状とすることは,例えば下記の意匠1のように,本願出願前よりごく一般的に行われている。
そして,いわゆる星型六角形は示すまでもなく本願出願前周知の形状だが,星型六角形の240度となる内角を構成する部分にやや丸みを設けた形状は,参考意匠1のように,本願出願前より公然知られた形状である。
そうすると,メガネ拭きの形状として,本願出願前に公然知られた意匠1の形状として,星型六角形の240度となる内角を構成する部分にやや丸みを設けた形状を採用したに過ぎない本願の意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたものである。
なお,本願意匠のように,メガネ拭きとポケットチーフを兼用可能としつつ,その材料をマイクロファイバーとすることは,意匠の外観には現れていないものだが,例えば,実用新案登録第3204424号公報(2016年6月2日発行)の2~4段落の記載及び5段落の先行技術文献の記載にあるように,本願出願前から公然知られていたことに過ぎない。
意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第0908836号の意匠
参考意匠1(別紙第3参照)
表題 六光星クリップ | ガンガン会
媒体のタイプ online
掲載年月日 2017年 5月22日
検索日 2018年 2月26日検索
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス http://gangankai.com/goods/clip.html
に掲載された「クリップ」の意匠
第4 当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
1 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「メガネ拭き」とし,願書の意匠に係る物品の説明の欄の記載によれば「ポリエステルとナイロンのマイクロファイバーを製織した薄い生地で作られた」ものとし,その形態は,全体の外形状を略星形六角形状としたものである。
具体的には,本願意匠は,正面視において,隣り合う頂点を最短で結ぶ線分の中点から,隣り合う頂点からの線分によって構成される凹部(以下「凹部」という。)の底までの長さ(以下「凹部垂線の長さ」という。)について,星形六角形の凹部垂線の長さの約8分の5とし,また,凹部垂線の長さと凹部の底から頂点までの長さ(以下「斜辺」という。)の比率を約5対14とし,さらに,凹部の底については,両斜辺を僅かに緩やかな凹弧状となるように繋いで形成している。また,縁部には,該外形状にそって縫い縁部を設けている。背面についても正面と同様の態様としている。
2 拒絶理由で引用した意匠
(1)意匠1
意匠1は,意匠に係る物品を「眼鏡拭き具」とし,その形態は,平面視形状を両先端が半円形で,左側にむかって漸次広がる略長円形とした薄い布状の眼鏡拭き部と,該眼鏡拭き部の上面左右に形成された指挿入部で構成される。具体的には,眼鏡拭き部については,平面視左先端の半円形の径と右先端の半円形の径との比率を約5対3とし,指挿入部については,眼鏡拭き部と同外形状をなす指挿入部袋部と該半円形の径と平行する直線状をなす開口部によって構成され,左側指挿入部,右側指挿入部ともに平面視上下方向中央の横幅を,眼鏡拭き部の全横幅の約8分の3としている。
(2)参考意匠1
参考意匠1は,意匠に係る物品を「六光星クリップ」とし,その形態は,全体を略星形六角形の板状とし,クリップ枠部と該クリップ枠部に内接した星型六角形状の押さえ部を残して刳り抜きを設けている。具体的には,クリップ枠部の長さを,クリップの二つの頂点を結んだ対角線の長さの約14分の1の長さとし,正面視において,凹部垂線の長さを星型六角形の凹部垂線の長さの約2分の1とし,また,凹部垂線の長さと斜辺の長さの比率を約1対5とし,さらに,凹部の底については,僅かに凸弧状をなす両斜辺を繋いで形成している。押さえ部については,押さえ部を構成する星型六角形の頂点,凹部の底,そして該星型六角形中心点を結ぶことによって構成される12個の二等辺三角形のうち,交互に6個の二等辺三角形を刳り抜くものとしている。
3 創作容易性の判断
本願意匠の意匠に係る物品は「メガネ拭き」であって,メガネのレンズ表面に付着した汚れを拭くものであるから,本願意匠の創作容易性の判断を行う当業者は,当該物品の属する,眼鏡部品及び付属品分野についての通常の知識を有する眼鏡及び眼鏡関連商品開発業者ということができる。
この眼鏡部品及び付属品分野についての通常の知識を有する当業者が行う意匠の創作という観点から,本願意匠の創作容易性について考察する。
まず,意匠1は,上記2(1)で摘示したように,平面視形状を両先端が半円形で,左側にむかって漸次広がる略長円形とした薄い布状の眼鏡拭き部と,該眼鏡拭き部の上面左右に形成された指挿入部で構成されており,全体の外形状を略星形六角形状とした本願意匠と大きく異なるものとなっており,意匠1に基づいて本願意匠の形態を導きだすことはできない。
また,周知形状である星型六角形は,凹部垂線の長さと斜辺の長さの比率を1対2とし,凹部の底については,斜辺を鈍角状に繋いで形成しているが,本願意匠は,凹部垂線の長さと斜辺の比率を約5対14とし,また,凹部の底については,直線状の両斜辺を僅かに緩やかな凹弧状となるように繋いで形成し,異なるものとなっており,周知形状である星型六角形に基づいて本願意匠の形態を導きだすことはできない。
さらに,参考意匠1は,この眼鏡部品及び付属品分野についての通常の知識を有する当業者が,参考意匠1の意匠に係る物品である「六光星クリップ」が属する事務用具分野の知識を通常有しているとはいえず,物品を離れた形態そのもののモチーフに関しても,上記2(2)で摘示したように,正面視において,クリップ枠部の外形状について,凹部垂線の長さを星型六角形の凹部垂線の長さの約2分の1とし,また,凹部垂線の長さと斜辺の長さの比率を約1対5とし,さらに,凹部の底については,僅かに凸弧状をなす両斜辺を繋いで形成しているが,本願意匠は,凹部垂線の長さと斜辺の比率を約5対14とし,また,凹部の底については,直線状の両斜辺を僅かに緩やかな凹弧状となるように繋いで形成しており,本願意匠は頂点に向かって尖った印象を有しているのに対して,参考意匠1は頂点に向かって丸まった印象を有し,異なるものとなっている。本願意匠は,布状のメガネ拭きであることから,外形状の創作には創意工夫をこらすものであり,本願意匠の外形状の態様は,外形状の縁部にそって縫い縁部を設けた態様の特徴も加わり,参考意匠1の態様に基づいて当業者であれば容易にできる変形,あるいは,本願意匠の属する分野において常套的な変更によるものといえないので,本願意匠は,本願出願前の公知の態様に基づいて容易に創作ができたものということはできない。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,意匠1、周知形状である星型六角形及び参考意匠1に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。
なお,メガネ拭きとポケットチーフを兼用可能とすること,その材料をマイクロファイバーとすることは,本願出願前の日本国特許庁発行の実用新案登録第3204424号公報(2016年6月2日発行)の明細書,背景技術【0002】【0003】に記載があるが,これらは機能を説明する概念的な記述がなされているに過ぎず,具体的な形態を伴わないものであることから,本願意匠は,本願出願前の公知の記述に基づいて容易に創作することができた意匠ということはできない。
第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,原査定の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることができない。
また,他の本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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