特許拒絶査定不服審判
2018-005355
1つ以上のカーボン系異方性熱層を含むクライオクーラー・リジェネレーター
- 審判番号
- 2018-005355
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-545897
- 請求日
- 2018年04月18日
- 審決日
- 2019年06月10日
- 公報発行日
- 2019年07月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】レイセオン カンパニー
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 審判長/審判官
- 審判長 松下 聡
- 審判官 大屋 静男
- 審判官 紀本 孝
- 分類
- P18 .113-WY (F25B) / P18 .121-WY (F25B) / P18 .575-WY (F25B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-545897号「1つ以上のカーボン系異方性熱層を含むクライオクーラー・リジェネレーター」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月16日国際公開、WO2015/105571号、平成29年 1月19日国内公表、特表2017-502248、請求項の数(20)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)11月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)1月9日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 4月13日付け:拒絶理由通知書
平成29年 7月14日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年12月11日付け:拒絶査定
平成30年 4月18日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月11日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
理由1.本願請求項1、2、7、8、15及び16に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2.本願請求項1、2、7、8、15及び16に係る発明は以下の引用文献1に記載された発明に基いて、本願請求項3、9及び17に係る発明は以下の引用文献1及び2に記載された発明に基いて、本願請求項4、10及び19に係る発明は以下の引用文献1及び3に記載された発明に基いて、請求項5、6、11、12及び20に係る発明は以下の引用文献1、4及び5に記載された発明に基いて、請求項13及び14に係る発明は以下の引用文献1及び6に記載された発明に基いて、請求項18に係る発明は以下の引用文献1及び3に記載された発明に基いて、それぞれその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2001-505638号公報
2.米国特許出願公開第2011/0186270号明細書
3.特開平9-210483号公報
4.特開平6-101923号公報(周知技術を示す文献)
5.特開昭61-228263号公報(周知技術を示す文献)
6.特開2006-189245号公報(周知技術を示す文献)
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正(平成30年4月18日提出の手続補正書による補正)は、当該補正前の請求項1ないし20に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の異方性熱層」について「リジェネレーターの軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状」であるという限定を付加し、また、「吸収した熱を」「径方向で拡散させる」「異方性熱層の」「平面」を「吸収した熱を」「径方向で拡散させる」「異方性熱層の」「長方形シート又は円形ディスク」と下位概念に変更するものであって、当該補正前の請求項1ないし20に記載された発明と、当該補正後の請求項1ないし20に記載される発明とは産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、当該補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、審判請求時の補正は、当該補正前の請求項1ないし20に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記リジェネレーターに沿った軸方向の熱の流れ」を「前記リジェネレーターの前記軸に沿った熱の流れ」とするものであり、当該補正は、明りようでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
そして、これらの補正は、新規事項を追加するものではない。
そこで、補正後の請求項1ないし20に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明20」という。)が、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである)かについて、以下検討する。
(1)本願発明
本願発明1ないし本願発明20は、平成30年4月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。
「【請求項1】
流体がクライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間を流れるときに、流体へ熱を移送し流体から熱を吸収するように構成されたリジェネレーターを含む装置であって、
前記リジェネレーターが、前記リジェネレーターの軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状の複数の異方性熱層と、該異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するように構成された一つ以上の支持層とを含み、
前記複数の異方性熱層の各層が、前記リジェネレーターの前記軸に沿った熱の流れを低減し、吸収した熱を当該異方性熱層の長方形シート又は円形ディスク内で径方向に拡散させるように構成された膜を含み、
前記複数の異方性熱層の各層が、カーボンの少なくとも1つの同素体を含む、
装置。
【請求項2】
前記複数の異方性熱層の各層が軸方向熱伝導性よりも高い径方向熱伝導性を有する、請求項1に記載された装置。
【請求項3】
前記複数の異方性熱層の各層がカーボンナノチューブ及びカーボングラフェンのうち少なくとも1つを有する、請求項1に記載された装置。
【請求項4】
前記複数の異方性熱層が、前記リジェネレーターを複数のセグメントに分割し、
前記複数の異方性熱層の各層が、前記リジェネレーターの隣接するセグメント間での熱移送を低減するように構成されている、請求項1に記載された装置。
【請求項5】
前記一つ以上の支持層が、前記異方性熱層の少なくとも1層により大きい熱容量を与えるように構成されている、請求項1に記載された装置。
【請求項6】
前記一つ以上の支持層の各層がスクリーン又はメッシュを有する、請求項1に記載された装置。
【請求項7】
温暖端部及び冷却端部を有するクライオクーラーを含むシステムであって、
前記クライオクーラーが、
当該クライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間に流体を移動させるように構成された圧縮機と、
前記流体に接触するように構成されたリジェネレーターであり、前記流体が当該クライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間を流れるときに、流体へ熱を移送し流体から熱を吸収するように構成されたリジェネレーターと、
を含み、
前記リジェネレーターが、前記リジェネレーターに沿った軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状の複数の異方性熱層と、該異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するように構成された一つ以上の支持層とを含み、
前記複数の異方性熱層の各層が、前記リジェネレーターの前記軸に沿った熱の流れを低減し、吸収した熱を当該異方性熱層の長方形シート又は円形ディスク内で径方向に拡散させるように構成された膜を含み、
前記複数の異方性熱層の各層が、カーボンの少なくとも1つの同素体を含む、
システム。
【請求項8】
前記複数の異方性熱層の各層が軸方向熱伝導性よりも高い径方向熱伝導性を有する、請求項7に記載されたシステム。
【請求項9】
前記複数の異方性熱層の各層がカーボンナノチューブ及びカーボングラフェンのうち少なくとも1つを有する、請求項7に記載されたシステム。
【請求項10】
前記複数の異方性熱層が、前記リジェネレーターを複数のセグメントに分割し、
前記複数の異方性熱層の各層が、前記リジェネレーターの隣接するセグメント間での熱移送を低減するように構成されている、請求項7に記載されたシステム。
【請求項11】
前記一つ以上の支持層が、前記異方性熱層の少なくとも1層により大きい熱容量を与えるように構成されている、請求項7に記載されたシステム。
【請求項12】
前記一つ以上の支持層の各層がスクリーン又はメッシュを有する、請求項7に記載されたシステム。
【請求項13】
前記リジェネレーターが当該クライオクーラーのパルスチューブの周りに配置されている、請求項7に記載されたシステム。
【請求項14】
前記リジェネレーターが多段クライオクーラーの1つの段の内部に配置されている、請求項7に記載されたシステム。
【請求項15】
クライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間で流体の前進後退流れを作るステップと、
前記流体が当該クライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間を流れるときに、リジェネレーターを用いて流体へ熱を移送し流体から熱を吸収するステップと、
前記リジェネレーターの内部で、前記リジェネレーターに沿った軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状の複数の異方性熱層を用いて、前記リジェネレーターの前記軸に沿った熱の流れを低減するステップであり、前記複数の異方性熱層の各層が、前記軸に沿った熱の流れを低減し、吸収した熱を当該異方性熱層の長方形シート又は円形ディスク内で径方向に拡散させる膜を含み、前記複数の異方性熱層の各層が、カーボンの少なくとも1つの同素体を含む、ところのステップと、
1つ以上の支持層を用いて、前記異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するステップと、
を含む方法。
【請求項16】
前記複数の異方性熱層の各層が軸方向熱伝導性よりも高い径方向熱伝導性を有する、請求項15に記載された方法。
【請求項17】
前記複数の異方性熱層の各層がカーボンナノチューブ及びカーボングラフェンのうち少なくとも1つを有する、請求項15に記載された方法。
【請求項18】
前記複数の異方性熱層の各層が、前記リジェネレーターに亘る圧力降下の発生を減少させる制御可能な多孔性を有する、請求項15に記載された方法。
【請求項19】
前記複数の異方性熱層が、前記リジェネレーターを複数のセグメントに分割し、
前記複数の異方性熱層の各層が前記リジェネレーターの隣接するセグメント間での熱移送を低減するように構成されている、請求項15に記載された方法。
【請求項20】
前記1つ以上の支持層を用いて、前記異方性熱層の少なくとも1つにより大きい熱容量を与えるステップを、
さらに含む請求項15に記載された方法。」
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献3
審判請求時の補正により特定された内容に鑑み、まず引用文献3について検討する。
原査定の理由に引用された引用文献3には、「蓄冷形冷凍機」に関して、図面とともに次の記載がある。(下線は理解の一助のために当審にて付したものである。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、蓄冷器を備えた蓄冷形冷凍機に関し、特に蓄冷器の熱交換効率を高めて冷凍能力を向上できる蓄冷形冷凍機に関するものである。」
【0002】
【従来の技術】図21は特開平3-129257号公報に示された従来の蓄冷形冷凍機を示す構成図であり、ここでは2段GM冷凍機を示している。図において、1段目シリンダ1aと、1段目よりも小径の2段目シリンダ1bとは、同軸上に連結され一体化されている。各シリンダ1a,1b内には、1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが収容されている。1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bは、自在継手(図示せず)により互いに連結されており、各シリンダ1a,1b内を一体的に摺動するようになっている。
【0003】1段目シリンダ1aと1段目ディスプレーサ2aとの間には、1段目膨張空間3aが形成されている。2段目シリンダ1bと2段目ディスプレーサ2bとの間には、2段目膨張空間3bが形成されている。各ディスプレーサ2a,2b内には、1段目及び2段目蓄冷器4a,4bが設けられている。1段目蓄冷器4aは、蓄冷材5aとして銅金網及び鉛玉を用いている。2段目蓄冷器4bは、蓄冷材5bとして磁性蓄冷材の1種であるHo-Er-Ruの組成を有する材料を用いている。また、各シリンダ1a,1b内には、各ディスプレーサ2a,2bとの間からのヘリウムガスの漏れを防止するためシール材6a,6bが設けられている。
【0004】1段目シリンダ1aの低温端の外周面には、1段目ステージ7aが配設されている。2段目シリンダ1bの低温端の外周面には、2段目ステージ7bが配設されている。1段目ディスプレーサ2aには、1段目蓄冷器4aへ流出入するガスの流路8aが設けられている。2段目ディスプレーサ2bには、2段目蓄冷器4bへ流出入するガスの流路8bが設けられている。図22は図21の2段目ディスプレーサ2bを示す拡大図であり、蓄冷材5bの両端部には、蓄冷材5bの流出を防止する蓄冷材漏れ止め部材9が配設されている。
【0005】1段目シリンダ1aは、ヘリウムガスを圧縮するコンプレッサ10に接続されている。1段目シリンダ1aとコンプレッサ10との間には、コンプレッサ10から高圧のガスを供給するタイミングを制御する吸気バルブ11と、蓄冷器4a,4b及び膨張空間3a,3bからコンプレッサ10に低圧のガスを排出するタイミングを制御する排気バルブ12とが設けられている。また、1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bは、駆動モータ13の駆動力が伝達されて往復運動するとともに、この往復運動に連動して吸気バルブ11及び排気バルブ12が開閉される。
【0006】次に、動作について説明する。まず、1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが最下端にあり、吸気バルブ11が開き、排気バルブ12が閉じている状態で、コンプレッサ10により圧縮された高圧のヘリウムガスが1段目流路8aから1段目蓄冷器4aに流入する。この高圧ガスは、1段目蓄冷器4aで蓄冷材5aにより所定の温度まで冷却され、1段目膨張空間3aに流入する。1段目膨張空間3aに流入した高圧ガスの一部は、さらに2段目流路8bから2段目蓄冷器4bに流入し、蓄冷材5bにより所定の温度まで冷却された後、2段目膨張空間3bに流入する。この結果、1段目及び2段目膨張空間3a,3bは高圧状態になる。
【0007】次に、1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが上方に動き、それに伴い高圧のヘリウムガスが1段目及び2段目膨脹空間3a,3bに次々と供給される。この間、吸気及び排気バルブ11,12は動かない。この際、高圧のヘリウムガスは、1段目及び2段目蓄冷器4a,4bで所定の温度まで冷却される。
【0008】1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが最上端になったときに、吸気バルブ11が閉じられ、少し遅れて排気バルブ12が開放される。このとき、高圧のヘリウムガスが断熱的に膨脹して冷凍を発生する。また、1段目目及び2段目目膨脹空間3a,3b内に存在するヘリウムガスは、それぞれの温度レベルで低温・低圧になる。
【0009】次いで、1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが下方に移動すると、低温・低圧のヘリウムガスにより1段目及び2段目蓄冷器4a,4bで蓄冷材5a,5bが冷却される。この低温・低圧ガスは、1段目及び2段目流路8a,8bを通過し、排気バルブ12から排気され、コンプレッサ10に戻る。
【0010】各ディスプレーサ2a,2bが最下端に移動し、1段目及び2段目膨脹空間3a,3bの体積が最小となった状態で、排気バルブ8が閉じられ、吸気バルブ9が開放される。これにより、コンプレッサ10で圧縮された高圧のヘリウムガスが排出され、1段目及び2段目膨脹空間3a,3bの圧力が低圧から高圧になる。以上の過程を1サイクルとして繰り返し動作することにより、1段目及び2段目ステージ7a,7bの温度がそれぞれ50K、4.2Kに冷却される。」
「【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図について説明する。
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による蓄冷形冷凍機を示す構成図、図2は図1の2段目ディスプレーサを示す拡大図であり、図21と同一又は相当部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0022】図において、温度が最も低くなる段のディスプレーサ、ここでは2段目ディスプレーサ4b内の蓄冷器5bには、外径0.5mmの球状の蓄冷材5b、例えばHo1.5Er1.5Ruが充填されているとともに、均熱部材としての2枚の均熱板21がガス流方向に互いに間隔をおいて設けられている。均熱板21には、図3及び図4に示すように、ガスを通過させる直径1mmの複数の孔、即ちガス流路21aが設けられている。また、均熱板21は、円板状の純銅により構成されている。
【0023】各均熱板21の両面には、羊毛により形成された蓄冷材漏れ止め部材としてのフェルトマット22が接合されている。これにより、蓄冷材5bが均熱板21のガス流路21aに入るのが防止され、ガス流路21a内にはガスのみが通るようになっている。また、フェルトマット22は、蓄冷器4bの両端部にも配設されている。他の構成は、図21と同様である。
【0024】次に、動作について説明する。蓄冷形冷凍機全体としての基本的な動作は、上述した従来例と同様である。従って、2段目蓄冷器4b内に流入したヘリウムガスは、蓄冷材5bにより冷却されるか、又は蓄冷材5bを冷却する。このとき、蓄冷材5bは、球状又は砂状の粒から構成されているため、ヘリウムガスの流路が複雑になり、蓄冷器4bの径方向に温度差が生じる。しかし、この例の冷凍機では、蓄冷器4b内に均熱板21が設けられており、温度差の生じたヘリウムガスは均熱板21のガス流路21aを通過する。そして、伝熱性の高い均熱板21により、ヘリウムガスの温度が均一化される。」
「【0038】実施の形態6.次に、図11はこの発明の実施の形態6による蓄冷形冷凍機の要部を示す構成図である。この例における均熱部材26は、銅からなるメッシュを数枚積み重ねることにより構成されている。メッシュの目開きは約1mmで、蓄冷材5bは外径0.5mmの球状である。従って、蓄冷材5bがメッシュの目を通過しないように、均熱部材26の両側にはフェルトマット21が配置されている。
【0039】メッシュからなる均熱部材26を通過したヘリウムガスは、メッシュで均熱化される。複数枚のメッシュを重ね合わせたことにより、蓄冷器4bの軸方向への熱伝導を抑えつつ、蓄冷器の径方向の温度を均一化できる。従って、蓄冷器4b全体の蓄冷材5bがガスの冷却もしくはガスに冷却されることに利用され、蓄冷器4bの効率が向上し、冷凍能力がさらに向上する。」
(イ)上記(ア)及び図11、図21の記載から、引用文献3には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献3に記載された技術は、蓄冷器を備えた蓄冷形冷凍機に関するものである(【0001】)。
b 蓄冷形冷凍機は、1段目シリンダ1aと2段目シリンダ1bを有し、各シリンダ1a、1b内には1段目及び2段目ディスプレーサ2a、2bが収容され、1段目シリンダ1aと1段目ディスプレーサ2aとの間には1段目膨張空間3aが形成され、2段目シリンダ1bと2段目ディスプレーサ2bとの間には2段目膨張空間3bが形成される(【0002】、【0003】、図21)。
c ディスプレーサ2b内には、2段目蓄冷器4bが設けられている(【0003】、図11、図21)
d 1段目膨張空間3aに流入した高圧のヘリウムガスの一部は、さらに2段目流路8bから2段目蓄冷器4bに流入し、蓄冷材5bにより所定の温度まで冷却された後、2段目膨張空間3bに流入する(【0006】)。
e 1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが下方に移動すると、低温・低圧のヘリウムガスにより1段目及び2段目蓄冷器4a,4bで蓄冷材5a,5bが冷却される(【0009】)。
f 2段目ディスプレーサ4b内の蓄冷器5bには、2つの均熱部材26がガス流方向に互いに間隔をおいて設けられるとともに、均熱部材26の両側にはフェルトマット22が配置されている(【0038】、図11)。
g 均熱部材26は、銅からなるメッシュを数枚積み重ねることにより構成されることで、蓄冷器4bの軸方向への熱伝導を抑えつつ、蓄冷器の径方向の温度を均一化できる(【0038】、【0039】)。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献3には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「1段目シリンダ1aと2段目シリンダ1bを有し、各シリンダ1a、1b内には1段目及び2段目ディスプレーサ2a、2bが収容され、1段目シリンダ1aと1段目ディスプレーサ2aとの間には1段目膨張空間3aが形成され、2段目シリンダ1bと2段目ディスプレーサ2bとの間には2段目膨張空間3bが形成される蓄冷形冷凍機における2段目ディスプレーサ2bであって、
2段目ディスプレーサ2b内には、2段目蓄冷器4bが設けられており、
1段目膨張空間3aに流入した高圧のヘリウムガスの一部は、さらに2段目流路8bから2段目蓄冷器4bに流入し、蓄冷材5bにより所定の温度まで冷却された後、2段目膨張空間3bに流入し、
1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが下方に移動すると、低温・低圧のヘリウムガスにより1段目及び2段目蓄冷器4a,4bで蓄冷材5a,5bが冷却され、
2段目ディスプレーサ4b内の蓄冷器5bには、2つの均熱部材26がガス流方向に互いに間隔をおいて設けられるとともに、均熱部材26の両側にはフェルトマット22が配置されており、
均熱部材26は、銅からなるメッシュを数枚積み重ねることにより構成されることで、蓄冷器4bの軸方向への熱伝導を抑えつつ、蓄冷器の径方向の温度を均一化できる蓄冷形冷凍機。」
イ 引用文献1
(ア)同じく原査定の理由に引用された引用文献1には、「高効率の二重シェル型スターリングエンジン」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【発明の詳細な説明】
a)名称:高効率の二重シェル型スターリングエンジン
b)背景-関連する出願の相互参照
この先進的なスターリングエンジンは、電気-化学-熱-再充電可能なエネルギー貯蔵セル(ECT cell)(11/25/1996に出願された出願番号60/031,224)と統合できるように構成された。
c)背景-発明の分野
この発明は、スターリングエンジンに関し、特に、
1.最大作動温度を改善し、
2.性能を最大限度にすることができるように再生器を改善し、
3.性能を最大限度にし且つ低コストとなるようにスロットリングシステムを改善し、
4.外部駆動可能なようにシャフトを高圧常態に封止できるように改善することに関する。」(第6ページ第1ないし14行)
「外側シェル(24)とシリンダー(20)との間の領域は、グラファイト再生器(6)で満たされている。グラファイト再生器(6)は、外側フランジ(13)を切り離すと圧力シェルアセンブリから取り外すことができる、圧力シェルアセンブリとは別体となった一体的な(すなわち、ワンピース)材料となっている。グラファイト再生器(6)は、グラファイト繊維を巻き付けてなる環状体(すなわち、コイル)からなっている。」(第20ページ第18ないし23行)
「グラファイト再生器(6)は、図1において、一連の垂直線として表されている。積層されたグラファイト繊維は、シリンダー(20)の周囲に巻きつけられた、たるんだロール紙のようになっている。そのとき、垂線は、前記ロール紙の長手方向となっている。グラファイト繊維からなる2つの層が硬化させられ焼き固められて、炭素-炭素マトリックス(carbon-carbon matrix)が形成されると、前記2つの層は、前記スチール製のコイルから解かれ、環状形状のたるんだコイルに形成される。スペーサーが、各グラファイト層の間に置かれ、各層の間の環状のギャップ(間隙)が維持されている。ひと続きのセラミック(58)のような、熱伝導率(熱伝導性)が低い材料を、スペーサーとして用いることができる。グラファイト再生器(6)は、圧力シェルアセンブリ(27)の内側に配置され、組み立てられている。断熱材の層が、グラファイト再生器(6)と、再生器断熱材(12)を形成するシリンダー(20)との間に配置されている。」(第21ページ第9ないし21行)
「図2は、コイル状のグラファイト再生器(6)の上面図を示している。グラファイト再生器(6)は、1又はそれ以上の層、あるいは、前記層を一緒に保持し剛性を加える炭素マトリックスを備えたグラファイト繊維からなっている。」(第22ページ第2ないし4行)
「グラファイト再生器(6)は、材料、すなわちグラファイト繊維を使用する点で、他の再生器と比較して独特なものになっている。前記グラファイト繊維は、繊維方向において著しく高い熱伝導性(熱伝導率)を有している。グラファイトは、炭素マトリックス(カーボンマトリックス)からなる繊維の直交方向に対し、その繊維方向において、100倍を越える熱伝導性(熱伝導率)を備えている。図1の構造において、グラファイト繊維は、流体の流れる方向に対してほぼ90°の方向に伸長している。これによって、螺旋状体の方々に大変に高い熱伝導性(熱伝導率)が与えられ、しかも、流体の流れる方向において大変に低い熱伝導性(熱伝導率)を与えている。この熱作用の違いの利益は、前記再生器の要求性能に関連づけられる。前記再生器の頂部は、大変に高い温度となっている。一方、前記再生器の底部は、低温になっている。前記再生器は、流体の流れる方向(すなわち、上下方向)において、大変に低い伝導率で、より効率的に作動する。流体の流れる方向に対して直交する方向の熱伝達率は、大きくなっており、これによって、前記流体は、前記再生器との間で、エネルギーを効率的に伝達することができる。」(第26ページ第26行ないし第27ページ第12行)
「グラファイト再生器(6)は、説明されたように環状体として形成することができ、または、平坦に形成することもでき、複数のシートに切断して形成することもできる。個々のシートは、平坦なシートとして組み立てられる。この場合、繊維は、流体の運動方向に対してほぼ直交して伸長している。」(第34ページ第26行ないし第35ページ第1行)
(イ)上記(ア)及び図1ないし3から、引用文献1には、スターリングエンジンに設けられるグラファイト再生器(6)において、グラファイト再生器(6)を、繊維方向において著しく高い熱伝導性を有するグラファイト繊維から構成し、流体の流れる方向において大変に低い伝導率とし、流体の流れる方向に対して直交する方向において大きい熱伝達率とすることで、前記流体はグラファイト再生器(6)との間でエネルギーを効率的に伝達することができるという技術的事項が記載されていると認められる。
ウ 引用文献2について
(ア)同じく原査定の理由に引用された引用文献2には、「an anisotropic thermal conducting substance」(異方性熱伝導物質)に関して、図面とともに次の記載がある。なお、括弧内は当審おいて作成した仮訳である。
「[0025] A preferred embodiment of the anisotropic thermal conducting substance comprises one of the group of graphite, carbon nanotube, graphene, charcoal layer, charcoal sheet, similar tubular or layered, or sheet of carbon structures, or aforementioned substance containing partial substitutes for carbon.」(異方性熱伝導物質の好ましい実施例は、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、木炭層、木炭シート、同様の管状若しくは層状の若しくはシート状の炭素構造又は炭素の部分的代替物を含む前述の物質からなるグループのうちの1つを含む。)
(イ)上記(ア)の記載から、引用文献2には、カーボンナノチューブ及びグラフェンが異方性熱伝導物質であるという技術的事項が記載されていると認められる。
エ 引用文献4について
(ア)同じく原査定の理由に引用された引用文献4には、「極低温冷凍機」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【0052】図11に示すように、ディスプレーサ32の蓄冷室のなかをペレット状蓄冷材80ですべて満たしてもよい。各ペレット状蓄冷材80の相互間には仕切り82が設けられ、互いが断熱されている。仕切り82は、ベークライト板、FRP板、フェルト、ステンレス鋼メッシュなどの断熱材料でつくることが好ましい。なお、仕切り82には複数のガス通気孔が形成されている。このようにすると、従来よりも高温端から低温端に向かっての熱侵入が有効に阻止され、実冷凍能力が向上する。」
(イ)上記(ア)及び図11の記載から、引用文献4には、各ペレット状蓄冷材80の相互間に仕切り82を設けるという技術的事項が記載されていると認められる。
オ 引用文献5について
(ア)同じく原査定の理由に引用された引用文献5には、「蓄冷器」に関して、図面とともに次の記載がある。
「第1-5図を参照する。出入口4、5を有するハウジング6内に、小径のワイヤ7をその軸線方向が互いに平行となるよう複数本束ねた充填体8を、低熱伝のデイストリビユータ9を介して積層状態に納める。蓄冷材としてのワイヤ7は、たとえば、直径0.4mm程度の比較的熱容量が大きく且つ比較的熱伝導率の小さい材料よりなる。又、デイストリビユータ9は、ステンレスやガラス繊維等の低熱導の材料からなる網体よりなる。」(第2ページ左上欄17行ないし右上欄第6行)
(イ)上記(ア)及び第1図の記載から、引用文献5には、ハウジング6内に充填体8を低熱伝導材のディストリビュータ9を介して積層状態に納めるという技術的事項が記載されていると認められる。
カ 引用文献6について
(ア)同じく原査定の理由に引用された引用文献6には、「パルス管冷凍機」に関して、図面とともに次の記載がある。
「【0024】
膨張器100は、第一段再生器3によって囲繞され、且つ、温フランジ51から第一段熱ステーション9に延びる第一段パルス管1と、第一段熱ステーション9の下方で第二段再生器4によって囲繞され、且つ、第一段熱ステーション9の上方で第一段パルス管1によって囲繞された第二段パルス管2と、第二段パルス管2の冷端部にあるヘリウム再凝縮器10と、パルス管2の冷端部及び温端部にそれぞれあるフロースムーザ6,8と、パルス管1の冷端部及び温端部にそれぞれあるフロースムーザ5,7と、第一段再生器3、第一段パルス管1、及び、第二段パルス管2に接続するバルブ/オリフィス/バッファ容積組立体50内のガスポート23とから成る。」
(イ)上記(ア)及び図1の記載から、引用文献6には、第一段パルス管1及び第二段パルス管2をそれぞれ第一段再生器3及び第二段再生器4によって囲繞するという技術的事項が記載されていると認められる。
(3)本願発明と引用発明との対比・判断
ア 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明における「ヘリウムガス」、「蓄冷形冷凍機」及び「2段目蓄冷器4b」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明1における「流体」、「クライオクーラー」及び「リジェネレーター」に相当する。
引用発明において、「1段目膨張空間3aに流入した高圧のヘリウムガスの一部は、さらに2段目流路8bから2段目蓄冷器4bに流入し、蓄冷材5bにより所定の温度まで冷却された後、2段目膨張空間3bに流入」するとともに、「1段目及び2段目ディスプレーサ2a,2bが下方に移動すると、低温・低圧のヘリウムガスにより1段目及び2段目蓄冷器4a,4bで蓄冷材5a,5bが冷却され」るものであり、また、2段目蓄冷器4bには温暖端部と冷却端部とがあることが技術的に明らかであるから、引用発明における「2段目蓄冷器4b」は、「流体がクライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間を流れるときに、流体へ熱を移送し流体から熱を吸収するように構成され(る)」点で、本願発明1における「リジェネレーター」と一致する。
引用発明における「均熱部材26」は、「銅からなるメッシュを数枚積み重ねることにより構成されることで、蓄冷器4bの軸方向への熱伝導を抑えつつ、蓄冷器の径方向の温度を均一化できる」ものであり、蓄冷器4bの軸方向へは相対的に低い熱伝導率を有し、蓄冷器の径方向には相対的に高い熱伝導率を有するものであることが明らかであるから、本願発明1における「異方性熱層」に相当する。
引用発明において、「2段目ディスプレーサ4b内の蓄冷器5bには、2つの均熱部材26がガス流方向に互いに間隔をおいて設けられ」ており、【0038】、【0039】及び図11の記載を参酌すれば、2つの均熱部材は2段目蓄冷器4bの軸方向に略垂直に配置されることは明らかであるから、引用発明は、「リジェネレーターが、前記リジェネレーターの軸に垂直な」「複数の異方性熱層」を含む点で、本願発明1と一致する。
引用発明における「均熱部材26」は、「銅からなるメッシュを数枚積み重ねることにより構成されることで、蓄冷器4bの軸方向への熱伝導を抑えつつ、蓄冷器の径方向の温度を均一化できる」ものであり、銅からなるメッシュにより吸収された熱が該メッシュ内で径方向にも拡散することが技術的に明らかであるから、「前記リジェネレーターの前記軸に沿った熱の流れを低減し、吸収した熱を当該異方性熱層内で径方向に拡散させるように構成された膜を含(む)」点で、本願発明1における「異方性熱層」と一致する。
引用発明における「2段目ディスプレーサ2b」は、「2段目蓄冷器4bが設けられ」るものであるから、本願発明1における「装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「流体がクライオクーラーの温暖端部と冷却端部との間を流れるときに、流体へ熱を移送し流体から熱を吸収するように構成されたリジェネレーターを含む装置であって、
前記リジェネレーターが、前記リジェネレーターの軸に垂直な複数の異方性熱層を含み、
前記複数の異方性熱層の各層が、前記リジェネレーターの前記軸に沿った熱の流れを低減し、吸収した熱を当該異方性熱層内で径方向に拡散させるように構成された膜を含む装置。」
[相違点1]
本願発明1においては、「異方性熱層」が「長方形シート又は円形ディスク形状」であり、吸収した熱を「長方形シート又は円形ディスク内で」径方向に拡散させるのに対して、引用発明においては、「均熱部材26」は、吸収した熱をその平面内で径方向に拡散させるものであるが、その形状が特定されていない点(以下「相違点1」という。)。
[相違点2]
本願発明1においては、「リジェネレーター」が、「異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するように構成された一つ以上の支持層」を含むのに対して、引用発明においては、均熱部材26の少なくとも1つを構造的に支持するように構成された支持層を含むことが特定されていない点(以下「相違点2」という。)。
[相違点3]
本願発明1においては、「複数の異方性熱層の各層が、カーボンの少なくとも1つの同素体を含む」のに対して、引用発明においては、「均熱部材26は、銅からなるメッシュを数枚積み重ねることにより構成される」点(以下「相違点3」という。)。
事案に鑑み、まず相違点2について検討する。
引用発明において、「均熱部材26の両側にはフェルトマット22が配置されて」いるが、フェルトマット22は、蓄冷材5bがメッシュの目を通過しないようにするために配置されるものであり(【0038】)、また、フェルトマット22が羊毛により形成されるものである(【0023】)ことを参酌すれば、該フェルトマット22を銅のメッシュからなる均熱部材26を構造的に支持するために用いることは想定し難い。
また、引用文献3は、フェルトマット22以外の何らかの手段により均熱部材26の少なくとも1つの層を構造的に支持することを記載又は示唆するものでもない。
引用発明において、図11の記載を参酌すれば、均熱部材26、フェルトマット22及び蓄冷材5bは2段目蓄冷器4b内に配置されており、それらが全体として2段目蓄冷器4bによって保持されているといえるところ、均熱部材26を構造的に支持する支持層を別途設けることの必要性ないしは積極的な動機付けは引用文献3の他の記載を参酌しても見当たらない。
さらに、リジェネレーターの軸に垂直な異方性熱層を構造的に支持する支持層を設けることは、引用文献1、2、4、5及び6にも記載されておらず、また、周知技術であるともいえない。
したがって、引用発明において、相違点2に係る本願発明1の構成を採用することを当業者が容易に想到し得たとはいえないから、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明並びに引用文献1、2、4、5及び6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 本願発明2ないし6について
本願請求項2ないし6は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接引用して記載したものであるから、本願発明2ないし6は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2ないし6は、本願発明1と同様の理由により、引用発明並びに引用文献1、2、4、5及び6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
ウ 本願発明7ないし14について
本願発明7は、リジェネレーターを含むシステムの発明であり、「前記リジェネレーターが、前記リジェネレーターの軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状の複数の異方性熱層と、該異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するように構成された一つ以上の支持層とを含(む)」との構成を備えるものである。また、本願発明8ないし14は、本願発明15の発明特定事項を全て含むシステムの発明である。
したがって、本願発明7ないし14は、本願発明1と同様の理由により、引用発明並びに引用文献1、2、4、5及び6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
エ 本願発明15ないし20について
本願発明15は、本願発明1に対応する方法の発明であり、「1つ以上の支持層を用いて、前記異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するステップ」を備えるものである。また、本願発明16ないし20は、本願発明15の発明特定事項を全て含む方法の発明である。
したがって、本発明15ないし20は、本願発明1と同様の理由により、引用発明並びに引用文献1、2、4、5及び6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)まとめ
したがって、本願発明1ないし20は、引用発明並びに引用文献1、2、4、5及び6に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本願発明1ないし20が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする他の理由も見当たらない。
よって、本願発明1ないし20は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものである(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するものである)
したがって、審判請求時の補正は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反するものではない。
第3 原査定について
1 理由1(特許法第29条第1項第3号)について
審判請求時の補正により、本願発明1、2、7、8、15及び16は「前記リジェネレーターが、前記リジェネレーターの軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状の複数の異方性熱層と、該異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するように構成された一つ以上の支持層とを含(む)」との構成又はこれに対応する構成を備えるものとなっており、引用文献1に記載された発明とはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。
2 理由2(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1ないし20は「前記リジェネレーターが、前記リジェネレーターの軸に垂直な長方形シート又は円形ディスク形状の複数の異方性熱層と、該異方性熱層の少なくとも1層を構造的に支持するように構成された一つ以上の支持層とを含(む)」との構成又はこれに対応する構成を備えるものとなっており、当業者であっても、拒絶査定によって引用された引用文献1ないし6に基いて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2を維持することはできない。
第4 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2018-005355