意匠拒絶査定不服審判
2018-004252
Rear window
- 審判番号
- 2018-004252
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-500483外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年03月29日
- 審決日
- 2018年09月11日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ルノー エス.ア.エス.
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- D18 .113-WY (G2-2)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016-500483「Rear window」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年(2016年)2月18日の国際意匠登録出願であって、平成29年(2017年)5月30日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月23日に意見書が提出されたが、同年12月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年(2018年)3月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「Rear window」(参考訳:「リアウィンドウ」、以下日本語訳で示す。)とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、大韓民国特許庁発行の登録デザイン公報(公報発行日:2015年5月4日)に記載された、意匠登録番号30-0794986の「自動車用窓ガラス」の意匠であり、その形態を同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「リアウィンドウ」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「自動車用窓ガラス」であるが、いずれも自動車後方の窓枠部に取り付けられる窓ガラスであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が一致するものである。
2 形態の対比
両意匠の形態を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、対比のため、引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし、本願意匠の図「7.6」と引用意匠の図「1.2」を「正面図」とし、本願意匠の図「7.3」を右に90°回転させたものと引用意匠の図「1.6」を「平面図」とし、本願意匠の図「7.4」と引用意匠の図「1.5」を「右側面図」とし、本願意匠の図「7.5」と引用意匠の図「1.4」を「左側面図」とし、その他は、これらに準じて表されているものとする。また、両意匠は、側面視におけるその傾きが異なるため、引用意匠の傾きを本願意匠のものと合わせて対比することとする。
(1)形態の共通点
(共通点1)両意匠は、全体の概括的な構成態様が、左右方向に大きく湾曲した、一定の傾きを持った傾斜湾曲面を、正面視略横長台形状になるように切り取ったような形態である点で共通する。
(共通点2)両意匠は、中央付近はほぼ上下平行な一定の高さからなり、左右端部付近になるに従ってその高さが漸次小さくなり、左右端部で最も小さい形態である点で共通する。
(共通点3)両意匠は、左右端部付近で特に大きく左右に湾曲している点で共通する。
(2)形態の相違点
(相違点1)本願意匠の全体の具体的な形態が、全体が横に長く、左右端部付近の湾曲が大きいガラスからなるのに対し、引用意匠の全体の具体的な形態が、本願意匠より横幅が短く、左右端部付近の湾曲もそれほど大きなものではない点で、両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の縁部の形態が、ガラス面と同様の形態であって、縁部のないものであるのに対し、引用意匠の縁部の形態が、略隅丸長方形状のガラス面の周囲に暗調子の縁模様を施し、さらに縁模様の下辺中央部分には、中央の円形状部分を除き略等脚台形状の模様を施している(以下、これらの縁模様を「縁取り部」という。)点で、両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠のガラス面には何も模様が表れていないのに対し、引用意匠のガラス面には8本の僅かに湾曲した略直線状の線模様を等間隔に施し、その下側に、右半分の部分が略逆ハット状に折曲している線模様を1本施している点で、両意匠は相違する。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、その用途及び機能が一致するものであるから、同一である。
2 形態の共通点及び相違点の評価
(1)形態の共通点
(共通点1)ないし(共通点3)は、自動車後方の自動車用窓ガラスの形態において、極普通に見られる態様にすぎず、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから、これらの(共通点1)ないし(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(2)形態の相違点
(相違点1)は、全体の形態に係り、自動車の後方視界に係るものであって両意匠の高さはほぼ同程度であると推察できるところ、本願意匠が、高さに対し横長のものであり、かつ、左右端部付近で大きく湾曲した形態であって、大型の横長窓ガラスの印象であるのに対して、引用意匠は、高さに対しそれほど横長のものではなく、左右端部付近の湾曲も小さいため、コンパクトでわずかに湾曲している窓ガラスの印象であるから、両意匠は全体の具体的な形態の美感において大きな差異がある。
(相違点2)における縁取り部の有無は、自動車用窓ガラスの分野において、ガラス面の周囲に暗調子の縁取り部を施すことは既に行われているとしても、引用意匠の該部位の形態は、その左右縁部分の面積も大きく、この種物品の先行意匠に照らして特徴的なものであるから、両意匠は縁部の美感に大きな差異がある。
(相違点3)は、ガラス面における線模様の有無は、自動車用窓ガラスの分野においては、結露を取り除くためにガラス一面に複数の電熱線を配することが極普通に行われていることから、この電熱線を表したものと認められる引用意匠の線模様の態様は、自動車用窓ガラスにとって付加的なものにすぎず、需要者の注意を引くものとはいえないから、線模様の有無による美感に大きな差異があるとはいえず、この(相違点3)が意匠全体の類否判断に及ぼす影響は軽微なものであるといえる。
3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察し、両意匠が類似するか否かについて考察すると、両意匠は、上記2(2)のとおり、全体の具体的な形態及び縁取り部の部分に大きな差異があり、その態様の相違は需要者に異なる美感を与えるものである。そうすると、全体の概括的な構成態様が共通することを考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。
第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、本願については、原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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