特許拒絶査定不服審判
2018-003436
炭酸飲料
- 審判番号
- 2018-003436
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-060711
- 請求日
- 2018年03月09日
- 審決日
- 2019年01月22日
- 公報発行日
- 2019年03月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】サントリーホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】小野 新次郎
- 【請求人代理人】山本 修
- 【請求人代理人】宮前 徹
- 【請求人代理人】中西 基晴
- 【請求人代理人】中村 充利
- 審判長/審判官
- 審判長 紀本 孝
- 審判官 松下 聡
- 審判官 槙原 進
- 分類
- P18 .113-WY (A23L) / P18 .121-WY (A23L) / P18 .537-WY (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 60711号「炭酸飲料」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月2日出願公開、特開2014-183771号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年3月22日の出願であって、平成28年9月1日付けで拒絶理由が通知され、平成28年11月2日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年2月22日付けで拒絶理由が通知され、平成29年4月21日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年7月25日付けで拒絶理由が通知され、平成29年9月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成29年12月7日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成30年3月9日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成30年6月26日に上申書が提出され、平成30年12月7日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年12月17日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 本願発明
本願請求項1ないし4に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、出願当初の明細書及び平成30年12月17日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%、pHが6.5以下、炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2である、発酵乳および乳酸を含む清涼飲料水。
【請求項2】
発酵乳由来の無脂乳固形分の量が0.05重量%以上である、請求項1に記載の清涼飲料水。
【請求項3】
乳成分として脱脂粉乳をさらに含む、請求項1または2に記載の清涼飲料水。
【請求項4】
乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%、pHが6.5以下になるように、発酵乳および乳酸を含む飲料を調整する工程と、
炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2になるように飲料に炭酸ガスを含ませる工程と、
を含む、乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%である清涼飲料水の製造方法。」
第3 引用例
1 引用例1(特公昭49-20508号公報)
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例1には「安定な発酵乳性飲料の製造法」に関して図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。
(1)引用例1の記載
1a)「本発明は醗酵乳の風味が完全に生かされ、長期間沈澱等を生じない安定な醗酵乳性飲料の製造法に関するものである。
本発明でいう醗酵乳性飲料とは、脱脂粉乳や脱脂乳などの乳製品に乳酸菌を繁殖させて得られる醗酵乳、または大豆蛋白質や酵母蛋白質などの蛋白質を含有する食品に乳酸菌を繁殖させて得られる醗酵食品およびこれを原料として糖類、人工甘味料、色素、香料などを適宜添加し、さらに必要に応じて炭酸ガスを圧入した飲料をいう。」(第1欄第17ないし26行)
1b)「本発明者は醗酵乳の風味を完全にいかし、沈澱を生じない長期間安定な醗酵乳性飲料を経済的に製造し得る画期的な製造法を発明した。
まず醗酵乳を製造する。要すればあらかじめ乳成分を脱脂しておく。その方法は常法に従う。得られた系のpHが3.5以上であるときは、これを3.5以下に調整する。調整の方法は常法に従う。(たとえば有機酸および又は無機酸使用。)
3.5をこえると可溶分が少なくなり、沈澱物の量が多くなり、濁度が小さく、醗酵乳の風味が劣り収量が小さくなる。
得られた系を60℃以上に加熱する。系中に存在する菌を殺すためと無脂乳固形分の溶解度を増すためと、その後の製造工程を容易にするためとからである。
更に系中無脂乳固形分の含有量を10%以下に調整する。無脂乳固形分が10%を超えるときは系の比重、粘度が高すぎて、次工程の操作に不都合を生ずるおそれがある。その調整の方法は水の添加で足りる。
得られた系を濾過する。濾過の目的は系中の菌体および安定な分子コロイドを形成し得ない固形の変性したたん白質を除去するためである。系中に菌体および固形の変性たん白質が存在すると、系をホモジナイズしても、静置中必らず沈でんを生ずる。濾過の方法は常法に従う。」(第2欄第23行ないし第3欄第11行)
1c)「実施例 1
常法どおり脱脂粉乳の10%溶液を殺菌し、乳酸菌スターターを接種し、30~50℃で24~48時間醗酵を行ない醗酵の風味が十分得られたところで醗酵を止め、得られた醗酵乳60kgに同量の水を加えてホモジナイズ(150kg/cm2)し、リン酸でpHを3.0に調整し、70℃に加熱し、遠心分離機で分離を行なう。分離された沈澱物を除去した液をカセイソーダでpH3.4にし、砂糖30kgおよび香料を加えて水で全量200lとし、95℃で5秒間殺菌して製品とする。
実施例 2
実施例1と同様の方法で製造した醗酵乳40kgに同量の水を加えてホモジナイズし、リン酸でpHを3.0に調整し、80℃に加熱し、シャープレスタイプの遠心分離機で分離を行なう。分離した沈澱物を除去した液をカセイソーダでpH3.4にし、砂糖35kgおよび香料を加えて水で全量200lとし93℃で5秒間殺菌を行なう。これを5℃まで急冷し、0.5~3kg/cm2の圧力で炭酸ガスを圧入して製品とする。
実施例 3
実施例1と同様の方法で製造した醗酵乳40kgに同量の水を加えてホモジナイズし、リン酸でpHを3.0に調整し、60℃に加熱し、素焼き濾過機で濾過して沈澱物を除去した後カセイソーダでpH3.4にし、砂糖35kgおよび香料を加えて水で全量200lとし、93℃で5秒間殺菌を行なう。これを5℃まで急冷し、0.5~3kg/cm2の圧力で炭酸ガスを圧入して製品とする。」(第5欄第33行ないし第6欄第24行)
1d)「1 醗酵乳のpHを3.5以下に調整し、60℃以上に加熱した後、菌体および変性蛋白質などを除去し、これに糖類、人工甘味料、色素、香料などを適宜添加し、必要に応じ炭酸ガスを圧入することを特徴とする安定な醗酵乳性飲料の製造法。」(第6欄第26ないし30行)
(2)引用発明
上記(1)の記載からみて、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「pHが3.5以下、炭酸ガス圧が0.5~3kg/cm2である、醗酵乳およびリン酸を含む発酵乳性飲料。」
なお、引用例1には、無脂乳固形分の含有量に言及しているところもあるが、濾過を経ることから、飲料中の無脂乳固形分の含有量を認定することができない。
2 引用例2(特開昭53-104765号公報)
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例2には「発酵乳飲料の製法」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例2の記載
2a)「発酵乳は脱脂乳、脱脂粉乳、脱脂練乳等を原料として常法の乳酸発酵により用意される。充分な発酵風味が得られておれば中途で発酵を止め更に食用酸を添加して調製してもよい。又通常発酵乳はカードを形成しているので、後続の処理を容易にする為に適宜通常のホモジナイズ処理を行つてもよい。もつとも、ホモジナイズ処理を行わなくても、充分本発明の目的の飲料を造ることが出来ることは本発明の一つの特徴でもある。次に水による希釈、pH調整及び加熱処理により、発酵乳のL値が30以下になるように乳タンパク質を溶解させる。本発明で言う溶解とは乳タンパク質の帯電性を大部分正の帯電状態として微細に分散せしめて発酵乳のL値を30以下にした透明感の強い状態を言う。外見的には石けん水溶液の如きものである。この溶解処理は次のことからなる。発酵乳を水で希釈して凝集タンパク質や大きな乳タンパク質粒子を分散溶解し易くすること、分散溶解を高める為にpHを3.45以下の酸性にすること、及び分子運動を高め解離、分散溶解を充分なものとする為に加熱することからなる。通常の脱脂乳による乳酸発酵乳は、発酵タンクの経済性等から水であまり希釈していない状態、即ち、無脂乳固形分含量5W/W%(以下%はすべてW/W%)以上で得られる。この発酵乳を水で希釈して無脂乳固形分含量を2.5%以下にする。もつとも0.5%以下に希釈すると飲料として風味が弱くなつたり美しい乳白色を発現せしめることが難しくなるので好ましくない。直接飲用に供する発酵乳飲料の場合、無脂乳固形分含量0.5~2.5%の濃度はさわやかな風味を与えるにふさわしいものである。なお水希釈の際水に前以つて糖や酸等を適宜添加してあるものを水として使用してもよい。pHは3.45以下にする。」(第2ページ左下欄第10行ないし第3ページ左上欄第3行)
(2)引用例2記載事項
上記(1)の記載からみて、引用例2には以下の事項(以下、「引用例2記載事項」という。)が記載されている。
「pHを3.45以下とするとともに、無脂乳固形分含量を0.5~2.5%の濃度とした発酵乳飲料。」
3 引用例3(特公昭56-1891号公報)
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例3には「ストレート酸性乳飲料の製法」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例3の記載
3a)「1 糖濃度が約13W/W%以下のストレート酸性乳飲料の製造にあたって、脱脂乳の無脂乳固形分濃度を0.5~3.5W/W%に且つpHを3.0~3.9に調整して得る酸性乳を100~160℃で加熱することを特徴とするストレート酸性乳飲料の製法。」(第1欄第22ないし27行)
(2)引用例3記載事項
上記(1)の記載からみて、引用例3には以下の事項(以下、「引用例3記載事項」という。)が記載されている。
「pHを3.0~3.9かつ無脂乳固形分濃度を0.5~3.5W/W%に調整したストレート酸性乳飲料。」
4 引用例4(特開昭49-13361号公報)
原査定に引用され、本願の出願前に頒布された引用例4には「瓶または缶詰め用発酵乳飲料の製造方法」に関して図面とともに次の事項が記載されている。
(1)引用例4の記載
4a)「発酵乳原液に水、糖類、あるいはさらに有機酸などを加えて調合液となし、ついでこれを乳化、殺菌処理を経て瓶詰めまたは缶詰め加工するにあたり、上記調合液をPH3.55~3.80、乳酸酸度0.35~0.50、および乳固形分
1.35~2.65%の範囲に同時に調節することを特徴とする瓶または缶詰め用発酵乳飲料の製造方法。」(第1ページ左下欄第5ないし12行)
(2)引用例4記載事項
上記(1)の記載からみて、引用例4には以下の事項(以下、「引用例4記載事項」という。)が記載されている。
「PH3.55~3.80とするとともに、乳固形分1.35~2.65%とした発酵乳飲料。」
5 引用例5(加藤友治,食品分野における界面活性剤,オレオサイエンス,2001年,Vol.1, No.10,第29~35ページ)には、次の事項が記載されている。
(1)引用例5の記載
5a)「3・2 飲料
飲料には、コーヒー飲料、炭酸飲料、果汁飲料、お茶、ニアウォーターなど多くの品種があり、また食品の中でも大きな市場を形成している商品である。特に近年は消費者の嗜好変化が激しく毎シーズン様々な新商品が発売されている。飲料の商品開発においては、味、香り、色、濁り、などの品質上の問題とともに、缶、ペットボトル、ガラスビン、紙パックなど容器に関する問題もある。さらに、ホット&コールドの自動販売機での販売により保存安定性の問題が重要な課題となっている。乳化剤は飲料中の油脂の均一分散、香料の可溶化、クラウディー、耐熱性菌の抗菌、充填時の消泡、粉末原料や粉末飲料の分散溶解性向上などの目的で使われる。」(32ページ右欄第8ないし20行)
(2)引用例5記載事項
上記(1)の記載からみて、引用例5には以下の発明(以下、「引用例5記載事項」という。)が記載されている。
「飲料中の油脂の均一分散、香料の可溶化、クラウディー、耐熱性菌の抗菌、充填時の消泡、粉末原料や粉末飲料の分散溶解性向上などの目的で飲料に乳化剤を添加すること。」
第4 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比する。
引用発明における「pHが3.5以下」であることは、本願発明1における「pHが6.5以下」であることに相当し、以下同様に、「醗酵乳」は「発酵乳」に、「醗酵乳性飲料」は「清涼飲料水」にそれぞれ相当する。
そして、引用発明における「リン酸」と本願発明1における「乳酸」とは、「酸味料」という限りにおいて一致する。
さらに、飲料中の炭酸ガス圧の範囲に関して、引用発明における「0.5~3kg/cm2」と本願発明1における「2.5~4.0kg/cm2」とは、「2.5~3kg/cm2」の範囲において一致する。
したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「pHが6.5以下、炭酸ガス圧が2.5~3kg/cm2である発酵乳および酸味料を含む清涼飲料水。」
[相違点1]
「清涼飲料水」に関して、本願発明1においては「乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%、炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2である」のに対して、引用発明においては「炭酸ガス圧が0.5~3kg/cm2」であって、乳脂肪分及び無脂乳固形分を含有する割合について明確でない点。
[相違点2]
清涼飲料水に含まれる「酸味料」に関して、本願発明1においては「乳酸」であるのに対して、引用発明においては「リン酸」である点。
以下、上記相違点について検討する。
[相違点1について]
上記引用例2記載事項は、「pHを3.45以下とするとともに、無脂乳固形分含量を0.5~2.5%の濃度とした発酵乳飲料」であり、
上記引用例3記載事項は、「pHを3.0~3.9かつ無脂乳固形分濃度を0.5~3.5W/W%に調整したストレート酸性乳飲料」であり、
上記引用例4記載事項は、「PH3.55~3.80とするとともに、乳固形分1.35~2.65%とした発酵乳飲料。」であって、
上記引用例5記載事項は、「飲料中の油脂の均一分散、香料の可溶化、クラウディー、耐熱性菌の抗菌、充填時の消泡、粉末原料や粉末飲料の分散溶解性向上などの目的で飲料に乳化剤を添加すること」である。
しかし、上記引用例2ないし5記載事項は、泡立ちや泡持ちを考慮したものではなく、炭酸ガス圧との関係で無脂乳固形分濃度を設定する技術思想に基づくものでもないのであって、上記相違点1に係る本願発明1の「乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%、炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2である」、「清涼飲料水」を開示あるいは示唆するものではない。
そして、清涼飲料水において上記相違点1に係る本願発明1の「乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%、炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2である」ことを採用することにより、低乳脂肪分であるにもかかわらず、泡立ちと泡持ちの向上を実現するという効果を奏するのである。
したがって、本願発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、引用発明ではなく、また、引用発明及び引用例2ないし5記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
2 本願発明2及び3
本願の特許請求の範囲における請求項2及び3は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく直接又は間接的に引用して記載したものであるから、本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2及び3は、本願発明1と同様の理由で、引用発明ではなく、また、引用発明及び引用例2ないし5記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
3 本願発明4
本願発明4は、本願発明1の「清涼飲料水」を「清涼飲料水の製造方法」としてカテゴリーを異なるものとしたものである。
そして、本願発明4においても、上記相違点1に係る本願発明1における「乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%」、及び「炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2」であることが特定されている。
したがって、本願発明4は、本願発明1と同様に、引用発明ではなく、また、引用発明及び引用例2ないし5記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
4 引用例2を主引用例とした場合の検討
上記引用例2記載事項は、「pHを3.45以下とするとともに、無脂乳固形分含量を0.5~2.5%の濃度とした発酵乳飲料」であって、脱脂粉乳を原料として発酵乳を得た場合には乳脂肪分が0.5%以下となるものと認められる。さらに、引用例2には、発酵乳飲料に炭酸ガス等を加えることについても記載されている(引用例2公報第4ページ左上欄第12ないし14行参照。)
一方、炭酸飲料における一般的な炭酸ガス圧は、例えば、「最新・ソフトドリンクス編集委員会 委員長 三浦洋 編,最新ソフトドリンクス,株式会社 光琳,2003年9月30日,p309」によると、1~4kg/cm3であることが分かるものの、発酵乳飲料に加える炭酸ガス圧として2.5~4.0kg/cm2が通常であるとまで認め得るものではない。
そして、上記引用例2記載事項における無脂乳固形分含量の0.5~2.5%の濃度、及び上記一般的な炭酸ガス圧である1~4kg/cm3の形成する領域は、本願発明の「無脂乳固形分が1.2~4.0重量%」及び「炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2」の範囲外の領域を含むところ、当該領域のうち、0.5~1.2%未満の無脂乳固形分含量の濃度、及び1~1.5kg未満/cm3の炭酸ガス圧は、本願明細書の記載(段落【0029】、【表2】、図1及び図2)によると、炭酸飲料の泡立ち及び泡持ちの向上という課題を解決するという観点において不適切な領域であると認められる。
そして、本願発明1ないし4は、炭酸飲料の泡立ち及び泡持ちの向上に着目して、「乳脂肪分が0.5重量%以下」のものにおいて、「無脂乳固形分が1.2~4.0重量%」及び「炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2」という領域を見出したものであるから、上記引用例2記載事項の、発酵乳飲料における「無脂乳固形分含量を0.5~2.5%の濃度」としたこと、及び炭酸飲料の一般的な炭酸ガス圧が1~4kg/cm3であることに基いて、当業者が、上記本願発明1ないし4の清涼飲料水において、本願発明1ないし4において特定された無脂乳固形分の濃度及び炭酸ガス圧の数値範囲を容易に想到し得たとすることはできない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、
1 請求項1ないし3及び5に係る発明について、
(理由1)引用文献10(上記引用例1)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
(理由2)引用文献10及び引用文献11ないし13(上記引用例2ないし4)にみられるような周知技術に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 請求項4に係る発明について
(理由2)引用文献10に記載された発明及び引用文献11ないし13(上記引用例2ないし4)にみられるような周知技術並びに引用文献14(上記引用例5)に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
というものである。
しかし、平成30年12月17日提出の手続補正書により補正された請求項1ないし4に係る発明は、「乳脂肪分が0.5重量%以下、無脂乳固形分が1.2~4.0重量%」、及び「炭酸ガス圧が2.5~4.0kg/cm2」であることが特定されているから、上記第4で判断したとおり、請求項1ないし4に係る発明は、引用発明ではなく、また、引用発明及び引用例2ないし5記載事項に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
第6 当審拒絶理由について
当審では、本件審判に係る出願は、特許請求の範囲の記載における「乳化剤」の技術内容が明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、という拒絶理由を通知している。
これに対して、平成30年12月17日提出の手続補正書による補正により、請求項1の記載における「発酵乳、乳化剤および乳酸を含む」が「発酵乳及び乳酸を含む」と補正されることによって「乳化剤」の記載が削除された結果、この拒絶理由は解消した。
第7 むすび
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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