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特許異議申立

2017-700819

内燃機関のラムダセンサの、制御装置で実行された診断を検査するための故障シミュレータ

審判番号
2017-700819
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-522038
登録番号
特許第6092385号(P6092385)
請求日
2017年08月31日
審決日
2018年06月13日
公報発行日
2018年09月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
  • 【権利者代理人】大場 玲児
  • 【権利者代理人】高橋 始
  • 【異議申立人】平林 恭子
審判長/審判官
  • 審判長 金澤 俊郎
  • 審判官 佐々木 芳枝
  • 審判官 松下 聡
分類
P1652.121-YAA(F02D) / P1652.537-YAA(F02D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第6092385号発明「内燃機関のラムダセンサの、制御装置で実行された診断を検査するための故障シミュレータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第6092385号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1ないし4]及び請求項5について訂正することを認める。 特許第6092385号の請求項1、2及び5に係る特許を維持する。 特許第6092385号の請求項4に係る特許についての申立てを却下する。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 特許第6092385号の請求項1ないし5に係る特許についての出願は、平成25年7月9日に特許出願され、平成29年2月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成29年8月31日に特許異議申立人平林恭子(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成29年11月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年2月16日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。その後、平成30年2月28日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、特許異議申立人に対して相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、何らの応答もなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)ア及びイ並びに(2)アのとおりである。(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。) (1)請求項1~4からなる一群の請求項に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、本件訂正前の 「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法であって、前記検査を、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間に配置された故障シミュレータ(12)によって実施し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間で交換された電気信号を意図的に変化させ、前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)を供給し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)を供給し、かつ前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)を供給する方法において、 前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UN0mess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UN0stell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、 前記制御装置(14)が、前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて前記ポンプ電流IPMSG(16)を演算して前記故障シミュレータ(12)へ供給し、 前記ネルンスト電圧UN0stell(13)は所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)であり、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させるか、または、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定するか、または、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する、 ことを特徴とする、接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法。」 から、本件訂正後の、 「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法であって、前記検査を、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間に配置された故障シミュレータ(12)によって実施し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間で交換された電気信号を意図的に変化させ、前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)を供給し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)を供給し、かつ前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)を供給する方法において、 前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UN0mess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UN0stell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、 前記制御装置(14)が、前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて前記ポンプ電流IPMSG(16)を演算して前記故障シミュレータ(12)へ供給し、 前記ネルンスト電圧UN0stell(13)は所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)であり、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する、 ことを特徴とする、接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法。」 に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する。) イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 (2)請求項5に係る訂正 ア 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項5を、本件訂正前の 「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)であって、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間に配置されており、前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)、および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)が供給されており、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)が、また前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)が前記故障シミュレータ(12)から供給されている形式のものにおいて、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UN0mess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UN0stell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、 前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させるか、または、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定するか、または、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定し、 前記ネルンスト電圧UN0stell(13)が所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)である、 ことを特徴とする、接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)。」 から、本件訂正後の、 「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)であって、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間に配置されており、前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)、および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)が供給されており、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)が、また前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)が前記故障シミュレータ(12)から供給されている形式のものにおいて、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UN0mess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UN0stell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、 前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)を設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する、 前記ネルンスト電圧UN0stell(13)が所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)である、 ことを特徴とする、接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)。」 に訂正する。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)請求項1~4からなる一群の請求項に係る訂正について ア 訂正事項1について 訂正事項1は、請求項1の記載を取消理由通知により通知された明確性違反の取消理由を解消するように訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2について 訂正事項2は、特許請求の範囲の請求項4を削除するよう訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項1及び2に係る訂正前の請求項1ないし4は、訂正前の請求項1を訂正前の請求項2ないし4が引用するものであるから、訂正前の請求項1ないし4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (2)請求項5に係る訂正について ア 訂正事項3について 訂正事項3は、請求項5の記載を取消理由通知により通知された明確性違反の取消理由を解消するように訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし4〕及び請求項5について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件訂正発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1、2及び5に係る発明(以下「本件訂正発明1、2及び5」という。)は、その訂正特許請求の範囲の請求項1、2及び5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法であって、前記検査を、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間に配置された故障シミュレータ(12)によって実施し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間で交換された電気信号を意図的に変化させ、前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)を供給し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)を供給し、かつ前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)を供給する方法において、 前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UN0mess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UN0stell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、 前記制御装置(14)が、前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて前記ポンプ電流IPMSG(16)を演算して前記故障シミュレータ(12)へ供給し、 前記ネルンスト電圧UN0stell(13)は所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)であり、 前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する、 ことを特徴とする、接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法。 【請求項2】 前記故障シミュレータが、所定の前記ネルンスト電圧UNOstell(13)を、または時間に関連して変化する前記ネルンスト電圧UNOstell(13)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)とは無関係にまたは該ネルンスト電圧UNOmess(11)に依存して設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。」 「【請求項5】 接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)であって、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間に配置されており、前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)、および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)が供給されており、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)が、また前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)が前記故障シミュレータ(12)から供給されている形式のものにおいて、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UN0mess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UN0stell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、 前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)を設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する、 前記ネルンスト電圧UN0stell(13)が所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)である、 ことを特徴とする、接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)。」 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1、2、4及び5に係る特許に対して平成29年11月15日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 [理由1] 請求項1の「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させるか、または、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UN0mess(11)に基づいて設定するか、または、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」との記載が不明瞭であり、請求項1、並びに、これを引用する請求項2、4及び5に係る発明を明確に把握することが困難である。 [理由2] 請求項4の記載が不明瞭であり、請求項4に係る発明は不明確である。 3 判断 前記訂正事項1により、請求項1及び2に係る発明が明確になり、同様に、前記訂正事項3により、請求項5に係る発明は明確になったから、取消理由の理由1は解消した。 前記訂正事項2により、請求項4は削除されたから、取消理由の理由2は解消した。 4 取消理由通知において採用しなかった理由について 特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1、2及び5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第2号証における記載事項から容易に想到できたものであるから、本件の特許請求の範囲の請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨、及び、請求項1、2及び5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明並びに甲第1号証及び甲第2号証における記載事項から容易に想到できたものであるから、本件の特許請求の範囲の請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである旨主張する。 また、特許異議申立人は、訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書において、請求項1及び5に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない事項を含むものであるから、本件の特許請求の範囲の請求項1及び5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものである旨主張する。 そこで、取消理由通知において採用しなかった請求項1、2及び5に係る発明に対する特許異議申立理由について、本件の特許請求の範囲の請求項1、2及び5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるか否か、及び、本件の特許請求の範囲の請求項1及び5に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものであるか否かについて検討する。 [特許法第29条第2項について] (1) 甲号証 (1)-1 甲第1号証 ア 甲第1号証の記載 甲第1号証(特開2004-93957号公報)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0006】 本発明の劣化シミュレータによれば、酸素センサを耐久試験にかけて劣化させることなく、酸素センサの各種劣化モードを目標に合わせて簡単に模擬することができる。また、本発明の劣化シミュレータによれば、被測定ガスに曝された正常に作動する酸素センサを、劣化シミュレータ内のコントローラで制御すると同時に、該コントローラから酸素ポンピング電流を表す信号を出力し、該信号を信号処理部にて、劣化目標に応じてオフセット補正,ゲイン補正,及び応答特性補正をすることで、劣化した酸素センサが出力する酸素ポンピング電流を表す信号を模擬生成し、擬似センサに入力することができる。疑似センサはECU内のコントローラで制御されており、前記信号処理部から入力される信号が、補正を行なわずに劣化シミュレータ内のコントローラからの出力のままの場合、あたかも前記正常な酸素センサが配置されているかのような動作をするように設定されている。そして、前記信号処理部で劣化模擬された信号が入力された場合には、劣化したごとくの信号をECUに出力するため、ECUがエンジンをコントロールすることで被測定ガスを変化させる配置にしている場合には、劣化したセンサで制御されたごとくに被測定ガスが変化する。変化した被測定ガスは、再び正常に作動する酸素センサで測定され、上述の処理を繰返すことになる。これにより、劣化したセンサでエンジンを制御した場合に、排気ガスがどのような範囲に制御されることになるかを模擬することができる。」 (イ)「【0009】 本発明の好ましい実施の形態に係る劣化シミュレータは、内燃機関の吸気ないし排気ガス中の酸素濃度を測定するための酸素センサの劣化シミュレータとして用いられ、シミュレート時、酸素センサと内燃機関のECUの間に接続される。本発明の好ましい実施の形態に係る劣化シミュレータは、拡散抵抗2を通じて測定室3に導入されるガスの酸素分圧を検出する酸素濃淡電池セル4と、酸素濃淡電池セル4により検出される酸素分圧に応じて、酸素濃淡電池セル4の酸素濃淡起電力が一定となるよう測定室3内から外へ或いは測定室3外から内へ酸素を汲み出す酸素ポンピングセル1と、を有し、酸素ポンピングセル1に流れる酸素ポンピング電流Ipに基づいて被測定ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ(図2参照)の劣化シミュレータ13(図1の13)であって、酸素濃淡電池セル4が出力する酸素濃淡起電力に応じて酸素ポンピング電流Ipを制御可能であり、かつ酸素ポンピング電流Ipを表す信号および酸素濃淡電池セル4の素子抵抗Rpvsを表す信号を出力可能なコントローラ21(図3参照)と、コントローラ21が出力する酸素ポンピング電流Ipを表す信号を劣化目標に応じて可変した信号を出力する信号処理部[23,24,25](図3参照)と、酸素濃淡電池セル4の素子抵抗Rpvsを表す信号を検出し該信号を劣化目標に応じて可変した信号をECU22(図3参照)に出力する素子抵抗補正手段(26,27)、及び、信号処理部が出力する信号をそのままあるいはさらに劣化目標に応じて可変してECUに出力する酸素ポンピング電流設定手段(Ip設定手段)28を含む擬似センサ29(図3参照)と、を有する。」 (ウ)「【0017】 図3を参照すると、劣化シミュレータ13は、酸素センサ20を制御するコントローラ(センサコントロール部)21と、擬似センサ29と、信号処理部として、酸素ポンピング電流Ipのオフセット補正手段23、ゲイン補正手段24及び応答特性補正手段25を備えている。酸素センサ20のヒータ6は、ECU22が備えるヒータドライバ22aによって制御される。 【0018】 擬似センサ29は、コントローラ21を介して酸素センサ20に接続されるRpvs測定手段26と、Rpvs測定手段26に接続されRpvs測定手段26の出力信号を補正するRpvs補正手段27と、信号処理部、具体的には、応答特性補正手段25に接続されIp信号を補正するIp設定手段28と、を備えている。Rpvs測定手段26は、コントローラ21に公知の手法により酸素濃淡電池セル4の素子抵抗、詳細には、高周波インピーダンスを測定させる手段である。」 (エ)「【0024】 酸素センサのある雰囲気に成分既知のモデルガスを投入する。コントローラ21は、検出された酸素濃淡電圧Vsが一定となるよう酸素ポンピング電流Ipを制御する。このとき、Ipを表す信号は、本発明の一実施例に係る信号処理部を経由して、Ip設定手段28に入力される。すなわち、Ipを表す信号は、設定された劣化目標に応じて、オフセット補正手段23、ゲイン補正手段24及び応答特性補正手段25のいずれか一以上により補正されてIp設定手段28に入力される。Ip設定手段28はECU22に酸素ポンピング電流Ipを表す信号を出力して、この信号に基づいてECU22は酸素センサのある雰囲気ガス中の酸素濃度を制御する。このように劣化目標ごとに酸素センサ20が劣化した場合のECU22の挙動を劣化シミュレータ13を用いて予測することができる。」 (オ)上記(エ)及び図3の記載から、酸素センサ20とECU22との間に配置された劣化シミュレータ13によって予測を実施することが明らかである。 (カ)上記(エ)の記載から、劣化シミュレータ13が、酸素センサ20の劣化を模擬するために、酸素センサ20から出力されECU22に入力される信号を劣化目標に応じて可変することが明らかである。 イ 甲1発明1及び甲1発明2 上記ア(ア)ないし(カ)及び図1ないし3の記載から、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明1」という。)が記載されていると認められる。 「接続された酸素センサ20の劣化した場合のECU22の挙動を予測するための方法であって、前記予測を、前記酸素センサ20と前記ECU22との間に配置された劣化シミュレータ13によって実施し、前記劣化シミュレータ13が、前記酸素センサ20の劣化を模擬するために、前記酸素センサ20から出力され前記ECU22に入力される信号を劣化目標に応じて可変し、前記劣化シミュレータ13に、前記酸素センサ20の酸素濃淡電圧Vsを出力し、前記劣化シミュレータ13が、酸素センサ20に酸素ポンピング電流Ipを出力し、かつ前記ECU22に設定された劣化目標に応じて可変された信号を出力する方法において、 前記劣化シミュレータ13が、前記酸素センサ20の劣化を模擬するために、前記酸素ポンピング電流Ipの前記ECU22への出力を中断し、前記酸素センサ20の設定された劣化目標に応じて可変された信号を前記ECU22へ出力し、 前記設定された劣化目標に応じて可変された信号は所定の設定された劣化目標に応じて可変された信号であり、 前記酸素センサ20に出力された前記酸素ポンピング電流Ipを、劣化シミュレータ13によって、前記酸素センサ20から出力された酸素濃淡電圧Vsが一定となるように制御する、 接続された酸素センサ20の劣化した場合のECU22の挙動を予測するための方法。」 また、上記ア(ア)ないし(カ)及び図1ないし3の記載から、甲第1号証には以下の発明(以下「甲1発明2」という。)が記載されていると認められる。 「接続された酸素センサ20の劣化した場合のECU22の挙動を予測するための劣化シミュレータ13であって、前記劣化シミュレータ13が、前記酸素センサ20の劣化を模擬するために、前記酸素センサ20と前記ECU22との間に配置されており、前記劣化シミュレータ13に、前記酸素センサ20の酸素濃淡電圧Vsを出力されており、前記酸素センサ20に酸素ポンピング電流Ipが、また、前記ECU22に設定された劣化目標に応じて可変された信号が前記劣化シミュレータ13から出力されている形式のものにおいて、 前記劣化シミュレータ13は、前記酸素ポンピング電流Ipの前記ECU22への出力を中断し、前記酸素センサ20の設定された劣化目標に応じて可変された信号を前記ECU22へ出力し、 前記劣化シミュレータ13は、前記酸素センサ20に出力された前記酸素ポンピング電流Ipを、前記酸素センサ20から出力された前記酸素濃淡電圧Vsが一定となるように制御し、 前記設定された劣化目標に応じて可変された信号が所定の設定された劣化目標に応じて可変された信号である、 接続された酸素センサ20の劣化した場合のECU22の挙動を予測するための劣化シミュレータ13。」 (1)-2 甲第2号証 ア 甲第2号証の記載 甲第2号証(特開2009-63329号公報)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「【0034】 上記構成のA/Fセンサ10では、センサ素子20の両電極25,26間に所定の電圧を印加することにより、排ガス中の酸素濃度に応じた電流が固体電解質層21に流れ、その電流(素子電流)が逐次計測される。そして、素子電流の計測値に基づいて酸素濃度(A/F)が算出される。」 (イ)「【0035】 次に、上記構成のA/Fセンサ10を対象として劣化シミュレーションを実行する劣化シミュレーションシステムについて図1を参照しながら説明する。 【0036】 図1に示す劣化シミュレーションシステムにおいて、劣化シミュレータ30には、A/Fセンサ10のセンサ素子20及びヒータ28が接続されるとともに、ECU50が接続されている。 【0037】 ここで、ECU50は、車両に搭載されるエンジンECUであり、都度の運転状態に基づいて燃料噴射弁の燃料噴射量や点火装置による点火時期を最適に制御する。特に空燃比検出に関する構成として、A/Fセンサ10を駆動するセンサ駆動回路51と、CPUや各種メモリ等からなるマイコン(マイクロコンピュータ)52とを備えており、エンジンの通常運転時には、A/Fセンサ10(センサ素子20)から出力されるA/F検出信号がセンサ駆動回路51に逐次入力され、その入力信号が適宜増幅されてマイコン52に出力される。また、センサ駆動回路51は、信号増幅機能の他、都度のセンサ出力に応じてセンサ印加電圧を可変設定する印加電圧制御機能や、センサ素子20の抵抗値(素子インピーダンス)を検出するインピーダンス検出機能等を備えている。 【0038】 つまり、通常のエンジンシステムでは、A/Fセンサ10とECU50とが直接接続される。そして、ECU50内のセンサ駆動回路51によりA/Fセンサ10が駆動される。このとき、センサ駆動回路51により、上述したとおりA/F検出信号の増幅処理や、センサ印加電圧の可変設定処理、インピーダンス検出処理等が実行される。 【0039】 一方、劣化シミュレータ30は、センサ駆動回路31とマイコン32とを備えている。センサ駆動回路31には、センサ素子20の負側端子S-が接続されるとともに、電流計測抵抗33を介してセンサ素子20の正側端子S+が接続されている。電流計測抵抗33により、センサ素子20に流れる素子電流が計測されるようになっている。センサ駆動回路31とマイコン32は、基本的にECU50内のセンサ駆動回路51とマイコン52と同じ構成を有するものであり、センサ駆動回路31について言うと、信号増幅機能や、印加電圧制御機能、インピーダンス検出機能等を備えている。なお、説明を省いたが、劣化シミュレータ30と同様にECU50内にも電流計測抵抗が設けられている。 【0040】 また、劣化シミュレータ30は、センサ出力を模擬的に劣化状態とするための模擬劣化設定機能を有しており、電流計測抵抗33により計測された素子電流値(センサ出力)に対して模擬的な劣化成分を付与し、その模擬劣化状態としたセンサ検出信号をECU50に出力する。以下その詳細を説明する。」 (ウ)「【0046】 上記構成において、電流計測抵抗33により計測された素子電流値は、I-V変換回路34を介してむだ時間設定回路部35に入力され、その後、時定数設定回路部36とゲイン設定回路部37とを経由して加算回路39に入力される。このとき、素子電流信号に対して、むだ時間(むだ時間遅れ)、時定数(時定数遅れ)、ゲインの少なくともいずれかに関する劣化成分が付与された電圧信号、又はいずれの劣化成分も付与されていない電圧信号(素子電流信号そのものに相当)が加算回路39に入力される。また、加算回路39では、各設定回路部35~37を経由して入力される電圧信号に対してオフセット設定回路部38の出力(オフセット設定電圧)が加算され、その加算後の電圧信号がV-I変換回路40を介してECU50のセンサ駆動回路51に出力される。」 イ 甲2発明1及び甲2発明2 上記ア(ア)ないし(ウ)並びに図1及び図3の記載から、甲第2号証には以下の発明(以下「甲2発明1」という。)が記載されていると認められる。 「接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための方法であって、前記劣化状態とするための方法を、前記A/Fセンサ10と前記ECU50との間に配置された劣化シミュレータ30によって実施し、前記劣化シミュレータ30が、前記A/Fセンサ10の劣化シミュレーションを実行するために、前記A/Fセンサ10から計測された素子電流値に対して模擬的な劣化成分を付与し、前記劣化シミュレータ30に、前記A/Fセンサ10の素子電流値を出力し、前記劣化シミュレータ30が、前記A/Fセンサ10に所定の電圧を出力し、かつ前記ECU50に劣化成分が付与された電流を出力する方法において、 前記劣化シミュレータ30が、前記A/Fセンサ10の劣化シミュレーションを実行するために、前記A/Fセンサ10から出力される前記素子電流値の前記ECU50への出力を中断し、前記A/Fセンサ10の劣化成分が付与された電流を前記ECU50へ出力し、 前記劣化成分が付与された電流は所定の劣化成分が付与された電流である、 接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための方法。」 また、ア(ア)ないし(ウ)並びに図1及び図3の記載から、甲第2号証には以下の発明(以下「甲2発明2」という。)が記載されていると認められる。 「接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための故障シミュレータ30であって、前記故障シミュレータ30が、前記A/Fセンサ10の劣化シミュレーションを実行するために、前記A/Fセンサ10と前記ECU50との間に配置されており、前記劣化シミュレータ30に、前記A/Fセンサ10の素子電流値が出力されており、前記A/Fセンサ10に所定の電圧が、また前記ECU50に劣化成分が付与された電流が前記劣化シミュレータ30から出力されている形式のものにおいて 前記劣化シミュレータ30は、前記A/Fセンサ10から出力される前記素子電流値の前記ECU50への出力を中断し、前記A/Fセンサ10の劣化成分が付与された電流を前記ECU50へ出力し、 前記劣化成分が付与された電流は所定の劣化成分が付与された電流である、 接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための故障シミュレータ30。」 (2)本件訂正発明1について ア 甲第1号証を主引例とした場合の特許法第29条第2項違反の申立理由について (ア)本件訂正発明1 本件訂正発明1は、上記第3 1の【請求項1】に記載されたとおりのものである。 (イ)対比 本件訂正発明1と甲1発明1とを対比すると、甲1発明1における「酸素センサ22」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件訂正発明1における「広帯域ラムダセンサ(10)」に相当し、以下同様に、「劣化した場合の」は「機能不良時に」に、「ECU22」は「内燃機関の制御装置(14)」あるいは「制御装置(14)」に、「挙動を予測するための」は「故障検出機能を検査するための」に、「予測」は「検査」に、「劣化シミュレータ13」は「故障シミュレータ(12)」に、「劣化を模擬する」は「故障をシミュレーションする」に、「前記酸素センサ20から出力され前記ECU22に入力される信号を劣化目標に応じて可変」することは「前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間で交換された電気信号を意図的に変化させ」ることに、「酸素濃淡電圧Vs」は「ネルンスト電圧UNOmess(11)」に、「出力」は「供給」あるいは「アウトプット」に、「酸素ポンピング電流Ip」は「ポンプ電流IPSonde(15)」に、「一定となるように制御する」は「基づいて設定する」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明1における「前記酸素センサ20に出力された前記酸素ポンピング電流Ipを、劣化シミュレータ13によって、前記酸素センサ20から出力された酸素濃淡電圧Vsが一定となるように制御する」ことと、本件訂正発明1における「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」こととは、「広帯域ラムダセンサにアウトプットされたポンプ電流IPSondeを、故障シミュレータによって、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされたネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する」という限りにおいて一致する。 よって、本件訂正発明1と甲1発明1とは、 「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良時に内燃機関の制御装置の故障検出機能を検査するための方法であって、前記検査を、前記広帯域ラムダセンサと前記制御装置との間に配置された故障シミュレータによって実施し、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサの故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサと前記制御装置との間で交換された電気信号を意図的に変化させ、前記故障シミュレータに、前記広帯域ラムダセンサのネルンスト電圧UNOmessを供給し、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサにポンプ電流IPSondeを供給する方法において、 前記広帯域ラムダセンサにアウトプットされた前記ポンプ電流IPSondeを、故障シミュレータによって、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされたネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する、 接続された広帯域ラムダセンサの機能不良時に内燃機関の制御装置の故障検出機能を検査するための方法。」 という点で一致し、少なくとも次の点で相違する。 <相違点1> 本件訂正発明1においては、「故障シミュレータ(12)に、」「制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)を供給」し、「故障シミュレータ(12)が、」「制御装置(14)にネルンスト電圧UNOstell(13)を供給」し、「前記制御装置(14)が、前記ネルンスト電圧UNOstell(13)に基づいて前記ポンプ電流IPMSG(16)を演算して前記故障シミュレータ(12)へ供給」するものであり、また、「前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UNOmess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UNOstell(13)を前記制御装置(14)へ供給し、」 「前記ネルンスト電圧UNOstell(13)は所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)であ」り、さらに、「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされたネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する」ことに関して、「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」ことであるのに対し、 甲1発明1においては、劣化シミュレータ13に、ECU22のポンプ電流IPMSGを供給し、劣化シミュレータ13が、ECU22にネルンスト電圧UNOstellを供給し、ECU22が、ネルンスト電圧UNOstellに基づいてポンプ電流IPMSGを演算して劣化シミュレータ13へ供給するか不明であり、また、劣化シミュレータ13が、酸素センサ20の劣化を模擬するために、前記酸素センサ20から出力されるネルンスト電圧UNOmessのECU22への供給を中断し、前記酸素センサ20の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UNOstellを前記ECU22へ出力し、前記ネルンスト電圧UNOstellは所定のネルンスト電圧UNOstell、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstellであるか不明であり、さらに、「前記広帯域ラムダセンサにアウトプットされた前記ポンプ電流IPSondeを、故障シミュレータによって、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされたネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する」ことに関して、「前記酸素センサ20に出力された前記酸素ポンピング電流Ipを、劣化シミュレータ13によって、前記酸素センサ20から出力された酸素濃淡電圧Vsが一定となるように制御する」ことである点。(以下、「相違点1」という。) (ウ)判断 甲第1号証及び甲第2号証には、相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項のうち、「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」ことが記載も示唆もされておらず、また、かかる事項が当業者にとって自明であるともいえない。 したがって、本件訂正発明1は、甲1発明1並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 。 イ 甲第2号証を主引例とした場合の特許法第29条第2項違反の申立理由について (ア)本件訂正発明1 本件訂正発明1は、上記第3 1の【請求項1】に記載されたとおりのものである。 (イ)対比 本件訂正発明1と甲2発明1とを対比すると、甲2発明1における「A/Fセンサ10」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件発明1における「広帯域ラムダセンサ(10)」に相当し、以下同様に、「ECU50」は「制御装置(14)」に、「劣化シミュレータ30」は「故障シミュレータ(12)」に、「劣化シミュレーションを実行する」は「故障をシミュレーションする」に、「前記A/Fセンサ10から計測された素子電流値に対して模擬的な劣化成分を付与」することは「前記広帯域ラムダセンサ(10)と前記制御装置(14)との間で交換された電気信号を意図的に変化させ」ることに、「供給」は「出力」あるいは「アウトプット」に、それぞれ相当する。 また、甲2発明1における「接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための方法」あるいは「劣化状態とするための方法」と本件発明1における「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法」あるいは「検査」とは、「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する方法」という限りにおいて一致し、同様に、甲2発明1における「素子電流値」と本件発明1における「ネルンスト電圧UNOmess(11)」とは、「検出値」という限りにおいて一致し、甲2発明1における「所定の電圧」と本件発明1における「ポンプ電流IPSonde(15)」とは、「印加値」という限りにおいて一致し、甲2発明1における「劣化成分が付与された電流」と本件発明1における「ネルンスト電圧UNOstell(13)」あるいは「故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UNOstell(13)」とは、「故障想定値」という限りにおいて一致する。 よって、本件訂正発明1と甲2発明1とは、 「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する方法であって、前記方法を、前記広帯域ラムダセンサと前記制御装置との間に配置された故障シミュレータによって実施し、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサの故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサと前記制御装置との間で交換された電気信号を意図的に変化させ、前記故障シミュレータに、前記広帯域ラムダセンサの検出値を供給し、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサに印加値を供給し、かつ前記制御装置に故障想定値を供給する方法において、 前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサの故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされる前記検出値の前記制御装置への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサの故障想定値を前記制御装置へ供給し、 前記故障想定値は所定の故障想定値である、 接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する方法。」 という点で一致し、少なくとも次の点で相違する。 <相違点2-1> 「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する方法」に関して、本件訂正発明1においては「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障検出機能を検査するための方法」あるいは「検査」であるのに対し、甲2発明1においては、「接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための方法」あるいは「劣化状態とするための方法」である点(以下、「相違点2-1」という。)。 <相違点2-2> 「検出値」、「印加値」、「故障想定値」及び「前記故障シミュレータに、前記広帯域ラムダセンサの検出値を供給し、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサに印加値を供給し、かつ前記制御装置に故障想定値を供給する」ことに関して、本件訂正発明1においては、それぞれ「ネルンスト電圧UNOmess(11)」、「ポンプ電流IPSonde(15)」、「ネルンスト電圧UNOstell(13)」及び「前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)を供給し、前記故障シミュレータ(12)が、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)を供給し、かつ前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)を供給する」ことであるのに対し、甲2発明1においては、それぞれ「素子電流値」、「所定の電圧」、「劣化成分が付与された電流」及び「前記劣化シミュレータ30に、前記A/Fセンサ10の素子電流値を出力し、前記劣化シミュレータ30が、前記A/Fセンサ10に所定の電圧を出力し、かつ前記ECU50に劣化成分が付与された電流を出力する」ことである点(以下、「相違点2-2」という。)。 <相違点2-3> 本件訂正発明1においては、「前記制御装置(14)が、前記ネルンスト電圧UNOstell(13)に基づいて前記ポンプ電流IPMSG(16)を演算して前記故障シミュレータ(12)へ供給」するものであって、また「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」ことであるのに対し、 甲2発明1においては、かかる事項を備えるものか不明である点(以下、「相違点2-3」という。)。 (ウ)判断 事案に鑑み、相違点2-3について検討する。 甲第1号証及び甲第2号証には、「前記制御装置(14)が、前記ネルンスト電圧UNOstell(13)に基づいて前記ポンプ電流IPMSG(16)を演算して前記故障シミュレータ(12)へ供給」し、「前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)が、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の方法で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定される、 (A)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記故障シミュレータ(12)によって、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」ことに関し、記載も示唆もされておらず、また、かかる事項が当業者にとって自明であるともいえない。 したがって、上記相違点2-1及び2-2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2発明1並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ まとめ よって、請求項1に係る特許は、申立人の主張する理由により特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、取り消すことはできない。 (3)本件訂正発明2について ア 甲第1号証を主引例とした場合の特許法第29条第2項違反の申立理由について (ア)本件訂正発明2 本件訂正発明2は、上記第3 1の【請求項2】に記載されたとおりのものである。 (イ)対比・判断 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用しさらに限定するものであるから、少なくとも、相違点1において甲1発明1と相違する。 そして、上記(2)ア(ウ)で検討したように、甲第1号証及び甲第2号証には、相違点1に係る本件訂正発明2の発明特定事項は記載も示唆もされておらず、また、かかる事項が当業者にとって自明であるともいえない。 したがって、本件訂正発明2は、甲1発明1並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 イ 甲第2号証を主引例とした場合の特許法第29条第2項違反の申立理由について (ア)本件訂正発明2 本件訂正発明2は、上記第3 1の【請求項2】に記載されたとおりのものである。 (イ)対比・判断 本件訂正発明2は、本件訂正発明1を引用しさらに限定するものであるから、少なくとも、相違点2-3において甲2発明1と相違する。 そして、上記(2)イ(ウ)で検討したように、甲第1号証及び第2号証には、相違点2-3に係る本件訂正発明2の発明特定事項は記載も示唆もされておらず、また、かかる事項が当業者にとって自明であるともいえない。 したがって、本件訂正発明2は、甲2発明1並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ まとめ よって、請求項2に係る特許は、申立人の主張する理由により特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、取り消すことはできない。 (4)本件訂正発明5について ア 甲第1号証を主引例とした場合の特許法第29条第2項違反の申立理由について (ア)本件訂正発明5 本件訂正発明5は、上記第3 1の【請求項5】に記載されたとおりのものである。 (イ)対比 本件訂正発明5と甲1発明2とを対比すると、甲1発明2における「酸素センサ20」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件発明5における「広帯域ラムダセンサ(10)」に相当し、以下同様に、「劣化した場合の」は「機能不良時に」に、「ECU22」は「内燃機関の制御装置(14)」あるいは「制御装置(14)」に、「挙動を予測するための」は「故障機能検出を検査するための」に、「劣化シミュレータ13」は「故障シミュレータ(12)」に、「劣化を模擬する」は「故障をシミュレーションする」に、「酸素濃淡電圧Vs」は「ネルンスト電圧UNOmess(11)」に、「出力」は「供給」あるいは「アウトプット」に、「酸素ポンピング電流Ip」は「ポンプ電流IPSonde(15)」に、それぞれ相当する。 また、甲1発明2における「前記劣化シミュレータ13は、前記酸素センサ20に出力された前記酸素ポンピング電流Ipを、前記酸素センサ20から出力された前記酸素濃淡電圧Vsが一定となるように制御」することと、本件訂正発明5における「前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存」することとは、「前記故障シミュレータは、前記広帯域ラムダセンサにアウトプットされた前記ポンプ電流IPSondeを、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する」という限りにおいて一致する。 よって、本件訂正発明5と甲1発明2とは、 「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良時に内燃機関の制御装置の故障機能検出を検査するための故障シミュレータであって、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサの故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサと前記制御装置との間に配置されており、前記故障シミュレータに、前記広帯域ラムダセンサのネルンスト電圧UNOmessが供給されており、前記広帯域ラムダセンサにポンプ電流IPSondeが、前記故障シミュレータから供給されている形式のものにおいて、 前記故障シミュレータは、前記広帯域ラムダセンサにアウトプットされた前記ポンプ電流IPSondeを、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する、 接続された広帯域ラムダセンサの機能不良時に内燃機関の制御装置の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ。」という点で一致し、少なくとも次の点で相違する。 <相違点3> 本件訂正発明5においては、「故障シミュレータ(12)に、」「制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)が供給されており、」「制御装置(14)にネルンスト電圧UNOstell(13)が」「故障シミュレータ(12)から供給」されており、また、「前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされる前記ネルンスト電圧UNOmess(11)の前記制御装置(14)への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサ(10)の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UNOstell(13)を前記制御装置(14)へ供給」し、「前記ネルンスト電圧UNOstell(13)が所定のネルンスト電圧UNOstell(13)、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstell(13)であ」り、さらに、「前記故障シミュレータは、前記広帯域ラムダセンサにアウトプットされた前記ポンプ電流IPSondeを、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する」ことに関して、「前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」のに対し、 甲1発明2においては、劣化シミュレータ13に、ECU22のポンプ電流IPMSGが出力されており、ECU22にネルンスト電圧UNOstellが劣化シミュレータ13から供給されており、また、劣化シミュレータ13は、酸素センサ20からアウトプットされるネルンスト電圧UNOmessのECU22への供給を中断し、酸素センサ20の故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UNOstellを前記ECU22へ供給し、ネルンスト電圧UNOstellが所定のネルンスト電圧UNOstell、または時間に関連して変化するネルンスト電圧UNOstellであるか不明であり、さらに、「前記故障シミュレータは、前記広帯域ラムダセンサにアウトプットされた前記ポンプ電流IPSondeを、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmessに基づいて設定する」ことに関して、「前記劣化シミュレータ13は、前記酸素センサ20に出力された前記酸素ポンピング電流Ipを、前記酸素センサ20から出力された前記酸素濃淡電圧Vsが一定となるように制御」することである点(以下、「相違点3」という。)。 (ウ)判断 甲第1号証及び甲第2号証には、相違点3に係る本件訂正発明5の発明特定事項のうち、「前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UN0stell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定」することに関し、記載も示唆もされておらず、また、かかる事項が当業者にとって自明であるともいえない。 したがって、本件発明5は、甲1発明2並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 イ 甲第2号証を主引例とした場合の特許法第29条第2項違反の申立理由について (ア)本件訂正発明5 本件訂正発明5は、上記第3 1の【請求項5】に記載されたとおりのものである。 (イ)対比 本件訂正発明5と甲2発明2とを対比すると、甲2発明2における「A/Fセンサ10」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本件訂正発明5における「広帯域ラムダセンサ(10)」に相当し、以下同様に、「故障シミュレータ30」は「故障シミュレータ(12)」に、「劣化シミュレーションを実行する」は「故障をシミュレーションする」に、「ECU50」は「制御装置(14)」に、「出力」は「供給」あるいは「アウトプット」に、それぞれ相当する。 また、甲2発明2における「接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための故障シミュレータ30」と本件訂正発明5における「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良時に内燃機関の制御装置(14)の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ(12)」とは、「接続された広帯域ラムダセンサ(10)の機能不良を模擬的に再現する故障シミュレータ(12)」という限りにおいて一致し、同様に、甲2発明2における「素子電流値」と本件訂正発明5における「ネルンスト電圧UNOmess(11)」とは、「検出値」という限りにおいて一致し、甲2発明2における「所定の電圧」と本件訂正発明5における「ポンプ電流IPSonde(15)」とは、「印加値」という限りにおいて一致し、甲2発明2における「劣化成分が付与された電流」と本件訂正発明5における「ネルンスト電圧UNOstell(13)」あるいは「故障を想定した際のネルンスト電圧であるネルンスト電圧UNOstell(13)」とは、「故障想定値」という限りにおいて一致する。 よって、本件訂正発明5と甲2発明2とは、 「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する故障シミュレータであって、前記故障シミュレータが、前記広帯域ラムダセンサの故障をシミュレーションするために、前記広帯域ラムダセンサと前記制御装置との間に配置されており、前記故障シミュレータに、前記広帯域ラムダセンサの検出値が供給されており、前記広帯域ラムダセンサに印加値が、また前記制御装置に故障想定値が前記故障シミュレータから供給されている形式のものにおいて、 前記故障シミュレータは、前記広帯域ラムダセンサからアウトプットされる前記検出値の前記制御装置への供給を中断し、前記広帯域ラムダセンサの故障想定値を前記制御装置へ供給し、 前記故障想定値は所定の故障想定値である、 接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する故障シミュレータ。」 という点で一致し、少なくとも次の点で相違する。 <相違点4-1> 「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良を模擬的に再現する故障シミュレータ」に関して、本件訂正発明5においては「接続された広帯域ラムダセンサの機能不良時に内燃機関の制御装置の故障機能検出を検査するための故障シミュレータ」であるのに対し、甲2発明2においては、「接続されたA/Fセンサ10のセンサ出力を模擬的に劣化状態とするための故障シミュレータ30」である点(以下、「相違点4-1」という。)。 <相違点4-2> 「検出値」、「印加値」、「故障想定値」及び「前記故障シミュレータに、前記広帯域ラムダセンサの検出値が供給されており、前記広帯域ラムダセンサに印加値が、また前記制御装置に故障想定値が前記故障シミュレータから供給されている」ことに関して、本件訂正発明5においてはそれぞれ「ネルンスト電圧UNOmess(11)」、「ポンプ電流IPSonde(15)」、「ネルンスト電圧UNOstell(13)」及び「前記故障シミュレータ(12)に、前記広帯域ラムダセンサ(10)のネルンスト電圧UN0mess(11)、および前記制御装置(14)のポンプ電流IPMSG(16)が供給されており、前記広帯域ラムダセンサ(10)にポンプ電流IPSonde(15)が、また前記制御装置(14)にネルンスト電圧UN0stell(13)が前記故障シミュレータ(12)から供給されている」ことであるのに対し、甲2発明2においては、それぞれ「素子電流値」、「所定の電圧」、「劣化成分が付与された電流」及び「前記劣化シミュレータ30に、前記A/Fセンサ10の素子電流値が出力されており、前記A/Fセンサ10に所定の電圧が、また前記ECU50に劣化成分が付与された電流が前記劣化シミュレータ30から出力されている」ことである点(以下、「相違点4-2」という。)。 <相違点4-3> 本件訂正発明5においては、「前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UNOstell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」ものであるのに対し、 甲2発明2においては、かかる事項を備えるものか不明である点(以下、「相違点4-3」という。)。 (ウ)判断 事案に鑑み、相違点4-3について検討する。 甲第1号証及び甲第2号証には、「前記故障シミュレータ(12)は、前記制御装置(14)によって前記ネルンスト電圧UNOstell(13)に基づいて演算された前記ポンプ電流IPMSG(16)を供給され、 前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、つぎの(A)から(C)のいずれの方法でも設定可能であり、(A)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、(B)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)、及び(C)の処理で得られる前記ポンプ電流IPSonde(15)のうちの、シミュレートしようとする故障に応じた前記ポンプ電流IPSonde(15)が設定し、 (A)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記エンジン制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に一致させる、 (B)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記広帯域ラムダセンサ(10)からアウトプットされた前記ネルンスト電圧UNOmess(11)に基づいて設定する、 (C)前記故障シミュレータ(12)は、前記広帯域ラムダセンサ(10)にアウトプットされた前記ポンプ電流IPSonde(15)を、前記制御装置(14)からアウトプットされた前記ポンプ電流IPMSG(16)に依存して設定する」ことに関し、記載も示唆もされておらず、また、かかる事項が当業者にとって自明であるともいえない。 したがって、上記相違点4-1及び4-2について検討するまでもなく、本件訂正発明5は、甲2発明2並びに甲第1号証及び甲第2号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 ウ まとめ よって、請求項5に係る特許は、特許異議申立人の主張する理由により特許法第29条第2項の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、取り消すことはできない。 [特許法第36条第6項第1号について] (1)本件訂正発明1について 前記訂正事項1により、本件訂正発明1は発明の詳細な説明に記載したものとなったから、請求項1に係る特許は、特許異議申立人の主張する理由により特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第4号に該当するものではないから、取り消すことはできない。 (2)本件訂正発明5について 前記訂正事項3により、本件訂正発明5は発明の詳細な説明に記載したものとなったから、請求項5に係る特許は、特許異議申立人の主張する理由により特許法第36条第6項第1号の規定に違反してされたものとすることはできず、同法第113条第4号に該当するものではないから、取り消すことはできない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2及び5に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項4に係る特許は、訂正により、削除されたため、本件特許の請求項4に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2017-700819

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