特許異議申立
2017-700776
ナビゲーションシステム及びコンピュータプログラム
- 審判番号
- 2017-700776
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2013-201129
- 登録番号
- 特許第6081331号(P6081331)
- 請求日
- 2017年08月10日
- 審決日
- 2017年10月19日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】アルパイン株式会社
- 【権利者代理人】佐藤 克志
- 【異議申立人】特許業務法人 にじいろ特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 佐々木 芳枝
- 審判官 松下 聡
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1651.121-Y (G01C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6081331号発明「ナビゲーションシステム及びコンピュータプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6081331号の請求項1ないし19に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6081331号の請求項1ないし19に係る特許(以下、「請求項1に係る特許」ないし「請求項19に係る特許」という。)についての出願(以下、「本件出願」という。)は、平成25年9月27日に出願されたものであって、平成29年1月27日に設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年8月10日に特許業務法人にじいろ特許事務所(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
請求項1ないし19の特許に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明19」という。)は、それぞれ、本件特許の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
現在位置を算出すると共に、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステムであって、
目的地として設定された地点を過去目的地地点として記憶する目的地履歴記憶部と、
目的地履歴部に記憶されている前記過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した、前記所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を前記地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図を表示する目的地履歴地図表示部と、
前記目的地地図表示部が表示した目的地履歴地図上で前記過去目的地マークの選定を受け付け、選定された前記過去目的地マークに対応する過去目的地地点の選択を受け付ける地点選択受付部とを有し、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図の縮尺を、前記所定条件を満たす過去目的地地点の分布範囲の大きさに応じて、前記所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を当該地図中に含むように変更することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーションシステムであって、
前記目的地履歴部に記憶されている所定条件を満たす過去目的地地点とは、前記目的地履歴部に記憶されている全ての過去目的地地点であることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビゲーションシステムであって、
各地理的区域毎に、前記現在位置が当該地理的区域を出入りした回数を当該地理的区域の走行頻度として記憶する走行頻度記憶部を有し、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図を、前記走行頻度記憶部に記憶されている各地理的区域の走行頻度に応じて、走行頻度の大きい前記地理的区域を走行頻度の小さい前記地理的区域よりも強調して表した地図とすることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーションシステムであって、
前記走行頻度記憶部は、同一の地理的範囲について重複して設定した大きさの異なる複数種類の地理的区域各々について、各地理的区域の前記走行頻度を記憶し、
前記目的地履歴地図表示部は、前記地図内の地理的区域の数が所定範囲内になる種類の地理的区域を現用地理的区域に設定し、前記目的地履歴地図に含める地図を、前記走行頻度記憶部に記憶されている各現用地理的区域の走行頻度に応じて、走行頻度の大きい前記現用地理的区域を走行頻度の小さい前記現用地理的区域よりも強調して表した地図とすることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のナビゲーションシステムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図を、前記現在位置を中心とした地図とすることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1、2、3または4記載のナビゲーションシステムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図の範囲が世界全域で無い場合には、当該地図を、前記現在位置を経緯度の両方向について中心とした地図とし、前記目的地履歴地図に含める地図の範囲が世界全域である場合には、当該地図を、経度が前記現在位置の経度に等しく、緯度が0である地点を中心とする地図とすることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載のナビゲーションシステムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図の縮尺を、前記所定条件を満たす過去目的地地点の分布範囲の大きさに応じて、前記所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を当該地図中に含み、前記過去目的地地点の分布範囲の大きさまたは当該大きさの程度に応じて、前記地図の縮尺が小さくなるように変更することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載のナビゲーションシステムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図として、さらに、前記地図上で現在位置を表す現在位置マークを含めた前記目的地履歴地図を表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のナビゲーションシステムであって、
前記地点選択受付部は、前記目的地地図表示部が表示した前記目的地履歴地図上で指定された位置に最も近い位置に配置されている前記過去目的地マークの選定を受け付けると共に、選定された前記過去目的地マークに対応する過去目的地地点の選択を受け付けることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のナビゲーションシステムであって、
前記地点選択受付部は、前記目的地地図表示部が表示した前記目的地履歴地図上で指定された位置に所定レベル以上近接する位置に配置されている前記過去目的地マークの選定を受け付け、選定された前記過去目的地マークが複数存在する場合には、当該存在する複数の過去目的地マーク対応する過去目的地地点の一覧を表示し、当該一覧中で指定された過去目的地地点の選択を受け付けることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のナビゲーションシステムであって、
前記地点選択受付部は、前記目的地地図表示部が表示した目的地履歴地図上で指定された線に所定レベル以上近接する位置に配置されている前記過去目的地マークの選定を受け付け、選定された前記過去目的地マークが複数存在する場合には、当該存在する複数の過去目的地マーク対応する過去目的地地点の一覧を表示し、当該一覧中で指定された過去目的地地点の選択を受け付けることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載のナビゲーションシステムであって、
前記地点選択受付部は、前記目的地地図表示部が表示した目的地履歴地図上で指定された閉図形内に配置されている前記過去目的地マークが複数存在する場合には、当該存在する複数の過去目的地マーク対応する過去目的地地点の一覧を表示し、当該一覧中から選定された過去目的地地点の選択を受け付けることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項13】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12記載のナビゲーションシステムであって、
前記地点選択受付部が選択を受け付けた過去目的地地点を目的地に設定する目的地設定部を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項14】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13記載のナビゲーションシステムであって、
前記目的地履歴記憶部は、WAN上のサーバに配置され、当該ナビゲーションシステムのユーザが使用する複数のナビゲーションシステムによって共用されることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項15】
コンピュータによって読み取られ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、
前記コンピュータを、
現在位置を算出する現在位置算出部と、
設定された目的地までの経路案内を経路案内部と、
目的地として設定された地点を過去目的地地点として記憶する目的地履歴記憶部と、
目的地履歴記憶部に記憶されている過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した、前記所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を前記地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図を表示する目的地履歴地図表示部と、
前記目的地地図表示部が表示した目的地履歴地図上で前記過去目的地マークの選定を受け付け、選定された前記過去目的地マークに対応する過去目的地地点の選択を受け付ける地点選択受付部として機能させるコンピュータプログラムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図の縮尺を、前記所定条件を満たす過去目的地地点の分布範囲の大きさに応じて、前記所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を当該地図中に含むように変更することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
請求項15記載のコンピュータプログラムであって、
前記目的地履歴記憶部に記憶されている所定条件を満たす過去目的地地点とは、前記目的地履歴記憶部に記憶されている全ての過去目的地地点であることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項15または16記載のコンピュータプログラムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図を、前記現在位置を中心とした地図とすることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項15または16記載のコンピュータプログラムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図に含める地図の範囲が世界全域で無い場合には、当該地図を、前記現在位置を経緯度の両方向について中心とした地図とし、前記目的地履歴地図に含める地図の範囲が世界全域である場合には、当該地図を、経度が前記現在位置の経度に等しく、緯度が0である地点を中心とする地図とすることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項19】
請求項15、16、17または18記載のコンピュータプログラムであって、
前記目的地履歴地図表示部は、前記目的地履歴地図として、さらに、前記地図上で現在位置を表す現在位置マークを含めた前記目的地履歴地図を表示することを特徴とするコンピュータプログラム。」
第3 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人は、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証(以下、「甲1」ないし「甲5」という。)を提出し、次の申立理由を主張している。
1.各甲号証
甲1:特開2007-298338号公報
甲2:特開平9-292262号公報
甲3:特開平11-83531号公報
甲4:特開2012-163738号公報
甲5:特開2006-300522号公報
2.申立理由
本件発明1ないし19は、甲1ないし甲5に記載された発明に基いて、それぞれ当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1ないし19に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであって、特許法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
[1]甲1ないし甲5の記載等
1.甲1の記載等
(1)甲1の記載
甲1には、「ナビゲーション装置」に関して、図面とともに概略以下の記載がある。(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)
1a)「【0001】
本発明は、設定された目的地までの地図を表示して車両を目的地まで案内するナビゲーション装置に関する。」(段落【0001】)
1b)「【0007】
本発明の一実施の形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されて使用されるものであり、車両の運転者であるユーザによって目的地が設定されると、その目的地までの推奨経路を探索し、探索された推奨経路に従って自車両を目的地まで案内する。
【0008】
図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD-ROM19が装填される。制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行する。これにより、たとえば目的地の設定、推奨経路の探索、地図の表示などの様々な処理や制御がナビゲーション装置1において行われる。
【0009】
なお、ROM12には記憶されているデータ内容を更新可能なフラッシュメモリが用いられており、制御プログラムの他にも、後で説明する登録地の設定情報や各登録地の履歴情報などが記憶されている。これらの内容は、新たな登録地が設定されたり、登録地のいずれかが目的地として選択されたりすることにより、適宜更新される。
【0010】
現在地検出装置14は、自車両の現在地すなわち自車位置を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロセンサ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等の各種センサ類からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出される自車位置に基づいて、後述する経路探索開始点を決定したり、地図上に自車位置を表示したりすることができる。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、地図を表示するための地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD-ROM19に記録されている地図データなどに基づいて、制御回路11により作成される。作成された画像データが制御回路11から画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に地図が表示される。
【0012】
入力装置17は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したりするための各種入力スイッチを有している。この入力装置17は、操作パネルやリモコン、表示モニタ16と一体化したタッチパネルなどによって実現される。ユーザは、入力装置17を操作して、住所や電話番号、施設名称を入力したり、特定の地点を地図上に指定したり、後述するように予め登録された登録地のいずれかを選択したりすることにより、目的地を設定することができる。」(段落【0007】ないし【0012】)
1c)「【0016】
ユーザが入力装置17を操作して前述のように目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別して地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。」(段落【0016】)
1d)「【0017】
ナビゲーション装置1が表示モニタ16に表示する地図画面の例を図2に示す。この地図画面では、自車位置を示す自車位置マーク20と、登録地を示す登録地アイコン21、22および23が地図上に表示されている。登録地アイコン21~23は、いずれも同じ図柄を有しているが、色合いはそれぞれ異なる。すなわち、登録地アイコン21は薄い色合いで表示されており、登録地アイコン23は濃い色合いで表示される。登録地アイコン22は、これらの中間の色合いで表示される。
【0018】
上記のような登録地アイコン21~23の色合いの違いは、登録地ごとの選択回数、すなわち各登録地が過去に目的地として選択された回数の違いを表している。たとえば、選択回数が10回未満である登録地については、薄い色合いの登録地アイコン21が表示される。一方、選択回数が10回以上20回未満である登録地については、登録地アイコン21よりも濃い色合いの登録地アイコン22が表示される。選択回数が20回以上である登録地については、さらに濃い色合いの登録地アイコン23が表示される。このようにして、登録地ごとの選択回数に応じて登録地アイコンの表示形態を変化させる。」(段落【0017】及び【0018】)
1e)「【0022】
図4は、図2の地図画面においていずれかの登録地アイコン(ここでは登録地アイコン22とする)が選択されたときに表示される画面例である。ユーザが入力装置17を用いたカーソル操作やタッチパネル操作によって登録地アイコン22を選択すると、それに応じて最初に図4(a)のような画面が表示される。この画面には、選択された登録地アイコン22に対して、「目的地設定」または「履歴情報表示」のいずれかをユーザに選択させるためのダイアログウインドウ30が表示されている。
【0023】
図4(a)の画面において「目的地設定」が選択された場合、選択された登録地アイコン22に対応する登録地が目的地に設定され、その登録地までの推奨経路が探索される。このようにすることで、ユーザは登録地のいずれかを目的地として選択することができる。一方、「履歴情報表示」が選択された場合は、選択された登録地アイコン22に対応する登録地について、その登録地が過去に目的地として選択されたときの履歴を表した履歴情報が表示される。」(段落【0022】及び【0023】)
1f)「【0027】
登録地を設定する際、最初のステップS110では、登録地として登録する地点を地図上で指定する。たとえば、ユーザが地図上の任意の地点をカーソルやタッチパネル操作によって指定したり、あるいは任意の施設の名称や住所、電話番号などを指定したりすることにより、登録地とする地点が指定される。次のステップS120では、登録地アイコンの選択を行う。ナビゲーション装置1には予め様々なデザインの登録地アイコンが記憶されており、ユーザがその中から登録地の種類などに応じて適当なデザインの登録地アイコンを選択することにより、登録地アイコンが選択される。
【0028】
ステップS130では、登録地の設定を行う。ここでは、ステップS110で指定された登録地と、ステップS120で選択された登録地アイコンとを組み合わせてフラッシュメモリであるROM12に記憶することにより、登録地の設定を行う。ステップS130を実行したら、図5(a)のフローチャートを終了する。このようにして登録地が設定される。なお、複数の登録地が設定される場合、以上説明したような処理が各登録地に対してそれぞれ実行される。」(段落【0027】及び【0028】)
1g)「【0029】
次に、図5(b)のフローチャートについて説明する。登録地アイコンを地図上に表示する際、最初のステップS210では、地図の表示範囲内に登録地があるか否かを判定する。登録地がある場合は次のステップS220へ進み、その登録地についての履歴情報をROM12から読み出す。
【0030】
ステップS230では、ステップS220で読み出した履歴情報に基づいて、当該登録地における選択回数または目的地到達率を算出する。言い換えると、当該登録地が過去に目的地として選択された回数、または、当該登録地が過去に目的地として選択されたときの目的地への到達率のいずれかを算出する。このとき選択回数と目的地到達率のどちらを算出するかは、登録地アイコンの表示形態を何に基づいて変化させるかによって決まる。すなわち、登録地ごとの選択回数に応じて登録地アイコンの表示形態を変化させるのであれば、選択回数を算出する。一方、登録地ごとの目的地到達率に応じて登録地アイコンの表示形態を変化させるのであれば、目的地到達率を算出する。なお、登録地アイコンの表示形態を何に基づいて変化させるかは、予め決められていてもよいし、ユーザが選択できるようにしてもよい。
【0031】
ステップS240では、ステップS230で算出された選択回数または目的地到達率に基づいて、登録地アイコンの表示形態を設定する。ここでは、図2または図3の例で説明したようにして、算出された選択回数または目的地到達率が所定のしきい値と比較され、その比較結果に応じて、ステップS120で選択された登録地アイコンの色合いや形状が設定される。
【0032】
ステップS250では、当該登録地を表す登録地アイコンを、ステップS240で設定された表示形態で地図上に表示する。ステップS250を実行したら、図5(b)のフローチャートを終了する。このようにして登録地アイコンが表示される。
【0033】
なお、複数の登録地が地図範囲内にある場合、以上説明したような処理が各登録地に対してそれぞれ実行される。これにより、各登録地についての選択回数または目的地到達率が登録地ごとに算出され、算出された登録地ごとの選択回数または目的地到達率に応じて、複数の登録地アイコンがそれぞれ異なる表示形態で表示される。」(段落【0029】ないし【0033】)
1h)「【0034】
次に、図5(c)のフローチャートについて説明する。登録地の中から目的地を選択する際、最初のステップS310では、登録地の選択を行う。ここでは、ユーザの操作に応じて、設定されている登録地のうちのいずれかを、目的地に設定する登録地として選択する。登録地が選択されたら、次のステップS320では、図4(a)に示したダイアログウインドウ30を表示する。
【0035】
ステップS330では、ステップS320で表示したダイアログウインドウにおいて、「目的地設定」または「履歴情報表示」のどちらがユーザによって選択されたかを判定する。「目的地設定」の方が選択された場合はステップS340へ進み、「履歴情報表示」が選択された場合はステップS360へ進む。以下、ステップS340へ進んだ場合から先に説明する。
【0036】
ステップS340では、ステップS310で選択された登録地を目的地に設定する。ステップS350では、ステップS340で設定した目的地までの推奨経路を探索する。ステップS350を実行したら図5(c)のフローチャートを終了する。その後は、探索された推奨経路に従って目的地までのルート案内を行う。このようにして登録地の中から目的地が選択される。
【0037】
次にステップS360へ進んだ場合について説明する。ステップS360では、ステップS310で選択された目的地について図4(b)に示した履歴情報ウィンドウ31を表示することにより、選択された登録地に関する履歴情報を表示する。ステップS360を実行したら図5(c)のフローチャートを終了する。このようにして登録地の履歴情報が表示される。
【0038】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏することができる。
(1)ROM12に記憶された履歴情報を読み出し(ステップS220)、その履歴情報に表された過去にその登録地が選択されたときの履歴に応じて、登録地アイコンの表示形態を設定する(ステップS240)。こうして設定された表示形態で登録地アイコンを表示する(ステップS250)ことにより、登録地アイコンの表示形態を変化させることとした。このようにしたので、登録地アイコンの表示形態の違いにより、登録地を目的地として選択する際の目安となる情報をユーザに提示することができる。
【0039】
(2)地図の表示範囲内にある登録地について選択回数または目的地到達率をそれぞれ算出し(ステップS230)、算出された選択回数または目的地到達率に基づいて、登録地アイコンの表示形態をステップS240において設定することにより、登録地アイコンの表示形態を変化させるとした。このようにしたので、登録地アイコンの表示形態を確実かつ容易に決定することができる。
【0040】
(3)選択された登録地について、過去にその登録地が選択されたときの履歴情報を表示する(ステップS360)こととしたので、さらに詳しい情報をユーザに提示することができる。」(段落【0034】ないし【0040】)
(2)甲1発明
上記(1)及び図1ないし図5の記載を総合すると、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「自車位置を検出すると共に、設定された目的地までのルート案内を行うナビゲーション装置であって、
ユーザが登録地を設定し、登録地が過去に目的地として選択されたときの履歴情報を記憶するROM12と、
地図の表示範囲内の登録地を表し、登録地ごとの過去に目的地として選択された選択回数に応じて異なる表示形態で表示する登録地アイコンを地図上に表示する表示モニタ16と、
表示モニタ16が表示した地図上で登録地アイコンの選択を受け付け、選定された登録地アイコンに対応する登録地を目的地に設定する入力装置17とを有する、
ナビゲーション装置。」
2.甲2の記載等
(1)甲2の記載
甲2には「周辺施設検索表示方法及び誘導経路の目的地設定方法」に関して、図面とともに概略以下の記載がある。
2a)「【請求項1】 車載用ナビゲーション装置による周辺施設検索表示方法において、
ユーザが検索基点及び検索すべき施設のジャンルを指定すると、前記検索基点を中心とした検索範囲内に存在する指定されたジャンルの施設を検索し、
前記検索基点と検索した全ての施設とが1画面に入る縮尺で地図画像を表示することを特徴とする周辺施設検索表示方法。
【請求項2】 前記検索した施設は前記検索基点から近い順に番号を付けて前記地図画像に表示することを特徴とする請求項1に記載の周辺施設検索表示方法。
【請求項3】 検索数が予め設定された数に到達するまで検索範囲を段階的に拡大して前記指定されたジャンルの施設を検索することを特徴とする請求項1又は2に記載の周辺施設検索表示方法。
【請求項4】 車載用ナビゲーション装置による周辺施設への誘導経路の目的地設定方法において、
ユーザが検索基点及び検索すべき施設のジャンルを指定すると、前記検索基点を中心とした検索範囲内に存在する指定されたジャンルの施設を検索し、
前記検索基点と検索した全ての周辺施設とが1画面に入る縮尺で地図画像を表示し、
前記地図画像表示画面、前記地図画像の拡大表示画面又は検索した施設のリスト表示画面のいずれかの画面でユーザが特定の施設を選択すると、選択された施設を誘導経路探索の目的地として設定することを特徴とする誘導経路の目的地設定方法。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項4】)
2b)「【0019】まず、ナビゲーション装置に電源を投入した状態又は誘導経路に沿って最終目的地に向けて移動しているときにユーザが周辺施設検索モードを指定すると、図2に示すように、ディスプレイ画面上に車両の現在位置を中心とした地図画像が表示される(ステップ101,102)。このとき、カーソル21は車両の現在位置にある。ユーザは、必要に応じて操作部13を操作し地図画像をスクロールさせて、カーソル21を所望の位置に移動させた後、画面上の周辺施設検索ボタン22を押す。これにより、CPU1は、カーソル位置を検索基点としてメモリ4に登録する(ステップ103)。
【0020】その後、ナビゲーション装置は、図3に示すようにディスプレイ画面に検索メニューを表示する(ステップ104)。この検索メニューは、1画面に例えば8つのジャンルが表示されたボタン23と上下矢印ボタン24,25とが描画されていて、上下矢印ボタン24,25を押すと次の8つのジャンルが表示される。次に、ユーザが所望のジャンルを選択しそのジャンルのボタン23を押す(ステップ105)と、CPU1はCD-ROM11からそのジャンルの施設のデータを読み出してメモリ4に格納する。そして、CPU1は、例えば検索範囲を検索基点を中心とする半径5kmの範囲とし、この範囲内に存在する施設を検索する(ステップ106)。この場合に、検索数が20に満たない場合は検索範囲を10kmとし、それでも検索数が20に満たない場合は検索範囲を15kmというように検索範囲を例えば5kmづつ増加させて、検索数が20になるまで、又は検索範囲が100kmになるまで検索する。
【0021】このようにして周辺施設を検索した後、図4に示すように、CPU1は検索した周辺施設を検索基点に近い順からリストにしてディスプレイ画面に表示する(ステップ107)。この場合、画面には探索した複数の施設のうち、近いものから順に5つの施設がボタン31とともに表示され、中央部のボタン31はカーソル(太枠)26に囲まれていて選択された状態になっている。ユーザが、下矢印ボタン25を押すことによりカーソル26は下方のボタン31に移動し、カーソル26が最下位のボタン31までくると次に表示がスクロールして6番目以降の施設が表示される。
【0022】その後、ステップ108に進み、ユーザが所望の施設のボタン31を押すと、ステップ115に進んでその施設が誘導経路の目的地として設定される。一方、ユーザが画面表示された地図ボタン27を押すとステップ109に進む。ステップ109では、図5に示すように、CPU1は検索基点を中心として検索した全ての施設が画面に入る大きさでディスプレイ装置15に地図画像を表示し、検索した全ての施設を近いものから順に1、2、、…20というように数字付きで画面に表示する(但し、図5では、9~19の施設の図示を省略している)。例えば、検索基点及び検索した施設の緯度及び経度から、最も離れた施設間の距離(又は検索基点と施設との間の距離)を求め、両者の距離が1.25km以下のときは 1/12500 、2.5km以下のときは 1/25000 、5km以下のときは 1/50000 、10km以下のときは 1/100000、25km以下のときは 1/250000、…というように予め設定された縮尺で地図画像を表示する。」(段落【0019】ないし【0022】)
2c)「【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、検索基点及び検索した全ての施設が1画面に入る縮尺で地図画像を表示するとともに、前記検索基点及び検索した全ての施設をこの地図画像に表示するので、ユーザは検索基点とその周辺の施設との位置関係を一目で把握することができ、進行方向に沿った最適な施設を容易に選択することができる。また、ユーザは、これから進むべき進路等を考慮して最適な周辺施設を選択できるので、最終目的地への誘導経路から外れるなどの無駄な時間を省くことができる。」(段落【0028】)
(2)甲2技術
上記(1)及び図1ないし図5の記載を総合すると、甲2には次の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されている。
「ユーザが検索基点及び検索すべき施設のジャンルを指定すると、検索基点を中心とした検索範囲内に存在する指定されたジャンルの周辺施設を検索し、検索基点と検索した全ての施設とが1画面に入る縮尺で地図画像をディスプレイ装置15に表示することにより、ユーザは検索基点と周辺施設との位置関係を一目で把握することができるようにする技術。」
3.甲3の記載等
(1)甲3の記載
甲3には「情報提供装置及び情報提供プログラムを記録した記録媒体」に関して、図面とともに概略以下の記載がある。
3a)「【請求項1】 所定の位置検出手段によって位置が検出され、且つ特定の検出対象の移動によって生成される複数の位置情報を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力された複数の位置情報に基づいて、特定の広さを有する領域毎に、その領域と前記検出対象との関わり具合を、親密度として求める親密度計算手段と、
前記親密度に応じた情報を提供する情報提供手段を設けたことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】 請求項1記載の情報提供装置において、前記親密度計算手段が、時系列に並ぶ複数の位置情報に基づいて、前記検出対象の各々の領域に対する通過回数を求め、該通過回数に応じて、前記親密度を算出することを特徴とする情報提供装置。
【請求項3】 請求項2記載の情報提供装置において、前記親密度計算手段が、予め定めた複数の領域に対する前記通過回数の総数と、特定の領域に対する前記通過回数に応じて、前記特定の領域に関する前記親密度を算出することを特徴とする情報提供装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】ないし【請求項3】)
3b)「【0028】請求項3は、請求項2記載の情報提供装置において、前記親密度計算手段が、予め定めた複数の領域に対する前記通過回数の総数と、特定の領域に対する前記通過回数に応じて、前記特定の領域に関する前記親密度を算出することを特徴とする。記憶装置の記憶容量に余裕がある場合、位置情報を収集する期間が延びるにつれて、全ての領域に対する通過回数の総数(全体の情報量)が増え、各領域の通過回数も増大する。」(段落【0028】)
3c)「【0071】ステップS2では、領域幅入力部175の状態を読みとり、領域幅の変更指示の有無を調べる。ユーザは、領域幅の変更を希望する場合には、領域幅入力部175を操作することによって、領域幅の変更指示を入力できる。領域幅の変更指示がなければ、処理はステップS2からS3を通ってステップS5に進む。領域幅の変更指示が入力されると、ステップS3からステップS4に進む。」(段落【0071】)
(2)甲3技術
上記(1)及び図1ないし図37の記載を総合すると、甲3には次の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されている。
「検出対象の各々の領域に対する通過回数を求め、通過回数に応じて親密度を算出する技術。」
4.甲4の記載等
(1)甲4の記載
甲4には「施設情報提供装置、施設情報提供システム、サーバ装置、端末装置、施設情報提供方法、および、プログラム」に関して、図面とともに概略以下の記載がある。
4a)「【請求項1】
入力部と出力部と記憶部と制御部とを少なくとも備えた施設情報提供装置であって、
上記記憶部は、
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
少なくとも施設の地点情報およびカテゴリ情報を含む施設情報を記憶する施設情報記憶手段と、
を備え、
上記制御部は、
利用者により上記入力部を介してカテゴリが入力されるよう制御するカテゴリ入力制御手段と、
上記施設情報記憶手段に記憶された上記施設情報に基づいて、上記カテゴリ入力制御手段の制御により入力された上記カテゴリに該当する所定数の上記施設が表示領域に含まれる上記地図情報の縮尺を推奨縮尺として算出する推奨縮尺算出手段と、
上記推奨縮尺算出手段により算出された上記推奨縮尺を上記出力部を介して出力させる推奨縮尺出力手段と、
を備えたことを特徴とする、施設情報提供装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)
4b)「【0139】
そして、施設情報出力部402jは、施設情報編集部402hにより出力用に編集されたPOI情報を、地図出力部402mの制御により出力される縮尺値指定前の地図情報上に重畳させた、表示画面を出力部414に出力する(ステップSC-9)。なお、上述のステップSC-5において、縮尺値が設定されたと入力判定部402kにより判定されると(ステップSC-5、Yes)、地図出力部402mは、設定された縮尺値に従った地図情報を出力部414に出力して縮尺変更を行う(ステップSC-10)。施設情報出力部402jは、一例として、施設情報編集部402hにより編集されたPOI情報の表示要素に基づくアイコン等の描画データ等を出力部414に出力表示させてもよい。なお、出力部414に表示させたPOIのアイコン等が利用者により入力部416を介して指定された場合、施設情報出力部402jは、当該指定されたアイコンにかかる詳細なPOI情報(POIの名称(地点名称や施設名称等)など)やPOIまでの直線距離等を更に表示させてもよい。なお、地図出力部402mは、表示する地図の中心座標を、現在位置情報取得部402aによって取得される現在位置情報の更新に従って変更してもよい。」(段落【0139】)
(2)甲4技術
上記(1)並びに図8及び図9の記載を総合すると、甲4には次の技術(以下、「甲4技術」という。)が記載されている。
「施設情報提供装置において、表示する地図の中心座標を現在位置情報の更新に従って変更する技術。」
5.甲5の記載等
(1)甲5の記載
甲5には「ナビゲーション装置」に関して、図面とともに概略以下の記載がある。
5a)「【請求項1】
地図を含む各種の画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段に対するユーザのタッチ位置に基づいて、ユーザからのタッチパネル操作を検出するタッチパネル操作検出手段と、
前記タッチパネル操作検出手段により検出されたタッチパネル操作に基づいて、施設を探索するための施設探索領域を前記画像表示手段により表示された地図上に設定する施設探索領域設定手段と、
前記施設探索領域設定手段により設定された施設探索領域内に位置する施設を前記地図中で探索する施設探索手段と、
前記施設探索手段により探索された施設をリスト表示するリスト表示手段と、
前記リスト表示手段によりリスト表示された施設のいずれかを目的地に設定する目的地設定手段と、
前記目的地設定手段により設定された目的地まで至る推奨経路を探索する経路探索手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)
5b)「【0018】
上記のようにして推奨経路の一部分を設定したら、次にユーザは目的地を設定する。このとき本実施形態のナビゲーション装置1では、ユーザのタッチパネル操作に基づいて施設を探索するための特定の領域を地図上に設定し、その領域内にある施設を探索してリスト表示する。そして、表示されたリスト中からユーザに選択された施設を目的地に設定する。このようにすることで、様々な施設が密集している市街地などの地域においても、その密集した施設の中からユーザが目的地に設定したい施設を正確に指定できるようにしている。この点について、以下に図4~9を用いて説明する。
【0019】
図4は、上記で説明したようにして推奨経路22の一部分がユーザのタッチパネル操作により設定された後に、表示モニタ16に表示されている地図上の一点をユーザがタッチし続けたときの様子を示している。この状態のまま所定時間が経過すると、図5に示すように、タッチされている地点を中心に円形の領域30が表示される。
【0020】
そのままさらに所定時間が経過すると、次に図6に示すように、円形領域30が図5よりも広がって表示される。その後も図6の状態から所定時間が経過すると、図7に示すように円形領域30がより一層広がって表示される。このように、地図上の一点をユーザがタッチし続けると、そのタッチ地点を中心とする円形の領域がタッチ時間に応じて徐々に拡大表示される。なお、円形領域が予め定められた所定の大きさとなった場合や、画面の端まで到達した場合などは、拡大表示をストップするようにしてもよい。
【0021】
図7の状態となったときに、ユーザがそれまでタッチし続けた指等を表示モニタ16から離すと、次に図8のようなリスト画面が表示される。このリスト画面では、図7の円形領域30内に位置している施設の名称がリスト40のようにリスト表示される。このリスト表示された施設名称の中からユーザがいずれかを選択すると、その施設を目的地とする推奨経路が探索される。」(段落【0018】ないし【0021】)
5c)「【0048】
ステップS260では、ユーザからの領域指定操作の受け付けを行う。次のステップS270では、ステップS260においてユーザからの領域指定操作が入力されたか否かを判定する。領域指定操作が入力された場合、すなわち図12の符号51に示すような軌跡がユーザのタッチパネル操作によって地図上でなぞられた場合は、ステップS280へ進む。領域指定操作が入力されない場合はステップS260へ戻り、領域指定操作が入力されるまでステップS260を実行し続ける。」(段落【0048】)
(2)甲5技術
上記(1)及び図4ないし図9並びに図12及び図13の記載を総合すると、甲5には次の技術(以下、「甲5技術」という。)が記載されている。
「ナビゲーション装置において、表示モニタ16の一点をユーザがタッチした地点を中心とする領域に位置する施設がリスト表示され、リスト表示された施設名称の中からユーザがいずれかを選択することにより、その選択された施設を目的地とする推奨経路が探索される技術。」
[2]異議理由について
1.本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「自車位置」は、その機能、構成又は技術的意義から、本件発明1における「現在位置」に相当し、以下同様に、「検出」は「算出」に、「ルート案内」は「経路案内」に、「ナビゲーション装置」は「ナビゲーションシステム」にそれぞれ相当する。
そして、甲1発明における「ユーザが登録地を設定し、登録地が過去に目的地として選択されたときの履歴情報を記憶するROM12」と、本件発明1における「目的地として設定された地点を過去目的地地点として記憶する目的地履歴記憶部」とは、「過去に目的地として設定された地点に関する情報を記憶する記憶部」という限りにおいて一致し、
甲1発明における「地図の表示範囲内の登録地を表し、登録地ごとの過去に目的地として選択された選択回数に応じて異なる表示形態で表示する登録地アイコンを地図上に表示する表示モニタ16」と、本件発明1における「目的地履歴部に記憶されている過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図を表示する目的地履歴地図表示部」とは、「地図上で過去に目的地として設定された地点に関する情報を表示する表示部」という限りにおいて一致し、
甲1発明における「表示モニタ16が表示した地図上で登録地アイコンの選択を受け付け、選定された登録地アイコンに対応する登録地を目的地に設定する入力装置17」と、本件発明1における「目的地地図表示部が表示した目的地履歴地図上で過去目的地マークの選定を受け付け、選定された過去目的地マークに対応する過去目的地地点の選択を受け付ける地点選択受付部」とは、「表示部により表示された地図上で目的地とする地点の選択を受け付ける受付部」という限りにおいて一致する。
よって、両者の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「現在位置を算出すると共に、設定された目的地までの経路案内を行うナビゲーションシステムであって、
過去に目的地として設定された地点に関する情報を記憶する記憶部と、
地図上で過去に目的地として設定された地点に関する情報を表示する表示部と、
表示部により表示された地図上で目的地とする地点の選択を受け付ける受付部とを有するナビゲーションシステム。」
[相違点1]
「過去に目的地として設定された地点に関する情報を記憶する記憶部」に関して、本件発明1においては「目的地として設定された地点を過去目的地地点として記憶する目的地履歴記憶部」であるのに対して、甲1発明においては「ユーザが登録地を設定し、登録地が過去に目的地として選択されたときの履歴情報を記憶するROM12」であって、過去に登録地以外で目的地として選択された地点がROM12に記憶されるか不明である点。
[相違点2]
「地図上で過去に目的地として設定された地点に関する情報を表示する表示部」に関して、本件発明1においては「目的地履歴部に記憶されている過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図を表示する目的地履歴地図表示部」であるのに対して、甲1発明においては「地図の表示範囲内の登録地を表し、登録地ごとの過去に目的地として選択された選択回数に応じて異なる表示形態で表示する登録地アイコンを地図上に表示する表示モニタ16」である点。
[相違点3]
「表示部により表示された地図上で目的地とする地点の選択を受け付ける受付部」に関して、本件発明1においては「目的地地図表示部が表示した目的地履歴地図上で過去目的地マークの選定を受け付け、選定された過去目的地マークに対応する過去目的地地点の選択を受け付ける地点選択受付部」であるのに対して、甲1発明においては「表示モニタ16が表示した地図上で登録地アイコンの選択を受け付け、選定された登録地アイコンに対応する登録地を目的地に設定する入力装置17」である点。
[相違点4]
本件発明1においては「目的地履歴地図表示部は、目的地履歴地図に含める地図の縮尺を、所定条件を満たす過去目的地地点の分布範囲の大きさに応じて、所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を当該地図中に含むように変更する」のに対して、甲1発明においては、表示モニタ16において、そのような表示を行なうか不明である点。
事案に鑑み、まず上記相違点2について検討する。
[相違点2について]
甲2技術は、「ユーザが検索基点及び検索すべき施設のジャンルを指定すると、検索基点を中心とした検索範囲内に存在する指定されたジャンルの周辺施設を検索し、検索基点と検索した全ての施設とが1画面に入る縮尺で地図画像をディスプレイ装置15に表示することにより、ユーザは検索基点と周辺施設との位置関係を一目で把握することができるようにする技術」であるが、甲2技術におけるディスプレイ装置15に表示する地図画像は、検索基点を中心とした検索範囲内に存在する指定されたジャンルの周辺施設の全てを示す地図であって、「目的地履歴部に記憶されている過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図」を開示または示唆するものではない。また、甲3技術ないし甲5技術も、「目的地履歴部に記憶されている過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図」を開示または示唆するものではない。
よって、甲1発明及び甲2技術ないし甲5技術に基いて上記相違点2に係る本件発明1の発明特定事項とすることは当業者が容易になし得たことではない。
そうすると、上記相違点1、相違点3及び相違点4について検討するまでもなく本件発明1は、甲1発明及び甲2技術ないし甲5技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2.本件発明2ないし14について
本件特許の特許請求の範囲における請求項2ないし14は、請求項1の記載を直接又は間接的に、かつ、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本件発明2ないし14は、本件発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本件発明2ないし14は、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2技術ないし甲5技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3.本件発明15について
本件発明15は、本件発明1における「ナビゲーションシステム」を「コンピュータプログラム」として表現したものであって、上記2.において検討した相違点2に係る本件発明1の発明特定事項である「目的地履歴部に記憶されている過去目的地地点のうちの所定条件を満たす過去目的地地点の全ての位置を含む地理的範囲の地図と、当該地図上に配置した所定条件を満たす過去目的地地点の各々に対応する、各々対応する過去目的地地点の位置を地図上で表す過去目的地マークとを含む目的地履歴地図」を発明特定事項として含むものである。
したがって、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲2技術ないし甲5技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.本件発明16ないし19について
本件特許の特許請求の範囲における請求項16ないし19は、請求項15の記載を直接又は間接的に、かつ、請求項15の記載を他の記載に置き換えることなく引用して記載されたものであるから、本件発明16ないし19は、本件発明15の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本件発明16ないし19は、本件発明15と同様の理由により、甲1発明及び甲2技術ないし甲5技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 むすび
したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし19に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし19に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700776