特許異議申立
2023-700627
運転支援システム、およびプログラム
- 審判番号
- 2023-700627
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-036917
- 登録番号
- 7190759
- 請求日
- 2023年06月13日
- 審決日
- 2024年10月30日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社ユピテル
- 【異議申立人】山口 良一
- 審判長/審判官
- 審判長 河端 賢
- 審判官 山本 信平
- 審判官 倉橋 紀夫
- 分類
- P1651.121-YAA(G01C) / P1651.537-YAA(G01C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7190759号発明「運転支援システム、およびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7190759号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。
特許第7190759号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7190759号の請求項1-4に係る特許についての出願は、平成24年12月20日に出願した特願2012-96190号の一部を平成28年12月27日に新たな出願とした特願2016-252234号の一部を平成30年5月8日に新たな出願とした特願2018-89592号の一部を令和元年12月17日に新たな出願とした特願2019-226906号の一部を令和3年3月9日に新たな出願としたものであって、令和4年12月8日にその特許権の設定登録がされ、令和4年12月16日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 6月13日 : 特許異議申立人山口良一(以下「申立人」という。)による請求項1-4に係る特許に対する特許異議の申立て
令和5年 9月12日付け: 取消理由通知書
令和5年11月13日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和5年12月27日 : 申立人による意見書の提出
令和6年 4月23日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
令和6年 6月25日 ; 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年 8月 7日 : 申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1.訂正事項
特許請求の範囲の請求項1に「前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知制御」と記載されているのを、「当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」に訂正し、同じく、特許請求の範囲の請求項1に「ることを特徴とするシステム。」と記載されているのを、「、前記口コミ情報が取締、検問エリアを示す情報であり、前記口コミ情報が報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させることを特徴とするシステム。」に訂正する。
請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2-4も請求項1と同様に訂正する。
なお、訂正前の請求項1-4は、請求項2-4が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、本件訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項1-4について請求されている。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正の目的について
訂正事項に係る訂正は、「前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知制御」を「当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」と限定し、「システム」を「前記口コミ情報が取締、検問エリアを示す情報であり、前記口コミ情報が報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させることを特徴とするシステム」と限定するものである。
よって、訂正事項に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア) 訂正事項のうち「当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」という事項は、明細書の段落【0065】の「はじめに制御部41は、第二DB431(図2参照)を参照する。制御部41は、メイン表示領域11に表示するターゲットアイコン21、22を特定するために、以下の(1)~(3)の条件を満たす目標対象を第二DB431から選択する。(1)自車両との間の距離が所定距離以下である場合(2)目標対象情報が第二DB431に登録されてからの経過時間が4ヶ月以内であるか、又は、第二DB431に記憶された目標対象情報が更新されてからの経過時間が4ヶ月以内である場合」との記載、段落【0066】の「例えば制御部41は、図4の表示画面100を表示部48に表示するために、具体的に以下の処理を実行する。」との記載、段落【0069】の「制御部41は、選択された目標対象「ループコイル」を示すターゲットアイコン21、および、目標対象「新Hシステム」を示すターゲットアイコン22を、地図画像31における位置情報によって示される位置に重ね、メイン表示領域11に表示する。また制御部41は、選択した目標対象のうち、現在日時よりも2ヶ月前(2011年9月10日9:15) 時点以降の登録日時または更新日時が対応付けられている目標対象を選択する。第二DBでは、インデックス4「新Hシステム」が該当する。制御部41は、選択した目標対象「新Hシステム」のターゲットアイコン22に、更新日時が新しいことを示す文字「!更新」が示された吹き出し画像2 3を重ねて表示する。なお、登録日時が新しいことを示す吹出し画像には、登録日時が新しいことを示す文字「!新設」が示された吹出し画像が重ねて表示される。」との記載、段落【0075】の「取締、検問エリア等を示す目標対象情報は、基本的に一般者の各々が見たり、聞いたりした情報でのみ構成される、口コミ情報の最たるものである。従って、新しく追加(登録)された情報は特に、直近にそこで取締、検問が行われた可能性が高く、その重要度は非常に高い。よって、目標対象情報に含まれる登録情報、更新報を参照することで、例えば、ここXヶ月以内に新設したデータかどうか判断が可能である。」との記載及び段落【0076】の「また、ある時間経過するまでは、警報時に「!新設」マークや「!更新」マークを表示して新しい情報であることを示す。これにより運転者は、このエリアはより注意が必要であることを認識できる。なお、第二DB431には、一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報(そのエリアの視覚的に特徴的な情報など)が対応付けられてもよい。制御部41は、目標対象情報を出力する場合、口コミ情報をサブ的に表示したり、音声案内したりしてもよい。」との記載に基づくものであると認められる。
(イ)訂正事項のうち「前記口コミ情報が取締、検問エリアを示す情報であり、前記口コミ情報が報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させること」という事項は、明細書の段落【0015】の「第一態様において、前記制御手段は、前記交通監視位置情報の示す位置における交通監視が行われる時間帯に関する情報を前記時期情報として取得し、前記交通監視位置情報の示す位置における交通監視が行われる時間帯に関する情報を加味した報知制御を行うとよい。このようにすれば、交通監視が行われる時間帯に関する情報を加味した報知制御による結果の報知を受けることになる。」との記載及び段落【0075】の「取締、検問エリア等を示す目標対象情報は、基本的に一般者の各々が見たり、聞いたりした情報でのみ構成される、口コミ情報の最たるものである。」との記載に基づくものであると認められる。
(ウ)よって、訂正事項に係る訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に規定する、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アのとおり、訂正事項に係る訂正は、「前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知制御」を「当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」と限定し、「システム」を「前記口コミ情報が取締、検問エリアを示す情報であり、前記口コミ情報が報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させることを特徴とするシステム」と限定するものであり、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
3.小括
上記のとおり、訂正事項に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項の規定に適合するとともに、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1-4]について訂正することを認める。
第3 取消理由の概要
訂正前の請求項1-4に係る特許に対して、当審が令和6年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
1.本件特許の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
2.本件特許の請求項1-4に係る発明は、特許請求の範囲の記載が不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
記
・理由1について
《引用文献等一覧》
甲1.特開2010-151664号公報
甲4.特開2003-130664号公報
甲2.特開2008-64592号公報(周知技術を示す文献)
甲6.特開2008-89530号公報(周知技術を示す文献)
参2.特開2012-22592号公報
・理由2について
請求項1の「ある時間経過するまで」との記載における「ある時間」とはどの程度の時間なのか具体的に特定することができず、該記載により特定された事項を含む本件特許の請求項1に係る発明は不明確である。
甲1、甲4、甲2、甲6及び参2は、それぞれ特許異議申立書に添付された甲第1号証、甲第4号証、甲第2号証、甲第6号証及び申立人が令和5年12月27日に提出した意見書に添付された参考資料2である。
第4 訂正後の請求項1-4に係る発明
上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1-4に係る発明(以下、「本件発明1」-「本件発明4」という。)は、次のとおりのものである。
【請求項1】
交通監視位置に関する情報(以下、交通監視位置情報という。)を取得し、
車両の現在位置と前記交通監視位置との接近関係に基づき前記交通監視位置に関する報知制御を行う機能を有する制御手段を備えるシステムであって、
前記制御手段は、前記交通監視位置情報に関連する時期情報を取得し、前記時期情報を加味して前記交通監視位置に関する報知制御を行う機能と、
前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報を取得し、当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御を行う機能とを備え、
前記口コミ情報が取締、検問エリアを示す情報であり、
前記口コミ情報が報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記交通監視位置との接近関係に基づく前記交通監視位置に関する報知制御を行う機能として、前記交通監視位置の目標対象の種別を示す情報の報知制御を行う機能を備えるとともに、
前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知制御を行う機能として、当該目標対象に関する口コミ情報を報知する報知制御を行う機能を備えること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知制御を行う機能は、当該口コミ情報を他の情報に対してサブ的に表示するか、音声案内を出力する制御を行う機能を備えること
を特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
第5 特許法第29条第2項についての当審の判断
1.甲1、甲4、甲2、甲6及び参2の記載事項
(1)甲1の記載事項及び甲1発明
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同様。)。
ア.「【0001】
本発明は、車両の現在位置に基づいて周囲の車両速度測定装置等の交通監視をする交通監視物その他の交通監視ポイントを検出する交通監視ポイント検出装置に関するものである。」
イ.「【0008】
上述した目的を達成するために、本発明に係る交通監視ポイント検出装置は、(1) 自車の位置を検出する位置検出手段と、交通監視ポイントの位置情報を記憶するデータベースと、前記位置検出手段で検出された現在位置情報と、前記データベースに格納された交通監視ポイントの位置情報とに基づき、警報対象の交通監視ポイントを抽出する抽出手段と、その抽出手段により抽出された交通監視ポイントについての警報を発する警報手段と、を備え、前記データベースは、前記交通監視ポイントについての詳細情報を関連づけて格納し、前記警報手段は、前記抽出手段で抽出された前記交通監視ポイントについての詳細情報を報知する機能を備えるようにした。」
ウ.「【0024】
本発明と関係する、GPS受信機1により検出した位置情報(自車両の現在位置情報)に基づく警報について、更に説明する。データベース5には、検出対象の目標物(交通監視装置等の交通監視ポイント)について、その監視の種類と位置情報(経度:緯度)と頻度等の情報が関連づけられたテーブル構造として格納される。さらに、その交通監視ポイント固有の警報表示情報が存在する場合には、当該警報表示情報を直接或いはその情報を特定するための情報(ファイル名等)も併せて格納される。これらの目標物に関する情報は、出荷時に一定の目標物について登録されている。このデータは、公知の各種の手法により、更新可能となる。データベース5は、制御部4のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。さらに、データベース5には、道路地図データも格納されている。」
エ.「【0025】
監視の種類は、たとえば、車両速度の監視・一時停止監視・飲酒運転・シートベルト着用・運転中の携帯電話の使用などの交通規則を遵守しているか否かの監視の種類と、たとえば車両速度の監視において、車両速度測定装置を常設して常時計測監視する固定式と、不定期に警官が監視位置に移動しそこにおいて当該警官が車両速度測定装置を操作して車両を測定する移動式のように、監視装置の設置が常設か否か区別や、レーダ,ループコイル・光電管等の車両速度の計測方式の区別など、各種の情報がある。」
オ.「【0030】
制御部4は、GPS受信機1から与えられた自車の現在位置を取得すると、データベース5をアクセスし、その現在位置の周囲(例えば、半径2km)に存在する目標物を抽出し、抽出した目標物の監視の種類から、警報情報を決定し、決定した警報情報に従ってその警報を出力するための出力機器に対して警報指示を出力する。また、交通監視ポイント固有の警報表示情報(実写画像や制限速度等)がある場合には、適宜のタイミングでそれを出力する。
【0031】
また、頻度に基づくレベル情報に基づき、警報の仕方を制御することができる。すなわち、制御部4は、予め設定されたレベル以上のもののみを警報対象とし、設定値(基準値)未満のレベルのものについては、警報しなかったり、音声のみ/表示のみ等の簡易な警報をするようにしたりするなどの正規な警報を抑制するようにするとよい。この設定値は、たとえばレベル3とすることができるし、この値は、初期設定で適当な値にしておき、ユーザ設定により変更できるようにすると良い。このように、一定のレベル以上にならないと警報しないようにすると、登録する交通監視ポイントが爆発的に増えても警報が鳴りっぱなしになるようなことはなくなる。
【0032】
また、目標物についてのデータの更新日時が古いものは、警報しない(簡易な警報をする)等の正規の警報をする対象から除外するようにしても良い。このように除外するか否かの設定や、古いものを選択する基準(本日よりも一定期間(設定する))もユーザ設定により変更できるようにしている。また、データの管理としては、更新の日付が古いデータは削除する機能を設けると良い。この場合の削除対象となるデータを選定するための“古い”という基準は、上記の正規の形成を抑制するための“古い”を規定する基準と同じでも良いし、さらに古いものとしても良い。上記のユーザによる各種条件の設定は、制御部4に接続された図示省略のスイッチや、表示部6に設けたタッチパネル等で、入力可能である。」
カ.「【0035】
このメイン表示領域R1には、その表示領域中に複数の目標物が存在する場合、係る複数の目標物を同時に描画可能となっている。自車と目標物とは、共にアイコン(マーク)で示している。自車は、略三角形で形成される自車位置アイコンI0で示す。この自車位置アイコンI0を中心とした所定半径(切替可)からなる円の範囲内に存在する目標物(ターゲット)が、その存在位置にターゲットアイコンTとして描画される。なお、図2では、表示領域R1内には、目標物となる交通監視ポイントは1つのみ存在している。」
キ.「【0039】
また、種別情報KIは、フォーカスターゲットのターゲットアイコンTに対応する目標物の種類をテキスト表示するものである。目標物の種類は、データベース5に目標物に関連付けて格納されているので、その情報を取得し、目標物の種類に対応するテキストデータを該当位置(フォーカスターゲットのターゲットアイコンTの右隣)に表示する。図では、目標物がある特定の計測方式からなる車両速度測定装置であったため、それを示す“H”を表示している。目標物の種類(監視の種類)と、警報情報の一つとしての表示するテキストデータと、を対応づけたテーブルをデータベース5に格納しているので、メイン表示領域R1の表示画面に描画・表示する内容を制御する表示制御部(制御部4の一機能として実現することができる)は、係るフォーカスターゲットとされた交通監視ポイントについての監視の種類を抽出したならば、上記のテーブルを参照して対応する種別情報KIを表示することができる。」
以上のことから、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。
《甲1発明》
「交通監視ポイントについての詳細情報を取得し、
自車の現在位置の例えば、半径2kmに存在する交通監視ポイントを抽出し、抽出された前記交通監視ポイントについての詳細情報を報知する制御部4を備える交通監視ポイント検出装置であって、
制御部4は、交通監視ポイントについてのデータの更新日時が一定期間より古いものは正規の警報をする対象から除外し、
交通監視ポイントでの監視が、車両速度の監視・一時停止監視・飲酒運転・シートベルト着用・運転中の携帯電話の使用などの交通規則を遵守しているか否かの監視である交通監視ポイント検出装置。」
(2)甲4の記載事項
甲4には、以下の事項が記載されている。
ア.「【0009】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の情報表示システムにおいては、地図情報を格納する地図情報格納部と、スケジュール及び地点を入力する入力装置と、前記スケジュール及び地点を関連付けて格納する関連情報格納部と、カレンダー及び地図を表示する表示装置と、前記スケジュールを前記カレンダーに表示させ、前記地点を地図に表示させる表示制御装置とを有する。
【0010】本発明の他の情報表示システムにおいては、さらに、前記地図情報格納部、関連情報格納部及び送受信部を備えるサーバと、前記入力装置及び送受信部を備える第1の情報端末と、前記表示装置、表示制御装置及び送受信部を備える第2の情報端末とから成る。
【0011】本発明の更に他の情報表示システムにおいては、さらに、前記地図情報格納部、関連情報格納部及び送受信部を備えるサーバと、前記入力装置、表示装置、表示制御装置及び送受信部を備える情報端末とから成る。
【0012】本発明の更に他の情報表示システムにおいては、さらに、前記関連情報は、道路交通関連情報である。
【0013】本発明の更に他の情報表示システムにおいては、さらに、前記道路交通関連情報は、交通規制情報、交通取締情報又は渋滞情報である。
【0014】本発明の更に他の情報表示システムにおいては、さらに、前記関連情報は、施設関連情報である。
【0015】本発明の更に他の情報表示システムにおいては、さらに、前記施設関連情報は、施設の営業日時情報である。
【0016】本発明の更に他の情報表示システムにおいては、さらに、前記関連情報格納部は、多数の者から提供された情報を格納する提供情報格納部を備える。」
イ.「【0030】ここで、提供情報データベース27は、あらかじめ登録された多数の操作者から提供された情報を格納する。該情報は、例えば、道路の渋滞等に関する渋滞情報、警察による交通取り締まりに関する交通取締情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。これら詳細情報は、渋滞情報の場合、渋滞の実際の長さ、渋滞の原因、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通取締情報の場合、速度違反取締、駐車違反取締等の取締の種類、場所、曜日、時間帯等であり、交通規制情報の場合、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。また、前記提供情報データベース27に格納される情報は、施設や地域に関する詳細情報であってもよい。そして、前記施設がレストラン、食堂等の飲食店である場合、前記詳細情報は、営業する曜日、営業時間、電話番号、メニュー、値段、味、サービスの良否、店内の雰囲気、駐車場の有無等であり、前記施設がコンビニエンスストア、百貨店、ホームセンタ、スーパーマーケット等の商業施設である場合、前記詳細情報は、営業する曜日、営業時間、電話番号、品揃え、値段、バーゲンセール(特売)の期間、バーゲンセールの対象商品、サービスの良否、店内の雰囲気、駐車場の有無、催し物やイベントの種類及び期間等であり、前記施設がテーマパーク、ゲームセンタ、映画館、劇場等の娯楽施設である場合、前記詳細情報は、営業する曜日、営業時間、電話番号、施設の内容、値段、サービスの良否、施設の雰囲気、駐車場の有無、催し物やイベントの種類及び期間等である。
【0031】また、提供情報データベース27は、あらかじめ登録された操作者以外の者から提供された情報を格納するようにしてもよい。例えば、情報提供サーバ11がインターネットに接続されている場合、不特定多数の者がインターネットを経由して情報提供サーバ11にアクセスして詳細情報を提供すると、該詳細情報が前記提供情報データベース27に格納されるようにする。これにより、より多くの情報を提供情報データベース27に格納することができる。」
ウ.「【0054】そして、情報提供部13は、特定された前記個人ファイル中のスケジュールファイルから当月1ヶ月間のスケジュールに関する事項を抽出する。すると、前記事項は、送信情報作成部26においてデータ変換された後、送受信部14から前記情報端末12bに送信される。なお、PIMプログラムが前記情報端末12bに格納されていない場合、前記事項に前記PIMプログラムが添付されて送信される。また、前記情報提供部13は、地図データベース17、POIデータベース18、交通情報データベース20、提供情報データベース27等にアクセスして、現在位置から半径1〔km〕以内の地域における道路交通関連情報を検索して抽出する。さらに、前記情報提供部13は、抽出した前記道路交通関連情報の中から、当月における道路交通関連情報を抽出する。そして、最終的に抽出された道路交通関連情報は、送受信部14から前記情報端末12bに送信される。
【0055】続いて、前記事項及び道路交通関連情報を受信した情報端末12bの表示制御装置は、前記事項を含むスケジュールを表示装置に、図1に示されるように、スケジュール表示画面30として表示させる。ここで、該スケジュール表示画面30には、現時点を含む1ヶ月、すなわち、当月、例えば、2001年9月を示すカレンダー34が表示される。さらに、前記スケジュール表示画面30には、現在日時(年/月/日/時/分)31、前記スケジュールの最終更新が行われた日時である最終更新日時(年/月/日/時/分)32、前記カレンダー34の示す月(年/月)33が含まれる。」
エ.「【0058】ここで、前記交通情報マーク42a、42bは、情報端末12bの現在位置から半径1〔km〕以内の地域の地点に関して表示されるようになっている。そして、交通情報マーク42a、42bは、交通情報データベース20、提供情報データベース27等に格納されている道路交通関連情報、すなわち、道路交通情報及び統計的渋滞情報、並びに、これら情報に関する詳細情報に含まれる情報に基づいて表示される。例えば、祭り、パレード、花火大会等のイベント、道路工事、建築工事等による交通規制が行われる場合、該交通規制が行われる地点に交通情報マーク42a、42bが表示され、警察による交通取り締まりが行われる場合、該交通取り締まりが行われる地点に交通情報マーク42a、42bが表示され、駅周辺や大型商業施設周辺の道路には週末を除く毎日の特定時刻に渋滞が発生するとか、海水浴場周辺の道路には夏季休暇時期に渋滞が発生する等の場合、該渋滞が発生する地点に交通情報マーク42a、42bが表示される。」
(3)甲2の記載事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
ア.「【0013】
これにより、当該区域における交通法規違反の未然防止を図ると共に、駐停車に関してユーザの便宜を図ることができる。また、制限されている時間帯を考慮した警告を行っているので、例えば、駐停車した時刻が駐停車禁止時間外(駐停車可能な時間帯)であってもそれに応じた情報案内が行われるため、ユーザにとっては非常に有用である。」
イ.「【0032】
ステップS5では、制御部12からの制御に基づき画像合成部17を介して表示装置8に対し、その旨の警告を画面に表示させると共に、制御部12により検索した最寄の駐車場への経路案内情報を表示させる。この画面を介しての表示に代えて、制御部12からの制御に基づき音声出力部18を介してスピーカ9に対し、その旨の警告、及び最寄の駐車場への案内情報を音声出力させるようにしてもよい。あるいは、表示装置8の画面を介しての表示とスピーカ9を介しての音声出力を同時に行わせるようにしてもよい。そして、本処理フローは「終了」となる。」
ウ.「【0040】
なお、上述した実施形態では、駐停車した場所・時刻(時間)が駐停車禁止区域・時間帯に該当するかどうかの判断を車載の地図データベースと自車位置と制御部12のタイマ機能とに基づいて行う場合を例にとって説明したが、駐停車した場所・時刻(時間)が各都道府県警から指定されている「重点取締り区域・時間帯」(2006/6/1からの駐停車違反取締りの民間委託で民間監視員が取り締まる区域・時間帯)に該当する場合も、本発明は同様に適用することができる。この場合、自車が駐停車した時に、自車の現在位置を含む区域を管轄している警察署などにアクセスして、当該場所・時刻(時間)が重点取締り区域・時間帯に該当する旨の情報を取得したときは、図2のステップS5で行った処理と同様にして、その旨の警告、及び最寄の駐車場への案内情報を表示(音声出力)させるようにする。
【0041】
この場合の警告及び駐停車に関しての案内情報の表示等の一例を図4に示す。図示の例では、「駐停車禁止」の交通標識Mが設置された駐停車禁止区域に自車30を駐停車した場合において、さらに通信機5を介して外部から、その場所・時刻(時間)が重点取締り区域・時間帯に該当する旨の情報を受信した場合に、「この場所・この時間は、駐停車違反取締り民間委託の重点地域(重点路線)・重点時間帯に該当します。」という警告メッセージと共に、「最寄の駐車場まで案内を開始しますか?」という案内情報を表示(音声出力)させているときの様子をイメージ的に示している。案内情報については、「最寄の駐車場まで案内を開始しますか?」の代わりに、「最寄の駐車場まで案内します」という内容でもよい。」
(4)甲6の記載事項
甲6には、以下の事項が記載されている。
ア.「【0022】
GPS受信機3は、複数のGPS衛星から送られてくる電波をアンテナで受信して自車の現在位置の経度及び緯度を検出し、3次元測位処理等を行って自車の絶対位置(GPS位置)及び方位(GPS方位)を算出する。GPS方位は、現時点における自車位置と1サンプリング時間(例えば、1秒)前の自車位置とに基づいて算出することができる。自立航法センサ4は、自車の方位を検出するためのジャイロ等の角度センサや一定の走行距離毎にパルス(車速パルス)を発生する距離センサなどからなり、これらのセンサによって自車の相対位置及び方位を算出する。通信機5は、外部と通信するための車載電話機や携帯電話機(この場合は専用のモデムが付属する)等からなり、例えば、地図データの配信サービスを行う情報センタ等と通信して所要の最新の地図情報を取得したり、各都道府県警から指定されている「重点取締り区域・時間帯」の情報を取得したりする場合などに使用される。」
(5)参2の記載事項及び参2記載事項
申立人が令和5年12月27日に提出した意見書に参考資料2として添付した特開2012-22592号公報(以下「参2」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア.「【0001】
本発明は、ナビゲーション装置などの施設情報表示装置における施設情報の表示に関する。」
イ.「【0023】
詳細は後述するが、本実施形態のナビゲーション装置1は、商品やサービス(以下では、サービスも商品の一つとして商品に含める。)の購入記録(例えば、レシート、チケット、購入カード、購入履歴の電子データなど)を取得し、当該購入記録に基づいて施設情報を生成する。また、生成した施設情報に基づいて施設をディスプレイに表示する。また、生成した施設情報を情報提供サーバ2に送信する。また、情報提供サーバ2が提供する施設情報を情報提供サーバ2から受信し、当該施設情報に基づいて施設をディスプレイに表示する。」
ウ.「【0085】
また、施設情報生成部180は、追加又は更新した生成施設情報レコードに対応する施設に関するユーザの評価を、操作受付部120を介して受け付ける。施設に関するユーザの評価とは、例えば、店舗のサービスの質に対する評価や、追加詳細情報5444に含まれる従業員情報に対応する従業員に対する評価である。施設情報生成部180は、施設に関するユーザの評価を取得して、当該レコードの評価情報5445に設定する。なお、従業員に対する評価は、例えば、従業員情報と対応付けて評価情報5445に設定する。なお、ユーザが評価の入力を行わない場合、評価情報5445には、例えば、中レベルの評価に対応する値を設定すればよい。」
エ.「【0126】
上述したように、ナビゲーション処理中、ナビゲーション処理部130は、読み出した地図情報(地図800)とともに、施設情報探索部160から取得した生成施設レコードに対応する施設(施設マーク820)及びその情報(施設情報830)を表示するように、表示制御部110に指示する。
【0127】
ここで、追加又は更新された生成施設レコードに対応する施設については、例えば、更新を示す更新マーク840を当該施設マーク820と関連付けて、表示する。
【0128】
より具体的には、施設情報生成部180は、購入履歴データベース53、又は情報提供サーバ2から受信した生成施設レコードに基づいて、生成施設レコードを追加又は更新した場合、当該レコードに更新されたことを示すフラグ情報を対応付けて格納する。また、施設情報生成部180は、当該レコードが追加又は更新されてから所定時間(例えば、1週間)が経過したか否かを監視し、経過した場合には当該フラグを削除する。
【0129】
ナビゲーション処理部130は、施設情報探索部160から取得した生成施設レコードに対応する施設(施設マーク820)及びその情報(施設情報830)を表示するように表示制御部110に指示するとともに、当該生成施設レコードにフラグ情報が付加されている場合は、更新マーク840を当該施設マーク820と関連付けて表示するように表示制御部110に指示する。なお、施設データベース52のレコードに対応する施設と、生成施設データベース54のレコードに対応する施設とは、異なる態様で表示されるようにしてもよい。」
オ.「【0134】
さらに、本実施形態によれば、ナビゲーション装置は、更新された施設情報を他の施設情報と異なる態様で表示する。このような構成により、ユーザは、新しい情報を見分けることができる。」
以上のことから、参2には、次の事項(以下、「参2記載事項」という。)が記載されているといえる。
《参2記載事項》
「ナビゲーション装置において、ユーザが新しい情報を見分けることができるようにするために、更新されたことを示し、所定時間(例えば、1週間)が経過した場合に削除されるフラグ情報が、ユーザにより入力される商品やサービスの購入記録を取得することができる施設に関するユーザの評価が設定される生成施設レコードに付加されている場合は、更新マーク840を当該施設の施設マーク820と関連付けて表示すること。」
2.対比及び判断
(1)本件発明1について
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明の「交通監視ポイントについての詳細情報」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本件発明1の「交通監視位置に関する情報(以下、交通監視位置情報という。)」に相当し、以下同様に、「自車の現在位置」は「車両の現在位置」に、「自車の現在位置の例えば、半径2kmに存在する交通監視ポイントを抽出し、抽出された前記交通監視ポイントについての詳細情報を報知する」は「車両の現在位置と前記交通監視位置との接近関係に基づき前記交通監視位置に関する報知制御を行う機能を有する」に、「制御部4」は「制御手段」に、「交通監視ポイント検出装置」は「システム」に、それぞれ相当する。
してみると、本件発明と甲1発明との一致点、相違点は以下のとおりである。
《一致点》
「交通監視位置に関する情報(以下、交通監視位置情報という。)を取得し、
車両の現在位置と前記交通監視位置との接近関係に基づき前記交通監視位置に関する報知制御を行う機能を有する制御手段を備えるシステム。」
《相違点1》
本件発明1において「前記制御手段は、前記交通監視位置情報に関連する時期情報を取得し、前記時期情報を加味して前記交通監視位置に関する報知制御を行う機能」「を備える」のに対して、甲1発明において「制御部4」はそのような機能を備えていない点。
《相違点2》
本件発明1において「前記制御手段は、」「前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報を取得し、当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御を行う機能」「を備える」ものであるのに対して、甲1発明において「制御部4」は「交通監視ポイントについてのデータの更新日時が一定期間より古いものは正規の警報をする対象から除外」するものである点。
《相違点3》
本件発明1において「前記口コミ情報が取締、検問エリアを示す情報であり、前記口コミ情報が報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させる」のに対して、甲1発明は「交通監視ポイントでの監視が、車両速度の監視・一時停止監視・飲酒運転・シートベルト着用・運転中の携帯電話の使用などの交通規則を遵守しているか否かの監視である」が、何によって運転者に対して、何を認識させるかについては不明な点。
事案に鑑み、上記《相違点2》について検討する。
甲1には、交通監視ポイントについてのデータの更新日時が一定期間より古いものは正規の警報をする対象から除外することは記載されているが、それに加え、情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで情報が新しい情報であることを示す表示とともにすることについては記載も示唆もない。そして、更新日時が一定期間より古いものを警報する対象から除外することに加えて、その中でも一定期間とは別の第二の時間が経過するまでは新しい情報であることを示す情報とともにすることによって、情報を新しさによって2段階で選別することが技術常識であったとも認められない。よって、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項は甲1に記載された事項に基いて当業者が容易に想到することができたものではない。
また、参2には、所定時間が経過した場合に削除されるフラグ情報が、ユーザにより入力される施設に関するユーザの評価が設定される生成施設レコードに付加されている場合は、更新マーク840を当該施設の施設マーク820と関連付けて表示することは記載されているが、それに加え、情報の報知を口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときにすることについては記載も示唆もない。
さらに、甲2、甲4及び甲6には「当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」について記載も示唆もない。
なお、参2記載事項は「商品やサービスの購入記録を取得」することができる施設に関するものであるから、「報知されることによって、運転者に対し、交通監視が行われていることを認識させる」報知において「口コミ情報の登録からある時間経過がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」という事項ではなく、甲1発明に参2記載事項を適用する動機付けもない。
したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲2の記載事項、甲4の記載事項、甲6の記載事項及び参2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2及び本件発明3について
本件発明2及び本件発明3は、本件発明1の発明特定事項をすべて含むから、上記(1)と同様の理由により、甲1発明、甲2の記載事項、甲4の記載事項、甲6の記載事項及び参2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)本件発明4について
本件発明4は、実質的にシステムの発明である本件発明1-3のカテゴリーをプログラムに変更したものに過ぎない。
したがって、本件発明4は、上記(1)及び(2)と同様の理由により、甲1発明、甲2の記載事項、甲4の記載事項、甲6の記載事項及び参2記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(4)申立人の主張について
申立人は、令和6年8月6日提出の意見書において「また、新しい情報であるか否かを判断するにあたり、情報が登録されてからの経過時間が一定の時間以内であるどうかによって判断することや、新しい情報であることを示す表示を一定の時間で行うことは、新しい情報を見分けるようにするため当然に行われるもので、情報を扱う分野一般の技術常識です。したがって、訂正事項を加えたとしても本件発明1は本件特許異議申立の審理における取消理由通知書(令和6年4月23日起案日)に示される甲1発明、甲4記載事項及び参2記載事項、又は、甲1発明、甲4記載事項、参2記載事項及び周知技術1に基づき、甲5記載事項および技術常識を付加することで当業者が容易に発明をすることができたものであると思料します。」(第4頁第1行-第9行)と主張している。
しかし、情報が登録されてからの経過時間が一定の時間以内であるどうかによって判断することや、新しい情報であることを示す表示を一定の時間で行うことが情報を扱う分野一般の技術常識であったとしても、情報が登録されてからの経過時間が第一の時間以内であるときに報知をし、登録がされてから第二の時間が経過するまで情報が新しい情報であることを示す表示とともにすることが情報を扱う分野一般の技術常識であるとはいえないし、それが技術常識であるという証拠もない。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
3.小括
以上のとおり、本件発明1-4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでないから、同法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。
第6 特許法第36条第6項第2号についての当審の判断
1.「ある時間経過するまで」について
訂正前の請求項1に記載された「ある時間経過するまで」との事項は訂正により削除され、時間については「当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知」及び「当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする」ことという事項に訂正された。そこで上記事項における「第一の時間」及び「第二の時間」により本件発明1は不明確となるか否か検討する。
「当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知」という記載から、「第一の時間」とは、それ以内登録された口コミ情報でなければ報知を行わないという閾値としての時間を意味していることが理解できる。
そして、明細書の段落【0065】の「表示部48に表示画面100を表示するために制御部41が実行する処理について説明する。はじめに制御部41は、第二DB431(図2参照)を参照する。制御部41は、メイン表示領域11に表示するターゲットアイコン21、22を特定するために、以下の(1)~(3)の条件を満たす目標対象を第二DB431から選択する。
(1)自車両との間の距離が所定距離以下である場合
(2)目標対象情報が第二DB431に登録されてからの経過時間が4ヶ月以内であるか、又は、第二DB431に記憶された目標対象情報が更新されてからの経過時間が4ヶ月以内である場合
(3)実施時刻に現在時刻が含まれている場合」との記載、段落【0067】には「次に制御部41は、選択した目標対象に対応付けられた登録日時および更新日時を参照する。制御部41は、現時点での日時から遡って4ヶ月以内に登録または更新された目標対象を選択する。具体的には次のとおりである。制御部41は、第二DB431に記憶された目標対象のうち、現在日時(2011年11月10日 9:15)よりも4ヶ月前(2011年7月10日 9:15)の時点以降の登録日時又は更新日時が対応付けられた目標対象を選択する。この結果、制御部41は、インデックス1の目標対象「ループコイル」(登録日時:2011/7/16 10:00)、インデックス4の目標対象「新型Hシステム」(更新日時:2011/9/11 18:00)、および、インデックス5の目標対象「取締り(ねずみ捕り)」(登録日時:2011/9/2 19:00)を選択する。」との記載及び段落【0074】の「以上説明したように、運転支援システム4は、目標対象情報が第二DB431(図2参照)に登録された登録日時、および、目標対象情報が更新された更新日時を加味し、目標対象に関する情報を運転者に報知することができる(上述の(2)の条件)。上述では、第二DB431に記憶された6つの目標対象、すなわち自車両から所定距離内に設置された目標対象のうち、ループコイル(インデックス1)及び新Hシステム(インデックス4)を示すターゲットアイコン21、22のみが地図画像31に重ねて表示されることになる。例えば自車両の近傍に設置された目標対象のすべてが報知される場合、多数のターゲットアイコンが地図画像31上に重ねて表示されることになるので、運転者は、すべてのターゲットアイコンに注意を払うことが困難になる。一方、本発明では、上述したように、登録日時及び更新日時の新しい目標対象、すなわち、実際に設置されている可能性の高い目標対象を示すターゲットアイコン21、22のみが、地図画像31に重ねて表示される。」との記載から、実施例においては「第一の時間」が「4ヶ月」であり、実際に設置されている可能性の高い目標対象を示すターゲットアイコンのみを表示するための閾値として機能しうる時間であることが理解できる。
また、「当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする」との記載から、「第二の時間」とは、その時間が経過するまでは情報が新しい情報であることを示す表示とともにされるという閾値としての時間を意味していることが理解できる。
そして、明細書の段落【0069】の「制御部41は、選択された目標対象「ループコイル」を示すターゲットアイコン21、および、目標対象「新Hシステム」を示すターゲットアイコン22を、地図画像31における位置情報によって示される位置に重ね、メイン表示領域11に表示する。また制御部41は、選択した目標対象のうち、現在日時よりも2ヶ月前(2011年9月10日 9:15)時点以降の登録日時または更新日時が対応付けられている目標対象を選択する。第二DBでは、インデックス4「新Hシステム」が該当する。制御部41は、選択した目標対象「新Hシステム」のターゲットアイコン22に、更新日時が新しいことを示す文字「!更新」が示された吹き出し画像23を重ねて表示する。なお、登録日時が新しいことを示す吹出し画像には、登録日時が新しいことを示す文字「!新設」が示された吹出し画像が重ねて表示される。」との記載及び段落【0076】の「また、ある時間経過するまでは、警報時に「!新設」マークや「!更新」マークを表示して新しい情報であることを示す。これにより運転者は、このエリアはより注意が必要であることを認識できる。」との記載から、実施例においては「第二の時間」が「2ヶ月」であり、より注意が必要である表示をするための閾値として機能しうる時間であることが理解できる。
以上のとおり、本件発明1の「第一の時間」及び「第二の時間」の意味するところは明確である。また、本件発明1-4において、その他の不明確な発明特定事項もない。
よって、本件発明1-4は明確である。
2.申立人の主張について
申立人は、令和6年8月6日提出の意見書において「訂正事項における「第一の時間、第二の時間」の解釈には、どのような時間であるのか把握できず、全ての時間を含み得ることになり、何をもって新しい情報とするのか、いかようにも解釈することができ、不明確であると言わざるを得ません。」(第5頁第4行-第7行)と主張している。
しかし、上記1.のとおり、本件発明1の「第一の時間」及び「第二の時間」の意味並びに実施例における「第一の時間」及び「第二の時間」の実際の値及び機能は明確である。その上でなお「第一の時間」及び「第二の時間」を具体的に特定しなければ明確でないとする理由はない。
よって、申立人の上記主張は採用することができない。
3.小括
以上のとおり、本件発明1-4に係る特許は、特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものでないから、同法第113条第4号に該当せず、取り消すことはできな。
第7 令和6年4月23日付け取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった異議申立理由について
1.令和6年4月23日付け取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった異議申立理由の概要
令和6年4月23日付け取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった異議申立理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項1-4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるからり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
記
《引用文献等一覧》
甲1.特開2010-151664号公報
甲2.特開2008-64592号公報
甲3.特開2011-40012号公報
甲4.特開2003-130664号公報
甲5.特開2012-59004号公報
甲6.特開2008-89530号公報
なお、異議申立書及び証拠説明書では甲2-甲4について「特願○○○○-○○○○○○号公報」と記載されているが、異議申立書に添付された甲2-甲4の写し、異議申立書の引用箇所の記載及び証拠説明書の作成年月日の記載から、それらはすべて「特開○○○○-○○○○○○号公報」という記載の誤記であると認めた。
2.当審の判断
(1)甲1-甲6の記載事項
甲1、甲2、甲4及び甲6の記載事項は第5の1.のとおりである。
ア.甲3の記載事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0021】
本発明では、システムに参加している運転者のうち、一部の運転者が得ている様々な目撃情報や、目撃情報を元とした分析結果などの各種の情報を、管理センタが有するホストにリアルタイムで収集することとする。そして収集した目撃情報や分析結果などの情報を前記ホストに集積して、ホストが保有している公開情報や過去の蓄積情報などと共に各営業車に配信し、リアルタイムの客情報として提供する。ここで各営業車の運転者が個人的に把握している目撃情報や分析情報は多分に断片的な情報であるが、これらの情報をシステムが収集して総合することにより、体系的な情報として提供することが可能となる。なおこれらの運転者から集めた目撃情報、分析情報などを、以下ではくちこみ情報と称する。このくちこみ情報を含め、管理センタが収集、蓄積した情報である、イベント情報、周辺情報なども含めた、管理センタから各営業車に配信される一連の情報が客情報である。」
(イ)「【0029】
管理センタのホストがこれらの情報を管理して配信するためには、イベント情報、周辺情報、くちこみ情報を個別に管理することが望ましい。そのためにはホストは少なくともイベント情報サーバ、周辺情報サーバおよびくちこみ情報サーバの3種類のサーバを備えることが必要となる。この場合、イベント情報、周辺情報、くちこみ情報の各々については、運転者の側からとくに要求しなくても各々の運転者のために最適に選択された客情報をホストが定期的に配信することとなる。これらの情報を閲覧するために運転者が行う操作は、これら3種の情報の表示の切り替えや、各情報における表示画面のモードの切り替えなどのみであり、表示する情報の種類や画面のモードの切り替えを行わない場合は、無操作でこれらの情報を閲覧することができる。一方、運転者が管理センタにくちこみ情報の提供を行う際には客情報発信端末での一定の操作が必要である。くちこみ情報の提供の操作は営業車の運転中に行うことを念頭においたものではない。」
(ウ)「【0098】
図3は、本発明のシステムに参加する営業車の運転者が所持する情報表示端末の例であり、図1の情報表示端末109,110と同じものである。図3の右側の図はこの情報表示端末の背面図、右側の図は情報表示端末の正面図であり、この端末は業務用携帯電話機をシステムの端末として用いたものである。この情報表示端末はホストに対して現在位置を送信するとともに、イベント情報、周辺情報、くちこみ情報の配信を受けて、それぞれ複数の表示モードにて画面に表示する機能を有する。情報表示端末は位置情報を取得するためのGPS機能を備えており、また本発明のシステムにて提供される機能の1つである緊急連絡を行う機能を有している。緊急連絡機能は一般会員、くちこみ会員のいずれでも利用することができ、緊急連絡の情報は送信者の位置情報とともに、警察組織や警備組織などの他に全会員に配信される。なお情報表示端末は営業車内では専用のホルダ等に固定して用いることでハンズフリーでの使用が可能であり、また端末に携帯電話機を用いる場合は通常の携帯電話としての使用も可能である。」
(エ)「【0118】
図10に示した例ではこのうち内容、人数、予測時間についてはプルダウンメニューからの選択が可能となっており、これにより、営業車を待つ客の人数や客待ちの営業車の台数などの定型の情報を登録する際の入力作業の簡略化を図ることができる。またこの他にくちこみ情報として交通取締りの情報や道路渋滞情報、通行止めなどの情報などを登録することも可能であり、またカメラ付きの情報表示端末などで撮影した画像情報を添付することもできる。なお図10の左側にはくちこみ情報登録との見出しの他に、くちこみ情報の登録者である運転者が現在までに獲得したポイントの管理に関する情報が表示されている。図10の例では過去のポイントの獲得履歴を閲覧することができる。」
イ.甲5の記載事項
甲5には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0045】
蓄積情報12aは、車両100(携帯端末装置30)から送信された回答情報を特定のキーワードと関連付けて蓄積した情報である。たとえば、蓄積情報12aには、天気、渋滞情報、路面状況、路上駐車状況、取り締まり位置、設定ルート、運転のし易さ、利用者属性情報といった情報が含まれている。」
(イ)「【0061】
なお、蓄積情報12aには、各車両100(携帯端末装置30)から受信した回答情報だけでなく、各車両100(携帯端末装置30)から自主的に送信された口コミ等の投稿情報も蓄積される。」
(ウ)「【0099】
まず、車載装置20の各構成要素について説明する。近距離通信部21は、携帯端末装置30との間でブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信を行う処理部である。タッチパネルディスプレイ22は、各種画像を表示するためのディスプレイの表面に入力用のタッチパネルを付した入出力デバイスである。ここでは、説明の便宜上、タッチパネルディスプレイ22を表示部22aと操作部22bとに分けて説明する。スピーカ23は、連携部24aから受け取った音声を出力する音声出力部である。」
(2)対比及び判断
本件発明1と甲1発明の一致点、相違点並びに本件発明1-4は、甲1発明、甲2の記載事項、甲4の記載事項及び甲6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない理由は第5の2.のとおりである。
さらに、甲3及び甲5にも、相違点2に係る本件発明1の特定事項に係る「当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御」について記載も示唆もない。
したがって、本件発明1-4は、甲1発明及び甲2の記載事項、甲3の記載事項、甲4の記載事項、甲5の記載事項及び甲6の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、令和5年12月27日提出の申立人による意見書に添付された参考文献1(特開2002-139324号公報)、参考文献2(特開2012-022592号公報)、参考文献3(特開2007-147385号公報)及び参考文献4(特開2009-019910号公報)にも、相違点2に係る本件発明1の特定事項に係る「前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報を取得し、当該口コミ情報の登録がされてからの経過時間が第一の時間以内であるときになされる、前記交通監視位置情報に関連する一般者から投稿された投稿情報に含まれる口コミ情報に関する報知を、当該口コミ情報の登録がされてから第二の時間が経過するまで当該口コミ情報が新しい情報であることを示す表示とともにする報知制御を行う機能」について記載も示唆もないから、本件発明1-4は、甲1発明、甲2の記載事項、甲3の記載事項、甲4の記載事項、甲5の記載事項、甲6の記載事項、参考文献1の記載事項、参考文献2の記載事項、参考文献3の記載事項及び参考文献4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
3.小括
以上のとおり、本件発明1-4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでないから、同法第113条第2号に該当せず、取り消すことはできない。
第8 まとめ
以上のとおり、当審が令和6年4月23日付けで特許権者に通知した取消理由及び特許異議申立書に記載された取消理由によっては、本件発明1-4に係る特許は、取り消すことはできない。
また、他に本件発明1-4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700627