特許異議申立
2017-700601
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法
- 審判番号
- 2017-700601
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-163014
- 登録番号
- 特許第6043415号(P6043415)
- 請求日
- 2017年06月14日
- 審決日
- 2018年05月31日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 却下
- 当事者
- 【権利者】アルケマ フランス
- 【権利者代理人】越場 隆
- 【権利者代理人】越場 洋
- 【異議申立人】ダイキン工業 株式会社
- 【異議申立人代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬良 聡機
- 審判官 木村 敏康
- 審判官 関 美祝
- 分類
- P1651.536-YAA(C07C) / P1651.537-YAA(C07C) / P1651.113-YAA(C07C) / P1651.121-YAA(C07C) / P1651.161-YAA(C07C) / P1651.851-YAA(C07C) / P1651.852-YAA(C07C) / P1651.853-YAA(C07C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条の2、特許法第29条、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第184条の4第3項、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6043415号発明「2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
1 特許第6043415号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂
正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正す
ることを認める。
2 特許第6043415号の請求項1、5ないし12に係る特許を維持す
る。
3 特許第6043415号の請求項2ないし4に係る特許についての特許
異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 主な手続の経緯
特許第6043415号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、2010年10月22日を国際出願日とする特願2013-534393号の一部を平成27年8月20日に新たな特許出願としたものであって、平成28年11月18日にその特許権の設定登録がされ、同年12月14日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、その請求項1~12に係る発明の特許に対し、平成29年6月14日に特許異議申立人 ダイキン工業株式会社(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、同年9月6日付けで取消理由が通知され、同年12月11日に特許権者から意見書の提出及び訂正の請求、平成30年1月12日に訂正請求書の手続補正書(方式)が提出され、その訂正の請求に対して申立人から平成30年3月14日に意見書が提出されたものである。
第2 訂正の適否
1 訂正の趣旨
平成30年1月12日付けで補正された平成29年12月11日付けの訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の訂正の趣旨は、「特許第6043415号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~12について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の内容
本件訂正の内容は以下の(1)~(10)のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「(b)得られた2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンをHFおよび1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパンの存在下の触媒反応で2,3,3,3-テトラフルオロプロペンにする。」と記載されているのを「(b)100モルの2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO 1233xf)に対して47モルの1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(245cb)の比率で1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを添加し、(a)で得られた2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンをHFと触媒反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンにする。」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。」と記載されていのを「請求項1に記載の方法。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。」と記載されていのを「請求項1、5および6のいずれか一項に記載の方法。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。」と記載されていのを「請求項1および5~7のいずれか一項に記載の方法。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。」と記載されているのを「請求項1および5~9のいずれか一項に記載の方法。」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。」と記載されているのを「請求項1および5~10のいずれか一項に記載の方法。」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項12に「請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。」と記載されているのを「請求項1および5~11のいずれか一項に記載の方法」に訂正する。
3 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項について
(1)訂正の目的要件の適否について
ア 訂正事項1
訂正前の請求項1には、2,2,2,3-テトラフルオロプロペンの製造方法における(b)の段階について、「(b)得られた2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンをHFおよび1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパンの存在下の触媒反応で2,3,3,3-テトラフルオロプロペンにする」と記載されていたところ、「1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパン」は、2位の炭素原子の価数が超過しており化学的に適切でない化合物名が記載されていたため、前記化合物名に誤りが存在している。
これについて、訂正前の請求項1に記載されている(b)の段階は、(a)の段階で得られた2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを、「HFおよび1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパンの存在下の触媒反応」で2,3,3,3-テトラフルオロプロペンにするとあることから、「HF」以外の化合物の存在下で触媒反応を行うことが理解できるところ、本件特許明細書には、(b)の段階について、「2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン」と「HF」との反応から「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン」を製造するにあたり、「HF」以外の化合物の存在下で触媒反応を行うことに関しては、本件特許明細書内で唯一実施例7に「・・・フィードに245cbを加えた。245cbの流速は2.1g/時、1233xfの流速は4.5g/時、HF流の流速16.2g/時である。従って、100モルの1233xfに対して47モルの245cbを使用した。・・・」(本決定注:1233xfは2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンであり、245cbは1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンである)と記載されている。すなわち、実施例7には、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとHFと、さらに1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンの存在下の触媒反応を行うことが記載されており、それ以外の化合物の存在下で触媒反応を行うことについては、本件特許明細書には直接記載されていない。したがって、誤りがあることが明らかな「1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパン」は、正しい記載が「1,1,1,2,2,-ペンタフルオロプロパン」であったことは本件特許明細書全体の記載から自明である。
そして、この訂正は、本件特許明細書の実施例7の記載に基づき、化学的にあり得ない化合物名であった「1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパン」を正しい記載である「1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン」に誤記の訂正を目的として訂正するとともに、同実施例7の記載に基づき、反応条件について「(b)100モルの2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO 1233xf)に対して47モルの1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(245cb)の比率で1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを添加し」に特許請求の範囲の減縮を目的として訂正し、表現を整理して「・・・HFと触媒反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンにする」に明瞭でない記載の釈明を目的として訂正するものである。
よって、訂正事項1は、誤記又は誤訳の訂正、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 訂正事項2~4
これらの訂正は、訂正前の請求項2~4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ 訂正事項5~10
これらの訂正は、請求項2~4の削除にともない、請求項5、7、8、10~12の記載を請求項2~4を引用しないものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加の有無について
ア 訂正事項1
訂正事項1の(b)の段階の特定は実施例7に記載されており、新規事項の追加に該当しない。
イ 訂正事項2~4
訂正前の請求項2~4を削除するものであるから、新規事項の追加に該当しないことは明らかである。
ウ 訂正事項5~10
請求項2~4の削除にともない、請求項5、7、8、10~12の記載を請求項2~4を引用しないものに訂正するものであるから、新規事項の追加に該当しない。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
ア 訂正事項1
訂正事項1は、誤記又は誤訳の訂正及び特許請求の範囲の減縮をしたものであるから、この訂正によって発明の要旨が変更されることはなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
イ 訂正事項2~4
訂正前の請求項2~4を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかである。
ウ 訂正事項5~10
請求項2~4の削除にともない、請求項5、7、8、10~12の記載を請求項2~4を引用しないものに訂正するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)一群の請求項について
本件訂正に係る訂正前の請求項1~12は、請求項2~12が訂正の請求の対象である請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前の請求項1~12に対応する訂正後の請求項1~12は、特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項に該当するものである。したがって、本件訂正は一群の請求項ごとにされたものである。
(5)申立人の主張について
申立人は、平成30年3月14日付け意見書において、上記訂正事項1は、HFの添加量、空気を加えること及び導入した酸素の量を特定しないなど実施例7と同一内容まで限定しておらず、実施例7にはこれらの条件が異なった場合に2,3,3,3-テトラフルオロプロペンが得られるかどうか記載されていないため、実施例7は訂正事項1の根拠とならず、また、現実に存在しない化合物から現実に存在する化合物に変更するのであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものである旨主張する(4頁5行~6頁20行)。
しかしながら、本件訂正前の請求項1の「1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパン」は化学的に適切でない記載であるから、何らかの誤記であることは明らかである。そして、本件特許明細書には、(b)の段階で「2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン」と「HF」及び他の化合物の存在下で触媒反応を行うことについては実施例7にしか明記されておらず、それ以外に(a)の段階で得られた「2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン」と「HF」と他の化合物を共存させていることに関する記載はない。
そうすると、本件特許明細書全体の記載から、現実に存在しない「1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパン」は、正しい記載が「1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン」であることが理解できるのであるから、訂正事項1は、HFとともに存在させる化合物を別の化合物に変更して触媒反応も変更するようなことにはあたらず、実質上特許請求の範囲を変更するものということはできない。
また、実施例7と同一内容まで限定されていないことや、実施例7と条件が異なっていても目的物が得られることが記載されていないことは、訂正事項1が訂正要件を満たしていない理由とはならない。
よって、申立人の主張は採用できない。
4 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、且つ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、訂正後の請求項〔1~12〕についての訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2で述べたように、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1、5~12に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正発明1」などといい、まとめて「本件訂正発明」ともいう。)は、平成30年1月12日に提出された手続補正書(方式)により補正された、平成29年12月11日付けの訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲の請求項1、5~12に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
下記(a)と(b)の段階から成ることを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法:
(a)1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンおよび/または1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンをHFと気相で触媒反応させて、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを作り、
(b)100モルの2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO 1233xf)に対して47モルの1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(245cb)の比率で1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを添加し、(a)で得られた2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンをHFと触媒反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンにする。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
段階(b)をNi-Crから成る触媒の存在下で実行する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
触媒がフッ素化アルミナ、フッ素化クロミア(chromia)、フッ素化活性炭またはグラファイトカーボンの中から選択される担体上に担持されている請求項5に記載の方法。
【請求項7】
段階(a)および/または(b)を酸素の存在下で実行する請求項1、5および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
段階(a)をNi-Crから成る触媒の存在下で実行する請求項1および5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
触媒がフッ素化アルミナ、フッ素化クロミア(chromia)、フッ素化活性炭またはグラファイトカーボンの中から選択される担体上に担持されている請求項8に記載の方法。
【請求項10】
段階(b)の温度を段階(a)の温度より少なくとも30℃高くする請求項1および5~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンが異性体1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを40モル%以下まで含む請求項1および5~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
連続法で行う請求項1および5~11のいずれか一項に記載の方法。」
第4 取消理由
1 申立人が申し立てた取消理由
申立人が申し立てた取消理由の概要は以下のとおりである。
(1)取消理由1
本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~12の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、これら請求項に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2
本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~12に係る発明についての発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、これら請求項に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(3)取消理由3
本件特許は、特許請求の範囲の請求項1~12の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、これら請求項に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。
(4)取消理由4
本件特許の請求項1、5、6、8、10~12に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(5)取消理由5
本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許の出願前日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明及び甲2号証に記載の事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、これら請求項に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
(6)取消理由6
本件特許の請求項1、2、5、7、11に係る発明は、本件特許出願日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、本件特許出願後に国際公開がされた甲第3号証の外国語特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件特許出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり(同法第184条の13参照)、同法第113条の第2号に該当し、取り消すべきものである。
(7)証拠方法
甲第1号証:国際公開第2008/054781号
甲第2号証:特表2010-531895号公報
甲第3号証:PCT/JP2010/057727(国際公開第2010/123154号)
(なお、以下、甲第1号証などを単に「甲1」などという。)
2 当審が通知した取消理由
当審が通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
(1)理由1
本件の請求項1~12に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。
よって、本件特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
(2)理由2
本件の請求項1~12に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。
よって、本件特許は、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
(3)理由3
本件の請求項1~12に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではない。
よって、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
当審は、本件訂正発明1、5~12は、当審の通知した取消理由及び申立人の申し立てた取消理由によっては、取り消すことはできないと判断する。その理由は以下のとおりである。
さらに、訂正前の請求項2~4に係る特許は訂正により削除されているので申立てを却下する。
当審が通知した取消理由の判断
1 理由1(特許法第36条第6項第2号)について
取消理由で、本件訂正前の請求項1に記載の「1,1,2,2,2-ペンタクロロプロパン」は2位の炭素原子の価数が超過しており、意味する化合物が明確でなく、請求項1及びこれを直接又は間接的に引用する請求項2~12の特許を受けようとする発明は明確でないと通知したところ、本件訂正により2位の炭素原子の価数に超過のない明細書に記載された合理的化合物である「1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン」に訂正されているので、不明確な点はなくなった。
したがって、本件訂正発明1は明確である。また、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用する本件訂正発明5~12も本件訂正発明1が上記のとおり訂正されたので明確となった。したがって、取消理由通知に記載した理由1は解消している。
よって、本件訂正発明1、5~12の記載は、特許法第36条第6項第2号に適合するものである。
2 理由2(特許法第36条第6項第1号)について
(1)判断の前提
いわゆるサポート要件を満たすか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)判断
本件訂正発明1、5~12の課題は、本件特許明細書の【0008】の記載からみて、ペンタクロロプロパンから始めて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、中間段階で2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造せずに実施される方法を提供することと認められる。
取消理由で、本件訂正前の請求項1には上記1で指摘したとおりの不備があり、また本件訂正前の請求項2~4に係る発明は、2,2,2,3-テトラフルオロプロペンの製造方法における(b)の段階について、さらに(i)~(iii)(又は(iv))の段階を含むと特定されているところ、本件特許明細書は、上記(i)~(iii)(又は(iv))の段階について、当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる程度に記載されていないため、本件訂正前の請求項1~4並びにこれらを直接又は間接的に引用する請求項5~12は、発明の詳細な説明の記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない、具体的には、本件訂正前の請求項2~4の(i)~(iii)(又は(iv))の段階を有する2,2,2,3-テトラフルオロプロペンの製造方法について、実験的にも理論的にも裏付けられていないと通知したところ、本件訂正により本件訂正発明1の不備は解消し、本件訂正前の請求項2~4は削除されたので、請求項1~4を直接又は間接的に引用していたことによる本件訂正発明5~12に関する不備も解消し、取消理由通知に記載した理由2は解消している。
そして、本件訂正発明1、5~12に関して、本件特許明細書において、本件訂正発明1、5~9、11については、実施例12~15及び実施例7に記載がなされており、本件訂正発明10及び12については、本件特許明細書の【0034】及び【0072】~【0073】に(a)の段階及び(b)の段階の具体的な温度とそれらの関係について記載され、【0024】にこれら2つの段階を連続で実行できることが記載されていることから、当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる程度に記載されており、裏付けられているといえる。
よって、本件訂正発明1、5~12の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものである。
3 理由3(特許法第36条第4項第1号)について
取消理由で、本件訂正前の請求項1には上記1で指摘したとおりの不備があり、また本件訂正前の請求項2~4に係る発明は、2,2,2,3-テトラフルオロプロペンの製造方法における(b)の段階について、さらに(i)~(iii)(又は(iv))の段階を含むと特定されているところ、本件特許明細書は、上記(i)~(iii)(又は(iv))の段階について、当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないため、本件特許の発明の詳細な説明が、本件訂正前の請求項1~4並びにこれらを直接又は間接的に引用する請求項5~12に係る発明を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえない、具体的には、(i)~(iii)(又は(iv))の工程については一般的に記載されるにとどまり、実施例はもとより具体的な蒸留条件や操作手順も記載されていないと通知したところ、本件訂正により本件訂正発明1の不備は解消し、本件訂正前の請求項2~4は削除されたので、請求項1~4を直接又は間接的に引用していたことによる本件訂正発明5~12に関する不備も解消した。
そして、本件訂正発明1、5~9、11については、実施例12~15及び実施例7に、本件訂正発明10及び12については、本件特許明細書の【0024】、【0034】及び【0072】~【0073】に当業者が実施することができる程度に明確且つ十分に記載されているといえる。
よって、本件訂正発明1、5~12についての本件特許明細書の記載は、特許法第36条第4項第1号に適合するものである。
申立人の主張について
申立人は、平成30年3月14日付け意見書において、本件訂正発明1、5~12は、実施例7と同一内容まで限定されておらず、HFの添加量、空気を加えること及び導入した酸素の量を特定しないものであるから、サポート要件及び実施可能要件を満たさない旨主張する(7頁2行~8頁2行)。
しかしながら、本件特許明細書の【0034】~【0035】及び【0070】~【0071】にHFの添加量や、空気(酸素)を加えることは触媒寿命を改良することであることが説明されていることからみて、申立人は、これらの条件を満たさないことで、ペンタクロロプロパンから始めて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造することができないことを具体的に示すものでもないのであるから、これらの条件について本件訂正発明1、5~12において特定されていないからといって、サポート要件及び実施可能要件を満たさないとまではいえない。
取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号及び同項第2号に基づく取消理由について(申立書10~14頁)
(1)申立人は、特許法第36条第6項第2号に基づく取消理由について、概略、本件訂正発明10には、「段階(b)の温度を段階(a)の温度より少なくとも30℃高くする」と記載されているが上限値が特定されていないため不明確であり、本件訂正発明11には、「1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンが異性体1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンを40モル%以下まで含む」と記載されているが下限値が特定されていないため「0」を含むか不明確である。そして、これらを引用する本件訂正発明12も不明確である旨主張する(申立書10~11頁の(イ)及び(ウ))。
しかしながら、本件訂正発明10~12の特定事項は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法における反応温度や出発材料の組成に関することであり、本件特許明細書の【0034】及び【0072】~【0073】に、段階(a)及び(b)の具体的な温度とそれらの関係について記載され、【0057】に、出発材料について記載されている。そもそも、異性体の量に関しては、本件訂正発明11は本件訂正発明1(1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンおよび/または1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンと記載されている)を引用するものであるから0を含むことは明らかであって、当業者は、上限値や下限値が特定されていなくても技術常識からその範囲を理解することができるといえ、第三者に不測の不利益を生じるほどに不明確ということはできない。
よって、申立人の主張は採用できない。
(2)申立人は、特許法第36条第4項第1号に基づく取消理由について、概略、本件訂正発明1、5~12は「触媒反応」に特定されている一方で「触媒」の種類は特定されていないのに対し、本件特許明細書の実施例では特定の触媒しか使用されていないため、あらゆる触媒についてまで実施できるように記載されているとはいえず、実施可能要件を満たしていない旨主張する(申立書12頁の(オ))。
しかしながら、本件訂正発明1、5~12は、物を生産する方法の発明であるから、発明の詳細な説明の記載及び出願時(遡及日)の技術常識に基づき、当業者がその物を生産できるように記載されていれば足り、特定の反応にあらゆる触媒が使用し得るものではないことは、技術常識であるのだから、本件特許明細書の【0070】に(a)の段階及び(b)の段階で使用できる触媒について説明されており、【0084】及び【0095】などに具体的にそれぞれの触媒反応により目的とする物質が製造できたことが示されている以上、本件特許の特許請求の範囲の記載が、あらゆる触媒による製造方法に関する発明であるとの前提にたった申立人の主張は採用できない。
(3)申立人は、特許法第36条第6項第1号に基づく取消理由について、概略、本件訂正発明1、5~12は「触媒反応」に特定されている一方で「触媒」の種類は特定されていないのに対し、本件特許明細書の実施例では特定の触媒しか使用されていないため、あらゆる触媒について発明の詳細な説明に記載されているとはいえず、また、本件訂正発明11~12は、「異性体1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン」が含まれない態様を包含するが、そのような場合についてまで発明の詳細な説明に記載されているとはいえない旨主張する(申立書13頁の(ク)及び14頁の(コ))。
この点についてみると、上記のとおり、本件訂正発明1、5~12の課題は、本件特許明細書の【0008】の記載からみて、ペンタクロロプロパンから始めて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、中間段階で2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造せずに実施される方法を提供することと認められる。
そして、触媒反応に関しては、上記(2)のとおりの記載があり、ペンタクロロプロパンに関しては、本件特許明細書の実施例12及び13に、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンのみ、あるいは39.9%の1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパンとの混合物を用いた例が記載されている。また、本件特許明細書の実施例の記載から、中間段階で2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造せずに実施される方法であることが理解できる。
したがって、本件訂正発明1、5~12に係る特許請求の範囲の記載は、当業者が本件訂正発明1、5~12の課題を解決できると認識できる範囲内のものであるといえるから、サポート要件を満たすものである。
(4)小活
よって、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号及び同項第2号に基づく申立人の取消理由は理由がない。
2 特許法第29条第1項第3号、同条第2項に基づく取消理由について(申立書23~34頁)
(1)甲1発明
甲1の請求項1、2、4、14からみて、甲1には、次の甲1発明が記載されているものと認める。
「CF3CF2CH3、CF3CF=CH2及びCF3CCl=CH2よりなる群から選ばれる少なくとも1種の製造方法であって、式CX3CHClCH2Xのハロプロパン、式CClX2CCl=CH2のハロプロペン、及び式CX2=CClCH2Xのハロプロペンよりなる群から選ばれる少なくとも1つの出発物質(式中、Xは、独立してF及びClを示す)を、フッ素化触媒の存在下に気相の反応領域において、HFと反応させ、HF、HCl、CF3CF2CH3、CF3CF=CH2及びCF3CCl=CH2の混合生成物を生成させ、前記混合生成物からCF3CF=CH2を回収すること、あるいは生成混合物からのCF3CCl=CH2をフッ素化してCF3CF=CH2及びCF3CF2CH3の少なくとも1つを調製することを含み、反応領域に供給される出発物質の全量に対するHFのモル比は少なくとも化学量論である、製造方法。」
(2)本件訂正発明1と甲1発明との対比
ア 甲1発明の「CF3CF2CH3」は、本件訂正発明1の「1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン」に相当する。なお以下では、これらを「245cb」ともいう。
甲1発明の「CF3CF=CH2」は、本件訂正発明1の「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン」に相当する。なお以下では、これらを「1234yf」ともいう。
甲1発明の「CF3CCl=CH2」は、本件訂正発明1の「2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン」に相当する。なお以下では、これらを「1233xf」ともいう。
甲1発明の式CX3CHClCH2Xのハロプロパンであって、式中、XがClを示す場合の「CCl3CHClCH2Cl」は、本件訂正発明1の「1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン」に相当する。なお以下では、これらを「240db」ともいう。
イ そうすると、両発明は少なくとも次の点で相違する。
本件訂正発明1は、(b)の段階が、100モルの1233xfに対して47モルの245cbの比率で245cbを添加し、(a)で得られた1233xfをHFと触媒反応させて1234yfにすると特定されているのに対し、
甲1発明は、生成混合物からの1233xfをフッ素化して1234yf及び245cbの少なくとも1つを調製すると特定されている点
(3)そこで、上記相違する点について検討する。
甲1には、1233xfとHFとの触媒反応において、さらに245cbの存在下で反応を行うことが示唆される記載はない。
むしろ、甲1の請求項3及び12頁28~33行には、生成混合物からの245cbは脱フッ化水素触媒を用いて脱フッ素化し、1234yfを製造することが記載されている。
そうすると、甲1発明において、1233xfとHFとの触媒反応に際して、生成混合物中の245cbをも存在させる、あるいは別途用意した245cbとを存在させる動機はなく、生成混合物中の245cbは、脱フッ素化して目的物でない1234yfにむしろなってしまうといえるから、1233xfとHFとの反応に供給するには阻害要因があるといえる。
ましてや、1233xfに対して特定の比率で用いることが想到容易ということはできない。
よって、上記相違点は実質的な相違点であるとともに当業者が容易に想起できる技術的事項でもない。
(4)上記のとおり、本件訂正発明1は、甲1発明と相違するから、甲1に記載された発明であるとはいえない。
また、本件訂正発明5、6、8、10~12も、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用してさらに限定を付すものであるから、本件訂正発明1について検討したことと同様の理由により、甲1に記載された発明ではない。
そして、上記の相違点は当業者が容易になし得たことではないから、本件訂正発明1は、甲1発明に基づいて容易になし得たものということもできない。
申立人の提示する甲2は、訂正前の請求項2、4、6、7、10についての想到容易を主張立証するためのものであるところ、出発物質が異なる甲2の記載を考慮しても、上記判断には変わりはない。
(5)申立人の主張について
申立人は、平成30年3月14日付け意見書において、甲1には、240dbとHFとの触媒反応により、245cb、1234yf、1233xf等の混合物を生成させ、最終的に245cb及び1234yfの混合物を生成しているのであるから、反応の途中段階では1233xfと245cbとが共存した状態でHFと触媒反応することを包含しているといえる旨、1233xfと245cbとの比率は適宜調整できるものであって、本件特許明細書等から特定の比率であることによって予測できない顕著な効果を奏するものともいえない旨主張する(11頁12行~12頁23行)。
しかしながら、申立人の主張するように、甲1発明において、240dbを出発物質として選択して気相でHFを触媒反応させて、1233xfの他に245cbも含まれる生成混合物を得てから、そのまま更にHFと触媒反応させることが記載されているとしても、その場合にどの程度の245cbが存在しているかは不明といわざるを得ない。(本件特許明細書の【0098】によれば、1233xfとともに得られる245cbは僅かな量と解される。)
そして、甲1には、1233xfとともに得られる245cbの量を、1233xfに対して特定の比率に調整しつつ触媒反応を行うことを示唆する記載もないのは上記のとおりである。
よって、申立人の主張は採用できない。
(6)小活
以上のとおりであるから、特許法第29条第1項第3号、同条第2項に基づく申立人の取消理由は理由がない。
3 特許法第29条の2に基づく取消理由について(申立書34~36頁)
(1)甲3発明
甲3の請求項1、3からみて、甲3には、次の甲3発明が記載されているものと認める。
「組成式:CrOm(1.5<m<3)で表される酸化クロム又は該酸化クロムをフッ素化して得られるフッ素化酸化クロムを含む触媒と酸素の存在下に、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとフッ化水素とを反応させることを特徴とする、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法であって、
更に,2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む反応生成物を、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含む成分Aと、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパンを含む成分Bと、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含む成分Cとに分離し、成分A及び/又は成分Bを、原料として用いる2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンに供給する工程を含む方法。」
(2)本件訂正発明1と甲3発明との対比
ア 甲3発明及び本件訂正発明1の「2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン」を「1233xf」ともいい、甲3発明及び本件訂正発明1の「2,3,3,3-テトラフルオロプロペン」を「1234yf」ともい、甲3発明及び本件訂正発明の「1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン」を「245cb」ともいう。
イ そうすると、両発明は少なくとも次の点で相違する。
本件訂正発明1は、(a)と(b)の段階から成る2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法であって、(b)の段階が、100モルの1233xfに対して47モルの245cbの比率で245cbを添加し、(a)で得られた1233xfをHFと触媒反応させて1234yfにすると特定されているのに対し、
甲3発明は(a)の段階がなく、(b)の段階についてそのような特定がなされていない点
(3)そこで、上記相違する点について検討する。
甲3には、甲3発明の原料として用いる1233xfは、CCl3CHClCH2Cl(本決定注:本件訂正発明1の1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンに相当)等を原料として、フッ化水素の存在下に、フッ素化及び脱塩化水素化反応を行うことによって得ることができることは記載されているが、この反応を気相で触媒反応させて行うことは記載されていない。
また、甲3の10頁22~35行には、原料である1233xfに245cbを供給することで反応収率を向上できることは示されているが、1233xfに対しどの程度の量の245cbを供給するかについては記載されていない。
そして、原料である1233xfが本件訂正発明1の(a)の段階で得られたものであることも記載されていない。
よって、上記相違点は実質的な相違点である。
(4)上記のとおり、本件訂正発明1は、甲3発明と相違するから、甲3に記載された発明であるとはいえない。
そして、本件訂正発明5、7、11も、本件訂正発明1を直接又は間接的に引用してさらに限定を付すものであるから、本件訂正発明1について検討したことと同様の理由により、甲3に記載された発明ではない。
(5)小活
以上のとおりであるから、特許法第29条の2に基づく申立人の取消理由は理由がない。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1、5~12に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び申立人が申し立てた理由及び主張によっては、取り消されるべきものとはいえない。
また、他に請求項1、5~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項2~4に係る特許に関するは、本件訂正により削除されたため、請求項2~4に係る特許に関する申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2017-700601