審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2017-700006

照明器具

審判番号
2017-700006
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2015-115733
登録番号
特許第5950141号(P5950141)
請求日
2017年01月05日
審決日
2017年12月01日
公報発行日
2018年03月30日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】東芝ライテック株式会社
  • 【権利者代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
  • 【権利者代理人】熊谷 昌俊
  • 【権利者代理人】河野 仁志
  • 【異議申立人】西村 太一
  • 【異議申立人】梯 七枝
審判長/審判官
  • 審判長 和田 雄二
  • 審判官 尾崎 和寛
  • 審判官 島田 信一
分類
P1651.121-YAA(F21S) / P1651.536-YAA(F21S) / P1651.537-YAA(F21S) / P1651.55 -YAA(F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第4項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第17条の2第3項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特許第5950141号発明「照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

【結 論】 特許第5950141号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正することを認める。 特許第5950141号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。

理由

【理 由】 1.手続の経緯 特許第5950141号の請求項1および2に係る特許についての出願は、平成27年6月8日に特許出願され(出願遡及日平成23年1月11日)、平成28年6月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人 西村太一、および、梯七枝により、それぞれ特許異議の申立てがされ、平成29年4月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年6月16日に意見書の提出および訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があったものである。なお、本件訂正請求に対して,両特許異議申立人に対して意見書の提出を求めたところ、両特許異議申立人から意見書の提出はなかった。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所である)。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の記載を、「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する本体と;実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設されたサークル上の基板と;前記開口部を中心とする円周上に複数列前記基板に実装された発光素子と;前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されていて、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材と;を具備することを特徴とする照明器具。」に訂正する。 また、特許請求の範囲の請求項2の記載を、「前記拡散部材に対して所定の距離を有するように前記本体に着脱可能に取付けられるカバー部材を有していることを特徴とする請求項1記載の照明器具。」に訂正する。 イ 訂正事項2 明細書の段落【0008】の記載を、「本発明の実施形態による照明器具は、器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する本体と;実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設されたサークル上の基板と;前記開口部を中心とする円周上に複数列前記基板に実装された発光素子と;前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されていて、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材と;を備えている」に訂正する。 ウ 訂正事項3 訂正前の明細書の段落【0015】の「全体としル状に」という記載を、「全体として略サークル状に」に訂正する。 エ 訂正事項4 訂正前の明細書の段落【0023】の「基板21の全面を覆うように配設されている。」という記載を、「基板21の実装面側の全面を覆うよう、基板21の実装面側に重ね合わせられるように配設されている。」に訂正する。 オ 訂正事項5 訂正前の明細書の段落【0025】の「基板21の全面が覆われるようになっている」という記載を、「基板21の実装面側の全面が覆われるようになっている。」に訂正する。 カ 訂正事項6 訂正前の明細書の段落【0028】の「拡散部材3には、平坦部33が形成されていて基板21の全面を覆うようになっているので」という記載を、「拡散部材3には、平坦部33が形成されていて基板21の実装面側の全面を覆うようになっているので」に訂正する。 キ 訂正事項7 訂正前の明細書の段落【0032】の「基板21の全面が本体1に接触する場合に限らない」という記載を「基板21の裏面側の全面が本体1に接触する場合に限らない」に訂正する。 ク 訂正事項8 訂正前の明細書の段落【0045】の「器具本体を」という記載を、「本体1を」に訂正する。 ケ 訂正事項9 訂正前の明細書の段落【0052】の「拡散部材3は、基板21の全面を覆うようになっているので」という記載を、「拡散部材3は、基板21の実装面側の全面を覆うようになっているので」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無および特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 上記(1)アの訂正のうち、訂正前の請求項1の「開口部を有する器具本体と」および「器具本体の内周方向及び外周方向に」を、それぞれ「開口部を有する本体と」および「前記本体の内周方向及び外周方向」とする訂正は、訂正前の請求項1に係る「器具本体」が、明細書との関係で不明瞭であったものを、明細書での「本体1」と用語を統一することにより明瞭にするものであるので、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえる。そして、「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する」のが、本体であることは、例えば、明細書段落【0013】~【0014】、【図1】~【図4】に記載されているから、新規事項の追加に該当せず、また、この訂正によりカテゴリーや対象、目的を変更するものでないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 上記(1)アの訂正のうち、訂正前の請求項1の「前記発光素子に対向して断面形状が突状部として形成されているとともに」を、「前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに」とする訂正は、訂正前の請求項1に係る「レンズ部材としての拡散部材」について、「発光素子に対向して断面形状が突状部として形成されている」を、「発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されている」という点を技術的に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であるといえる。そして、この訂正に係る訂正事項は、明細書段落【0023】~【0024】、【図5】、【図7】に記載されているから、新規事項の追加に該当せず、また、この訂正によりカテゴリーや対象、目的を変更するものでないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ 上記(1)アの訂正のうち、訂正前の請求項1の「前記基板の全面が覆われるように前記基板の前面側に重ね合わされるように」を、「前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように」とする訂正は、訂正前の請求項1の記載において、「レンズ部材としての拡散部材」を「基板の前面側に重ね合わされるように配設」することにより「基板の全面が覆われる」とされとのように、「基板の全面」のとらえ方によっては(前面、後面、側面の全部の面を含む場合)、技術的に整合しない記載であったものを、「レンズ部材としての拡散部材」を「基板の実装面側に重ね合わされるように配設」することにより「基板の実装面側の全面を覆う」ものという、技術的に整合する記載とするものであるといえるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえる。そして、この訂正に係る訂正事項は、明細書の段落【0052】、【図4】、【図5】、【図7】に記載されているから、新規事項の追加に該当せず、また、この訂正によりカテゴリーや対象、目的を変更するものでないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 エ 上記(1)アの訂正のうち、請求項2についての訂正は、上記(1)アの訂正のうち、訂正前の請求項1の「開口部を有する器具本体と」および「器具本体の内周方向及び外周方向に」を、それぞれ「開口部を有する本体と」および「前記本体の内周方向及び外周方向」とする訂正に連動するものである。よって、上記アと同様に、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえ、新規事項の追加に該当せず、また、この訂正によりカテゴリーや対象、目的を変更するものでないから実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 オ 上記(1)イ、エ、オ、カ、クおよびケの訂正は、上記(1)アの訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載に整合しない部分が生じるのを解消することを目的とする訂正であるといえ、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であるといえる。そして、上記(1)アの訂正による訂正事項については、上記ア~エで述べたように、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、上記(1)イ、エ、オ、カ、クおよびケの訂正による訂正事項も同様に新規事項追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 カ 上記(1)ウの訂正は、訂正前の「全体としル状に」という、誤記であることが明らかな記載を、「全体として略サークル状に」と訂正するものであるから、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるといえる。そして、基板が全体として略サークル状に形成されていることは、明細書の段落【0015】に記載されているから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 キ 上記(1)キの訂正は、基板21と本体1との面接触が、基板21の裏面側の全面においてなされることを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえる。そして、この訂正に係る訂正事項は、明細書の段落【0031】に記載されているから新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ク 上記(1)アの訂正は、一群の請求項1、2に対してなされたものである。したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第3項に適合する。 また、上記(1)イ~ケの訂正は、一群の請求項1、2に関係する明細書の訂正である。したがって、訂正事項2~9は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項に適合する。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項および同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1、2〕について訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1および2に係る発明(以下、「本件発明1」および「本件発明2」という。)は、訂正後の特許請求の範囲の請求項1および2に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 本件発明1 「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する本体と; 実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設されたサークル状の基板と; 前記開口部を中心とする円周上に複数列前記基板に実装された発光素子と; 前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されていて、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材と; を具備することを特徴とする照明器具。」 本件発明2 「前記拡散部材に対して所定の距離を有するように前記本体に着脱可能に取り付けられるカバー部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。」 (2)取消理由の概要 訂正前の請求項1および2に係る特許に対して平成29年4月11日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 ア 請求項1および2に係る特許は、下記(ア)~(エ)の点で、その発明の詳細な説明が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第113条第4項に該当し取り消されるべきものである。 (ア)本件明細書の段落【0015】の「全体としてル状」との文言で規定しようとする形状、構造が不明。 (イ)本件明細書の段落【0008】および【0045】の「器具本体」の構造が不明。 (ウ)本件明細書の段落【0008】の「突状部」の構造が不明。 (エ)本件明細書の【0008】、【0023】、【0025】、【0028】、【0032】および【0052】の「基板の全面」との文言でいうところの「全面」とは基板のどの部分なのか不明。 イ 請求項1および2に係る特許は、下記(ア)および(イ)の点で、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第113条第4項に該当し取り消されるべきものである。 (ア)請求項1の「器具本体」および「突状部」について、明細書で使用されている用語と統一されていないため、請求項1に係る発明と発明の詳細な説明に記載された事項の対応関係が不明瞭である。 (イ)請求項1の「レンズ部材としての拡散部材」について、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されていない。 ウ 請求項1および2に係る特許は、下記(ア)の点で、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、特許法第113条第4項に該当し取り消されるべきものである。 (ア)請求項1の「基板の全面」が不明瞭。 (3)判断 ア 取消理由通知に記載した取消理由について (ア)特許法第36条第4項第1号について 上記2.(1)イ~ケの訂正により、本件特許明細書(訂正請求書に添付された訂正明細書)の発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分記載されているものであることとなった。 (イ)特許法第36条第6項第1号について 上記2.(1)ア、イ、エ~カ、クおよびケの訂正により、本件特許の特許請求の範囲(訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲)の記載は、本件発明1および2が発明の詳細な説明に記載したものであることとなった。 (ウ)特許法第36条第6項第2号について 上記2.(1)ア、イ、エ、オ、カ、キおよびケの訂正により、本件発明1および2は明確であることとなった。 イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (ア)特許異議申立人 西村太一は、上記取消理由通知において採用した特許異議申立理由(特許法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第1号および第2号)とともに、下記刊行物1~刊行物8(異議申立書中では、それぞれ甲第1号証~甲第8号証)を提出し、刊行物1を主たる引用例その他の刊行物2~8を従たる引用例として、本件特許の特許請求の範囲の請求項1および2に係る発明の特許は、刊行物1~8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張しているので、以下この点について検討する。 a 各刊行物 刊行物1:特開2008-124008号公報 刊行物2:特開2002-367406号公報 刊行物3:特開2008-139708号公報 刊行物4:特開2010-67367号公報 刊行物5:特開2010-192347号公報 刊行物6:特開平10-83148号公報 刊行物7:実用新案登録第3154761号公報 刊行物8:特開2010-49830号公報 b 刊行物1に記載の事項および発明 上記刊行物1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (i)「【0001】 本発明は、LEDユニット、LEDユニットの製造方法、及びLEDユニットを用いた天井用照明器具に関し、詳しくは環状または略C状を成すLEDユニットに画期的な実用性及び経済性をもたらすものである。」 (ii)「【0007】 まず、図1と図2に示す天井用照明器具について説明する。この照明器具は、天井C側に設けられ本体を構成する金属製の第一本体1と、第一本体1の下面にビス2などの取付手段で取り付けられ本体を構成する金属製の第二本体3と、好ましくは第二本体3の下面に接してビス2などの取付手段で取り付けられたLEDユニット4と、第二本体3の上方空間に収められ例えば第一本体1の下面に設けられた、LEDユニット4のための点灯制御回路部5と、第一本体1の外周部付近において取り付けられLEDユニット4が覆われる透光性材料(例えば合成樹脂)などによるグローブ6とを備えている。 【0008】 第一本体1、第二本体3の材質としては例えば、鉄、アルミなどを用いる。第一本体1、第二本体3の少なくとも下面側は例えば白色の塗装膜・樹脂コーティング膜・セラミック膜などの薄膜が形成されて光反射性を有し、光反射率を例えば90%以上としている。LEDユニット4の発熱は第一本体1及び第二本体3に放熱されてLEDユニット4の温度上昇を抑えている。第一本体1の下面周部には図示されないグローブ支持具などを設けており、これに対してグローブ6が着脱可能に支持される。第二本体3の略中央には孔7が形成される。第一本体1は第二本体3よりも大径を成し、その略中央には孔8が形成されるとともに孔8の近辺は外周側部分よりも低く形成された段差状を成している。また、第二本体3には点灯制御回路部5から突設されたリモコン信号受信部9が貫通されている。なお、リモコン信号受信部9が第二本体3の上面側に配置され、第二本体3にはリモコン信号受信部9に対応する孔を形成してもよいし、さらに、その孔にリモコン信号が通過可能な樹脂板などを装着しておいてもよい。 【0009】 第一本体1及び第二本体3を含む本体は、その略中央部に天井Cへの取り付け機構が設けられ、LEDユニット4は、その本体の下面に前記取り付け機構を避けるように設けられているものである。次に、その取り付け機構について述べる。天井Cには引掛ローゼット10が固定されており、引掛ローゼット10に対して本照明器具が取り付けられている。引掛ローゼット10はその下端に鍔状の係止部11があるタイプを例示している。第一本体1の中央付近の前記段差状部下面には例えば環状を成す被取付具12が固定され、その略逆L状の被係止部13がその背面側のバネ14により中心孔方向に付勢されて、被係止部13の先端下面が係止部11の上面に係止されることにより、本照明器具が天井Cにいわゆる直付け状態で取り付けられている。」 (iii)「【0012】 次に、LEDユニット4について図3~図7を参照して説明する。LEDユニット4は、LEDチップ21が支持された金属板22を含むLEDエレメント23を複数個備えている。これらのLEDエレメント23は、隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されているが、少なくとも一箇所において、その電気的接続のループが途切れている。そして、この途切れた箇所は一対の外部端子25、26に電気的接続され、かつ、各LEDエレメント23は環状を成すエポキシ樹脂その他合成樹脂などの電気絶縁性の透光性部材27に固着され、その中央部には窓孔28が形成されている。・・・」 (iv)「【0021】 次に、図12は本発明の他の実施形態を示し、透光性部材27の先端側を凸の湾曲状としており、透光性部材27の使用量を節約できる。・・・」 (v)「【0023】 以上の実施形態のLEDユニット4では、LEDチップ21は青色光、紫色光、または紫外光などを発光し、透光性部材27には前記青色光、紫色光、または紫外光などを可視光に変換するYAG蛍光体などの蛍光体、あるいは光の三原色に変換する蛍光体などが含まれるものなどが利用できる。・・・」 (vi)「【0027】 図21~図23は本発明のさらに他の実施形態を示し、それらのLEDユニット4においては、各LEDエレメント23は二重の略環状または略C状に配置され、一つのLEDユニット4によりさらに高光束を得ることができる。」 以上の記載事項から、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているといえる。 「天井Cに固定された引掛ローゼット10に対して取り付けられている天井用照明器具であって、 天井C側に設けられ本体を構成する金属製の第一本体1と、第一本体1の下面にビス2などの取付手段で取り付けられ本体を構成する金属製の第二本体3と、第二本体3の下面に接してビス2などの取付手段で取り付けられたLEDユニット4とを備え、 第二本体3の略中央には孔7が形成されるとともに、第一本体1の略中央には孔8が形成され、 第一本体1及び第二本体3を含む本体は、その略中央部に天井Cへの取り付け機構が設けられ、 LEDユニット4は、本体の下面に前記取り付け機構を避けるように設けられているものであり、 LEDユニット4は、LEDチップ21が支持された金属板22を含むLEDエレメント23を複数個備えており、 これらのLEDエレメント23は、隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されており、 各LEDエレメント23は環状を成すエポキシ樹脂その他合成樹脂などの電気絶縁性の透光性部材27に固着され、その中央部には窓孔28が形成されており、 透光性部材27の先端側は凸の湾曲状としており、 透光性部材27には青色光、紫色光、または紫外光などを可視光に変換するYAG蛍光体などの蛍光体、あるいは光の三原色に変換する蛍光体などが含まれる、 天井用照明器具。」 c 対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 (a)引用発明1の「天井用照明器具」は、本件発明1の「照明器具」に相当する。 そして、引用発明1の「照明器具」は「天井C」に取り付けられているから、引用発明1の「天井C」は、本件発明1の「器具取付面」に相当する。 (b)引用発明1の「引掛ローゼット10」は、機能的にみて、本件発明1の「配線器具」に相当する。 (c)引用発明1の「照明器具」は、「天井C側に設けられ本体を構成する金属製の第一本体1と、第一本体1の下面にビス2などの取付手段で取り付けられ本体を構成する金属製の第二本体3と」「を備え」、その、「第二本体3の略中央には孔7が形成されるとともに、第一本体1の略中央には孔8が形成され」、「第一本体1及び第二本体3を含む本体は、その略中央部に天井Cへの取り付け機構が設けられ」ているから、引用発明1の「第一本体1及び第二本体3を含む本体」の略中央には孔7、8が形成され、「天井Cへの取付機構が設けられ」ているといえる。したがって、引用発明1の「第一本体1及び第二本体3を含む本体」は、本件発明1の「本体」に相当し、引用発明の「孔7」および「孔8」は、両者で本件発明1の「開口部」に相当する。 (d)上記(a)~(c)より、引用発明1の「天井Cに固定された引掛ローゼット10に対して取り付けられている照明器具であって」、「天井C側に設けられ本体を構成する金属製の第一本体1と、第一本体1の下面にビス2などの取付手段で取り付けられ本体を構成する金属製の第二本体3と」「を備え」、「第二本体3の略中央には孔7が形成されるとともに、第一本体1の略中央には孔8が形成され、第一本体1及び第二本体3を含む本体は、その略中央部に天井Cへの取り付け機構が設けられ」ているとの構成で、本件発明1の「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する本体と」「を具備する」に相当する構成を成す。 (e)引用発明1の「金属板22」および「LEDチップ21」は、それぞれ本件発明1の「基板」および「発光素子」に相当する。 引用発明1の「LEDユニット4」は、「第二本体3の下面に接してビス2などの取付手段で取り付けられた」ものであり、「本体の下面に前記取り付け機構を避けるように設けられているものであり」、「LEDチップ21が支持された金属板22を含むLEDエレメント23を複数個備えており、これらのLEDエレメント23は、隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されて」 ているものである。したがって、引用発明1の「金属板22」は「LEDチップ21」を実装する実装面が下面側、すなわち、前面側に向けられて、本体の略中央に形成された孔7、8の周囲に略環状(サークル状)に配設されているといえるとともに、引用発明1の「LEDチップ21」は、本体の略中央に形成された孔7、8を中心とする円周上に金属板22に実装されているといえる。 したがって、引用発明1の「第二本体3の下面に接してビス2などの取付手段で取り付けられたLEDユニット4とを備え」、「LEDユニット4は、本体の下面に前記取り付け機構を避けるように設けられているものであり、LEDユニット4は、LEDチップ21が支持された金属板22を含むLEDエレメント23を複数個備えており、これらのLEDエレメント23は、隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されて」いるとの構成は、本件発明1の「実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設されたサークル状の基板と;前記開口部を中心とする円周上に複数列前記基板に実装された発光素子と;」「を具備する」との構成との対比において、「実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設された基板と;前記開口部を中心とする円周上に前記基板に実装された発光素子と;」「を具備する」との限度で共通する。 (f)引用発明の1「透光性部材27の先端側は凸の湾曲状として」いるものであり、LEDチップ21から発せられた光を屈折させる作用を成すことは明らかであるから、レンズ部材であるといえる。また、引用発明1の「透光性部材27には青色光、紫色光、または紫外光などを可視光に変換するYAG蛍光体などの蛍光体、あるいは光の三原色に変換する蛍光体などが含まれる」から、蛍光体による光を拡散させる作用があることも明らかである。したがって、引用発明1の「透光性部材27」は、本件発明1の「レンズ部材としての拡散部材」に相当する。 また、引用発明1の「LEDユニット4は、本体の下面に前記取り付け機構を避けるように設けられているものであり、LEDユニット4は、LEDチップ21が支持された金属板22を含むLEDエレメント23を複数個備えており、これらのLEDエレメント23は、隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されており、各LEDエレメント23は環状を成すエポキシ樹脂その他合成樹脂などの電気絶縁性の透光性部材27に固着され、その中央部には窓孔28が形成されて」いるものであり、かつ、「透光性部材27の凸の湾曲状として」いるから、上記(c)をも踏まえると、孔7、8を中心とする円周上に連続して形成され、LEDチップ21に対向する位置の断面形状が凸状、すなわち、突状として形成されているといえる。 さらに、引用発明1の「透光性部材27には青色光、紫色光、または紫外光などを可視光に変換するYAG蛍光体などの蛍光体、あるいは光の三原色に変換する蛍光体などが含まれる」から、引用発明1の「透光性部材27」にLEDチップ21から出射された光を、蛍光体の作用により少なくとも照明器具の内周方向及び外周方向に拡散させる作用があることは明らかである。 加えて、刊行物1の図5~7や図10~12の記載内容から、引用発明1の「透光性部材27」は、金属板22のLEDチップ21実装面側の全面が覆われるように金属板22の実装面側に重ね合わせるように配設されているといえる。 よって、引用発明1の「LEDユニット4は、本体の下面に前記取り付け機構を避けるように設けられているものであり、LEDユニット4は、LEDチップ21が支持された金属板22を含むLEDエレメント23を複数個備えており、これらのLEDエレメント23は、隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されており、各LEDエレメント23は環状を成すエポキシ樹脂その他合成樹脂などの電気絶縁性の透光性部材27に固着され、その中央部には窓孔28が形成されており、透光性部材27の先端側は凸の湾曲状としており、透光性部材27には青色光、紫色光、または紫外光などを可視光に変換するYAG蛍光体などの蛍光体、あるいは光の三原色に変換する蛍光体などが含まれる」との構成は、本件発明1の「前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されていて、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材と;」「を具備する」との構成との対比において、「前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子に対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材と;」「を具備する」との限度で共通する。 (g)以上のとおりであるから、本件発明1と引用発明1の一致点および相違点は次のとおりといえる。 <一致点> 「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する本体と; 実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設された基板と; 前記開口部を中心とする円周上に前記基板に実装された発光素子と; 前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子に対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材と; を具備する照明器具。」 <相違点1> 基板に関し、本件発明1では、「サークル状の基板」であるのに対し、引用発明1では、「隣り合う金属板22、22が互いに離間した状態で全体として略環状または略C状に配置され、各LEDエレメント23は、例えば金またはアルミなどの金属線24を用いて、所定の直列順序で電気的接続されて」いるものである点。 <相違点2> 発光素子に関し、本件発明1では、「複数列前記基板に実装され」ているのに対し、引用発明1では、「金属板22」によって「LEDチップ21が支持され」ているものである点。 <相違点3> 拡散部材に関し、本件発明1では、「複数列前記基板に実装された発光素子」「のそれぞれに対向して断面形状が突状に形成され」、かつ、「突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されて」いるものであるのに対し、引用発明1では、そのように特定されていない点。 d 判断 事案に鑑み、相違点3について検討する。 (a)発光素子が実装された基板の実装面側に重ね合わせるように配設された拡散部材について、複数列前記基板に実装された発光素子のそれぞれに対向して断面形状が突状に形成され、かつ、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されている構成は、異議申立人 西村太一が提出したいずれの刊行物にも記載も示唆もなく、また、当業者にとって自明な構成ともいえない。 (b)刊行物1の【図21】~【図23】には、LEDチップ21を実装する金属板22からなるLEDエレメント23を二重に略環状に配置し、この二重に略円環状に配置したLEDエレメント23に透光性部材27重ね合わせるよう配設した構成が記載されているが、金属板22に対してLEDチップ21が複数列となるように実装することを示唆するものではないし、透光性部材27を二重に略円環状に配置したLEDエレメント23のそれぞれに対向して断面形状が突状となるように形成することを示唆するものでもない。 (c)刊行物2の段落【0015】~【0023】、【図2】、【図4】には、LED照明装置のリング状LED基板5の実装面に、LED6を複数列実装し、ほぼ半円形の断面形状をしたリング状拡散板3は、LED6が実装されたリング状LED基板5の実装面側に配設されており、しかも、リング状拡散板3は、平坦状の内周縁部分31および外周縁部分32を具備する構成が記載されている。しかしながら、そのリング状拡散板3は、複数列リング状基板5に実装されたLED6のそれぞれに対向して断面形状が突状に形成されるものではないし、そのことを示唆するものでもない。また、リング状拡散板3の平坦状の内周縁部分31および外周縁部分32は、リング状LED基板5の実装面側に配設されてはいるものの、リング状LED基板5に重ね合わせるように配設されるものではないし、そのことを示唆するものでもない。 (d)刊行物6の段落【0022】~【0028】、【図1】、【図5】には、ベースプレート2の表面2a上にLED線状発光体3が並べて実装され、LEDからの光を拡散させる断面が突出部4aとなる立体長方のプラスチック板4がベースプレート2の表面に重ね合わせるように配設され、プラスチック板4の両側辺部は平坦状となっている構成が記載されている。しかしながら、プラスチック板4の断面形状は、複数列前記ベースプレート2に実装されたLED線状発光体3のそれぞれに対向して断面形状が突状に形成されされるものではないし、そのことを示唆するものでもない。 (e)刊行物8のレンズ板70、160について、刊行物8は、実装基板20、120、130にLED発光装置30を複数列実装した場合、その断面形状を、そのそれぞれに対向して突状に形成することまでを示唆していない。 (f)刊行物3~5、7および8にも、相違点3に係る本願発明1の構成は記載されていないし、示唆もされていない。 なお、刊行物8のレンズ板70、160は、LED発光装置30が放射した光が光拡散シート60を通る際拡散した光を、所定の方向性を持つ光として出射する作用を成すものであるから(刊行物8の段落【0034】参照。)、本件発明1の、発光素子から出射された光を本体の内周方向及び外周方向に拡散させる「拡散部材」とは、その技術的意味において異なっているものである。 (f)したがって、引用発明において、相違点3に係る本件発明1の構成と成すことは、当業者といえど刊行物1~8に記載された事項に基づいて容易に想到し得ない。 (g)よって、その余の相違点について判断するまでもなく、本件発明1(及び本件発明1を減縮したものである本件発明2)は、刊行物1~刊行物8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 e 小括 以上のとおりであるので、特許異議申立人 西村太一の上記主張は理由がない。 (イ)特許異議申立人 梯七枝は、上記取消理由通知において採用した特許異議申立理由(特許法第36条第4項第1号、同法第36条第6項第1号および第2号)とともに、下記刊行物A~刊行物F(異議申立書中では、それぞれ甲第1号証~甲第6号証)を提出し、刊行物Aを主たる引用例その他の刊行物B~Fを従たる引用例として、本件特許出願の特許請求の範囲の請求項1および2に係る発明の特許は、刊行物A~Fに記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである旨、および、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載の「前記発光素子に対向して断面形状が突状部として形成されている」との記載は、平成28年4月11日付け手続補正書により補正されたものであるところ、当該記載は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されていないし、明細書の段落【0024】~【0026】の「突条部」以外のものを包含するものであるから、当該補正は願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、同法113条第1号の規定により取り消されるべきものである旨主張しているので、以下、これらの点についてそれぞれ検討する。 a 特許法29条第2項について (a) 各刊行物 刊行物A:特開2010-49830号公報 刊行物B:特開2009-283472号公報 刊行物C:特開2007-27072号公報 刊行物D:特開2002-270026号公報 刊行物E:特開2002-367406号公報 刊行物F:特開2008-139708号公報 (b) 刊行物Aに記載された発明 上記刊行物Aの【特許請求の範囲】の【請求項1】の記載からすれば、刊行物Aには、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。 「正面側に凹部からなる収容部を備えるとともに、裏面側には前記収容部に連続する複数のフィンが放射状に形成されている熱伝導性の筐体と、 前記収容部の底面上に配置されるLED実装用基板と、 前記LED実装用基板に実装される複数のLED発光装置と、 前記LED実装用基板上に配置されるリフレクタ板であって、正面側に向かって拡径する複数の開口部によって前記LED発光装置の各々の周囲にリフレクタ面を形成するリフレクタ板と、 前記リフレクタ板の正面側及び側面側を覆い、前記リフレクタ板を位置決めし且つ押圧した状態で前記筐体に固定されるレンズ板であって、前記開口部と同数のレンズ部を備え、各レンズ部は対応する前記開口部の上に位置するレンズ板と、 を備えるLED照明装置。」 (c) 対比 本件発明1と引用発明2を対比する。 i 引用発明2の「LED照明装置」は、本件発明1の「照明器具」に相当する。また、引用発明2の「筐体」は、本件発明1の「本体」に相当する。 ii 引用発明2の「LED照明装置」は「筐体」によって天井面へ取り付けられるものであるから(刊行物Aの段落【0022】、参照。)、引用発明2の「筐体」は、LED照明装置を取付ける天井面に取り付けられる部分を有するといえる。したがって、引用発明2の「正面側に凹部からなる収容部を備えるとともに、裏面側には前記収容部に連続する複数のフィンが放射状に形成されている熱伝導性の筐体」は、本件発明1の「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する本体」の対比において、「器具取付面に取り付けられる本体」との限度で共通する。 iii 引用発明2の「LED実装用基板」は、「筐体」の「正面側に」備えられた「凹部からなる収容部」の「底面上に配置される」ものであるから、LED実装面が正面側、すなわち、前面側に向けられて配設されているといえる。したがって、引用発明2の「前記収容部の底面上に配置されるLED実装用基板」は、本件発明1の「実装面が前面側に向けられて前記開口部周囲に配設されたサークル状の基板」との対比において、「実装面が前面側に向けられて配設された基板」との限度で共通する。 iv 引用発明の「LED発光装置」は、本件発明1の「発光素子」に相当する。したがって、引用発明2の「前記LED実装用基板に実装される複数のLED発光装置」は、本件発明1の「前記開口部を中心とする円周上に複数列前記基板に実装された発光素子」との対比において、「前記基板に実装された発光素子」との限度で共通する。 v 引用発明2の「レンズ板」は、「前記LED実装用基板上に配置される」「正面側に向かって拡径する複数の開口部によって前記LED発光装置の各々の周囲にリフレクタ面を形成するリフレクタ板」の「開口部と同数のレンズ部を備え、各レンズ部は対応する前記開口部の上に位置する」ものであり、しかも、「前記リフレクタ板の正面側及び側面側を覆い、前記リフレクタ板を位置決めし且つ押圧した状態で前記筐体に固定される」ものであるから、LED発光装置のそれぞれに対向してレンズ部が形成されるようにLED実装用基板の実装面側に重ね合わされるように配設されているといえる(なお、レンズ板とLED実装用基板とが重ね合わさっている点については刊行物Aの【図8】、【図9】も参照。)。そして、レンズ部の形状として刊行物Aには、断面形状が突状である凸レンズ形状が挙げられている(刊行物Aの段落【0015】参照。) したがって、引用発明2の「前記LED実装用基板上に配置されるリフレクタ板であって、正面側に向かって拡径する複数の開口部によって前記LED発光装置の各々の周囲にリフレクタ面を形成するリフレクタ板と、前記リフレクタ板の正面側及び側面側を覆い、前記リフレクタ板を位置決めし且つ押圧した状態で前記筐体に固定されるレンズ板であって、前記開口部と同数のレンズ部を備え、各レンズ部は対応する前記開口部の上に位置するレンズ板」は、本件発明1の「前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されていて、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材」との対比において、「前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材」との限度で共通する。 vi 以上のとおりであるから、本件発明1と引用発明2の一致点および相違点は次のとおりといえる。 <一致点> 「器具取付面に取り付けられる本体と; 実装面が前面側に向けられて配設された基板と; 前記基板に実装された発光素子と; 前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材と; を具備する照明器具。」 <相違点A> 本体に関し、本件発明1は、「器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有する」ものであるのに対し、引用発明2は、そのように特定されていない点。 <相違点B> 基板に関し、本件発明1は、「前記開口部周囲に配設されたサークル状の基板」であるのに対し、引用発明2では、「前記収容部の底面上に配置されるLED実装用基板」である点。 <相違点C> レンズ部材に関し、本件発明1は、「前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され、前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに、突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されていて、前記発光素子から出射された光を前記本体の内周方向及び外周方向に拡散させ、かつ前記基板の実装面側の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設されたレンズ部材としての拡散部材」であるのに対し、引用発明2では、「前記リフレクタ板の正面側及び側面側を覆い、前記リフレクタ板を位置決めし且つ押圧した状態で前記筐体に固定されるレンズ板であって、前記開口部と同数のレンズ部を備え、各レンズ部は対応する前記開口部の上に位置するレンズ板」である点。 (d)判断 i 相違点Aについて検討する。 照明器具において、その本体に、器具取付面に設置された配線器具に取り付けられる開口部を有するという構成は、本件特許出願の遡及日前に周知の構成であったといえる(刊行物B~D、参照。)。 一方、引用発明2のLED照明装置は、その実施の形態として、筐体の孔(開口部といいうる)にネジを挿通し、天井面に固定するものが記載されており(刊行物Aの段落【0032】参照。)、このことからその筐体はネジを挿通することができる程度の開口部を有しているといえる。そこで、この孔に上記周知の構成を適用し、相違点1に係る本件発明1の構成と成すことは当業者であれば容易に想到しうるか否かについて検討する。 引用発明2の孔(開口部)は、ネジを挿通し、照明器具を天井面に固定するためのものであるから、この孔(開口部)を、天井面に設置された配線器具を取付けるために利用すると、照明器具を天井面に取付けられなくなるから、引用発明2の孔(開口部)に上記周知の構成を適用しようとする動機付けがない。また、引用発明2は、ダウンライトなどの薄型のLED照明装置を提供することを目的とするものであり(刊行物Aの段落【0002】、【0004】参照。)、そのため、引用発明2のLED照明装置の取付面である天井面での配線態様として、天井面の取り付位置に配線用の小孔を穿設し、当該孔を利用して結線するという配線態様を予定し、取付態様として、筐体を筐体に設けた孔にネジを挿通し、天井面に固定するという取付態様を予定しているものであるといえる(刊行物Aの段落【0032】参照。)。ここで、従来周知の上記構成を引用発明2に適用すると、器具取付面に設置された配線器具(引掛シーリング等の嵩張る配線器具)を納めるための高さが本体に必要となり、薄型のLED照明装置を提供するするという引用発明2の目的を滅失ないし減損することとなってしまう。 したがって、引用発明2において、刊行物B~Dに記載の従来周知の構成を参考に、相違点Aに係る本件発明1の構成と成すことは当業者であっても容易に想到し得ない。 また、刊行物E、Fにおいても、引用発明2において、相違点Aに係る本件特許発明1の構成を成すことが容易に想到しうるとすべきことの示唆はない。 よって、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1(および本件発明1を減縮したものである本件発明2)は、刊行物A~刊行物Fに記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ii 上記のとおり、その余の相違点を検討するまでもなく、本件発明1(および本件特許発明を減縮したものである本件発明2)は、刊行物A~刊行物Fに記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないが、念のため、相違点Cについて検討する。 本件発明1の「拡散部材」は、「前記発光素子から出射された光を器具本体の内周方向及び外周方向に拡散させ」る作用(照明光の均斉度の向上を図る作用)をなすものであり、この作用を成すために、「前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されているとともに前記突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されて」おり、しかも、「前記基板の全面を覆うように前記基板の実装面側に重ね合わされるように配設され」る、すなわち、「拡散部材」の「突状に形成されている」部分が円周上に連続して形成された突条部となっているものである(明細書の段落【0024】、【図5】および【図7】参照。)。 一方、引用発明2の照明装置は、ダウンライトに用いられるものであり(刊行物Aの段落【0001】、【0002】参照。)、このため引用発明2の「レンズ板」は、LED発光装置が放射した光を、所定の方向性を持つ光として出射する作用を成す必要があるところ(刊行物Aの段落【0034】参照。)、この作用をなすために引用発明2の「レンズ板」は、「開口部と同数のレンズ部を備え、各レンズ部は対応する前記開口部の上に位置する」という構成を採用していると解される。 このような、引用発明2の「レンズ板」において、そのレンズ部を円周上に連続して形成された突条部とすること、すなわち、引用発明2において、相違点Cに係る本件発明1の構成と成すことは引用発明2のダウンライトとしての照明装置における所定の方向性を持つ光を出射するという作用を達し得なくする虞があり、当業者であっても容易に想到し得ない。 したがって、本件発明1(および本件発明1を減縮したものである本件発明2)は、刊行物A~刊行物Fに記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 b 特許法第17条の2第3項について 本件訂正請求により、「前記発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されている」と訂正された。そして、拡散部材の発光素子のそれぞれに対向する位置の断面形状が突状に形成されている点は、願書に最初に添付した明細書および図面の、段落【0024】、【図5】および【図7】に記載されており、また、「前記突状に形成されている部分から幅方向に延出する平坦部が形成されて」いるとの事項によって、「拡散部材」は「前記開口部を中心とする円周上に連続して形成され」るものということができるから、「突状に形成された部分」も円周上に連続して形成された「突条部」となっているといえ、明細書の段落【0024】~【0026】の「突条部」以外のものを包含するものではないといえる。 なお、この点について上記a(d)iiも参照。 (ウ)以上aおよびbより、異議申立人 梯七枝の上記各主張には理由がない。 4.むすび したがって、請求項1および2に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由および特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては取り消すことができない。 また、他に請求項1および2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2017-700006

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決68件(東芝ライテック株式会社、梯 七枝、西村 太一)
  • 2021-701174異議申立 / 2022-03-31 / 維持照明器具
    同じ当事者: 東芝ライテック株式会社、西村 太一
  • 2020-700571異議申立 / 2021-04-13 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 東芝ライテック株式会社、西村 太一
  • 2020-700319異議申立 / 2021-01-28 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 東芝ライテック株式会社、西村 太一
  • 2018-700597異議申立 / 2019-11-19 / 請求成立(取消)照明器具
    同じ当事者: 東芝ライテック株式会社、西村 太一
  • 2018-700577異議申立 / 2019-10-07 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 東芝ライテック株式会社、西村 太一
同じ論点・分野の審決(審決分類)265件(121・F21S、536・F21S、537・F21S ほか)
  • 2020-700319異議申立 / 2021-01-28 / 訂正認容照明器具
    共通の審決分類: 121・F21S、536・F21S、537・F21S、55・F21S
  • 2018-700597異議申立 / 2019-11-19 / 請求成立(取消)照明器具
    共通の審決分類: 121・F21S、536・F21S、537・F21S、55・F21S
  • 2018-700447異議申立 / 2019-02-18 / 訂正認容照明器具
    共通の審決分類: 121・F21S、536・F21S、537・F21S、55・F21S
  • 2025-700500異議申立 / 2026-01-13 / 請求成立(取消)照明器具
    共通の審決分類: 121・F21S、536・F21S、537・F21S
  • 2023-701321異議申立 / 2025-03-27 / 訂正認容照明器具、及び照明システム
    共通の審決分類: 121・F21S、537・F21S、55・F21S

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存