特許訂正審判
2017-390153
加熱調理器
- 審判番号
- 2017-390153
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2003-290175
- 登録番号
- 特許第3895311号(P3895311)
- 請求日
- 2017年12月22日
- 審決日
- 2018年04月18日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】アイリスオーヤマ 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 サトー国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 嘉章
- 審判官 佐々木 正章
- 審判官 井上 哲男
- 分類
- P141 .856-Y (H05B) / P141 .112-Y (H05B) / P141 .121-Y (H05B) / P141 .537-Y (H05B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条1項4号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第3895311号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第3895311号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第3895311号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成15年8月8日の出願であって、平成18年12月22日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年12月22日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 本件審判請求の内容
本件審判請求は、特許第3895311号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 本件審判請求に対する当審の判断
1 訂正内容
本件訂正の内容は審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲に記載されたとおりのものであって、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
請求項1に「第1及び第2の加熱器」とあるのを、「誘導加熱をする第1及び第2の加熱器」と訂正する。
(2)訂正事項2
請求項1に「を具備する」とあるのを、「、前記トッププレートの周囲に設けられたサッシュとを具備し、」と訂正する。
(3)訂正事項3
請求項1に「ものにおいて、」とあるのを、「被組込家具に組み込まれる加熱調理器において、」と訂正する。
(4)訂正事項4
請求項1に「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方に補強板を設け、」とあるのを、「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、前記サッシュとは別部材に構成され、かつ前記サッシュに当接させた、金属板から成る補強板を設け、」と訂正する。
(5)訂正事項5
請求項2に「本体ケースが、補強板の存在する部分の近傍で荷重を支えられることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。」とあるのを、「第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、
この本体ケースの上面に設けられたトッププレートとを具備するものにおいて、
前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、
前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、
前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方に補強板を設け、
この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成し、
本体ケースが、補強板の存在する部分の近傍で荷重を支えられることを特徴とする加熱調理器。」と訂正する。
(6)訂正事項6
請求項3に「加熱器の少なくとも1つが誘導加熱をするものであって、それの近傍の側板が金属製であることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。」とあるのを、「第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、
この本体ケースの上面に設けられたトッププレートとを具備するものにおいて、
前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、
前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、
前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方に補強板を設け、
この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成し、
加熱器の少なくとも1つが誘導加熱をするものであって、それの近傍の側板が金属製であることを特徴とする加熱調理器。」と訂正する。
(7)訂正事項7
請求項5に「加熱器の少なくとも1つが誘導加熱をするものであって、それの磁気遮蔽をする防磁板が、補強板より上方に位置する部分を有することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。」とあるのを、「第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、
この本体ケースの上面に設けられたトッププレートとを具備するものにおいて、
前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、
前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、
前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方に補強板を設け、
この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成し、
加熱器の少なくとも1つが誘導加熱をするものであって、それの磁気遮蔽をする防磁板が、補強板より上方に位置する部分を有することを特徴とする加熱調理器。」と訂正する。
(8)訂正事項8
請求項6に「本体ケース内の、第1及び第2の加熱器の下方に位置する部分に、ロースタ等のオーブン調理器を有することを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。」とあるのを、「第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、
この本体ケースの上面に設けられたトッププレートとを具備するものにおいて、
前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、
前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、
前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方に補強板を設け、
この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成し、
本体ケース内の、第1及び第2の加熱器の下方に位置する部分に、ロースタ等のオーブン調理器を有することを特徴とする加熱調理器。」と訂正する。
(9)訂正事項9
【0007】に「上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器においては、第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、この本体ケースの上面に設けられたトッププレートとを具備するものにおいて、前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方に補強板を設け、この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成したことを特徴とする(請求項1の発明)。」とあるのを、「上記目的を達成するために、本発明の加熱調理器においては、誘導加熱をする第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、この本体ケースの上面に設けられたトッププレートと、前記トッププレートの周囲に設けられたサッシュとを具備し、被組込家具に組み込まれる加熱調理器において、前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、前記サッシュとは別部材に構成され、かつ前記サッシュに当接させた、金属板から成る補強板を設け、この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成したことを特徴とする(請求項1の発明)。」と訂正する。
2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
上記訂正事項1は、訂正前の請求項1の第1及び第2の加熱器について、「誘導加熱」をするものに限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、本件特許明細書の【0021】の「第1及び第2の加熱器25は、この場合、誘導加熱をするものであって、例えば渦巻状に巻回した誘導加熱コイルから成っており、」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
上記訂正事項2は、訂正前の請求項1の加熱調理器について、「トッププレートの周囲に設けられたサッシュ」を具備するものであることを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、本件特許明細書の【0024】の「トッププレート12の周囲4辺にはサッシュ37を設けている。」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
上記訂正事項3は、訂正前の請求項1の加熱調理器について、「被組込家具に組み込まれる」ものに限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項3は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3は、本件特許明細書の【0030】の「図4ないし図6は、キッチンの調理台45に対する本実施例の加熱調理器の組み込み手順を示しており、すなわち、キッチンの調理台45には、上面部と前面部とに本体ケース13に合った開口48,49を形成し、その上面部の開口48から前面部の開口49に本体ケース13を差し込んで、トッププレート12を調理台45の上面部に載置(本体ケース13のフランジ部44を載置)して固定し、その後に、前面部の開口49と本体ケース13との左右の余剰スペースにサイド飾り50を差し込むことで、調理台45に対する加熱調理器の組み込みを完了する。」及び【0034】の「又、補強板40が、トッププレート12との間に断熱層43を形成し、補強板40の下方(調理台45との間)に断熱層46を形成するようにしたことにより、トッププレート12の幅W12を本体ケース13の幅W13より大きくしたことで直下に調理台45など被組込家具が位置することになる、トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分からの熱伝導をそれらの断熱層43,46で和らげ、調理台45など被組込家具の熱による損傷をなくすことができる。特に、調理内容が天ぷらや鉄板焼きあるいは中華の炒め物等であった場合、調理器具の温度は300℃程になり、それに応じてトッププレート12の温度もかなりの温度になる。又、この場合、その高温の調理器具の一部がトッププレート12を介して被組込家具の直上に位置することもある。それに対して更に、被組込家具の材質は様々であり、特に木製で塗装してあるものは耐熱性に劣る。それを断熱層43,46で防護でき、熱による損傷をなくすことができるのであるから、実用的に好ましくなすことができる。」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
上記訂正事項4は、訂正前の請求項1の補強板について、「直下に前記被組込家具が位置する箇所に、前記サッシュとは別部材に構成され、かつ前記サッシュに当接させた、金属板から成る」ものに限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項4は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項4は、本件特許明細書の【0034】の「補強板40が、トッププレート12との間に断熱層43を形成し、補強板40の下方(調理台45との間)に断熱層46を形成するようにしたことにより、トッププレート12の幅W12を本体ケース13の幅W13より大きくしたことで直下に調理台45など被組込家具が位置することになる、トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分からの熱伝導をそれらの断熱層43,46で和らげ、調理台45など被組込家具の熱による損傷をなくすことができる。」及び【0027】の「この補強板40は、いずれも図1に示すように、前後に長い矩形の金属板から成るもので、内側縁を除く周囲部の複数箇所を、前記サッシュ37の下面部に当接させて該サッシュ37に複数個のねじ41によって接合しており、内側縁にはそれぞれ複数の取付部40aを延設して、これらを、図3に代表して示すように、前記内箱23の左右の側壁23a,23bの各内面に当接させて該側壁23a,23bにねじ42によって接合している。」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
上記訂正事項5は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項5は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項5は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
上記訂正事項6は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項6は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項6は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的
上記訂正事項7は、訂正前の請求項5の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項7は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項7は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的
上記訂正事項8は、訂正前の請求項6の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1の記載を引用しないものとするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する他の請求項を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項8は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項8は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(9)訂正事項9について
ア 訂正の目的
上記訂正事項9は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴って、発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項9は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項9は、本件特許明細書の【0021】、【0024】、【0027】、【0030】、【0034】の記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(10)独立特許要件について
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。訂正事項1~4は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするので、以下、同条第7項の規定に適合するか否かについて検討する。
なお、本件特許(特許第3895311号)に関し、東京地方裁判所において侵害訴訟事件(平成29年(ワ)第22884号)が継続中であるところ、当該訴訟事件における無効の抗弁に関して平成30年1月25日付けで刊行物提出書が提出されたので、当該以下の無効理由についても検討する。
無効理由1:明確性要件違反
本件発明1の「補強板」及び「断熱層」が不明確である。(答弁書4~9頁、準備書面(被告その1)6~14頁)
無効理由2:サポート要件違反
本件発明1の「補強板」及び「断熱層」が不明確であるから、本件特許明細書にサポートされているとはいえない。(準備書面(被告その1)14頁)
無効理由3:実施可能要件違反
本件発明1の「補強板」及び「断熱層」が不明確であるから、本件特許明細書は、本件発明1が実施できる程度に記載されていない。(準備書面(被告その1)14頁)
無効理由4:新規性、進歩性欠如
本件発明1は、本件特許出願前に製造販売されている「HTW-4DB」又は「RSK-N730V4TGT-ST」に係る発明であるか、当該発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。(準備書面(被告その1)14~28頁)
ア 特許法第36条第6項第2号について
(ア)本件訂正後の請求項1記載の発明
本件訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
誘導加熱をする第1及び第2の加熱器を左右に内設した本体ケースと、
この本体ケースの上面に設けられたトッププレートと、
前記トッププレートの周囲に設けられたサッシュとを具備し、
被組込家具に組み込まれる加熱調理器において、
前記トッププレートの幅を前記本体ケースの幅より大きくし、
前記第1及び第2の加熱器の各中心部を、前記本体ケースの左右に等分した両側部の各中心部より外側であって、前記トッププレートの左右に等分した両側部の各中心部より中央側に配置すると共に、
前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、前記サッシュとは別部材に構成され、かつ前記サッシュに当接させた、金属板から成る補強板を設け、
この補強板と前記トッププレートとの間、又は補強板の下方に断熱層を形成したことを特徴とする加熱調理器。」
(イ)本件特許明細書の記載事項
本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。
・「【0006】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、大きな調理器具の加熱が可能で、共鳴音の防止もでき、又、調理器具からの吹きこぼれや飛び散りがあってもそれらが器外に容易に達しないようにできて、更に、それらを全体の設置性を損なわずに達成することのできる加熱調理器を提供するにある。」
・「【0013】
そして、それらを達成するのに、大きくするのはトッププレートのみで良く、本体ケースは大きくする必要がないので、例えばキッチンの調理台に組み込めなくなることもなく、又、調理台内部の他の収納スペースを狭くしてしまうこともなくて、全体の設置性が損なわれないようにできる。
更に、トッププレートの幅を本体ケースの幅より大きくしたことで外力に対する耐力が低下する、トッププレートの本体ケース外方に位置する部分のその耐力を補強板により補い、調理器具の落下衝撃等に耐える強度の確保ができる。
加えて、トッププレートの幅を本体ケースの幅より大きくしたことで直下に被組込家具が位置することになる、トッププレートの本体ケース外方に位置する部分からの熱伝導を補強板の上方又は下方の断熱層で和らげ、被組込家具の熱による損傷をなくすことができる。」
・「【0024】
更に、トッププレート12の周囲4辺にはサッシュ37を設けている。ここで、トッププレート12の幅、特にサッシュ37より内側の部分の幅はW12であり、これを本体ケース13の幅W13よりも大きくしている。そして、第1及び第2の加熱器24,25の各中心部O24,O25は、上記本体ケース13の左右に等分(W13/2)した両側部の各中心部RO13,LO13(W13/4)より外側であって、トッププレート12の左右に等分(W12/2)した両側部の各中心部RO12,LO12(W12/4)より中央側に配置している。」
・「【0027】
そして、トッププレート12の本体ケース13外方(左右の両外側)に位置する部分の下方には、それぞれ補強板40を設けている。この補強板40は、いずれも図1に示すように、前後に長い矩形の金属板から成るもので、内側縁を除く周囲部の複数箇所を、前記サッシュ37の下面部に当接させて該サッシュ37に複数個のねじ41によって接合しており、内側縁にはそれぞれ複数の取付部40aを延設して、これらを、図3に代表して示すように、前記内箱23の左右の側壁23a,23bの各内面に当接させて該側壁23a,23bにねじ42によって接合している。
【0028】
又、この補強板40は、そのほゞ全域に矩形の凹部40bを有しており、それによって、上方のトッププレート12との間には断熱層、特にはこの場合も、空気による断熱層43を有している。
更に、前記本体ケース13は、上記補強板40が存在する部分の近傍に被支持部としてフランジ部44を有しており、このフランジ部44を、被組込家具、特にはこの場合、キッチンの調理台45に載置して固定しており、かくして本体ケース13が、補強板40を接合した部分の近傍で荷重を支えられるようにしている。
【0029】
加えて、その結果、補強板40の下方には、キッチンの調理台45との間に断熱層、特にはこの場合も、空気による断熱層46が形成されるようになっている。又、補強板40の外周縁(図3中、右側縁)と調理台45との間にはパッキンPを挟設し、サッシュ37の外周縁を調理台45から離間させるようにしている。
そして、前記第1及び第2の加熱器24,25の各外周には、リング状の金属、特には導電材、中でもアルミニウムから成る防磁板47を設けており、この防磁板47の周囲部47aは補強板40の上方に離間して位置している。」
・「【0034】
又、補強板40が、トッププレート12との間に断熱層43を形成し、補強板40の下方(調理台45との間)に断熱層46を形成するようにしたことにより、トッププレート12の幅W12を本体ケース13の幅W13より大きくしたことで直下に調理台45など被組込家具が位置することになる、トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分からの熱伝導をそれらの断熱層43,46で和らげ、調理台45など被組込家具の熱による損傷をなくすことができる。特に、調理内容が天ぷらや鉄板焼きあるいは中華の炒め物等であった場合、調理器具の温度は300℃程になり、それに応じてトッププレート12の温度もかなりの温度になる。又、この場合、その高温の調理器具の一部がトッププレート12を介して被組込家具の直上に位置することもある。それに対して更に、被組込家具の材質は様々であり、特に木製で塗装してあるものは耐熱性に劣る。それを断熱層43,46で防護でき、熱による損傷をなくすことができるのであるから、実用的に好ましくなすことができる。
【0035】
なお、断熱層43,46はそのうちの一方のみが具えられるものであっても良い。又、特に本実施例の場合、断熱層43,46は空気による断熱層であるから、別途断熱材を必要とすることもなく、コスト安に上述の効果を得ることができるが、別途断熱材を充填して構成されていても良い
更に、本体ケース13は、フランジ部44により、上述の補強板40が存在する部分の近傍で荷重を支えられるようにしており、これによって本体ケース13の荷重を、補強板40を接合したことで強度の大きくなった部分であって、しかも、トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分にとってはいわば根元の部分の近傍で支えることになるので、本体ケース13のより強固な支持ができ、前記調理器具の落下衝撃等に対する一層の強度の確保ができて、加熱調理器の破損の防止が一段と確実にできる。」
(ウ)本件発明1の明確性について
請求項1及び本件特許明細書の記載によれば、本件発明1が明確でないとする事項はない。
以下、前記無効の抗弁として、本件発明1の「補強板」及び「断熱層」が不明確である旨が主張されているので、検討する。
A 「補強板」について
「補強板」とは、補強するという役割を果たす板を意味する点で、その文言上明確であるところ、本件特許明細書には、「補強板」について、以下の記載がある。
・「トッププレートの幅を本体ケースの幅より大きくしたことで外力に対する耐力が低下する、トッププレートの本体ケース外方に位置する部分のその耐力を補強板により補い、調理器具の落下衝撃等に耐える強度の確保ができる。」(【0013】)
・「トッププレート12の本体ケース13外方(左右の両外側)に位置する部分の下方には、それぞれ補強板40を設けている。この補強板40は、いずれも図1に示すように、前後に長い矩形の金属板から成るもので、内側縁を除く周囲部の複数箇所を、前記サッシュ37の下面部に当接させて該サッシュ37に複数個のねじ41によって接合しており、内側縁にはそれぞれ複数の取付部40aを延設して、これらを、図3に代表して示すように、前記内箱23の左右の側壁23a,23bの各内面に当接させて該側壁23a,23bにねじ42によって接合している。」(【0027】)
・「トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分の下方には補強板40を有しているので、上述のトッププレート12の幅W12を本体ケース13の幅W13より大きくしたことで外力に対する耐力が低下する、トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分のその耐力を補強板40により補い、調理器具の落下衝撃等に耐える強度の確保ができる。よって、トッププレート12がその調理器具の落下衝撃等で破損されることのないようにできる。」(【0033】)
そうすると、「補強板」は、「トッププレートの幅を本体ケースの幅より大きくしたことで外力に対する耐力が低下」することに対して「トッププレートの本体ケース外方に位置する部分のその耐力を」補強するものであり、ここでいう「耐力」とは、一般的な意味での「耐力」でなく、調理器具の落下衝撃等に耐える強度を意味することは明らかであるから、調理器具の落下衝撃等に耐える強度を確保する部材であると理解できる。
そして、【0024】、【0027】及び図2、3には、トッププレート12の周囲4辺に設けられたサッシュ37の下面部に当接させて該サッシュ37に複数個のねじ41によって接合された補強板40が記載されており、その構造から、補強板40が、調理器具の落下衝撃等に対する強度を高めていることは明らかである。
したがって、本件発明1の「補強板」は、明確である。
B 「断熱層」について
「断熱層」とは、断熱の役割を果たす層を意味する点で、その文言上明確であるところ、本件特許明細書には、「断熱層」について、以下の記載がある。
・「トッププレートの幅を本体ケースの幅より大きくしたことで直下に被組込家具が位置することになる、トッププレートの本体ケース外方に位置する部分からの熱伝導を補強板の上方又は下方の断熱層で和らげ、被組込家具の熱による損傷をなくすことができる。」(【0013】)
・「この補強板40は、そのほゞ全域に矩形の凹部40bを有しており、それによって、上方のトッププレート12との間には断熱層、特にはこの場合も、空気による断熱層43を有している。
更に、前記本体ケース13は、上記補強板40が存在する部分の近傍に被支持部としてフランジ部44を有しており、このフランジ部44を、被組込家具、特にはこの場合、キッチンの調理台45に載置して固定しており、かくして本体ケース13が、補強板40を接合した部分の近傍で荷重を支えられるようにしている。
加えて、その結果、補強板40の下方には、キッチンの調理台45との間に断熱層、特にはこの場合も、空気による断熱層46が形成されるようになっている。又、補強板40の外周縁(図3中、右側縁)と調理台45との間にはパッキンPを挟設し、サッシュ37の外周縁を調理台45から離間させるようにしている。」(【0028】、【0029】)
・「又、補強板40が、トッププレート12との間に断熱層43を形成し、補強板40の下方(調理台45との間)に断熱層46を形成するようにしたことにより、トッププレート12の幅W12を本体ケース13の幅W13より大きくしたことで直下に調理台45など被組込家具が位置することになる、トッププレート12の本体ケース13外方に位置する部分からの熱伝導をそれらの断熱層43,46で和らげ、調理台45など被組込家具の熱による損傷をなくすことができる。特に、調理内容が天ぷらや鉄板焼きあるいは中華の炒め物等であった場合、調理器具の温度は300℃程になり、それに応じてトッププレート12の温度もかなりの温度になる。又、この場合、その高温の調理器具の一部がトッププレート12を介して被組込家具の直上に位置することもある。それに対して更に、被組込家具の材質は様々であり、特に木製で塗装してあるものは耐熱性に劣る。それを断熱層43,46で防護でき、熱による損傷をなくすことができるのであるから、実用的に好ましくなすことができる。
なお、断熱層43,46はそのうちの一方のみが具えられるものであっても良い。又、特に本実施例の場合、断熱層43,46は空気による断熱層であるから、別途断熱材を必要とすることもなく、コスト安に上述の効果を得ることができるが、別途断熱材を充填して構成されていても良い。」(【0034】、【0035】)
そうすると、「断熱層」は、高温の調理器具の一部がトッププレート12を介して被組込家具の直上に位置すると、それに応じてトッププレートの温度が高温となり、被組込家具が熱により損傷することを防止するために、トッププレートと被組込家具との間に設けるものである。
そして、本件特許明細書には、具体的に、トッププレート12と補強板40、補強板40と調理台45(被組込家具)との間に断熱層43、46を設けた加熱調理器が記載されており、当該断熱層43、46が閉空間となってなくとも、トッププレートが高温となった際に、断熱層43、46により調理台45の熱損傷が防止されることは、明らかである。
したがって、本件発明1の「断熱層」は、明確である。
イ 特許法第36条第6項第1号及び同条第4項第1号について
上記アのとおり、本件発明1は明確であるところ、本件特許明細書の【0013】、【0027】、【0033】及び図2、3の「補強板」についての記載、【0028】、【0029】、【0034】、【0035】の「断熱層」についての記載に加え、【0006】等の発明が解決しようとする課題についての記載も加味すれば、当業者が、本件発明1の「補強板」及び「断熱層」の構成により、当該発明の課題を解決できると認識し得るものであって、サポート要件に適合しているといえ、また、本件特許明細書の上記記載に基づけば、上記「補強板」及び「断熱層」の構成を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されており、実施可能要件に適合しているといえる。
ウ 特許法第29条第1項及び同条第2項について
本件発明1は、特許法第29条第1項及び第2項に係る理由を発見しない。
なお、前記無効の抗弁として、「HTW-4DB」及び「RSK-N730V4TGT-ST」の各製品に基づく新規性、進歩性の欠如が主張されているので、以下検討する。
ウ-1 「HTW-4DB」に基づく特許法第29条第1項第2号及び同条第2項について
(ア)公然実施された発明
(株)日立製作所の「クッキングヒータ 総合カタログ 2001・10」(添付資料5参照。)には、「HTW-4DB」が記載されているところ、カタログのみの証拠では、公然実施と認めるには不十分であるが、仮に公然実施されたものとして以下検討する(以下、「HTW-4DB」を「公然実施品1」という。)。
そして、「クッキングヒータ 総合カタログ 2001・10」(添付資料5参照。)の7頁の「据付用外形寸法図」には、「HTW-4DB」のガラス板及びサッシュの横幅が599mmであることが記載されている。
また、添付資料6によると、「HTW-4DB」のサッシュは、ガラス板の下面に平行に延在する延在部を有しており、延在部とガラス板間には、接着剤が注入され、本体ケースとネジで連結されていることが看取できる。
したがって、公然実施品1に係る発明(以下「公然実施1発明」)は、以下のとおりである。
「ガラス板及びサッシュの横幅が599mmであって、ガラス板の下面に平行に延在する延在部を有しており、延在部とガラス板間には、接着剤が注入され、本体ケースとネジで連結されているサッシュを有するクッキングヒータ。」
(イ)対比
本件発明1と公然実施1発明とを対比すると、公然実施1発明の「ガラス板」「クッキングヒータ」は、本件発明1の「トッププレート」、「加熱調理器」にそれぞれ相当するから、本件発明1と公然実施1発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1は、「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、前記サッシュとは別部材に構成され、かつ前記サッシュに当接させた、金属板から成る補強板を設け」るのに対して、公然実施品1発明は、サッシュが、ガラス板の下面に平行に延在する延在部を有しており、延在部とガラス板間に、接着剤が注入されている点。
(ウ)判断
<相違点1について>
上記相違点1は、実質的な相違点であり、本件発明1と公然実施品1発明を同一とすることはできない。
そして、公然実施品1発明のサッシュの延在部は、延在部とガラス板間に接着剤が注入されているが、調理器具の落下衝撃等に耐える強度を確保するものであるかどうかは不明であるし、補強しているとしても、当該構造から、延在部をサッシュとは別部材とする動機付けはない。
また、仮に別部材としたとしても、公然実施品1発明は、ガラス板及びサッシュの横幅が599mmのクッキングヒータであって、本件発明1のようにトッププレートの幅を大きくしたことで外力に対する耐力が低下する(本件特許明細書【0033】)といえるものではないから、「トッププレートの本体ケース外方に位置する部分のその部分の耐力を補強板により補う(本件特許明細書【0033】)」本件発明1のように「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、」「前記サッシュに当接させた、金属板から成る」ものとすることまでが、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
さらに、刊行物等提出書において、訂正後の本件発明1の無効理由に関して、特開平7-6869号公報及び特開2002-270353号公報も参照されたい旨記載されているが、特開平7-6869号公報の加熱調理器は、「フック部28」を用いて、前側面30がカウンタートップ18に固定されているものであり(図3~7)、公然実施品1発明とは、加熱調理器の被組込家具への固定手段が異なるものであるから、「フック部28」のみを公然実施品1発明に適用することに動機付けはなく、又、特開2002-270353号公報の加熱調理器は、調理プレート1の直下にキッチンカウンター4が位置しないものであるから、そのL字金具9を用いて枠体2と調理器本体ケース5とを連結する構成を、公然実施品1発明に適用したとしても、「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、」L字金具9を設けることが容易に想到できたとはいえない。
ウ-2 「RSK-N730V4TGT-ST」に基づく特許法第29条第2項について
(ア)公然実施された発明
「(週刊)ガスエネルギー新聞」(添付資料8参照。)及び添付資料9の2によると、2001年4月11日には、リンナイ株式会社「RSK-N730V4TGT-ST」(以下「公然実施品2」という。)が製造販売されていたものと認められる。
そして、添付資料9の2には、公然実施品2がバーナーを左右に有することが記載されている。
また、添付資料10の2によると、公然実施品2のサッシ部分は、ガラス板の下面に平行に延在する延在部を有しており、サッシ部分とトップガラス部分との間には、接着コーティング剤が注入されていることが看取できる。
したがって、公然実施品2に係る発明(以下「公然実施2発明」)は、以下のとおりである。
「バーナーを左右に有し、サッシ部分は、ガラス板の下面に平行に延在する延在部を有しており、サッシ部分とトップガラス部分との間には、接着コーティング剤が注入されているビルトインコンロ。」
(イ)対比
本件発明1と公然実施品2発明とを対比すると、公然実施品2発明の「ビルトインコンロ」は、本件発明1の「加熱調理器」に相当するから、本件発明1と公然実施品2発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2>
第1及び第2の加熱器について、本件発明1は、「誘導加熱」するものであるに対して、公然実施品2発明は、バーナーである点。
<相違点3>
本件発明1は、「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、前記サッシュとは別部材に構成され、かつ前記サッシュに当接させた、金属板からなる補強板を設け」るのに対して、公然実施品2発明は、サッシ部分が、ガラス板の下面に平行に延在する延在部を有しており、サッシ部分とトップガラス部分との間に接着コーティング剤が注入されている点。
(ウ)判断
<相違点2について>
本件特許出願前に、加熱調理器においてバーナーも誘導加熱するものも周知であるとしても、そのエネルギー源は異なり、トッププレートに求められる機能も含め、構造が大きく異なるものであるから、公然実施品2発明において、バーナーに換えて誘導加熱するものを用いることが、容易にできたとはいえない。
<相違点3について>
公然実施品2発明のサッシ部分の延在部は、サッシ部分とトップガラス部分との間に接着コーティング剤が注入されているが、調理器具の落下衝撃等に耐える強度を確保するものであるかどうかは不明であるし、補強しているとしても、当該構造から、延在部をサッシュとは別部材とする動機付けはない。
また、仮に別部材としたとしても、公然実施品2発明において、「トッププレートの本体ケース外方に位置する部分のその部分の耐力を補強板により補う(本件特許明細書【0033】)」本件発明1のように「前記トッププレートの本体ケース外方に位置する部分の下方であって直下に前記被組込家具が位置する箇所に、」「前記サッシュに当接させた、金属板からなる」ものとすることまでが、当業者が容易に発明をすることができたとする理由はない。
エ 小括
上記のとおりであるから、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項及び第2項、同法第36条第4項第1号並びに同条第6項第1号及び第2号の規定により、独立特許要件を満たさいないとする理由はないし、その他の理由を発見しないから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
したがって、本件審判請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号、第3号又は第4号に該当し、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
添付資料5
添付資料6
添付資料8
添付資料8-2
添付資料9の2
添付資料10の2
審決本文(J-PlatPat)
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2017-390153