特許訂正審判
2017-390141
加熱調理器
- 審判番号
- 2017-390141
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2003-290176
- 登録番号
- 特許第3895312号(P3895312)
- 請求日
- 2017年12月08日
- 審決日
- 2018年04月10日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】アイリスオーヤマ 株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 サトー国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 田村 嘉章
- 審判官 佐々木 正章
- 審判官 井上 哲男
- 分類
- P141 .856-Y (F24C) / P141 .112-Y (F24C) / P141 .121-Y (F24C) / P141 .537-Y (F24C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号特許法126条5項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第2号、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第3895312号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第3895312号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第3895312号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成15年8月8日の出願であって、平成18年12月22日に特許権の設定登録がされたものであって、平成29年12月8日に本件訂正審判の請求がされたものである。
第2 本件審判請求の内容
本件審判請求は、特許第3895312号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 本件審判請求に対する当審の判断
1 訂正内容
本件訂正の内容は審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲に記載されたとおりのものであって、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
請求項1に「ドロップインタイプの加熱調理器であって、」を追加する。
(2)訂正事項2
請求項1に「ケース本体内」とあるのを、「横幅寸法を560mm以下に設定したケース本体内」と訂正する。
(3)訂正事項3
請求項1に「加熱手段」とあるのを、すべて「誘導加熱コイル」と訂正する。
(4)訂正事項4
請求項1に「前記トッププレート」とあるのを、「前記フレームの係り代を除く横幅寸法を700mm以上に設定した前記トッププレート」と訂正する。
(5)訂正事項5
請求項2を削除する。
(6)訂正事項6
【0012】に「上記問題点を解決するために、本発明の加熱調理器は、ケース本体内に左右に配設され被加熱物を調理容器を介して加熱する複数の加熱手段と、この複数の加熱手段の下方に設けられたロースタと、前記加熱手段及びロースタの上方を覆うように設けられたトッププレートとその周縁部に装着したフレームとからなる天板とを備え、前記トッププレートには、前記加熱手段と対応する左右位置に前記調理容器を載置する加熱部を設けるとともに、これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたことを特徴とする(請求項1の発明)。」とあるのを、「上記問題点を解決するために、本発明の加熱調理器は、ドロップインタイプの加熱調理器であって、横幅寸法を560mm以下に設定したケース本体内に左右に配設され被加熱物を調理容器を介して加熱する複数の誘導加熱コイルと、この複数の誘導加熱コイルの下方に設けられたロースタと、前記誘導加熱コイル及びロースタの上方を覆うように設けられたトッププレートとその周縁部に装着したフレームとからなる天板とを備え、前記フレームの係り代を除く横幅寸法を700mm以上に設定した前記トッププレートには、前記誘導加熱コイルと対応する左右位置に前記調理容器を載置する加熱部を設けるとともに、これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたことを特徴とする(請求項1の発明)。」と訂正し、【0014】に「そして、上記請求項1記載のものにおいて、ドロップインタイプの構成にあって、ケース本体の横幅寸法を560mm以下、及び前記フレームの係り代を除くトッププレートの横幅寸法を700mm以上に設定したことを特徴とする(請求項2の発明)。」とあるのを、「そして、上記請求項1記載のものにおいて、ドロップインタイプの構成にあって、ケース本体の横幅寸法を560mm以下、及び前記フレームの係り代を除くトッププレートの横幅寸法を700mm以上に設定したことを特徴とする(請求項1の発明)。」と訂正し、【0017】に「そして、請求項2によれば、ケース本体を大きくすることなくトッププレートの横幅を大きくすることで、従来と同様にキッチン等への落とし込みによる組み込み作業は容易にできることを維持しながら、トッププレート上では径大化を図った調理容器を有効に利用でき、使い勝手が良くなるなどの利点を有する。」とあるのを、「そして、請求項1によれば、ケース本体を大きくすることなくトッププレートの横幅を大きくすることで、従来と同様にキッチン等への落とし込みによる組み込み作業は容易にできることを維持しながら、トッププレート上では径大化を図った調理容器を有効に利用でき、使い勝手が良くなるなどの利点を有する。」と訂正する。
2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
上記訂正事項1は、訂正前の請求項1の加熱調理器について「ドロップインタイプ」であることを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項1は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項1は、本件特許明細書の【0018】、【0026】等の記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
上記訂正事項2は、訂正前の請求項1のケース本体について「横幅寸法を560mm以下に設定した」ものであることを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項2は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項2は、本件特許明細書の【0026】の「本体ケース21の横幅寸法Yも従来と同じく560mm以下の例えば543mmとしている。」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
上記訂正事項3は、訂正前の請求項1の加熱手段を「誘導加熱コイル」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項3は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項3は、本件特許明細書の【0022】の「本実施例における前記加熱手段につき説明すると、前記した左右に配置された加熱部28,29に対応するトッププレート22の下方位置に、異なる出力の誘導加熱コイルからなる加熱手段34,35を図示左右方向に並設し、」との記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
上記訂正事項4は、訂正前の請求項1のトッププレートについて「フレームの係り代を除く横幅寸法を700mm以上に設定した」ものであることを限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項4は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項4は、本件特許明細書の【0014】の「ケース本体の横幅寸法を560mm以下、及び前記フレームの係り代を除くトッププレートの横幅寸法を700mm以上に設定したことを特徴とする」、【0040】の「本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限らず、例えばトッププレートの横幅寸法Bは700mm以上であれば、中央部における所定の間隔T及び左右端部における間隔T以上の距離Dを確保できるなど、上記実施例と同様の作用効果が期待できるとともに」及び図1、3の記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
上記訂正事項5は、請求項2を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項5は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項5は、上記アのとおりであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
上記訂正事項6は、上記訂正事項1~5に係る訂正に伴って、発明の詳細な説明の記載を整合させるものであるから、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
上記訂正事項6は、上記アのとおりであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記訂正事項6は、本件特許明細書の【0018】、【0026】、【0040】等の記載から、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(7)独立特許要件について
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合する。訂正事項1~5は、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするので、以下、同条第7項の規定に適合するか否かについて検討する。
なお、本件特許(特許第3895312号)に関し、東京地方裁判所において侵害訴訟事件(平成29年(ワ)第10742号)が継続中であるところ、当該侵害訴訟事件における無効の抗弁に関して平成29年12月26日付け及び平成30年2月20日付けで刊行物等提出書が提出されたので、当該以下の無効理由についても検討する。
無効理由1:明確性要件違反
本件発明1の「これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたこと」は、その構成が不明確である。(準備書面(被告その1)25~28、36頁、準備書面(被告その3)18~28、30頁)
無効理由2:実施可能要件違反
本件発明1はその内容が不明確なものであって、本件特許明細書は本件発明1が実施できる程度に記載されていない。(準備書面(被告その1)36頁、準備書面(被告その3)30頁)
無効理由3:サポート要件違反
本件発明1はその内容が不明確なものであって、本件特許明細書にサポートされているとはいえない。(準備書面(被告その1)36~37頁、準備書面(被告その3)30頁)
無効理由4:新規性、進歩性の欠如
本件発明1は、本件特許出願前に製造販売されている「HTW-4DB」又は「RSK-N730V4TGT-ST」に係る発明であるか、当該発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。(準備書面(被告その1)37頁、準備書面(被告その3)30~38頁)
ア 特許法第36条第6項第2号について
(ア)訂正後の請求項1記載の発明
訂正後の請求項1に係る発明(以下「本件発明1」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】
ドロップインタイプの加熱調理器であって、
横幅寸法を560mm以下に設定したケース本体内に左右に配設され被加熱物を調理容器を介して加熱する複数の誘導加熱コイルと、この複数の誘導加熱コイルの下方に設けられたロースタと、前記誘導加熱コイル及びロースタの上方を覆うように設けられたトッププレートとその周縁部に装着したフレームとからなる天板とを備え、
前記フレームの係り代を除く横幅寸法を700mm以上に設定した前記トッププレートには、前記誘導加熱コイルと対応する左右位置に前記調理容器を載置する加熱部を設けるとともに、これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたことを特徴とする加熱調理器。」
(イ)本件特許明細書の記載事項
本件特許明細書には、以下の事項が記載されている。
・「【0002】
従来、加熱調理器は、例えば図4,5に示す複数口(ここでは3口タイプ)のドロップインタイプのものでは、説明は略すがロースタ機能や加熱手段、冷却ファン等の駆動機構部を要するケース本体1と、この上部を覆うように設けられたトッププレート2とから概略構成されている。この場合、トッププレート2の周縁部にはフレーム3が被着されて天板4として構成され、従ってトッププレート2の周縁部はフレーム3により一部覆われた(以下、係り代と称する)構成にある。また、前記加熱手段としては、例えば誘導加熱コイルからなる左右に並設された加熱手段5,6と、これらの奥方中央にニクロム線によるラジエントヒータからなる加熱手段7を配設していて、これらはいずれもほぼ円形状に形成されている。
【0003】
しかして、上記加熱手段5,6,7に近接して上方に位置する前記トッププレート2には、各加熱手段5,6,7の円形状外殻線より若干径大としたリング状枠を表示してなる各加熱部8,9,10を左右及び中央部位に夫々印刷表示により形成していて、図示しない鍋等の調理容器を有効に加熱できる領域として使用者に示し便宜を図っている。尚、左右の加熱手段5,6の直径であるコイル径Lは、通常いずれも180mmを採用していて、従って上記リング状枠たる左右の加熱部8,9は、これより径大に設定している(詳細は後述する)。
【0004】
しかるに、特に図5ではドロップインタイプの加熱調理器を、システムキッチン等に組み込んでなる概略構成を示しており、一般にキッチンのカウンタートップ11には横幅寸法Zが560mmの落とし込み穴12を形成していて、これを当業界で標準化設定しており、従ってこれに落とし込む前記ケース本体1の横幅寸法Yは、上記寸法Z以下の例えば543mmに設計製作されている。これに対し、前記天板4は、落とし込み穴10を隠蔽しその周縁に保持されるように上記横幅寸法Z,Yより僅かに大きい長さの横幅寸法X(例えば、600mm)としている。
【0005】
具体的にトッププレート2としては、図4に示すように周縁部のフレーム3による係り代を除く有効な横幅寸法Vを550mmとしており、従って上記フレーム3の左右及び前方における幅寸法Wは各々25mmとしている。そして、このトッププレート2の各加熱部のうち、左右に並設された加熱部8,9には、適用できる調理容器として最大径の例えば鍋(図示せず)を並置可能としている。今、鍋の最大径をUとすると、左右に配設された加熱部8,9に載置された鍋が容易に触れない所定の間隔Tを存して並置されたとき、各鍋がトッププレート2の左右端部からはみ出さない寸法に設定される。尚、図4中には、鍋の最大径Uは、左右の加熱部8,9の領域を示すリング状枠と同径としており、これを図示しない鍋の外殻とみなすことができる。
【0006】
しかして図4には、トッププレート2の中心線αは左右横幅の中央部をも示し、また左右の加熱部8,9の中心線βは、これに対応する誘導加熱コイルからなる加熱手段8,9の中心部でもあり、この間のピッチ寸法たるコイルピッチSは、上記所定の間隔Tを確保した上で求められる。この例では、通常中央部の間隔Tを30mmとした上でコイルピッチSを285mmとし、鍋の最大径Uを255mm(U=S-T)と設定している。この結果、各鍋の外郭からトッププレート2の各左右端部までの各最短距離Rは、5mmの余裕としており、トッププレート2の奥行寸法Mが439mm、そして鍋の外殻から前端部までの最短距離Nが27.5mmと比較的余裕があるものの、左右方向に余裕がないため上記鍋の最大径Uとしてはこれが許容される実用上の限界であると言える。
【0007】
尚、上記鍋の間隔T(30mm)の根拠としては、左右に並置した鍋の取手が他方の鍋の側面に当接したり、或は当接しない位置にあっても近接した取手を掴み難くて取扱い難いなどの理由から設定されている。そして、従来では前記したようにトッププレート2の横幅寸法Vは550mmと比較的小寸法であるため、その半分に相当する中央部から各左右端部までの距離Qの275mmに対し、各加熱部8,9の中心部(中心線β)までの距離Oは142.5mmとなり、比率では中央部から各左右端部方向に対して約52%の位置付けにあり、この点からも各加熱部8,9の中心部が、左右端部寄りに配置されていることが分かる。
【0008】
斯くして、上記最大径Uの鍋を左右に並置して実使用する場合、トッププレート2上において、中央部では所定の間隔T(30mm)を有するのに対し、左右端部側では最短距離R(5mm)と余裕がなく、このため鍋が左右方向にはみ出すおそれがあり、或はトッププレート2を超えて吹きこぼれや飛び散りにより周辺を汚すおそれもある。特にドロップインタイプでは、キッチンのカウンタートップ11上面と、トッププレート2の載置面とは、使い勝手及び意匠的な観点から段差を極力小さくしたり、ほぼ同一面とする平坦状をなしている。このため、鍋が左右にはみ出しても載置状態に特に大きな変化もなく見過ごすおそれがあり、延いては鍋の位置ずれを招き加熱効率が低下したり、はみ出した鍋が他のものと接触して加熱する不具合も懸念される。
【0009】
のみならず、カウンタートップ11上にある各種の調理器具や小物部品等がトッププレート2側に移動し易く、この場合では上記したように加熱部8,9が近接しているので、誤って加熱してしまうなどの可能性もある。また、キッチンではカウンタートップ11に置かれた食器棚等の側壁が、トッププレート2の左右のいずれか一方の端部に近接して配置されるケースも考えられ、このようなスペース制約を受けた設置条件の場合には鍋が食器棚に触れたり、鍋の取手が掴み難くて取扱い性が低下するなどの不具合が考えられる。
【0010】
また、この種左右に加熱部を有する複数口のドロップインタイプの加熱調理器において、使い勝手の改善を図るべき、トッププレートと略同一面に操作表示部を設けたものもある(例えば、特許文献1参照)が、やはり該操作表示部には鍋のはみ出しや、該鍋からの熱対策を施す必要があるばかりか、はみ出した場合には操作表示部の使い勝手が悪くなるなどの不具合を生ずる。」
・「【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとしている問題点は、径大な鍋などの調理容器をトッププレート上に左右並置する場合、該トッププレート上から左右方向にはみ出し易くて周辺に吹きこぼれや飛び散りを招き易く、延いては不具合な加熱形態を招いたり、また左右端部にスペース制約を受ける設置条件にある場合には、調理容器の取扱い性も低下するなどの難点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、本発明の加熱調理器は、ドロップインタイプの加熱調理器であって、横幅寸法を560mm以下に設定したケース本体内に左右に配設され被加熱物を調理容器を介して加熱する複数の誘導加熱コイルと、この複数の誘導加熱コイルの下方に設けられたロースタと、前記誘導加熱コイル及びロースタの上方を覆うように設けられたトッププレートとその周縁部に装着したフレームとからなる天板とを備え、前記フレームの係り代を除く横幅寸法を700mm以上に設定した前記トッププレートには、前記誘導加熱コイルと対応する左右位置に前記調理容器を載置する加熱部を設けるとともに、これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【0014】
そして、上記請求項1記載のものにおいて、ドロップインタイプの構成にあって、ケース本体の横幅寸法を560mm以下、及び前記フレームの係り代を除くトッププレートの横幅寸法を700mm以上に設定したことを特徴とする(請求項1の発明)。」
・「【発明の効果】
【0015】
本発明の加熱調理器は、請求項1によれば、トッププレート上に所定の間隔を存して最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの左右端部までの距離を長くする構成としたので、業界標準となっている限られた寸法内にロースタを一体に組み込んだケース本体を落とし込んで配置するような加熱調理器においても、所定の間隔を確保した上で許容される最大径の調理容器が、トッププレート上から左右方向にはみ出るのを抑えて不具合な加熱形態を回避するとともに、左右端部に余裕ができて調理容器の取扱いに支障を来すこともない。」
・「【0021】
尚、上記加熱部28~30は、図示しない調理容器を有効に加熱する載置領域であることを示すもので、後述する加熱手段より径大に表示してあるとともに、特に、このうちの手前左右の加熱部28,29たるリング状枠の径寸法は、許容される最大径の調理容器として例えば鍋の径寸法(図1に符号Kで示す)を兼ねて表しており、その配置関係等の詳細については後述する。」
・「【0028】
上記のように、鍋を載置するトッププレート22の横幅寸法Bを大きくしたことにより、本実施例における要部の配置関係は図1に示す通りである。まず、少なくとも左右の加熱部28,29の径寸法は、例えば300mmに設定されていて、これは上記したように許容される最大の鍋径Kと共通としており、従来の最大の鍋径U255mmより径大化されている。一方、これと対応する左右の加熱手段34,35の径寸法たるコイル径Lは、従来と同じく共に180mmとしていて、従来と同じ横幅寸法Y(543mm)のケース本体21内にコンパクトに配設されている。
【0029】
ここで、上記した許容される最大の鍋径Kの定義について述べると、鍋の大きさは左右の加熱部28,29上に、所定の間隔寸法Tを確保した上で並置可能であることを前提条件としている。しかして、トッププレート22の中心線αで示す中央部に、上記鍋の間隔寸法Tとして30mmを確保しつつ、左右の加熱手段34,35の中心線βで示すコイルピッチCが330mmとする本実施例では、鍋径Kは従来の約20%アップの300mmと設定することができる(K=C-T)。従って、この鍋径Kと同径とするリング状枠である左右の加熱部28,29も、中央部に所定の間隔寸法Tたる30mmを介して左右にほぼ均等配分された位置に形成されている。」
・「【0036】
以上説明したように本実施例によれば、次の効果を有する。
上記したドロップインタイプの加熱調理器は、業界標準の限られたスペース内にロースタ26等を組み込んだケース本体21を、カウンタートップ42に対する落とし込みによる組み込み作業は、従来と同様の条件設定のもとに簡易にできる上で、トッププレート22の横幅寸法Bを大きくして、該トッププレート22上に載置できる鍋、所謂加熱調理への利用を許容する鍋の径大化を図り得て、それだけ調理に多くの鍋を利用可能となり使い勝手の向上が期待できる。
【0037】
また、左右の加熱部28,29に並置する鍋において、その所定の間隔T(30mm)を確保できることを条件に求めた最大の鍋径Kを有する各鍋に対し、トッププレート22の左端部及び右端部までの距離D(42mm)を、上記所定の間隔Tより長く設定したこと、或は又、トッププレート22の中央部から左右端部までの距離E(357mm)に対し、加熱手段34,35の中心部が同中央部から50%(距離Fに示す約48%)未満の範囲、所謂中央部寄りに設定したことにより、鍋径Kを300mmの径大化を図り得るとともに、左右端部から当該鍋がはみ出すことも十分に抑えることができる。
【0038】
従って、鍋は中央部側では鍋同士が或はその取手が当接したりすることなく、左右の各端部では側方に設置された他の物品との接触等を避けることができ、周辺の物品を不用意に加熱したり、鍋の取手が掴み難いことによる取扱い性を悪くするようなことも回避できる。また、鍋からの吹きこぼれや飛び散りが、周辺の他の部品等に降り掛ることも防止できて都合が良い。
【0039】
特に、ドロップインタイプではトッププレート22とカウンタートップ42とが極力同一面状をなすように工夫されているため、他の調理器具等を誤って加熱するなどの不具合も考えられるが、トッププレート22の左右端部における距離的余裕は、加熱手段34,35から左右端部まで距離も十分に離間することになり、上記調理器具等を直接加熱することも効果的に防止でき、安全で一層使い勝手が良い加熱調理器を提供できる。
【0040】
尚、本発明は上記し且つ図面に示した実施例に限らず、例えばトッププレートの横幅寸法Bは700mm以上であれば、中央部における所定の間隔T及び左右端部における間隔T以上の距離Dを確保できるなど、上記実施例と同様の作用効果が期待できるとともに、また3口タイプに限らず少なくとも左右に加熱部を配した2口タイプであれば良く、且つ加熱手段にしても他の例えばハロゲンランプやシーズヒータなどの電気抵抗を用いたものでも良いなど、実施に際して本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変更して実施できるものである。」
(ウ)本件発明1の明確性について
請求項1及び本件特許明細書の記載によれば、本件発明1が明確でないとする事項はない。
前記無効の抗弁として、本件発明1の加熱調理器の「これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたこと」が不明確である旨が主張されているところ、本件発明1中の当該記載は、加熱調理器を「調理容器」との関係において特定するものであるから、その文言からは加熱調理器の構成が一義的に明らかであるとはいえない。そこで、発明の詳細な説明を参酌して、以下検討する。
本件発明1の加熱調理器は、トッププレートの横幅方向について、
トッププレートの「フレームの係り代を除く横幅寸法」(B)=「所定の間隔」(T)+「並置可能とする最大径の調理容器」の径(K:左右あわせたもの)+「該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離」(D:左右あわせたもの)
の関係(以下「トッププレートの寸法関係」という。)が成立する。
ここで、「所定の間隔」(T)について検討するに、本件特許明細書には、「今、鍋の最大径をUとすると、左右に配設された加熱部8,9に載置された鍋が容易に触れない所定の間隔Tを存して並置されたとき、」(【0005】)、「上記鍋の間隔T(30mm)の根拠としては、左右に並置した鍋の取手が他方の鍋の側面に当接したり、或は当接しない位置にあっても近接した取手を掴み難くて取扱い難いなどの理由から設定されている。」(【0007】)と記載されているから、「所定の間隔」(T)は、左右に並置した鍋の取手が他方の鍋の側面に当接したり、又は当接しない位置にあっても近接した取手が掴み難くて取扱い難くならない程度の間隔、例えば、30mmであることが理解できる。
本件発明1は、「この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成とした」ものであるから、左右の「該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離」は、それぞれ「所定の間隔」より大きなものとなり、又、「並置可能とする最大径の調理容器」の径は、上記トッププレートの寸法関係から、左右の「該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離」が決まると、決まるものである。
ここで、本件発明1の解決しようとする課題は「径大な鍋などの調理容器をトッププレート上に左右並置する場合、該トッププレート上から左右方向にはみ出し易くて周辺に吹きこぼれや飛び散りを招き易く、延いては不具合な加熱形態を招いたり、また左右端部にスペース制約を受ける設置条件にある場合には、調理容器の取扱い性も低下するなどの難点を」解決すること(【0011】)であるから、上記のとおり、左右の「該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離」を、それぞれ「所定の間隔」より大きなものとすることで解決できることは明らかであって、上記理解と整合している。
そして、本件特許明細書に「尚、上記加熱部28~30は、図示しない調理容器を有効に加熱する載置領域であることを示すもので、後述する加熱手段より径大に表示してあるとともに、特に、このうちの手前左右の加熱部28,29たるリング状枠の径寸法は、許容される最大径の調理容器として例えば鍋の径寸法(図1に符号Kで示す)を兼ねて表しており、その配置関係等の詳細については後述する。」(【0021】)、「左右の加熱部28,29の径寸法は、」「許容される最大の鍋径Kと共通としており、」(【0028】)、「上記した許容される最大の鍋径Kの定義について述べると、鍋の大きさは左右の加熱部28,29上に、所定の間隔寸法Tを確保した上で並置可能であることを前提条件としている。」(【0029】)と記載されているように、「最大径の調理容器」の径は「リング状枠」で表示される「加熱部」の径と同じであり、「所定の間隔」は左右の「加熱部」の間隔と同じであると理解できる。すると、「加熱部」の径と間隔から、「加熱部」の位置が特定されることとなるから、「最大径の調理容器」の径と「所定の間隔」は、「リング状枠」で表示される「加熱部」の径と位置を意味していることとなる。
さらに、「加熱部」に関し、本件発明1において、「前記誘導加熱コイルと対応する左右位置に前記調理容器を載置する加熱部を設ける」と特定しているところ、本件特許明細書に「上記加熱手段5,6,7に近接して上方に位置する前記トッププレート2には、各加熱手段5,6,7の円形状外殻線より若干径大としたリング状枠を表示してなる各加熱部8,9,10を左右及び中央部位に夫々印刷表示により形成していて、図示しない鍋等の調理容器を有効に加熱できる領域として使用者に示し便宜を図っている。」(【0003】)と記載されているように、調理容器が載置される加熱部の径及び位置と加熱手段である誘導加熱コイルの構造及び位置との間には、一定の関係が存在することは技術常識である。そうすると、本件発明1において、調理容器が載置される加熱部の径及び位置を意味することは、加熱調理器として誘導加熱コイルの構造及び位置を意味することであると理解できる。
よって、本件発明1の「これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成としたこと」は、加熱調理器の「リング状枠」で表示される「加熱部」の径及び位置、並びに誘導加熱コイルの構造及び位置に係る事項を実質的に意味するのであって、その意味内容は明確であるし、本件発明1は明確である。
イ 特許法第36条第6項第1号及び同条第4項第1号について
上記アのとおり、本件発明1は明確であるところ、本件特許明細書の【0007】、【0011】、【0012】、【0021】、【0028】~【0030】の記載によれば、当業者が、本件発明1の「加熱部」の構成により、当該発明の課題を解決できると認識し得るものであって、サポート要件に適合しているといえ、また、本件特許明細書の上記記載に基づけば、上記「加熱部」の構成を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されており、実施可能要件に適合しているといえる。
ウ 特許法第29条第1項及び同条第2項について
本件発明1は、特許法第29条第1項及び第2項に係る理由を発見しない。
なお、前記無効の抗弁として、「HTW-4DB」及び「RSK-N730V4TGT-ST」の各製品に基づく新規性、進歩性の欠如が主張されているので、以下検討する。
ウー1 「HTW-4DB」に基づく特許法第29条第1項第2号及び同条第2項について
(ア)公然実施された発明
(株)日立製作所の「クッキングヒータ 総合カタログ 2001・10」(添付資料5参照。)には、「HTW-4DB」が記載されているところ、カタログのみの証拠では、公然実施と認めるには不十分であるが、仮に公然実施されたものとして以下検討する(以下、「HTW-4DB」を「公然実施品1」という。)。
そして、「クッキングヒータ 総合カタログ 2001・10」の7頁の「据付用外形寸法図」(添付資料5-1参照。)には、「HTW-4DB」のトッププレート及びフレームの横幅が599mmであることが記載されている。
したがって、公然実施品1に係る発明(以下「公然実施品1発明」という。)は、以下のとおりである。
「トッププレート及びフレームの横幅が599mmであるクッキングヒータ。」
(イ)対比
本件発明1と公然実施品1発明とを対比すると、公然実施品1発明の「クッキングヒータ」は、本件発明1の「加熱調理器」に相当するから、本件発明1と公然実施品1発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1は、「前記フレームの係り代を除く横幅寸法を700mm以上に設定した前記トッププレートには、前記誘導加熱コイルと対応する左右位置に前記調理容器を載置する加熱部を設けるとともに、これら加熱部に前記調理容器を所定の間隔を存して並置可能とする最大径の調理容器を載置したとき、この所定の間隔より該調理容器の外殻から前記トッププレートの前記フレームの係り代を除く左右端部までの距離を長くなる構成とした」のに対して、公然実施品1発明は、トッププレート及びフレームの横幅が599mmであって、加熱部の径及び位置が不明である点。
(ウ)判断
<相違点1について>
公然実施品1発明のフレームの係り代を除くトッププレートの横幅寸法は、599mm以下であることは明らかであるから、上記相違点1は実質的な相違点であり、本件発明1が公然実施品1発明であるとはいえない。
また、公然実施品1発明において、トッププレートの横幅の設定に係る思想が不明であるから、トッププレートの横幅を大きくする動機付けはなく、本件発明1が、公然実施品1発明に基いて容易に発明をすることができたものであるともいえない。
さらに、仮に公然実施品1発明において、トッププレートの横幅を700mm以上としたとしても、その際に、トッププレート中の加熱部の径及び位置をどうするかは不明であって、本件発明1の上記相違点1に係る事項となるとはいえない。また、本件発明1は、上記相違点1に係る事項を有することで、「業界標準となっている限られた寸法内にロースタを一体に組み込んだケース本体を落とし込んで配置するような加熱調理器においても、所定の間隔を確保した上で許容される最大径の調理容器が、トッププレート上から左右方向にはみ出るのを抑えて不具合な加熱形態を回避するとともに、左右端部に余裕ができて調理容器の取扱いに支障を来すこともない。」(【0011】)という作用効果を有するものであるから、本件発明1の上記相違点1に係る事項とすることが、単なる設計的事項であるともいえない。
ウ-2 「RSK-N730V4TGT-ST」に基づく特許法第29条第2項について
(ア)公然実施された発明
「(週刊)ガスエネルギー新聞」(添付資料7参照。)及び添付資料10によると、2001年4月11日には、リンナイ株式会社「RSK-N730V4TGT-ST」(以下「公然実施品2」という。)が製造販売されていたものと認められる。
そして、添付資料10には、公然実施品2がバーナーを左右に有すること、及びバ-ナー間隔が33cmであることが記載されている。
したがって、公然実施品2に係る発明(以下「公然実施品2発明」という。)は、以下のとおりである。
「バーナーを左右に有し、バ-ナー間隔が33cmである、75cm幅のビルトインコンロ。」
(イ)対比
本件発明1と公然実施品2発明とを対比すると、公然実施品2発明の「ビルトインコンロ」は、本件発明1の「加熱調理器」に相当するから、本件発明1と公然実施品2発明とは、少なくとも以下の点で相違する。
<相違点2>
本件発明1は、「誘導加熱コイル」を有するのに対して、公然実施品2発明は、バーナーを有する点。
(ウ)判断
<相違点2について>
本件特許出願前に、加熱調理器においてバーナーを用いたものも誘導加熱コイルを用いたものも周知であるとしても、そのエネルギー源は異なり、トッププレートに求められる機能も含め、構造が大きく異なるものであるから、公然実施品2発明において、トッププレートの構造を維持したままで、バーナーに換えて誘導加熱コイルを用いることが、容易にできたとはいえない。
仮に、公然実施品2発明において、バーナーに換えて誘導加熱コイルを用いたとしても、バーナーと誘導加熱コイルではその構造が大きく異なるものであるから、公然実施品2発明における誘導加熱コイルを用いた際の加熱部の径及び位置をどのようにするかは不明であって、本件発明1の上記相違点2に係る事項となるとはいえない。また、本件発明1は、上記相違点3に係る事項を有することで、「業界標準となっている限られた寸法内にロースタを一体に組み込んだケース本体を落とし込んで配置するような加熱調理器においても、所定の間隔を確保した上で許容される最大径の調理容器が、トッププレート上から左右方向にはみ出るのを抑えて不具合な加熱形態を回避するとともに、左右端部に余裕ができて調理容器の取扱いに支障を来すこともない。」(【0011】)という作用効果を有するものであるから、本件発明1の上記相違点2に係る事項とすることが、単なる設計的事項であるともいえない。
エ 小括
上記のとおりであるから、訂正後の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項及び第2項、同法第36条第4項第1号並びに同条第6項第1号及び第2号の規定により、独立特許要件を満たさないとする理由はないし、その他の理由を発見しないから、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
したがって、本件審判請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号又は第3号に係げる事項を目的とし、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
添付資料5
添付資料5-1
添付資料7
添付資料10
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2017-390141