特許訂正審判
2017-390024
樹脂シートのトリミング装置
- 審判番号
- 2017-390024
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2002-260224
- 登録番号
- 特許第4047108号(P4047108)
- 請求日
- 2017年03月28日
- 審決日
- 2017年06月02日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 浅野研究所
- 【請求人代理人】三宅 始
- 審判長/審判官
- 審判長 小野寺 務
- 審判官 原田 隆興
- 審判官 藤原 浩子
- 分類
- P141 .851-Y (B29C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法126条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条、特許法第126条第7項、特許法第126条第3項、特許法第126条第4項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第4047108号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第4047108号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4047108号(請求項の数2。以下、「本件特許」という。)は、平成14年9月5日の出願であって、平成19年11月30日に特許権の設定登録がなされた。
そして、平成29年3月28日(受理日:平成29年3月29日)に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 審判請求の趣旨及び訂正内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件特許明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
そして、その訂正内容は、以下のとおりと認める。
1.訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1において、「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、樹脂シートを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」と記載されているものを、
「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、シートガイドと、上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」に訂正する(下線は合議体による。以下同様。)。
2.訂正事項2
本件特許明細書の【0007】において、「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、樹脂シートを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」と記載されているものを、
「前記シート移送手段は、前記トリミング機のトリミング動作に連係してトリミング処理前の樹脂シートを案内して同トリミング機に搬入する送り機構と、シートガイドと、上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構と、トリミング処理後の樹脂シートを同トリミング機から搬出する送り機構とを備え、」に訂正する。
第3 当審の判断
1.一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1及び2について、請求項2は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、本件訂正前の請求項1及び2に対応する本件訂正後の請求項1及び2は、特許法126条第3項に規定する関係を有する一群の請求項である。
訂正事項2は、訂正事項1に伴って本件特許明細書の【0007】に記載されている請求項1に対応する部分について訂正するものであるから、訂正後の請求項1及び請求項1の記載を引用する請求項2を含めた一群の請求項1及び2の全てに関係する。
したがって、本件特許明細書に係る訂正は、特許法第126条第4項の規定に適合する。
2.訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正前の請求項1に係る発明は、シート移送手段が「樹脂シートを上下方向に移動可能とする昇降機構」を備えていることを特定している。
ここで、昇降機構において、樹脂シートを上下方向に移動させるための具体的な部材、及び、樹脂シートの上下方向の移動と他の部材との位置関係が特定されていない。
そこで、訂正後の請求項1に、シート移送手段が「シートガイド」を備えていること、及び昇降機構が「上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする」との限定を加えることにより、樹脂シートを上下方向に移動させるための具体的な部材、及び、樹脂シートの上下方向の移動と他の部材との位置関係を特定することにより、訂正前の請求項1に係る発明を限定するものである。
また、訂正事項1は、訂正前の請求項2に記載される事項については何ら訂正するものではないから、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に判断される。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
本件特許明細書には、以下のとおり記載されている。
摘示ア「【0015】
一方のシート移送手段20Aは、ダイ14やポンチ15の取り付け・交換作業等を行い易くするために、前記トリミング機10の一側面10aに設けられた固定軸17にフレーム21を支持させて横方向に開閉可能に設けられている。そのフレーム21には、シートガイド30の昇降機構25を設ける。」
摘示イ「【0016】
昇降機構25は、4本のネジ軸26をフレーム21に回転自由に設けられたナット体(図示せず)に螺合し、各ナット体に固定されたプーリー(図示せず)とサーボモータ27の駆動軸に固定されたプーリーとにタイミングベルト(図示せず)を掛け渡し、そのサーボモータ27の駆動によって各ナット体を一斉に回転させることにより、ネジ軸26の上端に取り付けられたシートガイド30を上下方向に移動させるように構成されている。」
摘示ウ「【0009】
【発明の作用及び効果】
(請求項1及び2の発明)
例えば、樹脂シートの下側に成形品が形成されていて、その成形品の高さが所定寸法より小さい(言い換えれば、成形品が一方のシート移送手段のシートガイドやトリミング機のダイに干渉する虞がない)場合には、成形装置から繰出される樹脂シートをキャメルバックを使用しないで一方のシート移送手段にセットする。
しかして、両シート移送手段のシートガイドが上昇した状態にて、樹脂シートは送り機構によりトリミング機に搬入されてから、シートガイドと一緒に下降する。これにより、成形品は成形手段のダイ上に載置され、ダイと一対に設けられたポンチ(又は押し切り刃)の下降動作により打ち抜き(又は切り抜き)加工を施される。ついで、両シート移送手段のシートガイドが上昇して元の高さに復帰すると、トリミング処理後の樹脂シート(スクラップシート)は、送り機構によりトリミング機のダイに対して1ピッチだけ移送される。そして、再びシートガイドが下降して次の成形品がダイ上に載置される。
かかる一連の動作が繰り返されることにより、トリミング処理が連続的に行われる。」
摘示エ「【0024】
両方のシート移送手段20A,20Bのシートガイド30,30が上昇した状態にて、樹脂シートSは他方のシート移送手段20Bの送り機構35の作動によりトリミング機10に搬入され、シートガイド30,30と一緒に下降される。これにより、樹脂シートSに形成された成形品aはダイ14の上に載置される。ついで、ポンチ15の下降動作により打ち抜き加工が施されると、シートガイド30,30が昇降機構25の作動により上昇して元の高さに復帰する。トリミング処理後の樹脂シートSは、他方のシート移送手段20Bの送り機構35の作動によりダイ14に対して1ピッチ分だけ移送される。そして、再びシートガイド30,30が下降して次の成形品aをダイ14の上に載置させる。
かかる一連の動作が繰り返されることにより、トリミング処理が連続的に行われる。」
まず、訂正事項1におけるシート移送手段が「シートガイド」を備えていることは、上記摘示ア及びイの記載(特に下線部)に基づくものであることは明らかである。
次に、訂正事項1における「上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構」について検討する。
上記摘示アないしエの記載(特に下線部)の記載からみて、
シート移送手段には、シートガイドの昇降機構が設けられており、昇降機構はシートガイドを上下方向に移動させるように構成されていること、
シートガイドが上昇した状態にて、樹脂シートは送り機構によりトリミング機に搬入されてから、シートガイドと一緒に下降し、これにより、成形品は成形手段のダイ上に載置されていることがいえる。
すなわち、昇降機構はシートガイドを上下方向に移動可能とするものであって、シートガイドが上昇した状態で、樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、(樹脂シートが)シートガイドと一緒に下降することにより、成形品がダイ上に載置されており、成形品は、樹脂シートに形成されたものであるから、「成形品がダイ上に載置される」ことは、「樹脂シートがダイ上に載置される」ことと同義であるといえる。
そうすると、訂正事項1における「上昇した状態で樹脂シートが送り機構によりトリミング機に搬入され、下降することにより樹脂シートがダイの上に載置されるようにシートガイドを上下方向に移動可能とする昇降機構」についても、上記摘示アないしエの記載(特に下線部)に基づくものであることは明らかである。
よって、訂正事項1は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記訂正事項1は、上記(1)の理由から明らかなように、発明を特定するための事項を直列的に付加して訂正前の請求項1に係る発明を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
訂正事項1は、訂正前の請求項2に記載される事項については何ら訂正するものではないから、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に判断される。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
本件特許は審査段階において、平成19年8月16日付拒絶理由通知で、請求項1及び2は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとの拒絶理由が通知されたが、平成19年10月17日提出の手続補正書により当該拒絶理由は解消し、また、特許法第29条等のその他の拒絶の理由をも発見しないため、平成19年11月9日付けで特許査定に至ったものである。
よって、訂正前の本件特許には拒絶の理由を発見しないのであって、訂正前の請求項1を減縮する訂正事項1自体についても、特許法第36条、特許法29条等のその他の拒絶の理由を発見しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項に適合するものである。
3.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
訂正事項2は単に本件明細書の【0007】の記載内容を、訂正事項1の記載内容に一致させるだけのものであるから、訂正事項2は特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(2)新規事項の追加について
訂正事項2は訂正事項1と実質的に同じ内容のものであるから、2.(2)と同様に判断され、訂正事項2は、本件特許明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更について
訂正事項2は訂正事項1と実質的に同じ内容のものであるから、2.(3)と同様に判断され、訂正事項1で述べたことから明らかなように、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
(4)独立特許要件について
訂正事項2は訂正事項1と実質的に同じ内容のものであるから、2.(4)と同様に判断され、訂正事項2は特許法第126条第7項に適合するものである。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3~7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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