意匠拒絶査定不服審判
2017-018757
配線・配管材保持具
- 審判番号
- 2017-018757
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-019769外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年12月18日
- 審決日
- 2018年06月11日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】未来工業株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 Vesta国際特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (M2-6)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 19769「配線・配管材保持具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年9月13日の意匠登録出願であって、平成29年6月6日付けの拒絶理由の通知に対し、指定された期間内に意見書の提出がなく、平成29年9月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年12月18日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「配線・配管材保持具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で示した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成28年4月25日)に記載された、意匠登録第1548504号(意匠に係る物品、配線・配管材固定具)の意匠であり、その形態を、同公報に記載されたとおりとしたものであり、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「配線・配管材保持具」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「配線・配管材固定具」で表記は異なるが、いずれもケーブルや通水管等を配設する際の固定用部材であって、配線・配管材にかぶせて使用するものであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通する。
2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれもケーブルや通水管の固定を主たる機能とするものであるから、用途及び機能が共通する。
3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも両端に固定用の鋲孔を有する脚部と、脚部間のアーチ状の保持部からなる、固定用部材(いわゆる「サドル」。以下「サドル」ということもある。)の表面部分であるから、位置、大きさ及び範囲が一致する。
4 両部分の形態の対比
(1)両部分の形態の共通点
(共通点1)水平な両端の脚部とアーチ状の保持部が左右対称をなす固定用部材の上面の帯状の部分であって、両脚部の上面には突出した筒状の鋲孔(以下「鋲孔」という。)とこれを囲む薄板(以下「周壁」という。)が設けられている点。
(共通点2)鋲孔は縦長筒状で外周面に細幅薄板状のリブが平面視して等間隔に渦巻き状に5枚設けられている点。
(共通点3)周壁の高さは鋲孔の約3分の1である点。
(2)両部分の形態の相違点
(相違点1)本願部分の鋲孔は、円筒であるのに対して、引用部分は、五角形の筒である点。
(相違点2)本願部分の鋲孔に設けられたリブは、上端が水平であるのに対して、引用部分は、五角形の各辺を延長するようにリブが形成され、上端が端部に向かって僅かに下り傾斜となっている点。
(相違点3)本願部分の周壁は、平面視して倒立した丸括弧状の円弧2つで鋲孔の上下を挟んだ態様であるのに対して、引用部分は、鋲孔を囲む円環状である点。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するから、類似する。
2 両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、主たる用途及び機能が共通するから、類似する。
3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致するから、同一である。
4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価
(1)両部分の形態の共通点
共通点1は、全体形状に係るものではあるが、この種物品によく見られるサドルの脚部に固定用の鋲孔を設けた既に見られる態様を概括的に捉えたものであって、部分全体の美感に与える影響は小さい。
共通点2における鋲孔の態様は、目に付きやすい位置でリブの枚数が一致するものの、この種物品分野において複数のリブを等間隔に形成した筒状の鋲孔はごく一般的なものに過ぎないから、共通点2は、鋲孔の態様を概括的に捉えたものであって、部分全体の美感に与える影響は小さい。
共通点3における周壁の態様は、部分全体の大きさに照らすと、部分的なものであり、また、高さを鋲孔の約3分の1とすることは、格別の特徴とはいえず、共通点3が部分全体の美感に与える影響は小さい。
(2)両部分の形態の相違点
相違点1における鋲孔の形状は、本願意匠が円筒であるのに対し、引用意匠は五角形の筒であって、相違点2の各辺を延長するように形成されたリブの態様が相まった視覚的効果により五角形を基調とする印象が更に強調されている。鋲孔は部材を固定する際の機能に影響し、需要者はその細部の相違にも注意を払うものであるから、鋲孔の形状は需要者に異なる美感を与える。
相違点2における鋲孔上端の態様は、鋲孔の極一部に関する部分的なものであるから、部分全体の美感に与える影響は小さい。
相違点3における周壁の態様は、本願意匠が2枚の薄板で鋲孔を上下から挟み込む印象であるのに対して、引用意匠は1つの円環によって鋲孔が囲まれた印象であって、周壁は、鋲打機を用いた作業において位置決めの際に注視される部位であることから、需要者はその細部の相違にも注意を払い、また、本願意匠のように、2枚の円弧状薄板で鋲孔を挟むように囲んだ態様は、他の先行意匠にほとんど見られないものであるから、当該薄板の形状は需要者に異なる美感を与える。
5 両意匠の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、ケーブルや通水管等を固定するという機能を有し、その使用に際しては鋲打機等を用いて留付けを行うことから、鋲孔及び周壁の態様は、作業時に注目される部分であり、需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両部分は、鋲孔及び周壁の美感に大きな差異があり、これらが相まって需要者に異なる美感を与えており、両部分は全体として美感に大きな差異があるといえる。そうすると、部分全体の形状や、鋲孔がリブを有する筒状で、その周囲を約3分の1の高さの周壁とした点が共通することを考慮したとしても、意匠全体として観察した際には異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似し、両部分の用途及び機能が類似し、両部分の位置、大きさ及び範囲が同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。
第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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