意匠拒絶査定不服審判
2017-017237
Handbags
- 審判番号
- 2017-017237
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-500182外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年11月21日
- 審決日
- 2018年06月15日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】グッチオ グッチ ソチエタ ペル アツィオーニ
- 【請求人代理人】中田 和博
- 【請求人代理人】青木 博通
- 【請求人代理人】柳生 征男
- 【請求人代理人】片山 礼介
- 分類
- D18 .113-WY (B4-1)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-500182「Handbags」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成27年(2015年)2月25日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成27年(2015年)8月7日の国際意匠登録出願であって,平成28年(2016年)11月9日付けの拒絶理由通知に対し,平成29年(2017年)2月17日に意見書が提出されたが,平成29年8月8日付けで拒絶査定がなされ,平成29年11月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「Handbags」(参考訳:「ハンドバッグ」,以下日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
引用意匠は,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠
著者の氏名/名称:Conde Nast
表題:Gucci Fall 2015 Ready-to-Wear Collection - Vogue
掲載箇所:2/46 of the SLIDESHOW (LOOK 2)
媒体のタイプ:[online]
掲載年月日:2015年2月25日
検索日:[2016年11月4日検索]
情報の情報源:インターネット
情報のアドレス
URL: http://www.vogue.com/fashion-shows/fall-2015-ready-to-wear/gucci/slideshow/collection#2
に表されたハンドバッグの意匠(別紙第2参照)
第4 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当するものであるか否かを,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かについて検討し,判断する。
1 意匠の認定
(1)本願意匠
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「ハンドバッグ」である。
イ 形態
(ア)ハンドバッグ本体の正面及び背面について,その外形状を,上底と下底の長さの違いを微差とした略等脚台形状とし,その下底,高さの構成比率を約15:9とし,
(イ)ハンドバッグ本体の側面幅及び底面幅を,正面横幅の約3分の1とし,
(ウ)ハンドバック本体の背面側からそのまま天面部を覆い,さらに正面略中央の位置まで垂下する蓋部を構成し,
(エ)ハンドバック本体の側面及び底面を二分する仕切りが蛇腹状の立ち上げ部を形成し,
(オ)側面視において,二分された正面側部分の下端を略弧状とし,背面側のものは略直線状とし,
(カ)正面に表れた蓋部について,蓋部左右両端略中央から蓋部正面中央にむけて形成された偏平な略V字状の切り替え部(以下「切り替え部」という。)を有し,その下部は略直角三角形状をなす別部材によって構成され,切り替え部中央部分は舌片状に延長して下端に至る開閉部(以下「開閉部」という。)とし,
(キ)切り替え部中央において,舌片状に下端に延長した開閉部を囲むように,開口部を下端側にし,その開口先端部分に略楕円状に膨らみをもたせた馬蹄形状の装飾金具を付加し,
(ク)ハンドバッグ本体天面部には,その端部より天面部全長の約7分の1の箇所にそれぞれ,半環状の細幅帯体の肩紐保持部を設け,
(ケ)該肩紐保持部に,一重の鎖状の輪を通して二重の肩紐とし,
(コ)切り替え部下部,肩紐保持部及び装飾金具を除く正面及び背面には,その交点にG字状のマークを組み合わせて配した斜め格子の模様を付し,他方,切り替え部下部,側面,底面及び肩紐保持部は同色の無地とし,
(サ)肩紐保持部,蓋部,蓋部以外の正面及び背面の周囲内側の端部には,ステッチが施されている。
(2)引用意匠
ア 意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は,「ハンドバッグ」である。
イ 形態
(ア)ハンドバッグ本体の背面側からそのまま天面部を覆い,さらに正面略中央の位置まで垂下する蓋部を構成し,
(イ)ハンドバッグ本体の側面及び底面を二分する仕切りが蛇腹状の立ち上げ部を形成し,
(ウ)側面視において,仕切り部によって二分された側面部分の下端をともに略直線状とし,
(エ)正面に表れた蓋部については,偏平な略V字状の切り替え部の下に,その矩形状をなす端部が蓋部左右両端より僅かにはみ出すように別部材が配され,
(オ)切り替え部中央には,装飾金具を付加し,
(カ)ハンドバッグ本体天面部には,その端部寄りの箇所それぞれに,半環状の細幅帯体の肩紐保持部を設け,
(キ)該肩紐保持部に,一重の鎖状の輪を通して二重の肩紐としている。
(ク)なお,ハンドバック本体の正面視の形状,正面横幅,側面幅,底面幅の構成比率,切り替え部中央における舌片状の開閉部の有無,切り替え部中央に配された装飾金具の具体的な形態,蓋部に付された模様の具体的態様,蓋部以外の正面,背面,底面に係る模様の有無も含めたその態様,及びステッチの有無については,引用意匠においては明瞭に特定することができないものとなっている。
2 本願意匠と引用意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,ともに「ハンドバッグ」であり,共通する。
(2)両意匠の形態
ア 共通点
(共通点1)ハンドバッグ本体の背面側からそのまま天面部を覆い,さらに正面略半分の位置まで垂下する蓋部を構成している点,
(共通点2)ハンドバッグ本体の側面及び底面を二分する仕切りが蛇腹状の立ち上げ部を形成している点,
(共通点3)切り替え部中央には,装飾金具を付加している点,
(共通点4)ハンドバッグ本体天面部には,その端部寄りの箇所それぞれに,半環状の細幅帯体の肩紐保持部を設けている点,
(共通点5)該肩紐保持部に,一重の鎖状の輪と通して二重の肩紐としている点。
イ 相違点
(相違点1)本願意匠は,ハンドバッグ本体の正面及び背面について,その外形状を上底と下底の長さの違いを微差とした略等脚台形状とし,その下底,高さの構成比率を約15:9としているのに対して,引用意匠は,正面視の形状は不明となっている点,
(相違点2)本願意匠は,ハンドバッグ本体の側面幅及び底面幅を,正面横幅の約3分の1としているのに対して,引用意匠は正面視の形状が不明のため,正面横幅,側面幅,底面幅の構成比率も不明となっている点,
(相違点3)本願意匠は,側面視において,二分された正面側部分の下端を略弧状とし,背面側のものは略直線状としているのに対して,引用意匠は,その下端をともに略直線状としている点,
(相違点4)本願意匠は,正面に表れた蓋部について,蓋部左右両端略中央から蓋部正面中央にむけて形成された偏平な略V字状の切り替え部を有し,その下部は略直角三角形状をなす別部材によって構成され,切り替え部中央部分は舌片状に延長して下端に至る開閉部としているのに対し,引用意匠は,偏平な略V字状の切り替え部の下に,蓋部左右両端よりその矩形状をなす端部が僅かにはみ出すように別部材が配され,切り替え部中央における舌片状の開閉部の有無は不明となっている点,
(相違点5)本願意匠は,蓋部切り替え部中央に,舌片状に延長した開閉部を囲むように配された装飾金具が,開口部を下端側にした馬蹄形状をなし,その先端は略楕円状に膨らみを有しているのに対して,引用意匠は,その具体的な形態は特定できないものとなっている点,
(相違点6)本願意匠は,切り替え部下部,肩紐保持部及び装飾金具を除く正面及び背面には,その交点にG字状のマークを組み合わせて配した斜め格子の模様が付され,他方,切り替え部下部,側面,底面及び肩紐保持部は同色の無地となっているのに対して,引用意匠は,切り替え部下部を除く正面には,格子状の模様が付されているものの具体的な模様の態様は明確ではなく,さらに,切り替え部下部の別部材,肩紐保持部及び側面は同色の無地としているが,背面及び底面の態様について具体的に明確になっていない点,
(相違点7)本願意匠は,肩紐保持部,蓋部,蓋部以外の正面及び背面の周囲内側の端部にはステッチが施されているのに対して,引用意匠は,ステッチの有無は明確になっていない点。
3 本願意匠と引用意匠の類否判断
この種物品分野の性質,用途,使用態様を参酌すると,需要者は,縦,横,厚みの比率によって骨格が形成されるハンドバッグ全体の構成,開閉の際に使用する蓋部を含んだ正面の態様,及び選択や購入において重要な要素となる模様や装飾具の態様について注目し,注意を惹かれるものといえる。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,共通している。
(2)形態
ア 共通点の評価
そこで検討するに,共通点1である,背面側から天面部を覆い正面略中央まで垂下する蓋部については,この種物品分野においては既によく見られる概括的に把握される態様に過ぎず,需要者に特徴として強く印象づけるものとはいえず,意匠全体の美感に与える影響は小さい。
共通点2については,この種物品分野においては既によく見られる態様であり,独自の特徴として注意をひくものとはいえず,意匠全体の美感に与える影響は小さい。
共通点3における装飾金具の付加については,この種物品分野においては,蓋部の端部中央に装飾金具を配することは既によく見られるものであるから,装飾金具の存在のみが需要者の注意を強く惹くものとはいえず,意匠全体の美感に与える影響は大きいものとはいえない。
肩紐保持部や肩紐の態様における共通点4及び共通点5については,この種物品分野で既によく見られる態様とはいえないことから,意匠全体の美感には一定の影響を与える。
イ 相違点の評価
相違点1におけるハンドバッグ本体の正面及び背面の概括的な外形状,及び相違点2に関するハンドバッグの横幅や厚みの構成比率に関する特徴は,需要者が注目をするハンドバッグ全体の骨格に係るものであることから,その具体的な態様が不明である引用意匠との対比においては,本願意匠が有する独自の特徴を強く需要者に印象づけるものとなっており,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点3については,本願意匠の側面視において,二分した正面側と背面側の下端の具体的な態様が各々異なるものとなっているのに対して,引用意匠はその差異がないものとなっており,内容量によって変化するハンドバッグの可変性や柔軟性に関して興味を持つ需要者に対して異なる美感を呈するものとなっており,両意匠の類否判断に影響を及ぼすものとなっている。
相違点4及び相違点5については,ハンドバッグの蓋を開閉する際に使用する開閉部に関する相違であることから,使用方法や使用の容易性を考慮する需要者の関心も高く,さらに正面の中央部に位置することから需要者の目につきやすく,本願意匠においては,舌片状の開閉部を囲むように装飾金具が配され,その具体的な態様も独自の特徴的なものとなっており,視覚的に一層異なる印象を与えるものであることから,この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものといえる。
相違点6については,機能的要素だけでなく,視覚的,趣味的な要素も需要者が重視する当該物品分野においては,模様の有無やその具体的な態様の違いも需要者には大きな影響を与えるものであり,特に本願意匠は文字と幾何学模様の組合せが連続して形成される特徴的な模様であり,具体的な態様の特定ができず明瞭な印象のない引用意匠とは明らかに異なる印象を与えるものとなっており,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点7についても,本願意匠のものは,各部の周囲内側の端部に施されたステッチであり,線状に施された該ステッチと各部の外形状の特徴と相まって,本願意匠の形態の特色を需要者に効果的に印象づけるものとなっており,そのような具体的な印象のない引用意匠とは明らかに異なるものなっており,この相違点が両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものとなっている。
(3)小活
両意匠の形態における共通点及び相違点についての評価に基づき,意匠全体として両意匠を総合的に観察した場合,両意匠は,肩紐保持部や肩紐の態様が共通することを考慮したとしても,それらは部分的な共通性にとどまり,需要者が注目をするハンドバッグ全体の構成,開閉の際に使用する蓋部を含んだ正面の態様,模様や装飾具の具体的態様に関して,美感に大きな相違があり,意匠全体として観察した際には,異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通しているが,その形態においては,相違点が全体において支配的なものとなっており,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであって,両意匠は類似しないものである。
第5 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2017-017237