意匠拒絶査定不服審判
2017-014293
消火器
- 審判番号
- 2017-014293
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-012135外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年09月27日
- 審決日
- 2018年04月17日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】沛倫設計有限公司
- 【請求人代理人】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
- 分類
- D18 .121-WY (J6-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 12135「消火器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、部分意匠として意匠登録を受けようとする、2016年(平成28年)1月6日の台湾への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、2016年(平成28年)6月7日の意匠登録出願であって、平成29年(2017年)2月20日付けの拒絶理由の通知に対し、同年5月15日に意見書が提出されたが、同年7月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年9月27日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品は、「消火器」であり、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)は、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりのもので、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下、本願において、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)
第3 原審の拒絶の理由及び引用意匠
原審の拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって、具体的には、以下のとおりである。
この意匠登録出願の意匠は、「消火器」に係るものですが、この種物品において、容器体を、スプレー缶として成すことは、例えば下記の意匠1に見られるように本願の出願前より広く知られており、また、容器としてのスプレー缶の全体的な形状を、略円筒形状に成すことも、例えば下記の意匠2、意匠3に見られるように本願の出願前より広く知られております。
そうすると、この意匠登録出願の意匠は、本願出願前より既に広く知られた、スプレー缶型の消火器について、その全体的な形状を、略円筒形状に成して表した程度に過ぎないので、容易に創作できたものと認められます。
意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1177797号の意匠
意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の登録実用新案公報記載
実用新案登録第3101373号
【図3】の5 においてあらわされた「消火器スプレー缶」の意匠
意匠3(別紙第4参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2011年 2月28日
受入日 特許庁意匠課受入2011年 3月 4日
掲載者 ケンコーコム株式会社
表題 タイトルなし
掲載ページのアドレス
http://d19qi3y8daz13j.cloudfront.net/E151899H_L.jpg
に掲載された「包装用容器」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22075434号)
第4 当審の判断
原審の拒絶の理由に対して、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が、当業者であれば、容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
1.本願部分の形態
本願部分は、全体が、略縦長円柱形状の底面部を除いた部分であって、具体的には、消火器本体部の上下に、それぞれ上蓋部と下蓋部を取り付けたものである。
全体の高さと直径の長さの比率は、約5:1で、上蓋部の高さは、全体の高さの約6分の1弱で、下蓋部の高さは、全体の高さの約45分の1であり、上蓋部及び下蓋部と本体部との境界部には、それぞれ細い横溝を形成した態様としたものである。
2.引用意匠の形態
(1)意匠1
意匠1は、意匠に係る物品を「消火器」とし、その形態は、略円柱形状の本体部の上下端部をそれぞれ若干段差状に絞り、その端部にそれぞれリング状の円環部を設け、上面部中央に本体部より一回り小径の略短円柱形状の突状部を形成し、その上部に消火剤噴射用のノズル部を取り付けたものであって、本体部の胴部全体に、複数の文字列と模様を施した態様としたものである。
(2)意匠2
意匠2の消火器スプレー缶は、全体が、略縦長円柱形状で、本体部に上蓋部を取り付けたものであって、その高さと直径の長さの比率は、約3:1で、上蓋部の高さは、全体の高さの約6分の1としたものである。
(3)意匠3
意匠3の包装用容器は、全体が、略縦長円柱形状で、本体部に透明な上蓋部を取り付けたものであって、本体部の上面部中央に取り付けられた突起状のノズル部が上蓋部越しに視認できるものである。全体の高さと直径の長さの比率は、約3:1で、上蓋部の高さは、全体の高さの約6分の1強としたものであり、本体部の上端からやや下がった高さまでを白色に着色し、残余を赤色に着色したものであって、さらに、本体部の胴部に、複数の文字列と模様を施したものである。
3.本願部分の創作容易性について
まず、この種の小型の消火器の物品分野においては、消火剤を封入した本体部の上面部に消火剤噴射用のノズル部を取り付けたものが、意匠1にみられるように本願出願前から公然知られた態様のものであり、また、消火器本体の上面に蓋部を取り付けて、全体として、略縦長円柱形状としたものも、意匠2にみられるように本願出願前から公然知られた態様のものである。
しかしながら、本願意匠と意匠1は、当該物品の用途及び機能は共通するものの、意匠1の形態は、2.(1)に記載のとおりであって、本願部分の形態との比較において大きく異なるものであるから、意匠1の態様から,本願部分の態様を容易に導き出すことはできない。
また、意匠2及び意匠3の形態は、本願部分の形態との比較において、いずれも、本体部に上蓋部を取り付け、全体を略縦長円柱形状としたものである点においては共通するものの、本願部分のような下蓋部は無く、本願部分は、本体部の上下に、それぞれ上蓋部と下蓋部を取り付け、その境界部には、それぞれ細い横溝を形成した態様が、本願部分の特徴となっており、また、全体の高さと直径の長さの比率においても、本願部分は、意匠2及び意匠3よりも、高さに対する径の長さの比率が小さく、全体的にスリムな印象を与えるものであるから、本願部分は、これら2つの引用意匠に基づいて容易に意匠の創作をすることができたということはできない。
なお、原審において、引用意匠(意匠1ないし意匠3)は、いずれも本願出願前より広く知られている旨認定しているが、本願意匠の属する小型消火器の物品分野においては、消火器本体を、スプレー缶とした態様や上蓋部を取り付けて全体を略縦長円柱形状とした態様は、本願出願前より公然知られているものであるとしても、広く知られた形態とまではいうことができないものであるから、これらの引用意匠は、いずれも、当該物品分野においては、周知の意匠であるとはいえないものである。
そうすると、本願部分における形態は、意匠1ないし意匠3から導き出せるものとはいえないから、本願意匠について、その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、意匠1ないし意匠3に基づいて容易に意匠の創作をすることができたということはできない。
第5 むすび
したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-014293