特許拒絶査定不服審判
2017-012868
携帯端末装置、端末通信システム、端末通信方法及びプログラム
- 審判番号
- 2017-012868
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-510051外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月31日
- 審決日
- 2018年05月09日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-510051「携帯端末装置、端末通信システム、端末通信方法及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月17日国際公開、WO2013/153795、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年4月5日(優先権主張平成24年4月13日)を国際出願日とする出願であって、平成28年10月18日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年11月11日に手続補正がされ、平成29年1月25日付けで拒絶理由通知(最後)がされ、平成29年3月8日に手続補正がされ、平成29年6月7日付けで平成29年3月8日付けの補正を却下する補正の却下の決定がされ、同日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年8月31日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成29年6月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2011-113495号公報
2.特開2011-86050号公報
3.特開2011-238113号公報
第3 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成29年8月31日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
情報量の多い画面向けデータを情報量の少ない画面向けデータとして表示可能な携帯端末装置であって、
複数のコンテンツを含む情報量の多い画面向けデータに基づいて、各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データを案内表示する第1の表示手段と、
前記第1の表示手段に表示されている概観データの中から任意のコンテンツを選択する選択手段と、
前記選択手段によりコンテンツが選択される毎に前記選択されたコンテンツの内容を表示する第2の表示手段と、
前記選択されたコンテンツの内容を前記第2の表示手段に表示する際に、前記選択されたコンテンツの内容を、前記第2の表示手段の少なくとも1つ以上の選択可能な画面位置のうちユーザにより指定された画面位置に配置して前記情報量の多い画面向けデータを前記情報量の少ない画面向けデータに変更する変更制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末装置。」
本願発明2-7は、概略、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明8-10は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「端末通信システム」、「端末通信方法」、「プログラム」の発明である。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審付与。以下同様。)。
(1) 段落【0001】-【0004】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ変換技術およびコンテンツ選択技術、特に、WEBコンテンツを小画面の機器に表示させるコンテンツに変換する技術およびWEBコンテンツから小画面の機器に表示する部分を選択する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話を始めとするインターネットへのアクセス機能を備えた端末(以下、携帯端末と称する)が普及している。従来のこのような携帯端末では、HTML(Hyper Text Markup Language)のサブセットのみに対応したブラウザが搭載されていた。そのため、WEBコンテンツの配信者は、通常のHTMLで記述されたパーソナルコンピュータ等(以下、パソコン等と称する)向けのWEBコンテンツ(以下、パソコン向けWEBコンテンツと称する)と携帯端末用に記述されたWEBコンテンツ(以下、携帯端末向けWEBコンテンツと称する)とを準備しなければならず、多くの予算や労力を必要としていた。また、パソコン向けWEBコンテンツをベースにして携帯端末向けWEBコンテンツを作成する場合には、両者の更新に時間差が生じるという問題もあった。
【0003】
また、近年では携帯端末にもパソコン向けWEBコンテンツを表示可能なものが登場してきている。しかし、パソコン向けWEBコンテンツは比較的大きな解像度のディスプレイを想定してデザインされているため、パソコン等に比べて解像度の低いディスプレイしか持たない携帯端末では操作感が悪いという問題が生じている。
【0004】
さらに、近年のパソコン向けWEBコンテンツは多くの情報を含んでいるため、携帯端末でパソコン向けWEBコンテンツを閲覧する際には、通信料金や通信時間の増大といった問題もある。」
(2) 段落【0088】-【0092】
「【実施例3】
【0088】
以下に、図面を用いて本発明のコンテンツ選択プログラムを説明する。本発明のコンテンツ選択プログラムは、上述のコンテンツ変換システムで用いられているプロファイル(特に、位置情報と識別情報)を生成するためのものである。なお、本実施例の形態ではコンテンツ選択プログラムは、パーソナルコンピュータ等の携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末Pにインストールされているブラウザ上で動作するアドオンとして構成されているが、コンテンツ選択プログラムにブラウザの機能を持たせても構わない。
【0089】
図12は、コンテンツ選択プログラムの操作画面の例である。端末PのディスプレイにはブラウザBの機能によりWEBコンテンツ(HTMLファイル)が表示されている。図に示すように、ブラウザBのウィンドウBwには、WEBコンテンツ(HTMLファイル)を表示するコンテンツ表示領域Rcと、ユーザにより選択されたWEBコンテンツの情報を表示するプレビュー領域Rpとに区画されている。図の状態では、コンテンツ表示領域に表示されているWEBコンテンツは、会社のロゴを情報として持つブロック(以下、ロゴブロックBL1と称する),ナビゲーションボタン群を情報として持つブロック(以下、ナビゲーションブロックBL2と称する),新製品情報を情報として持つブロック(以下、新製品情報ブロックBL3と称する),新着情報を情報として持つブロック(以下、新着情報ブロックBL4と称する),採用情報を情報として持つブロック(以下、採用情報ブロックBL5と称する)に大別される。なお、図12上で、各ブロックに対応する部分を点線で囲っている。このようにブラウザBに表示されたWEBコンテンツに対して、携帯端末Tで表示させたい情報を選択すると、選択された項目がプレビュー領域Rpに表示される。この例は、ユーザの選択操作によりロゴブロックBL1とナビゲーションブロックBL2とが選択された状態である。そのため、プレビュー領域Rpには、ロゴブロックBL1に対応する選択ブロックSB1と、ナビゲーションブロックBL2に対応する選択ブロックSB2とが表示されている。
【0090】
図13は、図12の状態でさらに採用情報ブロックBL5を選択したい場合の操作を表す図である。ユーザは、選択したブロックがある場合には、端末Pに接続されているマウス等のポインティングデバイス(以下、マウスと称する)を操作し、選択したいブロック(この例では、採用情報ブロックBL5)の表示領域上でメニューMを表示させ、[Mobile Page Service]→[Mobile Pageへ追加]を選択している。
【0091】
この操作に対して、本発明のコンテンツ選択プログラムが動作し、図14に示すように、プレビュー領域Rp内に選択された採用情報ブロックBL5に含まれる情報を表示する選択ブロックSB3が生成されている。
【0092】
このように、本発明のコンテンツ選択プログラムを用いると、ブラウザBに表示されているWEBコンテンツをマウスにより選択するだけで、所望のブロックのみを選択することができる。」
(3) 段落【0109】
「【0109】
このように、本発明のコンテンツ選択プログラムを用いると、ブラウザB上に表示された状態で、抽出したいブロックを指定することができるため、容易にプロファイルを作成することができる。なお、このコンテンツ選択プログラムは、一般ユーザ(携帯端末TからWEBコンテンツを閲覧するユーザ)、WEBコンテンツの提供者のいずれにも開放することが望ましい。一般ユーザが、このコンテンツ選択プログラムによりプロファイルを作成し、そのプロファイルを上述のコンテンツ変換システムAに記録させておき、コンテンツ変換システムを介して携帯端末向けWEBコンテンツを閲覧すれば、自身の閲覧したい情報のみが含まれた携帯端末向けWEBコンテンツを得ることができる。また、WEBコンテンツの提供者が作成したプロファイルをコンテンツ変換システムAに登録しておき、一般ユーザにはコンテンツ変換システムAのURLを告知しておけば、パソコン向けWEBコンテンツとは別に携帯端末向けWEBコンテンツを作成することなく、一般ユーザに対して携帯端末向けWEBコンテンツを提供することができる。」
したがって、関連図面に照らし、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「比較的大きな解像度のディスプレイを想定してデザインされ、多くの情報を含んでいる、WEBコンテンツから小画面の機器に表示する部分を選択するために、
コンテンツ選択プログラムは、パーソナルコンピュータ等の携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末Pにインストールされているブラウザ上で動作するアドオンとして構成され、
コンテンツ選択プログラムの操作画面として、端末Pのディスプレイにおいて、ブラウザBのウィンドウBwには、WEBコンテンツ(HTMLファイル)を表示するコンテンツ表示領域Rcと、ユーザにより選択されたWEBコンテンツの情報を表示するプレビュー領域Rpとに区画され、
コンテンツ表示領域に表示されているWEBコンテンツは、会社のロゴを情報として持つブロック(以下、ロゴブロックBL1と称する),ナビゲーションボタン群を情報として持つブロック(以下、ナビゲーションブロックBL2と称する),新製品情報を情報として持つブロック(以下、新製品情報ブロックBL3と称する),新着情報を情報として持つブロック(以下、新着情報ブロックBL4と称する),採用情報を情報として持つブロック(以下、採用情報ブロックBL5と称する)に大別され、
ブラウザBに表示されたWEBコンテンツに対して、携帯端末Tで表示させたい情報を選択すると、選択された項目がプレビュー領域Rpに表示され、
ユーザの選択操作によりロゴブロックBL1とナビゲーションブロックBL2とが選択された状態で、プレビュー領域Rpには、ロゴブロックBL1に対応する選択ブロックSB1と、ナビゲーションブロックBL2に対応する選択ブロックSB2とが表示されており、
さらに採用情報ブロックBL5を選択したい場合、ユーザは、端末Pに接続されているマウス等のポインティングデバイス(以下、マウスと称する)を操作し、選択したいブロック(採用情報ブロックBL5)の表示領域上でメニューMを表示させ、[Mobile Page Service]→[Mobile Pageへ追加]を選択し、
この操作に対して、コンテンツ選択プログラムが動作し、プレビュー領域Rp内に選択された採用情報ブロックBL5に含まれる情報を表示する選択ブロックSB3が生成されて、
ブラウザBに表示されているWEBコンテンツをマウスにより選択するだけで、所望のブロックのみを選択することができ、
携帯端末TからWEBコンテンツを閲覧する一般ユーザが、このコンテンツ選択プログラムによりプロファイルを作成し、そのプロファイルをコンテンツ変換システムAに記録させておき、コンテンツ変換システムを介して携帯端末向けWEBコンテンツを閲覧すれば、自身の閲覧したい情報のみが含まれた携帯端末向けWEBコンテンツを得ることができる、
端末P。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、以下の記載がある。
(1) 段落【0004】
「【0004】
このような機能が普及するとともに、表示装置が小さい携帯型の情報処理端末では、表示される多くの記事及び写真から所望する情報をいかに簡単に閲覧できるようにするかが問題となってきている。」
(2) 段落【0006】
「【0006】
特許文献2には、電子新聞の画像データを縮小して表示装置に表示し、画像データを記事毎に枠で区切って表示する技術が開示されている。特許文献3には、電子新聞の画像データを縮小して表示し、画像データに含まれる大きい見出しのみを表示する技術が開示されている。特許文献2及び特許文献3のいずれの場合も、レイアウト表示された表示画面から所望する記事を選択し、選択部分を拡大表示させることができる。」
(3) 段落【0011】
「【0011】
特許文献3の技術では、予め設定された見出しのみが画像データ作成時に拡大表示される。拡大表示設定がされなかった見出しは、小さい表示のまま全体紙面に表示されることとなる。記事の重要性は利用者により異なるため、大事な記事が利用者により見過ごされる危険性がある。」
(4) 段落【0076】-【0077】
「【0076】
以上のように、第1の実施の形態に係る携帯型の情報処理端末40を用いることによって、ページの全体画像が第1の表示部56に、その内で選択された記事の本文が拡大されて第2の表示部58に、それぞれ表示される。全体ページ画像に含まれる見出しが利用者に読取可能な程度の大きさでなければその見出しは拡大表示される。見出しは記事の内容を端的かつ的確に表すものであり、利用者が記事の内容を理解するのに役立つ。そのように見出しを読むことができる全体ページ画像と、選択された記事の本文部分の拡大画像とが同時に表示されるので、紙面の全体における各記事の位置及びレイアウトを確認しながら、所望の記事を快適に閲覧できる携帯型の情報処理端末を提供できる。
【0077】
見出しの拡大においては、ページ画像の一部を拡大したり、文字情報により画像を作成したりすることができ、柔軟にページ画像及び詳細画像を作成できる。記事の本文情報の拡大でも、ページ画像の一部を拡大したり、専用の画像を使用したり、文字情報から本文画像を作成したりすることができる。その結果、コンテンツ作成者の意図だけではなく、利用者の意図に沿った多彩な表現を実現することができる。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、以下の記載がある。
(1) 段落【0129】-【0130】
「【0129】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について説明する。上述の実施の形態1に係る記事表示ネットワークシステム1では、サーバ300が記事表示装置100へとコンテンツデータ101Xを送信するものであった。そして、記事表示装置100が、コンテンツデータ101Xに基づいて、ナビゲーション画面や、ページ用の表示画面や、記事用の表示画面を作成するものであった。
【0130】
一方、本実施の形態に係る記事表示ネットワークシステム1Bでは、サーバ300が、記事表示装置100で表示される、ナビゲーション画面や、ページ用の表示画面や、記事用の表示画面を作成するものである。すなわち、本実施の形態に係る記事表示装置100は、サーバ300からの表示データを表示すればよい
なお、実施の形態1に係る記事表示ネットワークシステム1と同様の構成については、説明を繰り返さない。たとえば、本実施の形態に係る記事表示装置100での表示画面の推移は、図1および図2に示されるように、実施の形態1に係るそれらと同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。」
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「パーソナルコンピュータ等の携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末P」は、本願発明1の「携帯端末装置」と、「端末装置」である点で共通するといえる。
引用発明の端末Pのディスプレイの「コンテンツ表示領域Rc」に表示される「比較的大きな解像度のディスプレイを想定してデザインされ、多くの情報を含んでいるWEBコンテンツ」(HTMLファイル)は、本願発明1の「情報量の多い画面向けデータ」に相当する。
引用発明の端末Pのディスプレイの「プレビュー領域Rp」に表示される、「ユーザにより選択されたWEBコンテンツの情報」は、「小画面の機器に表示する部分」であって、「自身の閲覧したい情報のみが含まれた携帯端末向けWEBコンテンツ」であるから、本願発明1の「情報量の少ない画面向けデータ」に相当する。
よって、引用発明の「比較的大きな解像度のディスプレイを想定してデザインされ、多くの情報を含んでいる、WEBコンテンツから小画面の機器に表示する部分を選択するため」の「パーソナルコンピュータ等の携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末P」は、本願発明1の「情報量の多い画面向けデータを情報量の少ない画面向けデータとして表示可能な携帯端末装置」と、「情報量の多い画面向けデータを情報量の少ない画面向けデータとして表示可能な端末装置」である点で共通するといえる。
イ 引用発明の「コンテンツ表示領域Rc」は、「ロゴブロックBL1」、「ナビゲーションブロックBL2」、「新製品情報ブロックBL3」、「新着情報ブロックBL4」、「採用情報ブロックBL5」を含む、「比較的大きな解像度のディスプレイを想定してデザインされ、多くの情報を含んでいるWEBコンテンツ」(HTMLファイル)を表示するから、本願発明1の「複数のコンテンツを含む情報量の多い画面向けデータに基づいて、各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データを案内表示する第1の表示手段」と「複数のコンテンツを含む情報量の多い画面向けデータに基づいて、データを案内表示する第1の表示手段」である点で共通するといえる。
ウ 引用発明の「マウス」は、「ブラウザBに表示されているWEBコンテンツをマウスにより選択するだけで、所望のブロックのみを選択することができ」るから、本願発明1の「前記第1の表示手段に表示されている概観データの中から任意のコンテンツを選択する選択手段」と、「前記第1の表示手段に表示されているデータの中から任意のコンテンツを選択する選択手段」である点で共通するといえる。
エ 引用発明の「プレビュー領域Rp」は、「ユーザにより選択されたWEBコンテンツの情報」が表示されるから、本願発明1の「前記選択手段によりコンテンツが選択される毎に前記選択されたコンテンツの内容を表示する第2の表示手段」に相当する。
オ 引用発明の「コンテンツ選択プログラム」は、ユーザの選択操作に対応して、「コンテンツ選択プログラムが動作し、プレビュー領域Rp内に選択された採用情報ブロックBL5に含まれる情報を表示する選択ブロックSB3が生成されて」いるから、本願発明1の「前記選択されたコンテンツの内容を前記第2の表示手段に表示する際に、前記選択されたコンテンツの内容を、前記第2の表示手段の少なくとも1つ以上の選択可能な画面位置のうちユーザにより指定された画面位置に配置して前記情報量の多い画面向けデータを前記情報量の少ない画面向けデータに変更する変更制御手段」と、「前記選択されたコンテンツの内容を前記第2の表示手段に表示する際に、前記選択されたコンテンツの内容を、画面位置に配置して前記情報量の多い画面向けデータを前記情報量の少ない画面向けデータに変更する変更制御手段」である点で共通するといえる。
したがって、本願発明1と、引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
[一致点]
「情報量の多い画面向けデータを情報量の少ない画面向けデータとして表示可能な端末装置であって、
複数のコンテンツを含む情報量の多い画面向けデータに基づいて、データを案内表示する第1の表示手段と、
前記第1の表示手段に表示されているデータの中から任意のコンテンツを選択する選択手段と、
前記選択手段によりコンテンツが選択される毎に前記選択されたコンテンツの内容を表示する第2の表示手段と、
前記選択されたコンテンツの内容を前記第2の表示手段に表示する際に、前記選択されたコンテンツの内容を、画面位置に配置して前記情報量の多い画面向けデータを前記情報量の少ない画面向けデータに変更する変更制御手段と、
を備えることを特徴とする端末装置。」
[相違点1]
端末装置が、本願発明1では「携帯端末装置」であるのに対して、引用発明では、「携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末P」であって、「携帯端末装置」ではない点。
[相違点2]
「第1の表示手段」(引用発明でいう「コンテンツ表示領域Rc」)に表示されるデータが、本願発明1では、「各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データ」であるのに対して、引用発明では、「比較的大きな解像度のディスプレイを想定してデザインされ、多くの情報を含んでいるWEBコンテンツ(HTMLファイル)」であって、「概観データ」ではない点。
[相違点3]
「選択手段」(引用発明でいう「マウス」)に関して、本願発明1では、第1の表示手段に表示されている「概観データ」の中から任意のコンテンツを選択するのに対して、引用発明では、多くの情報を含んでいるWEBコンテンツの中から選択するものである点。
[相違点4]
本願発明1では、選択されたコンテンツの内容を前記第2の表示手段に表示する際に、前記選択されたコンテンツの内容を、「前記第2の表示手段の少なくとも1つ以上の選択可能な画面位置のうちユーザにより指定された」画面位置に配置しているのに対して、引用発明では、ユーザにより指定された配置位置に、選択されたコンテンツの内容を配置することは特定されていない点。
(2) 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記[相違点2]について、先に検討する。
引用発明の「端末P」は、「携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末P」であるから、WEBコンテンツを表示するのに十分な大きさ、解像度があり、概観データを表示する必要がないと認められるので、「各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データ」による表示を行うべき起因や動機付けは見出し難い。
引用文献2には、「表示装置が小さい携帯型の情報処理端末」において、電子新聞の画像データを縮小して表示する場合に、記事の見出しのみを、「利用者に読取可能な程度の大きさ」に拡大して表示する技術が開示されていると認定できる(上記「第4、2.」を参照。)。
引用文献3には、端末装置側で、表示画面を作成することに替えて、サーバ側で表示画面を作成する技術が開示されていると認定できる(上記「第4 3.」を参照。)。
しかし、引用文献2-3にそれぞれに記載された技術的事項を考慮しても、引用発明の「携帯端末Tよりも解像度の高いディスプレイを持つ端末P」において、「各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データ」によって表示を行う構成を採用する起因や動機付けは見出し難い。
そして、本願発明1は、「各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データ」を表示する構成を採用することで、「PC用Webページの内容や各種のコンテンツの表示位置をユーザが使い易いように端末装置側でカスタマイズしようとしても、そのカスタマイズ中に表示できるコンテンツとしてどのようなものが存在しているのかが分かり難く、また、表示位置を変更する際にもどのようなコンテンツを選択したらよいか、他のコンテンツとの隣接関係はどうようになるかが分かり難く、その作業が煩雑なものとなるおそれがある」(本願の明細書段落【0004】)との課題に対処して、「ユーザの意向に合った変更を容易に実現できる」という効果を奏するものである。
したがって、上記[相違点1]、[相違点3]-[相違点4]について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-10について
本願発明2-7は、概略、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8-10は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「端末通信システム」、「端末通信方法」、「プログラム」の発明であって、本願発明1の上記[相違点2]の「各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データ」を表示する構成と実質的に同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-10も、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 原査定について
本願発明1-10は、「各コンテンツの配置状態を維持しつつ、各コンテンツのうち重要な部分を視認可能な情報量で表現し、それ以外の内容に関する部分を概観のみ分かる程度の少ない情報量で表現する概観データ」を表示するという事項を有しており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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