特許拒絶査定不服審判
2017-012443
光源を駆動するための自己調整照明ドライバ及び自己調整照明ドライバを含む照明ユニット
- 審判番号
- 2017-012443
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-539449外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月23日
- 審決日
- 2018年10月04日
- 公報発行日
- 2018年11月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .113-WY (H05B) / P18 .121-WY (H05B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-539449号「光源を駆動するための自己調整照明ドライバ及び自己調整照明ドライバを含む照明ユニット」拒絶査定不服審判事件〔平成25年5月10日国際公開、WO2013/064973、平成27年1月15日国内公表、特表2015-501521号、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年10月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年11月4日、米国、2012年1月19日、欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成28年8月26日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年12月2日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年5月15日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成29年8月23日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1、5、7-8に係る発明は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
本願請求項1-8、11-13に係る発明は、優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1(請求項1、5、7-8);1-5(請求項2、11-13);1、6(請求項3-4);1、7(請求項6)に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
なお、本願請求項9、10(平成29年8月23日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項8、9)に係る発明は、原査定で拒絶の理由とされていない。
引用文献等一覧
1.特表2008-543045号公報
2.特開2007-201473号公報
3.特表2008-509523号公報
4.特開2004-165130号公報
5.特表2007-511063号公報
6.特開2011-181295号公報
7.米国特許第7148632号明細書
第3 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(それぞれ、原査定時の請求項2-14に対応するもの。以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成29年8月23日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、10は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
複数のLEDモジュールと、
前記複数のLEDモジュールのそれぞれに動作可能に接続された照明ドライバと、
を有するシステムであって、
各LEDモジュールは、対応する複数のLEDと、当該LEDモジュールの対応するLEDモジュール識別電流出力ノードにLEDモジュール識別電流を供給する、対応する識別電流源と、当該LEDモジュールの検出温度が閾値を超えた場合に、当該LEDモジュールからの前記LEDモジュール識別電流を低減する、対応する温度補償電流源とを含み、前記複数のLEDモジュールの前記LEDモジュール識別電流出力ノードの全ては、前記照明ドライバに動作可能に接続される前記複数のLEDモジュールの数に応じて変化する合計LEDモジュール識別電流量を持つ合計LEDモジュール識別電流を供給するために互いに接続され、
前記照明ドライバは、
前記複数のLEDモジュールの前記複数のLEDにLED駆動電流を供給するために接続された制御可能な電流源と、
前記合計LEDモジュール識別電流に応答して、前記照明ドライバに動作可能に接続された前記複数のLEDモジュールの前記数に応じて変化するLED駆動電流量で前記LED駆動電流を供給するように前記制御可能な電流源を制御するコントローラと、を含む、
システム。」
「【請求項10】
少なくとも1つの光源と、
駆動電流を受信して、前記駆動電流を前記少なくとも1つの光源に供給する駆動電流入力ノードと、
前記少なくとも1つの光源に接続され、前記少なくとも1つの光源から返された駆動リターン電流を出力する駆動電流リターンノードと、
識別電流出力ノードと、
前記駆動電流入力ノードと前記識別電流出力ノードとの間に接続され、前記識別電流出力ノードに識別電流を出力する識別電流源と、
照明モジュールの検出温度が閾値を超えた場合に、当該照明モジュールによって出力される前記識別電流を低減する温度補償電流源と、を含む、
照明モジュール。」
なお、本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明11-13は、本願発明10を減縮した発明である。
本願発明8、9、13(原査定時の本願発明9、10、14)は、原査定で「特許を受けることができない。」とされた発明でない。
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、放射束補償LED駆動装置システム及び方法に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0012】
図1は、本発明により作られた放射束補償を有するLED駆動システムのブロック図である。LED駆動装置は、特定のLEDストリングの放射束ビン・インデックスに従い特定のLEDストリングを通じる駆動電流を制御することにより、製造時のLEDストリングの間の放射束変動を補償する。LED駆動装置は、接続点、可変構成要素、及び/又はデータ接続のような放射束インデックス選択器の情報から、適正な放射束インデックス駆動電流を決定する。
【0013】
LED駆動装置20は、電力コンバーター22、LEDコネクタ24、及び利得ブロック32を有する。電力コンバーター22は、利得ブロック32からの利得信号34に応答し、図1の矢印で示された、放射束インデックス駆動電流36を生成する。LEDコネクタ24は、電力コンバーター22と接続され、放射束インデックス駆動電流36をLEDストリング26へ供給する。LEDストリング26は関連付けられた放射束ビン・インデックスを有する。利得ブロック32は、検知駆動電流信号38と駆動電流設定点28を比較し、利得信号34を生成する。利得ブロック32は、放射束インデックス選択器30に応答し、関連付けられた放射束ビン・インデックスの利得信号34を調整する。」
(2)「【0027】
図5及び6では、図1と同様の要素は同様の参照番号を共有する。図5及び6は、本発明により作られた照明システムの概略図である。図5は単一のLED組立品を有し、図6は並列のLED組立品を有する。この実施例では、各LED組立品は、LEDストリング及び関連構成要素を有する。
【0028】
図5を参照する。LED駆動装置20はLEDコネクタ24を通じLED組立品110へ放射束インデックス駆動電流36を提供する。LED組立品110は、1又は複数のLEDを備えたLEDストリング26、及び関連構成要素112を有する。関連構成要素112は、LEDストリング26と接続され、検知駆動電流信号38をLED駆動装置20へ提供する。LEDストリング26は、放射束インデックス駆動電流36がLEDストリング26へ入る高電圧端、及び放射束インデックス駆動電流36がLEDストリング26を出る低電圧端を有する。LED駆動装置20は、検知駆動電流信号38に応答し、放射束インデックス駆動電流36を調整する。関連構成要素112の構成要素値は、LEDストリング26の放射束ビン・インデックスに対応するよう選択され得る。この例では、関連構成要素112は抵抗器である。関連構成要素112は、LED組立品110及び/又はLEDストリング26に統合され得る。」
(3)「【0031】当業者は、多数の有用な変化が図5及び6の例に成され得ることを理解するだろう。ある実施例では、関連構成要素は、受動又は能動回路であり得、及び抵抗器、温度補償抵抗器、キャパシター、インダクター等のような1又は複数の構成要素を有し得る。・・抵抗器の場合、抵抗器は、正又は負の温度補償抵抗器であり、必要に応じて動作温度が変化する駆動電流要件で変化を補償し得る。・・・」
(4)図5には、【0027】の「単一のLED組立品を有し」た「照明システム」が記載されている。
したがって、上記引用文献1には、図5記載の照明システムに着目して、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「単一のLED組立品を有した照明システムであって、
LED駆動装置20はLEDコネクタ24を通じLED組立品110へ放射束インデックス駆動電流36を提供し、
LED組立品110は、1又は複数のLEDを備えたLEDストリング26、及び関連構成要素112を有し、
関連構成要素112は、LEDストリング26と接続され、検知駆動電流信号38をLED駆動装置20へ提供し、
LEDストリング26は、放射束インデックス駆動電流36がLEDストリング26へ入る高電圧端、及び放射束インデックス駆動電流36がLEDストリング26を出る低電圧端を有し、
LED駆動装置20は、検知駆動電流信号38に応答し、放射束インデックス駆動電流36を調整し、
関連構成要素112は、正又は負の温度補償抵抗器であり、必要に応じて動作温度が変化する駆動電流要件で変化を補償し得る
照明システム。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、カラーLED駆動装置に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0030】
駆動回路部200は、駆動定電圧部100から供給された駆動定電圧VDを、カラーLEDの駆動のために複数の駆動電流に変換する。ここで、・・・
【0031】温度補償部300は、駆動回路部200で変換された複数の駆動電流のうち、赤色LED用駆動電流Ird及び緑色LED用駆動電流Igdの温度変化による変動を補償している。」
(2)「【0040】
図4(b)を参照すると、温度補償部300は、第1温度補償回路310と第2温度補償回路320とを含んでいる。
【0041】
第1温度補償回路310は、赤色LED用駆動電流Irdを温度変化によって補償する第1NTCサーミスタTH21と、第1NTCサーミスタTH21に並列に連結されて赤色LED用駆動電流Irdの線形性を補償する第1線形補償用抵抗R21とを含んでいる。
【0042】
第2温度補償回路320は、緑色LED用駆動電流Igdを温度変化によって補償する第2NTCサーミスタTH22と、第2NTCサーミスタTH22に並列に連結されて緑色LED用駆動電流Igdの線形性を補償する第2線形補償用抵抗R22とを含んでいる。
【0043】
ここで、第1NTCサーミスタTH21は、赤色LEDが緑色LEDよりも温度に敏感であるという特性を考慮して、第2NTCサーミスタTH22の温度感度よりも一層高い温度感度を持つようにすることが好ましい。」
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、LED照明装置に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0045】
(電流検出、温度補償/サーマルシャットダウン)
一般的な電流検出素子として、(R1および/またはR2のような)抵抗またはホール効果センサのようなその他の部品がある。任意の代替品として、正温度特性抵抗(サーミスタ)、温度補償回路または温度依存回路または装置等の温度検出装置のいずれかによってR1を置換可能であり、LED照明装置用の温度補償および/またはサーマルシャットダウンを行う。温度が閾値設定点を超えて上昇すると、これらの装置または回路が作動して、Q1およびQ2の双方へのバイアス電流を停止し、これによってLEDアレイの公称電流が減少する。温度がさらに上昇した場合は、Q1とQ2へのバイアス電流が完全に遮断され、これによってLED照明装置が遮断される。」
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、照明システム、放電灯点灯装置、照明器具に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0057】
実施形態2において説明したように、温度センサRtとして負特性サーミスタを用いると照明器具1を使用する環境の温度範囲における低温側で光出力を増加させることができ、温度センサRtとして正特性サーミスタを用いると高温側で光出力を増加させることができる。そこで、本実施形態では、調光信号出力装置6の動作として、2灯のうちの一方の放電灯3を消灯するとともに他方の放電灯3を50%点灯とする状態(つまり、照明器具1としては25%点灯する状態)を選択したときには、外部温度検知部10による検知温度が規定した閾値以下であると負特性サーミスタを用いている放電灯点灯装置4に電源を供給し、外部温度検知部10による検知温度が規定した閾値以上であると正特性サーミスタを用いている放電灯点灯装置4に電源を供給するようにしてある。ここに、検知温度に対する閾値はたとえば25℃に設定される。
【0058】
本実施形態の構成を採用すれば、周囲温度が変化に対する放電灯3の光出力の変化を抑制することができる上に、特定の温度に対して高温側と低温側とのいずれにおいても光出力を増加させる方向に制御することによって周囲温度にかかわらず所望照度以上に照度を維持することができる。他の構成および動作は実施形態1と同様である。
【0059】
なお、両放電灯点灯装置4の温度検知部Thにともに負特性サーミスタを用い、外部温度検知部10での検知温度が規定した閾値以下であるときにのみ温度検知部Thによる温度補償を行うように構成することも可能である。あるいはまた、放電灯点灯装置4に設けた温度検知部Thでの検知温度が規定した閾値以下のときに補償回路を動作させる構成、検知温度が規定した閾値以下であってかつ調光時にのみ補償回路を動作させる構成を採用してもよい。」
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5には、照明システム、放電灯点灯装置、照明器具に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0019】
前記安定器温度感知回路300は耐温度係数特性を定めたサーミスタ、又は他のタイプの温度感知型サーモスタット装置若しくは回路を1若しくはそれ以上有してもよい。フォールドバック形保護回路310は閾値と温度信号305との比較に応答して調節信号315を生成する。比較の結果、過熱状態であると判断された場合、前記フォールドバック形保護回路は線形出力(線形応答生成器を用いて)、ステップ関数出力(ステップ応答生成器を用いて)、又は両者の組み合わせを提供してもよい。原理的には、図3に示す典型的な線形関数は線形、非線形を含め、どんな連続関数で代替してもよい。単純化及び明確化の目的で、線形連続関数の例を用いる。ただし、当然のことながら、その他の連続関数も同等に用いられるものである。厳密にどの関数を用いようと、前記フォールドバック形保護回路310が過熱状態を指摘した場合は前記上限クランプのレベル400は通常の動作レベルから低下する。前記上限クランプのレベル400を下げる事により、前記安定器駆動回路222に対する駆動信号219’が調節され、前記切り替え制御信号223a、bのデューティサイクル、パルス幅、又は周波数が変化し、その結果、前記安定器によって負荷108に提供される出力電流が減少する。通常の状況では、出力電流が減少することにより前記安定器の温度が下がる。安定器の多少の温度低下も信号315に反映され、その結果、前記上限クランプのレベル400が上昇し、及び/又は通常状態に復帰する。図5a~5dは過熱状態の間の前記出力電流の調節の様々の例をグラフで示す。これらの例が全てではなく、その他の関数又は関数の組み合わせを採用してもよい。図5aの例では、前記安定器温度が閾値T1を超える時に出力電流が線形的に調節される。前記安定器温度がT1を超えた場合、前記フォールドバック形保護回路310が制限入力を前記クランプ回路220’の上限クランプ部分に提供し、前記出力電流が100%から予め設定された最小値にまで線形的に減少するように、前記上限クランプのレベル400を線形的に低下させる。以下に更に詳しく述べるように、温度T1にてういては、フォールドバック形保護回路310の閾値を適切に選択することにより、事前に設定してもよい。過熱状態の間、前記出力電流は、前記安定器温度が安定して常態への復帰が許されるまで、前記の線形領域510において動的に調節できる。蛍光灯はしばしば、前記照明装置の飽和領域(照明装置の電流の漸進的変化が照度に対して必ずしも相応の変化をもたらさない領域)で使用されるため、前記出力電流の線形的調節の結果による照度の変化は一見して相対的に微小であり得る。例えば、(前記照明装置が飽和している時の)出力電流の40%減少は知覚的には10%の照度の低下に過ぎない事もある。」
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6には、光源モジュール、点灯装置およびそれを用いた照明器具に関して、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0028】
設定用電源3から接続端子B1、B2間に入力された制御電源は、ダイオードD1を介してツェナーダイオードZD1とコンデンサC2との並列回路に入力されている。上述の制御電源は、ツェナーダイオーZD1のツェナー電圧Vz1にクランプされるとともに、コンデンサC2によって平滑化されている。図4に示すように、設定用電源3を定電流源とすることによって、ツェナーダイオードZD1に流れるツェナー電流を適正値に制限することができる。設定用電源3から入力された制御電源をクランプしたツェナー電圧Vz1は、主にミラー回路M1、M2、比較器CP1、トランスファゲート回路G、抵抗R2とR3の直列回路、抵抗R4とR5との直列回路へ供給される。」
7.引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7には、LED lighting systemに関して、FIG1に並列に複数のLEDストリングを含んだLEDモジュールが記載されている。
第5 対比・判断
1.本願発明10について
事案に鑑み本願発明10から検討する。
(1)対比
本願発明10と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(a)引用発明の「LED」は、本願発明10の「少なくとも1つの光源」に相当する。
(b)引用発明の「放射束インデックス駆動電流36がLEDストリング26へ入る高電圧端」は、本願発明10の「駆動電流を受信して、前記駆動電流を前記少なくとも1つの光源に供給する駆動電流入力ノード」に相当する。
(c)引用発明の「放射束インデックス駆動電流36がLEDストリング26を出る低電圧端」は、本願発明10の「前記少なくとも1つの光源に接続され、前記少なくとも1つの光源から返された駆動リターン電流を出力する駆動電流リターンノード」に相当する。
(d)引用発明の「検知駆動電流信号38」と、本願発明10の「識別電流」とは、情報を表す電気量である点で共通する。
そして、引用発明の「関連構成要素112」の「検知駆動電流信号38をLED駆動装置20へ提供」する側の接続点と、本願発明10の「識別電流出力ノード」とは、「情報を表す電気量の出力ノード」である点で共通する。
また、引用発明の「関連構成要素112」と、本願発明10の「前記駆動電流入力ノードと前記識別電流出力ノードとの間に接続され、前記識別電流出力ノードに識別電流を出力する識別電流源」とは、「情報を表す電気量の出力ノードに接続され、情報を表す電気量の出力ノードに情報を表す電気量を出力する部品」である点で共通する。
(e)引用発明の「関連構成要素112」と、本願発明10の「照明モジュールの検出温度が閾値を超えた場合に、当該照明モジュールによって出力される前記識別電流を低減する温度補償電流源」とは、前者が「関連構成要素112は、正又は負の温度補償抵抗器であり、必要に応じて動作温度が変化する駆動電流要件で変化を補償し得る」ものであるので、両者は、温度補償部品である点で共通する。
(f)引用発明の「LED組立品110」は、本願発明10の「照明モジュール」に相当する。
したがって、本願発明10と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「少なくとも1つの光源と、
駆動電流を受信して、前記駆動電流を前記少なくとも1つの光源に供給する駆動電流入力ノードと、
前記少なくとも1つの光源に接続され、前記少なくとも1つの光源から返された駆動リターン電流を出力する駆動電流リターンノードと、
情報を表す電気量の出力ノードと、
前記情報を表す電気量の出力ノードに接続され、前記情報を表す電気量の出力ノードに情報を表す電気量を出力する部品と、
温度補償部品と、を含む、
照明モジュール。」
(相違点)
本願発明10は、情報を表す電気量が「識別電流」であり、情報を表す電気量を出力する部品が「前記駆動電流入力ノードと前記識別電流出力ノードとの間に接続され、前記識別電流出力ノードに識別電流を出力する識別電流源」であり、温度補償部品が「照明モジュールの検出温度が閾値を超えた場合に、当該照明モジュールによって出力される前記識別電流を低減する温度補償電流源」であるのに対し、引用発明は、情報を表す電気量が「検知駆動電流信号38」であり、情報を表す電気量を出力する部品も、温度補償部品も「LEDストリング26と接続され、検知駆動電流信号38をLED駆動装置20へ提供」する「関連構成要素112」である点。
(2)相違点についての判断
上記相違点に係る本願発明10の「前記識別電流を低減する温度補償電流源」の点から検討する。
ア.まず、一般に「電流源」とは、負荷の大きさが変動しても一定の電流を供給する電源を表す用語であり、本願明細書でも、理想電流源の図記号を用いて図示され、カレントミラー回路が例示されていることからも、本願発明10の「前記識別電流を低減する温度補償電流源」(「前記識別電流」は「識別電流源」が「出力する」識別電流)は、識別電流源が出力する一定の識別電流を低減する一定の電流を供給する温度補償電流源といえる。
それに対して、引用発明の温度補償部品である「正又は負の温度補償抵抗器であり、必要に応じて動作温度が変化する駆動電流要件で変化を補償し得る」「関連構成要素112」は、駆動電流を表す信号である「検知駆動電流信号38」をLED駆動装置20へ提供するものであって本願発明10の「温度補償電流源」といえるものでない。
さらに、温度補償部品である点で本願発明10の「前記識別電流を低減する温度補償電流源」と共通する、引用発明の「関連構成要素112」は、「検知駆動電流信号38をLED駆動装置20へ提供」する「関連構成要素112」(本願発明10の「識別電流源」と「情報を表す電気量を出力する部品」である点で共通するもの。ただし「識別電流」の「電流源」といえるものではない。)、即ち本願発明10の「識別電流源」に対応する部品自体であるので、「識別電流源」が「出力する」識別電流を低減する(識別電流源とは別の)「温度補償電流源」といえるものでもない。
イ.引用文献2には、記載事項(2)の「赤色LED用駆動電流Irdを温度変化によって補償する第1NTCサーミスタTH21と、第1NTCサーミスタTH21に並列に連結されて赤色LED用駆動電流Irdの線形性を補償する第1線形補償用抵抗R21とを含んでいる」「第1温度補償回路310」が記載されているものの、当該温度補償回路は、引用文献2記載事項(1)に「駆動回路部200は、駆動定電圧部100から供給された駆動定電圧VDを、カラーLEDの駆動のために複数の駆動電流に変換する。」「温度補償部300は、駆動回路部200で変換された複数の駆動電流のうち、赤色LED用駆動電流Ird及び緑色LED用駆動電流Igdの温度変化による変動を補償している。」と記載されている様に、駆動定電圧を駆動電流に変換する抵抗自体で温度補償するものであって、本願発明10の「識別電流源」が「出力する」識別電流を低減する「温度補償電流源」といえるものではない。
さらに、本願発明10の「識別電流源」が「出力する」識別電流を低減する「温度補償電流源」は、引用文献3-7にも記載も示唆もされていない。
ウ.したがって、本願発明10は、引用文献1に記載された発明とはいえず、また、当業者であっても引用発明、引用文献1-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものといえない。
2.本願発明11-12について
本願発明11-12は、本願発明10を減縮した発明であるので、本願発明10と同様に引用文献1に記載された発明とはいえず、また、当業者であっても引用発明、引用文献1-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものといえない。
3.本願発明1-7について
本願発明1は「前記LEDモジュール識別電流を低減する、対応する温度補償電流源」(「前記LEDモジュール識別電流」は「識別電流源」が「供給する」LEDモジュール識別電流)を含むシステムであって、実質的に、上記相違点に係る「前記識別電流を低減する温度補償電流源」と同様の構成を備えるものである。
また、本願発明2-7は、本願発明1を減縮した発明である。
そうすると、本願発明1-7は、本願発明10と同様に引用文献1に記載された発明とはいえず、また、本願発明10と同様に当業者であっても引用発明、引用文献1-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものといえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1-7、10-12は、引用文献1に記載された発明とはいえず、当業者が引用発明及び引用文献1-7に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものでもない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-012443