特許拒絶査定不服審判
2017-010905
情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラム、及び動画データ送受信方法
- 審判番号
- 2017-010905
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-540685外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年07月21日
- 審決日
- 2018年07月10日
- 公報発行日
- 2018年10月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】富士通株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (H04N) / P18 .575-Z (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-540685「情報処理装置、情報処理システム、情報処理プログラム、及び動画データ送受信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月17日国際公開、WO2014/057555〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)10月10日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成27年 3月27日 :手続補正書の提出
平成28年 2月 8日付け:拒絶理由通知書
同年 4月14日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月29日付け:拒絶理由通知書
同年11月 1日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 4月26日付け:拒絶査定
同年 7月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 平成29年7月21日にされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年7月21日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正は、平成28年11月1日にされた手続補正により補正された請求項1(以下、「補正前の請求項1」という。)を、以下の請求項1(以下、「補正後の請求項1」という。)とする補正事項を含むものである。(下線は、補正箇所である。)
(補正前の請求項1)
「【請求項1】
第1の動画データを記憶する記憶部と、
通信ネットワークの状態を監視する監視部と、
前記監視の結果に応じて、前記第1の動画データの単位時間当たりの第1のフレーム数を示す第1のフレームレートから、前記第1のフレームレートより少ない第2のフレームレートになるように、前記第1の動画データのいずれかのフレームを当該フレームの直前のフレームとの類似の程度に基づいて削除して、第2の動画データを生成する削除部と、
前記削除されたフレームに関するフレーム情報を生成するフレーム情報生成部と、
前記第2の動画データと前記フレーム情報とを送信する送信部と、
を備える情報処理装置。」
(補正後の請求項1)
「【請求項1】
第1の動画データを記憶する記憶部と、
通信ネットワークの状態を監視する監視部と、
前記監視の結果に応じて、前記第1の動画データの単位時間当たりの第1のフレーム数を示す第1のフレームレートから、前記第1のフレームレートより少ない第2のフレームレートになるように、前記第1の動画データのいずれかのフレームを当該フレームの直前のフレームとの類似の程度に基づいて削除して、第2の動画データを生成する削除部と、
前記削除されたフレームに関するフレーム情報を生成するフレーム情報生成部と、
前記第2の動画データと前記フレーム情報とを、前記通信ネットワークを介して送信先へ送信する送信部と、
を備え、
前記監視部は、前記送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視を、前記第2の動画データ及び前記フレーム情報の送信元の側から行う、
情報処理装置。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「送信部」及び「監視部」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりであり、以下に再掲する。
なお、各構成の符号(A)ないし(F)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成Aないし構成Fと称する。また、構成B1及びB2をあわせて構成Bと称する。
(本件補正発明)
【請求項1】
(A)第1の動画データを記憶する記憶部と、
(B1)通信ネットワークの状態を監視する監視部と、
(C)前記監視の結果に応じて、前記第1の動画データの単位時間当たりの第1のフレーム数を示す第1のフレームレートから、前記第1のフレームレートより少ない第2のフレームレートになるように、前記第1の動画データのいずれかのフレームを当該フレームの直前のフレームとの類似の程度に基づいて削除して、第2の動画データを生成する削除部と、
(D)前記削除されたフレームに関するフレーム情報を生成するフレーム情報生成部と、
(E)前記第2の動画データと前記フレーム情報とを、前記通信ネットワークを介して送信先へ送信する送信部と、
を備え、
(B2)前記監視部は、前記送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視を、前記第2の動画データ及び前記フレーム情報の送信元の側から行う、
(F)情報処理装置。
(2)引用文献、引用発明
(2-1)引用文献1
(2-1-1)引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、国際公開第2010/079790号(2010(平成22)年7月15日国際公開。以下、「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審で付与した。)
「[0033] より具体的には、本発明による、動画像の配信システムにおいては、その一態様において、端末(図1の103)から指定された符号化データを変換装置(図1の102)へ送信する配信サーバ(図1の101)と、端末(103)と能力情報を交換する能力情報交換部(図1の108)と、配信サーバ(101)から受信した符号化データを、端末(103)から通知された能力情報、もしくは、ネットワークの状況に適合するように、前記符号化データの情報を再利用して、符号化する動画像トランスコーダ(図1の109)と、を有し、端末(103)へ符号化データを送信する変換装置(図1の102)と、変換装置(102)と能力情報を交換し、指定した動画像データを受信する端末(103)とが設けられている。」
「[0043] 本発明の第1の実施例を説明する。図1は、本発明の第1の実施例の動画像配信システムの構成を示す図である。図1を参照すると、本実施例の動画像配信システムは、配信サーバ101と、変換装置102と、端末103と、配信サーバ101と変換装置102を接続する伝送路104、端末103と変換装置102を接続する伝送路105、配信サーバ101と端末103を接続する伝送路106を備えている。
[0044] 配信サーバ101は、伝送路106を介して端末103から符号化データ(動画像符号化データ)が指定されると、符号化データと、前記符号化データの符号化情報とを、伝送路104を介して、変換装置102へ配信する。
[0045] 変換装置102は、受信部107と、能力情報交換部108と、動画像トランスコーダ109と、送受信部110とを備えている。
[0046] 受信部107は、配信サーバ101から受信した符号化データの符号化情報を能力情報交換部108へ送信する。また、受信部107は、配信サーバ101から受信した符号化データを動画像トランスコーダ109へ送信する。」
「[0051] また、能力情報交換部108は、端末103からネットワークの状況を通知されると、ネットワークの状況に適合した符号化データに変換するように、変換後の画面サイズ、ビットレート、フレームレート、符号化情報を、動画像トランスコーダ109へ通知する。」
「[0053] 例えばネットワークの帯域にゆとり(余裕)が無い場合には、端末103から通知された能力情報に適合する範囲で、画像サイズの縮小、ビットレートやフレームレートを低減する。」
「[0058] 図2は、図1の動画像トランスコーダ109の構成の一例を示す図である。図2を参照して、動画像トランスコーダ109について説明する。動画像トランスコーダ109は、変換制御部201、受信バッファ202、復号部203、サイズ変換部204、符号化部205、送信バッファ206を備えている。」
「[0063] また、変換制御部201は、能力情報交換部108からの変換要求113に含まれるフレームレートの情報を受け取って、サイズ変換部204へ指示を出す。フレームレートの情報としては、
・入力符号化データ、
・出力符号化データ各々のフレームレート情報や、
・入力符号化データのフレームを間引く枚数やタイミングの情報
などがある。
[0064] 変換制御部201は、フレームレートの情報を基にして、フレームを間引く様に、サイズ変換部204へ通知する。」
「[0083] 受信バッファ202は、図1の受信部107から送信された入力符号化データ112を受信して復号部203に送信する。」
「[0088] また、サイズ変換部204は、変換制御部201からフレームを間引くように要求されると、復号部203から入力された画像データ213をサイズ変換せずに廃棄する。この場合、サイズ変換部204で廃棄された画像データは、符号化部205へは送られない。
[0089] 符号化部205は、サイズ変換部204から受け取った画像データ214に対して、変換制御部201からの情報を使いながら符号化する。符号化部205は、符号化したデータ215を送信バッファ206へ送る。」
「[0101] 図2を参照して、送信バッファ206は、符号化部205から画像ストリーム215を受けとり、画像ストリーム115を図1の送受信部110に出力する。
[0102] 図1において、送受信部110は、端末103から通知された能力情報や、ネットワークの状況を、能力情報交換部108へ通知するとともに、前記能力情報交換部108が通知する能力情報を端末へ通知する。また、送受信部110は、動画像トランスコーダから受信した符号化データ115を端末へ送信する。
[0103] 端末103は、所望の動画像ストリームを選択し、配信サーバ101へ要求する。また、端末103は、変換装置102と能力情報を交換する。そして、変換装置102から前記所望の動画像ストリームを受信する。また、端末103は、自身もしくは、変換装置102からの要求によりネットワークの状況を変換装置102へ通知する。」
「[0108] 次に本発明の第2の実施例について説明する。図4は、本発明の第2の実施例における動画像配信システムの構成を示す図である。図4において、図1と同一の要素には、同一の参照符号が付されている。図4を参照すると、動画像配信システムは、配信サーバ101、変換装置401、端末402、伝送路104、105、106を備えている。
[0109] 変換装置401は、受信部107と能力情報交換部403と動画像トランスコーダ109と送受信部110を備えている。
[0110] 能力情報交換部403は、端末402と能力情報や機能情報を交換する。また、能力情報交換部403は、端末402からネットワークの状況を通知してもらう。なお、図4では、能力情報と機能情報とネットワークの情報を合わせて情報404で表している。」
「[0116] また、端末402がフレームを補間する機能を有している場合、動画像トランスコーダ109では、符号化データ112をフレーム単位で間引く。端末402では、間引かれた符号化データ115からフレーム補間機能を使ってストリームを表示する。」
「[0121] 端末402は、自ら、もしくは変換装置401からの要求により、端末自身の機能情報を通知する。機能情報としては、例えば、画面サイズを変換する機能やフレームを補間する機能、ストリームの帯域を拡張する機能などである。上記以外の構成、及び動作は、前記実施例1と同じため、説明を省略する。
(2-1-2)引用文献1に記載の技術的事項
引用文献1の段落[0108]及び[0121]の記載によれば、引用文献1に記載の第2の実施例は、第1の実施例のみに明示的に限定されている構成を除き、第1の実施例に記載されている構成が適用されると解することが相当である。よって、上記(2-1-1)によれば、引用文献1には、以下(ア)ないし(エ)の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア)動画像配信システムにおいて、端末402から指定された符号化データ(動画像符号化データ)を変換装置401へ送信する配信サーバ101、及び、受信部107と、能力情報交換部403と、動画像トランスコーダ109と、送受信部110とを備え、端末402へ前記符号化データを送信する変換装置401が設けられている。前記動画像トランスコーダ109は、変換制御部201、受信バッファ202、復号部203、サイズ変換部204、符号化部205、送信バッファ206を備えている。(段落[0033]、[0043]、[0044]、[0058]、[0108]、[0109])
(イ)能力情報交換部403は、端末402への要求により、ネットワークの状況、及び、フレームを補間する機能等の端末自身の機能情報を通知させ、当該通知がネットワークの帯域にゆとり(余裕)が無い場合であり、かつ端末402がフレームを補間する機能を有している場合には、低減後のフレームレートを変換制御部201へ通知する。(段落[0051]、[0053]、[0063]、[0103]、[0109]、[0110]、[0116]、[0121])
(ウ)サイズ変更部204は、前記通知を受けた変換制御部201からフレームを間引くように要求されると、配信サーバ101からの(受信部107、受信バッファ202を介して受信された)符号化データを復号部203で復号した画像データ213を、フレーム単位で間引く。(段落[0046]、[0064]、[0083]、[0088]、[0116])
(エ)送受信部110は、前記間引かれた画像データを符号化部205で符号化し(送信バッファ206を介して受信され)た符号化データを端末402へ送信する。
(段落[0089]、[0101]、[0102]、[0108])
(2-1-3)引用発明
以上より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお、各構成の符号(a)ないし(e)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成aないし構成eと称する。
(a)動画像配信システムに設けられた配信サーバ及び変換装置であって、
(b)端末から指定された符号化データ(動画像符号化データ)を変換装置へ送信する前記配信サーバと、
(c)ネットワークの状況及びフレームを補間する機能等の端末自身の機能情報を前記端末に要求して通知させるとともに、当該通知がネットワークの帯域にゆとり(余裕)が無い場合であり、かつ端末がフレームを補間する機能を有している場合には、低減後のフレームレートを変換制御部へ通知する変換装置の能力情報交換部と、
(d)前記通知を受けた変換制御部からフレームを間引くように要求されると、配信サーバからの符号化データを復号部で復号した画像データを、フレーム単位で間引く変換装置のサイズ変更部と、
(e)前記間引かれた画像データを符号化した符号化データを端末へ送信する変換装置の送受信部と、
(a)を備えた配信サーバ及び変換装置。
(2-2)引用文献2
(2-2-1)引用文献2の記載事項
同じく原査定の拒絶の理由で引用された本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2009-302755号公報(平成21年12月24日出願公開。以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審で付与した。)
「【0001】
本発明は、動画像データを符号化して記憶及び/または復号して再生する記憶再生装置、記憶装置、再生装置及び記憶再生方法に関する。」
「【0011】
本発明は、間引いたフレームを再生する時にも画質の劣化を抑えた記憶再生装置、記憶装置、再生装置及び記憶再生方法を提供することを目的とする。」
「【0017】
以下、間引きフレーム検出部2における、間引いても再生時に容易に復元可能であるフレームの検出方法について説明する。
図2は、間引きフレーム検出部2における、間引いても再生時に容易に復元可能であるフレームの検出方法について説明するためのフローチャートである。
【0018】
ステップST1:
間引きフレーム検出部2は、まず、画像入力部1に入力された動画像データの各フレームごとに、前後のフレームとの差分をとり、動き検出を行う。動き検出の方法としては、例えば、勾配法やブロックマッチング法等により動きベクトルを算出する方法を採ればよい。
ステップST2:
ステップST1における動き検出により、動きが検出された場合はステップST4に進み、検出されなかった場合はステップST3に進む。
【0019】
ステップST3:
間引きフレーム検出部2は、ステップST1において動きが検出されなかったフレームを間引いても再生時に容易に復元可能であるフレームとする。すなわち、当該フレームを間引きフレームと決定する。
ステップST4:
間引きフレーム検出部2は、ステップST1において検出された動きが大きいフレームであるか否かの判定を行う。動きが大きいフレームであるか否かの判定は、例えばフレーム差分による動きベクトルの絶対値が所定のしきい値以上である場合に動きが大きい、所定のしきい値未満である場合に動きが小さい、と判定するようにすればよい。
動きが大きいフレームであると判定した場合はステップST6に進み、動きが小さいと判定した場合はステップST5に進む。
【0020】
ステップST5:
間引きフレーム検出部2は、ステップST4において動きが小さいと判定されたフレームを間引いても再生時に容易に復元可能であるフレームとする。すなわち、当該フレームを間引きフレームと決定する。
ステップST6:
間引きフレーム検出部2は、ステップST1において検出された動きが一定方向のフレームが所定のフレーム数以上連続しているか否かの判定を行う。動きが一定方向であるか否かの判定は、例えば動きベクトルの向きが所定の範囲内にある場合は動きが一定方向であると判定し、所定の範囲外である場合は動きが一致方向ではないと判定するようにすれ
ばよい。また、所定のフレーム数は、例えば経験的に求められた所定のしきい値である。
動きが所定の範囲内であるフレームが所定のフレーム数以上連続していると判定した場合はステップST7に進み、そうでない場合はステップST8に進む。
ステップST7:
間引きフレーム検出部2は、ステップST6において動きが一定方向のフレームが所定のフレーム数以上連続していると判定された全てのフレームを、間引いても再生時に容易に復元可能であるフレームとする。すなわち、当該フレームを間引きフレームと決定する。」
「【0026】
本実施形態の記憶再生装置100においては、記録時に間引かれたフレームが再生時には補間されて再生される。そのため、周囲のフレームから補間可能なフレームに対して、間引きフレーム検出部2は間引き可能であると決定している。
動きがないフレームは、直前のフレームと同一であると考えられるため、直前のフレームを参照フレームとすることにより再生時に補間が可能である。
動きが小さいフレームは、前後のフレームを参照することにより、視聴者に気づかれにくいレベルで補間することが可能である。ただし、画像内において大きい対象物の動きが小さくても、視聴者には気づかれやすいため、このような大きい対象物を含むフレームに関しては、間引きフレーム検出部2が間引かないように決定することにより、動画像の質を落とさないようにすることができる。
動きが一定方向である連続したフレーム、例えばパン、チルト、スクロール等の動きを含む複数のフレームは、動きの開始点と終了点のフレームを参照フレームとすることにより、容易に補間が可能である。
所定の数以上の連続した、コントラストが低いフレームや暗いフレームは、前後のフレームを参照フレームとすることにより、補間が可能である。」
「【0028】
次に、記憶再生装置100の記録時の動作例について説明する。
図3は、記憶再生装置100の記録時の動作例について説明するためのフローチャートである。
ステップST21:
画像入力部1は、動画像データを入力する。
ステップST22:
間引きフレーム検出部2は、ステップST1において入力された動画像データを構成するフレームの中から、上述したような決定方法により、間引くフレームを検出し決定する。
【0029】
ステップST23:
間引き処理部3は、間引き処理を行う。すなわち、間引き処理部3は、ステップST22において決定された間引くフレームを削除し、それ以外のフレームを残す。
ステップST24:
符号化部5は、ステップST21において入力された動画像データの、ステップST23において間引かれたフレーム以外のフレームを所定の圧縮符号化方法で圧縮符号化する。なお、符号化の際には間引かれたフレームの分だけ動画像データが不連続となるため、間引かれたフレームのところは符号化の速度を落とす等して調整する。
【0030】
ステップST25:
記憶部6は、ステップST24において圧縮符号化された動画像データを記憶媒体20に記憶する。
ステップST26:
間引き情報記憶部4は、ステップST23において間引かれたフレームに関する情報を、ステップST25において記憶媒体20に記憶された動画像データに多重化して記憶する。
間引かれたフレームに関する情報としては、例えば、間引かれたフレームの固有番号、間引かれた理由、補間の際に参照するフレームの固有番号、補間方法等である。
間引かれたフレームの固有番号とは、間引かれたフレームに与えられた固有の番号(フレーム番号)である。
間引かれた理由とは、図2のフローチャートにおいて示したように、動きがない、動きが小さい、動きが一定方向である所定の数以上の連続したフレーム、所定の数以上の連続したコントラストが低いフレーム、所定の数以上の連続した暗いフレーム等の理由である。各理由は、例えば予め所定のパラメータと対応付けられ、間引かれた理由は、各理由に対応付けられたパラメータで記憶されるようにすればよい。
補間の際に参照するフレームの固有番号は、間引かれたフレームを再生時に補間するために参照するフレームの番号である。
補間方法は、上記説明したような、間引かれた理由に応じた、補間方法である。例えば、動きがないフレームの場合は「コピー」が補間方法となり、一定方向に動く所定数のフレームの場合は、「フレームごとの動き量の算出」が補間方法となる。
間引き情報記憶部4は、上述したような各情報を、例えば動画像データのプライベートストリーム(ビデオ或いはオーディオストリーム以外の、ヘッダ情報等のテキストデータを記憶するストリーム)等として、ステップST15においてすでに記憶されている動画像データ(のビデオストリーム)に多重化して記憶する。」
(2-2-2)引用文献2に記載の技術的事項
上記(2-2-1)によれば、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「動画像データを符号化して記憶及び/または復号して再生する記憶再生装置であって、
動画像データの各フレームごとに、前後のフレームとの差分をとり、動き検出を行い、
動きが検出されなかったフレーム、及び、動きが小さいと判定されたフレームを間引きフレームと決定して削除し、
間引かれたフレームに関する情報を動画像データに多重化して記憶し、
記録時に間引かれたフレームを再生時に補間して再生する構成を備え、
間引いたフレームを補間して再生する時に画質の劣化を抑えた記憶再生装置。」
(2-3)引用文献3の記載事項
本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2012-90120号公報(平成24年5月10日出願公開。以下、「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審で付与した。)
「【0046】
図5に示すように、本実施形態に係るクラウドサービス10は、機能的には、例えば、データ記憶部40、データ受信部42、データ送信部44、配信管理部46、ゲーム実行部48、合成画像生成部50、ゲーム状況監視部52、ネットワーク状況監視部54、を含んで構成される。データ記憶部40は、例えば、クラウドサービス10に含まれるサーバに含まれるメモリやハードディスクドライブ、ストレージデバイス、などといった記憶装置を主として実現される。データ受信部42、データ送信部44は、クラウドサービス10が備えるネットワークボードなどの通信インタフェースを主として実現される。また、ゲーム実行部48は、例えば、エミュレータ34で実現される機能に対応する。その他の要素は、例えば、管理プロセス30で実現される機能に対応する。」
「【0084】
また、本実施形態では、ネットワーク状況監視部54が、クライアント12とクラウドサービス10と、を接続するコンピュータネットワーク14の通信の状況(例えば、帯域幅)を監視する。そして、ネットワーク状況監視部54は、クライアント12とクラウドサービス10とを接続するコンピュータネットワーク14が所定の上限帯域幅以上となった場合や、所定の下限帯域幅以下となった場合などに、その旨を配信管理部46に通知する。そして、配信管理部46は、例えば、この通知に応じて、配信設定データ72を変更する。」
(2-4)引用文献4の記載事項
本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2007-184891号公報(平成19年7月19日出願公開。以下、「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は強調のため当審で付与した。)
「【0005】
従来、送信側のWebサーバにおいて、通信ネットワークのトラフィックを計測し、トラフィックの状況に応じてネットワークカメラから送出する映像のフレームレートを制御するようにしたり(例えば、特許文献1参照)、あるいは通信ネットワークのトラフィックの状況に応じてネットワークカメラから送出される映像の圧縮率を制御して(例えば、特許文献2,3参照)、画質を適切に維持するようにした技術が提案されている。」
(3)引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(3-1)本件補正発明の構成Fについて
引用発明の構成aの「配信サーバ及び変換装置」は、「情報処理」機能を有する装置構成である点で、本件補正発明の構成Fの「情報処理装置」と共通する。
しかしながら、本件補正発明は「情報処理装置」という一つの装置であるのに対し、引用発明は「配信サーバ及び変換装置」という二つの装置からなる点で、両者は相違する。
(3-2)本件補正発明の構成Aについて
引用発明の構成a及びbの「配信サーバ」は、動画像配信システムに設けられたものであり、変換装置へ送信される符号化データ(動画像符号化データ)を備えるものであるから、本件補正発明の構成Aの「第1の動画データを記憶する記憶部」に相当する。
(3-3)本件補正発明の構成B1及び構成B2について
引用発明の構成cの「変換装置の能力情報交換部」における「ネットワークの状況及びフレームを補間する機能等の端末自身の機能情報を前記端末に要求して通知させる」構成は、「当該通知がネットワークの帯域にゆとり(余裕)が無い場合」を判断するためのものであるから、当該構成は、本件補正発明の構成B1の「通信ネットワークの状態を監視する監視部」に一致する。
一方、引用発明の構成cは、「前記送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視」を送信元の側から行うものではない点で、本件補正発明の構成B2と相違する。
したがって、「監視部」について、本件補正発明は、構成B2の「前記監視部は、前記送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視を、前記第2の動画データ及び前記フレーム情報の送信元の側から行う」構成であるのに対し、引用発明の構成cは、そのような構成を有していない点で相違する。
(3-4)本件補正発明の構成Cについて
引用発明の構成cの「能力情報交換部」及び構成dの「サイズ変更部」は、いずれも変換装置に含まれるものであり、情報処理分野において内部機能の区分や統合は任意に設定される事項にすぎないから、引用発明の構成cにおける「当該通知がネットワークの帯域にゆとり(余裕)が無い場合であり、かつ端末がフレームを補間する機能を有している場合には、低減後のフレームレートを変換制御部へ通知する変換装置の能力情報交換部」、及び、構成dの「前記通知を受けた変換制御部からフレームを間引くように要求されると、配信サーバからの符号化データを復号部で復号した画像データを、フレーム単位で間引く変換装置のサイズ変更部」は、本件補正発明の構成Cにおける「前記監視の結果に応じて、前記第1の動画データの単位時間当たりの第1のフレーム数を示す第1のフレームレートから、前記第1のフレームレートより少ない第2のフレームレートになるように、前記第1の動画データのいずれかのフレームを削除して、第2の動画データを生成する削除部」である点で共通するといえる。
しかしながら、上記「削除部」について、本件補正発明では、「当該フレームの直前のフレームとの類似の程度に基づいて」フレームを削除するのに対し、引用発明では、そのような基準を用いていない点で、両者は相違する。
(3-5)本件補正発明の構成Dについて
引用発明は、本件補正発明の構成Dの「前記削除されたフレームに関するフレーム情報を生成するフレーム情報生成部」を有していない点で、本件補正発明と相違する。
(3-6)本件補正発明の構成Eについて
引用発明の構成eの「前記間引かれた画像データを符号化した符号化データを端末へ送信する変換装置の送受信部」は、本件補正発明の構成Eの「前記第2の動画データを、前記通信ネットワークを介して送信先へ送信する送信部」である点で共通する。
しかしながら、「送信部」について、本件補正発明は、「前記フレーム情報」(前記削除されたフレームに関するフレーム情報)を送信する構成であるのに対し、引用発明の構成eは、そのような構成を有していない点で、相違する。
(3-7)一致点、相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
(A)第1の動画データを記憶する記憶部と、
(B1)通信ネットワークの状態を監視する監視部と、
(C’)前記監視の結果に応じて、前記第1の動画データの単位時間当たりの第1のフレーム数を示す第1のフレームレートから、前記第1のフレームレートより少ない第2のフレームレートになるように、前記第1の動画データのいずれかのフレームを削除して、第2の動画データを生成する削除部と、
(E’)前記第2の動画データを、前記通信ネットワークを介して送信先へ送信する送信部と、
を備えた、
(F’)情報処理機能を有する装置構成。
(相違点1)
情報処理機能を有する装置構成が、本件補正発明では「情報処理装置」という一つの装置であるのに対し、引用発明では「配信サーバ及び変換装置」という二つの装置からなる点。
(相違点2)
「監視部」について、本件補正発明は、「前記監視部は、前記送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視を送信元の側から行う」構成であるのに対し、引用発明の構成cは、そのような構成を有していない点。
(相違点3)
「削除部」について、本件補正発明では、「当該フレームの直前のフレームとの類似の程度に基づいて」フレームを削除するのに対し、引用発明では、そのような基準を用いていない点。
(相違点4)
引用発明は、本件補正発明の「前記削除されたフレームに関するフレーム情報を生成するフレーム情報生成部」を有しておらず、さらに、「送信部」における送信対象に、当該フレーム情報が含まれていない点。
(4)判断
上記各相違点について、以下に検討する。
(相違点1について)
引用発明は、端末からの指定に基づき、配信サーバ及び変換装置によって処理された符号化データが端末に送信されるものである。複数処理をまとめて一つの装置として構成することは、情報処理一般の技術として周知かつ慣用のものであるから、当該符号化データの送信側における処理をまとめて一つの装置として構成することは、当業者が適宜設計する事項にすぎない。
よって、上記相違点1は、引用発明及び周知技術に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
(相違点2について)
送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視を、送信元の側から行うことは、引用文献3の段落0046、0084、及び、引用文献4の段落0005に記載されているように周知技術であり、引用発明の「変換装置における能力情報交換部」(監視部)の構成として、上記「送信先へ至る通信ネットワークの状態の監視を送信元の側から行う」周知技術を選択することは、当業者が容易になしうることである。
よって、上記相違点2は、引用発明及び周知技術に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
(相違点3及び4について)
引用文献2には、動画像データを符号化して記憶及び/または復号して再生する記憶再生装置における、間引いたフレームを補間して再生する時に画質の劣化を抑える技術として、動画像データの各フレームごとに、前後のフレームとの差分をとり、動き検出を行い、動きが検出されなかったフレーム、及び、動きが小さいと判定されたフレームを間引きフレームと決定して削除し、間引かれたフレームに関する情報を動画像データに多重化して記憶し、記録時に間引かれたフレームを再生時に補間して再生する構成を備える技術が記載されている。
そして、引用発明の動画像配信システムと引用文献2の動画像の記憶再生装置とは、いずれも動画像の符号化、復号化を行うものである点で密接に関連する技術である。さらに、両者は、動画像に対して間引き及び補間処理を行う点で共通するものであり、かつ、引用文献2に記載の「画質の劣化を抑え」ることは、引用発明の動画像配信システムにおいても根本的な課題として共通するものである。以上の事項を考慮すれば、引用発明におけるフレームを削除する処理において、画質の劣化を抑えるために、動きが検出されなかったフレーム、及び、動きが小さいと判定されたフレームを間引きフレームと決定して削除する構成を採用するとともに、当該間引かれたフレームに関する情報を動画像データに多重化する構成を採用することは、当業者が容易に想到しうるものである。
ここで、一般に、「動きが検出されなかったフレーム、及び、動きが小さいと判定されたフレーム」が、直前のフレームと類似するものであることは、自明の事項であるから、上記引用発明に対し引用文献2の技術を採用したものは、実質的に、本件補正発明の構成Cにおける、フレームを当該フレームの直前のフレームとの類似の程度に基づいて削除することに相当する処理が行われるものといえる。
また、上記引用発明に対し引用文献2の技術を採用したものは、間引かれたフレームに関する情報を動画像データに多重化するものであるから、引用発明の動画像配信システムにおいて、間引きにより削除されたフレームに関するフレーム情報を生成するとともに、送信先に送信される画像データとともに前記フレーム情報も送信する構成は、当業者であれば引用文献2の技術を採用する際に格別の困難を要することなく想起しうる事項といえる。
よって、上記相違点3及び相違点4は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づき当業者が容易に想到しうるものである。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術、並びに周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年7月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年11月1日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)において「補正前の請求項1」として記載したとおりのものである。
2 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、2及びその記載事項並びに引用発明は、上記第2[理由]2(2)のとおりである。
3 対比・判断
本願発明は、上記第2[理由]2において検討した本件補正発明から、「送信部」、「監視部」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明には、上記第2[理由]2(3-7)における相違点2は存在せず、相違点1、3、4に対しては、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)、(4)のとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-010905