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特許拒絶査定不服審判

2017-010375

低オーバーヘッドワイヤレスビーコンのタイミングのためのシステムおよび方法

審判番号
2017-010375
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-183913外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2017年07月12日
審決日
2018年10月31日
公報発行日
2019年05月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04W) / P18 .575-Z (H04W)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-183913「低オーバーヘッドワイヤレスビーコンのタイミングのためのシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月24日出願公開、特開2015-233342〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)7月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年07月10日 アメリカ合衆国、2011年09月06日 アメリカ合衆国、2011年10月20日 アメリカ合衆国、2011年12月07日 アメリカ合衆国、2011年12月20日 アメリカ合衆国、2012年01月06日 アメリカ合衆国、2012年01月06日 アメリカ合衆国、2012年01月10日 アメリカ合衆国、2012年02月07日 アメリカ合衆国、2012年02月09日 アメリカ合衆国、2012年03月02日 アメリカ合衆国、2012年04月02日 アメリカ合衆国、2012年04月05日 アメリカ合衆国、2012年07月09日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-520260号の一部を、平成27年9月17日に新たに外国語書面出願したものであって、平成27年10月16日に手続補正書が提出され、平成28年8月15日付けで拒絶理由が通知され、同年11月21日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月3日付けで拒絶査定されたところ、同年7月12日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正書が提出されたものである。その後、審査官が同年9月14日付けで作成した前置報告書に対して、同年12月28日に上申書が提出された。 第2 平成29年7月12日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年7月12日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について 本件補正は、平成28年11月21日に手続補正された特許請求の範囲の請求項5、及び請求項5が引用する請求項1に記載された発明特定事項により特定される 「 ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法であって、 アクセスポイントにおいて、ビーコン間隔の第1の倍数で完全なビーコンを送信するステップと、 完全なビーコンフレームにおいて、または調査応答フレームにおいて、完全なビーコン期間を含む前記第1の倍数を通信するステップと、 前記ビーコン間隔の前記第1の倍数よりも短い第2のビーコン間隔であってかつ前記完全なビーコンが送信されない前記第2のビーコン間隔のみで、少なくとも1つのタイプの圧縮されたビーコンを繰り返し送信するステップとを含み、前記圧縮されたビーコンが、フィールドのセットのサブセットを含み、 前記圧縮されたビーコンが、低オーバーヘッドビーコンフレームであるとともに、 フレーム制御フィールドと、 ソースアドレスと、 タイムスタンプと、 変化シーケンスと、 次の完全なビーコン時間指示と、 圧縮されたサービスセット識別子と、 アクセスネットワークオプションフィールドと、 フレーム検査とを含む、方法。」 との請求項5に係る発明(以下、「本願発明」という。)を、 「 ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法であって、 アクセスポイントにおいて、ビーコン間隔の第1の倍数で完全なビーコンを送信するステップであって、前記完全なビーコンがフィールドのセットを含む、ステップと、 完全なビーコンフレームにおいて、または調査応答フレームにおいて、完全なビーコン期間を含む前記第1の倍数を通信するステップと、 前記ビーコン間隔の前記第1の倍数よりも短い、ビーコン間隔の第2の倍数であってかつ前記完全なビーコンが送信されない前記ビーコン間隔の前記第2の倍数のみで、2つのタイプの圧縮されたビーコンを繰り返しそれぞれ送信するステップとを含み、前記2つのタイプの圧縮されたビーコンが互いに交互に送信され、前記圧縮されたビーコンが、前記フィールドのセットのサブセットを含み、 前記圧縮されたビーコンが、低オーバーヘッドビーコンフレームであるとともに、 フレーム制御フィールドと、 ソースアドレスと、 タイムスタンプと、 変化シーケンスと、 次の完全なビーコン時間指示と、 圧縮されたサービスセット識別子と、 アクセスネットワークオプションフィールドと、 フレーム検査とを含む、方法。」 との発明(以下、「本件補正発明」という。)に補正することを含むものである。(当審注:下線は補正箇所を示す。) 2.補正の適否 (1)新規事項の有無、シフト補正の有無、補正の目的要件 上記補正は、 a 「完全なビーコンを送信するステップ」において、「前記完全なビーコンがフィールドのセットを含む」ことを限定する補正 b 本件補正前の「第2のビーコン間隔」を「ビーコン間隔の第2の倍数」として、「圧縮されたビーコン」が送信される間隔がビーコン間隔の倍数となっていることを限定する補正 c 本件補正前の、「少なくとも1つのタイプの圧縮されたビーコン」が、「2つのタイプの圧縮されたビーコン」に限定され、さらに、「前記2つのタイプの圧縮されたビーコンが互いに交互に送信され」ると限定する補正 を含むものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 したがって、上記補正は特許法17条の2第5項2号(補正の目的)に規定された事項を目的とするものである。また、同法17条の2第3項(新規事項)及び同法17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するところはない。 (2)独立特許要件 上記補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、本件補正後の請求項5に記載された発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて、以下に検討する。 ア.本件補正発明 本件補正発明は、上記1.に記載したとおりのものと認める。 イ.本願の優先権について 本願は、米国特許出願61/506,136、米国特許出願61/531,522、米国特許出願61/549,638、米国特許出願61/568,075、米国特許出願61/578,027、米国特許出願61/583,890、米国特許出願61/584,174、米国特許出願61/585,044、米国特許出願61/596,106、米国特許出願61/596,775、米国特許出願61/606,175、米国特許出願61/618,966、米国特許出願61/620,869、及び米国特許出願13/544,900(以下順に、「優先基礎出願1」~「優先基礎出願14」という)を優先権の主張の基礎とするものであるが、優先基礎出願1~13には、本件補正発明を特定する事項である以下の点が開示されていない。 「圧縮されたビーコンが、・・・アクセスネットワークオプションフィールド・・・を含む」点 したがって、上記優先基礎出願1~13に基づく本件補正発明についての優先権主張の効果は認められず、以下に検討する特許法第29条第2項に規定する進歩性の判断基準日は、優先基礎出願14の出願日である2012年7月9日とする。 ウ.引用例1の記載事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された、FACCIN STEFANO M.,A PARTIAL TGU PROPOSAL ON OPTIMIZATION OF DELIVERY OF NETWORK DISCOVERY INFORMATION THROUGH LAYERED BEACONS(当審訳:レイヤードビーコンによるネットワーク発見情報の配信の最適化に関する部分TGu提案),IEEE 802.11-06/0286r0,2006年3月6日,インターネット<https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/06/11-06-0286-00-000u-layered-beacons.doc>(以下、「引用例1」という。)には以下の記載がある。 (ア)「2.1 Motivation and Assumptions ・・・・略・・・・ In general, several approaches have been discussed in TGu that require the extension of the beacon to advertise more information to the STA. In the past several attempts took place to add new information to the WLAN beacon. Since the size of the beacon and the frequency at which it is sent impacts considerably the system capacity, previous proposals that tried to create new beacon information/type were met with low acceptance in IEEE 802.11. Therefore modifications should avoid bloating the beacon unreasonably just to enable network discovery. 2.2 Proposed Solution: Layered Beacons Beacons in WLAN network serves two main functions: 1) Maintaining the timing for the network and signalling to associated stations, and 2) Advertising to stations that are in discovery mode. It is expected that the information needed to support STAs decision to join the network is going to be relatively substantial. Taking into account that the the AP must serve function 1) as well, it is clear that beacons must be repeated frequently enough. These two aspects introduce contradicting requirements on how beacons are transmitted and which information they include. Including all the relevant information to beacons can easily make them very long resulting to reduced system capacity if the beacon interval is kept relatively short.」(3~4ページ。下線は当審で付加した。以下同様。) (当審訳:2.1 動機と前提 ・・・・略・・・・ 一般に、STAにさらなる情報を広告するためにビーコンの拡張を必要とするTGuでは、いくつかのアプローチが議論されてきた。過去には、WLANビーコンに新しい情報を追加するためのいくつかの試みが行われた。ビーコンのサイズと送信頻度はシステム容量にかなりの影響を与えるため、新しいビーコン情報/タイプを作成しようとしていた以前の提案は、IEEE802.11であまり受け入れられなかった。したがって、修正ではネットワークの発見を可能にするためだけにビーコンを不当に肥大化させないようにする必要がある。 2.2提案された解決策:レイヤードビーコン WLANネットワークのビーコンは、2つの主な機能を果たす。 1)ネットワークのためのタイミングの維持と、関連するステーションへのシグナリング。 2)発見モードにあるステーションへの広告。 ネットワークに参加するSTAの決定をサポートするために必要な情報は、かなり重要なものになると予想される。 APが機能1)を果たさなければならないことを考慮すると、ビーコンは十分に頻繁に繰り返さなければならないことは明らかである。これらの2つの側面は、ビーコンがどのように送信され、どの情報に含まれるかにということにおいて異なる要求を導く。ビーコンに対するすべての関連情報を含めることは、容易にビーコンを非常に長くし、ビーコンインターバルが比較的短く保たれるならば、結果としてシステム容量を減少させる。) (イ)「The proposal introduces a method for optimizing the delivery of network discovery information through layered beacons. The proposal introduces two types of beacon frames: - A first type of beacon frame, called Network Maintenance Beacon (NMB), is shorter and content is the same as in the legacy beacon frame, with the addition of a new Layered Beacons IE. - The second type of beacon frame, called Network Discovery Beacon (NDB), is longer than NMB and includes legacy beacon information and necessary information for the discovering STAs (i.e., NDB=NMB+discovery information). Furthermore it is proposed that NMB and NDB are sent using self-adjusting time intervals depending on the system load. The basic interval is legacy beacon interval. The following rules apply: - Light load: NDB sent in every TBTT - Medium load: every n:th beacon is NDB, otherwise NMB is sent - High load: NMB sent in every TBTT. NDB not sent at all.」(4ページ) (当審訳:この提案では、レイヤードビーコンによるネットワーク発見情報の配信を最適化する方法を紹介する。この提案では、2種類のビーコンフレームを紹介する。 - ネットワークメンテナンスビーコン(NMB)と呼ばれる第1のタイプのビーコンフレームは短く、内容は従来のビーコンフレームと同じであり、新しいレイヤードビーコンIEを追加している。 - ネットワーク発見ビーコン(NDB)と呼ばれる第2のタイプのビーコンフレームはNMBよりも長く、従来ビーコン情報及びSTAを発見するために必要な情報を含む。(すなわち、NDB = NMB +発見情報) さらに、NMBとNDBは、システムの負荷に応じて、自己調整の時間間隔を使用して送信されることが提案されている。基本的な間隔は、従来のビーコン間隔である。次の規則が適用される。 - 軽負荷:TBTT毎に送信されるNDB - 中負荷:n番目毎のビーコンはNDBである。それ以外はNMBが送信される - 高負荷:TBTT毎にNMBが送信される。NDBはまったく送信されない) (ウ)「 Load thresholds and time to next NDB can be signalled using the Layered Beacons IE. This information element is included in both NMBs and NDBs. ・・・・略・・・・ 2.2.1 Layered Beacons IE ・・・・略・・・・ The time to next NDB indicates when the next NDB will be transmitted. Value is expressed in TBTTs. If NDB is not sent automatically at all then the field is set to 31.」(4~5ページ) (当審訳:レイヤードビーコンIEを使用して、負荷の閾値と次のNDBまでの時間が通知される。この情報要素は、NMBとNDBの両方に含まれる。 ・・・・略・・・・ 2.2.1 レイヤードビーコンIE ・・・・略・・・・ 次のNDBまでの時間は、次のNDBがいつ送信されるかを示す。値はTBTTで表される。 NDBが自動的に送信されない場合、フィールドは31に設定される。) 上記記載及び当業者の技術常識を考慮すると、引用例1には、次の技術的事項が記載されている。 a 上記(ア)(イ)によれば、引用例1にはWLANにおけるビーコンの送信方法について記載されているといえる。 そして、上記(ア)によれば、引用例1は、WLANビーコンに関し、ビーコンのサイズと送信頻度がシステム容量に影響を与えるという認識のもとで、ビーコンインターバルが短く保ちつつ、ビーコンにおいて送信する情報量を確保し、システム容量を減少させようとしたものということができる。 b 上記(ア)に、ビーコンの機能として「1)ネットワークのためのタイミングの維持と、関連するステーションへの信号送信」と記載され、「APが機能1)を果たさなければならないことを考慮すると・・・」と記載されていることからも明らかなように、ビーコンはAPがステーション(STA)に送信するものである。 c 上記(イ)によれば、引用例1は、NMBと呼ばれる第1のタイプのビーコンフレームと、NMBに発見情報を加えたNDBと呼ばれる第2のタイプのビーコンフレームという2種類のビーコンが導入されており、第2のタイプのビーコンフレームは、第1のタイプのビーコンフレームよりも長くなっている。そして、中負荷の場合、n番目毎のビーコンは第2のタイプのビーコンフレームであり、それ以外は第1のタイプのビーコンフレームが送信されるから、第2のタイプのビーコンフレームはビーコン間隔のn倍のビーコン間隔で送信されるといえる。また、第1のタイプのビーコンフレームも、第2のタイプのビーコンフレームが送信されるタイミングでは送信されないもののビーコン間隔に対応して送信されていることから、第1のタイプのビーコンフレームはビーコン間隔の倍数で送信されるということができる。 そうしてみると、引用例1は、APが第1のタイプのビーコンフレームより長い第2のタイプのビーコンフレームをビーコン間隔のn倍で送信するステップを有しているということができる。また、APが第1のタイプのビーコンフレームを第2のタイプのビーコンフレームが送信されないビーコン間隔の倍数のみで繰り返し送信するステップを有しているといえる。 d 上記(ウ)によれば、引用例1は、APが第1のタイプのビーコンフレームと第2のタイプのビーコンフレームにおいて、TBTTによって表した次の第2のタイプのビーコンフレームまでの時間を送信するステップを有するといえる。 したがって、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「 WLANにおけるビーコンの送信方法であって、 APが、第1のタイプのビーコンフレームよりも長い第2のタイプのビーコンフレームをビーコン間隔のn倍で送信するステップと、 APが、第1のタイプのビーコンフレームと第2のタイプのビーコンフレームにおいて、TBTTによって表した次の第2のタイプのビーコンフレームまでの時間を送信するステップと、 APが、第1のタイプのビーコンフレームを第2のタイプのビーコンフレームが送信されないビーコン間隔の倍数のみで繰り返し送信するステップと、 を含む方法。」 エ.引用例4の記載事項及び公知技術 原査定の拒絶の理由で引用された、Santosh Abraham et al.,Short Beacon,doc.:IEEE 802.11-12/0129r3,2012年5月14日アップロード,インターネット<https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/12/11-12-0129-03-00ah-short-beacon.pptx>(以下、「引用例4」という。)には以下の記載がある。 (ア)Slide9には以下が記載されている。 「Indication of Interworking Support ・It is beneficial for an 11ah AP that supports 3GG offloading to include the Access Network Options field in short beacons - The one-byte "Access Network Options" field canhelp STAs fillter out undesired APs in all scanning channels (132MHz channels in US!) quickly based on the frequently transmitted short beacons, without wasting time/power to track full beacons or probe responses from these APs ・Proposal - Include an “interworking” bit in FC to indicate whether the AP is interworking capable or not - When the interworking bit in FC is set, a one-byte “Access Network Options” field is included in short beacon 」 (当審訳: インターワーキングサポートの表示 ・ショートビーコンにアクセスネットワークオプションフィールドを含めることは3Gオフロードをサポートする11ahのAPにとって有益である - 1バイトの「アクセスネットワークオプション」フィールドは、頻繁に送信されるショートビーコンに基づき、これらのAPからのフルビーコン又はプローブ応答を追跡する時間/電力を浪費することなく、STAが全てのスキャニングチャンネル(USにおいては132MHzチャンネル)において、望まれないAPをすぐに排除するのを補助する ・提案 - FCにAPがインターワーキング可能か否かを示す「インターワーキング」ビットを含む - FCのインターワーキングビットがセットされている場合、1バイトの「アクセスネットワークオプション」フィールドがショートビーコンに含まれる (図面略)) (イ)Slide10には以下が記載されている。 「Frame Control Field ・Frame Control Field is updated to include - Bandwidth of the BSS - Security status of the BSS - Indications of fields in the Short Beacon ・Presence of Time of Next Full Beacon field ・Presence of Compressed SSID field ・Presence of Access Network Options field」 (当審訳: フレーム制御フィールド (図面略) ・フレーム制御フィールドは以下を含むように更新される - BSSの帯域幅 - BSSのセキュリティーステータス - ショートビーコンにおけるフィールドの表示 ・次の完全なビーコンまでの時間フィールドの存在 ・圧縮SSIDフィールドの存在 ・アクセスネットワークオプションフィールドの存在) (ウ)Slide19には以下が記載されている。 「Operation Mode - Example ・AP may operate in the following mode - Send a full beacon at every ‘full beacon’ interval - Send a short beacon at every (non full) beacon interval - Include a TIM element every N beacons (TIM period) F=Full beacon S= short beacon (T)= TIM present」 (当審訳: 操作モード - 例 ・APは以下のモードで動作するだろう - 完全なビーコン間隔毎に完全なビーコンを送信する - (完全ではない)ビーコン間隔毎にショートビーコンを送信する - Nビーコン毎にTIM要素を含む(TIM間隔) (図面略) F=完全なビーコン S=ショートビーコン (T)=TIM給付) 上記(ア)、(イ)の図から明らかなように、「ショートビーコンに、フレーム制御フィールド(FC)、ソースアドレス(SA)、タイムスタンプ(Timestamp)、変化シーケンス(Change Sequence)、次の完全なビーコン時間指示(Time of Next Full Beacon)、圧縮されたサービスセット識別子(Compressed SSID)、アクセスネットワークオプションフィールド(Access Network Options)、及びフレーム検査(CRC)を含む。」ことは公知である。(以下、「公知技術1」という。) また、上記(ウ)には、操作モードの例として、ビーコン間隔の6倍の間隔で完全なビーコンを送信し、完全なビーコンの送信タイミングを除いて、ビーコン間隔の1倍で、TIMを含むショートビーコンとTIMを含まないショートビーコンの2種類のショートビーコンを交互に送信するものが記載されている。 そうしてみると、「完全なビーコン間隔で完全なビーコンを送信し、完全なビーコンの送信と重なる場合を除くビーコン間隔の1倍でショービーコンを送信するものであって、ショートビーコンとして、TIMを含むショートビーコンとTIMを含まないショートビーコンの2種類のビーコンを交互に送信する。」ことは公知である。(以下、「公知技術2」という。) オ.引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 a 引用発明における「WLAN」はワイヤレスネットワークということができ、また、引用発明における「ビーコンの送信方法」はビーコンを使って通信をする方法といえるから、引用発明の「WLANにおけるビーコンの送信方法」は、本件補正発明の「ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法」に相当する。 b 引用発明の「AP」は、本件補正発明の「アクセスポイント」に相当する。 c 引用発明の「第1のタイプのビーコンフレーム」は「第2のタイプのビーコンフレーム」の情報の一部が省略されていることに鑑みれば、「第2のタイプのビーコンフレーム」を「完全なビーコン」、「第1のタイプのビーコンフレーム」を「圧縮されたビーコン」と称することは任意である。そして、引用発明において「第2のタイプのビーコンフレームをビーコン間隔のn倍で送信する」ことは、本件補正発明の「ビーコン間隔の第1の倍数で完全なビーコンを送信する」ことに相当する。 d 引用発明の「第2のタイプのビーコンフレーム」がフィールドのセットを含むことは明示されていないが、ビーコンでは複数の情報がフィールド毎に格納されて送信されることは技術常識に照らして明らかであるから、引用発明においても「第2のタイプのビーコンフレーム」はフィールドのセットを含んでいることは自明である。そして、「第1のタイプのビーコンフレーム」は「第2のタイプのビーコンフレーム」から情報の一部を省略したものであるから、「第1のタイプのビーコンフレーム」は「第2のタイプのビーコンフレーム」のフィールドのサブセットを含むということができる。 e 引用発明は「第1のタイプのビーコンフレームと第2のタイプのビーコンフレームにおいて・・・次の第2のタイプのビーコンフレームまでの時間を送信」している。そうすると、第2のタイプのビーコンフレームにおいて送信される次の第2のタイプのビーコンフレームまでの時間は第2のタイプのビーコンフレームの間隔を表す時間となる。そして、引用発明では当該時間をTBTTによって表しているから、第2のタイプのビーコンフレームの間隔がビーコン間隔の何倍にあたるかを示す数によって表わされているといえ、当該「数」は本件補正発明の「完全なビーコン期間を含む前記第1の倍数」に相当する。したがって、本件補正発明と引用発明は「完全なビーコンフレームにおいて、完全なビーコン期間を含む前記第1の倍数を通信」しているといえる点で一致している。 f 引用発明の「第1のタイプのビーコンフレームを第2のタイプのビーコンフレームが送信されないビーコン間隔の倍数のみで送信する」ことと、本件補正発明の「前記ビーコン間隔の前記第1の倍数よりも短い、ビーコン間隔の第2の倍数であってかつ前記完全なビーコンが送信されない前記ビーコン間隔の前記第2の倍数のみで」「圧縮されたビーコンを」「送信する」こととは、引用発明において第1のタイプのビーコンフレームを送信するビーコン間隔の倍数が第2のタイプのビーコンフレームを送信するビーコン間隔のn倍より短いことは特定されていないものの、「ビーコン間隔の第2の倍数であってかつ前記完全なビーコンが送信されない前記ビーコン間隔の前記第2の倍数のみで」「圧縮されたビーコンを繰り返し」送信している点では一致している。 g 引用発明の「第1のタイプのビーコンフレーム」は第2のタイプのビーコンフレームの情報の一部が省略された短いビーコンフレームであるから、「低オーバーヘッドビーコンフレーム」ということができる。 したがって、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりと認める。 [一致点] 「 ワイヤレスネットワークにおいて通信する方法であって、 アクセスポイントにおいて、ビーコン間隔の第1の倍数で完全なビーコンを送信するステップであって、前記完全なビーコンがフィールドのセットを含む、ステップと、 完全なビーコンフレームにおいて、完全なビーコン期間を含む前記第1の倍数を通信するステップと、 前記ビーコン間隔の第2の倍数であってかつ前記完全なビーコンが送信されない前記ビーコン間隔の前記第2の倍数のみで、圧縮されたビーコンを繰り返し送信するステップとを含み、前記圧縮されたビーコンが、前記フィールドのセットを含み、 前記圧縮されたビーコンが、低オーバーヘッドビーコンフレームである、方法。」 [相違点1] 本件補正発明では、圧縮されたビーコンが送信されるビーコン間隔の第2の倍数が、完全なビーコンを送信するビーコン間隔の前記第1の倍数よりも短いのに対して、引用発明では第2のタイプのビーコンフレームが送信されるビーコン間隔のn倍と、第1のタイプのビーコンフレームが送信されるビーコン間隔の倍数との大小について特定されていない点。 [相違点2] 本件補正発明では「圧縮されたビーコン」には「2つのタイプ」があり「2つのタイプの圧縮されたビーコンが互いに交互に送信され」るのに対して、引用発明では第1のタイプのビーコンフレームに2つのタイプがあることが特定されていない点。 [相違点3] 本件補正発明では、「前記圧縮されたビーコン」が、「フレーム制御フィールドと、ソースアドレスと、タイムスタンプと、変化シーケンスと、次の完全なビーコン時間指示と、圧縮されたサービスセット識別子と、アクセスネットワークオプションフィールドと、フレーム検査とを含む」のに対して、引用発明では第1のタイプのビーコンフレームよりも第2のタイプのビーコンフレームが長いものである以上の特定はなされていない点。 カ.判断 上記相違点1について検討する。 圧縮されたビーコンと完全なビーコンをどのような比率で送信するかは、それぞれのビーコンの長さ、ビーコン間隔、システムの負荷の状態などを勘案して適宜設定される事項であるから、その結果として本件補正発明のように圧縮されたビーコンが送信されるビーコン間隔の第2の倍数が、完全なビーコンが送信されるビーコン間隔の前記第1の倍数よりも短く設定されることは、当業者が適宜設定できた事項にすぎない。 上記相違点2について検討する。 公知技術2としたように「完全なビーコン間隔で完全なビーコンを送信し、完全なビーコンの送信と重なる場合を除くビーコン間隔の1倍でショービーコンを送信するものであって、ショートビーコンとして、TIMを含むショートビーコンとTIMを含まないショートビーコンの2種類のビーコンを交互に送信する」ことは公知の技術である。そうしてみると、情報の一部が省略されたショートビーコンといえる引用発明の「第1のタイプのビーコンフレーム」を2種類のビーコンから構成し、当該2種類のビーコンを交互に送信するように構成することは格別の発明力を要することなく、当業者が容易に構成できたものである。 上記相違点3について検討する。 公知技術1としたように、「ショートビーコンに、フレーム制御フィールド(FC)、ソースアドレス(SA)、タイムスタンプ(Timestamp)、変化シーケンス(Change Sequence)、次の完全なビーコン時間指示(Time of Next Full Beacon)、圧縮されたサービスセット識別子(Compressed SSID)、アクセスネットワークオプションフィールド(Access Network Options)、及びフレーム検査(CRC)を含む」ことは公知であるから、引用発明の「第1のタイプのビーコンフレーム」を「フレーム制御フィールドと、ソースアドレスと、タイムスタンプと、変化シーケンスと、次の完全なビーコン時間指示と、圧縮されたサービスセット識別子と、アクセスネットワークオプションフィールドと、フレーム検査」を含む構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。 そして、本件補正発明が奏する効果も、当業者が引用発明及び公知技術1、2から容易に予想できる範囲内のものである。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び公知技術1、2に基づき、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3.本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 なお、請求人は平成29年12月28日に提出された上申書において、2つのタイプの圧縮されたビーコンの内の1つが、低オーバーヘッドビーコンフレームである旨を特定する補正を提案している。 しかしながら、2つのタイプの圧縮されたビーコンは、いずれも長さが短く、低オーバーヘッドといえるから、2つのタイプの圧縮されたビーコンの内の1つが、低オーバーヘッドビーコンフレームであるという特定は、実質的に何ら新たな限定を加えるものではないから、上記2と同様の理由で進歩性を有していない。 したがって上記上申書の補正案を採用することはできない。 第3 本願発明について 1.本願発明 平成29年7月12日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年11月21日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1~56に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項5に係る発明(本願発明)は、その請求項5、及び請求項5が引用する請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1.に記載したとおりのものと認める。 2.原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、 「理由1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項5に対しては理由2として引用例1,4が利用されている。(当審注:原査定の拒絶の理由では理由2において、請求項:5-13、18-26、31-39、44-52に対して、引用文献1、4-5を利用しているが、審査官の拒絶査定時の「当該請求項に係る構成は、引用文献4(Slide 9-10等)に記載されている。また、ソースアドレスをAPのBSSIDとすることは、引用文献5(Slide3,8)に記載されている。」とのコメントからみて、引用文献5はBSSIDについて特定した請求項7に対するものであることは明らかである。) <引用文献等一覧> 1.FACCIN STEFANO M.,A PARTIAL TGU PROPOSAL ON OPTIMIZATION OF DELIVERY OF NETWORK DISCOVERY INFORMATION THROUGH LAYERED BEACONS,IEEE 802.11-06/0286R0,2006年3月6日,P4-6, 4.Santosh Abraham et al.,Short Beacon,doc.:IEEE 802.11-12/0129r3,2012年5月14日 3.引用発明、及び公知技術1、2 引用発明、及び公知技術1、2は、前記第2[理由]2.(2)ウ.及びエ.の項で認定したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は本件補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものであるから、本願発明は引用発明と上記相違点1、3の点で相違するといえる。 そうすると、本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した本件補正発明が、上記第2[理由]2.(2)の「独立特許要件」の項で検討したとおり、引用発明、及び公知技術1、2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由(ただし、相違点2に係る判断を除く。)により当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び公知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2017-010375

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