特許拒絶査定不服審判
2017-009865
人のバイオインピーダンスデータを検出する方法および装置
- 審判番号
- 2017-009865
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-540317
- 請求日
- 2017年07月04日
- 審決日
- 2018年03月05日
- 公報発行日
- 2018年09月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ゼカ アーゲー
- 【請求人代理人】今井 秀樹
- 【請求人代理人】藤田 アキラ
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 ▲高▼見 重雄
- 審判官 福島 浩司
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-540317「人のバイオインピーダンスデータを検出する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月23日国際公開、WO2013/071908、平成26年12月25日国内公表、特表2014-534878〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)10月27日(パリ条約による優先権主張 2011年11月15日 ドイツ)を国際出願日とする出願であって、平成28年7月6日付けで拒絶理由が通知され、同年10月26日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年3月14日付けで拒絶査定されたところ、同年7月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、その後、平成29年11月2日付けで上申書が提出されたものである。
第2 平成29年7月4日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年7月4日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「少なくとも2つの電極を使用して少なくとも1つのインピーダンス値を測定し、評価機構へ伝送するようにした、人のバイオインピーダンスデータを検出する方法において、
少なくとも1つの出力機構の領域に、前記バイオインピーダンスの測定にとって最適な身体姿勢を取らせるための人の情報を提供し、
前記情報をビジュアル表示させ、
人の実際の身体姿勢を少なくとも部分的に検知し、
実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報をビジュアル表示させることを特徴とする方法。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年10月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「少なくとも2つの電極を使用して少なくとも1つのインピーダンス値を測定し、評価機構へ伝送するようにした、人のバイオインピーダンスデータを検出する方法において、
少なくとも1つの出力機構の領域に、前記バイオインピーダンスの測定にとって最適な身体姿勢を取らせるための人の情報を提供し、
前記情報をビジュアル表示させ、
人の実際の身体姿勢を少なくとも部分的に検知し、
実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報を出力させることを特徴とする方法。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報」について、「出力させる」から「ビジュアル表示させる」へと、出力方法を下位概念にしたものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2007-195744号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている。(下線は当審において付した。)
(引1-ア)
「【0001】
本発明は、体組成を測定する体組成計に関する。」
(引1-イ)
「【0018】
<体組成計の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る体組成計の外観を示している。本実施形態では、体重計と一体に構成された体重体組成計を例示する。
【0019】
この体組成計は、概略、本体1と保持部(表示操作部)2とから構成される。本体1と保持部2は、ケーブル3で接続されており、信号の送受信が可能である。なお、本体1と保持部2とを無線通信により接続する構成でも構わない。非使用時は、本体1の保持部収納部13に、保持部2及びケーブル3が収納される。
【0020】
本体1の上面には、4つの足用電極10L、10R、11L、11Rが設けられている。電極10L、10Rは、左右の足裏に電流を印加するための電極であり、電極11L、11Rは、左右の足裏から電圧を検知するための電極である。また本体1は体重測定部12を内蔵している。
【0021】
保持部2には、左右のグリップ20L、20R、表示部21、操作部22、カメラ23、などが設けられている。表示部21は、測定結果やガイダンスを表示したり、カメラ23から入力された画像を表示したりする部分であり、例えば液晶ディスプレイから構成される。操作部22は、ユーザ選択スイッチ、表示切替スイッチなどから構成される。カメラ23は、体組成計の使用者(体組成測定者)を撮影するために設けられており、例えばCCDカメラから構成される。
【0022】
グリップ20L、20Rにはそれぞれ、手のひらに電流を印加するための電極24L、24Rと、手のひらから電圧を検知するための電極25L、25Rとが設けられている。そして、グリップ20Rには、カメラ23のシャッターボタン23Sが設けられている。
【0023】
本実施形態の体組成計は、体組成測定姿勢として、「背筋及びひざを伸ばして立ち、ひじ及び手首を伸ばして腕を水平に上げ(腕と体が約90°)、表示部21が顔を向くように保持部2を持つ」姿勢を要求する。それゆえ、シャッターボタン23Sは、体組成測定時に使用者の指先(右手人差し指の先)が置かれるべき位置である、右グリップ20Rの基端部分に配置されている。また、カメラ23は、体組成測定姿勢をとる使用者の顔を含む画像を撮影可能なように、表示部21と同じ向きに配置されている。このようにシャッターボタン23Sとカメラ23を配置したことにより、体組成測定姿勢と撮影姿勢とが同じになり、操作性の向上を図ることができる。シャッターボタン23Sに合わせて保持部2を持てば、自動的に体組成の測定に適した持ち方となることから、シャッターボタン23Sが保持部2の持ち方のガイドとしての役割も果たすこととなり、測定ミスの低減を図る効果も生まれる。」
(引1-ウ)
「【0024】
図2は、体組成計の構成を示すブロック図である。図2に示すように、保持部2は、制御部26、インピーダンス測定部27、記憶部28、電源29などを内蔵している。制御部26は、体組成計の各構成要素を制御したり、体組成の推定処理や画像処理などの演算を行う手段であり、例えばプログラムを実行するCPUとメモリなどから構成される。インピーダンス測定部27は、印加した電流と検知された電圧とに基づいて体内のインピーダンスを測定する手段である。制御部26及びインピーダンス測定部27の具体的な機能及び処理については、後述する。
【0025】
記憶部28は、不揮発性メモリなどの記憶媒体から構成される。記憶部28には、体重及び体組成の測定結果(測定値)、カメラ23で撮影された画像、測定及び撮影の日時、個人情報(年齢、身長、性別)などが、使用者別(登録番号別)に格納される。本実施形態の体組成計では複数(例えば4人)の使用者を登録可能であり、操作部22のユーザ選択スイッチで登録番号を指定することにより使用者を選択することができる。」
(引1-エ)
「【0026】
<体組成計の動作>
図3のフローチャートに沿って、体組成計の動作を説明する。なお、図3のフローチャートは、上記体組成計にて体重及び体組成の測定と外観の撮影を行う際の標準的な処理の流れを示すものである。
【0027】
使用者が体組成計の電源をONすると、制御部26が体重計の校正処理を実行する(S10)。校正完了後、ユーザ選択可能となる。使用者がユーザ選択スイッチで登録番号を指定すると、制御部26は、指定された登録番号に関連付けられたデータを記憶部28から読み込む(S11)。
【0028】
制御部26は、図4に示すように、カメラ23から入力される画像を表示部21に表示する(S12)。使用者は表示部21の画像を見ながら、姿勢の修正や保持部2の位置・向きの調整を行う。調整を容易にするために、表示部21に位置合わせ用のガイドラインなどを表示するようにしてもよい。なお、カメラ23で撮影する画像には、少なくとも使用者の顔が含まれていればよく、好ましくは、図4のように上半身が含まれているとよい。また、図5のように、ほぼ全身を撮影可能なようにしても構わない。
【0029】
使用者が静止すると、体重測定部12によって体重の測定が行われる(S13)。この測定値は制御部26に入力される。
【0030】
体重測定が完了すると、制御部26は、表示部21に撮影可能マークを表示する(S14)。なお、この表示は、撮影準備(体組成測定準備)が整ったことを使用者に通知できれば、どのような態様でも構わない。例えば、ランプの点滅や、メッセージの表示などでもよい。
【0031】
使用者がシャッターボタン23Sを押すと、カメラ23によって記録用の画像が撮影されるとともに(S15)、インピーダンス測定部27によってインピーダンスの測定が行われる(S16)。なお、撮影より先にインピーダンス測定を行ってもよいし、両方の処理を同時に行ってもよい。つまり、両方の処理が実質的に同じ時刻に行われればよい。
【0032】
制御部26は、インピーダンス測定部27から測定結果を受け取ると、このインピーダンスとS13で測定した体重と記憶部28から読み込んだ使用者の身長、年齢、性別などのデータに基づいて、体組成を推定する(S17)。体組成の推定は公知の手法を用いればよい。体組成としては、例えば、体脂肪率、体脂肪量、筋肉率、筋肉量などを算出可能である。またこれらの算出結果に基づいて、さらに、基礎代謝量、肥満度、体年齢などの健康管理やダイエットに有益な指針情報を生成してもよい。」
(引1-オ)
「【0042】
(変形例2)
本例では、制御部26が、撮影画像に基づいて使用者の姿勢の良否を判定する。姿勢の判定は、例えば、(1)撮影画像から顔が検出され、且つ、その顔の位置及び大きさが所定の条件を満たすときに体組成測定姿勢をとっているとみなす、(2)撮影画像と過去画像の類似度が所定値以上のときに体組成測定姿勢をとっているとみなす、など、どのような手法を用いてもよい。撮影画像と過去画像を比較するときは、人物の輪郭などの特徴量に注目してもよい。
【0043】
図3のS12の後などに上記姿勢判定処理を実行し、姿勢が良好と判定された場合にS13の体重測定処理に移行し、姿勢が不良と判定された場合に「測定姿勢をとってください。」というような警告を出力すれば、測定ミスの低減を図ることができる。」
(引1-カ)図1には、以下の図面が示されている。
(引1-キ)図2には、以下の図面が示されている。
(引1-ク)図3には、以下の図面が示されている。
イ 引用文献1に記載の発明
上記アの記載事項及び図面を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「体組成計を用いて体組成を測定する方法であって、
体組成計は、本体1と保持部(表示操作部)2とから構成され、
保持部2には、左右のグリップ20L、20R、表示部21、カメラ23、などが設けられ、表示部21は、測定結果やガイダンスを表示したり、カメラ23から入力された画像を表示したりする部分であり、カメラ23は、体組成計の使用者(体組成測定者)を撮影するために設けられており、
グリップ20L、20Rにはそれぞれ、手のひらに電流を印加するための電極24L、24Rと、手のひらから電圧を検知するための電極25L、25Rとが設けられ、グリップ20Rには、カメラ23のシャッターボタン23Sが設けられており、
保持部2は、制御部26、インピーダンス測定部27などを内蔵しており、制御部26は、体組成計の各構成要素を制御したり、体組成の推定処理や画像処理などの演算を行う手段であり、インピーダンス測定部27は、印加した電流と検知された電圧とに基づいて体内のインピーダンスを測定する手段であり、
体組成計の動作は、使用者が体組成計の電源をONすると、
制御部26は、カメラ23から入力される画像を表示部21に表示し(S12)、使用者は表示部21の画像を見ながら、姿勢の修正や保持部2の位置・向きの調整を行い、調整を容易にするために、表示部21に位置合わせ用のガイドラインを表示し、
使用者がシャッターボタン23Sを押すと、インピーダンス測定部27によってインピーダンスの測定が行われ(S16)、
制御部26は、インピーダンス測定部27から測定結果を受け取ると、このインピーダンスに基づいて、体組成を推定する(S17)、方法。」
(3)引用発明との対比・判断
ア 対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「手のひらに電流を印加するための電極24L、24Rと、手のひらから電圧を検知するための電極25L、25R」、「体内のインピーダンス」、「制御部26」、「体組成」及び「表示部21」は、それぞれ、本件補正発明の「少なくとも2つの電極」、「少なくとも1つのインピーダンス値」、「評価機構」、「人のバイオインピーダンスデータ」及び「少なくとも1つの出力機構」に相当する。
(イ)引用発明の、「インピーダンス測定部27」において、「手のひらに電流を印加するための電極24L、24R」から「印加した電流と」、「手のひらから電圧を検知するための電極25L、25R」により「検知された電圧とに基づいて体内のインピーダンスを測定」し、「制御部26は、インピーダンス測定部27から測定結果を受け取ると、このインピーダンスに基づいて、体組成を推定する」「方法」は、「電極24L、24R」及び「電極25L、25R」を使用して「体内のインピーダンス」を「測定」し、この「測定結果」を「制御部26」へ伝送して「体組成を推定する」「方法」であるから、上記(ア)を踏まえると、本件補正発明の「少なくとも2つの電極を使用して少なくとも1つのインピーダンス値を測定し、評価機構へ伝送するようにした、人のバイオインピーダンスデータを検出する方法」に相当する。
(ウ)引用発明の「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」とからなる情報は、上記摘記(引1-イ)の【0023】に「本実施形態の体組成計は、体組成測定姿勢として、「背筋及びひざを伸ばして立ち、ひじ及び手首を伸ばして腕を水平に上げ(腕と体が約90°)、表示部21が顔を向くように保持部2を持つ」姿勢を要求する。」とあるように、最適な体組成測定姿勢を取らせるための人の情報であるから、本件補正発明の「バイオインピーダンスの測定にとって最適な身体姿勢を取らせるための人の情報」に相当する。
よって、引用発明において、「表示部21に」、「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」を「表示」することは、上記(ア)を踏まえると、本件補正発明の「少なくとも1つの出力機構の領域に、前記バイオインピーダンスの測定にとって最適な身体姿勢を取らせるための人の情報を提供」することに相当する。
(エ)引用発明において、「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」を「表示部21に表示」させることは、視覚(ビジュアル)的に表示させることであるから、上記(ウ)を踏まえると、本件補正発明の「前記情報をビジュアル表示させ」ることに相当する。
(オ)引用発明において、「体組成計の使用者(体組成測定者)を撮影」した「画像」は、「使用者(体組成測定者)」の「姿勢の修正」に使用することから、「使用者(体組成測定者)」の実際の「姿勢」を「撮影(検知)」したものである。
よって、引用発明の「体組成計の使用者(体組成測定者)を撮影する」ことは、本件補正発明の「人の実際の身体姿勢を少なくとも部分的に検知」することに相当する。
(カ)引用発明の「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」とからなる情報と、本件補正発明の「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報」とは、上記(オ)を踏まえると、「実際の身体姿勢をベースにした情報」という点で共通する。
よって、引用発明の「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」を「表示部21に表示」させることと、本件補正発明の「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報をビジュアル表示させること」とは、上記(エ)を踏まえると、「実際の身体姿勢をベースにした情報をビジュアル表示させること」という点で共通する。
イ 一致点・相違点
以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
「少なくとも2つの電極を使用して少なくとも1つのインピーダンス値を測定し、評価機構へ伝送するようにした、人のバイオインピーダンスデータを検出する方法において、
少なくとも1つの出力機構の領域に、前記バイオインピーダンスの測定にとって最適な身体姿勢を取らせるための人の情報を提供し、
前記情報をビジュアル表示させ、
人の実際の身体姿勢を少なくとも部分的に検知し、
実際の身体姿勢をベースにした情報をビジュアル表示させる、方法。」
(相違点)
ビジュアル表示させる、実際の身体姿勢をベースにした情報は、本件補正発明では、「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報」であるのに対し、引用発明では、「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」である点。
ウ 判断
上記相違点について検討する。
(ア)引用文献1には、最適な体組成測定姿勢を取らせるために、上記引用発明における「表示部21に表示」された「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」とからなる情報を使用すること以外に、上記摘記(引1-オ)に、姿勢判定処理により実行することも記載されており、この姿勢判定処理は、撮影画像(実際の身体姿勢)が、最適な体組成測定姿勢(目標身体姿勢)をとっているかどうかを判定し、その姿勢が良好と判定された場合には測定工程に移行し、姿勢が不良と判定された場合には警告を出力し、測定ミスの低減を図ることが記載されている。
してみれば、引用発明において、上記「位置合わせ用のガイドライン」を、撮影画像(実際の身体姿勢)との「位置合わせ」のために最適な体組成測定姿勢(目標身体姿勢)を示した「ガイドライン」情報とし、「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」とからなる情報を、「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報」とすることは、当業者が容易になし得たことである。
(イ)そして、本件補正発明の奏する作用効果は、引用文献1から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(ウ)したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
エ 補正案について
(ア)請求人は、平成29年11月2日付けで上申書を提出し、そこで本件補正後の請求項1を以下のようにする補正案が示されている。(下線部は、更なる追加箇所である。)
「それぞれの手のための電極の各々が別個のベース要素上に配置され、前記ベース要素は距離を置いて分けられるように支持要素上に配置され、前記ベース要素は前記支持要素の垂直中央線に対して対称的に配置され、各々の電極は、人の2つの指に接触可能に寸法決めされたボディコンポジションアナライザによって、立っている人の各々の手のための少なくとも2つの電極を使用して少なくとも1つのインピーダンス値を測定し、評価機構へ伝送するようにした、人のバイオインピーダンスデータを検出する方法において、
少なくとも1つの出力機構の領域に、前記バイオインピーダンスの測定にとって最適な身体姿勢を取らせるための人の情報を提供し、
前記情報をビジュアル表示させ、
人の実際の身体姿勢を少なくとも部分的に検知し、
実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報をリアルタイムでビジュアル表示させることを特徴とする方法」
(イ)上記補正案は、手続上検討する必要のないものであるが、当審の見解を簡潔に提示しておく。
特開2003-265429号公報(【0028】~【0034】、図1(a))には、補正案の「それぞれの手のための電極の各々が別個のベース要素上に配置され、前記ベース要素は距離を置いて分けられるように支持要素上に配置され、前記ベース要素は前記支持要素の垂直中央線に対して対称的に配置され、各々の電極は、人の指に接触可能に寸法決めされたボディコンポジションアナライザ」に相当する技術的事項が記載されており、また、特開2001-149328号公報(【0002】~【0004】、図23、図24)には、補正案の「各々の電極は、人の2つの指に接触可能に寸法決めされたボディコンポジションアナライザ」に相当する技術的事項が記載されているから、引用発明において、上記各技術的事項を用いて、「それぞれの手のための電極の各々が別個のベース要素上に配置され、前記ベース要素は距離を置いて分けられるように支持要素上に配置され、前記ベース要素は前記支持要素の垂直中央線に対して対称的に配置され、各々の電極は、人の2つの指に接触可能に寸法決めされたボディコンポジションアナライザによって、立っている人の各々の手のための少なくとも2つの電極を使用して少なくとも1つのインピーダンス値を測定し、評価機構へ伝送するようにした、人のバイオインピーダンスデータを検出する方法」とすることは、当業者が容易になし得たことである。
また、引用発明は、「表示部21に」リアルタイムに「表示」された、「カメラ23から入力される画像」と「位置合わせ用のガイドライン」とからなる情報を使用して、最適な「体組成測定姿勢」を取らせるためのものであるから、上記ウの判断を踏まえると、引用発明において、「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報をリアルタイムでビジュアル表示させること」は、当業者が容易になし得たことである。
よって、補正案は、引用発明、引用文献1に記載された技術的事項及び上記各技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ウ)したがって、上記の補正案であっても、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年7月4日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年10月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の要旨は次のとおりである。
本願の請求項1~11に係る発明は、引用文献1(特開2007-195744号公報)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1、その記載事項及び引用発明は、前記第2の「理由」2(2)に記載したとおりである。
4 当審の判断
本願発明は、前記第2の「理由」2で検討した本件補正発明から、発明特定事項の「実際の身体姿勢と目標身体姿勢との比較をベースにした情報」について、「ビジュアル表示させる」から「出力させる」へと、出力方法を上位概念にしたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらにその一部の発明特定事項を下位概念にしたものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献1に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-009865