特許拒絶査定不服審判
2017-003270
人の体重を測定する方法および装置
- 審判番号
- 2017-003270
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-540315
- 請求日
- 2017年03月06日
- 審決日
- 2018年05月21日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ゼカ アーゲー
- 【請求人代理人】今井 秀樹
- 【請求人代理人】藤田 アキラ
- 審判長/審判官
- 審判長 中塚 直樹
- 審判官 須原 宏光
- 審判官 ▲うし▼田 真悟
- 分類
- P18 .113-WY (G01G) / P18 .121-WY (G01G) / P18 .536-WY (G01G) / P18 .537-WY (G01G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-540315「人の体重を測定する方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月23日国際公開、WO2013/071903、平成26年12月11日国内公表、特表2014-533359、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年10月17日(パリ条約による優先権主張 2011年11月14日(以下、「優先日」という。) 独国)を国際出願日とする出願であって、平成28年4月18日付けで拒絶理由が通知され、平成28年9月6日付けで手続補正がなされたが、平成28年11月1日付けで、拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ、平成28年11月8日に拒絶査定の謄本が送達され、これに対し、平成29年3月6日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、平成29年4月12日付けで手続補正(方式)がなされたものである。
その後、当審において平成29年11月6日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年4月9日付けで手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次の通りである。
2.この出願は、発明の詳細な説明の記載が不明確であり、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
3.この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1-4
・引用文献等 1
引用文献等一覧
1.特開2001-228012号公報
第3 当審拒絶理由の概要
1 この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2 この出願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(第29条第1項第3号)、理由2(第29条第2項)
・請求項1
・引用文献等1
・請求項2
・引用文献等1
・請求項3
・引用文献等1
●理由2(第29条第2項)
・請求項4
・引用文献等1
引用文献等一覧
1.特開2001-228012号公報
3 この出願は、特許請求の範囲の請求項1-4の記載が不明確であり、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願の請求項1、2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」、「本願発明2」という。)は、平成30年4月9日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、2は以下のとおりのものである。
「【請求項1】
バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを測定して検出し、分析機構に伝送するようにした、人の体重を測定するための方法において、
前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を考慮して、患者の他の個人データとともに処理し、他の人の統計学的データを考慮して患者の体重に対する評価値を求めるとともに、経過測定を実施し、前記身体組成分析器(BCA)を用いて得られた前記測定値は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体のインピーダンス値であり、前記身体組成分析器(BCA)を用いて検出した前記測定値としての前記パラメータの値が人の体重に機能的に依存するということを、数学的な観点から体重に対する当該機能的依存性を解明することによって、体重を特定するために利用することを特徴とする方法。
【請求項2】
バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを検知する少なくとも1つのセンサを有し、該センサが分析機構と接続されている、人の体重を測定するための装置において、
前記分析機構が、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を記憶している個人データ用の個別メモリと他の人の統計学的データ用の参照メモリとの双方を有していること、
前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータを前記個別メモリの内容と前記参照メモリの内容との双方にリンクさせるように構成され、前記身体組成分析器(BCA)を用いて得られた前記測定パラメータは、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体のインピーダンス値であり、前記身体組成分析器(BCA)を用いて検出した前記測定パラメータの値が人の体重に機能的に依存するということを、数学的な観点から体重に対する当該機能的依存性を解明することによって、体重を特定するために利用すること、
を特徴とする装置。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
当審拒絶理由で引用された引用文献1(特開2001-228012号公報)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与したものである。以下同様。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体電気インピーダンス法に基づいて、被験者、特に寝たきりの老人または病人の体重を表示する体重表示装置に関する。」
「【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による体重表示装置の電気的構成を示すブロック図である。この例の体重表示装置は、図1に示すように、キーボード1と、被験者の体Bにプローブ電流Iaを測定信号として送出し、これにより被験者、特に寝たきりの老人または病人の体Bから得られる電圧電流情報をデジタル処理するための測定処理部2と、装置各部を制御すると共に、測定処理部2の処理結果に基づいて人体の生体電気インピーダンスや体重等の数量を算出するためのCPU(中央演算処理装置)3と、このCPU3によって算出された被験者の体Bの生体電気インピーダンスや体重等を表示するための表示部4と、CPU3の処理プログラムを記憶するROM6と、各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)を一時記憶するデータ領域及びCPU3の作業領域が設定されるRAM5とから概略構成されている。」
「【0016】また、上記測定処理部2は、PIO(パラレル・インタフェース)71、測定信号発生器72、ローパスフィルタ(以下、LPFという)73、カップリングコンデンサ74及び身体の所定の部位に貼り付けられる表面電極Hcからなる出力処理回路と、同じく身体の所定の部位に貼り付けられる表面電極Hp,Lp,Lc、カップリングコンデンサ80a,80b,90、差動増幅器81、I/V変換器(電流/電圧変換器)91、アナログのアンチエリアシングフィルタからなるLPF82,92、A/D変換器83.93及びサンプリングメモリ(リングバッファ)84,94からなる入力処理回路とから構成されている。」
「【0020】図2は、本実施の形態の体重表示装置の使用の状態を模式的に示す図である。表面電極Hc(第1電極)は、測定時、ベッドD上に寝たきりの被験者の右の手甲部Hに導電可能に粘着方式により貼り付けられ、表面電極Lc(第2電極)は、右の足甲部Lに粘着方式により導電可能に貼り付けられる。それゆえ、測定信号(プローブ電流)Iaは、被験者の右手の部分から体Bに入る。
【0021】また、表面電極Hp(第3電極)は、被験者の右の手甲部Hに粘着方式により、導電可能に貼り付けられ、表面電極Lp(第4電極)は、右の足甲部Lに粘着方式により導電可能に貼り付けられる。このとき、表面電極Hc,Lcを、表面電極Hp,Lpよりも人体の中心から遠い部位に貼り付ける。上記各表面電極Hp,Lp,Hc,Lcは、測定用ケーブル10によって生体電気インピーダンス測定装置100に接続されている。」
「【0023】図1に示す差動増幅器81は、2つの表面電極Hp,Lp間の電位(電位差)を検出する。すなわち、差動増幅器81は、上記プローブ電流Iaが被験者の体Bに投入されると、被験者の右手足間の電圧Vpを検出し、LPF82へ入力することになる。この電圧Vpは、表面電極Hpと表面電極Lpとの間における被験者の体Bの生体電気インピーダンスによる発生電圧である。
【0024】LPF82は、上記電圧Vpから高周波のノイズを除去し、A/D変換器83へ供給する。LPF82のカットオフ周波数は、A/D変換器83のサンプリング周波数の半分より低い。これにより、A/D変換器83によるA/D変換処理で発生する折り返し雑音が除去される。A/D変換器83は、CPU3からデジタル変換信号Sdが供給される度に、上記ノイズが除去された電圧Vpを所定のサンプリング周期でデジタル信号に変換し、デジタル化された電圧Vpをサンプリング周期毎にサンプリングメモリ84へ供給する。
【0025】次に、表面電極Lcは、図2に示すように、被験者の右の足甲部Lに粘着方式により貼り付けられる。表面電極Hcとカップリングコンデンサ90(図1参照)との間は、2重シールド線である測定用ケーブル10で接続されている。I/V変換器91は、2つの表面電極Hc,Lc間に流れる電流を検出して電圧に変換する。すなわち、I/V変換器91は、プローブ電流Iaが被験者の体Bに投入されると、被験者の右手足間を流れるプローブ電流Iaを検出し、電圧Vcに変換した後、LPF92へ供給する。
【0026】LPF92は、入力された電圧Vcから高周波のノイズを除去し、A/D変換器93へ供給する。LPF92のカットオフ周波数は、A/D変換器93のサンプリング周波数の半分より低い。この場合も、A/D変換器93によるA/D変換処理で発生する折り返し雑音が除去される。A/D変換器93は、CPU3からデジタル変換信号Sdが供給される度に、上記ノイズが除去された電圧Vcを所定のサンプリング周期でデジタル信号に変換し、デジタル化された電圧Vcをサンプリング周期毎にサンプリングメモリ94へ供給する。
【0027】CPU3は、ROM6に記憶された処理プログラムに従って、上述した測定処理部2による測定を開始し、所定のサンプリング周期で、検出電圧Vp,Vcを所定の回数サンプリングした後、測定を停止する制御を行う他、以下の処理を行う。すなわち、CPU3は、まず、サンプリングメモリ84,94に格納された、時間の関数である電圧Vp,Vcを逐次読み出してそれぞれフーリエ変換処理により、周波数の関数である電圧Vp(f),Vc(f)(fは周波数)に変換した後、平均化を行い、周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出する。
【0028】次に、CPU3は、得られた周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f)に基づいて、最小二乗法の演算手法を駆使して、図3に示されるようなインピーダンス軌跡Dを求め、得られたインピーダンス軌跡Dから、被験者の体Bの周波数0時の生体電気インピーダンスR0 と、周波数無限大時の生体電気インピーダンスR∞とを算出し、算出結果から、被験者の体Bの細胞内液抵抗と細胞外液抵抗とを算出する。
【0029】実際の人体の組織では、色々な大きさの細胞が不規則に配置されているので、実際に近い電気的等価回路は、時定数τ=Cmk・Rikを有する容量と抵抗との直列接続素子が分布している分布定数回路で表される(図4:Reは細胞外液抵抗、Rikは各細胞の細胞内液抵抗、Cmkは各細胞の細胞膜容量である)。したがって、人体のインピーダンス軌跡Dは、図3に示すように中心が実軸より上がった円弧となる。
【0030】次に算出された細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC、キーボード1から入力された被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等に基づいて、予め処理プログラムの中に組み込まれている身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求めてから体重Wを算出する。すなわち、
W=FAT(脂肪重量)+BMC(骨重量)+LTM(電気伝導組織重量)
LTM=CIL(細胞内液重量)+CEL(細胞外液重量)
【0031】ここで、骨重量は、全体重に占める量が少なく、かつ、個体差が小さいので、標準的な人の値を用いても実用上差し支えない。また、脂肪重量は、一般的に数日で変化するものではなく、数カ月単位で変化するものなので、病状を観察するために体重をモニタする上ではその変化を無視できる。そこで、電気伝導組織重量、すなわち、細胞内液重量+細胞外液重量をモニタすることで、体重の変化をモニタすることができる。測定の最初は、手間をかけて体重を測定して初期値としても良いし、それが困難であれば、標準的な人の脂肪重量+骨重量を初期値とすることでも十分に実用できるし、身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の値を用いればさらに精度は高まる。したがって、
W=W(Ri,Re,fC,h,sex,age,その他)
「その他」とは、例えば、病歴であり、その病気となってからどれくらいの期間が経つのかを示すものである。さらに、ここで求められたFFM(除脂肪重量=BMC+LTM)を用いて、FFM/h2を計算し、肥満の指標とすることもできる。」
上記記載より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(括弧内は、認定に用いた引用文献1の記載箇所を示す。)。
「キーボード1と、
被験者の体Bにプローブ電流Iaを測定信号として送出し、これにより被験者から得られる電圧電流情報をデジタル処理するための測定処理部2と、
測定処理部2の処理結果に基づいて人体の生体電気インピーダンスや体重等の数量を算出するためのCPU(中央演算処理装置)3と、
CPU3の処理プログラムを記憶するROM6と、
各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)を一時記憶するデータ領域及びCPU3の作業領域が設定されるRAM5とから概略構成されている体重表示装置に関し(【0001】、【0014】)、
測定処理部2は、表面電極Hc、表面電極Hp,Lp,Lc、とから構成され(【0016】)、
表面電極Hc(第1電極)は、被験者の右の手甲部Hに貼り付けられ、表面電極Lc(第2電極)は、右の足甲部Lに貼り付けられ、それゆえ、測定信号(プローブ電流)Iaは、被験者の右手の部分から体Bに入り(【0020】)、表面電極Hc,Lc間に流れる電流であり(【0025】)、
表面電極Hp(第3電極)は、被験者の右の手甲部Hに貼り付けられ、表面電極Lp(第4電極)は、右の足甲部Lに貼り付けられ(【0021】)、電圧Vpは、表面電極Hpと表面電極Lpとの間における被験者の体Bの生体電気インピーダンスによる発生電圧であり(【0023】)、
プローブ電流Iaが被験者の体Bに投入されると、被験者の右手足間の電圧Vpを検出し(【0023】)、
電圧Vpをサンプリングメモリ84へ供給し(【0024】)、
被験者の右手足間を流れるプローブ電流Iaを検出し、電圧Vcに変換し(【0025】)、
電圧Vcをサンプリングメモリ94へ供給し(【0026】)、
検出電圧Vp,Vcを所定の回数サンプリングした後、
CPU3は、サンプリングメモリ84,94に格納された、電圧Vp,Vcを読み出してフーリエ変換処理により、周波数の関数である電圧Vp(f),Vc(f)(fは周波数)に変換した後、周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出し(【0027】)、
得られた周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f)に基づいて、被験者の体Bの細胞内液抵抗と細胞外液抵抗とを算出し(【0028】)、
算出された細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC、キーボード1から入力された被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等に基づいて、予め処理プログラムの中に組み込まれている身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求め(【0030】)、
測定の最初に体重を測定して初期値とするか、身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の脂肪重量+骨重量を初期値として(【0031】)、
W=FAT(脂肪重量)+BMC(骨重量)+LTM(電気伝導組織重量)、
LTM=CIL(細胞内液重量)+CEL(細胞外液重量)、
に基づいて体重Wを算出し(【0030】)、
電気伝導組織重量、すなわち、細胞内液重量+細胞外液重量をモニタすることで、体重の変化をモニタすることができる方法(【0031】)。」
第6 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項について
1 本願発明1
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出」するために「被験者の右手足間の電圧Vpを検出」すること及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Iaを検出」することは、本願発明1の「バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを測定して検出」することに相当する。
また、引用発明の「測定処理部2の処理結果に基づいて人体の生体電気インピーダンスや体重等の数量を算出するためのCPU(中央演算処理装置)3」は、本願発明1の「分析機構」に相当する。
そして、引用発明の「CPU3」は、「サンプリングメモリ84,94に格納された、電圧Vp,Vcを読み出して」「生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出し」ているので、引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vpを検出し、電圧Vpをサンプリングメモリ84へ供給し」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Iaを検出し、電圧Vcに変換し、電圧Vcをサンプリングメモリ94へ供給し」、これをCPUが読み出すことは、本願発明1の「バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを測定して検出し、分析機構に伝送する」ことに相当する。
イ 引用発明の「体重Wを算出し」「体重の変化をモニタすることができる方法」は、本願発明1の「人の体重を測定するための方法」に相当する。
ウ
(ア)引用発明の「測定処理部2」は、本願発明1の「身体組成分析器(BCA)」に相当するので、引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、本願発明の「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値」に相当する。
(イ)引用発明の「被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等」は、本願発明1の「患者の他の個人データ」に相当する。
(ウ)引用発明の「身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の脂肪重量+骨重量」は、本願発明1の「他の人の統計学的データ」に相当する。
(エ)引用発明の「W=FAT(脂肪重量)+BMC(骨重量)+LTM(電気伝導組織重量)、LTM=CIL(細胞内液重量)+CEL(細胞外液重量)、に基づいて体重Wを算出し」は、本願発明1の「患者の体重に対する評価値を求める」ことに相当する。
(オ)引用発明の「体重の変化をモニタすること」は、本願発明1の「経過測定を実施」することに相当する。
したがって、引用発明の「CPU3」が、「電圧Vp,Vc(プローブ電流Iaを変換した電圧)を読み出して」「生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出し」「被験者の体Bの細胞内液抵抗と細胞外液抵抗とを算出し」「算出された細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC、キーボード1から入力された被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等に基づいて、予め処理プログラムの中に組み込まれている身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求め」「身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の脂肪重量+骨重量を初期値として」「W=FAT(脂肪重量)+BMC(骨重量)+LTM(電気伝導組織重量)、LTM=CIL(細胞内液重量)+CEL(細胞外液重量)、に基づいて体重Wを算出し」「細胞内液重量+細胞外液重量をモニタすることで、体重の変化をモニタすること」と、本願発明1の「前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を考慮して、患者の他の個人データとともに処理し、他の人の統計学的データを考慮して患者の体重に対する評価値を求めるとともに、経過測定を実施し」とは、「前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、患者の他の個人データとともに処理し、他の人の統計学的データを考慮して患者の体重に対する評価値を求めるとともに、経過測定を実施し」の点で共通する。
エ 引用発明の「表面電極Hc(第1電極)は、被験者の右の手甲部Hに貼り付けられ、表面電極Lc(第2電極)は、右の足甲部Lに貼り付けられ、それゆえ、測定信号(プローブ電流)Iaは、被験者の右手の部分から体Bに入り、表面電極Hc,Lc間に流れる電流であり、表面電極Hp(第3電極)は、被験者の右の手甲部Hに貼り付けられ、表面電極Lp(第4電極)は、右の足甲部Lに貼り付けられ、電圧Vpは、表面電極Hpと表面電極Lpとの間における被験者の体Bの生体電気インピーダンスによる発生電圧」であるので、引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、「被験者」の「右の手甲部H」の「表面電極Hc」及び「表面電極Hp」と、「右の足甲部L」の「表面電極Lc」及び「表面電極Lp」の間での測定値であるといえる。
そして、上記「ウ(ア)」より、引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、本願発明1の「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値」に相当するものであるから、
引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、「被験者」の「右の手甲部H」の「表面電極Hc」及び「表面電極Hp」と、「右の足甲部L」の「表面電極Lc」及び「表面電極Lp」の間での測定値であることと、本願発明1の「前記身体組成分析器(BCA)を用いて得られた前記測定値は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体のインピーダンス値であり」とは、「前記身体組成分析器(BCA)を用いて得られた前記測定値は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の測定値」である点で共通する。
オ 引用発明は「電圧Vp,Vc(プローブ電流Iaを変換した電圧)」から「周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出し、得られた周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f)に基づいて、被験者の体Bの細胞内液抵抗と細胞外液抵抗とを算出し、算出された細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC、キーボード1から入力された被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等に基づいて、予め処理プログラムの中に組み込まれている身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求め」ているので、引用発明の「細胞外液量」を求めるための「予め処理プログラムの中に組み込まれている身体組成推定式」は、「電圧Vp,Vc」と人の体重の一部である「細胞外液量」との関係を、数学的に解明したものといえ、「身体組成推定式を駆使」することは、上記関係を体重を特定するために利用しているといえる。
そして、上記「ア」及び上記「ウ(ア)」を踏まえると、引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、本願発明1の「前記身体組成分析器(BCA)を用いて検出した前記測定値としての前記パラメータの値」に相当するのであるから、
引用発明の「電圧Vp,Vc(プローブ電流Iaを変換した電圧)」から「周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出し、得られた周波数毎の生体電気インピーダンスZ(f)に基づいて、被験者の体Bの細胞内液抵抗と細胞外液抵抗とを算出し、算出された細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC、キーボード1から入力された被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等に基づいて、予め処理プログラムの中に組み込まれている身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求め」ることは、本願発明1の「前記身体組成分析器(BCA)を用いて検出した前記測定値としての前記パラメータの値が人の体重に機能的に依存するということを、数学的な観点から体重に対する当該機能的依存性を解明することによって、体重を特定するために利用すること」に相当するといえる。
すると、本願発明1と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを測定して検出し、分析機構に伝送するようにした、人の体重を測定するための方法において、
前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、患者の他の個人データとともに処理し、他の人の統計学的データを考慮して患者の体重に対する評価値を求めるとともに、経過測定を実施し、前記身体組成分析器(BCA)を用いて得られた前記測定値は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の測定値であり、前記身体組成分析器(BCA)を用いて検出した前記測定値としての前記パラメータの値が人の体重に機能的に依存するということを、数学的な観点から体重に対する当該機能的依存性を解明することによって、体重を特定するために利用することを特徴とする方法。」
(相違点1)
本願発明1は、「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を考慮して、患者の他の個人データとともに処理し」ているのに対して、引用発明は、「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」から算出された「細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC」と「被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等」に基づいて「身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求め」ているが、その際に、時間的に過去の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を考慮していない点。
(相違点2)
身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値について、本願発明1は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の「インピーダンス値」としているが、引用発明は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」であるが、「インピーダンス値」とする特定がない点。
(2)判断
ア 特許法第29条第2項について
上記相違点1について検討する。
引用発明は、「体重の変化をモニタ」するものであるから、過去の時点で「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を検出しているが、当該「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、過去の時点での体重Wを求めるためのものであり、
現時点での体重Wを求めるために、過去の時点での「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を使用することにより、
現時点での「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を、時間的に過去の少なくとも1つの「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を考慮して、「被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等」とともに処理することはなく、また、引用発明において、そのようにする理由も見当たらない。
したがって、上記相違点1に係る本願発明1の構成を得ることは、引用発明に基づいて、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
よって、本願発明1は、上記相違点2について検討するまでもなく、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ 特許法第29条第1項第3号について
上記「(1)対比」で検討したように、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、引用発明に記載されておらず実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用発明であるとはいえない。
2 本願発明2
(1)対比
本願発明2と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出」するために「被験者の右手足間の電圧Vpを検出」すること及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Iaを検出」することは、本願発明2の「バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを検出する」ことに相当する。
そして、引用発明の「測定信号(プローブ電流)Iaは、」「表面電極Hc,Lc間に流れる電流であり」、「電圧Vpは、表面電極Hpと表面電極Lpとの間における」「発生電圧」であるので、引用発明の「表面電極Hc」「表面電極Lc」「表面電極Hp」及び「表面電極Lp」は、本願発明2の「バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを検知する少なくとも1つのセンサ」に相当する。
イ 引用発明の「測定処理部2の処理結果に基づいて人体の生体電気インピーダンスや体重等の数量を算出するためのCPU(中央演算処理装置)3」は、本願発明2の「分析機構」に相当する。
そして、引用発明の「CPU(中央演算処理装置)3」は、「測定処理部2の処理結果に基づいて人体の生体電気インピーダンスや体重等の数量を算出する」のであるから、「測定処理部2」が「CPU(中央演算処理装置)3」と接続されているといえる。
したがって、上記アを踏まえると、引用発明の「表面電極Hc、表面電極Hp,Lp,Lc、とから構成され」る「測定処理部2」が「CPU(中央演算処理装置)3」と接続されていることは、本願発明2の「該センサが分析機構と接続されている」ことに相当する。
ウ 引用発明の「体重Wを算出」する「体重表示装置」は、本願発明2の「人の体重を測定するための装置」に相当する。
エ 引用発明の「CPU3」は、「ROM6」及び「RAM5」と協働して動作しているので、「CPU3」、「ROM6」及び「RAM5」が、本願発明2の「分析機構」に相当するともいえる。
また、引用発明の「各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)を一時記憶するデータ領域」「が設定されるRAM5」と、本願発明2の「時間的に過去の少なくとも1つの測定値を記憶している個人データ用の個別メモリ」とは、「個人データ用のメモリ」である点で共通するといえる。
したがって、引用発明の「CPU(中央演算処理装置)3」及び「各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)を一時記憶するデータ領域及びCPU3の作業領域が設定されるRAM5」と、本願発明2の「前記分析機構が、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を記憶している個人データ用の個別メモリと他の人の統計学的データ用の参照メモリとの双方を有していること」とは、「前記分析機構が、個人データ用のメモリを有していること」で、共通する。
オ 引用発明の「測定処理部2」は、本願発明2の「身体組成分析器(BCA)」に相当するので、引用発明の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、本願発明の「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータ」に相当する。
したがって、引用発明の「CPU3」が、「電圧Vp,Vc(プローブ電流Iaを変換した電圧)を読み出して」「生体電気インピーダンスZ(f){=Vp(f)/Vc(f)}を算出し」「被験者の体Bの細胞内液抵抗と細胞外液抵抗とを算出し」「算出された細胞内液抵抗Ri,細胞外液抵抗Re,及び臨界周波数fC、キーボード1から入力された被験者の身長h、性別sex,及び年齢age,その他の人体特徴データ等に基づいて、身体組成推定式を駆使して、細胞外液量を求め」ることは、「各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)」が「RAM5」に「一時記憶」されているのであるから、本願発明2の「前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータを前記個別メモリの内容と前記参照メモリの内容との双方にリンクさせるように構成され」とは、「前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータを前記メモリの内容にリンクさせるように構成され」る点で共通する。
カ 残余の点は、上記「1(1)対比 エ」及び「1(1)対比 オ」と同様である。
すると、本願発明2と引用発明とは、次の一致点及び相違点を有する。
(一致点)
「バイオインピーダンス測定に必要な少なくとも1つのパラメータを検知する少なくとも1つのセンサを有し、該センサが分析機構と接続されている、人の体重を測定するための装置において、
前記分析機構が、個人データ用のメモリを有していること、
前記分析機構が、身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータを前記メモリの内容にリンクさせるように構成され、前記身体組成分析器(BCA)を用いて得られた前記測定パラメータは、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の測定パラメータであり、前記身体組成分析器(BCA)を用いて検出した前記測定パラメータの値が人の体重に機能的に依存するということを、数学的な観点から体重に対する当該機能的依存性を解明することによって、体重を特定するために利用すること、
を特徴とする装置。」
(相違点1)
本願発明2は、「時間的に過去の少なくとも1つの測定値を記憶している個人データ用の個別メモリと他の人の統計学的データ用の参照メモリとの双方を有している」のに対して、引用発明は、「各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)を一時記憶するデータ領域及びCPU3の作業領域が設定されるRAM5」を有している点。
(相違点2)
本願発明2は、「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータを前記個別メモリの内容と前記参照メモリの内容との双方にリンクさせるように構成され」るのに対して、引用発明は、「RAM5」を有しているが、そのような特定はない点。
(相違点3)
身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータについて、本願発明2は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の「インピーダンス値」としているが、引用発明は、患者の手または足の領域にある複数の所定測定点の間での人体の「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」であるが、「インピーダンス値」とする特定がない点。
(2)判断
ア 特許法第29条第2項について
(ア)相違点1について
上記相違点1について検討する。
引用発明は、「体重の変化をモニタ」するものであるから、過去の時点で「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を検出しているが、引用発明の「RAM5」は、「各種データ(例えば、被験者の身長、性別、細胞外液や細胞内液の量等)を一時記憶するデータ領域及びCPU3の作業領域が設定される」ものであり、過去の時点での「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を記憶するものでもない。
また、引用発明は「身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の脂肪重量+骨重量」(本願発明2の「他の人の統計学的データ」に相当)を「初期値」として用いているが、当該「初期値」を記憶するメモリを、「RAM5」とは別に設ける旨の記載もない。
したがって、引用発明において、過去の時点での「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を記憶する用の個別メモリと、「身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の脂肪重量+骨重量」を記憶する用の参照メモリとの双方を設けることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。
よって、上記相違点1に係る本願発明2の構成を得ることは、引用発明に基づいて、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
(イ)相違点2について
上記相違点2について検討する。
引用発明は、「体重の変化をモニタ」するものであるから、過去の時点で「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」を検出しているが、当該「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」は、過去の時点での体重Wを求めるためのものであり、
現時点での体重Wを求めるために、過去の時点での「被験者の右手足間の電圧Vp」及び「被験者の右手足間を流れるプローブ電流Ia」(本願発明2の「個別メモリの内容」に相当)と、「身長、男女の性別、年齢などに応じた標準的な人の脂肪重量+骨重量」(本願発明2の「参照メモリの内容」に相当)との双方にリンクさせるように構成されることはなく、また、引用発明において、そのようにする理由も見当たらない。
したがって、上記相違点2に係る本願発明2の構成を得ることは、引用発明に基づいて、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
(ウ)まとめ
よって、本願発明2は、上記相違点3について検討するまでもなく、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ 特許法第29条第1項第3号について
上記「(1)対比」で検討したように、上記相違点1、2に係る本願発明2の構成は、引用発明に記載されておらず実質的な相違点であるから、本願発明2は、引用発明であるとはいえない。
第7 特許法第36条第6項第2号について
当審拒絶理由の通知に応答して提出された平成30年4月9日付けの手続補正書により、
請求項1の「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、その人の個々のまたは複数の他の個人データとともに処理し、他の人の統計学的データを考慮して」という記載は、「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を考慮して、患者の他の個人データとともに処理し、他の人の統計学的データを考慮して」に補正され、
請求項4の「個人データ用の個別メモリと他の人の統計学的データ用の参照メモリとの双方を有していること」という記載は、請求項2の「時間的に過去の少なくとも1つの測定値を記憶している個人データ用の個別メモリと他の人の統計学的データ用の参照メモリとの双方を有していること」に補正された結果、この理由を維持することはできない。
第8 原査定について
1 理由3(特許法第29条第2項)について
当審拒絶理由の通知に応答して提出された平成30年4月9日付けの手続補正書により、特許請求の範囲は、請求項1及び2となるとともに、請求項1は「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定値を、時間的に過去の少なくとも1つの測定値を考慮して、患者の他の個人データとともに処理し」という技術的事項、請求項2は「時間的に過去の少なくとも1つの測定値を記憶している個人データ用の個別メモリと他の人の統計学的データ用の参照メモリとの双方を有している」「身体組成分析器(BCA)を用いて得られた測定パラメータを前記個別メモリの内容と前記参照メモリの内容との双方にリンクさせるように構成され」という技術的事項を有するものとなった。
上記「第6」で検討したように、当該事項は、引用文献1に記載された発明(引用発明)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。したがって、原査定の理由3を維持することはできない。
2 理由2(特許法第36条第4項第1号)について
審判請求書を補正した平成29年4月12日付けの手続補正書(方式)の「測定したバイオインピーダンスが人の個々の体重成分(骨重量、脂肪重量、筋肉重量、水分量等)に依存していることは当業者に知られており、この測定値が人の体重に機能的に依存するということを、数学的な観点から体重に対する当該機能的依存性を解明することによって、前記測定値を、体重を特定するために利用し、他方で統計学的手法としてたとえば推測統計学、記述統計学などの種々の統計学的手法が知られているので、同様にして得られた他の人の統計学的データを考慮して患者の体重に対する評価値を求めることに関し、本願の発明の詳細な説明は当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものと考えます。」との記載を参酌すると、原査定の理由2を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-003270