意匠拒絶査定不服審判
2017-008754
スピーカー
- 審判番号
- 2017-008754
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-004741外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年06月15日
- 審決日
- 2017年08月16日
- 公報発行日
- 2017年11月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】山本 秀策
- 【請求人代理人】森下 夏樹
- 分類
- D18 .113-WY (H7-2)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 4741「スピーカー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 本願意匠
本願は,2015年(平成27年)9月3日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成28年(2016年)3月3日の意匠登録出願であって, その意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「スピーカー」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。破線で表した部分は、その他の部分である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)
第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,本願出願前,日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年8月18日に受け入れた「SOUND & VISION 7号」第28頁に所載の「スピーカー」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB27003423号)の本願意匠に相当する部分の意匠であって,その形態は,同雑誌に掲載されたとおりのものである(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用部分」という。)。(別紙第2参照。)
第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
いずれも,「スピーカー」であるから,本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)本願部分と引用部分(以下,「両部分」という。)の用途・機能及び位置・大きさ・範囲
本願部分は,正面部中央の矩形状部,上面部の正面部寄り中央の横長長円形状部及び背面部のねじはめ込み部・ケーブル取付用端子部・落下防止用安全ケーブル取付部を除いた部分であって,引用部分は,本願部分に相当する同様の部分であるから,両部分の用途・機能及び位置・大きさ・範囲は共通する。
(3)両部分の形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
(3-1)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,正面視において四隅を隅丸状とした略縦長長方形のボックス形状である点。
具体的な態様として,
(B)正面部において,周縁部を除いた放音部全面に小さな孔が多数穿たれたスピーカーグリルを取り付けている点,
(C)正面部の周縁部に枠体を取り付けている点。
(3-2)相違点
具体的な態様として,
(ア)正面部の形状について,
本願部分は,全体を,縦方向に緩やかに湾曲しているのに対し,
引用部分は,側面図がないため,不明である点,
(イ)周側面部の形状について,
本願部分は,周側面部を,正面側に向かって拡開した略縦長四角錐台形状としているのに対して,
引用部分は,上面図及び側面図がないため,不明である点,
(ウ)周側面部に取り付けられる枠体について
本願部分は,細帯状の枠体を正面側端部に2個密接して取り付け,また,背面側端部にも1個取り付けているのに対して,
引用部分は,正面側端部に取り付けられる枠体は確認できるものの,側面図がないため,枠体の形状及び数が不明であり,また,背面側端部に枠体が取り付けられているか否かについても不明である点,
(エ)背面部の態様について,
本願部分は,周縁部に枠体を取り付け,枠体の内側全体を凹陥させたものとし,その中央上部寄りに,運搬用のハンドル孔を1つ設けているのに対して,
引用部分は,背面図がないため,不明である点。
2.類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両部分の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品,部分意匠としての用途・機能及び位置・大きさ・範囲が一致するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,両部分の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,これらの点が両部分の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,具体的な態様としてあげた共通点(B)及び(C)もこの種物品の先行意匠に照らすところ,いずれもありふれた態様であって,両部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であり,共通点全体としても,両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(2)相違点の評価
これに対して,相違点(ア)及び(イ)は,両部分の全体形状に関わるものであり,類否判断に及ぼす影響は大きいものであるところ,引用部分は,正面部からやや右にずらした位置から撮影した写真のみであり,相違点(ア)及び(イ)として掲げた正面部及び周側面部の具体的な態様を認定することができないから,本願部分と対比することができない。なお,引用部分は,正面部の左端部の縦のラインがやや湾曲して見えるが,これは,画角の広いレンズで撮影されたことによって遠近感が強調される効果によるものである可能性を排除できないので,正面部が縦方向に湾曲しているか否かは不明であるといわざるを得ず,周側面部を正面側に向かって拡開した略縦長四角錐台形状としているか否かについても同様である。
次に,相違点(ウ)は,本願部分は,細帯状の枠体を正面側端部に取り付けることにより,正面部の態様をより強調する効果を生じさせるとともに,周側面部においては,枠体を正面側端部に密接して2個と背面側端部に1個取り付けることによって,リズム感のある美感をもたらしており,この種の小型スピーカーにおいては,周側面部の態様も,正面部の態様とともに看者の注意をひくものといえることから,意匠の類否判断に与える影響は大きいといえる。一方,引用部分は,正面部の周縁部に枠体を取り付けていることが確認できる程度であって,その余の具体的な態様を確定することができないものである。
さらに,相違点(エ)は,本願部分は,運搬用のハンドル孔を1つ設けているのに対し,引用部分は,背面側の態様が不明であるが,持ち運びを前提としたこの種の小型スピーカーの分野においては,背面部に運搬用の構造が施されているか否かは,需要者の関心は高いものであり,意匠の類否判断に与える影響は小さくないものである。加えて,本願部分のハンドル部の態様をみると,外形が四隅を隅丸とした略横長長方形とし,孔の内側をテーパー面として序序に窄まる態様としたものであって,単に,矩形状や長円形状に切り欠いただけのハンドル孔ではない点において,本願部分を特徴づけている。一方,引用部分は,前記のとおり,背面部が不明であって,具体的な態様を確定することができないものである。
よって,相違点全体としても,両部分の類否判断を決定付けるものである。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両部分は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。
第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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