意匠拒絶査定不服審判
2017-007537
圧力検出器
- 審判番号
- 2017-007537
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-013579外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年05月25日
- 審決日
- 2017年08月10日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社鷺宮製作所
- 【請求人代理人】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (H1-5)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016- 13579「圧力検出器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 本願意匠
本願は,平成28年(2016年)6月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「圧力検出器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,本願意匠が類似するとして拒絶の理由に引例した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成25年(2013年)12月16日)に掲載された,意匠登録第1486623号(意匠に係る物品,圧力検出器)の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも,気体等の圧力を圧力センサーで計測して電気信号に変換し,出力する「圧力検出器」であるから一致するものである。
(2)形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
まず,共通点として,
(A)全体は,直径と高さがほぼ等しい上面及び下面部分が閉じた略円筒状の圧力検出器本体(以下「本体部」という。)と,本体部下面中央部分から下方に配設した,圧力測定箇所に接続するための継ぎ手(以下「継手部」という。)からなるものであって,
(B)本体上面には,本体上面中央部分に,本体部の略半分の直径の略有蓋円筒状の内部機構を覆っているキャップ状の部材(以下「キャップ部」という。)を,その上端部が本体上面より僅かに突出するようにして設け,その周囲に平面視略中空円形状の蓋部(以下「蓋部」という。)を配設し,その蓋部の背面側部分に3本の電線を平面視横一列に並べて突設している点,
(C)本体下面には,継手管の周囲に,扁平な大小2つの略円錐台を重ねたような形態の段差状部材を配設している点,
(D)継手部には,略六角柱状のフレアナットを配設している点,
が認められる。
他方,相違点として,
(ア)蓋部の態様について,本願意匠は,その中央部分を略円形状に刳り抜いた,傾斜面が凹円弧状の扁平な略円錐台形状であるのに対して,引用意匠は,略中空円板状である点,
(イ)蓋部外周縁部と本体部周側面上端部の態様について,本願意匠は,蓋部外周縁部と本体部周側面上端部がほぼ面一に形成しているのに対して,引用意匠は,蓋部外周縁部が本体部周側面上端部より僅かに下がった位置に形成している点,
(ウ)蓋部内周縁部とキャップ部上端周辺部の態様について,本願意匠は,蓋部内周縁部とキャップ部上端周辺部がほぼ面一に形成しているのに対して,引用意匠は,蓋部内周縁部がキャップ部上端周辺部より僅かに下がった位置に形成している点,
(エ)電線の付け根部分の態様について,本願意匠は,電線の周りに略円錐台形状の気密シールを形成しているのに対して,引用意匠は,このようなシールを設けていない点,
が認められる。
2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。
まず,共通点(A)の全体の態様については,フレア継手を用いた圧力検出器の構成態様としては極普通のものであって,両意匠のみに共通する特徴とはいえないものであるから,この共通性のみをもって両意匠の類否判断を決定することはできない。
次に,共通点(B)のキャップ部の態様,及び共通点(C)の段差状部材の態様については,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の公開特許公報に記載された,公開日が平成26年(2014年)5月29日の特開2014-98685号(【発明の名称】圧力センサーおよび圧力センサーの製造方法)における【図14】及び【図15】によって表された圧力センサーの意匠のキャップ部及び段差状部材,別紙第3参照)であり,両意匠のみに共通する特徴とはいえないものであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。
また,共通点(D)の継手部の態様も,冷凍機や冷暖房機等の配管システムと接合する管継手としては普通に見られるものであるから,この共通点(D)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,これらの共通点(A)から共通点(D)の態様によって生じる視覚的効果は,これらを全体としてみても大きいものとはいえず,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
これに対し,相違点(ア)の蓋部の態様,相違点(イ)の蓋部外周縁部と本体部周側面上端部の態様,及び相違点(ウ)の蓋部内周縁部とキャップ部上端周辺部の態様については,該部位が本体部の上面部分といった観察されやすい部位であることに加え,本物品の圧力検出器は,冷凍機や冷暖房機において使用され,水滴が付着しやすいことから需要者はその防水性についても特に留意するものであるから,本体部上面部分を上面が平らな凸山形状に形成して凹みをなくし,水滴をつきにくくした本願意匠の態様と,蓋部外周縁部とキャップ部の間に凹み部のある水滴が溜まりやすい引用意匠の態様では,蓋部からキャップ部が突出して形成されているか否かの点も含めて,需要者に別異な印象を与えるものであるから,これらの相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
また,相違点(エ)の電線の付け根部分の態様についても,同じく防水の観点から需要者が注目する部位であり,電線の隙間をシールした本願意匠のものと,それのない引用意匠のものとは,需要者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も一定程度あるといえる。
そして,これらの相違点(ア)から相違点(エ)によって生じる視覚的効果は大きく,それらが相まって生じる別異の印象は,両意匠の類否判断を決定付けるほど大きいものである。
3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,形態においても,共通点が類否判断に及ぼす影響は両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠は類似しないものである。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。
第4 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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