審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許拒絶査定不服審判

2024-005434

ストレーナ及び弁装置並びに冷凍サイクルシステム

審判番号
2024-005434
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-201800
請求日
2024年04月02日
審決日
2025年11月04日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社鷺宮製作所
  • 【請求人代理人】瀧野 文雄
  • 【請求人代理人】津田 俊明
  • 【請求人代理人】福田 康弘
審判長/審判官
  • 審判長 宮澤 尚之
  • 審判官 金 公彦
  • 審判官 原 賢一
分類
P18 .113-Z (B01D) / P18 .121-Z (B01D) / P18 .575-Z (B01D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法49条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2020-201800「ストレーナ及び弁装置並びに冷凍サイクルシステム」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 6月16日出願公開、特開2022- 89422〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年12月4日を出願日とするものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。 令和5年 6月12日付け 拒絶理由通知 同年10月23日 手続補正書及び意見書の提出 同年12月28日付け 拒絶査定 令和6年 4月 2日 手続補正書(以下、同手続補正書によりなされた補正を、「本件補正」という。)及び審判請求書の提出 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の請求項1の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおり補正された。 「【請求項1】 管の内部に設置されて管内を流れる流体中の異物を捕捉するフィルタ部を備えたストレーナであって、 前記フィルタ部は、前記管の軸線方向に延びる円筒部と、前記円筒部の一端側を塞ぐ底部と、を有して形成され、 前記円筒部における前記軸線方向の少なくとも一部には、当該円筒部の直径よりも径方向内側に変形した小径部と、当該円筒部の直径よりも径方向外側に変形した大径部と、が設けられ、前記小径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられており、 前記大径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられ、 前記小径部と前記大径部は前記円筒部の周方向に隣接し、 前記小径部および前記大径部が設けられる部分における前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく、 前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え、 前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなることを特徴とするストレーナ。」(下線は補正箇所である。) (2)本件補正前の請求項1の記載 本件補正前の請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 管の内部に設置されて管内を流れる流体中の異物を捕捉するフィルタ部を備えたストレーナであって、 前記フィルタ部は、前記管の軸線方向に延びる円筒部と、前記円筒部の一端側を塞ぐ底部と、を有して形成され、 前記円筒部における前記軸線方向の少なくとも一部には、当該円筒部の直径よりも径方向内側に変形した小径部と、当該円筒部の直径よりも径方向外側に変形した大径部と、が設けられ、前記小径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられていることを特徴とするストレーナ。」 2 補正の適否 (1)補正の目的について 本件補正は、請求項1において、本件補正前のフィルタ部を形成する「円筒部」について、「円筒部」に設けられる「大径部」及び「小径部」に関して、「前記大径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられ」、「前記小径部と前記大径部は前記円筒部の周方向に隣接し」、「前記小径部および前記大径部が設けられる部分における前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく」、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」、「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との限定事項をさらに付し、「大径部」及び「小径部」又は「円筒部」を限定するもので、いわゆる限定的減縮にあたるものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。 そこで、上記1(1)で記載した本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (2)独立特許要件について ア 引用文献1に記載された事項 本願出願日前に頒布され、下記第3の2で述べる原査定の拒絶の理由において引用された引用文献1(実願平1-136610号(実開平3-77176号)のマイクロフィルム)には、以下の事項が記載されている。 なお、下線は当審において付したものである。 (ア)「2.実用新案登録請求の範囲 1.網状のストレーナ部材(22)と、被取付管路(12)端部に接続される略筒状の本体(21)とから成るストレーナ装置であって、上記本体(21)内面の流体流入側端部にストレーナ部材(22)取付用の段部(24)を形成し、ストレーナ部材(22)の開口縁部に口金(30)を固定し、この口金(30)を上記段部(24)に嵌合するようにしたことを特徴とするストレーナ装置。」(1頁3~11行) (イ)「(実施例) 次にこの考案のストレーナ装置の具体的な実施例について、図面を参照しつつ詳細に説明する。 この考案のストレーナ装置を空気調和機の冷媒回路中の電動弁10に採用した場合を示す第4図において、この電動弁10には接続部材11が接続されており、接続部材ll内には小径の通路12(被取付管路)が形成されている。この通路12は、電動弁10の弁体13で開度調整され、矢印A方向から通路12に流入する冷媒を弁体13で流量調整した後に、配管14から流出させるようになされている。また通路12の下端部(流入側端部)には、この考案によるストレーナ装置20が接続されている。このストレーナ装置20は、真鍮製フレア継手状の本体21と、ストレーナ部材22とから構成されており、本体21には接続配管(図示せず)が、接続部材11のねじ部15を利用することによって、直接に接続されるようになっている。上記ストレーナ装置20は、本体21の一部を通路12内に挿入し、詳しくは後述するように、ストレーナ部材22を通路12に抜止め保持した状態となされている。」(4頁1行~5頁2行) (ウ)「上記ストレーナ装置20の下半分を断面して示す第1図において、本体21には貫通路23が貫通しており、貫通路23の左端部(流入側端部)には、ストレーナ部材22を固定するための段部24が、全周にわたって連続して形成されている。一方ストレーナ部材22は、網部材25を有底円筒状に形成したもので、その開口縁部に口金30を固定してある。この口金30は真鍮板を2重に折り重ねて全周にわたって連続した環状に形成されており、外周片31と内周片32との間にストレーナ部材22の開口縁部を挟み込んで固定するようになっている。口金30の外周片31は上記本体21の段部24に圧入し得るように形成されている。また上記ストレーナ部材22の長手方向中間部には、膨出部33が形成されており、この膨出部33は、第2図に示すようにストレーナ部材22を上下方向(第2図中で紙面の直角方向)に押し潰して外方へ膨出させるように構成されている。このため第4図に示すように、ストレーナ部材22を通路12内に挿入した状態では、膨出部33は、通路12の内面に摩擦接触してストレーナ部材22を抜止め保持するようになっている。また本体21と接続部材11の下端部との間には、ワッシャ35が介装されている。」(5頁3行~6頁6行) (エ)「第3図において、以上のようなストレーナ装置20の製造手順を説明すると、ストレーナ部材22の開口縁部に上記口金30を固定した状態で、ストレーナ部材22を貫通路23内に矢印B方向に挿入し、口金30の外周片31を本体21の段部24に圧入した後に、ストレーナ部材22の長手方向中間部に上記膨出部33を形成してストレーナ装置20を製造するようになっている。なお第3図中で、40はストレーナ部材22を形成する際の溶接線である。 以上の一実施例装置の構成では、口金30の外周片31を段部24に圧入嵌合するだけで、本体21とストレーナ部材22とを連結することが可能である。したがって従来のように、本体21とストレーナ部材22とを、かしめ加工やはんだ付けで連結する必要がなくなり、本体21が小径の場合でも製作上の制約なしに、容易にストレーナ装置20を製造することが可能になる。 さらに以上のように小径の通路12に接続可能なストレーナ装置20が製造されることにより、小径の通路12に、異径継手を介して大径のストレーナ装置を介装する必要がなくなり、このため従来装置において生じていた大径の配管(ガスライン)と小径の配管(液ライン)との誤接続という不具合を防止し得ることにもなる。」(6頁7行~7頁11行) (オ)「 [図:0001430581000001.jpg] [図:0001430581000002.jpg] ・・・ [図:0001430581000003.jpg] 」 イ 引用文献1に記載された発明 引用文献1の上記ア(ア)には、「網状のストレーナ部材と、被取付管路端部に接続される略筒状の本体とから成るストレーナ装置であって、上記本体内面の流体流入側端部にストレーナ部材取付用の段部を形成し、ストレーナ部材の開口縁部に口金を固定し、この口金を上記段部に嵌合するようにしたストレーナ装置。」が記載されているといえる。 このストレーナ装置における「網状のストレーナ部材」について、さらに、同(ウ)に記載があり、下線部を付した部分をまとめると、「ストレーナ部材22は、網部材25を有底円筒状に形成したものであり、上記ストレーナ部材22の長手方向中間部には、膨出部33が形成されており、この膨出部33は、ストレーナ部材22を上下方向に押し潰して外方へ膨出させるように構成され、ストレーナ部材22を通路12内に挿入した状態では、膨出部33は、通路12の内面に摩擦接触してストレーナ部材22を抜止め保持する」ものである。 以上によれば、引用文献1には、ストレーナ装置として、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「網状のストレーナ部材と、被取付管路端部に接続される略筒状の本体とから成るストレーナ装置であって、上記本体内面の流体流入側端部にストレーナ部材取付用の段部を形成し、ストレーナ部材の開口縁部に口金を固定し、この口金を上記段部に嵌合するようにしたストレーナ装置であって、 ストレーナ部材は、網部材を有底円筒状に形成したものであり、ストレーナ部材の長手方向中間部には、膨出部が形成されており、この膨出部は、ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させるように構成され、ストレーナ部材を通路内に挿入した状態では、膨出部は、通路の内面に摩擦接触してストレーナ部材を抜止め保持する、ストレーナ装置。」 ウ 対比・判断 (ア)補正発明と引用発明との対比、判断 補正発明と引用発明とを対比する。 a ストレーナ(ストレーナー)とは、「液体中に混在する固体夾雑物を金網,孔あき板などを濾(原文は、さんずいに戸、この項目で以下同じ。)材*として濾過*し除去するための簡単な装置で,清澄濾過器*の分類に入る.管内輸送中の液体に含まれる土砂,金属くず,ごみ類などを濾過するためのパイプラインフィルターとしてふつうに使用され,また各種ポンプの吸入側にも設けられる.濾材はその目がつまって流動抵抗が増せば取出して掃除する.」(社団法人化学工学会編、「改訂3版 化学工学辞典」、丸善株式会社、昭和61年3月20日発行、269、270頁「ストレーナー strainer」)とされるものであるから、引用発明の「通路内に挿入」され「流体」が「流入」する「ストレーナ装置」は、「流体」中に混在する固体夾雑物を、網状のストレーナ部材で除去するものであるといえる。 そうすると、引用発明の「網状のストレーナ部材」は、補正発明の「フィルタ部」に相当し、引用発明の「網状のストレーナ部材と、被取付管路端部に接続される略筒状の本体とから成るストレーナ装置」は、補正発明の「管の内部に設置されて管内を流れる流体中の異物を捕捉するフィルタ部を備えたストレーナ」に相当するといえる。 b 引用発明の「網状のストレーナ部材」は、「網部材を有底円筒状に形成したもの」であるから、「円筒部と、前記円筒部の一端側を塞ぐ底部と、を有」するものであるといえると共に、「被取付管路」である「通路内に挿入」されるものであるから、管の軸線方向に延びるものであるといえる。 そうすると、引用発明の「網部材を有底円筒状に形成したもの」であり、「被取付管路」である「通路内に挿入」される「網状のストレーナ部材」は、補正発明の「前記管の軸線方向に延びる円筒部と、前記円筒部の一端側を塞ぐ底部と、を有して形成され」る「前記フィルタ部」に相当する。 c 引用発明の「ストレーナ装置」は、「ストレーナ部材の長手方向中間部には、膨出部が形成されており、この膨出部は、ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させるように構成され、ストレーナ部材を通路内に挿入した状態では、膨出部は、通路の内面に摩擦接触してストレーナ部材を抜止め保持する」ものであるところ、「ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させ」て「膨出部」を形成した場合、「上下方向に押し潰し」た部分は、上下2箇所でストレーナ部材の直径よりも径方向内側に変形していることになるから、補正発明の「前記径方向に対向する2個所に設けられ」る「当該円筒部の直径よりも径方向内側に変形した小径部」に相当し、引用発明の「外方へ膨出」し、「通路の内面に摩擦接触してストレーナ部材を抜止め保持する」部分(以下、単に「外方への膨出部」ということがある。)は、外方へ2箇所で膨出することになるから、補正発明の「前記径方向に対向する2個所に設けられ」る「当該円筒部の直径よりも径方向外側に変形した大径部」に相当する。そして、引用発明の「有底円筒状」の「ストレーナ部材」において、「上下方向に押し潰し」た部分と、「外方への膨出部」は、周方向で隣接している。 そうすると、引用発明の「膨出部」は、補正発明における「前記円筒部における前記軸線方向の少なくとも一部には、当該円筒部の直径よりも径方向内側に変形した小径部と、当該円筒部の直径よりも径方向外側に変形した大径部と、が設けられ、前記小径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられており、前記大径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられ、前記小径部と前記大径部は前記円筒部の周方向に隣接」することに相当する構成を有しているといえる。 d 「有底円筒状」の「網部材」である「ストレーナ部材」を「上下方向に押し潰して外方へ膨出させ」る場合、円筒の断面が円から楕円の状態に変形するものの、網を構成する線自体が伸びたりする程の力が加わることはないから、引用発明の「有底円筒状」の「ストレーナ部材」において、「ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させ」て「膨出部」を形成する前後で、「上下方向に押し潰し」た部分及び「外方への膨出部」を含む断面の周長は変化しないといえる。また、周長が変化しないのであれば、網ピッチも変化しないといえる。 また、本願明細書の【0024】には「小径部11a及び大径部11bは、押圧成形前の円筒部11と網ピッチが略同一となるように、小径部11a及び大径部11bの軸線Xの回りの全周長を保ったまま押圧成形されている。」と記載されるところ、この小径部及び大径部は、同【0023】に「図4に示すように、小径部11aは、押圧治具20により径方向外側から円筒部11の一部を内方に押圧成形されたものである。」と記載され、【図4】に「 [図:0001430581000004.jpg] 」と示されるように、上下方向に押し潰して形成するものである。他方、引用発明の「膨出部」も、補正発明と同様に「ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させ」て形成されるものである。そうすると、円筒部を上下方向に押し潰して小径部及び大径部を形成する補正発明が、「前記小径部および前記大径部が設けられる部分における前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく、前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」るのであれば、補正発明と同様に「膨出部」を形成する引用発明も、補正発明と同じ構成を有しているといえる。 以上によれば、引用発明の「膨出部」は、補正発明における「前記小径部および前記大径部が設けられる部分における前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく、前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」ることに相当する構成を有しているといえる。 e 引用発明の「網部材を有底円筒状に形成したものであ」る「ストレーナ部材」の「円筒」の「底」は、補正発明の「底部」に相当する。 そして、補正発明の「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え」との特定事項における「固定部」について、本願明細書には、「固定部」との直接的な記載はない。しかしながら、「大径部」は、「フィルタ部」に設けられるものであるところ、フィルタ部の底部と、底部と反対側の固定部との間に最大径部を備えるとしているのであるから、固定部とはフィルタ部における底部と反対の部分であり、本願明細書の【0022】の「一次側継手31内には第1実施形態のストレーナ1が配設されている。このストレーナ11は、一次側継手31内を流れる流体中の異物を捕捉するフィルタ部1Aと、フィルタ部1Aが取り付けられた固定金具1Bと、金属パッキン1Cとで構成されている。」との記載や、以下の【図2】 「 [図:0001430581000005.jpg] 」に示されるストレーナの構造によれば、補正発明の「固定部」とは、フィルタ部の底部と反対側で、フィルタ部が、例えば固体金具等に固定された部分であるといえる。 他方、引用発明は、「網状のストレーナ部材と、被取付管路端部に接続される略筒状の本体とから成る」ものであるところ、「本体内面の流体流入側端部にストレーナ部材取付用の段部を形成し、ストレーナ部材の開口縁部に口金を固定し、この口金を上記段部に嵌合するよう」にして、網状のストレーナ部材を略筒状の本体に固定するものであるから、引用発明の「ストレーナ部材の開口縁部に」「固定」された「口金」が「略筒状の本体」における「ストレーナ部材取付用の段部」に嵌合している箇所は、補正発明の「底部の反対側の固定部」に相当する。 また、上記cで述べたように、引用発明の「外方へ膨出」し、「通路の内面に摩擦接触してストレーナ部材を抜止め保持する」部分(「外方への膨出部」)は、補正発明の「大径部」に相当するところ、引用発明の「外方への膨出部」は、この一態様を表している引用文献1の上記ア(オ)の図2も参照すると、補正発明の「前記径方向の寸法が最大となる最大径部」に相当する構成を有しているといえる。 以上によれば、引用発明の「外方への膨出部」は、補正発明における「前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え」ることに相当する構成を有しているといえる。 f (a)最後に、引用発明の「ストレーナ部材」が、補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」ことに相当する構成を有しているかを検討する。 まず、補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との特定、特に、固定部から最大径部に向かう際に径方向の寸法の大きくなるなり方、及び最大径部から底部に向かう際に径方向の寸法の小さくなるなり方を規定する「~に向かうにしたがって」の意味するところについて、検討する。 補正発明における上記の特定は、令和6年4月2日に提出された手続補正書によって追加されたものであるところ、本願明細書には、上記の直接的な記載はないし、上記の特定に関連する記載もない。そして、この特定は、上記手続補正書と同日に提出されている審判請求書の3.(2)の「補正の根拠の明示」において、「また、同手続補正書における「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」の補正事項は、当初の図1、2、5、6に基づくもの」とされているとおり、本願の図面から導いた事項であるといえる。 ここで、上述の「~に向かうにしたがって、径方向の寸法が大きくな(る)(小さくなる)」だけでの特定では、必ずしも、固定部から最大径部までの全ての範囲で径方向の寸法が常に大きくなっていくと共に、最大径部から底部までの全ての範囲で径方向の寸法が常に小さくなっていくこと「だけ」を意味しているとはいえず、固定部から最大径部に向かう中で径方向の寸法が大きくなっていく(平坦部があっても良い)と共に、最大径部から底部に向かう中で径方向の寸法が小さくなっていく(平坦部があっても良い)ことも含むと解される。 また、補正発明における上記の記載を導く根拠とされた、図1、2、5、6のうち、以下の図6を参照すると、 [図:0001430581000006.jpg] フィルタ部の底部の直近では、フィルタ部の断面における径方向の寸法は一定であるようにも見え、補正発明の「~に向かうにしたがって、径方向の寸法が大きくな(る)(小さくなる)」の特定は、この点からも、固定部から最大径部に向かう中で径方向の寸法が大きくなっていく(平坦部があっても良い)と共に、最大径部から底部に向かう中で径方向の寸法が小さくなっていく(平坦部があっても良い)ことも含むと解される。 次に、引用発明について検討すると、補正発明の「最大径部」に関係する引用発明の「膨出部」は、「ストレーナ部材の長手方向中間部には、膨出部が形成されており、この膨出部は、ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させるように構成され」と規定されるだけのものであり、その外方への膨出の態様は種々含まれ得ることが理解できるところ、まず、引用発明における外方への膨出の一態様を具体的に示す、引用文献1の上記ア(オ)の図2に記載されるストレーナ部材における「膨出部」の形状について検討する。そして、この態様は、補正発明の固定部に相当する、引用発明の「ストレーナ部材取付用の段部」に嵌合している「ストレーナ部材の開口縁部に」「固定」された「口金」の箇所から膨出部に向けて径方向の寸法は変わらず、膨出部において、径方向の寸法が徐々に増加し、最大寸法となった後、徐々に減少し、その後は、ストレーナ部材の底にかけて径方向の寸法は不変となっているものであるが、上述したとおり、固定部から最大径部に向かう中で径方向の寸法が大きくなっていく(平坦部があっても良い)と共に、最大径部から底部に向かう中で径方向の寸法が小さくなっていく(平坦部があっても良い)ことも含むと解される、補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との特定に合致するものであるといえる。 そうすると、引用発明のストレーナ部材における「膨出部」の態様である同図2に記載される膨出部の形状が補正発明の特定に合致するのであるから、引用発明の「ストレーナ部材」は、補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」ことに相当する構成を有しているといえる。 (b)上記(a)で述べたように、補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との特定は、本願明細書に何らの説明等はなく、図1、2、5、6から導かれたものである。 ここで、これらの図面を参照すると、補正発明におけるフィルタ部は、軸方向に短尺であって、このようなフィルタ部において大径部を形成するために、上記dで図4として摘示したように上下に押し潰した場合、押し潰した影響は、フィルタ部の固定部付近から底部付近まで及び、図1、2、5、6にあるような「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」形状になるといえる。 このことを考慮すると、補正発明の「最大径部」に関係する引用発明の「膨出部」は、「ストレーナ部材の長手方向中間部には、膨出部が形成されており、この膨出部は、ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させるように構成され」と規定されるだけのものであり、ストレーナ部材の軸方向の長さについて特に制限を受けるものではなく、例えば、引用文献1の上記ア(オ)の第5図に記載されるように、抜け止めの手段として、引用発明の外方への膨出部とは異なる板ばね製ストッパ6が付くものではあるが、ストレーナ部材としては、補正発明と同様に軸方向に短尺であるものも、引用発明の「ストレーナ部材」は含むものである。そして、このような短尺のストレーナ部材を上下方向に押し潰せば、その影響は、引用発明の「ストレーナ部材取付用の段部」に嵌合している「ストレーナ部材の開口縁部に」「固定」された「口金」の箇所から、ストレーナ部材の底まで及ぶことは、当業者であれば記載されているに等しい事項として認識できるものである。 そうすると、上記(a)での観点に加え、上述の観点でも、引用発明の「ストレーナ部材」は、補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」ことに相当する構成を有しているといえる。 g 上記a~fによれば、補正発明と引用発明は、「管の内部に設置されて管内を流れる流体中の異物を捕捉するフィルタ部を備えたストレーナであって、 前記フィルタ部は、前記管の軸線方向に延びる円筒部と、前記円筒部の一端側を塞ぐ底部と、を有して形成され、 前記円筒部における前記軸線方向の少なくとも一部には、当該円筒部の直径よりも径方向内側に変形した小径部と、当該円筒部の直径よりも径方向外側に変形した大径部と、が設けられ、前記小径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられており、 前記大径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられ、 前記小径部と前記大径部は前記円筒部の周方向に隣接し、 前記小径部および前記大径部が設けられる部分における前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく、 前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え、 前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなるストレーナ。」の点で一致し、相違するところがない。 h 以上のとおり、補正発明は、引用発明である。 i 上記a~hで述べたように、補正発明は、引用発明と相違するところがないものであるが、念のため、仮に、上記fで検討した補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との特定に相当する構成を、引用発明が有するとまではいえず、この点が、補正発明と引用発明との間で相違点となる場合について、以下、検討する。 上記f(b)で述べたように、補正発明の上記の特定は、補正発明におけるフィルタ部が、軸方向に短尺であることに起因して、押し潰した際に必然的に形成される形状であるといえる。そして、本願明細書には、補正発明の上記の特定に関する何らの記載もないことから、「大径部11bを一次側継手31の内面に当接させることができ、抜け止めとして機能」(本願明細書の【0026】)と記載される以外、特に、固定部から底部にかけて、フィルタ部の大径部以外でも、径方向の寸法が大きくなっていることについての技術的な意義や効果は、本願明細書からは読み取れない。 そうすると、補正発明の上記の特定は、補正発明におけるフィルタ部が、軸方向に短尺であることに起因して、押し潰した際に必然的に形成される形状を特定したに過ぎないものであるところ、仮に、引用発明のストレーナ部材に、補正発明と同様に軸方向に短尺なものが含まれるとまではいえない場合でも、ストレーナ部材の軸方向の長さをどの程度とするかは、当業者であれば適宜、設計変更できる程度の事項であるといえ、引用発明のストレーナ部材を、軸方向に短尺のものとすることは、当業者であれば適宜なし得ることであるといえる。そして、軸方向に短尺なストレーナ部材を上下方向に押し潰せば、その影響が、引用発明の「ストレーナ部材取付用の段部」に嵌合している「ストレーナ部材の開口縁部に」「固定」された「口金」の箇所から、ストレーナ部材の底まで及ぶことになるのであるから、引用発明において、補正発明の「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」ことに相当する構成を有するものとすることは、当業者ならば容易に想到し得るといえる。 以上によれば、仮に、上記fで検討した補正発明における「前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との特定が、補正発明と引用発明との間で相違点となるものであるとしても、この相違点は、当業者ならば容易に想到し得るものであるといえるから、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 (イ)審判請求人の審判請求書における引用文献1に対する主な主張について a 審判請求人の主張 審判請求人は、以下の点を、主張している。 (a)引用文献1には、「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」という構成が記載も示唆もされていない。 具体的には、円筒状のストレーナ部22の長手方向中間部だけが膨らんでいる引用文献1に記載のストレーナ装置20は、円筒部の長手方向全体が膨らんでいる本願発明とは、全く構造が異なるから、引用文献1に記載の発明と本願発明とは明らかに相違し、本願発明は、新規性を備えている。 また、仮にフィルタ部の固定部側を、固定金具をかしめることにより固定金具に固定した場合、上述した本願発明の大径部のように、固定部から最大径部に向かうにしたがって径方向の寸法が大きくなる構成では、大径部の径方向の寸法が固定部から徐々に大きくなっていることで、固定金具とフィルタ部の固定接続際まで、押圧変形の影響が出ているため、「かしめ固定部の固定力が、かしめ時よりもさらに向上し、フィルタ部が固定金具から脱落し難くなる」という作用、効果を奏する。しかしながら、引用文献1には、そのような作用、効果について記載も示唆もない。 (b)引用文献1には、ストレーナ部材22を上下方向に押し潰して外方へ膨出させることで膨出部33を形成することについて記載があるのみであり、押し潰す治具の形状や、押し潰し前後の様子等について、一切記載がない。このため、変形後のストレーナ部材22の周長や、網ピッチがどのようになっているのかが全く不明であるため、「~前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく」という特徴や、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」という特徴について開示も示唆もない。 なお、引用文献1のストレーナ部22の長手方向中間部を局所的に膨出させるためには、ストレーナ部22の大部分を変形させないようにする必要がある。この点につき、膨出部33を形成する部分以外の部分の潰れを規制する円筒状の治具にストレーナ部22を入れた上で、別の押し治具で押し潰して膨出部33を成形する必要があり、この場合、少なくとも2種類の治具が必要なためストレーナの成形が容易ではなく、課題の一つとして製造コストを挙げている(本願明細書の【0004】)本願発明の技術的思想に反する。 一方、膨出部33を形成する部分以外の部分の潰れを規制する円筒状の治具を用いない場合、膨出部33を形成する部分以外の部分への影響を低減するため、上記押し治具の先端形状を点状の尖ったものとする必要がある。この場合、押し治具により、ストレーナ部22に対して局所的に力が加わることから、網のピッチが部分的に変化し易く、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え、」という構造とすることができない。 そして、本願発明は、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え、」という構成を備えることで、「管内を流れる流体中の想定より大きな異物を二次側に流してしまう危険もなく、異物の捕捉を安定して行うことができるため、二次側の機器への不具合を起こすこともない。」という作用、効果を奏することができるが、本願発明のようなストレーナの成形が容易でなく、網ピッチについての言及がなく、そもそも網ピッチを同一にし難い引用文献1に記載のストレーナ部材20に基づいた場合、本願発明の構成、および作用、効果に想到することはない。 このため、ストレーナ装置20を本願発明のように変形させて膨出部33を形成することは、設計的事項ではなく、引用文献1に記載の発明に基づいて当業者が容易に本願発明に想到することはない。 b 上記aの主張に対する当審の判断 (a)上記a(a)の主張に対して 引用文献1に、「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」という構成が記載されているか、記載されているに等しいことは、上記(ア)fで述べたとおりである。 また、「フィルタ部の固定部側を、固定金具をかしめることにより固定金具に固定した場合、上述した本願発明の大径部のように、固定部から最大径部に向かうにしたがって径方向の寸法が大きくなる構成では、」「かしめ固定部の固定力が、かしめ時よりもさらに向上し、フィルタ部が固定金具から脱落し難くなる」という作用、効果は、本願明細書には何ら記載されていないし、補正発明においては、フィルタ部の固定部側を、固定金具にかしめることも特定されていないのであるから、上記の事項は、補正発明の効果とは認められない。しかも、上記(ア)a~hで述べたように、引用発明は、補正発明と相違するものではないから、補正発明で上記の効果を奏するのであれば、引用発明でも同様の効果を奏することになるといえる。 (b)上記a(b)の主張に対して 本願明細書でも、押し潰す治具の形状は、上記(ア)dで摘示した図4に記載されるのみであり、その形状に何らかの特徴があるとは読み取れないし、押し潰し前後の様子については、本願明細書の【0024】に「小径部11a及び大径部11bは、押圧成形前の円筒部11と網ピッチが略同一となるように、小径部11a及び大径部11bの軸線Xの回りの全周長を保ったまま押圧成形されている。」と記載されるのみである。これらによれば、何ら特別なことをせず、フィルタ部を上下方向に押し潰せば、フィルタ部は、「前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく」という構造や、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」という構造を有することになるといえる。そして、引用発明も、これらと同じ構成を有するものであることは、上記(ア)dで述べたとおりである。 また、上記(ア)f(a)で述べたように、引用発明に係る第1図、第2図(引用文献1の上記ア(オ))に記載されるストレーナ部材の形状は、引用発明の「ストレーナ部材の長手方向中間部には、膨出部が形成されており、この膨出部は、ストレーナ部材を上下方向に押し潰して外方へ膨出させるように構成され」との規定から種々認識される態様のあくまで一態様であって、引用発明のストレーナ部材の形状が、上記第1図、第2図に記載される形状のみに限定されるものではない。そうすると、引用発明におけるストレーナ部材の形状が、引用文献1の第1図、第2図に示される形状に限定されることを前提とする審判請求人の主張は、前提において誤りがある。 さらに、引用文献1には、あくまで、第1図、第2図に示されるストレーナ部材の形状を作成するために、上下方向に押し潰して外方へ膨出させることが記載されているのであり、ストレーナ部の長手方向中間部を局所的に膨出させるために、「膨出部33を形成する部分以外の部分の潰れを規制する円筒状の治具にストレーナ部22を入れた上で、別の押し治具で押し潰して膨出部33を成形する」こと、「押し治具の先端形状を点状の尖ったものとする」ことは記載されていないから、これらの方法により、第1図、第2図に示されるストレーナ部材の形状が作成されているとする審判請求人の主張は、引用文献1の記載に基づくものではない。 ここで、引用発明に係る第1図、第2図に記載されるストレーナ部材の形状は、ストレーナ部の長手方向中間部を厳密に局所的に膨出させることを示しているものであるとまではいえず、むしろ、軸方向に長尺のストレーナ部材にあっては、中間部を押し潰して外方へ膨出させた場合、ストレーナ部材の端部では膨出の影響が小さいことを示しているに過ぎないといえる。そして、審判請求人が、「引用文献1のストレーナ部22の長手方向中間部を局所的に膨出させるためには、ストレーナ部22の大部分を変形させないようにする必要がある。」と主張しているように、引用文献1の図1、図2に記載されるような長尺のストレーナ部材であっても、中間部を押し潰した場合、ストレーナ部材の大部分が変形するのであれば、このような長尺のストレーナ部材であっても、補正発明の「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」に相当する構成を有することになるといえる。 さらに、補正発明における、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」ることによる「管内を流れる流体中の想定より大きな異物を二次側に流してしまう危険もなく、異物の捕捉を安定して行うことができるため、二次側の機器への不具合を起こすこともない。」という作用、効果は、補正発明の「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」に相当する構成を有する引用発明でも、同じく奏される作用、効果に過ぎないといえる。 (c)上記(a)及び(b)で述べたとおり、審判請求人の主張は、採用することができない。 (ウ)小括 以上のとおり、補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により、特許を受けることができないし、仮に、そうではないとしても、当業者が、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 (3)補正の適否についてのむすび 上記(2)で述べたように、補正発明は、特許法第29条第1項の規定により、仮に、そうではないとしても、同法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、令和5年10月23日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和5年12月28日付け拒絶査定に記載された理由1及び2であって、その理由1は、本願発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。 記 引用文献1:実願平1-136610号(実開平3-77176号)のマイクロフィルム 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項は、上記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりであり、引用文献1の記載事項から認定される発明は、同イに記載したとおりのものである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2(1)での検討を踏まえると、補正発明に対して、「円筒部」に設けられる「大径部」及び「小径部」に対する、「前記大径部は、前記径方向に対向する2個所に設けられ」、「前記小径部と前記大径部は前記円筒部の周方向に隣接し」、「前記小径部および前記大径部が設けられる部分における前記変形の前の前記円筒部の周長と、前記変形の後の前記円筒部の前記部分の周長と、が等しく」、「前記小径部および前記大径部は、前記変形の前の前記円筒部と略同一の網ピッチを備え」、「前記大径部は、前記軸線方向において、前記底部と、前記底部の反対側の固定部と、の間に前記径方向の寸法が最大となる最大径部を備え、前記固定部から前記最大径部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が大きくなり、前記最大径部から前記底部に向かうにしたがって前記径方向の寸法が小さくなる」との限定事項をないものとし、「大径部」及び「小径部」又は「円筒部」を拡張したものにあたる。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その一部の発明特定事項がさらに限定されたものに相当する補正発明が、前記第2の[理由]2(2)ウで述べたとおり、引用発明であるから、本願発明も、補正発明と同様に、引用発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第49条第2号に該当するから、その他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり、審決する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-005434

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決18件(株式会社鷺宮製作所)
  • 2024-002246拒絶査定不服審判 / 2024-09-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)圧力センサ
    同じ当事者: 株式会社鷺宮製作所
  • 2022-017139拒絶査定不服審判 / 2023-11-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)冷却装置
    同じ当事者: 株式会社鷺宮製作所
  • 2022-017138拒絶査定不服審判 / 2023-08-21 / 原査定取消(特許/登録すべき)温度式膨張弁及び冷凍サイクルシステム
    同じ当事者: 株式会社鷺宮製作所
  • 2022-001959拒絶査定不服審判 / 2023-02-20 / 原査定取消(特許/登録すべき)電動弁
    同じ当事者: 株式会社鷺宮製作所
  • 2021-016646拒絶査定不服審判 / 2022-10-19 / 原査定取消(特許/登録すべき)温度式膨張弁
    同じ当事者: 株式会社鷺宮製作所
検索でもっと見る →
同じ論点・分野の審決(審決分類)434件(113・B01D、121・B01D、575・B01D)
  • 2024-017241拒絶査定不服審判 / 2026-07-08 / 請求不成立ろ過方法およびろ過装置
    共通の審決分類: 113・B01D、121・B01D、575・B01D
  • 2024-015753拒絶査定不服審判 / 2026-03-31 / 請求不成立気体分離方法、及び気体分離膜
    共通の審決分類: 113・B01D、121・B01D、575・B01D
  • 2024-019625拒絶査定不服審判 / 2026-08-28 / 原査定取消(特許/登録すべき)ポリマーベースの膜、その製造方法およびその使用
    共通の審決分類: 113・B01D、121・B01D
  • 2025-019715拒絶査定不服審判 / 2026-08-25 / 原査定取消(特許/登録すべき)エアフィルタ濾材、フィルタプリーツパック及びエアフィルタユニット
    共通の審決分類: 113・B01D、121・B01D
  • 2024-019862拒絶査定不服審判 / 2026-07-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)低金属含有量ポリオレフィンフィルタ膜
    共通の審決分類: 113・B01D、121・B01D

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存