特許拒絶査定不服審判
2017-006848
半導体チップのピックアップ装置
- 審判番号
- 2017-006848
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-034344
- 請求日
- 2017年05月12日
- 審決日
- 2018年06月20日
- 公報発行日
- 2018年08月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東レエンジニアリング株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 深沢 正志
- 審判官 河合 俊英
- 審判官 小田 浩
- 分類
- P18 .121-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 34344「半導体チップのピックアップ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月 8日出願公開、特開2014-165302、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成25年2月25日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年12月 1日 拒絶理由通知
平成29年 1月31日 意見書提出・手続補正
平成29年 2月 9日 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成29年 5月12日 審判請求
第2 原査定の概要
本願請求項1-5に係る発明は,引用文献1-3に記載された発明及び引用文献4-5に開示された周知技術に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2000-353710号公報
2.特開2010-212509号公報
3.特開2009-188157号公報
4.特開2005-011836号公報
5.特開2010-129588号公報
第3 本願発明
本願の請求項1ないし5に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明5」という。)は,平成29年1月31日付けの補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりである。
「【請求項1】
粘着シートに貼り付けられた半導体チップを粘着シートから取り外す半導体チップのピックアップ装置であって,
半導体チップの上面を吸着保持するコレットと,
粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面に密着するステージと,
ステージの裏面から粘着シートを吸引する吸引手段と,から構成され,
前記ステージが,半導体チップを粘着シートと接触して支持し,粘着シートを吸引しながら半導体チップとの隙間を可変させる複数の支持ブロックと,粘着シートを吸引する複数の吸引孔を有した吸引面と,から構成され,
前記複数の支持ブロックが並んで配置され,一端の支持ブロックから他端の支持ブロックまで,順次,支持ブロックを連続的に下げる機能を有している半導体チップのピックアップ装置。
【請求項2】
複数の前記支持ブロックに粘着シートを吸着する吸着穴を有した請求項1に記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項3】
前記コレットが多孔質体からなる請求項2に記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項4】
複数の前記支持ブロックの周囲に粘着シートを吸引する開口部を有する請求項1に記載の半導体チップのピックアップ装置。
【請求項5】
複数の前記支持ブロックの上面が前記ステージ面よりも高い位置に保持されている請求項1に記載の半導体チップのピックアップ装置。」
第4 引用文献及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下同じ。)
ア 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,半導体装置の製造工程における半導体ペレットのダイシングテープからの剥離に関するものであり,とくにダイボンダ,フリップチップボンダ,トレイ詰め装置等に適用される。
【0002】
【従来の技術】一般に,ペレット状の半導体装置を製造する工程において,半導体ウェーハに所定の薄膜製造処理を行い,多数の半導体ペレットを一括して形成することが行われている。そして,この半導体ウェーハの背面に合成樹脂などからなる粘着テープ(ダイシングテープという)を張り付ける。ダイシングテープを貼着した半導体ウェーハは,フルカットダイシングにより個々の半導体ペレットに分割される。その後,所定の試験を行い良品の半導体ペレットを突き上げピンにより突き上げて半導体ウェーハから取り出す。この工程においては,半導体ペレットを突き上げピンにより突き上げる際に半導体ペレットに損傷を与えること無く安定して取り出しを行うことができることが要望されている。」
イ 「【0008】以上述べたように現状のピックアップ装置では薄厚の半導体ペレットを破壊してしまう問題があった。公知の技術(特開平7-45558号公報,特開平6-318636号公報)には,ダイシングテープを吸引することにより半導体ペレットをダイシングテープから剥離する方法が示されているが,この方法ではダイシングテープを一気に剥がすものであり,100μm以下の極薄の半導体ペレットでは直ぐ割れてしまい有効な方法ではない。本発明は,このような事情によりなされたものであり,半導体ペレットを確実にダイシングテープからを剥がすことができ,従来の突き上げピンによる突き上げではピックアップ不可能な極薄の半導体ペレットのピックアップを可能にするペレットピックアップ装置及びこのピックアップ装置を用いた半導体装置の製造方法を提供する。」
ウ 「【0027】次に,図9及び図10を参照して第6の実施例を説明する。図9(a)は,バックアップホルダの断面を示す斜視図,図9(b)及び図10は,半導体ペレットをピックアップする時のダイシングテープの剥がれ状態を説明するペレットピックアップ装置の断面図である。バックアップホルダ101の中央部には半導体ペレット110より大きいサイズの外形を持つ溝部100が設けられている。溝部100の幅は,半導体ペレット110が破壊されないように半導体ペレット110の厚さを考慮して決定されている。ピックアップすべき所定の半導体ペレットを支持するテープ搭載面のピックアップペレット支持部には,テープ搭載面の他の平坦な領域とは異なり,窪みが形成されている。そして,この支持部は,可動軸1,2,3(102,103,104)により駆動される。つまり,可動軸上面が窪みになっている。可動軸は,中央の可動軸1(102)を中心にこれを線対称として1対の可動軸2,3(103,104)がそれぞれ配列されている構造になっている。溝部100の下部は,バックアップホルダ101の内部が繋がっている。バックアップホルダ101上部のテープ搭載面には溝107が同心円状に形成され円周上の数カ所でそれぞれの溝107が連結されている。溝107は,底部に形成されている数カ所の穴108によりバックアップホルダ101内部と連結されている。
【0028】あらかじめ半導体ペレット110とバックアップホルダ101の位置合わせを行い複数の可動軸上面のピックアップペレット支持部端部をテープ搭載面と同一面に調節してから(図9(a)),バックアップホルダ101の内部を430mmHg程度で真空引きする。そしてまず,可動軸102,103,104全体をバックアップホルダ101のテープ搭載面より突出して上昇させる。この実施例では,剥がれが容易に起こり易いように,これら可動軸の上面をテープ搭載面より0.5mm~1mm高い位置まで上昇させる。バックアップホルダ101内部は真空引きされているので,ピックアップすべき所定の半導体ペレット110の周辺部は剥がれる。可動軸上面は窪みになっているので,その上に搭載される半導体ペレットは,周辺部が上向きに反っており剥がれが容易になっている(図9(b))。
【0029】次に,一番外側の可動軸104を下降させる。しかし,可動軸102,103,104の上面が湾曲しているため,可動軸104を十分下げても可動軸103の高さが低いので,十分な剥し力が発生しない。それを防ぐために可動軸102,103を一緒に,その上面が最初に可動軸があった高さまで上昇させると剥がれが進行する。このとき,この実施例では剥がれを確実に進行させるために可動軸104は,隣接する可動軸103より1mm以上低い位置まで下降させると良い(図10(a))。次に,可動軸103を下降させ,可動軸102を上昇させて剥がれをさらに進行させる。この後,コレット109の真空吸着力により半導体ペレット110を吸着させてコレット109を上昇させることにより,残った吸着部分を剥がして作業が終了する。勿論可動軸は,3段に限定されるものではなく,半導体ペレットサイズにより決められる(図10(b))。この実施例において,半導体ペレットは,確実にダイシングテープからを剥がされ,従来の突き上げピンによる突き上げではピックアップ不可能な,例えば,100μm以下の極薄の半導体ペレットのピックアップを可能にする。とくに可動軸数を多くし,その移動により半導体ペレットは端部から徐々に剥がされることになり,従来より剥し易くなる。」
(2)引用発明1
前記(1)より,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「ダイシングテープを貼着した半導体ペレットをダイシングテープから剥離する半導体ペレットのペレットピックアップ装置であって,
半導体ペレットを吸着させるコレットと,
テープ搭載面と,
バックアップホルダの内部を真空引きすることと,
テープ搭載面が,複数の可動軸を有するピックアップペレット支持部と
底部に形成されている数カ所の穴によりバックアップホルダ内部と連結されている溝が形成されているバックアップホルダのテープ搭載面から構成され,
中央の可動軸を中心にこれを線対称として複数の可動軸がそれぞれ配列され,順次,外側の可動軸を下げ,それ以外の可動軸をあげる機能を有する半導体ペレットのペレットピックアップ装置。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
この発明は粘着シートに貼着された半導体チップをピックアップするピックアップ装置及びピックアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハをさいの目状に切断して形成された半導体チップは粘着シートに貼着されており,この半導体チップを基板にボンディングする場合には吸着ノズルによって上記粘着シートから1つずつピックアップするようにしている。」
イ 「【0073】
図5と図6(a)~(d)はこの発明の第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は押し上げ手段の変形例であって,この押し上げ手段33Aは図5に示すように平面形状が矩形状の半導体チップ4の3つの側辺に対応するコ字状をなした第1の押し上げ体61と,筒状に形成され上記半導体チップ4の3つの側辺部以外の部分に対応する形状,つまり側辺部62a及び上記第1の押し上げ体61の内部に入り込む矩形部62bを有する第2の押し上げ体62と,この第2の押し上げ体62の矩形部62bに形成された断面矩形状の挿通部63に挿通された角柱状の第3の押し上げ体64からなる。
【0074】
上記第1の押し上げ体61の上端面はコ字状の閉塞端側から開放端側に向かって低くなる傾斜面61aに形成され,上記第2の押し上げ体62と第3の押し上げ体64の上端面は平坦面に形成されている。上記傾斜面61aの傾斜角度は10~30度の範囲に設定されることが好ましい。
【0075】
上記第1乃至第3の押し上げ体61,62,64は図6に示すようにバックアップ体1内に上下方向に移動可能に設けられ,第1の実施の形態と同様,押し上げ手段33の上下駆動手段56によって順次上昇限まで上昇方向に駆動される。
【0076】
なお,第1乃至第3の押し上げ体61,62,64には上端面に開口する貫通孔(図示せず)が形成され,これら貫通孔にはバックアップ体1の内部空間を介して吸引力が発生するようになっている。
【0077】
つぎに,図6(a)~(d)を参照しながら,半導体チップ4をピックアップする動作を説明する。
【0078】
初期状態では図6(a)に示すように第1の押し上げ体61の傾斜面61aの傾斜方向の上端がバックアップ体1の上端面と同じ高さに位置決めされ,第2,第3の押し上げ体62,64の上端面は上記傾斜面61aの傾斜方向下端と同じ高さに位置決めされている。その状態で上記バックアップ体1はX,Y方向に駆動されてピックアップされる半導体チップ4の下面に位置決めされ,さらにZ方向に駆動されて上端面が粘着シート3の下面に接触する高さに位置決めされる。
【0079】
位置決めされると,バックアップ体1の上端面に粘着シート3を吸着したなら,吸着ノズル17を下降させてから,第1乃至第3の押し上げ体61,62,64を,これらの上端面に吸引力を発生させながら,上下駆動手段56(第1の実施の形態に示す)によって一体的に上昇させる。
【0080】
それによって,まず,図6(b)に示すように第1の押し上げ体61の傾斜面61aは,粘着シート3の半導体チップ4の3つの側辺部の外側に位置する部分を引き伸ばしながら,半導体チップ4を上記傾斜面61aの傾斜角度に応じて傾斜上昇させる。このように,半導体チップ4が傾斜させられると,その3つの側辺部の外縁から粘着シート3の剥離が開始する。
【0081】
このとき,吸着ノズル17は半導体チップ3の上面を吸着した状態で,上記第1乃至第3の押し上げ体61,62,64の上昇に応じて上昇する。
【0082】
上記第1の押し上げ体61が上昇限まで上昇すると,つぎに図6(c)に示すように第2の押し上げ体62と第3の押し上げ体64が上昇し,これらの平坦な上端面によって上記傾斜面61aによって傾斜させられた半導体チップ4を上記傾斜面61aから押し上げながら水平な状態で上昇させる。
【0083】
半導体チップ4が傾斜した状態から水平な状態に角度を変えながら上昇させられると,上記傾斜面61aによって傾斜させられるときに引き伸ばされた,粘着シート3がさらに引き伸ばされる。それと同時に,粘着シート3の半導体チップ4の残りの1つの側辺部に対応する部分が上記第2の押し上げ体62の側辺部62aによって引き伸ばされる。
【0084】
それによって,半導体チップ4の上記3つの側辺部からの粘着テープ3の剥離がさらに進行するとともに,残りの1つの側辺部からの剥離も開始される。そして,その剥離は第2の押し上げ体62の外縁まで進行する。
【0085】
第2,第3の押し上げ体62,64が上昇限まで上昇すると,つぎは図6(d)に示すように第3の押し上げ64だけが上昇する。それによって,半導体チップ4からの粘着シート3の剥離がさらに進行し,第3の押し上げ体64の上面を除く部分が全て剥離されることになる。すなわち,粘着シート3は半導体チップ4を吸着ノズル17によってピックアップが可能となる状態まで剥離される。
【0086】
したがって,第3の押し上げ体64が上昇限まで上昇した後,上記半導体チップ4は上記吸着ノズル17によってピックアップされる。
【0087】
このような構成のピックアップ装置によれば,半導体チップ4を第1の押し上げ体61の傾斜面61aで傾斜させながら押し上げ,粘着シート3の半導体チップ4の三辺の外方に位置する部分を引き伸ばして剥離を開始させてから,上記半導体チップ4を第2,第3の押し上げ体62,64で水平にしながら押し上げることで,上記粘着シート3の上記三辺に対応する部分をさらに引き伸ばすとともに,残りの一辺に対応する部分も引き伸ばして剥離を開始させるようにした。
【0088】
そのため,半導体チップ4を湾曲させることなく,その周辺部全体から粘着シート3を剥離することができるから,湾曲させることで半導体チップ4を損傷させるということがないばかりか,ピックアップ可能な状態となるまでに要する剥離時間を短縮し,生産性の向上を図ることができる。
【0089】
しかも,半導体チップ4を傾斜させた状態で粘着シート3を引き伸ばして剥離するため,半導体チップ4の周縁から粘着シート3が剥離し易くなる。そのため,半導体チップ4からの粘着シート3の剥離を確実かつ迅速に行なうことができる。
【0090】
図7と図8(a)~(d)はこの発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態は押し上げ手段の変形例であって,この押し上げ手段33Bは平面形状が矩形状の半導体チップ4の3つの側辺に対応するコ字状をなした第1の押し上げ体66と,筒状に形成され上記半導体チップ4の3つの側辺部以外の部分に対応する形状,つまり側辺部67a及び上記第1の押し上げ体66の内部に入り込む矩形部67bを有する第2の押し上げ体67と,この第2の押し上げ体67の矩形部67bに形成された断面矩形状の空間部68に挿通された角柱状の第3の押し上げ体69からなる。
【0091】
上記第1の押し上げ体66の上端面はコ字状の閉塞端側から開放端側に向かって低く傾斜した第1の傾斜面66aに形成され,第2の押し上げ体67の上端面は側辺部67aから矩形部67bに向かって低く傾斜した第2の傾斜面67cに形成されている。つまり,第1の傾斜面66aと第2の傾斜面67cは逆向きに傾斜している。上記第1,第2の傾斜面66a,67cの傾斜角度は10~30度の範囲に設定されることが好ましい。
【0092】
なお,第3の押し上げ体69の上端面は平坦面に形成されている。
【0093】
上記第1乃至第3の押し上げ体66,67,69はバックアップ体1内に上下方向に移動可能に設けられ,第1の実施の形態と同様,上下駆動手段56によって後述するように上下方向に駆動される。
【0094】
なお,第1乃至第3の押し上げ体66,67,69には上端面に開口する貫通孔(図示せず)が形成され,これら貫通孔にはバックアップ体1の内部空間を介して吸引力が発生するようになっている。
【0095】
つぎに,図8(a)~(d)を参照しながら,半導体チップ4をピックアップする動作を説明する。
【0096】
初期状態では図8(a)に示すように第1の押し上げ体66の第1の傾斜面66aの傾斜方向の上端がバックアップ体1の上端面と同じ高さに位置決めされ,第2の押し上げ体67の第2の傾斜面67cの傾斜方向上端は上記第1の傾斜面66aの傾斜方向下端とほぼ同じ高さになっている。
【0097】
第3の押し上げ体64の上端面は第2の傾斜面67cの中途部に位置し,その傾斜面67cから上方に突出しない高さに位置決めされている。
【0098】
その状態で上記バックアップ体1はX,Y方向に駆動されてピックアップされる半導体チップ4の下面に位置決めされ,さらにZ方向に駆動されて上端面が粘着シート3の下面に接触する高さに位置決めされる。そして,吸着ノズル17によって半導体チップ4の上面が吸着される。
【0099】
ついで,バックアップ体1の上端面で粘着シート3を吸着したなら,第1乃至第3の押し上げ体66,67,69を,これらの上端面に吸引力を発生させながら,上下駆動手段56によって一体的に上昇させる。それによって,図8(b)に示すように第1の押し上げ体66の第1の傾斜面66aは,粘着シート3の半導体チップ4の3つの側辺部の外側に位置する部分を引き伸ばしながら,半導体チップ4を上記第1の傾斜面66aの傾斜角度に応じて傾斜させる。
【0100】
上記吸着ノズル17は第1乃至第3の押し上げ体66,67,69の上昇に応じて上昇する。
半導体チップ4を上記第1の傾斜面66aによって傾斜させると,その3つの側辺部の縁部から粘着シート3の剥離が開始される。
【0101】
上記第1の押し上げ体66が上昇限まで上昇すると,つぎに図8(c)に示すように第2の押し上げ体67と第3の押し上げ体69が上昇し,上記第1の傾斜面66aによって傾斜させられた半導体チップ4が,第1の傾斜面66aと逆方向に傾斜した第2の押し上げ体67の第2の傾斜面67cによって押し上げられる。
【0102】
このとき,吸着ノズル17によって半導体チップ4の上面に吸着保持する。それによって,半導体チップ4は第1,第2の傾斜面66a,67cに沿って湾曲することなく,水平な状態が維持される。
【0103】
このようにして半導体チップ4を押し上げると,粘着シート3の半導体チップ4の周辺部に位置する部分が全体にわたって十分に引き伸ばされるから,半導体チップ4の周辺部全体の縁部から粘着シート3が剥離される。
【0104】
第2,第3の押し上げ体67,69が上昇限まで上昇すると,つぎは図8(d)に示すように第3の押し上げ体69だけが上昇する。それによって,半導体チップ4からの粘着シート3の剥離がさらに進行し,粘着シート3は第3の押し上げ体69の上面に対応する部分だけが貼着した状態となる。
【0105】
したがって,粘着シート3から半導体チップ4をピックアップ可能な状態となるから,吸着ノズル17によってその半導体チップ4をピックアップすることができる。
【0106】
このような構成のピックアップ装置によれば,粘着シート3の剥離を,矩形状の半導体チップ4の周辺部全体から進行させることができるから,半導体チップ4をピックアップ可能な状態となるまで粘着シート3を剥離するために要する時間を短縮することができる。
【0107】
しかも,半導体チップ4を傾斜させた状態で粘着シート3を引き伸ばして剥離するため,その傾斜角度によって半導体チップ4の周縁から粘着シート3が剥離し易くなる。そのため,半導体チップ4からの粘着シート3の剥離を確実かつ迅速に行なうことができる。」
(2)引用発明2
前記(1)より,引用文献2には次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「粘着シートに貼着された半導体チップを粘着シートからピックアップする半導体チップのピックアップ装置であって,
半導体チップの上面を吸着する吸着ノズルと,
粘着シートの下面に接触するバックアップ体と,
バックアップ体の上端面に粘着シートを吸着することと,
押し上げ体の上端面に開口する貫通孔にバックアップ体の内部空間を介して吸引力が発生する第1乃至第3の押し上げ体と,
粘着シートを吸着するバックアップ体と,から構成され,
半導体チップの3つの側辺に対応するコ字状をなした第1の押し上げ体と,側辺部及び上記第1の押し上げ体の内部に入り込む矩形部を有する第2の押し上げ体と,この第2の押し上げ体の矩形部に形成された断面矩形状の空間部に挿通された角柱状の第3の押し上げ体が配置され,順に,第1乃至第3の押し上げ体を上昇させる機能を有する半導体チップのピックアップ装置。」
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,ウェハから切り出されシートに貼り付けられた状態のチップをピックアップする際に,チップとシートとの剥離を促進するチップ剥離装置およびチップ剥離方法ならびにこのチップ剥離装置を用いたチップピックアップ装置に関するものである。」
「【0013】
図2に示すように,取出しノズル20には真空吸引用の開口部20aが設けられており,開口部20aの下面には吸着板20bが装着されている。吸着板20bは焼結体などの多孔質材より製作されており,真空吸引源(図示省略)を駆動して開口部20aから真空吸引(矢印a)することにより,吸着板20bの下面の保持面20dにチップ6の全範囲を均等に吸着して保持することができるようになっている。吸着板20bの外周側面には,樹脂膜など気密性を有するシール膜20cが設けられており,真空吸着時の吸着性能を確保するようにしている。」
4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,ウェーハシートに貼り付けられたダイを吸着ノズルで前記ウェーハシートから剥離してピックアップするダイピックアップ方法及びダイピックアップ装置に関する。」
「【0012】
【発明が解決しようとする課題】
第1の方法は,ウェーハシートを真下に吸引して変形させている。ところで,一般に,接着されたダイとウェーハシートを分離させる場合,接着面に垂直な方向に力を加えて分離させると,非常に大きな力を要することは経験則の通りである。そこで,ダイの厚みが例えば50μm以下と極薄厚の場合には,接着力が強いと,吸着ステージの吸引力によってウェーハシートと共にダイが変形及び破損する恐れがある。接着力を弱くすると,ピックアップ位置へのウェーハシートの供給等の移動により,ダイが位置ずれする恐れがある。
【0013】
第2の方法は,吸着ノズルの剥離用側壁部でダイの側面を押圧するので,この押圧によってダイにダメージを与える恐れがある。またダイの厚さが薄い場合には,ダイの側面を確実に押圧できなく,ダイの上面に乗り上がって傷を付ける恐れがある。
【0014】
第3の方法の実施例1,2及び3は,吸着ステージの吸引孔の吸引により該吸引孔上部の微少面積のウェーハシートを伸ばし,かつ形成された空間は高真空状態になるため,非常に強力な吸引力を必要とする。実施例4,5及び7は,最初は吸着ステージの外側部はウェーハシートに接触していないので,開放空間の空気を吸引しつつウェーハシートを吸引吸着するには,強力な吸引力を必要とする。実施例6は,実施例4,5及び7の問題点の他に次のような問題がある。吸着ステージがすり鉢状の斜面に形成されているので,ピックアップしない周辺のダイはダイの外辺が斜面に当たったとき,中央部はまだ接触しておらず空間がある。更に吸引すると,ダイは中央から湾曲し破損する虞がある。このため,ダイが湾曲しないように吸引力の微妙な調整が必要となる。
【0015】
本発明の課題は,ダイに余分な力を加えることなく,また必要以上の吸引力を加える必要がなく,かつ容易にウェーハシートからダイを剥離させることができるダイピックアップ方法及びダイピックアップ装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の請求項1の方法は,ウェーハシートに貼り付けられたダイを真空吸着する吸着ノズルと,前記ウェーハシートを真空吸着する吸着ステージとを備え,前記吸着ノズルでダイをピックアップするダイピックアップ方法において,前記吸着ノズルでピックアップするダイを真空吸着した状態及び前記吸着ステージでウェーハシートを真空吸着した状態で,前記吸着ステージ又は前記吸着ノズルを傾斜させ,ダイの一方端側より他方端側へウェーハシートを順次剥離させることを特徴とする。」
「【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1及び図2により説明する。ダイ1A,1B,1C・・・が貼り付けられたウェーハシート2の外周は,図示しないウェーハリングに固定されている。ウェーハリングは,平面方向のXY軸方向に駆動される図示しないウェーハ支持枠に固定される。ダイ1A,1B,1C・・・は,吸着穴3aが形成された吸着ノズル3によって真空吸着されてピックアップされる。以上は周知の技術である。
【0022】
ピックアップするダイ1Aに対応したウェーハシート2の部分を真空吸着する吸着ステージ5には,吸着穴5aが形成されており,吸着穴5aは,吸着穴5b,5cに連通している。吸着穴5cにはニップル6が取付けられ,ニップル6は図示しない真空源に接続されている。吸着ステージ5には,上面の一方端の下方部分に支軸7が固定されており,支軸7は支持支柱8に回転自在に支承されている。
【0023】
吸着ステージ5には,支軸10が固定されており,支軸10にはシリンダ11の作動ロッドに固定された連結駒12が回転自在に支承されている。シリンダ11は,ブラケット13を介して支持支柱8に固定されている。支持支柱8には,シリンダ11と反対側に吸着ステージ5の上面を水平に位置させるためのストッパネジ14が螺合されている。
【0024】
次に作用について説明する。図1に示すように,吸着ノズル3はピックアップ位置の上方に位置した状態にある。また,図示しないウェーハリングに固定されたウェーハシート2は図示しないXY軸駆動手段でXY軸方向に移動させられ,ピックアップするダイ1Aがピックアップ位置に位置決めされる。吸着ステージ5の吸着穴5aによって,ウェーハシート2が真空吸着される。また同時に吸着ノズル3が下降し,図2に示すように,ダイ1Aを吸着ノズル3の吸着穴3aによって真空吸着する。
【0025】
続いて図2及び図3に示すように,シリンダ11の作動ロッドが引っ込む。これにより,吸着ステージ5は支軸7を中心として回転し,支軸7の上方の吸着ステージ5の上面端部と反対側の上面端部が下方に傾斜する。この動作によって,ウェーハシート2は図2に示すようにダイ1Aの一方の端面側1aより図3に示すように他方の端面1b側へ順次剥離して行き,ウェーハシート2はダイ1Aより完全に剥離される。
【0026】
ウェーハシート2の剥離が終了すると,ダイ1Aを真空吸着した吸着ノズル3は,図4に示すように,図示しない移送手段により上昇及びXY軸方向に移動させられ,次工程,例えばダイボンディング,ダイ詰め等の工程を行う。ダイ1Aがピックアップされると,シリンダ11の作動ロッドが突出して吸着ステージ5は前記と逆方向にストッパネジ14に当接するまで回転し,吸着ステージ5の吸着穴5aの真空がオフとなる。次にウェーハシート2が固定された図示しないウェーハリングがXY軸方向に1ピッチ分移動させられ,図5に示すように,次にピックアップされるダイ1Bが吸着ステージ5の上方のピックアップ位置に位置決めされる。そして,以後,前記した工程を行う。
【0027】
このように,ダイ1Aを吸着ノズル3で吸着保持し,ウェーハシート2を吸着ステージ5で吸着保持した状態で,吸着ステージ5の一方側を下方に傾斜させ,ダイ1Aの一方の端部から順次他方の端部へウェーハシート2を剥離させる。即ち,ダイ1Aには余分な力を加えないので,ダイ1Aに損傷を与えない。また従来のようにウェーハシート2を下方に吸引して剥離させるのではなく,ダイ1Aの一方の端部から剥離させるので,容易にウェーハシート2からダイ1Aを剥離させることができる。更に密閉空間の空気を吸引するだけであるので,必要以上の吸引力を加える必要がない。」
5 引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるダイ・ボンディング技術またはチップ剥離技術(ダイ・ピックアップ技術)に適用して有効な技術に関する。」
「【0134】
3-4.本発明の一実施の形態である突き上げ&エアー剥離プロセス(単一傾斜リフト・ステージを用いる例)の詳細説明(主に図46から図49)
この例は,サブ・セクション3-3で説明した一体のリフト・ステージ110を傾斜上昇させる1段リフトによる突き上げ&エアー剥離プロセスとしたものである。これにより,リフト・ストロークを短くすることができる。ここで,図49(この図では,リフト・ステージ110の動きが見やすいように,ダイシング・テープ4およびそれよりの上の部材を除去して示している)は,一体ものの突き上げ部材としてのリフト・ステージ110であり,図47は,そのC-C’断面に対応する。以下,図46から図49に基づいて,本発明の一実施の形態である突き上げ&エアー剥離プロセス(単一水平リフト・ステージを用いる例)を説明する。
(1)図46に示すように,まず,ダイシングテープ4を下部基体102上面に真空吸着する(テープ吸着ステップ51)。このときの下部基体102の状態は,図49(a)に示すものとなっている。
(2)次に図48に示すように,時点t31において,空のコレット105(ラバー・チップ125)がサイクル高さから剥離対象チップ1に向かって降下を開始する。
(3)次に図48に示すように,時点t32において,降下速度が減速されるとともに,図47(a)に示すように,イオナイザがオンして,冷却ブロー61がチップ1とラバー・チップ125(コレット105)の下面の間に供給される(図46の冷却ブロー・ステップ52)。これは,先に説明したようにダイ・ボンディング時に熱せられたラバー・チップ125(コレット105)を冷却するためである。この冷却ブロー61(イオン化ガスによるブローで,通常,ドライ・エアーが使用される。ただし,必要に応じて他のガスでもよい。ここでは,剥離のためのガス・ブローと同一のものを使用する)は,通常,サブ・セクション3-1等で説明したガス・ブロー・ノズル42を用いて行われる(必要があれば別のノズルを用いてもよい)。
【0135】
また,図48に示すように,時点t32において,コレット105の真空引きが開始される。着地の準備である。
(4)次に図48に示すように,時点t33において,ラバー・チップ125(コレット105)がピックアップ高さに達して,図47(b)のようにチップ1の表面に着地する(図46のコレット着地ステップ53)。この時,チップ1は裏面側からもダイシング・テープ4を介して真空吸着されている。
【0136】
また,図48に示すように,着地の直前に冷却ブロー61がオフされる。
(5)次に図46,図47(c),図48および図49(b)に示すように,時点34において,リフト・ステージ110の第1の辺2a側が上昇(たとえば150マイクロ・メートル程度,最も好適な範囲としては100から300マイクロ・メートル程度を例示することができる)を開始する(突き上げ部材上昇ステップ54a)。この突き上げ動作により,チップ1の第1の辺2a側の裏面外周部に剥離部40aが発生する。
(5’)次に図46,図47(d),図48および図49(c)に示すように,時点44において,リフト・ステージ110の第2の辺2b側が上昇(たとえば150マイクロ・メートル程度,最も好適な範囲としては100から300マイクロ・メートル程度を例示することができる)を開始する(突き上げ部材上昇ステップ54b)。この突き上げ動作により,チップ1の第2の辺2b側の裏面外周部まで剥離が伝播し,チップ1の第2の辺2b側の裏面外周部に剥離部40bを形成する(図49(b)の周辺剥離の拡大40t)。
(6)次に図46および図48に示すように,時点t35において,真空リーク・チェックが実行される(リーク・チェック55)。真空リーク・チェックの結果,リークなしの場合は,次のステップに進む。リークありの場合は,リークがなくなるまで待機するか(また,リトライしてもよい),問題のチップ1をスキップする。このリトライとしては,ブロック第1辺上昇ステップ54aまたはブロック第2辺上昇ステップ54bまで戻る等の処理が選択可能である。
(7)リークがないことを確認した後,図46,図47(e)および図48に示すように,時点t36において,剥離進行のためのガス・ブロー41がサブ・セクション3-1等と同様に実行される(ガス・ブロー・ステップ56)。
【0137】
このガス・ブロー41によって,図47(f)に示すように,剥離部40aが徐々に拡大し,図44(g)に示すように,ガス通路が貫通すると,ほぼ完全剥離に近い状態となる。
(8)次に図46および図48に示すように,時点t37において,コレット105の荷重がオフされて,コレット105が真空吸引状態で完全剥離のための上昇を開始する。この直後,リーク・チェック・ステップ57が実行される。これは,コレット105(ラバー・チップ125)がチップ1を確実にホールドしているか否か,または,完全剥離に成功したかを確認するためである。」
第5 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明1との対比
ア 引用発明1の「ダイシングテープ」は,「粘着テープ」(第4の1(1)ア【0002】)であるから,本願発明1の「粘着シート」に相当する。
イ 引用発明1の「貼着した」は,「貼り付けられた」といえる。
ウ 引用発明1の「半導体ペレット」は,本願発明1の「半導体チップ」に相当する。
エ 引用発明1の「剥離する」は,「取り外す」といえる。
オ 引用発明1の「ペレットピックアップ装置」は,本願発明1の「ピックアップ装置」の一種である。
カ 引用発明1の「半導体ペレットを吸着させるコレット」は,「コレット109の真空吸着力により半導体ペレット110を吸着させてコレット109を上昇させることにより,残った吸着部分を剥がして」(第4の1(1)ウ【0029】)いるものであるから,半導体ペレットの上面を吸着保持しているといえる。
キ 引用発明1の「テープ搭載面」は,ダイシングテープを搭載する面であること,また,半導体ペレットを支持するものであり,さらに,引用発明1の「ダイシングテープ」,「半導体ペレット」は,本願発明1の「粘着シート」,「半導体チップ」にそれぞれ相当することを考慮すると,「粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面に密着するステージ」といえる。
ク 引用発明1の「バックアップホルダの内部」は,バックアップホルダのテープ搭載面と反対側の面であり「ステージの裏側」といえる。
ケ 引用発明1の「真空引きする」ためには,引用発明1は何らかの「吸引手段」を有しているといえる。
コ 引用発明1の「複数の可動軸」は,半導体ペレットを支持すること,可動軸を下げてはがれを進行させることから,「半導体チップを粘着シートと接触して支持し,半導体チップとの隙間を可変させる複数の支持ブロック」といえる。
サ 引用発明1の「底部に形成されている数カ所の穴によりバックアップホルダ内部と連結されている溝が形成されているバックアップホルダのテープ搭載面」は,「粘着シートを吸引する複数の吸引孔を有した吸引面」といえる。
シ すると,本願発明1と引用発明1とは,下記スの点で一致し,下記セの点で相違する。
ス 一致点
「粘着シートに貼り付けられた半導体チップを粘着シートから取り外す半導体チップのピックアップ装置であって,
半導体チップの上面を吸着保持するコレットと,
粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面に密着するステージと,
ステージの裏面から粘着シートを吸引する吸引手段と,から構成され,
前記ステージが,半導体チップを粘着シートと接触して支持し,半導体チップとの隙間を可変させる複数の支持ブロックと,粘着シートを吸引する複数の吸引孔を有した吸引面と,から構成される半導体チップのピックアップ装置。」
セ 相違点
(ア)相違点1
本願発明1では,支持ブロックが粘着シートを「吸引し」ているのに対し,引用発明1では,不明である点。
(イ)相違点2
本願発明1では,「前記複数の支持ブロックが並んで配置され,一端の支持ブロックから他端の支持ブロックまで,順次,支持ブロックを連続的に下げる機能」を有しているのに対し,引用発明1では,同様の機能を有していない点。
(2)相違点についての判断
ア 相違点2について検討する。
(ア)相違点2に係る構成である「前記複数の支持ブロックが並んで配置され,一端の支持ブロックから他端の支持ブロックまで,順次,支持ブロックを連続的に下げる機能」については,引用文献1ないし5のいずれにも記載も示唆もない。
(イ)そして,本願発明1は,相違点2に係る構成を備えることによって,「半導体チップ10への応力が剥離方向のみとなり半導体チップ10へダメージを与えることが無い。」(本願明細書段落【0025】)という格別の効果を奏すると認められる。
(3)本願発明1と引用発明2との対比
ア 引用発明2の「粘着シートに貼着された半導体チップ」は,本願発明1の「粘着シートに貼り付けられた半導体チップ」に相当する。
イ 引用発明2の「ピックアップする」は,「取り外す」といえる。
ウ 引用発明2の「吸着ノズル」は,本願発明1の「コレット」に相当するから,引用発明2の「半導体チップの上面を吸着する吸着ノズル」は,「半導体チップの上面を吸着保持するコレット」といえる。
エ 引用発明2の「粘着シートの下面」,「バックアップ体」は,本願発明1の「粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面」,「ステージ」にそれぞれ相当するから,引用発明2の「粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面に接触するバックアップ体」は,「粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面に密着するステージ」といえる。
オ 引用発明2は「バックアップ体の上端面に粘着シートを吸着すること」から,何らかの「ステージに粘着シートを吸引する吸着手段」を有するといえる。
カ 引用発明2の「第1乃至第3の押し上げ体」は,半導体チップを押し上げているから「半導体チップを粘着シートと接触して支持し」ているといえる。
キ 引用発明2の「押し上げ体」は,本願発明1の「支持ブロック」に相当するから,引用発明2の「押し上げ体の上端面に開口する貫通孔にバックアップ体の内部空間を介して吸引力が発生する第1乃至第3の押し上げ体」は,吸引力によって粘着シートを吸引しており,また,吸引力を発生させて押し上げているから,「粘着シートを吸引しながら半導体チップとの隙間を可変させる複数の支持ブロック」といえる。
ク すると,本願発明1と引用発明2とは,下記ケの点で一致し,下記コの点で相違する。
ケ 一致点
「粘着シートに貼り付けられた半導体チップを粘着シートから取り外す半導体チップのピックアップ装置であって,
半導体チップの上面を吸着保持するコレットと,
粘着シートの半導体チップの貼り付けられている面と反対側の面に密着するステージ,
ステージに粘着シートを吸引する吸着手段と,から構成され
ステージが,半導体チップを粘着シートと接触して支持し,粘着シートを吸引しながら半導体チップとの隙間を可変させる複数の支持ブロックと,
粘着シートを吸着するステージと,から構成され,
半導体チップの3つの側辺に対応するコ字状をなした第1の押し上げ体と,側辺部及び上記第1の押し上げ体の内部に入り込む矩形部を有する第2の押し上げ体と,この第2の押し上げ体の矩形部に形成された断面矩形状の空間部に挿通された角柱状の第の押し上げ体が配置され,順に,第1乃至第3の押し上げ体を上昇させる機能を有する半導体チップのピックアップ装置。」
コ 相違点
(ア)相違点1
本願発明1は,「ステージの裏面から粘着シートを吸引する吸引手段」を有するのに対し,引用発明2は,吸引手段が不明な点。
(イ)相違点2
本願発明1では,「粘着シートを吸引する複数の吸引孔を有した吸引面」を有しているのに対し,引用発明2では,「粘着シートを吸着するステージ」を有している点。
(ウ)相違点3
本願発明1では,「前記複数の支持ブロックが並んで配置され,一端の支持ブロックから他端の支持ブロックまで,順次,支持ブロックを連続的に下げる機能」を有しているのに対し,引用発明2では,同様の機能を有していない点。
(4)相違点についての判断
ア 相違点3について検討する。
(ア)相違点3に係る構成である「前記複数の支持ブロックが並んで配置され,一端の支持ブロックから他端の支持ブロックまで,順次,支持ブロックを連続的に下げる機能」ことについては,引用文献1ないし5のいずれにも記載も示唆もない。
(イ)そして,本願発明1は,相違点3に係る構成を備えることによって,「半導体チップ10への応力が剥離方向のみとなり半導体チップ10へダメージを与えることが無い。」(本願明細書段落【0025】)という格別の効果を奏すると認められる。
(5)まとめ
したがって,本願発明1は,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2ないし5について
本願発明2ないし5は,本願発明1の発明特定事項をすべて含むものであるから,前記1と同様の理由により,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 原査定について
1 理由(特許法第29条第2項)について
前記「第5 対比及び判断」のとおりであるから,本願発明1ないし5は,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 まとめ
したがって,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。
第7 結言
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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2017-006848