意匠拒絶査定不服審判
2017-004817
要介護者用置き畳
- 審判番号
- 2017-004817
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-026494外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年04月05日
- 審決日
- 2017年08月31日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】有限会社ナカシマ建創
- 【請求人代理人】森 寿夫
- 【請求人代理人】田中 秀明
- 分類
- D18 .121-WY (C1-4)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015- 26494「要介護者用置き畳」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)11月27日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「要介護者用置き畳」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が意匠登録を受けようとする部分であり,破線で表した部分は意匠登録を受けようとする部分ではない。破線で表した部分は,畳表を構成する藺の織目により現出する模様である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)
第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
本願に対する原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この種置き畳みにおいて,全体を略方形状とし,周側面をスロープ状とすると共に,角部を弧状に角取り形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。
同様に,スロープ部分を含む全体を一体状に形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。
本願意匠が意匠登録を受けようとする部分は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠を,【意匠2】の意匠のように一体状に形成したまでのものに過ぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。
なお,本願意匠が背面側にスロープを有しない点は,その出願前普通に見受けられる態様(例えば,意匠登録第1145322号意匠【参考意匠】参照)であって,本願意匠のみの特徴といえるものではありませんから,この点が創作非容易性の判断に影響を及ぼすものとは認められません。
【意匠1】(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2006-307509
【図1】及び【図3】に表された本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠
【意匠2】(別紙第3参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
平成1年実用新案出願公開第023284号
【図1】及び【図2】に表された本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠
【参考意匠】(別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報所載
意匠登録第1145322号の意匠
(意匠に係る物品:落下衝撃軽減マット)の意匠」
第3 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について,すなわち,当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて,以下検討し,判断する。
1.本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,一枚又は複数枚を組み合わせて病院や介護施設等の床等に敷いて使用する薄手の「要介護者用置き畳」である。
2.本願部分
(1)部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分の用途及び機能は,意匠に係る物品の説明欄の記載によると,裏面に滑り止めシートを施した薄手の要介護者用置き畳であって,背面側を除きスロープを設けてあるので,要介護者が摺り足などでベッドに戻る際に本物品に足をぶつけにくく,転倒による怪我を防止することができ,車いすのまま本物品の上に乗り上げることもできるものである。
また,部分意匠としての位置,大きさ及び範囲は,要介護者用の置き畳における畳表の藺の織目の形状により表れる表面の模様を除いた部分である。
(2)形態
本願部分の形態は,平面視において下辺の左右角部のみを隅丸状に形成した略横長長方形板体の下辺及び左右辺部分に,先端部分を隅丸状に形成した断面視略直角台形状の傾斜角約10°の傾斜面を形成したものであって,底面側のほぼ全面に薄い滑り止めシートを配設したものである。
2.原査定の拒絶の理由の引用意匠
(1)【意匠1】
意匠1は,「簡易和室用畳」に係る物品であり,その形態は,互いに密接して方形に配設された4つの正方形板体状の畳の外周縁部分に,畳の一辺と同じ長さで略凸円弧状の傾斜面からなるスロープ状の外周枠を1辺に2つずつ配設し,畳の四隅外枠部分に平面視四半円で外周枠と同じ傾斜面からなるコーナー枠部を4つ配設したものである。
(2)【意匠2】
意匠2は,「敷物」に係る物品であり,その形態は,外周縁部分を傾斜面に形成した略正方形板体の表面部分に板体とは別の薄手の部材(不織布)を貼付し,その表面にシート状の部材を設けたものである。
(3)【参考意匠】
参考意匠は,「落下衝撃軽減マット」に係る物品であり,その形態は,平面視において,その左辺及び下辺部分を傾斜面とした略横長長方形板体と,その右辺及び下辺部分を傾斜面とした略横長長方形板体を左右に並設し,それらの表面部分をシート状の部材で覆って一体的に形成したマットであって,左右板体底面部には,角部を隅丸とした板体より一回り大きなスカートを,傾斜面からはみ出すような配置で設け,左右スカートの平面視上辺中央部分には横長長方形の上辺左右角部を切り欠いた形状で,長円孔を有する耳部を1つずつ形成したものである。
3.本願意匠の創作容易性の判断
本願意匠は,意匠に係る物品を「要介護者用置き畳」とするものであり,この板体の表面部分に別部材を覆った敷物の分野において,略長方形板体の外周縁部分を傾斜面になるように形成することは,意匠2で示したようにありふれた態様であり,傾斜面をこの板体の3辺にのみに配設することも含め,容易に創作することができたものといえる。
また,敷物の底面側のほぼ全面に薄い滑り止めシートを配設することも,参考意匠のスカートで示したように特段の創作力を要するものではなく,容易に想到することができたものといえるものである。
しかしながら,傾斜のないフラットな板体の表面部分に,藺で織られた畳表を覆ったものは意匠1において認められるものの,傾斜面をもつ板体の場合には,意匠2及び参考意匠が示すように,板体の表面を全く凹凸のないシート状の部材で覆っているものしか存在せず,3辺に傾斜面が形成された略長方形板体の表面部分に,シート状の部材ではない藺で織られた畳表を配設し,平面視においてその傾斜面同士がぶつかる角部の部分を隅丸に形成したものは,引用しているいずれの意匠にも見当たらないものであって,本願意匠独自の独創的な着想により,特徴的な態様を創出したものといえるから,本願意匠は,公然知られた形態に基づいて,当業者であれば容易に創作することができたものということはできない。
第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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