特許拒絶査定不服審判
2017-004063
拡張現実対応ディスプレイを備えたロボットシステム
- 審判番号
- 2017-004063
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-248127外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月21日
- 審決日
- 2018年10月16日
- 公報発行日
- 2019年01月25日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B25J) / P18 .575-Z (B25J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-248127「拡張現実対応ディスプレイを備えたロボットシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年6月20日出願公開、特開2016-107379〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月8日を出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 9月13日付け:拒絶理由通知書
平成28年11月15日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年12月26日付け:拒絶査定
平成29年 3月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成29年 7月18日 :上申書の提出
第2 平成29年3月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年3月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「ロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
前記制御装置に接続され、前記ロボットを含むシーンの映像を取り込んでリアルタイムに表示する機能を有する、ビデオカメラが搭載された教示操作盤と、
前記ロボットを含むシーンの映像に基づいて、前記ビデオカメラと前記ロボットとの間の相対位置角度を計測する計測部と、を備え、
前記教示操作盤は、前記教示操作盤にリアルタイムに表示された映像に対し、検出された前記ロボットの異常箇所の一部又は全体の発光表示を、前記計測部により計測された相対位置角度に基づいて重畳して表示する拡張現実対応ディスプレイを有する、ロボットシステム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年11月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「ロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
前記制御装置に接続され、前記ロボットを含むシーンの映像を取り込んでリアルタイムに表示する機能を有する映像取り込み表示装置と、
前記ロボットを含むシーンの映像に基づいて、前記映像取り込み表示装置と前記ロボットとの間の相対位置角度を計測する計測部と、を備え、
前記映像取り込み表示装置は、前記映像取り込み表示装置にリアルタイムに表示された映像に対し、検出された前記ロボットの異常箇所の一部又は全体の発光表示を重畳して表示するディスプレイを有する、ロボットシステム。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「映像取り込み表示装置」、「重畳して表示」及び「ディスプレイ」について、上記のとおり限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2004-243516号公報(平成16年9月2日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は当審で付した。)。
a 「【0056】
図3は、眼鏡の形の視覚装置1.1を備えたこの発明による装置を示し、ユーザ4はレンズ1.3(シースルーの眼鏡)を通して現実環境を直接見ることができ、レンズ1.3はロボット特有のコンピュータによって生成された情報を重ねることができる透明なスクリーンとして構成されている。このため、視覚装置1.1はケーブル1.4によって手動プログラム機2に接続されているが、これはワイヤレス伝送、特に無線伝送によって置換えることができ、赤外線伝送によっても置換えることができる。視覚装置1.1にはカメラ1.2が設けられ、空間における対応する光学的なマーキングを使用しかつカメラによって視覚装置1.1のポーズを規定することができる。これに加えてまたはこれに代えて、視覚装置1.1または画像受取装置1.2のポーズは、カメラ画像を記憶された画像と比較することによって得られる。根本的に、電磁気的、光学的または聴覚的なセンサシステムを設けることも可能であり、これらによって空間内の対応するマーキングトランスミッタに対する画像受取装置または視覚装置のポーズを上述の態様で規定することができる。」
b 「【0076】
処理ユニット5は、視覚装置1.1、手動プログラム機2またはロボット制御6に組込んでもよい。それは根本的にそれ自身の物理的なユニットを形成してもよい。処理ユニット5は、たとえば、画像生成ユニット5.1が視覚装置1.1または手動プログラム機2にあり、モデル操作ユニット5.2をロボット制御6に収納できるようにして、空間的にさらに分割してもよい。処理ユニット5またはその部分は、異なるロボットのための中央システムに組合わせてもよく、任意で通信経路はインターネットを経由してもよい。
【0077】
図6は基本的な事例を示し、図6aおよび図6bの携帯型または眼鏡状の視覚装置の特別な事例はそこから派生したものである。一般的なアーキテクチャは、後に説明する2つの具体的なアーキテクチャの共通点を表わす。
【0078】
図6aによる構成では、視覚装置1.1は、図1a、1b、2aおよび2bによる手動プログラム機2に接続されるか、または組込まれる。それには、カメラ1.2および入力要素2.1、2.2(キー、6Dマウス)が設けられる。カメラ1.2は上述の態様でその位置を判定することができ、したがって、視覚装置1.1の位置を判定することができ、入力要素2.1、2.2によってロボットデータを操作するための入力を人間のユーザによって入力することができる。これ以外は、図5による構成は図4の構成に対応する。
【0079】
図6は、図2のこの発明の装置に関するブロック図である。視覚装置1.1は強化現実眼鏡に組込まれ、これはカメラ1.2を備えてもよい。眼鏡は、カメラ画像を経由してではなく現実世界を直接認識することができ、かつコンピュータによって生成された情報のみがフェードインされるシースルーの種類のものであってもよい。たとえば、入力キー2.1および/または6Dマウス2.2を備えた手動プログラム機2などの空間的入力要素とは別に、空間的視覚装置1.1が物理的に離れた形で設けられる。これ以外は、図6のブロック図は図4に対応する。
【0080】
手動プログラム機2の形の入力装置は、それが視覚装置1.1として働く程度で、異なる構成、たとえば、異なる入力装置として設けてもよく、異なる視覚装置を設けてもよい。特に後者についてはこれに関して既に説明した。
【0081】
図7aから図7cは、現実環境の領域とともに視覚装置1.1上のあり得る表現を示し、たとえば、ロボット7またはそれによって機械加工される工作物8などの現実環境の領域およびロボット特有のコンピュータによって生成された情報が現実環境のこの画像にフェードインされ、そこに接続される。溶接トングなどのツール7.1を備えた現実のロボット7の画像を用いて、それに関連付けられる座標系、たとえば、座標X+、Y+、Z+を備え静止した世界座標系K1などを生成することが可能である。座標系K+は、置換された座標X′+、Y′+、X′+を備えたTCPへと平行に置換された世界座標系である。世界座標系K1の原点は、ロボット7のベース7aの対称軸と背景との交点にあり、座標系K2の原点はハンドフランジの中央にあり、またはツールが存在するときは、ツール中央点へと置換される。座標系を表現することによって、特にプログラム機上の置換キーによって手動でロボットにデカルトの動きをさせる際の支援が得られる(図7a)。
【0082】
図7aの黒の矢印Vは、ロボットの動く準備ができていない限り、動く準備ができた場合の動きの方向およびスピードをその方向および長さで視覚化する。ロボットが動くと、矢印Vはロボットシステムの実際の動きの方向およびスピードを視覚化する。
【0083】
ロボットプログラムの準備、適合またはテストを容易にするため、機械加工される工作物8を現実のロボット7の画像と関連付けてコンピュータによって生成された態様で視覚化してもよい。シミュレーションされる構成要素8′は、ロボットプログラムの準備、適合およびテスト中に基準を形成する。シミュレーションされる構成要素8′の使用は、現実の構成要素8が嵩張るかまたは工場内でのユーザ4の自由な動きを妨げる場合にも有利である(図7b)。
【0084】
図7cは、手動でのデカルトの動きにおけるAR支援としての、座標X3+、Y3+、Z3+を備えたツール座標系K3のフェードインの図である。」
c 「【0091】
特にプログラム機上の動きのキーを用いた手動によるロボットの軸に特有の動きの支援に対して、さらに座標系の代わりにロボットの軸A1からA6を表示することができる。すなわち、それらは画像内の実際の軸に一致するように現実のロボット7の画像にフェードインされる。さらに、対応する軸のまわりの正および負の回転の方向を表示してもよい(図8)。軸の視覚化は、単一接合構成の近くにいるユーザに対して1つまたは複数の軸がそれらの最大の加速度またはスピードの限界に達することを示すことで手動でのデカルトの動きに役立つ可能性がある。」
(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1に記載された技術は、ロボット7、ロボット制御6、処理ユニット5、強化現実眼鏡に組込まれた視覚装置1.1、カメラ1.2及び手動プログラム機2からなるものである(【0076】、【0078】、【0079】、【0081】)。
b 段落【0078】の「カメラ1.2は上述の態様でその位置を判定することができ、したがって、視覚装置1.1の位置を判定することができ」との記載から、カメラ1.2によって、視覚装置1.1の位置を判定することが記載されている。
c 段落【0079】の「眼鏡は、カメラ画像を経由してではなく現実世界を直接認識することができ、かつコンピュータによって生成された情報のみがフェードインされるシースルーの種類のものであってもよい。」の記載の「シースルーの種類のものであってもよい」との記載から、「シースルー」でない場合、すなわち、眼鏡がカメラ画像を経由して現実世界を認識する場合が理解できる。
d 段落【0081】には、視覚装置1.1には、現実環境のロボット7の画像にコンピュータによって生成された情報がフェードインされることが記載されている。そして、フェードインされる情報は、段落【0082】に、ロボットシステムの実際の動きの方向およびスピードであることが記載され、別の態様として、段落【0091】に、図8のような、軸の視覚化であり、最大の加速度またはスピードの限界に達することを示すことが記載されている。
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ロボット7と、
前記ロボット7を制御するロボット制御6と、
前記ロボット制御6に接続され、前記ロボット7を含むシーンの映像を取り込んでリアルタイムに表示する機能を有する、カメラ1.2、処理ユニット5、視覚装置1.1及び手動プログラム機2と、を備え、
前記視覚装置1.1は、前記視覚装置1.1にリアルタイムに表示された映像に対し、最大の加速度またはスピードの限界に達することを示す軸の視覚化された情報を重畳して表示する強化現実眼鏡を有する、技術。」
イ 引用文献2
(ア)同じく原査定に引用され、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平9-212219号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。
「【0031】そして、この操作パネルにおいて、オペレータがアームa2 の上下動指示或いはアームa2 の回動指示等をキーボード20,マウス21等によって設定することによって、演算処理部11では設定値に応じた量だけアームa2 を移動させるためのアクチュエータAcに対する制御信号を形成し、これを出力する。これによって、アクチュエータAcが作動し制御信号に応じた量だけ各可動部を移動させる。この可動部の動きをセンサSeが検出し、その検出情報が演算処理部11に入力されると、演算処理部11では、この検出情報及び仮想カメラのカメラ条件を読み込み(ステップS11,S12)、その検出情報と、前記グループオブジェクトとに基づいて前記と同様に表示情報を形成する(ステップS13)。また、同様にしてセンサSeの検出情報に基づいて異常監視処理を行う(ステップS14)。
【0032】このとき、異常がなければ上記と同様に表示情報に基づいて画像情報を形成しこれを画像メモリ13に書き込むことにより、表示装置24には実際のロボットの動作状況と同様に動作した三次元仮想モデルが表示される。そして、異常が発生した場合には、表示情報をもとに三次元仮想モデルの、異常発生箇所に対応する位置にスポットライトを当てる画像情報を形成し(ステップS17)、これを画像メモリ13に書き込む。これによって、表示装置24には、異常発生箇所にスポットライトが当てられた三次元仮想モデルが表示され、異常発生箇所が明示される。」
(イ)上記記載から、引用文献2には、次の技術が記載されていると認められる。
「異常が発生した場合に、異常発生箇所にスポットライトが当てられた画像を表示する技術。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「ロボット7」は、本件補正発明の「ロボット」に相当し、引用発明の「ロボット制御6」は、本件補正発明の「制御装置」に相当し、引用発明の「カメラ1.2」は、本件補正発明の「ビデオカメラ」に相当し、引用発明の「強化現実眼鏡」は、本件補正発明の「拡張現実対応ディスプレイ」に相当する。
する。
(イ)引用発明の機能からして、引用発明の「カメラ1.2、処理ユニット5、視覚装置1.1及び手動プログラム機2」が、本件補正発明の「教示操作盤」に相当する。
(ウ)引用発明は、全体を総称した用語が示されていないので、引用発明の認定において、末尾を単なる「技術」と認定したが、この「技術」は、実質的に本件補正発明の「ロボットシステム」に相当する。
(エ)引用発明の「最大の加速度またはスピードの限界に達することを示す軸の視覚化された情報」は、ディスプレイに表示される「情報」である点では、本件補正発明の「検出された前記ロボットの異常箇所の一部又は全体の発光表示」に対応する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「ロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
前記制御装置に接続され、前記ロボットを含むシーンの映像を取り込んでリアルタイムに表示する機能を有する、ビデオカメラが搭載された教示操作盤と、を備え、
前記教示操作盤は、前記教示操作盤にリアルタイムに表示された映像に対し、情報を、重畳して表示する拡張現実対応ディスプレイを有する、ロボットシステム。」
【相違点1】
本件補正発明は、「前記ロボットを含むシーンの映像に基づいて、前記ビデオカメラと前記ロボットとの間の相対位置角度を計測する計測部」を有し、「前記計測部により計測された相対位置角度に基づいて」情報を重畳して表示するのに対し、引用発明は、当該構成について特定されていない点。
【相違点2】
本件補正発明は、重畳して表示される情報が「検出された前記ロボットの異常箇所の一部又は全体の発光表示」であるのに対し、引用発明は、「最大の加速度またはスピードの限界に達することを示す軸の視覚化された情報」である点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
上記(2)ア(イ)bに示したように、引用文献1には、カメラ1.2によって、視覚装置1.1の位置を判定することは示されている。
したがって、引用発明も、位置を判定するための装置は当然に有しているところであり、位置の判定のためには、ロボットに対しての相対位置を計算することは十分想到しうる事項にすぎず、相違点1は、当業者が容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
引用発明において、軸の動きの加速度またはスピードが限界に達したことを示すことは、一種の異常な状態を示すことといえる。その際に、引用文献1の図8に示された、軸回りの矢印がどのような表示となって、限界であることが示されるのかは、記載されていないが、異常を表示する際に、異常発生箇所にスポットライトが当てられるようにすることは、引用文献2に示されており、相違点2は、当業者が容易に想到し得たことである。
ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
エ したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年3月21日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年11月15日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
本願発明は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項7を補正したものであり、原査定の拒絶の理由は、願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項7に係る発明は、本願の出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2004-243516号公報
引用文献2:特開平9-212219号公報(なお、拒絶理由通知書の表記は「引用文献4」であるが、前記第2の[理由]2(2)イの記載に合わせて、「引用文献2」とした。)
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び2並びにそれらの記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「ビデオカメラが搭載された教示操作盤」、「拡張現実対応ディスプレイ」、「前記計測部により計測された相対位置角度に基づいて重畳して表示する」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 審判請求人の主張について
審判請求人は、平成29年7月18日に提出の上申書において「本願発明と引用文献1-3との差異をより明確にすべく、本願請求項1の記載を、後述(3)のように補正すること、具体的には、「検出された前記ロボットの異常箇所の一部又は全体の発光表示」なる記載を『異常が検出された前記ロボットの旋回胴を駆動するモータの一部又は全体の、速度オーバライドの現在値に応じて発光強度を変化させる発光表示』に限定する補正を検討しております。」と記載している。
審決において補正案を検討すべき法的根拠はないが、一応検討すると、引用文献1には、最大の加速度またはスピードの限界に達することを示す軸の視覚化された情報を示す旨が示されているところ、「ロボットの旋回胴を駆動するモータ」の補正では、引用文献1の「軸」との差異は認められないし、「速度オーバライドの現在値に応じて発光強度を変化させる」に関しても、引用文献1の段落【0082】に「動きの方向およびスピードをその方向および長さで視覚化する。」と記載されているのであるから、引用文献1の図8に示された矢印を、速度に応じて長さを変化させることは十分に想到しうるところ、速度を表示する際に長さを変化させるか発光強度を変化させるかに格別の相違があるものとは認められない。
したがって、仮に補正案のように補正したとしても、補正後の発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2017-004063