特許拒絶査定不服審判
2017-003063
文脈的関連コンテンツを取得するための方法及び装置
- 審判番号
- 2017-003063
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-131335外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年03月01日
- 審決日
- 2018年02月19日
- 公報発行日
- 2018年04月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】クゥアルコム・インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】福原 淑弘
- 【請求人代理人】井関 守三
- 【請求人代理人】岡田 貴志
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-131335「文脈的関連コンテンツを取得するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月10日出願公開、特開2015-222578、請求項の数(28)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2009年12月11日(パリ条約による優先権主張日外国庁受理2008年12月11日、米国、2009年10月28日、米国)を国際出願日とする特願2011-540942号の一部を平成26年5月2日に新たな特許出願とした特願2014-95479号の一部を平成27年6月30日に新たな特許出願(特願2015-131355号)としたものであって、平成28年10月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年3月1日に審判の請求がされ、その後、平成29年8月31日付けで当審より拒絶理由が通知され、平成30年1月5日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年10月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-28に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2008-203014号公報
B.特表2007-511116号公報
C.特開2003-101644号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
理由A(特許法第36条第6項第1号)について
本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由B(特許法第29条第2項)について
本願請求項1-28に係る発明は、引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2007-511116号公報(拒絶査定時の引用文献B)
2.特開2008-203014号公報(拒絶査定時の引用文献A)
3.特開2003-101644号公報(拒絶査定時の引用文献C)
第4 本願発明
本願請求項1-28に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明28」という。)は、平成30年1月5日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-28に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
ワイヤレス通信機器(WCD)が文脈的関連コンテンツを取得する方法であって、
前記ワイヤレス通信機器から宛先機器に宛先機器認識情報を送信することと、
前記宛先機器から前記ワイヤレス通信機器へ宛先機器受入識別情報を送信することと、
前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との呼を確立するために、前記宛先機器受入識別情報に基づいて第1の通信経路を通して前記ワイヤレス通信機器と前記宛先機器との間の接続の開始を検出すること、
前記ワイヤレス通信機器が前記検出された前記接続の開始および前記宛先機器に基づいて、宛先機器識別アイテムを取得すること、
前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との前記呼を確立しながら前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること、ここにおいて、前記コンテキストコンテンツサーバが、受信された前記宛先機器識別アイテムを処理することによって1つ以上の文脈的関連コンテンツアイテムを決定する、
前記ワイヤレス通信機器が前記コンテキストコンテンツサーバから、1つ以上の前記文脈的関連コンテンツアイテムのうちの少なくとも1つを受信すること、
ここにおいて、前記コンテキストコンテンツサーバが、前記宛先機器識別アイテムから構文解析されたテキストコンテンツと、前記宛先機器識別アイテムに関連する企業又は企業カテゴリーと、広告サーバから取得された情報と、勧告サーバから取得された情報と、前記ワイヤレス通信機器に関連するモバイル事業者から取得された情報とのうちの少なくとも1つに関して1つ以上の前記文脈的関連コンテンツアイテムの関連性を決定する、
を含む、方法。」
本願発明2-12は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明13-15は、本願発明1にそれぞれ対応する「プロセッサ」、「コンピュータ可読記憶媒体」、「装置」の発明である。
本願発明16は、本願発明1に対応する「ワイヤレス通信装置」の発明である。
本願発明17-28は、本願発明16を減縮した発明である。
第5 当審拒絶理由の理由B(特許法第29条第2項)について
1.引用文献、引用発明等
(1) 引用文献1及び引用発明
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
ア 段落[0003]
「[0003]
一実施形態では、電話機のユーザに対する広告の配信は、ユーザの関心を宛先電話番号で検出し、該宛先電話番号のカテゴリを判定し、及び該宛先電話番号のカテゴリに基づいて広告をユーザに提供することにより行われる。例えば、所与の宛先電話番号へのユーザによる発呼を検出することが可能である。次いでデータベースを調べて、該宛先電話番号が特定の業務カテゴリ(例えば、レストラン、映画館、航空会社等)に属しているか否かを判定することが可能である。該宛先電話番号が特定の業務カテゴリに属している場合に、それに類似した業務に関する広告を該電話機のユーザに提供することが可能である。利点の中でも特に、これは、関連する広告を電話機のユーザに配信することを可能にする。」
イ 段落[0009]
「[0009]
電話網100において、電話機110は、インフラストラクチャ102を介してPSTN103に結合された無線携帯電話機として示されている。電話機102はまた、例えば、陸線を介してPSTN103に結合された有線電話機とすることが可能である。電話機102は、ディスプレイ112及びキーパッド113を含むことが可能である。プロセッサ及びメモリといった電話機102の内部的な構成要素は図示していない。電話機102は、ウェブブラウザを実行してインターネットへ接続し、ビデオゲームをプレイし、パーソナルディジタルアシスタントプログラム(例えば、カレンダーや連絡先)を実行し、地図を表示し、及びディジタル写真を撮影し送信すること等を可能にする、マルチメディア能力を有することが可能である。」
ウ 段落[0012]
「[0012]
電話会社は、POTS(Plain Old Telephone Service)インフラストラクチャを運営するものである必要はない。例えば、電話会社は、例えば、電話網100を介して電話機110に広告を時折配信する権利の代償として無料又は割引価格で電話機110を単に提供することが可能である。本開示の目的上、用語「広告」は、製品(すなわち商品及びサービス)のマーケティング及び販売に関係する広告に限定されるものではない、ということに留意されたい。広告は、あらゆる有償のメッセージを含むことが可能である。非製品関連広告の一例として政治運動が挙げられる。」
エ 段落[0024]-[0032]
「[0024]
図3を参照すると、本発明の一実施形態による電話機のユーザへ広告を配信するための方法のフローチャートが示されている。図3は、発呼側の電話機を使用して実行されるステップ、電話会社のシステムにより実行されるステップ、及び宛先の電話機を使用して実行されるステップに従って分割されている。既述のように、「電話会社」はPOTSインフラストラクチャを運営するものである必要はない。このため、図3の例では、「電話会社」により実行されるステップは、電話網100内のあらゆるサービスプロバイダにより、又は電話網100内でサービスを提供する複数の会社の組み合わせにより、実行することが可能である。例えば、ステップ304,306,308は、電話機110に監視用ソフトウェアを提供し電話網100に結合された広告サーバを運営するサービスプロバイダにより実行することが可能であり、ステップ312はPOTS会社により実行することが可能である。本書で開示する電話広告配信技術は、本発明の利点を損なうことなく、あらゆるサービスプロバイダにより、あらゆる適当なハードウェア及びソフトウェアを使用して、実行することが可能である。
[0025]
ステップ302で、発呼側の電話機(例えば電話機110)を使用して宛先電話番号(例えば電話機120の電話番号)への発呼が行われる。
[0026]
ステップ304で、電話会社のシステムが該宛先電話番号への発呼を検出する。
[0027]
ステップ306で、該宛先電話番号のカテゴリが判定される。該ステップ306は、データベースをサーチする(例えば表1を参照する)ことにより実行することが可能である。
[0028]
ステップ308で、該宛先電話番号のカテゴリに対応する広告が発呼側の電話機へ送られる。広告は、電話会社により運営されるコンテンツサーバ内に格納し、発呼側の電話機に配信するために引き出すことが可能である。各広告は、そのカテゴリを示すタグと共に格納することが可能である。例えば、シーフードレストランの広告は、タグ「レストラン」、「シーフード」、及び「San Jose, CA」を有することが可能である。これにより、カテゴリ「レストラン」、「シーフード」、及び/又は「San Jose, CA」内にある宛先電話番号に関連する全ての広告を取り出すことが可能になる。電話会社はまた、広告を配信させるために個々の広告主が支払った代金に従って広告をランク付けすることが可能である。高くランク付けされた広告は、低くランク付けされた広告よりも高い配信優先順位を有することが可能である。例えば、発呼側の電話機に4つの広告しか配信することができず、20の関連する広告が存在する場合に、その20の関連する広告のうちランクが最も高い4つの広告を配信することが可能である。発呼側の電話機に配信される該4つの広告のうち、最も高いランクの広告をディスプレイ112の一番上に配置し、2番目に高いランクの広告をその次に配置する(以下同様)、といったことが可能である。該ランク付けは、各広告と共にコンテンツサーバ内に格納されるタグで指定することが可能である。電話会社は、各カテゴリ内の各ランク毎に固定料金を指定することが可能であり、又はランク付けのために広告主による入札を行うことが可能である。電話会社は、例えば、各広告が配信される度に、又は電話がつながる(すなわちユーザが実際に広告主の電話番号を発呼する)度に、広告主に料金を請求することが可能である。本発明に鑑み、本発明の利点を損なうことなく、広告の配信に対する広告主への料金の徴収に関する他の技術を用いることが可能である、ということが当業者には理解されよう。
[0029]
ステップ310で、発呼側の電話機が広告を受信する。
[0030]
ステップ312で、発呼側の電話機により行われた電話が宛先電話番号へ経路指定される。図3の実施形態では、広告は、電話が経路指定される前に配信される。用途によっては、広告を、電話の後、又は電話中に(例えば音なし広告)、配信することも可能である。
[0031]
ステップ314で、宛先電話機が発呼側の電話機からの電話を受ける。
[0032]
ステップ316,318で、発呼側及び宛先の電話機のユーザが通話を行うことになる。」
オ 段落[0034]
「[0034]
ユーザにより使用される電話機に応じて、広告は、グラフィカルインタフェイスを利用することも可能である。図5は、Joe’s Seafood Cuisineの広告を表示している例示的なポップアップウィンドウ502を示している。ウィンドウ502は、例えば広告されている企業に電話するため又は地図及びクーポンを受信するために叩くことができるハイパーリンク503を含む。本発明の利点を損なうことなく、他のプレゼンテーション手段を用いて広告を表示することが可能である。」
よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「電話機のユーザに対する広告の配信は、ユーザの関心を宛先電話番号で検出し、該宛先電話番号のカテゴリを判定し、及び該宛先電話番号のカテゴリに基づいて広告をユーザに提供することにより行われる、方法であって、
例えば、所与の宛先電話番号へのユーザによる発呼を検出することが可能であり、
電話機110は、インフラストラクチャ102を介してPSTN103に結合された無線携帯電話機であり、
用語「広告」は、製品(すなわち商品及びサービス)のマーケティング及び販売に関係する広告に限定されるものではなく、あらゆる有償のメッセージを含むことが可能であり、非製品関連広告の一例として政治運動が挙げられ、
「電話会社」により実行されるステップは、電話網100内のあらゆるサービスプロバイダにより、又は電話網100内でサービスを提供する複数の会社の組み合わせにより、実行することが可能であり、例えば、ステップ304,306,308は、電話機110に監視用ソフトウェアを提供し電話網100に結合された広告サーバを運営するサービスプロバイダにより実行することが可能であり、ステップ312はPOTS(Plain Old Telephone Service)会社により実行することが可能であり、
ステップ302で、発呼側の電話機(例えば電話機110)を使用して宛先電話番号(例えば電話機120の電話番号)への発呼が行われ、
ステップ304で、電話会社のシステムが該宛先電話番号への発呼を検出し、
ステップ306で、該宛先電話番号のカテゴリが判定され、該ステップ306は、データベースをサーチすることにより実行するものであり、
ステップ308で、該宛先電話番号のカテゴリに対応する広告が発呼側の電話機へ送られ、広告は、電話会社により運営されるコンテンツサーバ内に格納し、発呼側の電話機に配信するために引き出すものであり、各広告は、そのカテゴリを示すタグと共に格納するものであり、例えば、シーフードレストランの広告は、タグ「レストラン」、「シーフード」、及び「San Jose, CA」を有することが可能であり、これにより、カテゴリ「レストラン」、「シーフード」、及び/又は「San Jose, CA」内にある宛先電話番号に関連する全ての広告を取り出すものであり、Joe’s Seafood Cuisineの広告を表示しているポップアップウィンドウ502は、例えば広告されている企業に電話するため又は地図及びクーポンを受信するために叩くことができるハイパーリンク503を含み、
ステップ310で、発呼側の電話機が広告を受信し、
ステップ312で、発呼側の電話機により行われた電話が宛先電話番号へ経路指定され、広告は、電話が経路指定される前に配信されるものであり、用途によっては、広告を、電話の後、又は電話中に(例えば音なし広告)、配信することも可能であり、
ステップ314で、宛先電話機が発呼側の電話機からの電話を受け、
ステップ316,318で、発呼側及び宛先の電話機のユーザが通話を行う、
電話機のユーザへ広告を配信するための方法。」
(2) 引用文献2
当審拒絶理由に引用した引用文献2には、図面(特に、図5「ステップA20」、図6「ステップA33」)とともに、以下の記載がある。
ア 段落[0025]-[0035]
「[0025]
図4~図7は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話装置1の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、携帯電話装置1において、CPU11は、電話通信部15を作動させて現在位置を登録する待受処理を行うと共に(図4のステップA1)、電話着信有無をチェックしたり(ステップA2)、何らかの操作有無をチェックしたりしながら待受状態となる(ステップA3)。この待受状態において、電話着信有りを検出すると(ステップA2でYES)、着信メロディなどを発生出力させる着信報知を行うと共に、その相手との回線接続に応じて通話処理を実行する(ステップA4)。
[0026]
その後、通話終了(回線遮断)を検出すると(ステップA5でYES)、今回の着信に「遠隔コード」が付加されていたかを調べる(ステップA6)。この「遠隔コード」は、外部端末からナビゲーション機能の自動起動を遠隔指示するもので、例えば、子供所持の携帯電話装置1に対してそのナビゲーション機能の起動が親などの特定相手端末から遠隔指示された際に、その発信信号に付加されるもので、電話着信側において、電話番号の前に付加されている遠隔コード“777”を検出すると(ステップA6でYES)、CPU11は、この発信元(通信相手)の「電話番号」に基づいてアドレス帳ADを検索し、その相手に対応して「特定相手フラグ」がセットされているか否かによって特定相手からの遠隔指示であるか否かをチェックする(ステップA7)。
[0027]
いま、特定相手からの遠隔指示でなければ(ステップA7でNO)、この指示を無効とするために待受状態に戻るが(ステップA1)、特定相手から遠隔指示を受けたときには(ステップA6でYES)、アドレス帳ADを参照し、特定相手に対応する「属性」をチェックし(ステップA8)“固定”がセットされているか、“移動”がセットされているかを調べる(ステップA9)。ここで、特定相手の「属性」が“固定”であれば、ナビゲーション機能(ナビアプリ)を起動したのち(ステップA10)、この特定相手対応の「固定位置情報」をアドレス帳ADから読み出し(ステップA11)、この「固定位置情報」をナビゲーション機能の目的地としてセットする(ステップA12)。
[0028]
そして、現在位置から目的地までの経路地図を取得して表示するナビゲーション処理に移る(ステップA13~A17)。すなわち、GPS受信部22から現在位置を受信取得すると共に(ステップA13)、管理サーバ3に対して、現在位置から目的地までの経路地図を要求したのち(ステップA14)、この要求に応答して管理サーバ3から経路地図を受信取得すると(ステップA15)、この経路地図をナビゲーション画面に表示させる(ステップA16)。そして、現在位置と目的地の位置とを比較して両者はほぼ一致するか、つまり、目的地に到着したかを調べ(ステップA17)、目的地に到着していなければ(ステップA17でNO)、上述のステップA15に戻り、以下、目的地に到着するまで上述の動作を繰り返す。なお、目的地に到着した場合には(ステップA17でYES)、上述の待受状態に戻る(ステップA1)。
[0029]
また、特定相手の「属性」に“移動”であれば(ステップA9でNO)、図5のフローに移り、ナビアプリを起動させたのち(ステップA18)、GPS受信部22から自己の現在位置を取得する(ステップA19)。そして、自己の端末位置から相手の端末位置までの経路案内要求を自己の端末位置と相手の電話番号と共に管理サーバ3に対して送信する(ステップA20)。これによって管理サーバ3側では、この経路案内要求に応答して後述する経路地図作成処理(図8のフロー)を実行する。
・・・(中略)・・・
[0034]
「キッズモード」に設定されている状態において、「ナビボタン」が操作された場合には(ステップA27でYES)、アドレス帳ADを検索し、「特定相手フラグ」がセットされている全ての相手を読み出してメニュー表示させる(ステップA31)。なお、図3の例では、父、母、祖父母の「名前」あるいは「似顔絵」がメニュー表示され、その中から任意の相手が選択されると(ステップA32)、その選択相手に対応する「電話番号」をアドレス帳ADから読み出して電話発信を行ったのち(ステップA33)、その特定相手との回線接続に応じて通話処理を行う(ステップA34)。
[0035]
その後、通話終了(回線遮断)を検出すると(ステップA35でYES)、図4のステップA8に移り、上述と同様に、特定相手に対応する「属性」が“固定”であれば(ステップA9でYES)、その「固定位置情報」を目的地としてセットして、この目的地までの経路地図を表示するナビゲーション処理を実行するが(ステップA10~A17)、「属性」が“移動”であれば(ステップA9でNO)、その特定相手の端末位置までの経路案内要求を管理サーバ3に対して行い、この経路案内要求に応じて管理サーバ3から受信した経路地図を表示するナビゲーション処理を実行する(ステップA18~A24)。」
(3) 引用文献3
当審拒絶理由に引用した引用文献3には、図面(特に、図6「ステップA16」、「ステップA22」)とともに、以下の記載がある。
ア 段落[0041]-[0045]
「[0041]図6は端末側のメール送信時の処理動作を示すフローチャートである。
・・・(中略)・・・
[0043]端末Bのメールアドレスがアドレス帳テーブル23aに登録されていれば(ステップA14のYes)、端末Aはアドレス帳テーブル23aから端末Bの地域に対応したDB番号を抽出する(ステップA15)。そして、ネットワーク2に接続されたセンター装置3に問い合わせ(1)を行って、前記DB番号に基づいて端末Bの地域に対応した気象情報を情報DB5から取得する(ステップA16、A17)。一方、端末Bのメールアドレスがアドレス帳テーブル23aに登録されていなかった場合には(ステップA14のNo)、端末Aは後述するアドレス未登録対応処理(1)を行って、端末Bの地域に対応した気象情報を情報DB5から取得する(ステップA18)。
・・・(中略)・・・
[0045]以後は、通常のメール送信処理と同じであり、メール文の入力後、送信ボタンの押下によりメール送信が指示されると(ステップA20、A21)、前記入力された送信先アドレスに基づいてメールデータの送信が行われる(ステップA22)。」
イ 段落[0091]
「[0091]まず、端末Aにおいて、ユーザが発呼先の電話番号を入力する(ステップH11)。電話番号が入力されると、端末Aはこの入力された電話番号から発呼先の地域を特定する(ステップH12)。この場合、発呼先とは端末Bのことであり、端末Aではアドレス帳テーブル23aを参照して電話番号から端末Bのユーザが存在する地域を判断する。なお、アドレス帳テーブル23aに端末Bのアドレス帳情報が登録されていなかった場合には、入力された電話番号の市街局番や国番号などから相手の地域を推測するものとする。」
ウ 段落[0111]
「[0111]なお、前記電子メールの送受信時と同様に、センター装置3から情報端末装置1a、1b、1c…に提供する情報は気象情報に限らず、例えば各地域のニュースなどの情報をセンター装置3の情報DB5に登録しておけば、端末側でそれらの情報を通話時に得ることができ、さらに話題性に富んだ会話を行うことができる。」
2.対比・判断
(1) 本願発明1について
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、
引用発明における、
「無線携帯電話機であ」る「電話機110」、
「ユーザの関心を宛先電話番号で検出し、該宛先電話番号のカテゴリを判定し、及び該宛先電話番号のカテゴリに基づいて」提供される「広告」、
「宛先電話機」、
「宛先電話番号」は、
本願発明1における、
「ワイヤレス通信機器(WCD)」、
「文脈的関連コンテンツ」、
「宛先機器」、
「宛先機器認識情報」及び「宛先機器識別アイテム」、
に相当する。
イ 引用発明の「電話機のユーザへ広告を配信するための方法」は、本願発明1の「ワイヤレス通信機器(WCD)が文脈的関連コンテンツを取得する方法」に相当する。
ウ 引用発明の「ステップ302」は、「発呼側の電話機(例えば電話機110)を使用して宛先電話番号(例えば電話機120の電話番号)への発呼が行われ」るステップであるから、本願発明1の「前記ワイヤレス通信機器から宛先機器に宛先機器認識情報を送信すること」に相当する。
エ 引用発明には、本願発明1の「前記宛先機器から前記ワイヤレス通信機器へ宛先機器受入識別情報を送信すること」に対応するステップは存在しない。
オ 引用発明の「ステップ304」は、「電話会社のシステムが該宛先電話番号への発呼を検出」するステップであって、ここで「発呼」が、「発呼側の電話機」と「電話会社のシステム」間の何らかの「通信経路」を介して行われていることは自明といえるから、本願発明1の「前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との呼を確立するために、前記宛先機器受入識別情報に基づいて第1の通信経路を通して前記ワイヤレス通信機器と前記宛先機器との間の接続の開始を検出すること」と、「前記宛先機器との呼を確立するために、第1の通信経路を通して前記ワイヤレス通信機器と前記宛先機器との間の接続の開始を検出すること」である点で共通するといえる。
カ 引用発明には、本願発明1の「前記ワイヤレス通信機器が前記検出された前記接続の開始および前記宛先機器に基づいて、宛先機器識別アイテムを取得すること」に対応するステップは存在しない。
キ 文脈的関連コンテンツアイテムの決定について
(ア) 引用発明の「ステップ306」は、「該宛先電話番号のカテゴリが判定され」るステップであって、「ステップ302」の発呼と、「ステップ312」の宛先電話番号(宛先電話機)への「経路指定」によって「ステップ314」で宛先電話機が電話を受けるステップとの間で実行されているステップであるから、「前記宛先機器との呼を確立しながら」行われるステップであるといえる。
(イ) 引用発明の「電話会社により運営されるコンテンツサーバ」などを含む「電話会社のシステム」は、本願発明1の「コンテキストコンテンツサーバ」に相当する。
引用発明の「ステップ306で、該宛先電話番号のカテゴリが判定され」ることの前提として、何らかの手段で、「宛先電話番号」が「電話会社のシステム」に送信されていることは明らかである。
そして、このことは、本願発明1の「前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との前記呼を確立しながら前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること」と、「前記宛先機器との前記呼を確立しながら、宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること」である点で共通するといえる。
(ウ) 引用発明の「ステップ306で、該宛先電話番号のカテゴリが判定され、該ステップ306は、データベースをサーチすることにより実行するものであり」、「ステップ308で、該宛先電話番号のカテゴリに対応する広告が発呼側の電話機へ送られ」ることは、本願発明1の「前記コンテキストコンテンツサーバが、受信された前記宛先機器識別アイテムを処理することによって1つ以上の文脈的関連コンテンツアイテムを決定する」ことに相当する。
ク 引用発明の「ステップ310」は、「発呼側の電話機が広告を受信」するステップであるから、本願発明1の「前記ワイヤレス通信機器が前記コンテキストコンテンツサーバから、1つ以上の前記文脈的関連コンテンツアイテムのうちの少なくとも1つを受信すること」に相当する。
ケ 引用発明の「ステップ306で、該宛先電話番号のカテゴリが判定され、該ステップ306は、データベースをサーチすることにより実行するものであり」、「ステップ308で、該宛先電話番号のカテゴリに対応する広告が発呼側の電話機へ送られ、広告は、電話会社により運営されるコンテンツサーバ内に格納し、発呼側の電話機に配信するために引き出すものであり、各広告は、そのカテゴリを示すタグと共に格納するものであり、例えば、シーフードレストランの広告は、タグ「レストラン」、「シーフード」、及び「San Jose, CA」を有することが可能であり、これにより、カテゴリ「レストラン」、「シーフード」、及び/又は「San Jose, CA」内にある宛先電話番号に関連する全ての広告を取り出すものであ」り、「例えば、ステップ304,306,308は、電話機110に監視用ソフトウェアを提供し電話網100に結合された広告サーバを運営するサービスプロバイダにより実行することが可能であ」ることは、本願発明1の「前記コンテキストコンテンツサーバが、前記宛先機器識別アイテムから構文解析されたテキストコンテンツと、前記宛先機器識別アイテムに関連する企業又は企業カテゴリーと、広告サーバから取得された情報と、勧告サーバから取得された情報と、前記ワイヤレス通信機器に関連するモバイル事業者から取得された情報とのうちの少なくとも1つに関して1つ以上の前記文脈的関連コンテンツアイテムの関連性を決定する」ことに相当する。
よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
<一致点>
「ワイヤレス通信機器(WCD)が文脈的関連コンテンツを取得する方法であって、
前記ワイヤレス通信機器から宛先機器に宛先機器認識情報を送信することと、
前記宛先機器との呼を確立するために、第1の通信経路を通して前記ワイヤレス通信機器と前記宛先機器との間の接続の開始を検出すること、
前記宛先機器との前記呼を確立しながら、宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること、ここにおいて、前記コンテキストコンテンツサーバが、受信された前記宛先機器識別アイテムを処理することによって1つ以上の文脈的関連コンテンツアイテムを決定する、
前記ワイヤレス通信機器が前記コンテキストコンテンツサーバから、1つ以上の前記文脈的関連コンテンツアイテムのうちの少なくとも1つを受信すること、
ここにおいて、前記コンテキストコンテンツサーバが、前記宛先機器識別アイテムから構文解析されたテキストコンテンツと、前記宛先機器識別アイテムに関連する企業又は企業カテゴリーと、広告サーバから取得された情報と、勧告サーバから取得された情報と、前記ワイヤレス通信機器に関連するモバイル事業者から取得された情報とのうちの少なくとも1つに関して1つ以上の前記文脈的関連コンテンツアイテムの関連性を決定する、
を含む、方法。」
[相違点1]
「接続の開始」を検出する主体が、本願発明1では、「前記ワイヤレス機器」であるのに対して、引用発明では、「電話会社のシステム」であって端末機器ではなく、
また、「接続の開始」を検出する契機が、本願発明1では、「前記宛先機器受入識別情報に基づいて」接続の開始を検出するものであるのに対して、引用発明では、「宛先電話番号への発呼」を行う場合であり、「前記宛先機器から前記ワイヤレス通信機器へ宛先機器受入識別情報を送信する」場合に、「前記宛先機器」から送信される「前記宛先機器受入識別情報」に基づいて、接続の開始を検出するものではない点。
[相違点2]
本願発明1の方法は、「前記ワイヤレス通信機器が前記検出された前記接続の開始および前記宛先機器に基づいて、宛先機器識別アイテムを取得すること」を含むのに対して、引用発明の方法は、このようなことは特定されていない点。
[相違点3]
本願発明1の方法は、「前記ワイヤレス通信機器が」前記宛先機器との前記呼を確立しながら「前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して」前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信することを含むのに対して、引用発明の方法は、「前記ワイヤレス通信機器が」、「前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して」、前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信することは特定されていない点。
ク 相違点についての判断
事例に鑑みて、上記[相違点2]、[相違点3]について先に検討する。
本願発明1の上記[相違点2]、[相違点3]に係る、「前記ワイヤレス通信機器が前記検出された前記接続の開始および前記宛先機器に基づいて、宛先機器識別アイテムを取得すること」、「前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との前記呼を確立しながら前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること」すなわち、宛先機器からワイヤレス通信機器に送信される「宛先機器受入識別情報」に基づいて「接続の開始」を検出すると、ワイヤレス通信機器が、「宛先機器識別アイテム」を取得して、宛先機器との呼を確立しながら、コンテキストコンテンツサーバに「宛先機器識別アイテム」を送信することは、上記引用文献1-3に記載されていない。
一般に、端末機器と、サーバ間の通信制御において、端末機器側において、各種の制御を実行するように構成する点は、周知技術である(必要ならば、例えば、上記「1(2)」、「1(3)」における、引用文献2、引用文献3の摘記箇所を参照。)。
しかし、上記[相違点2]、[相違点3]に係る、宛先機器からワイヤレス通信機器に送信される「宛先機器受入識別情報」に基づいて「接続の開始」を検出すると、ワイヤレス通信機器が、宛先機器との呼を確立しながら、コンテキストコンテンツサーバに「宛先機器識別アイテム」を送信することは、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
なお、引用文献2には、上記「1(2)」を参照すると、端末機器側での制御の具体例として、「通話終了(回線遮断)を検出」してから、発信元(通信相手)の「電話番号」に基づいて、端末機器のアドレス帳ADを検索するか、管理サーバ3に相手の端末位置までの経路案内要求を行うことによって、通信相手の位置である「目的地までの経路地図を取得して表示するナビゲーション処理」を行うことが記載され、通信相手の「電話番号」は本願発明1の「宛先機器受入識別情報」に相当するといえるが、通信相手の「電話番号」を、「通信終了」後に、アドレス帳の検索などに用いて、通信相手の位置を調べてナビゲーション処理を行うために利用するものであって、通信相手の「電話番号」(本願発明1の「宛先機器受入識別情報」に相当する。)に基づいて「接続の開始」を検出すると、ワイヤレス通信機器が、宛先機器との呼を確立しながら、コンテキストコンテンツサーバに「宛先機器識別アイテム」を送信することは規定されていない。
引用文献3は、発呼側の端末が、宛先の電話番号などから、地域の気象情報やニュースなどを検索するものであって、「宛先機器受入識別情報」を用いることはそもそも規定されていない。
したがって、[相違点1]について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2) 請求項2-28について
本願発明2-28も、本願発明1の上記[相違点2]、[相違点3]に係る、「前記ワイヤレス通信機器が前記検出された前記接続の開始および前記宛先機器に基づいて、宛先機器識別アイテムを取得すること」、「前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との前記呼を確立しながら前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること」と実質的に同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 当審拒絶理由の理由A(特許法第36条第6項第2号)について
当審では、出願時の技術常識に照らしても、「第1の通信経路を介して」、宛先機器との接続開始を検出し、「前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して」、コンテキストコンテンツサーバに、宛先機器識別アイテムを送信するという、本願請求項1に係る発明の範囲にまで、発明の詳細な説明に記載された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない旨の拒絶の理由を通知しているが、上記「第1の通信経路を介して」との記載を「前記宛先機器受入識別情報に基づいて第1の通信経路を通して」と限定する補正がされ、さらに、本願明細書の段落[0030]に「UMTSネットワークはボイス及びデータの通信を提供し、従って、ボイス会話中にコンテンツアイテムを機器に提供することができる。」と記載され、ボイス(音声通話)とコンテンツアイテム等のデータを同時伝送する開示があることを考慮すると、「第1の通信経路を介して」、宛先機器との(音声通話の)接続開始を検出し、「前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して」、コンテキストコンテンツサーバに、宛先機器識別アイテムを送信するというという、本願請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものといえるから、この拒絶の理由は解消した。
第7 原査定についての判断
平成30年1月5日付けの補正により、補正後の請求項1-28は、「前記ワイヤレス通信機器が前記検出された前記接続の開始および前記宛先機器に基づいて、宛先機器識別アイテムを取得すること」、「前記ワイヤレス通信機器が前記宛先機器との前記呼を確立しながら前記第1の通信経路とは異なる第2の通信経路を通して前記宛先機器識別アイテムをコンテキストコンテンツサーバに送信すること」という技術事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A、B、C(引用文献2、1、3)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-28は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-003063