特許拒絶査定不服審判
2017-001984
気体噴出処理装置
- 審判番号
- 2017-001984
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-177811外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年02月10日
- 審決日
- 2018年03月07日
- 公報発行日
- 2018年06月29日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (F26B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-177811号「気体噴出処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 2月24日出願公開、特開2014- 35173号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年8月10日の出願であって、平成28年10月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年2月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2 本願発明
本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成29年2月10日に補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「被処理物を移動させつつ当該被処理物に対して気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置であって、
コンベアによって被処理物が搬送される処理室と、
前記処理室の上側に配設された上側チャンバと、
前記処理室の下側に配設された下側チャンバと、
前記上側チャンバの上側に位置し当該上側チャンバ及び前記下側チャンバに噴出用気体を供給する噴出用気体供給室と、
前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を前記処理室に対して噴出する複数の上側ノズルと、
前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を前記処理室に対して噴出する複数の下側ノズルとを有し、
前記上側チャンバには、当該上側チャンバの内部空間とは隔絶された状態で当該上側チャンバを貫通して、前記処理室と前記噴出用気体供給室との間を連通する気体復流路が形成されており、
前記複数の上側ノズルは、すべて、前記上側チャンバのうちの前記処理室の側の面から当該上側チャンバの内部に向かう筒状のものであり、
前記複数の下側ノズルは、すべて、前記下側チャンバのうちの前記処理室の側の面から当該下側チャンバの内部に向かう筒状のものであり、
前記上側ノズル及び前記下側ノズルのうちの上流側の部分は漸拡部であり、その漸拡部においては、下流側から上流側に向かうにつれて、その縦断面において直線的に徐々に大径になっており、徐々に流路断面積が大きくなっている、
気体噴出処理装置。」
なお、平成29年2月10日になされた手続補正は、実質的に、補正前の請求項1の削除を目的とするものに該当する。
第3 引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2000-139718号公報(以下「引用例1」という。)及び特開2003-90680号公報(以下「引用例2という。)には、それぞれ以下の各事項が記載されている(下線は当審で付与)。
[引用例1について]
(1a) 「【請求項2】 被処理物を移動させつつエア流によって処理するエア流処理装置であって、
ハウジングと、
通気性を有し、前記ハウジング内において被処理物を載置した状態でその被処理物を移動させるコンベアと、
前記コンベアの上方及び下方に設けられた上側チャンバ及び下側チャンバと、
前記各チャンバに設けられ、前記コンベアの方へエアを噴出する複数個のエア噴出部とを有し、
前記エア噴出部には、前記各チャンバのうちの前記コンベアの側の面の近傍から前記各チャンバの内部に向かうパイプ状のノズルが設けられて形成されている
エア流処理装置。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載のエア流処理装置であって、
前記エア噴出部の少なくとも一部のノズルが、上流側から下流側へ向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる部分を有しているエア流処理装置。
【請求項4】 請求項2に記載のエア流処理装置であって、
前記上側チャンバ及び前記下側チャンバに対して、共通のエア供給部からエアが供給されるものであるエア流処理装置。」
(1b) 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、食品や建材等の被処理物(ワークともいう)をエア流(風)によって処理する装置に関する。」
(1c) 「【0003】図8に示す第2の例では、ハウジング210内にコンベア220が設けられ、コンベア220の上方にチャンバ230が設けられ、チャンバ230の上流部にはヒータ250とファン252が設けられている。チャンバ230の下流側部分(下側)はコンベア220と平行な平板状をなし、多数の噴出孔232が形成されている。そして、ヒータ250によって高温とされた熱風がファン252によって送られ、噴出孔からワークWに対して当たる。この例では、ワークWに対して熱風が直角に当たるとともに、風速も第1の例より高くすることができる。しかしながら、噴出孔から噴出した熱風は噴出直後から横方向に拡散してしまい、ワークWに当たる際の風速は弱まってしまう。このため、第1の例よりは効率的であるが、未だにワークWを適切に加熱することが困難である。」
(1d) 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の欠点を改良するために、次の装置が考えられる。図9に示すように、その装置では、ハウジング310内にコンベア320が設けられ、コンベア320の上方にチャンバ330が設けられ、チャンバ330の上流部にはヒータ350とファン352が設けられている。チャンバ330の下流側部分(下側)に多数のエア噴出部332が設けられている。エア噴出部332は突出するようにパイプ状のノズル(パイプノズルという)が設けられて形成されている。エア噴出部332(パイプノズル)はコンベア320の長さ方向及び幅方向に複数設けられている。エア噴出部332(パイプノズル)から噴出した熱風は、横方向にあまり拡散せず、ワークWに対して高速で当たる。このため、ワークWを適切に加熱させることができる。そして、これを応用した例として、次の装置が考えられる。図9中2点鎖線で示すように、この装置では、コンベア320の下方にもチャンバ340が設けられている。下側のチャンバ340にもパイプノズルのエア噴出部342が設けられている。そして、コンベア320(通気性を有するもの)上にワークWには、その上下両方から高速の熱風が当たり、さらに加熱の能率が向上する。」
(1e) 「【0005】しかしながら、上記の装置では、次のような欠点がある。例えば、ワークWがハンバーグ等の食品である場合、コンベア320上にそのワークWが載置され熱風を受けつつ移動する際に、そのワークWから肉汁等の液体がこぼれることがある。その際、その液体は、下側のチャンバのエア噴出部342(パイプノズル)の間の部分に落ちる(エア噴出部342からは熱風が噴出しているので、エア噴出部342の中には落ちない)。特に、食品をワークWとして使用する場合には、衛生上の観点から、装置を清潔に保つ必要がある。しかしながら、エア噴出部342(パイプノズル)の間の部分を清掃するのは作業員の手によるほかはなく、非常に煩雑である。」
(1f) 「【0006】そこで、本発明は、能率良くワークを処理することができるとともに、清掃も容易に行うことができるエア流処理装置を提供することを課題とする。」
(1g) 「【0007】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するために、請求項1に係る発明は、被処理物を移動させつつエア流によって処理するエア流処理装置であって、ハウジングと、通気性を有し、前記ハウジング内において被処理物を載置した状態でその被処理物を移動させるコンベアと、前記コンベアの上方又は下方に設けられたチャンバと、前記チャンバに設けられ、前記コンベアの方へエアを噴出する複数個のエア噴出部とを有し、前記エア噴出部は、前記チャンバのうちの前記コンベアの側の面の近傍から前記チャンバの内部に向かうパイプ状のノズルが設けられて形成されている。」
(1h) 「【0009】この発明では、被処理物がコンベアによってハウジング内を移動されつつ、チャンバに設けられたエア噴出部からエアが噴出される。その際、エア噴出部がパイプ状のノズルが設けられて形成されているため、そのノズルをエアが通過する際に、そのエアが直進状態とされ(減速が防止され)、被処理物に対してエアが速い速度で当たるため、被処理物を効率的に処理することができる。また、この発明においては、チャンバのうちのコンベアの側の面はほぼ平坦となる(パイプ状のノズルの一部が多少へ突出しているものも含む)。このため、被処理物からこぼれ落ちた液体等が下側チャンバの上面に付着した場合に当該上面を清掃するのが非常に容易になったり、上側チャンバの下面に被処理物から発生した付着物が付着した場合に当該下面を清掃するのが非常に容易となる。」
(1i) 「【0020】上側チャンバ30は、ハウジング10内において、コンベア20(往路部)の上方に設けられている。下側チャンバ40は、ハウジング10内において、コンベア20(往路部)の下方に設けられている。ハウジング10内の上部には、ヒータ50が設けられている。ヒータ50の近傍にはファン52が設けられている。ファン52の下流側にはダクト54が設けられており、ダクト54は、上側チャンバ30,下側チャンバ40に接続されている。このため、ハウジング10内のエアがヒータ50によって高温とされ、ファン52によってその熱風が上側チャンバ30及び下側チャンバ40に供給される。」
(1j) 「【0024】また、下側エア噴出部42(逆方向パイプノズル)は、上流端及びその近傍(下端及びその近傍)において、上流側(下側)から下流側(上方)へ向かうにつれて流路断面積(内径)が徐々に小さくなっている。この点も、上側エア噴出部32も同様である。」
(1k) 「【0026】また、上側エア噴出部32及び下側エア噴出部42において、そのパイプ状のノズルの上流端及びその近傍において内径が徐々に小さくなっているため、上側エア噴出部32及び下側エア噴出部42のパイプ状のノズルを熱風が通過する際の圧力損失を低くおさえることが可能である。このため、各ノズルから噴出する熱風の速度の減速が防止され、その点でも、熱風が速い速度でワークWに当たることが担保され、ワークWが適切に加熱される。」
(1l) 「【図1】
」
(1m) 「【図2】
」
(1n) 「【図3】
」
上記記載事項(1a)~(1k)及び図面等を参酌すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「被処理物を移動させつつエア流によって処理するエア流処理装置であって、
ハウジングと、
通気性を有し、前記ハウジング内において被処理物を載置した状態でその被処理物を移動させるコンベアと、
前記コンベアの上方及び下方に設けられた上側チャンバ及び下側チャンバと、
前記各チャンバに設けられ、前記コンベアの方へエアを噴出する複数個のエア噴出部とを有し、
前記エア噴出部には、前記各チャンバのうちの前記コンベアの側の面の近傍から前記各チャンバの内部に向かうパイプ状のノズルが設けられて形成され、
前記エア噴出部の少なくとも一部のノズルが、上流側から下流側へ向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる部分を有しており、
ハウジング内の上部には、ヒータが設けられ、ヒータの近傍にはファンが設けられ、
前記上側チャンバ及び前記下側チャンバに対して、共通のエア供給部からエアが供給されるものである、
エア流処理装置。」
[引用例2について]
(2a) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 ほぼ閉じた空間を形成する気体収容室と、
ほぼ閉じた空間を形成し、その内部においてコンベアによって被処理物が移動される処理室と、
前記気体収容室と前記処理室との間に配設されたチャンバと
を有し、
前記チャンバは、ほぼ閉じた内部空間を形成し、
前記気体収容室内の気体が前記内部空間内に流入する気体流入部と、
前記処理室内に突出する管状をなし前記内部空間内の気体を前記処理室内に噴出する気体噴出部と、
前記内部空間とは隔絶された状態で当該チャンバを貫通して形成され、前記処理室内の気体が前記気体収容室内に戻る気体復流路とを有する、気体噴出処理装置。」
(2b) 「【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被処理物に対して気体を噴出して加熱,冷却,乾燥等の処理をする気体噴出処理装置に関するものである。」
(2c) 「【0002】
【従来の技術】従来の気体噴出処理装置(乾燥装置)として、次のものがある。図6に示すように、その装置は、気体加熱室130(気体収容室),処理室140,チャンバ120を有している。気体加熱室130は、ほぼ閉じた空間を形成し、バーナ132を有している。気体加熱室130内の空気(気体)は、バーナ132によって高温とされる。処理室140は、ほぼ閉じた空間を形成し、その内部においてワークW(被処理物)がコンベア141(その往動部141a)によって移動される。チャンバ120は、気体加熱室130と処理室140との間に位置しており、ほぼ閉じた内部空間を形成している。チャンバ120は、気体流入部122及びノズル123を有している。チャンバ120の側部には、処理室140と気体加熱室130とを連通させる隙間部121が存在している。」
(2d) 「【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の装置では、気体噴出部から噴出されてワークWに対して接触した後の空気は、ワークW及びコンベア141(その往動部141a)に沿って流れ、隙間部121を経て気体加熱室130に戻る。しかしながら、このようにしてワークW及びコンベア141に沿って流れる空気によって、気体噴出部から噴出される空気がワークWに対して直接的に接触することが妨げられる。このことは、ワークWに対する乾燥(処理)の効率を向上させる上でネックとなっている。」
(2e) 「【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、ほぼ閉じた空間を形成する気体収容室と、ほぼ閉じた空間を形成し、その内部においてコンベアによって被処理物が移動される処理室と、前記気体収容室と前記処理室との間に配設されたチャンバとを有し、前記チャンバは、ほぼ閉じた内部空間を形成し、前記気体収容室内の気体が前記内部空間内に流入する気体流入部と、前記処理室内に突出する管状をなし前記内部空間内の気体を前記処理室内に噴出する気体噴出部と、前記内部空間とは隔絶された状態で当該チャンバを貫通して形成され、前記処理室内の気体が前記気体収容室内に戻る気体復流路とを有する、気体噴出処理装置である。」
(2f) 「【0009】ここで、気体復流路は、チャンバの内部空間とは隔絶された状態で当該チャンバを貫通して形成されている。このため、気体がチャンバの内部空間内に戻ることが防止されるとともに、被処理物及びコンベアに沿って流れる気体の流れの発生が低減化される。このため、この発明の気体噴出処理装置では、チャンバの気体噴出部から噴出される気体が直接的に被処理物に対して接触しやすくなり、被処理物に対する処理の効率が向上する。」
(2g) 「【0013】図4に示すように、チャンバ20は、ほぼ直方体状をしており、ほぼ閉じた内部空間28が形成されている。チャンバ20の上部には気体流入部22が形成され、チャンバ20の下面には多数のノズル23(気体噴出部に該当する)が設けられている。気体加熱室30においてバーナ32によって高温とされた空気は、ダクト34を通って気体流入部22からチャンバ20(内部空間28)に流入し、ノズル23から下方へ向かって(コンベア41に向かって)噴出される。また、チャンバ20には、チャンバ20を縦方向に貫通する複数の気体復流路24が形成されている。すなわち、気体復流路24は、チャンバ20の内部空間28とは隔絶されるように管状に形成され、処理室40と気体加熱室30とを連通状態とするものである。これによって、処理室40内の空気が気体加熱室30内に流出する。」
(2h) 「【0018】図1及び図4に示すように、ワークWに噴出されて反射された空気は、気体復流路24を通って気体加熱室30内に戻る。なお、その空気の流れは、排気ダクト50のファン52(図2参照)及びファン36の作動によって促進される。
【0019】以上のようにして、気体加熱室30→ダクト34→チャンバ20→ノズル23→ワークWと流れた高温の空気は、気体復流路24を通って気体加熱室30内に戻るため、コンベア41(その往動部41a)に沿って流れる空気の流れの発生が制限される。このため、ノズル23からワークWに対して噴出された高温の空気が、直接的にワークWに対して接触しやすくなる。このため、ワークWに対する処理(乾燥)が効率良く行われる。」
(2i) 「【図1】
」
(2j) 「【図4】
」
第4 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、用語の意味等からみて、後者の「エア」及び「パイプ状」は、それぞれ前者の「気体」及び「筒状」に相当する。
後者の「エア流処理装置」は、「コンベアの方へエアを噴出する」ことにより、コンベア上の被処理物を処理するものであるので、後者の「被処理物を移動させつつエア流によって処理するエア流処理装置」は、前者の「被処理物を移動させつつ当該被処理物に対して気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置」に相当する。
後者の「上側チャンバ」と「下側チャンバ」とに挟まれ、「被処理物を載置した状態でその被処理物を移動させるコンベア」が配置されている空間(上記記載事項(1l))は、「被処理物」に対する処理(上記記載事項1(b))を行う空間で、処理室ということができるから、前者の「コンベアによって被処理物が搬送される処理室」に相当する。そうすると、後者の「上側チャンバ」及び「下側チャンバ」は、前者の「前記処理室の上側に配設された上側チャンバと、前記処理室の下側に配設された下側チャンバ」に相当する。
後者は、「ハウジング内の上部には、ヒータが設けられ、ヒータの近傍にはファンが設けられ、前記上側チャンバ及び前記下側チャンバに対して、共通のエア供給部からエアが供給される」ものであるから、後者の「ハウジング内の上部」の空間が、前者の「前記上側チャンバの上側に位置し当該上側チャンバ及び前記下側チャンバに噴出用気体を供給する噴出用気体供給室」を形成していることは明らかである。
後者は、「前記コンベアの上方及び下方に設けられた上側チャンバ及び下側チャンバと、前記各チャンバに設けられ、前記コンベアの方へエアを噴出する複数個のエア噴出部とを有し」、後者の「エア噴出部」は、「前記エア噴出部には、前記各チャンバのうちの前記コンベアの側の面の近傍から前記各チャンバの内部に向かうパイプ状のノズルが設けられて形成され」るものである。そして、後者の「ノズル」端部が、「チャンバ」内に配置されることから(上記記載事項(1l))、後者の「ノズル」から「チャンバ」内の気体が噴出していることは明らかであり、そうすると、後者は、前者の「前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を前記処理室に対して噴出する複数の上側ノズルと、前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を前記処理室に対して噴出する複数の下側ノズルとを有し」たものといえる。
後者の「前記エア噴出部には、前記各チャンバのうちの前記コンベアの側の面の近傍から前記各チャンバの内部に向かうパイプ状のノズルが設けられて形成され」ており、チャンバ内の配置からみて(上記記載事項(1l))、後者は、前者の「前記複数の上側ノズルは、すべて、前記上側チャンバのうちの前記処理室の側の面から当該上側チャンバの内部に向かう筒状のものであり、前記複数の下側ノズルは、すべて、前記下側チャンバのうちの前記処理室の側の面から当該下側チャンバの内部に向かう筒状のものであ」る態様を備えるものといえる。
後者の「ノズル」の形状からみて(上記記載事項(1n))、後者の「エア噴出部の少なくとも一部のノズルが、上流側から下流側へ向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる部分を有して」いることと、前者の「前記上側ノズル及び前記下側ノズルのうちの上流側の部分は漸拡部であり、その漸拡部においては、下流側から上流側に向かうにつれて、その縦断面において直線的に徐々に大径になっており、徐々に流路断面積が大きくなっている」こととは、「上側ノズル及び下側ノズルのうちの上流側の部分は漸拡部であり、その漸拡部においては、下流側から上流側に向かうにつれて、その縦断面において徐々に大径になっており、徐々に流路断面積が大きくなっている」限りにおいて、一致する。
そうすると、前者と後者とは、以下の一致点で一致し、相違点で相違する。
(一致点)
「被処理物を移動させつつ当該被処理物に対して気体を噴出することによって被処理物に対する処理を行う気体噴出処理装置であって、
コンベアによって被処理物が搬送される処理室と、
前記処理室の上側に配設された上側チャンバと、
前記処理室の下側に配設された下側チャンバと、
前記上側チャンバの上側に位置し当該上側チャンバ及び前記下側チャンバに噴出用気体を供給する噴出用気体供給室と、
前記上側チャンバに設けられ、当該上側チャンバの内部の気体を前記処理室に対して噴出する複数の上側ノズルと、
前記下側チャンバに設けられ、当該下側チャンバの内部の気体を前記処理室に対して噴出する複数の下側ノズルとを有し、
前記複数の上側ノズルは、すべて、前記上側チャンバのうちの前記処理室の側の面から当該上側チャンバの内部に向かう筒状のものであり、
前記複数の下側ノズルは、すべて、前記下側チャンバのうちの前記処理室の側の面から当該下側チャンバの内部に向かう筒状のものであり、
前記上側ノズル及び前記下側ノズルのうちの上流側の部分は漸拡部であり、その漸拡部においては、下流側から上流側に向かうにつれて、その縦断面において徐々に大径になっており、徐々に流路断面積が大きくなっている、
気体噴出処理装置。」
(相違点1)
気体流路について、前者は、「上側チャンバには、当該上側チャンバの内部空間とは隔絶された状態で当該上側チャンバを貫通して、前記処理室と前記噴出用気体供給室との間を連通する気体復流路が形成されて」いるのに対して、後者は、その点について特定はなされていない点。
(相違点2)
上側ノズル及び下側ノズルのうちの上流側の部分の漸拡部について、前者は、「下流側から上流側に向かうにつれて、その縦断面において直線的に徐々に大径になっており」とされているのに対して、後者は、そのような特定はなされていない点。
第5 判断
上記各相違点について検討する。
(相違点1について)
引用発明と同様に、被処理物をコンベアにより移動させつつ、エア流によって処理するエア流処理装置において、上側チャンバの内部空間とは隔絶された状態で当該上側チャンバを貫通して処理室と噴出用気体供給室との間を連通する気体復流路を設けたものは、引用例2に記載されている(上記記載事項(2a)、(2e)、(2i)、(2j))。
そして、引用例2には、上側チャンバに上記気体復流路を設けることについて、「チャンバの内部空間とは隔絶された状態で当該チャンバを貫通して形成されている。このため、気体がチャンバの内部空間内に戻ることが防止されるとともに、被処理物及びコンベアに沿って流れる気体の流れの発生が低減化」することにより、「チャンバの気体噴出部から噴出される気体が直接的に被処理物に対して接触しやすくなり、被処理物に対する処理の効率が向上」ということを目的とすることが記載されている(上記記載事項(2f))。
一方、引用発明も、「コンベア320(通気性を有するもの)上にワークWには、その上下両方から高速の熱風が当たり、さらに加熱の能率が向上」させる(上記記載事項(1d))、「能率良くワークを処理する」(上記記載事項(1f))、「各ノズルから噴出する熱風の速度の減速が防止され、その点でも、熱風が速い速度でワークWに当たることが担保され、ワークWが適切に加熱される」(上記記載事項(1k))ことを目的とするものである。
そうすると、引用発明と同様にエア流処理装置の技術分野に属し、コンベヤ上の被処理物にエア流をあて、処理の効率を向上させる目的でも共通する上記引用例2に記載された「気体復流路」の構成を採用することに動機付けは存在するといえ、引用発明において、本願発明の上記相違点1に係る特定事項を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点2について)
引用発明は、エア噴出部のノズルについて、上流側から下流側へ向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる部分を有すると特定され、引用例1の図3において、その縦断面が図示されているものの(上記記載事項(1n))、その縦断面におけるノズルの変化が直線的であるとは特定されておらず、また、図面からは明確に特定することもできない。
しかしながら、流体の流路において、その縦断面でみて、直線的に流路を変化させることは、本願出願前周知の事項である(例えば、原査定において引用された、米国特許第4187617号明細書図2部材44、米国特許第5960560号明細書図5、国際公開第03/047360号図6、7部材52、実願昭49-128262号(実開昭51-155852号)のマイクロフィルム図2部材14、実願昭50-148334号(実開昭52-60972号)のマイクロフィルム図6等参照。)。
そして、引用発明の「エア噴出部の少なくとも一部のノズルが、上流側から下流側へ向かうにつれて流路断面積が徐々に小さくなる部分を有」させるための具体的な態様として、上記本願出願前周知の事項である直線的に変化させるようにすることは、当業者が適宜なし得た事項である。
そして、これらの相違点に係る効果を併せてみても、当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものであるとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明、引用例2に記載された事項及び本願出願前周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、請求人は、審判請求書において、「a)上側チャンバを貫通する気体復流路を設けて、被処理物に対する処理の効率を向上させるとともに、
b)上側ノズルを上側チャンバの内部に向かう筒状のものにすることによって、メンテナンスを容易なものとする、
という内容を有しており、
それだけでは、a)の要素によって、b)の上側ノズルの数が限定されることになって、本来的には、噴射される気体の流量が限定されることになるところ、
本願発明は、さらに、
c)上側ノズルのうちの上流側の部分を漸拡部とすることによって、噴射される気体の流量を確保する、
という画期的な内容を有している。
すなわち、本願発明は、引用文献に記載の発明を単に組み合わせたのではなく、その組み合わせによって画期的な効果を得ようとするものである。 」(審判請求書「(4)本願発明と引用発明との対比」の項)と主張している。
しかしながら、上記効果は、各特定事項が有する効果を合わせた効果であって、格別顕著な相乗効果があるとまではいえないから、上記請求人の主張は採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2017-001984