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特許拒絶査定不服審判

2023-002142

乾燥装置及び乾燥システム

審判番号
2023-002142
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-153368
請求日
2023年02月08日
審決日
2024年07月12日
公報発行日
2024年10月25日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】水ing株式会社
  • 【請求人代理人】加藤 真司
  • 【請求人代理人】鈴木 守
審判長/審判官
  • 審判長 水野 治彦
  • 審判官 飯星 潤耶
  • 審判官 鈴木 充
分類
P18 .121-WZ (F26B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-153368「乾燥装置及び乾燥システム」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月16日出願公開、特開2021-191997〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願(以下、「本願」という。)は、平成30年1月30日を出願日とする特願2018-13902号の一部を令和3年9月21日に新たな特許出願としたものであって、その主な手続は以下のとおりである。 令和4年 7月 8日付け :拒絶理由通知書 令和4年 9月 6日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年11月16日付け :拒絶査定 令和5年 2月 8日 :審判請求書の提出 令和6年 1月18日付け :拒絶理由通知書(以下、「当審拒絶理由」という。) 令和6年 3月22日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~請求項4に係る発明は、令和6年3月22日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~請求項4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「被乾燥物を撹拌及び搬送しながら乾燥させる複数の乾燥装置を隣接させてなる乾燥システムであって、 回転することで被乾燥物を撹拌、搬送する少なくとも4本の撹拌シャフトと、 前記少なくとも4本の撹拌シャフトの各々の一端に設けられ、対応する撹拌シャフトを回転させる少なくとも4つの上下方向に延びる直交軸型のギアモータと、 を備え、 前記複数の乾燥装置の各々は、複数の前記撹拌シャフトを備え、各撹拌シャフトの前記ギアモータが前記乾燥装置の幅内に収まっている、乾燥システム。」 第3 当審拒絶理由通知における拒絶の理由 当審拒絶理由通知のうち理由2の概略は、次のとおりのものである。 理由2(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である以下の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特許第6260071号公報 引用文献2:特開2005-199171号公報 第4 引用文献 1.引用文献1 (1)引用文献1の記載事項 当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献1には、以下の記載及び図面がある。(下線は、当審が付した。以下同様。) ア 「【0025】 〔第一実施形態〕 以下、本発明の第一実施形態の乾燥装置1、及びこの乾燥装置1を備えている乾燥システム50について図面に基づき説明する。 本実施形態の乾燥装置1は、下水汚泥、工場排水汚泥、食品廃棄物・厨芥、し尿汚泥、家畜糞尿、植物搾汁粕など各種バイオマスや廃棄物、などの高粘性の含水物(以下、汚泥と呼ぶ。)を攪拌および搬送しながら加熱乾燥(含水率を低減)して粉粒体にして排出する装置である。汚泥は、例えば100(Pa・s)以上の粘度を有し、かつ、30(%)以上の灰分含有率を有している。 なお汚泥の測定方法としては、例えば灰分含有率であれば、投入汚泥固形物中の無機分含有率として、JISM8812に準拠して求めることができ、さらに、粘度の測定方法はJISK7199:1999(ISO11443:1995、キャピラリーレオメータ使用)に準拠して求めることができる。」 イ 「【0030】 図2、図3、及び図4に示すように、本実施形態の乾燥装置1は、ケーシング3と、ケーシング3(ひいては汚泥P)を加熱するジャケット4と、軸線Aをケーシング3の前部Fから後部Bへ配する2本の回転軸5a,5bを備えた第一回転軸組21と、前部F側から見て第一回転軸組21の右側に配置された2本の回転軸5c,5dを備えた第二回転軸組22と、各々の回転軸5に間隔を開けて配置され、汚泥Pに対して間接加熱を行う複数のディスク6(撹拌翼)と、を備えている。即ち、本実施形態の乾燥装置1は、4本の回転軸5を備えている。 また、乾燥装置1は、底面排出口8に対応する位置からケーシング3内に空気を吸引する空気吸引装置74(図7参照)を有している。 【0031】 4本の回転軸5のうち、前部F側から(搬送方向Tの上流側)見て乾燥装置1の幅方向Wの左側の2本の回転軸5a,5bは、駆動部72により前部F側から見て共に右回り(時計回り)に回転している。換言すれば、2本の回転軸5a,5bは、その上部がケーシング3の幅方向Wの中央側に向かって移動する方向に回転している。 4本の回転軸5のうち、前部F側から見て乾燥装置1の幅方向Wの右側、即ち、第一回転軸組21の右側の2本の回転軸5c,5dは、駆動部72により前部F側から見て共に左回り(反時計回り)に回転している。換言すれば、2本の回転軸5c,5dは、その上部がケーシング3の幅方向Wの中央側に向かって移動する方向に回転している。」 ウ 「【0057】 そして、回転軸5aのディスク6aは、回転軸5aの回転により、回転軸5bの隣り合うディスク6b間を上から下に通過するため、パドル部11bによって回転軸5a側に移動された汚泥Pは、回転軸5aのディスク6aによって攪拌される。この際、汚泥Pは、ケーシング3の傾斜により、汚泥Pを押圧したディスク6aの下流側に移動して、隣り合うディスク6a間に入り込むこととなる。そして、隣り合うディスク6a間に入り込んだ汚泥Pは、上述した移動を繰り返して、ケーシング3や回転軸5a,5bなどにより加熱されながら、徐々に下流側へと搬送されていくこととなる。 つまり、汚泥Pは、回転軸5a周りと回転軸5b周りとを交互に周回し、その軸線A方向から見た搬送軌跡が、図9(b)及び図9(c)中の矢印で示すような「8の字状」となる。「8の字状」に撹拌された汚泥Pは、図9(c)に示すように、底面3aの幅方向Wの中央部に集約される。」 エ 「【0069】 〔第二実施形態〕 以下、本発明の第二実施形態の乾燥システムについて図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態では、上述した第一実施形態との相違点を中心に述べ、同様の部分についてはその説明を省略する。 図10に示すように、本実施形態の乾燥システム50Bは、第一実施形態の乾燥装置1と、乾燥装置1と同種または異種の第二乾燥装置67と、を備えている。 【0070】 乾燥システム50Bは、第一汚泥貯留タンク68に貯留されている汚泥Pを乾燥装置1に供給する第一汚泥供給装置53と、第二汚泥貯留タンク69に貯留されている汚泥Pを第二乾燥装置67に供給する第二汚泥供給装置70と、乾燥装置1の底面排出口8から排出される乾燥不十分の汚泥Pを第二汚泥貯留タンク69に搬送する搬送ライン71と、を有している。 本実施形態の乾燥システム50Bでは、乾燥装置1の底面排出口8から排出される乾燥不十分の汚泥P1は、再度乾燥装置1に戻されることなく、他の乾燥装置である第二乾燥装置67で乾燥される。 このような構成によれば、一台の乾燥装置1では、処理が追いつかない場合に、第二乾燥装置67を用いることができる。」 オ 「【図4】 [図:0001414665000001.jpg] 」 カ 「【図10】 [図:0001414665000002.jpg] 」 キ 上記エ及びカから、乾燥システム50Bは、乾燥装置1と、乾燥装置1と同種の第二乾燥装置67とを備えていることが把握される。 そして、上記アから、乾燥装置1は、汚泥を攪拌および搬送しながら加熱乾燥する装置であるから、乾燥装置1と同種の第二乾燥装置67も、汚泥を攪拌および搬送しながら加熱乾燥する装置であると認められる。 ク 上記イ、ウ及びオから、乾燥装置1は、4本の回転軸5a~5dを備えるものであって、4本の回転軸5a~5dは、回転することで汚泥を攪拌および搬送するものであることが把握される。 そして、乾燥装置1と同種の第二乾燥装置67も、4本の回転軸5a~5dを備えるものであって、4本の回転軸5a~5dは、回転することで汚泥を攪拌および搬送するものであると認められる。 そうすると、乾燥システム50Bは、8本の回転軸5a~5dを備えるものであって、8本の回転軸5a~5dは、回転することで汚泥を攪拌および搬送するものであると認められる。 ケ 上記オから、乾燥装置1は、4本の回転軸5a~5dの各々の一端に設けられる4つの駆動部72を備えることが看取され、上記イを合わせて考慮すると、駆動部72は、対応する回転軸5a~5dを回転させるものであるといえる。 そして、乾燥装置1と同種の第二乾燥装置67も、4本の回転軸5a~5dの各々の一端に設けられる4つの駆動部72を備えるものであって、駆動部72は、対応する回転軸5a~5dを回転させるものであると認められる。 そうすると、乾燥システム50Bは、8本の回転軸5a~5dの各々の一端に設けられる8つの駆動部72を備えるものであって、駆動部72は、対応する回転軸5a~5dを回転させるものであると認められる。 (2)引用発明 上記(1)から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明> 「汚泥を攪拌および搬送しながら加熱乾燥する乾燥装置1及び第二乾燥装置67を備えている乾燥システム50Bであって、 回転することで汚泥を攪拌および搬送する8本の回転軸5a~5dと、 8本の回転軸5a~5dの各々の一端に設けられ、対応する回転軸5a~5dを回転させる8つの駆動部72と、 を備え、 乾燥装置1及び第二乾燥装置67の各々は、4本の回転軸5a~5dを備える、乾燥システム50B。」 2.引用文献2 (1)引用文献2の記載事項 当審拒絶理由において引用された、本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった上記引用文献2には、以下の記載及び図面がある。 ア 「【0015】 図1は、本発明の固液分離装置の実施形態を示した簡略縦断面図、図2は、その要部の拡大横断面図、図4は、図2の右側面図である。図示したように、この固液分離装置は、架台6上に傾斜して設置された筒形のケーシング1内に、スクリューコンベア3を回転可能に横架すると共に、このスクリューコンベア3を囲むように筒形のスクリーン部材2を配置したものであり、ケーシング1の両端には、後述する外リング21と内リング22の駆動機構7,8が設けられ、この駆動機構7,8のカム(図5に符号81で示す)がスクリューコンベア3の回転軸3cに一体的に固定され、モータ5で共に回転駆動されるようになっている。」 イ 「【0021】 スクリューコンベア3は、回転軸3cの周囲に螺旋状に羽根3bが設けられた従来公知のものであるが、本発明に用いられるスクリューコンベア3では、その回転軸心3aがスクリューコンベア3の搬送方向(図1において右斜め上方)に向かって漸次、拡径する形状とされている。」 ウ 「【0025】 次に上記構成を有する本発明の固液分離装置の一連の動作について述べると、まずケーシング1の片側の上部に設けられた投入口1aから汚泥(図示せず)をケーシング1内に投入すると、この投入された水分量の多い汚泥は、スクリューコンベア3で順次、外リング21と内リング22とで構成された筒状のスクリーン部材2内に送り込まれ、このスクリーン部材2内を移動する間にその圧送力により、含まれている水分が、外リング21と内リング22との間の濾液排水スリット2aから外部に排出され、脱水された汚泥が排出口1cから排出されるものである。 【0026】 この時、本発明の固液分離装置では、スクリューコンベア3の回転軸心3aが、汚泥の搬送方向に向かって漸次拡径しており、その出口側(図1において右側)に設けられた背圧板4の働きと相まって搬送される汚泥には、搬送に伴って強い圧搾力が作用することとなるが、スクリーン部材2に設けられた濾液排水スリット2aも搬送方向に沿って段階的にその隙間が狭くなっているため、汚泥の固形分が、濾液排水スリット2aから押し出されるおそれは少なく、効率的にその固液分離がなされるものである。」 エ 「【図1】 [図:0001414665000003.jpg] 」 オ 「【図2】 [図:0001414665000004.jpg] 」 カ 「【図4】 [図:0001414665000005.jpg] 」 キ 上記イ、ウ及びスクリューコンベアは、被搬送物を回転させながら搬送させるための装置であるという技術常識から、固液分離装置は、汚泥を搬送させながら脱水するものであって、スクリューコンベア3は、回転することで汚泥を搬送させるものであると認められる。 ク 上記アから、モータ5は、スクリューコンベア3を回転させるものであることが把握され、上記エ~カから、モータ5は、上下方向に延び、ケーシング1の幅内に収まっていることが看取される。ここで、モータ5は上下方向に延びた構造であるため、モータ5内部の出力軸も当該上下方向に延びたものと理解できる。一方、上記エの図示事項から、モータ5の回転は、モータ5の延びる当該上下方向と直交する回転軸3cに伝達されているといえる。そして、回転するモータの出力軸の動力を、当該出力軸と直交する方向に延びる他の回転軸に伝達する際、二軸間にギアが必要になることは技術常識であるため、モータ5は、その出力軸と、その端部において当該出力軸と直交する他の回転軸と接続される部分との間にギアが設けられた、直交軸型のギアモータと認められる。 (2)引用文献2に記載された技術 上記(1)から、引用文献2には、以下の技術(以下、「引用文献2に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。 <引用文献2に記載された技術> 「汚泥を搬送しながら脱水する固液分離装置であって、 回転することで汚泥を搬送させるスクリューコンベア3と、 スクリューコンベア3を回転させる上下方向に延びる直交軸型のギアモータ5と、 を備え、 ギアモータ5は、ケーシング1の幅内に収まっている、固液分離装置。」 3.文献3 (1)文献3の記載事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開平2-272291号公報(以下、「文献3」という。)には、以下の記載及び図面がある。 ア 「これにより、含水率75~85%程度の被乾燥原料R(メツキ廃液等との混合の場合は泥状物となる)が形成され、この被乾燥原料Rは流動式乾燥機10へ送られ、原料送込筒16より攪拌室12aへ供給される。 攪拌室12aにおいて、被乾燥原料Rは熱風発生炉25よりの熱風により吹き飛ばされるとともに、高速で回転する攪拌用羽根21により攪拌されて旋回流動する。そして、被乾燥原料Rのうち未だ乾燥が十分でなく重量のあるものは、大領域の攪拌室12aの下部に集まり、熱風との大きな接触面を形成して熱吸収を行う。この被乾燥原料Rは、攪拌用羽根21のスクレーバ21aにより掻き上げられて上方へ持上げられるとともに、送込まれる熱風により乾燥度が進み軽量になったものは、攪拌室12a上部、膨出室13aへ集まって浮遊する。そして、送込まれる熱風と排風機35の吸気作用により、第1番目の間仕切板22の貫通孔22aを通って攪拌室12bへ入る。 攪拌室12bでも、攪拌室12aと同様のことが繰返されて次第に乾燥度が進み、被乾燥原料Rは更に軽くなつて、第2番目の間仕切板22の貫通孔22aを通って攪拌室12cへ進入する。 このように、次々と乾燥度が進んだ被乾燥原料Rが次段の攪拌室へ送り込まれ、かつ、攪拌用羽根21と間仕切板22とが同時に高速回転する結果、被乾燥原料Rは分散されて均一に浮遊し、旋回流動して熱風と効率よく接触して、極めて短時間で乾燥が終了する。」(第3頁右下欄第16行~第4頁右上欄第4行) イ 「第4図はこの発明の他の実施例を示すものであり、流動式乾燥機の直列運転に特徴を有する。なお、以下の説明では第1実施例との重複部分については同一符号を付して説明を省略する。 この第2実施例では、流動式乾燥機10と基本的構成を同一とする3台の流動式乾燥機10A,10B,10Cを装備している。」(第4頁左下欄第17行~右下欄第3行) ウ 「このように直列接続された流動式乾燥機10A,10B,10Cを用いて熱風乾燥を行うことにより、一台運転時と同量の被乾燥原料Rを、比較的低温度の熱風により時間をかけて乾燥を行つて、高含水物質Pの酸化を防止して乾燥させることができる。」(第5頁左上欄第7~12行) エ 「更に、第5図に示すように、複数の流動式乾燥機10を並列に接続して運転することもできる。この並列運転によれば、高温による乾燥処理の可能な高含水装置Pを、大量に、かつ短時間に乾燥処理を行える効果がある。 また、直列運転方法にあっては、流動式乾燥機の直列台数は特に3台に限定されるものではない。また各流動式乾燥機を横に並べた構成、または縦に積重ね状に設置する構成等自由に配置することができる。」(第5頁右上欄第5~14行) オ 「 [図:0001414665000006.jpg] 」(第2図) カ 「 [図:0001414665000007.jpg] 」(第4図) キ 「 [図:0001414665000008.jpg] 」(第5図) (2)文献3に記載された技術 上記(1)から、文献3には、以下の技術(以下「文献3に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。 <文献3に記載された技術> 「直列又は並列接続された、攪拌用羽根21を用いた流動式乾燥機10A,10B,10Cについて、各流動式乾燥機を横に並べた構成、又は縦に積重ね状に設置する構成等自由に配置することができること。」 4.文献4 (1)文献4の記載事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2007-225270号公報(以下、「文献4」という。)には、以下の記載及び図面がある。 ア 「【0018】 以下、本発明に係る乾燥処理装置および方法の好ましい実施形態について図1乃至図8を参照して説明する。図1に示すように、乾燥処理装置1は、乾燥装置10、前処理乾燥部100、液化タンク5,90a,90b,…94,94´、液槽96、二次燃焼室200およびこれらを繋ぐ管路(ガス路)等を有して構成されているが、前処理乾燥部100に投入された蓄糞の一連の乾燥処理については後述することにして、ここではまず、図2を参照して乾燥装置10について説明する。この乾燥装置10は、上部乾燥炉3と、下部乾燥炉4とからなり、これら上部乾燥炉3および下部乾燥炉4が各々ガス路64,65を介して液化タンク5に接続されている。この乾燥装置10で乾燥処理する処理原料として、例えば、牛糞、豚糞、鶏糞などの家畜糞が用いられる。」 イ 「【0020】 上部乾燥炉3は、処理原料である畜糞を撹拌しながら加熱することで、前処理乾燥炉100で乾燥処理されて投入された蓄糞の含水率をさらに低下させる。この上部乾燥炉3は、横方向を長手軸方向とする略円筒状の乾燥炉筒31で構成され、乾燥炉筒31の内部には左右横方向に延びて形成され畜糞の通路である内部空間32が形成され、乾燥炉筒31の外周を覆うように取り付けられた複数の電熱ヒータ38と、乾燥炉筒31や電熱ヒータ38の外側を覆うセラミックウール等からなる断熱材33と、この断熱材33の外周側全周を覆うステンレス鋼からなる外被34とから構成される多層構造になっている。内部空間32には、この内部空間32内を左右に渡され撹拌用羽根35を有するスクリューコンベア37が設けられており、このスクリューコンベア37の回転軸36は上部乾燥炉3の右端側から上部乾燥炉3の外部に出されて乾燥装置10を支持する架台7上に設置されたモータ72によってベルト71を介して回転される。なお、乾燥炉筒31の外径は410mm程度で、長手軸方向の長さは3000mm程度であるが必ずしもこのような寸法に限られるわけではない。」 ウ 「【0025】 一方、下部乾燥炉4は、上部乾燥炉3の下方に連結部77に連結されて設けられ、上部乾燥炉3と同様に蓄糞を乾燥させるほか、蓄糞を熱分解させて炭化状態にさせる。この下部乾燥炉4は、横方向を長手軸方向とする略円筒状の乾燥炉筒41で構成され、乾燥炉筒41の内部には左右横方向に延びて形成され畜糞の通路である内部空間42が形成され、乾燥炉筒41の外周を覆うように取り付けられた複数の電熱ヒータ48と、乾燥炉筒41や電熱ヒータ48の外側を覆うセラミックウール等からなる断熱材43と、この断熱材43の外周側全周を覆うステンレス鋼からなる外被44とから構成される多層構造になっている。内部空間42には内部空間42内を左右に渡され撹拌用羽根45を有するスクリューコンベア47が設けられており、このスクリューコンベア47の回転軸46は下部乾燥炉4の左端側から下部乾燥炉4の外部に出されて乾燥装置10を支持する架台7上に設置されたモータ72によって回転される。なお、乾燥炉筒41の外径は410mm程度で、長手軸方向の長さは3000mm程度であるが必ずしもこのような寸法に限られるわけではない。 【0026】 下部乾燥炉4はその右端側上部に上部乾燥炉3に繋がる誘導口49が形成され、この誘導口49に挿入され上部乾燥炉3とを上下に連結する断面略円形状の連結部77内を通って畜糞が上部乾燥炉3から下部乾燥炉4内へと供給される。すなわち、下部乾燥炉4には、上部乾燥炉3での加熱によって含水量が減少した状態の畜糞が供給される。スクリューコンベア47は、回転軸46と回転軸46の回りを螺旋状に巻き付くようにして取り付けられた撹拌用羽根45とからなり、内部空間42内の畜糞は回転軸46の回転ともに回転する撹拌用羽根45により下部乾燥炉4の右端側から左端側へと移送される。」 エ 「【0066】 【図1】 本発明に係る乾燥処理装置の全体の概略を示す平面図である。 【図2】 上記乾燥処理装置を構成する乾燥装置を示す正面図である。 【図3】 上記乾燥装置の右側面図である。 【図4】 上記乾燥処理装置に設けられたホッパの投入口周辺を示す平面図である。 【図5】 上記乾燥装置を構成する第1の乾燥炉や第2の乾燥炉に設けられた電熱ヒータを示す部分斜視図である。 【図6】 上記第2の乾燥炉の排出部から排出された処理対象物を冷却する様子を示す図である。 【図7】 上記乾燥処理装置に設けられた前処理乾燥部を示す側面図である。 【図8】 上記前処理乾燥部に設けられた予備乾燥炉を示す図で、(a)はその正面図で、(b)はその側面図である。 【図9】 (a)は上記予備乾燥炉の斜視図で、(b)は予備乾燥炉に設けられたフラットバーを示す斜視図である。 【図10】 上記乾燥処理装置に設けられた液化部を示す概略図である。 【図11】 上記乾燥処理装置に設けられた液化部を示す概略図である。」 オ 「【図2】 [図:0001414665000009.jpg] 」 カ 「【図3】 [図:0001414665000010.jpg] 」 キ 上記ウの段落【0026】の記載から、上部乾燥炉3及び下部乾燥炉4は、直列接続されていると認められる。 (2)文献4に記載された技術 上記(1)から、文献4には、以下の技術(以下「文献4に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。 <文献4に記載された技術> 「攪拌用羽根を用いた上部乾燥炉3及び下部乾燥炉4について、両者を上下方向に直列接続して配置すること。」 5.文献5 (1)文献5の記載事項 本願の出願前に頒布された又は電気通信回路を通じて公衆に利用可能となった文献である特開2009-136764号公報(以下、「文献5」という。)には、以下の記載及び図面がある。 ア 「【0028】 図2乃至図5を用いて、一実施形態に係る乾燥装置30について説明する。図2に、乾燥装置30を水平方向に切断した場合の概要を表す断面図を示す。図3に、乾燥装置30のA-A'断面の概要を表す断面図を示す。図4に、乾燥装置30のB-B'断面の概要を表す断面図を示す。図5に、乾燥装置30のC-C'断面の概要を表す断面図を示す。 【0029】 図2に示す通り、乾燥装置30は、高含水有機性廃棄物14が投入される乾燥炉130と、乾燥炉130の外周の少なくとも一部を覆うように配されたジャケット136と、乾燥炉130から排出される乾燥された高含水有機性廃棄物14を減水廃棄物15として保持するホッパ138とを有する。また、乾燥装置30は、乾燥炉130及びジャケット136を下側から支持する脚部192、194、196、198を有する。 【0030】 乾燥炉130は、高含水有機性廃棄物14が投入され、投入された高含水有機性廃棄物14を加熱および撹拌しながら搬送する前段乾燥炉132と、前段乾燥炉132に連結され、前段乾燥炉132から搬送された高含水有機性廃棄物14を加熱および撹拌しながら搬送して排出する後段乾燥炉134とを含む。そして、本実施形態に係る乾燥装置30においては、前段乾燥炉132において高含水有機性廃棄物14を収容する容積は、後段乾燥炉134において高含水有機性廃棄物14を収容する容積より大きい。高含水有機性廃棄物14は、前段乾燥炉132に投入された当初はかさ密度が小さく、重量に対して大きな容積を占めるが、前段乾燥炉132内で乾燥される間に破砕又は発酵により減容され、重量に対して占める容積が減少するので、上記構成によれば、乾燥性能を低下させることなく、装置を小型化することができる。」 イ 「【図2】 [図:0001414665000011.jpg] 」 ウ 上記アの段落【0030】の記載及びイの図示事項から、前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134は、直列接続されていると認められる。 (2)文献5に記載された技術 上記(1)から、文献5には、以下の技術(以下「文献5に記載された技術」という。)が記載されていると認められる。 <文献5に記載された技術> 「加熱、撹拌及び搬送を行う前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134について、両者を直列接続して配置すること。」 第5 対比・判断 1.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1) 引用発明の「汚泥」、「攪拌」、「搬送」、「加熱乾燥」、「乾燥装置1及び第二乾燥装置67」及び「乾燥システム50B」は、それぞれ、本願発明の「被乾燥物」、「撹拌」、「搬送」、「乾燥」、「複数の乾燥装置」及び「乾燥システム」に相当する。 そうすると、引用発明の「汚泥を攪拌および搬送しながら加熱乾燥する乾燥装置1及び第二乾燥装置67を備えている乾燥システム50B」と、本願発明の「被乾燥物を撹拌及び搬送しながら乾燥させる複数の乾燥装置を隣接させてなる乾燥システム」とは、「被乾燥物を撹拌及び搬送しながら乾燥させる複数の乾燥装置からなる乾燥システム」の限りにおいて一致する。 (2) 引用発明の「回転」及び「8本の回転軸5a~5d」は、それぞれ、本願発明の「回転」及び「少なくとも4本の撹拌シャフト」に相当する。 そうすると、引用発明の「回転することで汚泥を攪拌および搬送する8本の回転軸5a~5d」は、本願発明の「回転することで被乾燥物を撹拌、搬送する少なくとも4本の撹拌シャフト」に相当する。 (3) 引用発明の「各々の一端」は、本願発明の「各々の一端」に相当する。 そうすると、引用発明の「8本の回転軸5a~5dの各々の一端に設けられ、対応する回転軸5a~5dを回転させる8つの駆動部72」と、本願発明の「前記少なくとも4本の撹拌シャフトの各々の一端に設けられ、対応する撹拌シャフトを回転させる少なくとも4つの上下方向に延びる直交軸型のギアモータ」とは、「前記少なくとも4本の撹拌シャフトの各々の一端に設けられ、対応する撹拌シャフトを回転させる少なくとも4つの駆動源」の限りにおいて一致する。 (4) 引用発明の「乾燥装置1及び第二乾燥装置67の各々は、4本の回転軸5a~5dを備える」ことと、本願発明の「前記複数の乾燥装置の各々は、複数の前記撹拌シャフトを備え、各撹拌シャフトの前記ギアモータが前記乾燥装置の幅内に収まっている」こととは、「前記複数の乾燥装置の各々は、複数の前記撹拌シャフトを備え」ることの限りにおいて一致する。 以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「被乾燥物を撹拌及び搬送しながら乾燥させる複数の乾燥装置からなる乾燥システムであって、 回転することで被乾燥物を撹拌、搬送する少なくとも4本の撹拌シャフトと、 前記少なくとも4本の撹拌シャフトの各々の一端に設けられ、対応する撹拌シャフトを回転させる少なくとも4つの駆動源と、 を備え、 前記複数の乾燥装置の各々は、複数の前記撹拌シャフトを備える、乾燥システム。」 <相違点> <相違点1> 「被乾燥物を撹拌及び搬送しながら乾燥させる複数の乾燥装置からなる乾燥システム」に関して、本願発明は、「複数の乾燥装置」を「隣接させてなる」ものであるのに対して、引用発明の「乾燥装置1及び第二乾燥装置67」は、かかる事項を備えていない点。 <相違点2> 「駆動源」に関して、本願発明は、「上下方向に延びる直交軸型のギアモータ」であって、「各撹拌シャフトの前記ギアモータが前記乾燥装置の幅内に収まっている」ものであるのに対して、引用発明は、駆動部72の構成が特定されていない点。 2.判断 上記相違点1について検討する。一般に、「隣接」は、「となりあってつづくこと。近隣関係にあること。」([株式会社岩波書店 広辞苑第六版])を意味する。また、本願の発明の詳細な説明の記載をみても、「隣接」を上記一般的な意味と異なる意味で解する特段の事情はない。したがって、本願発明における「複数の乾燥装置」が「隣接」するとの発明特定事項は、「複数の乾燥装置」が「となりあってつづく又は近隣関係にある」との意味内容であると理解し、相違点1の検討を行う。 引用発明の「乾燥装置1及び第二乾燥装置67」の配置について、両者の関係を維持しつつそれぞれをどのように配置するかは、乾燥装置1及び第二乾燥装置67が設置されるスペースの形状及び広さ、或いは乾燥作業の効率等を踏まえて、当業者が適宜設計し得る事項である。 また、上記第4の3.ないし5.で説示したとおり、文献3に記載された技術は「攪拌用羽根21を用いた流動式乾燥機10A,10B,10Cについて、各流動式乾燥機を横に並べた構成、又は縦に積重ね状に設置する構成等自由に配置することができる」ものであり、上記「隣接」の意味に照らせば、直列又は並列接続した「各流動式乾燥機を隣接する構成とすること。」を開示するものといえる。同様に、文献4に記載された技術における「攪拌用羽根を用いた上部乾燥炉3及び下部乾燥炉4について、両者を上下方向」に「配置すること。」は、互いに直列接続した「上部乾燥炉3及び下部乾燥炉4を隣接する構成とすること。」を開示し、文献5に記載された技術における「加熱、撹拌及び搬送を行う前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134」は、互いに直列接続した「前段乾燥炉132及び後段乾燥炉134を隣接する構成とすること。」を開示するものといえる。そうすると、直列関係にある撹拌シャフトを備えた複数の乾燥装置を隣接させて配置することは、当業者が複数の乾燥装置の配置を設計する際における周知技術といえる。 そうすると、引用発明の「乾燥装置1及び第二乾燥装置67」を、相違点1に係る本願発明の発明特定事項のように「隣接させてなる」よう構成することは、当業者が適宜なし得る設計的事項に過ぎない。 上記相違点2について検討する。 引用発明は、汚泥を攪拌および搬送しながら加熱乾燥するものであり、引用文献2に記載された技術は、汚泥を搬送しながら脱水するものであるから、両者の技術分野が関連する。そして、引用発明の駆動部72と、引用文献2に記載された技術のギアモータ5とは、汚泥を搬送するシャフトを回転させる点で機能が共通する。 そうすると、引用発明において、駆動部72として、引用文献2に記載された技術の「上下方向に延びる直交軸型」であって、「ケーシング1の幅内に収まっている」ギアモータ5を適用し、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者であれば容易になし得ることである。 そして、本願発明の効果は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術から予測し得る程度のものに過ぎない。 よって、本願発明は、引用発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3.審判請求人の主張について 審判請求人は、令和6年3月22日に提出された意見書において、令和6年1月18日付けの拒絶理由通知書の「●理由2(進歩性)について」に対して、以下のように主張している(下線は当審において付した。)。 「(3)対比 本願発明1の「複数の乾燥装置」は、それぞれ隣接して配置されるものです。 これに対して、引用文献1の乾燥システムは、乾燥装置1と、第二乾燥装置67と、搬送ライン71とを有するものです(引用文献1、段落[0069]、[0070]、図10参照)。ここで図10をみると、乾燥装置1と第二乾燥装置67とは直列に配置されており、搬送ライン71で接続されていることが示されています。引用文献1には、複数の乾燥装置が、本願発明1のように隣接して配置されることは記載も示唆もされていません。 また、引用文献2にも本願発明1のこの点は記載も示唆もされていません。 さらに、本願明細書の段落[0054]には、「従来の乾燥装置ユニット101では、モータ104が乾燥装置ユニット101の幅方向の両側にせり出しているので、その部分のスペースS3が必要となり、乾燥装置ユニット101どうしを十分に近づけることができない。これに対して、本実施の形態の乾燥装置10は、直交軸型かつ直結型の駆動装置41を用いた1軸1駆動方式であるので、駆動装置41が汚泥乾燥装置10の幅を超えてはみ出すことがなく、汚泥乾燥装置10どうしの間隔を近くできる。」と記載されています。すなわち、本願発明1は「複数の乾燥装置を隣接させてなる」構成を有することで、複数の乾燥装置を配置する際に省スペース化を実現できるものです。 引用文献1には、本願のように省スペース化について検討することは記載も示唆もされていません。また、乾燥装置1と第二乾燥装置67とは、上記でも述べたように、搬送ライン71により接続されているものです。したがいまして、乾燥システムの省スペース化について検討されていない引用文献1において、搬送ライン71の存在があることにより、2つの乾燥装置を本願発明1のように隣接させて設置することは困難であると思料します。 引用文献2にも、固液分離装置の省スペース化の検討については記載も示唆もされていません。 よって、引用文献1と引用文献2とをいかに組み合わせても、本願発明1には想到し得きません。」 上記主張における、「さらに、本願明細書の段落[0054]には、『従来の乾燥装置ユニット101では、・・・乾燥装置ユニット101どうしを十分に近づけることができない。これに対して、本実施の形態の乾燥装置10は、・・・汚泥乾燥装置10どうしの間隔を近くできる。』と記載されています。すなわち、本願発明1は『複数の乾燥装置を隣接させてなる』構成を有することで、複数の乾燥装置を配置する際に省スペース化を実現できる」という主張を踏まえると、審判請求人は、本願発明の「複数の乾燥装置を隣接させてなる」ことは、「直交軸型かつ直結型の駆動装置41」を用いた「複数の乾燥装置」を幅方向で「隣接させる」ことであり、このような構成により本願発明は特有の作用効果を奏することを主張しているとも理解することができる。 本願発明は、「複数の乾燥装置を隣接させてなる」ものであって、「複数の乾燥装置」を幅方向で「隣接させる」もののみに特定されるものではなく、「複数の乾燥装置」を上下方向や前後方向で「隣接させる」ことも含むものといえる。そうすると、上記「1.対比」で抽出した相違点1と相違点2は互いに関連するものではないから、相違点1について上記「2.判断」で説示したように、引用発明の「乾燥装置1及び第二乾燥装置67」の配置について、その直列関係を維持しつつ両者をどのように配置させるかは、当業者が適宜設計し得る事項に過ぎず、両者を隣接して配置させることも、文献3~5に記載された技術のとおり周知技術であるように、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎず、加えて、相違点1とは関連しない相違点2について上記「2.判断」で説示したように、引用発明の駆動部72として、引用文献2に記載された技術を適用して、「上下方向に延びる直交軸型のギアモータ」であって、「各撹拌シャフトの前記ギアモータが前記乾燥装置の幅内に収まっている」ものにすることも、当業者であれば容易になし得ることである。 仮に本願発明の「複数の乾燥装置」を、上記の通り幅方向で「隣接させる」ことを意図したものと限定的に解釈した場合であっても、上記第4の3.(2)で説示したように、文献3には「攪拌用羽根21を用いた流動式乾燥機10A,10B,10Cについて、各流動式乾燥機を横に並べて配置」することが記載されており、文献3に記載された技術のとおり、複数の乾燥装置を、幅方向で隣接させることは周知技術の一形態に過ぎない。そして、上記「2.判断」の相違点1の検討で説示したように、引用発明の「乾燥装置1及び第二乾燥装置67」の配置について、その直列関係を維持しつつ両者をどのように配置させるかは、当業者が適宜設計し得る事項に過ぎず、当該周知技術の一形態のような配置とすることも、当業者が適宜なし得る設計変更に過ぎない。 そして、引用発明に周知技術を前提とした設計的事項により設計変更するとともに、引用文献2に記載された技術を適用することは、上述したように「1.対比」で抽出した相違点1と相違点2は互いに関連するものではないから、当業者であれば容易になし得ることである。 さらに、審判請求人の主張する「駆動装置41が汚泥乾燥装置10の幅を超えてはみ出すことがなく、汚泥乾燥装置10どうしの間隔を近くできる」、「複数の乾燥装置を配置する際に省スペース化を実現できる」という効果について、後者の効果は、引用発明に周知技術を前提とした設計的事項により設計変更した構成から得られるもので、前者の効果は、引用発明に引用文献2に記載された技術を適用した構成から得られるもので、これら双方の効果を単に加えた予測し得る程度のものに過ぎず、それ以上の相乗効果があるとはいえない。 したがって、審判請求人の主張を採用することはできない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-002142

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