特許無効審判
2016-800115
高コントラストタイヤパターン及びその製作方法
- 審判番号
- 2016-800115
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2012-531315
- 登録番号
- 5642795
- 請求日
- 2016年09月30日
- 審決日
- 2022年09月29日
- 公報発行日
- 2023年02月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社 ブリヂストン
- 【請求人代理人】丹治 彰
- 【請求人代理人】服部 智
- 【請求人代理人】田部 元史
- 【請求人代理人】仁内 宏紀
- 【請求人代理人】三縄 隆
- 【請求人代理人】松村 啓
- 【請求人代理人】小椋 正幸
- 【被請求人】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
- 【被請求人代理人】弟子丸 健
- 【被請求人代理人】田中 伸一郎
- 【被請求人代理人】倉澤 伊知郎
- 【被請求人代理人】山本 航介
- 【被請求人】ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム
- 【被請求人代理人】弟子丸 健
- 【被請求人代理人】田中 伸一郎
- 【被請求人代理人】倉澤 伊知郎
- 【被請求人代理人】山本 航介
- 審判長/審判官
- 審判長 藤井 昇
- 審判官 出口 昌哉
- 審判官 三宅 龍平
- 分類
- P1113.121-YAA(B60C) / P1113.113-YAA(B60C) / P1113.537-YAA(B60C)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第123条第1項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第134条の2第6項、特許法第134条の2第3項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第123条第1項第4号、特許法第135条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
上記当事者間の特許第5642795号「高コントラストタイヤパターン及びその製作方法」の特許無効審判事件についてされた平成31年 2月26日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成31年(行ケ)第10043号、令和 2年 2月20日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第5642795号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、4、5、6、7について訂正することを認める。
特許第5642795号の請求項1~6に係る発明についての特許に対する本件審判の請求は、成り立たない。
特許第5642795号の請求項7に係る発明についての特許に対する本件審判の請求を却下する。
審判費用は、その7分の6を請求人の負担とし、7分の1を被請求人の負担とする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1.本件審判請求がされるまでの経緯
特許第5642795号(以下、「本件特許」という。)は、2010年(平成22年)9月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年9月28日 (FR)フランス)を国際出願日とする出願であって、その請求項1ないし7に係る発明について平成26年11月7日に特許権の設定登録がなされたものである。
2.一次審決までの主な手続きの経緯
本件特許無効審判は、請求人 株式会社ブリヂストン(以下、「請求人」という。)により、被請求人 コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン、外1名(以下、「被請求人」という。)の本件特許についてなされたものであって、平成31年2月26日付け審決(以下「一次審決」という。)までの主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 9月30日付け 審判請求書
平成29年 2月 8日付け 審判事件答弁書、訂正請求書
同年 3月22日付け 審理事項通知
同年 4月19日付け 口頭審理陳述要領書(請求人)
同年 5月18日付け 口頭審理陳述要領書(被請求人)
同年 6月 7日 口頭審理
同年 6月28日付け 上申書(請求人)
同年 7月26日付け 上申書(被請求人)
同年11月10日付け 審決の予告
平成30年 2月14日付け 訂正請求書
同年 3月 7日付け 証拠説明書(被請求人)
同年 4月 9日付け 訂正拒絶理由通知、職権審理結果通知
同年 5月 8日付け 意見書(請求人)
同年 5月18日付け 証拠説明書(請求人)
同年 5月31日付け 意見書、手続補正書、証拠説明書(被請求人)
同年 7月 6日付け 上申書(被請求人)
同年 7月13日付け 上申書(請求人)
同年 8月23日付け 審尋
同年 9月21日付け 回答書(被請求人)
同年10月17日付け 手続補正指令書(方式)
同年11月14日付け 上申書(請求人)
同年11月19日付け 手続補正書(被請求人)
平成31年 1月30日付け 補正許否の決定
同年 2月 5日付け 審理終結通知書
同年 2月26日付け 審決
3.一次審決
一次審決の結論は「特許第5642795号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4~7〕、3について訂正することを認める。特許第5642795号の請求項1~6に記載された発明についての特許に対する本件審判の請求は、成り立たない。特許第5642795号の請求項7に記載された発明についての特許に対する本件審判の請求は、却下する。審判費用は、請求人の負担とする。」というものである。
4.審決取消訴訟
請求人は、平成31年4月3日、上記一次審決の取り消しを求めて、知的財産高等裁判所に訴訟を提起した。上記訴訟は、知的財産高等裁判所において、平成31年(行ケ)第10043号審決取消請求事件として審理され、令和2年2月20日に「主文 1 特許庁が無効2016-800115号事件について平成31年2月26日にした審決のうち、特許第5642795号の請求項1ないし6に係る部分を取り消す。2 訴訟費用は、被告らの負担とする。3 この判決に対する上告又は上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。」とする判決(以下「本件判決」という。)の言い渡しがあり、その後確定した。
5.本件判決確定後の主な手続きの経緯
本件判決確定後の主な手続の経緯は、以下のとおりである。
令和3年 8月 3日付け 審理再開通知書
同年12月 8日付け 審決の予告
令和4年 3月14日付け 訂正請求書
同年 5月24日付け 審判事件弁駁書
第2 令和4年3月14日付けの訂正請求の適否
1.本件訂正の内容
令和4年3月14日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~7のとおり訂正することであり、訂正事項は以下のとおりである(下線部が訂正箇所である。)。
なお、平成29年2月8日付けの訂正請求及び平成30年2月14日付けの訂正請求は、特許法第134条の2第6項の規定により、取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記タフト(21)又は前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置している、タイヤ。」
と記載されているのを、
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)を有し、前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた、タイヤにおいて、前記タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、タイヤ。」
に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)は、少なくとも0.1mmの平均高さを有する、請求項1記載のタイヤ。」
と記載されているのを、
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)を有し、前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた、タイヤにおいて、前記タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフト(21)は、少なくとも0.1mmの平均高さを有する、タイヤ。」
に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)は、前記タフト又は前記ブレードのベースから前記タフト又は前記ブレードの端に向かって減少した断面を有する、請求項1記載のタイヤ。」
と記載されているのを、
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、前記ブレード(22)は、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、タイヤ。」
に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)の高さ(h)と前記タフト(21)の平均断面の直径(d)又は前記ブレード(22)の前記平均幅(d)の比は、1.2~6である、請求項1記載のタイヤ。」
と記載されているのを、
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、前記ブレード(22)は、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレード(22)の高さ(h)と前記ブレード(22)の前記平均幅(d)の比は、1.2~6である、タイヤ。」
に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に
「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)の高さ(h)と前記タフト(21)の平均断面の直径(d)又は前記ブレード(22)の前記平均幅(d)の比は、2~4である、請求項1記載のタイヤ。」
と記載されているのを、
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、前記ブレード(22)は、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレード(22)の高さ(h)と前記ブレード(22)の前記平均幅(d)の比は、2~4である、タイヤ。」
に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に
「前記タフトの密度は、1mm2当たり15本未満のタフトである、請求項1記載のタイヤ。」
と記載されているのを、
「可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)を有し、前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた、タイヤにおいて、前記タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフトの密度は、1mm2当たり15本未満のタフトである、タイヤ。」
に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
そして、訂正前の請求項2~7はいずれも請求項1を引用するものであり、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、請求項1~7は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1~7は、一群の請求項ごとに請求されたものである。
また、訂正後の請求項2、3、4、5、6については、引用関係の解消を目的とする訂正であるから、被請求人は、当該請求項についての訂正が認められる場合には請求項2、3、4、5、6は、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。
2.当審の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的
訂正事項1のうち、請求項1の「又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」、「又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」及び「又は前記ブレード(22)」との事項を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
訂正事項1のうち、請求項1に、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、」及び「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、」との事項を付加する訂正は、タフトに関する限定を付加する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内においてした訂正であること
(ア)
訂正事項1のうち、請求項1の「又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」、「又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」及び「又は前記ブレード(22)」という事項を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであることから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「特許明細書等」という。)の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
(イ)
訂正事項1のうち、請求項1に、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、」との事項を付加する訂正は、請求項3の「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)は、前記タフト又は前記ブレードのベースから前記タフト又は前記ブレードの端に向かって減少した断面を有する、」との記載、及び、特許明細書等の段落【0030】の「タフトの全体形状が円錐形なので、タフトの断面は、足部から先端部に向かうに連れて減少する。」との記載から、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
(ウ)
訂正事項1のうち、請求項1に、「前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、」との事項を付加する訂正は、特許明細書等の【図1】に、タフト21は各タフト21間に空間が存在するように分布していることが示されていることから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
(エ)
訂正事項1のうち、「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、」を付加する訂正は、(a)前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいこと、及び(b)前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいこと、の2つの事項からなることから、以下それぞれについて検討する。
a
(a)について、特許明細書等の段落【0017】に、「この方法は、パスの際、光ビームによる金属の溶解及び昇華が液体金属を飛ばすと共に先のパス中に得られたキャビティの壁に金属蒸気を凝縮付着させる作用効果を有することを特徴とする。」、段落【0018】に、「このことは、先のパス中に生じたキャビティ又は溝の壁に材料のノジュール(こぶ状生成物)をはねかけるという作用効果を有する。凝固の際、これらノジュールは、表面の凸凹を作り、この特性は、本発明の要旨をなすタフト又はブレードを成形する所望の粗さに正確に一致する。」、及び、特許明細書等の段落【0055】に、「好ましくは、タフトの高さの下四分の一の表面が所望の粗さを有するようにする構成が取られる。」と記載されており、所望の粗さは、タフト又はブレードに形成され可視面には形成されないと解釈できることから、(a)の事項を付加する訂正は、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
b
(b)について、特許明細書等の段落【0049】に、「図5で理解できるように、このキャビティの出現しつつある部分(タフト21の足部210を成形するようになっている)の近くに配置されたキャビティの壁310は、高い粗さを有している。図6及び挿入図としての拡大図は、タフトの先端部220を成形するようになったキャビティ3の底部320を示している。この領域では、キャビティ壁の表面は、極めて滑らかである。」と記載され、タフトの先端部は足部よりも滑らかに形成されること、及び、段落【0055】~【0056】に、「図7に示されている場合では、相当大きな粗さが足部領域で得られる。」、「図8に示された場合では、タフトの表面全体にわたって分布して設けられた中程度の又は低い粗さが得られる。」と記載されており、図8のものは「タフトの表面全体にわたって」と記載しているのに対し、図7のものは「粗さが足部領域で得られる」と記載されていることからもわかるように、図7のものは、タフトの足部以外の先端部が粗くなっていないことが理解できる。
そして、特許明細書等の段落【0055】に、「好ましくは、タフトの高さの下四分の一の表面が所望の粗さを有するようにする構成が取られる。」と記載されていることから、タフトの高さの下四分の一以外の部分の表面については、所望の粗さとしていないものも含まれていることが明らかであり、タフトの高さの下四分の一を除くタイヤの可視面やタフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいことが実質的に記載されているといえるから、(b)の事項を付加する訂正は、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項1は、請求項1からブレードに関する事項を削除し、タフトに関する限定を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的
訂正事項2のうち、訂正前の請求項2が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
訂正事項2のうち、「又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」、「又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」及び2箇所の「又は前記ブレード(22)」という事項を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
訂正事項2のうち、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、」及び「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」との事項を付加する訂正は、タフトに関する限定を付加する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
したがって、訂正事項2は、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内においてした訂正であること
訂正事項2のうち、訂正前の請求項2が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項2のうち、「又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」、「又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」及び2箇所の「又は前記ブレード(22)」という事項を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項2のうち、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、」との事項を付加する訂正は、訂正前の請求項3の「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)は、前記タフト又は前記ブレードのベースから前記タフト又は前記ブレードの端に向かって減少した断面を有する、」との記載、及び、特許明細書等の段落【0030】の「タフトの全体形状が円錐形なので、タフトの断面は、足部から先端部に向かうに連れて減少する。」との記載から、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
訂正事項2のうち、「前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、」との事項を付加する訂正は、特許明細書等の【図1】に、タフト21は各タフト21間に空間が存在するように分布していることが示されていることから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
訂正事項2のうち、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」を付加する訂正は、上記(1)イ(エ)bのとおりであるから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項2は、択一的記載のブレードに関する事項を削除し、タフトに関する限定を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的
訂正事項3のうち、訂正前の請求項3が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
訂正事項3のうち、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は」、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は」、2箇所の「前記タフト(21)又は」及び2箇所の「前記タフト又は」という事項を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
訂正事項3のうち、「各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とあるのを「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とする訂正は、「0.03mm~0.5mm」の数値範囲を「0.1mm~0.5mm」の数値範囲に限定することであり、当該訂正、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」とする訂正、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」及び「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、」を付加する訂正は、いずれもブレードに関する限定を付加する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
したがって、訂正事項3は、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内においてした訂正であること
(ア)
訂正事項3のうち、訂正前の請求項3が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項3のうち、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は」、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は」、2箇所の「前記タフト(21)又は」及び2箇所の「前記タフト又は」という事項を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
(イ)
訂正事項3のうち、「各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とあるのを「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とする訂正は、特許明細書等の段落【0031】に「図2に示されているパターン2は、高さh及び平均幅dの複数個のブレード22を有している。上述した内容と同様、所望のコントラスト効果は、対応の寸法で、即ち、少なくとも0.1mmの平均幅d及び0.5mm未満でなければならず、・・・」と記載されていることから、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものであるといえる。
訂正事項3のうち、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」との事項を付加する訂正は、特許明細書等の【図2】に、ブレード22は各ブレード22間に空間が存在するように分布していることが示されていることから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
(ウ)
訂正事項3のうち、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」と訂正し、「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、」との事項を付加する訂正について以下検討する。
a
特許明細書等に記載された発明は、技術分野、課題及び解決手段について、以下のとおり理解できる。
特許明細書等に記載の発明は、非常にコントラストの高い印を備えた車両用タイヤの技術分野に関する(段落【0001】)。
タイヤの表面にある、品質に関する技術的情報やブランドを示すための印又はマークについて、一般に、これらは、タイヤの表面に隆起パターンを設けることで作成されていたが、通常、加硫用モールド(すなわちタイヤの金型)は、表面仕上げの面で極めて良好な外観を備えた金属で作られるので、出来上がるタイヤの外面は滑らかであり、光を散乱させる効果が生じていた。そこで、コントラストを高めるために、パターンにタフト又はブレードを設けることで、当該部分が光を吸収し、艶消し効果をもたらすようにして、これを設けないパターン外の部分とのコントラストを高めるとの従来技術があった。特許明細書等に記載された発明は、この従来技術を改良することを課題とする(段落【0002】から【0007】、【0009】)。
その解決手段は、タフト又はブレードの寸法、密度及び間隔を規定するとともに、タフト又はブレードの面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを設けるというものである(段落【0010】~【0011】)。
表面粗さを有することで、光を乱反射させ、タフト又はブレードの表面上で入射光が捕捉される結果、一層艶消しの視覚的印象が得られ、パターン部分がより濃い黒色となって、タイヤ表面の残部と良好なコントラストをなす(段落【0012】)。
タフトについて、段落【0055】には、「図7に示されている場合では、相当大きな粗さが足部領域で得られる。好ましくは、この形態は、光の最大捕捉状態に対応し、従って最大黒度に対応していることが判明した。また、好ましくは、タフトの高さの下四分の一の表面が所望の粗さを有するようにする構成が取られる。」と記載されているので、好ましい構成として、「所望の粗さ」を有する表面を、「タフトの高さの下四分の一」とする構成が開示されているといえる。
ここで、特許明細書等には、段落【0033】及び上記の課題と解決手段のとおり、パターン部分とそれ以外の部分とのコントラストを高めるため、タフト又はブレードの面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを設けると記載されていること、段落【0035】、【0036】には5μm、30μmをそれぞれ下限、上限とする理由が記載されていることに照らせば、「所望の粗さ」は、「5μm~30μmの平均粗さRz」と理解できる。
次に、この平均粗さRzのブレードへの適用について検討する。
段落【0057】には、「この動作モードは、必要な変更を加えると共に同じ作用効果が得られるようブレードを製作するのに利用できる。」旨記載されている。
「この動作モード」とは、図7から9の各動作モードを意味すると解される。
なぜなら、段落【0050】が、タフトとブレードの双方について、図7から9に示されるような成形方法があるとし、段落【0051】から【0056】が、タフトについて、図7から9の各動作モードによるタフトを成形するためのキャビティの製作方法の詳細及び各場合にタフトのどこにどのような粗面が形成されるかを説明する流れを受けて、ブレードについて説明する段落【0057】があるから、ブレード用の溝についても図7から9に示されるような製作方法があると解するのが文脈上自然であるし、特許明細書等の全体を見ても、段落【0011】、【0015】、【0033】、【0059】などにおいて、タフトとブレードを区別することなく、表面粗さを設ける位置や粗さの大きさを説明する一方、これらについてタフトとブレードで区別すべきことの記載は見当たらないから、特許明細書等に記載された発明は、タフトとブレードで、相対的に同じ位置に粗面を設けるものと解されるからである。
よって、段落【0057】から、ブレードについても、コントラストを高めるために、図7の動作モードに必要な変更を加え、ブレードの高さの下四分の一の表面を、5μm~30μmの平均粗さとする構成が読み取れるというべきである。
b
以上のとおり、特許明細書等の記載を総合すれば、ブレードについて、高さの下四分の一の表面を、5μm~30μmの平均粗さとする技術的事項を導くことができるから、訂正事項3の、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」との事項を付加する訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものといえる。
c
上記(1)イ(エ)a、bのとおり、タフトの高さの下四分の一を除くタイヤの可視面やタフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいことが記載されているといえるところ、このことは、上記aの説示を踏まえると、ブレードについてもいえるから、訂正事項3の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、」との事項を付加する訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項3は、択一的記載のタフトに関する事項を削除し、ブレードに関する限定を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的
訂正事項4のうち、訂正前の請求項4が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
訂正事項4のうち、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は」、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は」2箇所の「前記タフト(21)又は」及び「前記タフト(21)の平均断面の直径(d)又は」を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
訂正事項4のうち、「各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とあるのを「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とする訂正は、「0.03mm~0.5mm」の数値範囲を「0.1mm~0.5mm」の数値範囲に限定することであり、当該訂正、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」とする訂正、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」及び「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」を付加する訂正は、いずれもブレードに関する限定を付加する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
したがって、訂正事項4は、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内においてした訂正であること
(ア)
訂正事項4のうち、訂正前の請求項4が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項4のうち、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は」、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は」2箇所の「前記タフト(21)又は」及び「前記タフト(21)の平均断面の直径(d)又は」を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
(イ)
訂正事項4のうち、「各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とあるのを「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とする訂正、及び、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」との事項を付加する訂正は、上記(3)イ(イ)の説示と同様のことがいえるから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
(ウ)
訂正事項4のうち、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」と訂正し、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」との事項を付加する訂正について以下検討する。
上記(3)イ(ウ)aの説示と同様の理由により、特許明細書等の記載を総合すれば、ブレードについて、高さの下四分の一の表面を、5μm~30μmの平均粗さとする技術的事項を導くことができるから、訂正事項4の「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」との事項を付加する訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものといえる。
そして、上記(1)イ(エ)bのとおり、タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいことが記載されているといえるところ、このことは、上記(3)イ(ウ)aの説示を踏まえると、ブレードについてもいえるから、訂正事項4の「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」との事項を付加する訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項4は、択一的記載のタフトに関する事項を削除し、ブレードに関する限定を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的
訂正事項5のうち、訂正前の請求項5が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
訂正事項5のうち、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は」、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は」、2箇所の「前記タフト(21)又は」及び「前記タフト(21)の平均断面の直径(d)又は」を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
訂正事項4のうち、「各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とあるのを「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とする訂正は、「0.03mm~0.5mm」の数値範囲を「0.1mm~0.5mm」の数値範囲に限定することであり、当該訂正、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」とする訂正、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」及び「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」を付加する訂正は、いずれもブレードに関する限定を付加する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
したがって、訂正事項4は、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内においてした訂正であること
(ア)
訂正事項5のうち、訂正前の請求項5が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項5のうち、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は」、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え又は」、2箇所の「前記タフト(21)又は」及び「前記タフト(21)の平均断面の直径(d)又は」を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
(イ)
訂正事項5のうち、「各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とあるのを「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」とする訂正、及び、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」との事項を付加する訂正は、上記(3)イ(イ)の説示と同様のことがいえるから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
(ウ)
訂正事項5のうち、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、」と訂正し、「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」との事項を付加する訂正について以下検討する。
上記(3)イ(ウ)aの説示と同様の理由により、特許明細書等の記載を総合すれば、ブレードについて、高さの下四分の一の表面を、5μm~30μmの平均粗さとする技術的事項を導くことができるから、訂正事項5の「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置している」との事項を付加する訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものといえる。
そして、上記(1)イ(エ)aのとおり、タイヤの可視面の平均粗さは、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいことが記載されているといえるところ、このことは、上記(3)イ(ウ)aの説示を踏まえると、ブレードについてもいえるから、訂正事項5の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」との事項を付加する訂正は、新たな技術的事項を導入しないものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてしたものといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項5は、択一的記載のタフトに関する事項を削除し、ブレードに関する限定を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的
訂正事項6のうち、訂正前の請求項6が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
訂正事項6のうち、「又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」、「又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」及び「又は前記ブレード(22)」を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
訂正事項6のうち、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、」及び「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」との事項を付加する訂正は、タフトに関する限定を付加する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
したがって、訂正事項2は、「特許請求の範囲の減縮」及び「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内においてした訂正であること
訂正事項6のうち、訂正前の請求項6が請求項1を引用する形式で記載されていたものを独立形式に記載を改めることは、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項6のうち、「又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」、「又は各ブレードは、0.03mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」及び「又は前記ブレード(22)」を削除する訂正は、択一的記載の要素を削除するものであり、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であることが明らかである。
訂正事項6のうち、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、」との事項を付加する訂正は、訂正前の請求項3の「前記タフト(21)又は前記ブレード(22)は、前記タフト又は前記ブレードのベースから前記タフト又は前記ブレードの端に向かって減少した断面を有する、」との記載、及び、特許明細書等の段落【0030】の「タフトの全体形状が円錐形なので、タフトの断面は、足部から先端部に向かうに連れて減少する。」との記載から、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
訂正事項6のうち、「前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、」との事項を付加する訂正は、特許明細書等の【図1】に、タフト21は各タフト21間に空間が存在するように分布していることが示されていることから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
訂正事項6のうち、「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、」を付加する訂正は、上記(1)イ(エ)aのとおり、タイヤの可視面の平均粗さは、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいことが記載されているといえるから、特許明細書等の記載の範囲内においてした訂正であるといえる。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと
訂正事項6は、択一的記載のブレードに関する事項を削除し、タフトに関する限定を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的
訂正事項7は、請求項7を削除する訂正であり、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものといえる。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした訂正であること及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7は、請求項7を削除するものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でもないことは、明らかである。
3.本件訂正に対する請求人の主張について
(1)請求人の主張
請求人は、平成30年2月14日付け訂正請求に対して、平成30年5月8日付け意見書、同年7月13日付け上申書、同年11月14日付け上申書及び、令和4年5月24日付け審判事件弁駁書において、次のとおり主張している(本件訂正は、平成30年2月14日付け訂正請求の内容を、実質的に全て含むものであるから、この主張は、本件訂正についても該当するといえる。)。
ア 平成30年5月8日付け意見書の主張
「訂正事項・・・の「前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し」については、明細書等に記載された特定事項ではく、明細書等の記載の範囲内ともいえない。」(2頁11~13行)
「訂正事項・・・の「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように分布し」については、明細書等に記載された特定事項ではく、明細書等の記載の範囲内ともいえない。」(3頁1~3行)
「さらに、訂正事項・・・において、「この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置している」と訂正したことは、明細書等に記載された特定事項ではく、明細書等の記載の範囲内ともいえない。」(3頁16~19行)
なお、上記主張中の「・・・特定事項ではく、明細書等の・・・」は「・・・特定事項ではなく、明細書等の・・・」の誤記と認める。
イ 平成30年7月13日付け上申書及び同年11月14日付け上申書の主張
「・・・請求項1に特定事項としてあった、「前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって・・・互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、」の下線部「該パターンの前記表面全体にわたって」が訂正後請求項・・・では特定されていない。
よって、訂正後請求項・・・は、請求項1を引用する請求項・・・を減縮したものではなく、・・・」(平成7月13日付け上申書3頁22行~4頁1行)同年11月14日付け上申書においても同様に主張している(5頁11~17行)。
この主張について、平成30年8月23日付けで当審から審尋を送付したところ、被請求人は、同年9月21日付け回答書において、次のとおり主張している。
「・・・この請求項1の「前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し」との記載において、「該パターンの前記表面全体にわたって」は、文章の続き方通り、タフト(21)のみを修飾し、ブレード(22)は修飾しない。・・・」(3頁3~8行)「換言すれば、複数のタフトによりパターンを形成する場合には、一本一本のタフトの配置を規定せず、複数のタフトの密度状態を規定したので、この密度状態を満たす複数のタフトが、パターンの表面全体に分布することが必要となるのである。この点を明確にするために、複数のタフトによりパターンが形成される場合には「パターンの表面全体」が特定された。」(4頁21~25行)「これに対して、パターンが複数のブレードからなる場合については、一枚一枚のブレードは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置されることが限定されている。このように配置された複数のブレードにより、パターンである印又はマークが「可視面との間で所望コントラスト効果」(本件発明の作用効果)を奏するパターン表面が形成されるのである。よって、複数のブレードによるパターンが形成される場合には、「パターンの表面全体にわたって」との特定はなされない。」(4頁27行~5頁6行)
ウ 令和4年5月24日付け審判事件弁駁書の主張
「・・・本件訂正・・・で追加された、以下の発明特定事項に係る構成は、・・・本件明細書等・・・には、何ら記載されていない。発明特定事項(1):可視面(11)の平均粗さがタフト(21)又はブレード(22)の高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいこと・・・発明特定事項(2):タフト(21)又はブレード(22)の高さの下四分の一より上方部分の平均粗さがタフト(21)又はブレード(22)の高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいこと・・・したがって、本件訂正は、・・・新規事項の追加に該当する・・・から、認められない。・・・サポート要件を充たしていない。」(3頁6行~4頁3行)
(2)検討
ア
上記「(1)ア」の主張については、上記「2.(1)~(6)の各イ」で説示したとおりであり、この主張を採用することはできない。
イ
次に、上記「(1)イ」の主張について検討する。
訂正前の請求項1には、「前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)又は互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、」と記載されている。
当該記載からは、タフト又はブレードが形成されている箇所がパターンと理解できるので、タフト又はブレードがパターンの表面全体にわたって配置されていることは、「表面全体にわたって」との文言による特定の有無に関わらず明らかといえる。
ここで、タフトの配置に関しては、密度状態で規定するものであるので、その密度状態が「表面全体にわたって」いると修飾し明確にすることは、発明特定事項の特定として合理的といえる。
他方で、ブレードの配置に関しては、実質的に平行に配置されたものをブレード間のピッチで規定するものであるが、上述のとおり、パターンの表面全体にわたってブレードが設けられていることは、「表面全体にわたって」との修飾を要せずとも明らかであるので、ブレードに関して「パターンの表面全体にわたって」との修飾を要しないとすることも合理的といえる。
したがって、この主張も採用することはできない。
ウ
上記「2.(1)~(6)の各イ」で説示したとおりであり、可視面(11)の平均粗さがタフト(21)又はブレード(22)の高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいという事項、及び、タフト(21)又はブレード(22)の高さの下四分の一より上方部分の平均粗さがタフト(21)又はブレード(22)の高さの下四分の一の平均粗さよりも小さいという事項は、特許明細書等の記載から自明であり、これらの事項は新規事項に該当しないし、サポート要件も充たしている。
したがって、上記「(1)ウ」の主張を採用することはできない。
4.小括
以上のとおりであるので、訂正事項1~7は、「特許請求の範囲の減縮」ないし「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とし、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、本件訂正は、特許法第134条の2第1項ただし書き第1号及び第4号に掲げる事項を目的とし、同法第134条の2第9項において準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものであり、適法なものであるからこれを認める。
そして、訂正後の請求項2、3、4、5、6については、引用関係の解消を目的とする訂正であるところ、被請求人から、訂正後の請求項2、3、4、5、6について訂正が認められる場合には、それぞれ一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することの求めがあり、これを認める。
第3 本件発明
本件特許の特許請求の範囲は本件訂正によって訂正されたので、その請求項1~6に記載された発明(以下、「本件発明1~6」といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)を有し、前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた、タイヤにおいて、前記タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、タイヤ。
【請求項2】
可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)を有し、前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた、タイヤにおいて、前記タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフト(21)は、少なくとも0.1mmの平均高さを有する、タイヤ。
【請求項3】
可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、前記ブレード(22)は、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい、タイヤ。
【請求項4】
可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、前記ブレード(22)は、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレード(22)の高さ(h)と前記ブレード(22)の前記平均幅(d)の比は、1.2~6である、タイヤ。
【請求項5】
可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)を有し、前記ブレード(22)は、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記ブレード(22)の高さ(h)と前記ブレード(22)の前記平均幅(d)の比は、2~4である、タイヤ。
【請求項6】
可視面(11)を有するタイヤ(1)であって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)を有し、前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた、タイヤにおいて、前記タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく、前記タフトの密度は、1mm2当たり15本未満のタフトである、タイヤ。」
第4 当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、「特許第5642795号の請求項1ないし7に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求めており、審判請求書、平成29年4月19日付け口頭審理陳述要領書、平成29年6月28日付け上申書、平成30年5月8日付け意見書、平成30年7月13日付け上申書、及び、平成30年11月14日付け上申書、令和4年5月24日付け審判事件弁駁書における主張を総合すると、無効理由1~7は、次のとおりである。
(1)無効理由1
本件特許の請求項1~5に記載された発明は、甲第4号証を参酌すると甲第1号証に記載された発明と実質同一であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するので、請求項1~5に係る特許は、同法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
または、請求項1~5に記載された発明は、甲第1号証に記載された発明と甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~5に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である。
(2)無効理由2
本件特許の請求項1~5に記載された発明は、甲第1号証に記載された発明と甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~5に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である。
(3)無効理由3
本件特許の請求項1~6に記載された発明は、甲第3号証に記載された発明と甲第2号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~6に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である。
(4)無効理由4
本件特許の請求項1~5に記載された発明は、甲第2号証に記載された発明と甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~5に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である。
(5)無効理由5
本件特許の請求項1~5に記載された発明は、甲第1号証に記載された発明と、甲第3号証、甲第5~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~5に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である。
(6)無効理由6
本件特許の請求項1~6に記載された発明は、甲第3号証に記載された発明と、甲第6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~6に係る特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効である。
(7)無効理由7
本件特許は、その特許請求の範囲または明細書の記載が、特許法第36条第6項第1号のサポート要件、同項第2号の明確性要件及び同条第4項第1号の実施可能要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
よって、本件特許は、特許法第123条第1項第4号に該当し、無効である。
そして、請求人は証拠方法として、審判請求書に添付して甲第1~10号証を提出し、平成29年4月19日付け口頭審理陳述要領書に添付して甲第11~17号証を提出し、平成30年5月8日付け意見書に添付して甲第18~20号証を提出した。
<証拠方法>
甲第1号証:特許第3007825号公報
甲第2号証:特開2003-252012号公報
甲第3号証:特表2009-512584号公報
甲第4号証:実験成績証明書(平成28年7月14日、株式会社ブリヂストン 牛頭誠 作成)
甲第5号証:欧州特許出願公開第1063071号明細書
甲第6号証:Miroslav RADOVANOVIC et al.、"RESEARCH ON SURFACE ROUGHNESS BY LASER CUT"、THE ANNALS OF UNIVERSITY "DUNAREA DE JOS" OF GALATI FASCICLE VIII、 2006(XII)、p84-88
甲第7号証:Thomas Himmer et al.、"CUTTING APPLICATIONS WITH HIGH BR IGHTNESS LASERS"、Journal for Technology of Plasticity、Vol.33(2008)、Number1-2、p63-70
甲第8号証:A.G.Malikov et al.、"EXPERIMENTAL OPTIMIZATION OF STEEL LASER CUTTING WITH OXYGEN"、International Conference on Methods of Aerophysical Research、ICMAR 2008、p1-4
甲第9号証:DIN4768(1990)規格、1~2頁
甲第10号証:特開2003-246209号公報
甲第11号証:特開2008-126699号公報
甲第12号証:特開平11-20416号公報
甲第13号証:特開平11-291722号公報
甲第14号証:本件特許出願(特願2012-531315)、平成26年3月26日付け拒絶理由通知
甲第15号証:本件特許出願(特願2012-531315)、平成26年9月2日付け意見書
甲第16号証:本件特許出願(特願2012-531315)、平成26年9月2日付け手続補正書
甲第17号証:本件特許出願(特願2012-531315)、出願当初の「特許請求の範囲」
甲第18号証:JIS B0651(ISO3274)製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-触針式表面粗さ測定器の特性
甲第19号証:JIS B0633(ISO4288)製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状:輪郭曲線方式-表面性状評価の方式及び手順
甲第20号証:実験成績証明書(平成30年2月19日、株式会社ブリヂストン 牛頭誠 作成)
2.被請求人の主張
被請求人は、「本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めており、審判事件答弁書、平成29年5月18日付け口頭審理陳述要領書、平成29年7月26日付け上申書、平成30年11月19日付け手続補正により補正された平成30年2月14日訂正請求書(14頁12行~31頁6行)、平成30年7月6日付け上申書、令和4年3月14日付け訂正請求書において、請求人の主張には何れも理由がない旨の主張をしている。
そして、被請求人は証拠方法として、審判事件答弁書に添付して乙第1~10号証を提出し、平成29年7月26日付け上申書に添付して乙第11号証を提出し、平成30年2月14日付け訂正請求書に添付して乙第12~21号証を提出し、平成30年5月31日付け意見書に添付して乙第22~23号証を提出した。
<証拠方法>
乙第1号証:GOOD YEAR、”Basic Knowledge タイヤ基礎知識 9タイヤの長期使用”、[online]、[平成29年2月7日検索]、インターネット<URL:http://goodyear.co.jp/faq/beginners09.html> 写し
なお、乙第1号証のURLについて、審判事件答弁書(37頁下から4~3行)の記載と乙第1号証の左下の印字とで異なっているため、後者を採用した。
乙第2号証:TIRE RACK.com、”Rubber Cracking”、[online]、[平成29年2月7日検索]、インターネット<URL:http://www.tirerack.com/tires/tiretech/techpage.jsp~techid=30> 写し
乙第3号証:BRIDGESTONEタイヤサイト、”長期経過タイヤの点検・交換”、[online]、[平成29年2月7日検索]、インターネット<URL:http://tire.bridgestone.co.jp/about/maintenance/long-term-tire/index.html
> 写し
乙第4号証:特表2002-512652号公報
乙第5号証:FREDERICK R. EIRICH、”SCIENCE AND TECHNOLOGY OF RUBBER”、ACADEMIC PRESS、Inc.、p416、p450 写し
乙第6号証:株式会社ブリヂストン、「自動車用タイヤの基礎と実際」、第1版、東京電機大学出版局、2008年4月10日、p277-p281
乙第7号証:Wikipedia、”オゾン”、[online]、[平成29年2月7日検索]、インターネット<URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%BE%E3%83%B3> 写し
乙第8号証:川重テクノロジー株式会社、”TECHNO NOW ゴム材料調査のご紹介(その1)~不具合原因調査~”、[online]、[平成29年2月7日検索]、インターネット<URL:http://www.kawaju.co.jp/techno-wm/showroom/33-1.html> 写し
乙第9号証:特開平10-244540号公報
乙第10号証:特開2007-62329号公報
乙第11号証:"Declaration of Maud GIOT"(Maud GIOTの宣誓書)の写し
乙第12号証:米国特許第8672008号明細書
乙第13号証:欧州特許第2483088号明細書
乙第14号証:特開平8-318716号公報
乙第15号証:野呂寿人 外2名、”3D-SEMによる鋼板表面3次元形状解析技術”、JFE技報、JFEスチール株式会社、2006年8月、No.13、p.9-13
乙第16号証:J.PLUSZYNSKI & W.SLOWKO、"Measurements of the surface microroughness with the scanning electron microscope"、Journal of Microscopy、Vol.233、Pt 1 2009、pp10-17
乙第17号証:佐藤壽芳 外1名、”走査電子顕微鏡(SEM)を用いた表面粗さ測定”、生産研究、36巻2号(1984.2)
乙第18号証:特表2008-504964号公報
乙第19号証:国際公開第2008/145768号
乙第20号証:特表2010-528694号公報
乙第21号証:Michael H. Ott and Detlef Lohe、"THE INFLUENCE OF SURFACE ROUGHNESS ON THE REFRAVTION OF X-RAYS AND ITS EFFECT ON BRAGG PEAK POSITIONS"、International Center for Diffraction Dara 2003、 Advan ces in X-ray Analysis、Volume 46、p232-237
乙第22号証:平成20年(行ケ)第10467号 審決取消請求事件 判決
乙第23号証:特許庁ホームページ「訂正審判・訂正請求Q&A」(http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/pdf/sinpan_q/03.pdf)
第5 甲各号証
1.甲第1号証に記載された事項及び甲1発明
甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、下線は当審で付したものである。以下同様。
(1a)
「【請求項1】タイヤのサイドウォール面に設けた表示マークの外面を、一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数の細溝が設けられた凹凸状断面とするとともに、この細溝の溝深さbを0.3mm以上かつ1.0mm以下、溝間ピッチaに対する前記溝深さbの比である溝深さb/aを0.5以上かつ2.2以下とし、前記細溝は、その溝壁面が前記サイドウォール面に垂直な法線に対して0度以上かつ25度以下の角度で外開きをなすことを特徴とする空気入りタイヤ。」
(1b)
「【0004】前記問題点を解決するため表示マークを表示するための標識領域を、細溝を交差させメッシュ模様状に配したものも提案されている。
【0005】しかし前記提案によるものは識別性は若干向上するものの、標識領域がメッシュ模様として構成されているため、溝深さを深くし得ず、又細溝が交差しているため標識領域に入射する光が乱反射するなどの要因により、標識領域以外の面との明暗の差が少なくなる結果、前記問題点の完全な解決には至っていない。
【0006】本発明は、サイドウォール面に設けた表示マークの外面を、一定方向にのびる多数の細溝により形成しかつ細溝の溝深さ、溝間ピッチを規制することにより、表示マークの識別性を高めるとともに、マークの表示が容易になしうる空気入りタイヤの提供を目的としている。」
(1c)
「【0018】表示マーク3の領域をこのような細溝4…によって形成することにより、タイヤのサイドウォール面2を照射する光は、表示マーク3以外では該サイドウォール面2が滑らかな面によって形成されているため、光を反射させる一方、表示マーク3の領域では、光が細溝4の壁面にあたり、サイドウォール面2とは異なる方向に光を反射させる。
【0019】従って、タイヤのサイドウォール面2を看視した場合には、表示マーク3の領域は反射光が少なく、領域外の部分とは、明暗の差が顕著に現れ、表示マーク3の外面3Aを他のサイドウォール面と同質かつ同色のゴムで形成した場合であっても、表示マーク3を表示をすることが出来る。」
(1d)
「【0023】なお、前記構成の細溝4…に対して交差する溝を設け、表示マークをメッシュ模様として形成した場合には、溝壁面5の面積が減じることにより、他のサイドウォール面2との明暗の差が少なくなる。従って、細溝4は、一定方向にのみ条設される溝であることに限定しなければならない。」
(1e)
「【0027】前記細溝4は、溝深さb及び溝深さ比b/aが前記規制値を充足する範囲において、その細溝4の溝底ラインと直交する溝断面形状において、図3に示す如くV字状に、又は図4に示す如く外面、溝底を円弧によって形成される波状に形成してもよく、又細溝4の溝断面形状が、例えば鋸歯状など非対象であってもよい。」
(1f)
段落【0031】の【表1】には、「実施例1」として、「溝間ピッチa(mm)」が「0.3」、「溝深さb(mm)」が「0.5」のものが記載されている。
上記(1a)~(1f)の記載及び【図1】~【図4】の記載からみて、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
〔甲1発明〕
「タイヤ1のサイドウォール面2に設けた表示マーク3の外面を、一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数のV字状の細溝4が設けられた凹凸状断面とする空気入りタイヤ1であって、
この細溝4の溝深さbを0.5mmとし、溝間ピッチaを0.3mmとした、空気入りタイヤ1。」
2.甲第2号証に記載された事項及び甲2発明
甲第2号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)
「【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤは、通常、カーボンブラックなどの補強材が配合された黒色のゴムによって形成される。ところが、時間の経過とともにゴムに添加されたワックス等の油分や老化防止剤などの添加剤がタイヤの外表面に移行して滲み出し、反射光等によっては外表面がぎらついて見えることがあり外観を損ねやすい。特にこのような傾向は、外部から視認されやすいサイドウォール部において顕著となる。
【0003】従来、このような問題を解決するために、ワックスや老化防止剤などの配合量などを減じ前記滲みだし自体を少なくする試みがなされてはいる。しかしながら、ワックスや老化防止剤の配合量が低下すると、タイヤの耐久性や耐候性などが低下するといった不具合を伴う。
【0004】発明者らは、このような実状に鑑み鋭意研究を重ねたところ、タイヤの外表面に一定の範囲に限定された表面粗さを付与することによって、タイヤに当たる光を乱反射し、タイヤの外表面をしっとりと黒っぽく見せ、前記添加剤の滲みだし等が生じてもこれを目立ち難くして外観の悪化を抑制しうることを見出した。以上のように、本発明は、タイヤの外表面の表面粗さを規制することを基本として、外観を向上しうる空気入りタイヤを提供することを目的としている。」
(2b)
「【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記載の発明は、外表面の少なくとも一部に、十点平均粗さRzが5~100μmでありかつ局部山頂の平均間隔Sが20~150μmの表面粗さを有する粗面部を具えることを特徴とする空気入りタイヤである。
【0006】ここで、「十点平均粗さRz」は、JIS-B-0601の規定に準拠して測定される。すなわち、タイヤの外表面を針触式の表面粗さ測定器で測定し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートルで表したものを十点平均粗さRzとする。なお本例では基準長さLを0.8mm、評価長さを4mmの条件とする。
【0007】また「局部山頂の平均間隔」は、JISには規定がないがISO等で定められており、図2に示すように、タイヤの外表面の粗さ曲線Nからその平均線mの方向に基準長さLだけ抜き取り、この抜き取り部分において隣り合う局部山頂間に対する平均線の長さ(局部山頂の間隔)S1、…Si、…Snを求め、この多数の局部山頂の間隔の算術平均値で表される。なお本例では基準長さLを0.8mm、評価長さを4mmの条件とする。」
(2c)
「【0010】本発明の空気入りタイヤ1は、その外表面の少なくとも一部に、十点平均粗さRzが5~100μmでありかつ局部山頂の平均間隔Sが20~150μmの表面粗さを有する粗面部5を含むことを特徴事項の一つとしている。本実施形態の粗面部5は、外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面3aに形成したものを示している。またサイドウォール部3の外表面3aに標章等の模様9が形成される場合があるが、本例ではこの模様9についても粗面部5で形成している。
【0011】発明者らの種々の実験の結果、このような粗面部5は外部からの光を好ましい加減で乱反射できタイヤ1をしっとりとした色調で黒々と見せることが判明した。そして、曝露実験等を繰り返しタイヤ外表面に添加剤を滲み出させても、この粗面部5では滲みだしが殆ど目立たず、長期に亘ってタイヤの外観を向上維持しうることを見出した。
【0012】前記粗面部5において、十点平均粗さRzが5μm未満であると、光が良い加減に乱反射せず、逆にタイヤが白っぽく見えてしまう傾向が強く、しかもタイヤ外表面に滲みだした油分などのぎらつきなどが目立ちやすくなる。なお従来のタイヤでは、この十点平均粗さRzが2μm程度のものが多く、このように滲みだしが目立っていたと考えられる。逆に粗面部5
の十点平均粗さRzが100μmよりも大きくなると、タイヤの外表面がヤリのようにザラザラとした質感となり、商品価値を損ね易いため好ましくない。より好ましくは、粗面部5の十点平均粗さRzを8~80μm、さらに好ましくは10~50μm、特に好ましくは15~35μmとするのが望ましい。
・・・
【0016】本実施形態では、前記粗面部5が、サイドウォール部3の外表面3aをなすものを示しているが、特にこの位置には限定されるわけではない。従って、サイドウォール部3の外表面3a以外にも、トレッド部2やビード部4などの各外表面を粗面部5とすることもできる。また、特に好適にはタイヤ1の外表面全体をこのような粗面部5で形成することが望ましい。
・・・
【0028】
【実施例】粗面部を有するサイズ235/45ZR17の乗用車用ラジアルタイヤ(実施例)を表1の仕様に基づき試作しタイヤの外観を評価した。また比較のために、粗面部を有しない同サイズのタイヤ(比較例)についても併せて試作した。実施例については、サイドウォール部の外表面に粗面部を設けた。またタイヤの外観は、新品状態及び曝露(夏期の晴天時10日間の曝露)を行った後の状態の双方で行い、5点法により評価した。数値が大きいほど良好である。テストの結果などを表1に示すが、実施例のものは、比較例に比べて外観を大幅に向上していることが確認できる。
【0029】
【表1】
[図:0001393413000001.jpg]
【0030】
【発明の効果】上述したように、本発明の空気入りタイヤは、粗面部によって外部からの光を好ましい加減で乱反射できタイヤを黒々と見せることができる。これにより、添加剤の滲みだし等が目立ちにくくなり、長期に亘りタイヤの外観を向上しうる。とりわけ、請求項2記載の発明のように、外部から視認されやすいサイドウォール部にこの粗面部を形成することにより、より効果的にタイヤの外観が向上できる。」
上記(2c)の「サイドウォール部3の外表面3aに標章等の模様9が形成される」という記載から、空気入りタイヤ1は、サイドウォール部3の外表面に標章等の模様9を有することが明らかであること、上記(2a)~(2c)の記載及び【図1】~【図2】の記載からみて、甲第2号証には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
〔甲2発明〕
「外部から視認されやすいサイドウォール部3および該サイドウォール部3の外表面に標章等の模様9を有する空気入りタイヤ1であって、
十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する、空気入りタイヤ1。」
3.甲第3号証に記載された事項及び甲3発明
甲第3号証の1~8頁には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3a)
「【請求項1】物品(1)であって、少なくとも1つの目に見える表面(11)を有し、この表面は、その少なくとも一部分に、物品の表面とは対照なパターン(2)を備え、このパターン(2)は、前記パターンの全体にわたって分布した複数の繊維状物(21)を備え、それぞれの繊維状物(21)は、0.003~0.06mm2の平均断面積を有し、このパターンは、パターンの表面上の繊維状物(21)の密度が、平方ミリメートル(mm2)で表現される単位面積あたり、少なくとも5つの繊維状物であることを特徴とする物品。
【請求項2】
パターンの表面上の繊維状物(21)の密度が、平方ミリメートル(mm2)で表現される単位面積あたり、少なくとも15の繊維状物であることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
繊維状物(21)の平均高さは、少なくとも0.1mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品(1)。
【請求項4】
それぞれの繊維状物(21)の横断面は、繊維状物の基部から前記繊維状物の先端部に向けて減少していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の物品(1)。
【請求項5】
繊維状物(21)の先端部(22)は、非平坦な形状を有していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の物品(1)。
【請求項6】
パターンは、様々な高さで、様々な形状である繊維状物を備え、繊維状物は、コントラストの変化を得るために、適切な密度にて配置されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の物品(1)。
【請求項7】
繊維状物の横断面の幾何学形状は多角形であり、前記繊維状物は、物品の表面上に基部を有し、基部は互いに接触することで、前記繊維状物の間に残される表面を減少させていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の物品(1)。
【請求項8】
前記物品は、ポリマー材料から形成されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の物品(1)。
【請求項9】
物品は、ゴム材料から形成されており、パターンにおける複数の繊維状物は、同一の材料から形成されていることを特徴とする請求項8に記載の物品(1)。
【請求項10】
前記物品は、ゴム材料から作られたタイヤ(100)であり、このタイヤは、目に見える表面(110)を有し、この表面の少なくとも一部分に、前記パターンの見かけを目立たせるために、タイヤと同一のタイプのゴム材料から作られた複数の繊維状物(201)からなるパターンを備えていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の物品(1)。
・・・
【請求項13】
モールド(10)内にてモールド成形できる物品の表面に、高いコントラストのパターンを形成するためのモールド成形方法であって、この方法が、モールド(110)の表面のパターン(20)の位置に、平均断面積が0.003~0.06mm2である複数のキャビティ(210)を作る段階を備え、キャビティ(210)の密度は、mm2で表現された、モールドの単位面積あたり、少なくとも5つのキャビティを有し、前記キャビティは、少なくとも0.1mmの深さを有していることを特徴とするモールド成形方法。
【請求項14】
キャビティ(210)は、レーザビームによって、モールドに形成されることを特徴とする請求項13に記載のモールド成形方法。」
(3b)
「【0017】
好ましくは、繊維状物の平均高さは、少なくとも0.1mmであり、パターンの長寿と高いコントラストとを保証する。
・・・
【0025】
図1は、物品1を示しており、その1つの外面11には、マーキング2が設けられ、マーキングは、本発明の実現のおかげで、特に良く目に見えると共に、任意の角度の入射光に対して高いコントラストを有している。
【0026】
このマーキング2は、物品1の表面11から突出した、複数の繊維状物21から形成されている。物品の表面上にある、これらの繊維状物21のすべての輪郭は、マーキング2の輪郭に正確に対応している。それぞれの繊維状物21は、物品の表面11の基部から起立し、前記表面11から遠ざかると徐々に減少するような横断面を有している。それぞれの繊維状物21は、高さhが0.12mmであり、基部における断面積は、直径0.15mmの円板の面積と同等になっている(すなわち、断面積は約0.018mm2である。)。さらに、それぞれの繊維状物21は、物品の表面から最も離れた端部において、ドーム形の部分22にて終端しており、平坦な形状を有することを避けている。」
(3c)
「【0028】
図2は、図1に示したものと類似した物品をモールド成形するための金属製モールドの一部分を示しており、前記モールド10に材料が射出される。略矩形の形状であるパターン20は、このモールドの一部分に形成されている。モールドの表面110上にあるこのパターン20の内部には、複数のキャビティ210(成形孔)が設けられ、0.12mmの平均深さを有しており(好ましくは、深さは0.1~0.2mmであるが、より大きくてもよい。)、一種の“ハニカム”構造を形成するように配置されている。ハニカム構造は、特に有利であり、というのは、モールド成形された繊維状物の基部の間に残される表面を減少させて、従って、モールド成形されたパターンの視認性を改善する利点を有するためである。モールド10の表面110上にあるこれらのキャビティ210は、六角形の形状を有し、0.12mm(好ましくは、0.1~0.2mm)の平均寸法を有している。
・・・
【0034】
このタイヤ100は、複数の部分からなるモールドにおいてモールド成形されたものであり、タイヤの側壁をモールド成形する部分には、その全体に、図1に示すような、(mm2あたり100を越える繊維状物に相当する)高密度のキャビティが設けられている。タイヤ100がモールド成形された後には、このタイヤの側壁は、非常に多数の略円錐形の繊維状物201を、前記側壁の表面110から突出させており、従って、一種のテクスチャを形成し、かかる繊維状物の横断面は、物品の表面から遠ざかるにつれて、減少するようになっている。同じ図5には、側壁の表面の局所的な拡大図を挿入して示しており、このテクスチャを形成している複数の繊維状物が容易に識別でき、このテクスチャは、前記側壁の黒色を高めるという利点を有している。」
上記(3a)~(3c)の記載及び【図1】の記載からみて、甲第3号証には次の発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。
〔甲3発明〕
「少なくとも1つの目に見える表面11を有するタイヤ100であって、この表面11は、その少なくとも一部分に、物品の表面11とは対照的なパターン2を備え、
このパターン2は、前記パターン2の全体にわたって分布した複数の繊維状物21からなり、それぞれの繊維状物21の横断面は、繊維状物の基部から先端部に向けて減少し、0.003~0.06mm2の平均断面積を有し、このパターン2は、パターン2の表面上の繊維状物21の密度が、平方ミリメートル(mm2)で表現される単位面積あたり、少なくとも5つの繊維状物である、タイヤ100。」
4.甲第4号証に記載された事項
甲第4号証には、次の事項が記載されている。
(4a)
「2-1.試験片の準備
表1に示す通り、特許第5642795号の優先日(2009年9月28日)以前に販売されていた製品3点を用意した。一般的に販売されているタイヤは側面にDOTセリアル番号が刻印されており、このセリアル番号の下4桁からいつごろ製造されたかがわかる。例えば表1のサンプル番号8700-Tはセリアルの下4桁が0706となっており、これは2006年の第7週(2006年2月12日~2月18日)に製造されたことを示しており、本件特許の優先日(2009年9月28日)よりも前のものであることが明確に判別できる。尚、これらのサンプルは、株式会社ブリヂストンの屋内倉庫にて保管されていたものを使用した。
・・・
上記製品にはそれぞれ、タイヤサイドウォール部表面に、ブレード状の凹凸が多数形成されている。」(「実験成績証明書」2/5頁7~17行)
(4b)
「ここで一般に、タイヤは製造後時間が経過すると、タイヤ表面に配合物が析出する、いわゆるブルームが発生するため、この際の析出物が、タイヤ表面の表面粗さそのものを変化させることはないものの、この析出物によって、測定値がタイヤ表面の実際の表面粗さから乖離してしまうおそれがある。そこで今回、切り出した試験片を、アセトン溶媒を用いたソックスレー抽出により洗浄し、前記析出物を除去し、新品タイヤ同等の表面を得た。
・・・
本試験においては上述のようにサンプルを準備し、地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターへ、ブレード状凸部の側壁面表面粗さの測定を委託した。」(同3/5頁4~13行)
(4c)
「2-3.試験条件
表面粗さ測定規格は様々あるが、特許第5642795号ではDIN4768(1990)が記載されているため、本件測定についても、当該規格に従って測定を行った。」(同4/5頁1~3行)
(4d)
「3.結果
粗さ曲線については、・・・粗さ曲線から求められたサンプル番号毎のRz値について、表4に示す。」(同5/5頁1~4行)
(4e)
「平成28年6月10日付でご依頼のありました上記試験が終了したので報告いたします。」(別添の地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターからの「報告書」、表紙、中央下部)
(4f)
実験成績証明書の2/5頁及び5/5頁には、それぞれ表1、表4として次の表が示されている。
[図:0001393413000002.jpg]
[図:0001393413000003.jpg]
5.甲第5号証に記載された事項
甲第5号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
なお、括弧内の翻訳は、主に請求人によるものである。(以下の甲第6号証~甲第9号証の翻訳についても同様である。)
(5a)([0043]~[0045])
(翻訳:[0043]
すでに述べたように、本発明に応じて実施されるポリマー物品は、好ましくはゴム製品および特に車両用タイヤである。しかしながら本発明に応じて他のポリマー物品も実施され得、本発明に応じて実施されるポリマー物品は例えば、ポリマーコーティングされた帯状繊維製品であってよく、当該ポリマーコーティングされた帯状繊維製品は例えば、車両内のダッシュボードの被覆、ゴムボート、ブックカバーなどのために使用可能である。本発明に応じて成形され得る他のポリマー物品は、ホース、コンベヤベルトであり、靴底、ステアリングホイールのインパクト・アブソーバ、変速レバーの被覆または取っ手、シール用成形体、シール用ベローズなどでもある。
[0044]
本発明に応じて形成される表面は、近代技術の応用により、例えばレーザの応用によって作り出され、それはポリマー物品もしくは本発明に係る表面を設けるべき当該ポリマー物品の部分を製造するための加硫金型が相応に成形され、それにより成型加工を介して所望の表面を実現することによって行われる。
[0045]
このために例えばポリマー物品を製造するための金型を製造するための本発明に係る方法により、まず従来式の平坦な金属表面に、連続レーザ光、またはパルスレーザ光を用いて、直線グリッド状もしくはドットマトリックス状の窪みが設けられ、当該窪み同士の間に高められた表面領域が保持されている。)
6.甲第6号証に記載された事項
甲第6号証には、次の事項が記載されている。
(6a)(87頁左上欄1~8行)
(翻訳:図4では、500W及び800WのCO2レーザー出力で種々の厚さのシートを切断した際の表面粗度変化を示している。標準粗度Rzは、シートの厚さとともに増加するが、レーザー出力の増加とともに減少する。800Wのレーザー出力で切断すると、標準粗度Rzは、1mmの厚さのシートについては10μm、3mmの厚さのシートについては20μm、6mmの厚さのシートについては25μmである。)
(6b)
87頁の「Fig.4.」から、「表面粗さが、シート厚さ0.5mmのとき、Rz≒9.0μm(レーザー出力500Wの場合)若しくはRz≒7.5μm程度(レーザー出力800Wの場合)であること、及び、シート厚さ5mmのとき、レーザー出力800Wの場合において、Rz≒25μmであること」が読み取れる。
7.甲第7号証に記載された事項
甲第7号証には、69頁Figure7から次の事項が読み取れる。
(7a)
炭酸ガスレーザおよびファイバレーザによりカットされた、ステンレス鋼の表面粗さRzが、ステンレス鋼の厚み4~20mmに応じて、10~120μmの範囲にあることが読み取れる。
8.甲第8号証に記載された事項
甲第8号証には、3頁Fig.6.から次の事項が読み取れる。
(8a)
厚みt=5mmの鋼板をレーザカットした時の表面粗さRzが、レーザビームの出力に応じて、10~50μmの範囲にあることが読み取れる。
9.甲第9号証に記載された事項
甲第9号証には、次の事項が記載されている。
(9a)(1頁右欄7~13行)
(翻訳:2.2.2 総合測定区間lm(図1参照)
総合測定区間は,中間線に垂直に投影された,粗さ面の評価に直接使われる部分の長さである。
2.2.3 個別測定区間le(図1参照)
個別測定区間は,総合測定区間lmの1/5に当たる。)
(9b)(2頁左欄6~9行)
(翻訳:2.3.3 平均化された粗さ深度Rz
平均化された粗さ深度は,互いに隣接する5つの個別測定区間の個別粗さからの算術的中間値である。)
(9c)(2頁右欄5~9行)
(翻訳:3.2.2 非周期的プロファイル(研削,全周フライス削り,そりなしの正面フライス削り,摩擦,変型等,表2または表3参照)のためのしゃ断λc,個別測定区間leと総合測定区間lm)
(9d)(2頁右欄表2)
(翻訳:表2に、「Rz μm」が「0.5を超え10まで」は「lm」が「4」、「Rz μm」が「10を超え50まで」は「lm」が「12.5」とある。)
(9e)(2頁右欄下から6~末行)
(翻訳:3.3 測定区間
製品が表1から表3による総合測定区間5×leを守れないなら、より少ない個別測定区間を持つ総合測定区間を使用してもよい。これは粗さ値に加えて表示すべきである。
例 Rz=1.1μm, lm=3×leの場合)
10.甲第10号証に記載された事項
甲第10号証には、図面とともに次の事項が記載されている。
(10a)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジエン系ゴム成形品、タイヤおよびその金型に関し、さらに詳しくは、ゴム表面に発生するひび割れによる外観低下を抑制したジエン系ゴム成形品、タイヤおよびその金型に関する。」
(10b)
「【0011】
【発明の実施の形態】本発明のゴム成形品表面や、タイヤのサイドウォール表面に設けられる凹部1のサイズは、図1にその断面図を示すように、幅Wが0.05~0.1mm、深さdが0.01~0.1mmであり、凸部2は、図2にその断面図を示すように、幅Wが0.05~0.1mm、高さhが0.01~0.1mmである。これら凹部や凸部は、0.1~0.5mmのピッチPで複数設けられている。このような大きさやピッチにすることで肉眼では見えにくくなり、外観的に悪影響がなく、製品のデザインを悪化させるということもない。例えば、ゴム製品の全表面積や大きな面積で凹部1や凸部2を違和感なく施すことが可能である。
【0012】また、オゾン劣化等によって、ゴム表面にひび割れが発生しても、ひび割れは上記の凹部1や凸部2に沿って、ミクロな大きさのレベルで進行しやすくなるために、ひび割れが分散、埋没し、実質的に肉眼で見えにくくなるために、外観の悪化を有効に防止することができる。
【0013】本発明の凹部1や凸部2の幅W、深さd、高さh、ピッチPが上記サイズより小さすぎると、本発明のひび割れによる外観低下の抑止効果が得られなくなるとともに、製造が困難となってしまう。逆に、幅W、深さd、高さhが大きすぎると、凹部や凸部が肉眼で見えやすくなり外観が悪化し、ピッチPが大きすぎると本発明のひび割れによる外観低下の抑止効果が得られなくなってしまう。」
(10c)
「【0023】
【発明の効果】本発明に従って、表面に幅0.05~0.1mm、深さ0.01~0.1mmの凹部、および/または、幅0.05~0.1mm、高さ0.01~0.1mmの凸部を0.1~0.5mmのピッチで複数設けることによって、ゴム表面に発生するひび割れによる外観低下を抑制したジエン系ゴム成形品、タイヤおよびその金型を得ることができる。」
(10d)
図2は、以下のとおりである。
[図:0001393413000004.jpg]
第6 当審の判断
無効理由1、2、5は、いずれも本件発明1~5を対象とし、甲第1号証に記載された発明(甲1発明)を主たる引用発明とする無効理由であるので、合わせて検討する。
同様に、無効理由3、6は、いずれも本件発明1~6を対象とし、甲第3号証に記載された発明(甲3発明)を主たる引用発明とする無効理由であるので、合わせて検討する。
1.無効理由1、2、5(甲1発明を主たる引用発明とする無効理由)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
後者の「サイドウォール面」は、前者の「可視面(11)」に相当し、後者の「サイドウォール面2」を有した「タイヤ1」及び「空気入りタイヤ1」は、前者の「可視面を有するタイヤ」及び「タイヤ」に相当する。
後者の「表示マーク3の外面を、一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数のV字状の細溝4が設けられた凹凸状断面とする」構成は、表示マーク3の領域の反射光を少なくし領域外の部分と明暗の差が顕著に現れるようにするものであるので(上記「第5 1.(1c)」参照)、前者の「可視面とコントラストをなすパターン」に相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1A〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有する、タイヤ。」
〔相違点1-1A〕
本件発明1では、「前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え」ているのに対して、甲1発明では、パターンが多数のV字状の細溝4から形成されるものであり、本件発明1のタフト及びタフトに係る構成を備えていない点。
〔相違点2-1A〕
本件発明1では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点3-1A〕
甲1発明では、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」のに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
イ-1
上記相違点1-1A、2-1A及び3-1Aは実質的な相違点である。
イ-2
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点1-1Aについて
a
甲第2号証、甲第4号証には、タイヤの表面粗さに関する記載はある(上記「第5 2.」、「第5 4.」を参照)。甲第3号証には、タイヤの表面のパターンを複数の繊維状物21から形成することが記載されている(上記「第5 3.」を参照)。
甲第5号証には、タイヤを製造する金型の表面に、レーザにより直線グリッド状もしくはドットマトリックス状の窪みを設けることが記載されている(上記「第5 5.」を参照)。
甲第6~8号証には、レーザにより金属を切断したときに生じる表面粗さについて記載されている(上記「第5 6.」~「第5 8.」を参照)。
b
つまり、甲第3号証には、タイヤの表面のパターンを複数の繊維状物(タフト)から形成することが開示されているといえるし、甲第5号証には、タイヤの表面にタフト状の構造物を設けることが示唆されているといえる。
c
しかしながら、甲第1号証の段落【0023】には、「細溝4は、一定方向にのみ条設される溝であることに限定しなければならない。」と記載されているから、そして、タフトは、その構造からみて先細りする柱状物であって、一定方向にのみ条設される溝とはいえないものであるから、甲1発明の「一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数のV字状の細溝4」を、タフトの構成にすることには、阻害要因が存在する。
(イ)相違点2-1Aについて
a 無効理由2:甲第2号証の適用について
a-1
本件発明1の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成は、「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有」する構成を前提とするものであり、「非常にコントラストの高い印を備えた車両用タイヤ」(本件明細書の段落【0001】)を製造するという本件発明1の技術的意義に照らせば、本件発明1の粗さに係る前記構成については、少なくとも「パターン」に隣接している「可視面」の粗さが、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さくなっているといえる。
a-2
これに対し、甲2発明は、「粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」ものであり、「模様9」に隣接している可視面である「サイドウォール部3」の平均粗さ、すなわち、本件発明1でいう、少なくとも「パターン」に隣接している「可視面」の粗さを、「模様9」(パターン)の部分より小さくするという技術思想は認められないことから、また、当該技術思想は、甲第2号証にも記載も示唆もされていないことから、甲1発明がブレードであるかタフトであるかにかかわらず、仮に、甲1発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-1Aに係る本件発明1の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由5:甲第3、5~8号証の適用について
甲第3号証には、高いコントラストのパターンを形成するためのモールド成形方法であって、モールド110の表面のパターン20の位置にレーザビームによって複数のキャビティ210を作ることが記載されている(上記「第5 3.(3a)」の請求項13、14を参照)。
甲第5号証には、車両用タイヤを製造するための金型を、平坦な金属表面にレーザ光を用いて窪みを設けることで形成することが記載されている(上記「第5 5.(5a)」参照)。
甲第3、5号証に記載された事項から、タイヤを製造するための金型の表面にレーザ加工により窪みを形成することは周知といえる。
甲第6号証には、レーザでシートを切断したとき、標準粗度Rzはシートの厚さとともに増加すること、シートの厚さが0.5mmのときにRz≒7.5~10μmであることが記載されている(上記「第5 6.(6a)(6c)」参照)。
甲第7号証には、レーザによりカットされたステンレス鋼の表面粗さRzが、ステンレス鋼の厚み4~20mmに応じて、10~100μmの範囲にあることが記載されている(上記「第5 7.(7a)」参照)。
甲第8号証には、厚みt=5mmの鋼板をレーザカットした時の表面粗さRzが、レーザビームの出力に応じて、10~30μmの範囲にあることが記載されている(上記「第5 8.(8a)」参照)。
甲第6~8号証から、レーザで鋼板をカットしたときの表面粗さが数十μmとなることが周知であるといえる。
しかしながら、甲第6~8号証に記載された事項は、レーザにより鋼板をカットしたときの表面粗さを示唆するものであり、甲第3、5号証に記載された事項のような、金型の表面にレーザ加工により窪みを形成したときの表面粗さを示唆するものとはいえない。
また、甲第6号証には、「標準粗度RZは、シートの厚さとともに増加するが、レーザー出力の増加とともに減少する。」(上記「第5 6(6a)」参照)とも記載されており、甲第3、5号証に記載された事項のように、金型表面にレーザ加工により窪みを形成した際の表面粗さは、レーザ出力にも依存するといえ、必ずしも数十μm程度となるともいえない。
さらに、甲第3、5~8号証には、「可視面の平均粗さはタフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第3、5~8号証に記載された事項を適用して、相違点1―1Aに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
c 無効理由1:甲第4号証の適用について
甲第4号証は、本件特許の優先日前に販売された3つのタイヤに関して、サイドウォール部表面に形成されているブレード状凸部の側壁面表面粗さを測定した結果を示すものといえる。
そして、請求人は、タイヤ製造後の経年に伴い析出したタイヤ表面の析出物を除去したことを以てして、製造時のタイヤと同等の表面を得て測定を行った旨主張している(上記「第5 4.(4b)」参照)。
しかしながら、タイヤは、走行しなくとも、そのゴムが直射日光、光、熱、油、オゾンなどにより劣化することは周知の事項といえ(乙第1号証参照)、甲第4号証における測定対象となったタイヤは製造年が2005年から2008年のものであり(上記「第5 4.(4f)」の表1を参照)、測定時点(平成28年、2016年)においては経年劣化(経年変化)が生じていると考えるのが自然である。また、甲第4号証で示された測定結果は、早くても地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターに依頼がなされた平成28年6月10日(上記「第5 4.(4e)」参照)の時点に公知になったといえるから、本件特許の優先日前に公知であったとはいえない。
また、特定の3つのタイヤの表面粗さの測定結果を以てして、本件特許の優先日前のあらゆるタイヤにおいて、測定結果に示される表面粗さとなっているということもできない。
そうすると、そもそも本件特許の優先日前に公知であったとはいえない甲第4号証に記載された事項を参酌することはできないし、仮に公知であったとしても、甲1発明の表面粗さが、相違点2-1Aに係る本件発明3の構成となっていたということはできず、相違点2-1Aに係る本件発明1の構成とすることが当業者が容易に想到し得たことともいえない。
また、仮に甲第4号証が本件特許の優先日前のタイヤに関する測定結果を示すものであったとしても、その測定結果は、ピッチが1.01~1.09mmのブレード状凸部に関して、表面粗さが16.307~22.737μmにあることを示すものであり(上記「第5 4.(4f)」参照)、如何なる技術的意図をもってそのような表面粗さとしているのか明らかでない。そうすると、甲1発明の、複数の細溝4により形成され、0.3mmのピッチで配置さる壁状の構造に対して、甲第4号証に記載の事項を適用することは、そのピッチが異なること、及び、その技術的意図が明らかでないことから、動機付けがないといえる。
さらに、甲4号証には、「可視面の平均粗さはタフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第4号証に記載された事項を適用して、相違点2―1Aに係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)相違点3-1Aについて
甲第2~8号証には、「タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に甲第2~8号証に記載された事項を適用しても、相違点3-1Aに係る本件発明1の構成には至らない。
(エ)小括
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲第2~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明とを対比する。
上記「(1)ア」において、「本件発明1」を「本件発明2」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2A〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有する、タイヤ。」
〔相違点1―2A〕
本件発明2では、「前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え」「前記タフトは、少なくとも0.1mmの平均高さを有する」のに対して、甲1発明では、パターンが多数のV字状の細溝4から形成されるものであり、本件発明2のタフト及びタフトに係る構成を備えていない点。
〔相違点2―2A〕
本件発明2では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置して」いるのに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点3―2A〕
本件発明2では、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
イ-1
上記相違点1-2A、2-2A及び3-2Aは実質的な相違点である。
イ-2
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点1-2Aについて
相違点1-2Aに係る本件発明2の構成は、相違点1-1Aに係る本件発明1の構成を含んでいるから、上記「(1)イ イ-2(イ)」で説示したとおりのことがいえる。
したがって、甲1発明において、タフトの構成を想到することには、阻害要因が存在する。
(イ)相違点3-2Aについて
相違点3-2Aに係る本件発明2の構成は、相違点3-1Aに係る本件発明1の構成と同じであるから、上記「(1)イ イ-2(ウ)」で説示したとおりのことがいえる。
したがって、甲1発明に甲第2~8号証に記載された事項を適用しても、相違点3-2Aに係る本件発明2の構成には至らない。
(ウ)小括
したがって、相違点2-2Aについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲第2~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲1発明とを対比する。
後者の「サイドウォール面2」は、前者の「可視面」に相当し、後者の「サイドウォール面2」を有した「タイヤ1」及び「空気入りタイヤ1」は、前者の「可視面を有するタイヤ」及び「タイヤ」に相当する。
後者の「等ピッチで平行に配された多数のV字状の細溝4が設けられた凹凸状断面」の「凸状断面」は前者の「ブレード」に相当する。
そして、当該「凸状断面」は、隣接する2つのV字状の細溝4により形成されており二等辺三角形となっていることが明らかである(図3も参照)から、後者の「溝間ピッチa」を2で割った値は前者の「ブレードの平均幅(d)」の値に相当し、後者の「この細溝4」の「溝間ピッチaを0.3mmとした」ことを併せみれば、その平均幅は0.15mmといえる。
このことから、後者の「溝間ピッチaを0.3mmとした」「一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数のV字状の細溝4が設けられた凹凸状断面」の「凸状」の構成は、前者の「互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード」及び「各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する」との構成に相当する。
また、後者の、「凸状」がV字状の細溝によりもたらされる構造であることに鑑みれば、当該「凸状」は、先端に向かって断面が減少するものであり、壁間に空間を有するものであるので、前者の「ブレードは、ブレードのベースからブレードの端に向かって減少した断面を有し」、「ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され」との構成を備えている。
後者の「表示マーク3の外面を、一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数の細溝4が設けられた凹凸状断面とする」構成は、表示マーク3の領域の反射光を少なくし領域外の部分と明暗の差が顕著に現れるようにするものであるので(上記「第5 1.(1c)」参照)、前者の「可視面とコントラストをなすパターン(2)」に相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点3A〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤ。」
〔相違点2-3A〕
本件発明3では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲1発明では、「一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数の細溝4が設けられた凹凸状断面」の「凸状」の壁構造の平均粗さが特定されていない点。
〔相違点3-3A〕
本件発明3では、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」のに対して、甲1発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
イ-1
上記相違点2-3A及び3-3Aは実質的な相違点である。
イ-2
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-3Aについて
a 無効理由2:甲第2号証の適用について
相違点2-3Aに係る本件発明3の構成は、相違点2-1Aに係る本件発明1の構成において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたものと同じであり、上記「(1)イ イ-2(イ)a」において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたとおりのことがいえる。
したがって、甲1発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-3Aに係る本件発明3の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由5:甲第3、5~8号証の適用について
上記「(1)イ イ-2(イ)b」において説示したとおりのことがいえるところ、甲第3、5~8号証には、「可視面の平均粗さはブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第3、5~8号証に記載された事項を適用して、相違点2―3Aに係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
c 無効理由1:甲第4号証の適用について
上記「(1)イ イ-2(イ)c」において説示したとおりのことがいえるところ、甲第3、5~8号証には、「可視面の平均粗さはブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第4号証に記載された事項を適用して、相違点2―3Aに係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)相違点3-3Aについて
甲第2~8号証には、「ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明に甲第2~8号証に記載された事項を適用しても、相違点3-3Aに係る本件発明3の構成には至らない。
(ウ)小括
したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲第2~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲1発明とを対比する。
上記「(3)ア」において、「本件発明3」を「本件発明4」に読み替えたとおりのことがいえる。
さらに、甲1発明の「等ピッチで平行に配された多数のV字状の細溝4が設けられた凹凸状断面」の「凸状断面」は、隣接する2つのV字状の細溝4により形成されており二等辺三角形となっていることが明らかである(図3も参照)ことを踏まえると、後者の「細溝4の溝深さb」は前者の「ブレードの高さ(h)」に、後者の「溝間ピッチa」を2で割ったものは前者の「ブレードの平均幅(d)」に、それぞれ相当し、後者の「この細溝4の溝深さbを0.5mmとし、溝間ピッチaを0.3mmとした」構成は、ブレードの高さとブレードの前記平均幅の比が、0.5mm/(0.3mm/2)=3.33となり、前者の「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、1.2~6である」構成を満たしている。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点4A〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、1.2~6である、タイヤ。」
〔相違点2-4A〕
本件発明4では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置して」いるのに対して、甲1発明では、「一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数の細溝4が設けられた凹凸状断面」の「凸状」の壁構造の平均粗さが特定されていない点。
〔相違点3-4A〕
本件発明4では、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲1発明は、そのように特定されていない点。
イ 判断
イ-1
上記相違点2-4A及び3-4Aは実質的な相違点である。
イ-2
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点3-4Aについて
相違点3-4Aに係る本件発明4の構成は、相違点3-3Aに係る本件発明3の構成と同じであるから、上記「(3)イ イ-2(イ)」で説示したとおりのことがいえる。
したがって、甲1発明に甲第2~8号証に記載された事項を適用しても、相違点3-4Aに係る本件発明2の構成には至らない。
(イ)小括
したがって、相違点2-4Aについて検討するまでもなく、本件発明4は、甲1発明及び甲第2~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と甲1発明とを対比する。
上記「(3)ア」において、「本件発明3」を「本件発明5」に読み替えたとおりのことがいえる。
そして、後者の「この細溝4の溝深さbを0.5mmとし、溝間ピッチaを0.3mmとした」構成は、ブレードの高さとブレードの前記平均幅の比が、0.5mm/(0.3mm/2)=3.33となり、前者の「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、2~4である」構成を満たしている。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点5A〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有し、前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有する、タイヤにおいて、前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、2~4である、タイヤ。」
〔相違点2-5A〕
本件発明5では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲1発明では、「一定方向にのびかつ等ピッチで平行に配された多数の細溝4が設けられた凹凸状断面」の「凸状」の壁構造の平均粗さが特定されていない点。
イ 判断
イ-1
上記相違点2-5Aは実質的な相違点である。
イ-2
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-5Aについて
相違点2-5Aに係る本件発明5の構成は、相違点2-3Aに係る本件発明3と同じであるから、上記「(3)イ イ-2(イ)a、b、c」において説示したとおりであって、以下のとおりである。
a 無効理由2:甲第2号証の適用について
相違点2-5Aに係る本件発明5の構成は、相違点2-1Aに係る本件発明1の構成において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたものと同じであり、上記「(1)イ イ-2(イ)a」において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたとおりのことがいえる。
したがって、甲1発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-5Aに係る本件発明5の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由5:甲第3、5~8号証の適用について
上記「(1)イ イ-2(イ)b」において説示したとおりのことがいえるところ、甲第3、5~8号証には、「可視面の平均粗さはブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第3、5~8号証に記載された事項を適用して、相違点2―5Aに係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
c 無効理由1:甲第4号証の適用について
上記「(1)イ イ-2(イ)c」において説示したとおりのことがいえるところ、甲4号証には、「可視面の平均粗さはブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第4号証に記載された事項を適用して、相違点2―5Aに係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)小括
したがって、本件発明5は、甲1発明及び甲第2~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)無効理由1、2、5についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~5について、無効理由1、2、5は理由があるとはいえない。
2.無効理由3、6(甲3発明を主たる引用発明とする無効理由)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲3発明とを対比する。
後者の「少なくとも1つの目に見える表面11」は、前者の「可視面」に相当し、後者の「少なくとも1つの目に見える表面11を有するタイヤ100」は、前者の「可視面を有するタイヤ」に相当する。
後者の「物品の表面11とは対照的なパターン」は、前者の「可視面とコントラストをなすパターン」に相当し、後者の「この表面11は、その少なくとも一部分に、物品の表面11とは対照的なパターンを備え」ることは、前者の「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有」することに相当する。
前者の「タフト」は、上記「1.(1)イ」で検討したとおり、「先細りする柱状物」を意味していると理解できるので、後者の「パターン2の全体にわたって分布した複数の繊維状物21」は、前者の「パターンの表面全体にわたって」「分布した複数本のタフト」に相当し、後者の「パターン2の表面上の繊維状物21の密度が、平方ミリメートル(mm2)で表現される単位面積あたり、少なくとも5つの繊維状物である」ことは、前者の「タフト」が「パターンの表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した」ことに相当する。
後者の「それぞれの繊維状物21の横断面は、繊維状物の基部から先端部に向けて減少」することは、前者の「タフトは、タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有」することに相当し、前者の「タフトは各タフト間に空間が存在するように分布し」ている構成を備えているといえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1B〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布した、タイヤ。」
〔相違点1-1B〕
本件発明1では、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた」のに対して、甲3発明では、「それぞれの繊維状物21は、0.003~0.06mm2の平均断面積を有」するものであり、直径が特定されていない点。
〔相違点2-1B〕
本件発明1では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲3発明では、「繊維状物21」の壁の平均粗さが特定されていない点。
〔相違点3-1B〕
本件発明1では、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」のに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-1Bについて
a 無効理由3について
a-1
本件発明1の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成は、「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有」する構成を前提とするものであり、「非常にコントラストの高い印を備えた車両用タイヤ」(本件明細書の段落【0001】)を製造するという本件発明1の技術的意義に照らせば、本件発明1の粗さに係る前記構成については、少なくとも「パターン」に隣接している「可視面」の粗さが、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さくなっているといえる。
a-2
これに対し、甲2発明は、「粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」ものであり、「模様9」に隣接している可視面である「サイドウォール部3」の平均粗さ、すなわち、本件発明1でいう、少なくとも「パターン」に隣接している「可視面」の粗さを、「模様9」(パターン)の部分より小さくするという技術思想は認められないことから、また、当該技術思想は、甲第2号証にも記載も示唆もされていないことから、仮に、甲3発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-1Bに係る本件発明1の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由6について
甲第3号証には、モールド110の表面のパターン20の位置にレーザビームによって複数のキャビティ210を作ることが記載されており(上記「第5 3.(3a)」の請求項13、14を参照)、甲3発明の繊維状物21がレーザビームによって加工されたキャビティ210により形成されるものであるといえる。
上記「1.(3)イ(ウ)」で述べたとおり、甲第6~8号証から、レーザで鋼板をカットしたときの表面粗さが数十μmとなることが周知であるといえるとしても、甲第6~8号証に記載された事項は、レーザにより鋼板をカットしたときの表面粗さを示唆するものであり、甲3発明の繊維状物21を形成するキャビティ210のような窪みをレーザ加工により形成したときの表面粗さを示唆するものとはいえない。
また、甲第6号証には、「標準粗度RZは、シートの厚さとともに増加するが、レーザー出力の増加とともに減少する。」(上記「第5 6(6a)」参照)とも記載されており、甲3発明のように、金型表面にレーザ加工により窪みを形成した際の表面粗さは、レーザ出力にも依存するといえ、必ずしも数十μm程度となるともいえない。
さらに、甲第6~8号証には、「可視面の平均粗さはタフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明に甲第6~8号証に記載された事項を適用して、相違点2―1Bに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)相違点3-1Bについて
甲第2、6~8号証には、「タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明に甲第2、6~8号証に記載された事項を適用して、相違点3―1Bに係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(ウ)小括
したがって、相違点1-1Bについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明及び甲第2、6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲3発明とを対比する。
上記「(1)ア」において、「本件発明1」を「本件発明2」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2B〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布した、タイヤ。」
〔相違点1-2B〕
本件発明2では、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え」「前記タフトは、少なくとも0.1mmの平均高さを有する」のに対して、甲3発明では、「それぞれの繊維状物21は、0.003~0.06mm2の平均断面積を有」するものであり、直径が特定されていない点。
〔相違点2-2B〕
本件発明2では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置して」いるのに対して、甲3発明では、「繊維状物21」の壁の平均粗さが特定されていない点。
〔相違点3-2B〕
本件発明2では、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点3-2Bについて
相違点3-2Bに係る本件発明2の構成は、相違点3-1Bに係る本件発明1の構成と同じであるから、上記「(1)イ(イ)」で説示したとおりのことがいえる。
そうすると、甲3発明に甲第6~8号証に記載された事項を適用して、相違点3―2Bに係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)小括
したがって、相違点1-2B及び相違点2-2Bについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲3発明及び甲第2、6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲3発明とを対比する。
後者の「少なくとも1つの目に見える表面11」は、前者の「可視面」に相当し、後者の「少なくとも1つの目に見える表面11を有するタイヤ100」は、前者の「可視面を有するタイヤ」に相当する。
後者の「物品の表面11とは対照的なパターン」は、前者の「可視面とコントラストをなすパターン」に相当し、後者の「この表面11は、その少なくとも一部分に、物品の表面11とは対照的なパターンを備え」ることは、前者の「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有」することに相当する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点3B〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有する、タイヤ。」
〔相違点1-3B〕
本件発明3では、「前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有」しているのに対して、甲3発明では、「パターン」が「複数の繊維状物21からな」るものであり、本件発明3のブレード及びブレードに係る構成を備えていない点。
〔相違点2-3B〕
本件発明3では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点3-3B〕
本件発明3では、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」のに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-3Bについて
a 無効理由3について
相違点2-3Bに係る本件発明3の構成は、相違点2-1Bに係る本件発明1の構成において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたものと同じであり、上記「(1)イ(イ)a」において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたとおりのことがいえる。
したがって、甲3発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-3Bに係る本件発明3の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由6について
上記「(1)イ(イ)b」において説示したとおりのことがいえるところ、甲第6~8号証には、「可視面の平均粗さはブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明に甲第8~8号証に記載された事項を適用して、相違点2―3Bに係る本件発明3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)相違点3-3Bについて
甲第2、6~8号証には、「ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは記載も示唆もされていない。
したがって、甲3発明に甲第2、6~8号証に記載された事項を適用しても、相違点3-3Bに係る本件発明3の構成には至らない。
(ウ)小括
したがって、相違点1-3Bについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲3発明及び甲第2、6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲3発明とを対比する。
上記「(3)ア」において、「本件発明3」を「本件発明4」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点4B〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有する、タイヤ。」
〔相違点1-4B〕
本件発明4では、「前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有」し、「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、1.2~6である」のに対して、甲3発明では、「パターン」が「複数の繊維状物21からな」るものであり、本件発明4のブレード及びブレードに係る構成を備えていない点。
〔相違点2-4B〕
本件発明4では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置して」いるのに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点3-4B〕
本件発明4では、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点3-4Bについて
相違点3-4Bに係る本件発明4の構成は、相違点3-3Bに係る本件発明3の構成と同じであるから、上記「(3)イ(イ)」で説示したとおりのことがいえる。
したがって、甲3発明に甲第2~8号証に記載された事項を適用しても、相違点3-4Bに係る本件発明4の構成には至らない。
(イ)小括
したがって、相違点1-4B及び相違点2-4Bについて検討するまでもなく、本件発明4は、甲3発明及び甲第2、6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と甲3発明とを対比する。
上記「(3)ア」において、「本件発明3」を「本件発明5」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点5B〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有する、タイヤ。」
〔相違点1-5B〕
本件発明5では、「前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有」し、「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、2~4である」のに対して、甲3発明では、「パターン」が「複数の繊維状物21からな」るものであり、本件発明5のブレード及びブレードに係る構成を備えていない点。
〔相違点2-5B〕
本件発明5では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲3発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-5Bについて
相違点2-5Bに係る本件発明5の構成は、相違点2-3Bに係る本件発明3の構成と同じであるから、上記「(3)イ(ア)」で説示したとおりであって、以下のとおりである。
相違点2-5Bに係る本件発明5の構成は、相違点2-1Bに係る本件発明1の構成において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたものと同じであり、上記「(1)イ(イ)a」において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたとおりのことがいえる。
したがって、甲3発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-5Bに係る本件発明5の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由6について
上記「(1)イ(イ)b」において説示したとおりのことがいえるところ、甲第6~8号証には、「可視面の平均粗さはブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明に甲第6~8号証に記載された事項を適用して、相違点2―5Bに係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)小括
したがって、相違点1-5Bについて検討するまでもなく、本件発明5は、甲3発明及び甲第2、6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)本件発明6について
ア 対比
本件発明6と甲3発明とを対比する。
上記「(1)ア」において、「本件発明1」を「本件発明6」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点6B〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有し、前記パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布した、タイヤ。」
〔相違点1-6B〕
本件発明6では、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え」、「前記タフトの密度は、1mm2当たり15本未満のタフトである」のに対して、甲3発明では、「それぞれの繊維状物21は、0.003~0.06mm2の平均断面積を有」するものであり、直径が特定されていない点。
〔相違点2-6B〕
本件発明6では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲3発明では、「繊維状物21」の壁の平均粗さが特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-6Bについて
相違点2-6Bに係る本件発明6の構成は、相違点2-1Bに係る本件発明1と同じであるから、上記「(1)イ(イ)a、b」において説示したとおりであって、以下のとおりである。
a 無効理由3について
甲3発明に甲2発明ないし甲第2号証に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-6Bに係る本件発明6の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
b 無効理由6について
上記「(1)イ(イ)b」において説示したとおりのことがいえるところ、甲第6~8号証には、「可視面の平均粗さはタフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは、記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明に甲第6~8号証に記載された事項を適用して、相違点2―6Bに係る本件発明6の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。
(イ)小括
したがって、相違点1-6Bについて検討するまでもなく、本件発明6は、甲3発明及び甲第2、6~8号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(7)無効理由3、6についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~6について、無効理由3、6は理由があるとはいえない。
3.無効理由4(甲2発明を主たる引用発明とする無効理由)
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲2発明とを対比する。
後者の「外部から視認されやすいサイドウォール部3」は、前者の「可視面」に相当し、後者の「外部から視認されやすいサイドウォール部3」を有した「空気入りタイヤ1」は、前者の「可視面を有するタイヤ」及び「タイヤ」に相当する。
後者の「サイドウォール部3の外表面に標章等の模様9を有する」ことは、前者の「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターンを有」することと、「可視面は、パターンを有」する限りにおいて一致する。
前者の「パターン」は、「複数本のタフト(21)」を有し、当該「タフト(21)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有」するものであるので、「パターン」は「5μm~30μmの平均粗さRzを有」するものといえる。そうすると、後者の「模様9」が「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5」が形成されたものであることは、前者の「パターンは、該パターンの表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し」、「タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有」することと、「パターンは、所定の平均粗さを有」する限りにおいて一致する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点1C〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、パターンを有し、前記パターンは、所定の平均粗さを有する、タイヤ。」
〔相違点1-1C〕
本件発明1では、「パターン」が「可視面とコントラストをなす」ものであり、「パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え」ているのに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点2-1C〕
本件発明1では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲2発明では、「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」点。
〔相違点3-1C〕
本件発明1では、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」のに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-1Cについて
a-1
本件発明1の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成は、「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有」する構成を前提とするものであり、「非常にコントラストの高い印を備えた車両用タイヤ」(本件明細書の段落【0001】)を製造するという本件発明1の技術的意義に照らせば、本件発明1の粗さに係る前記構成については、少なくとも「パターン」に隣接している「可視面」の粗さが、タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さくなっているといえる。
a-2
これに対し、甲2発明は、「粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」ものであり、「模様9」に隣接している可視面である「サイドウォール部3」の平均粗さ、すなわち、本件発明1でいう、少なくとも「パターン」に隣接している「可視面」の粗さを、「模様9」(パターン)の部分より小さくするという技術思想は認められないことから、また、当該技術思想は、甲第2号証及び甲第10号証(前記「第5 10.」参照。)にも記載も示唆もされていないことから、甲第10号証に記載された「タイヤのサイドウォール表面に設けられる、幅Wが0.05~0.1mm、高さhが0.01~0.1mmの凸部2」という事項(ブレードの構造といえる。)がブレードであるかタフトであるかにかかわらず、仮に、甲第10号証に記載された事項を、甲2発明の「模様9」に適用できたとしても、相違点2-1Cに係る本件発明1の「前記可視面の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
(イ)相違点3-1Cについて
甲第10号証には、「タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは記載も示唆もされていない。
そうすると、甲1発明に甲第10号証に記載された事項を適用しても、相違点3-1Cに係る本件発明1の構成には至らない。
(ウ)小括
したがって、相違点1-1Cについて検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(2)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲2発明とを対比する。
上記「(1)ア」において、「本件発明1」を「本件発明2」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点2C〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、パターンを有し、前記パターンは、所定の平均粗さを有する、タイヤ。」
〔相違点1-2C〕
本件発明2では、「パターン」が「可視面とコントラストをなす」ものであり、「パターンは、該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフトを有し、前記タフトは、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、前記タフトは各タフト間に空間が存在するように分布し、各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備え」、「前記タフト(21)は、少なくとも0.1mmの平均高さを有する」のに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点2-2C〕
本件発明2では、「前記タフトの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置して」いるのに対して、甲2発明では、「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」点。
〔相違点3-2C〕
本件発明2では、「前記タフトの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記タフトの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点3-2Cについて
相違点3-2Cに係る本件発明2の構成は、相違点3-1Cに係る本件発明1の構成と同じであるから、上記「(1)イ(イ)」で説示したとおりのことがいえる。
そうすると、甲3発明に甲第10号証に記載された事項を適用しても、相違点3-2Cに係る本件発明2の構成には至らない。
(イ)小括
したがって、相違点1-2C及び相違点2-2Cについて検討するまでもなく、本件発明2は、甲2発明及び甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件発明3について
ア 対比
本件発明3と甲2発明とを対比する。
後者の「外部から視認されやすいサイドウォール部3」は、前者の「可視面(11)」に相当し、後者の「外部から視認されやすいサイドウォール部3」を有した「空気入りタイヤ1」は、前者の「可視面(11)を有するタイヤ(1)」及び「タイヤ」に相当する。
後者の「サイドウォール部3の外表面に標章等の模様9を有する」ことは、前者の「可視面は、該可視面とコントラストをなすパターン(2)を有」することと、「可視面は、パターンを有」する限りにおいて一致する。
前者の「パターン」は、「複数個のブレード」を有し、当該「ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有」するものであるので、「パターン」は「5μm~30μmの平均粗さRzを有」するものといえる。そうすると、後者の「模様9」が「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5」が形成されたものであることは、前者の「パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し」、「ブレード(22)の壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有」することと、「パターンは、所定の平均粗さを有」する限りにおいて一致する。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点3C〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、パターンを有し、前記パターンは、所定の平均粗さを有する、タイヤ。」
〔相違点1-3C〕
本件発明3では、「パターン」が「可視面とコントラストをなす」ものであり、「前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有」しているのに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点2-3C〕
本件発明3では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲2発明では、「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」点。
〔相違点3-3C〕
本件発明3では、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」のに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点2-3Cについて
相違点2-3Cに係る本件発明3の構成は、相違点2-1Cに係る本件発明1の構成において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたものと同じであり、上記「(1)イ(イ)」において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、甲2発明の「模様9」に甲第10号証(ブレードの構造といえる。)に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-3Cに係る本件発明3の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
(イ)相違点3-3Cについて
甲第10号証には、「ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さい」ことは記載も示唆もされていない。
そうすると、甲3発明に甲第10号証に記載された事項を適用しても、相違点3-3Cに係る本件発明3の構成には至らない。
(ウ)小括
したがって、相違点1-3Cについて検討するまでもなく、本件発明3は、甲2発明及び甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件発明4について
ア 対比
本件発明4と甲2発明とを対比する。
上記「(3)ア」において、「本件発明3」を「本件発明4」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点4C〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、パターンを有し、前記パターンは、所定の平均粗さを有する、タイヤ。」
〔相違点1-4C〕
本件発明4では、「パターン」が「可視面とコントラストをなす」ものであり、「前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有」し、「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの前記平均幅(d)の比は、1.2~6である」のに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点2-4C〕
本件発明4では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置して」いるの対して、甲2発明では、「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」点。
〔相違点3-4C〕
本件発明4では、「前記ブレードの高さの下四分の一より上方部分の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点3-4Cについて
相違点3-4Cに係る本件発明4の構成は、相違点3-3Cに係る本件発明3の構成と同じであるから、上記「(3)イ(イ)」で説示したとおりのことがいえる。
したがって、甲2発明に甲第10号証に記載された事項を適用しても、相違点3-4Cに係る本件発明4の構成には至らない。
(イ)小括
したがって、相違点1-4C及び相違点2-4Cについて検討するまでもなく、本件発明4は、甲2発明及び甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件発明5について
ア 対比
本件発明5と甲2発明とを対比する。
上記「(3)ア」において、「本件発明3」を「本件発明5」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〔一致点5C〕
「可視面を有するタイヤであって、前記可視面は、パターンを有し、前記パターンは、所定の平均粗さを有する、タイヤ。」
〔相違点1―5C〕
本件発明5では、「パターン」が「可視面とコントラストをなす」ものであり、「前記パターンは、互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレードを有し、前記ブレードは、前記ブレードのベースから前記ブレードの端に向かって減少した断面を有し、前記ブレードは各ブレード間に空間が存在するように配置され、各ブレードは、0.1mm~0.5mmの平均幅(d)を有」し、「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの平均幅(d)の比は、2~4である」のに対して、甲2発明では、そのように特定されていない点。
〔相違点2―5C〕
本件発明5では、「前記ブレードの壁は、その面積の少なくとも1/4にわたり、5μm~30μmの平均粗さRzを有し、この平均粗さを有する前記ブレードの前記壁は、前記ブレードの高さの下四分の一に位置しており、前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さ」いのに対して、甲2発明では、「十点平均粗さRzが5~100μmの表面粗さを有する粗面部5を、タイヤ1の外表面全体あるいは外部から視認されやすいサイドウォール部3の外表面およびサイドウォール部の外表面の模様9に形成する」点。
イ 判断
上記相違点について以下検討する。
(ア)相違点1-5Cについて
甲第10号証において、ベースから先端に向かって減少した断面を有する直線状の凸部は、図2等から、二等辺三角形の凸部であることが明らかであるので、「幅0.05~0.1mm、高さ0.01~0.1mmの凸部」(甲第10号証の請求項1等参照)について、高さと平均幅の比を求めることができ、凸部の高さと凸部の平均幅の比(凸部の高さ/凸部の平均幅)は、0.4~2となっている。
そうすると、甲第10号証の凸部の高さと凸部の平均幅の比0.4~2の数値範囲と、本件発明5のブレードの高さ(h)とブレードの平均幅(d)の比2~4の数値範囲は異なっており、甲2発明において、甲第10号証の数値範囲を採用しても、本件発明5の「2~4」という数値範囲にはならない。
そして、甲第10号証の段落【0013】には、「本発明の凹部1や凸部2の幅W、深さd、高さh、ピッチPが上記サイズより小さすぎると、本発明のひび割れによる外観低下の抑止効果が得られなくなるとともに、製造が困難となってしまう。逆に、幅W、深さd、高さhが大きすぎると、凹部や凸部が肉眼で見えやすくなり外観が悪化し、ピッチPが大きすぎると本発明のひび割れによる外観低下の抑止効果が得られなくなってしまう。」と記載されており、甲第10号証の数値範囲は技術的意義があるものであり、そのうちの一部の数値範囲や数値(実施例として記載されている数値は除く)だけを取り出して、しかも、その数値範囲の上限値である「2」という数値だけを取り出して、甲2発明において採用することは、当業者であっても容易に想到し得るとはいえない。
また、本件発明5の数値範囲は当業者であっても適宜設定し得るものでもない。
そうすると、甲2発明に甲第10号証に記載された技術事項を採用し、甲2発明において、相違点1-5Cに係る本件発明5の「前記ブレードの高さ(h)と前記ブレードの平均幅(d)の比は、2~4である」構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
(イ)相違点2-5Cについて
相違点2-5Cに係る本件発明5の構成は、相違点2-3Cに係る本件発明3の構成と同じであるから、上記「(3)イ(ア)」で説示したのと同様であり、次のとおりのことがいえる。
相違点2-5Cに係る本件発明5の構成は、相違点2-1Cに係る本件発明1の構成において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたものと同じであり、上記「(1)イ(ア)」において、「タフト」を「ブレード」に読み替えたとおりのことがいえる。
そうすると、甲2発明の「模様9」に甲第10号証(ブレードの構造といえる。)に記載された事項を適用できたとしても、相違点2-5Cに係る本件発明5の「前記可視面の平均粗さは前記ブレードの高さの下四分の一の平均粗さよりも小さく」という構成には至らない。
(ウ)小括
したがって、本件発明5は、甲2発明及び甲第10号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)無効理由4についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~5について、無効理由4は理由があるとはいえない。
4.無効理由7
請求人は、審判請求書(97頁2行~100頁17行)において、特許法第36条第6項第2号違反、同条同項第1号違反、同条第4項第1号違反について主張している。
また、請求人は、平成30年5月8日付け意見書(8頁8行~9頁17行)及び令和4年5月24日付け審判事件弁駁書において、本件訂正により訂正された場合の新たな無効理由について主張している(平成30年5月8日付け意見書は、平成29年2月8日付けの訂正請求に対するものであるが、当該訂正請求の内容は、本件訂正の内容に実質的に含まれているといえるので、当該意見書は、実質的に本件訂正に対するものといえる。)。
(1)特許法第36条第6項第2号違反について
ア
請求人は、訂正前の請求項1に記載された発明の「この平均粗さを有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置している」との事項は、「タフト」の平均粗さを特定するものであり、訂正前の請求項1に記載された発明は「タフト」に関する発明だけに限定されたと解釈できるが、それ以前の記載は「ブレード」に関する記載が存在し、「タフト」に限定されたことが文言上明確でないと主張している(審判請求書97頁4~22行)。
しかしながら、本件訂正により、「パターン」が、「タフト」のみにより構成される本件発明1、2、6と、「ブレード」のみにより構成される本件発明3、4、5となった。
そして、請求項1、2、6においては、タフトに関する記載のみがあり、請求項3、4、5には、ブレードに関する記載のみがあることから、請求人が主張するような明確性要件違反が生じているとはいえない。
イ
請求人は、本件発明1の「タフト」は明確に定義される技術用語でなく、意味内容が不明確であると主張している(審判請求書97頁23行~98頁2行)。
被請求人は、タフト(tuft)とは、毛髪・羽毛などのふさを意味する旨主張し(審判事件答弁書35頁下から4~3行、陳述要領書21頁12~13行)、あるいは、"tuft"には、「やぶ、茂み、木立、あるいは、歯ブラシの植毛束」等の意味がある旨主張し(上申書2頁11~12行)、それらの意味から本件発明1の「タフト」は明確である旨主張している。
しかしながら、被請求人の主張する上述の日本語の字義からすると、「タフト」との用語からそれが意図する構成を必ずしも明確に把握できるものとはいえない。
そこで、特許明細書等を参照すると、次の記載がある。
「【0028】
図1は、タイヤ部分1を示し、その可視表面11は、パターン2を備えている。このパターンは、高さhの多数のタフト21から成り、タフトの平均断面は、直径dを有している。・・・」
「【0030】
タフトの全体形状が円錐形なので、タフトの断面は、足部から先端部に向かうに連れて減少する。したがって、『平均断面』という表現は、タフトの足部から先端部までの一定間隔で測定された断面の平均として理解される。」
「【0037】
図4は、タフト21を有するパターンを備えたタイヤの表面の電子顕微鏡写真図である。・・・」
そして、特許明細書等の【図1】、【図4】から、先細りする柱状物が看て取れる。
そうすると、本件発明1の「タフト」は、明細書または図面の記載を参照すれば、先細りする柱状物を意味していることは十分に理解できる。
そして、「タフト」に係る事項を特定している本件発明2、6についても、同様のことがいえる。
ウ
請求人は、平成30年5月8日付け意見書において、(ア)本件発明1の「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、」は、段落【0030】に記載される円錐形以外のどのような形状が含まれるのか不明確である、(イ)例えば、タフトの直径(d)の下限値0.03mmを採ったときにその壁の平均粗さRzが上限値30μmをとるような形状が除外されるのか不明である、(ウ)本件発明1の「前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し」の「空間」は、「タフト間」のどこにあるどの程度の空間を意味するかが不明である、と主張している(8頁13~21行)。
しかしながら、本件発明1の「タフト」は、上記「イ」で述べたとおり、タフトは先細りする柱状物を意味していると認められ、また、本件発明1において「タフトのベースからタフトの端に向かって減少した断面を有し」と特定されているので、その形状は明らかといえる。
また、本件発明1は、「各タフトは、0.03mm~0.5mmの直径(d)を有する平均断面を備えた」、及び、タフトの壁は「5μm~30μmの平均粗さRzを有し」と特定するものであり、直径(d)と平均粗さRzとは数値範囲の幅を有している。本件発明1は、パターンがタフトからなるものであるので、タフトが形成されることを前提として、タフトの直径(d)とその壁の表面粗さRzに関して上述の数値範囲から選定されると理解するのが自然である。よって、特定の数値範囲が除外されていないことを以てして明確でないとまではいえない。
さらに、本件発明1においては、上述のとおりタフトの形状は明らかであるので、タフトの間の空間が形成される箇所も明らかといえ、タフトの「密度状態」及び「平均断面」の直径の数値範囲が特定されていることから、空間の大きさも自ずと明らかといえる。
そして、「前記タフト(21)は、前記タフトのベースから前記タフトの端に向かって減少した断面を有し、」という事項を有する本件発明2、6についても、同様のことがいえる。
エ
請求人は、平成30年5月8日付け意見書において、本件発明3の「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され」の「空間」が「ブレード間」のどこにあるどの程度の空間を意味するのか不明である旨主張している(9頁1~3行)。
しかしながら、本件発明3は、パターンがブレードからなるものであり、ブレードはベースから端に向かって減少した断面を有するものであるので、その形状からみて、ブレード間の空間が形成される箇所は明らかといえ、ブレードの「平均幅」及び「ピッチ」の数値範囲が特定されていることから、空間の大きさも自ずと明らかといえる。
そして、「前記ブレード(22)は各ブレード間に空間が存在するように配置され、」という事項を有する本件発明4、5についても、同様のことがいえる。
オ
したがって、請求人の特許法第36条第6項第2号違反に関する主張は、理由があるとはいえない。
(2)特許法第36条第6項第1号違反について
ア
(ア)
請求人は、審判請求書において次のとおり主張している。
「本特許発明は、タフトの直径を0.03~0.5mm、ブレードの平均幅を0.03~0.5mmと特定するが、これらの下限値0.03mmは、タフトおよびブレードの壁の平均粗さRzの数値範囲5μm~30μmと同程度のものとなり、非現実的な値であり、本特許の明細書にも、そのような実施例の記載はない。」(98頁10~14行)
「また、更にブレードについてはピッチが0.5mm未満と特定さているのに対し、”平均”幅は上記の通り最大0.5mmまで特定されている。これらも非現実的な組み合わせを含むものであり、本特許の明細書にも、そのような実施例の記載はない。」(98頁15~18行)
(イ)
当該主張に対して、被請求人は次のとおり主張している。
「しかしながら、タフト及びブレードの下限値も、タフト及びブレードの壁の平均粗さRzの数値範囲5~30μmも明細書中に記載されている。なお、タフトおよびブレードの下限値0.03mmは、平均粗さRzの最小値に対して十分に大きい値である。」(審判事件答弁書36頁6~9行、なお、口頭審理陳述要領書21頁22~26行において一部訂正)
「即ち、タフトの直径(d)の下限値0.03mmを採ったときにその壁の平均粗さRzが上限値30μmを採るようなことは現実的(実施可能)である。以下に本件明細書の図1及び図4(電子顕微鏡写真)の拡大写真を示すが、これから、タフトの直径(d)が下限値0.03mmを採るタフトは、実施可能であることが理解できる。このように、本件明細書及び図面には、このような値を採用したタフトの実施形態が明確に記載されている。」(平成30年5月31日付け手続補正により補正された平成30年2月14日付け訂正請求書16頁17行~23行)
「例えば、タフトの直径が0.03mmの部分に、30μm(0.03mm)の深さの凹部(粗さRz)が形成されたような場合には、そもそも、タフトが構造的に存在しなくなるので、このようなものは、タフトの存在を前提とした本件訂正発明1には含まれず、範囲外であることは明らかである。」(平成30年2月14日付け訂正請求書17頁末行~18頁3行)
「しかしながら、請求項1では全てのブレードの平均幅が0.5mmであるとは規定されておらず、それゆえ、一部のブレードの平均幅が0.5mmであっても、ピッチが0.5mm未満となることはあり得る。」(審判事件答弁書36頁12~15行。同主旨で、口頭審理陳述要領書22頁9行~23頁1行、平成30年2月14日付け訂正請求書19頁2行~20頁2行)。
(ウ)
本件発明1で特定されている、タフトの直径(d)の数値範囲は、特許明細書等の段落【0028】に記載されており、タフトの壁の表面粗さRzの数値範囲は、特許明細書等の段落【0035】に記載されている。
上記「(1)ウ」で述べたとおり、本件発明1においては、タフトの直径(d)と平均粗さRzとは数値範囲の幅を有しているところ、本件発明1は、パターンがタフトからなるものであるので、タフトが形成されることを前提として、タフトの直径(d)とその壁の表面粗さRzが数値範囲の中から選定されると理解するのが自然である。特許明細書等に、タフトの直径(d)と、その壁の平均粗さRzとの組み合わせについて、具体的な数値の開示がないとしても、特許明細書等に示されている数値範囲からタフトが形成されるように数値が選定されることは十分に理解できるといえる。
また、本件発明3で特定されている、ブレードの平均幅(d)の数値範囲は、特許明細書等の段落【0031】に記載されており、ブレードの壁の表面粗さの数値範囲は、段落【0035】に記載されている。
上述のタフトの場合と同様に、特許明細書等に、ブレードの平均幅(d)と、その壁の平均粗さRzとの組み合わせについて、具体的に数値の開示がないとしても、特許明細書等に示されている数値範囲からブレードが形成されるように数値が選定されることは十分に理解できるといえる。
よって、本件発明1、3が、特許明細書等に具体的実施例の記載がないことを以てして、特許明細書等に記載されていないとまではいえない。
本件発明2、4~6についても、同様のことがいえる。
イ
請求人は、審判請求書において、訂正前の請求項1に係る発明の「互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」との事項はブレードの長手方向にずれて配置され対向していないものも含み、このようなブレード配置においてピッチ(p)をどのように測定するか明細書に記載されておらず、ブレード間で対向面を備えないため段落【0007】に記載されている作用効果を奏しないと主張している(98頁19行~99頁10行)。
本件発明1は、「該パターンの前記表面全体にわたって1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)」との事項を有し、本件発明3は「互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」との事項を有しており、「タフト」または「ブレード」の作用効果について、特許明細書等の段落【0007】に、パターンの表面への入射光を捕らえることが記載されている。
タフトが「1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布」することで、上記の入射光を捕らえるとの作用効果を奏するということは、隣接するタフトの間で入射光を捕らえられると理解するのが自然であり、ブレードがタフトと同様の作用効果を奏するのであれば、タフトと同様に、隣接するブレード間で入射光が捕らえられると理解するのが自然である。
また、本件発明3の複数のブレードは、「0.5mm未満のピッチ(p)で配置され」と特定されており、一般的に、ずれて配置されているブレードどうしに対してピッチを特定することはせず、ブレード同士は隣接していると理解するのが自然である。
そうすると、本件発明3の「互いに実質的に平行であり且つ0.5mm未満のピッチ(p)で配置された複数個のブレード(22)」との事項は、複数個のブレードが実質的に対向して配置していることを意味すると解釈できる。
そして、このような解釈は、特許明細書等の【図2】に記載されている態様とも整合している。
本件発明2、4~6についても、同様のことがいえる。
ウ
請求人は、審判請求書において、本件発明6の「前記タフトの密度は、1mm2当たり15本未満のタフトである」との事項は、特許明細書等に記載されていないと主張している(99頁11~14行)。
しかしながら、本件発明6は「1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布した複数本のタフト(21)」との事項を有しているので、本件発明6はタフトの密度が1mm2当たり5本以上、15本未満と特定するものといえる。
そして、特許明細書等の段落【0028】には「・・・タフトの密度は、1mm2当たり5本を超え、好ましくは、1mm2当たり15本を超えなければならない。」と記載されており、必ずしも、1mm2当たり15本を超えなければならないことはないから、すなわち、1mm2当たり15本や15本未満であってもよいから、本件発明6の上述の事項を示唆しているといえる。
エ
請求人は、平成30年5月8日付け意見書において、本件発明1の「前記タフト(21)は各タフト間に空間が存在するように分布し」の「空間」は、特許明細書等に開示された以外の空間の態様を含みうるため、サポート要件違反であり、本件発明3も同様である旨主張している(9頁14~17行)。
しかしながら、請求人も認めているように、特許明細書等には、タフトの間、及び、ブレードの間に空間が形成された態様が記載されている。
請求人の主張する「特許明細書等に開示された以外の空間の態様」が、どのような空間の態様を指すのか不明であり、上記主張は根拠のない主張といわざるを得ない。
本件発明2、4~6についても、同様のことがいえる。
オ
請求人は、令和4年5月24付け審判事件弁駁書において、「本件訂正後の請求項1~6に係る発明は、サポート要件を充たしていない。」(3頁6行~4頁3行)と主張している。
この主張については、上記「上記第2 3.(2)ウ」で説示したとおりであるので、当該主張は採用できない。
カ
したがって、請求人の特許法第36条第6項第1号違反に関する主張は、理由があるとはいえない。
(3)特許法第36条第4項第1号違反について
ア
(ア)
請求人は、審判請求書において、次のとおり主張している。
「本特許発明の表面粗さの測定方法について、明細書の段落【0034】に記載があるが、ここに記載されるDIN4768(1990)規格(甲第9号証)においては、Rzが0.5~10μmの表面を測定する場合4mmの測定長、10~50μmの表面を測定する場合12.5mmの測定長が必要であることが記載されている(甲第9号証の第3頁の表2)。一方、本特許発明2のタフトの高さは、少なくとも0.1mm以上であるから、上記測定長に足りないものも含まれる。また、本特許発明3、5のタフトの高さも、最大で3mm以下であるから、上記測定長に足りないものである。したがって、本特許の明細書に係る発明の詳細な説明の記載は、発明の実施をすることができる程度に、平均粗さRzについて明確かつ十分に記載したものとはいえない。」(100頁1~13行)
なお、上記主張中の「本件発明3、5のタフトの高さも」は、「本件発明4、5のタフトの高さも」の誤記と認める。
(イ)
当該主張に対して、被請求人は、次のとおり反論している。
・審判事件答弁書
「このDIN4767(1990)は、粗さ測定のための規定であり、被測定物であるサンプルに要求される長さが、上記の4mm、12.5mmである。本件発明1のタフト又はブレードと同じ平均粗さRzを持つサンプルを作成し、そのサンプルを測定すれば良いので、上記の請求人の主張は、誤りである。」(37頁11~14行。なお、「DIN4767」は「DIN4768」の誤記と認める。)
・口頭審理陳述要領書
「しかしながら、実施品を模したサンプルを作成し、それを測定することは当該分野に限られず一般的に広く行われていることである。したがって、本件特許発明のタフト又はブレードと同じ平均粗さRzを持ち所定の測定長を持つサンプルを作成し、そのサンプルを測定すればよいことは当業者には明らかである。」(24頁13~16行)
・平成29年7月26日付け上申書
「(1)本発明者らは、タフトの平均粗さRzを以下のように測定した。先ず、タフトの平均粗さRzは、DIN4768(1990)規格に記載されたような電気接触装置を使用するのではなく、電子顕微鏡(ZEISS ULTRA 55 Scanning Electron Microscope)で撮影した電子顕微鏡写真(画像データ)を専用ソフトウェア(MeX software)を用いて解析して算出した。このような電子顕微鏡写真及び専用ソフトウェアを用いて粗さを測定することは、後述するように、本件特許出願前から知られていた。本件特許明細書に記載されているタフトの平均粗さRzは、下記の図1に示すように、タフトの母線に沿って測定した。」(3頁15~24行)
そして、同上申書の4頁1行~5頁6行に、測定の手順を示し、5頁7~23行に当該電子顕微鏡写真を利用した測定方法が本件特許の出願前から当業者に知られていたと主張している。
・平成30年2月14日付け訂正請求書
「このように、本件特許の優先日前において、DIN4768に基づいて表面粗さRzを測定する場合、電気接触装置を用いることなく、電子顕微鏡により撮像された映像を用いて、表面粗さを測定することは、広く知られており、当業者において技術常識であった。」(26頁9~12行)
「しかしながら、上述の通り、上申書において説明した方法において、母線を設定する領域の数を十分多くすることで、個別測定区間の合計値(すなわち、総合測定区間lm)は4mm以上となる。このように、上申書の方法を用いても、DIN4768(1990)に規定された必要な総合測定区間lmに相当する長さを確保することができるので、電気接触装置を使って粗さを測定する場合と比べて、同等むしろそれ以上の精度で、平均粗さを算出することができる。」(28頁13~19行)
そして、同平成30年2月14日付け訂正請求書の25頁3行~26頁8行において、前者の主張の基礎として乙第15号証~乙第21号証について説示し、同28頁20行~30頁25行において、総合測定区間lmを得る測定手順について説示している。
(ウ)
本件発明1の「平均粗さRz」について、特許明細書等の段落【0034】に、次のとおり記載されている。
「【0034】
表面の平均粗さRzを計算するため、評価長さLnと呼ばれる評価されるべき表面の所与の長さを図3に示されているように同一長さのn個の基本長さLzに切り分ける。個々の輪郭高さRziを基本長さの各々について求め、この高さは、投影高さのうちの最も高い高さ寸法と基本長さLzi内の表面の輪郭の凹みの最も大きな深さ寸法の合計である。平均高さRzは、問題
の基本長さ全体に関する個々の値Rziの算術平均であり(DIN4768(1990)規格)、以下の公式で表される。」
当該記載の測定手順は、DIN4768(1990)規格を説示するために提出された甲第9号証の「平均化された粗さ深度Rz」の測定方法に関する記載(上記「第5 9.(9a)(9b)」参照)と整合するものである。
そうすると、特許明細書等の上記段落の記載に接した当業者であれば、本件発明1の「平均粗さRz」はDIN4768(1990)規格で定められたとおりの測定手順を示唆していると理解するのが自然であり、同規格で定められたとおりの総合測定区間lm、個別測定区間le(上記「第5 9.(9d)」参照)で測定が行われたと理解するのが自然である。そして、当該規格においては、「5μm~30μmの平均粗さRz」の測定には、「総合測定区間lm」として少なくとも「4mm」を必要とすると認められる(上記「第5 9.(9d)」参照)。
ここで、特許明細書等の段落【0028】の「このパターンは、高さhの多数のタフト21から成り、タフトの平均断面は、直径dを有している。・・・知覚可能なコントラスト効果を得るためには、タフトの平均断面の直径dは、0.03mm~0.5mmでなければならず・・・」との記載、及び、段落【0029】の「・・・したがって、比h/dとして1.2~6、好ましくは2~4が選定される。」との記載によれば、タフトの高さは大きくても3mm程度であり、本件発明1においては「5μm~30μmの平均粗さRz」「を有する前記タフトの前記壁は、前記タフトの高さの下四分の一に位置している」ので、当該平均粗さRzとなっているとする壁のタフト母線方向の長さは、上述のDIN4768(1990)規格で必要とされている「4mm」に及ばないことは明らかである。
また、本件発明1及び特許明細書等の段落【0028】の記載によれば、タフトは、平均断面の直径dが0.03mm~0.5mmであり、1mm2当たり少なくとも5本の密度状態で分布しているので、前記平均粗さRzとなっているとする壁のタフト周方向の長さも、上述のDIN4768(1990)規格で必要とされている「4mm」に及ばないことも明らかである。
そのような微小な対象物に対して表面粗さを測定する手順として、被請求人の主張する、電子顕微鏡写真を利用すること、及び、測定対象物の表面に複数箇所の測定区間を設けることは、一応の合理的な解決策と認められる。
すなわち、被請求人が平成30年2月14日付け訂正請求書に添付した本件特許の優先日前の刊行物である乙第15号証~乙第17号証に、対象物の表面形状を電子顕微鏡により取得し、微小な領域の表面粗さの測定に利用することが示唆されていることに鑑みれば、本件発明1のタフトの壁の表面粗さRzの測定に、電子顕微鏡を利用することができなかったとまではいえない。
また、甲第9号証には、総合測定区間lm(上記段落に記載の評価長さLnに相当)が個別測定区間le(上記段落に記載の基本長さLzに相当)の5倍に足りない場合の表面粗さRzの表示について記載されており(上記「第5 9.(9e)」参照)、このことに鑑みれば、測定長がDIN4768(1990)規格で必要とされている総合測定区間lm(評価長さLn)に足りない場合の測定結果に対しても、表面粗さRzとして表示できることが示されていると認められる。
さらに、甲第9号証には、総合測定区間lmを表面上で一直線で採らなければならないとする規定もない。
請求人は、平成30年5月8日付けの意見書(6頁16行~7頁24行)において、タイヤ表面の表面粗さをDIN4758規格(当審注:「DIN4768規格」の誤記と認める。以下同様。)で規定する電気接触装置の代わりに電子顕微鏡写真に基づいて算出することが技術常識とはいえない、DIN4758規格と関連するISO4288を翻訳したJISB0633(甲第19号証参照)の「7.2」に、DIN4758規格と同様の記載があり、測定対象の表面に筋目がある場合は、最大の粗さ値が生じるよう、その筋目に直行する方向で測定することが示されており、触針を一直線に送ることが通常であることが記載されている、及び、電気触針装置は、通常、DIN4758規格と関連するISO3274を翻訳したJISB0651(甲第18号証参照)の図2で示されるような直線的に触針を送る装置であることから、同一のタフトの周方向の数か所を電気触針装置で走査することは困難であり技術常識ともいえない旨主張している。
しかしながら、電気触針装置の代わりに電子顕微鏡写真を用いて表面粗さを測定することは、上述のとおり、本件特許の優先日前に知られた技術である。
また、本件発明1のタフトにおいて、その壁(表面)に筋目が形成されているとは認められず、JISB0633(甲第19号証参照)の「7.2」には、「等方性の表面では,測定方向は任意に設定してよい。」と記載されていることからみても、表面粗さを測定する方向が限定されているとは認められない。
そして、本件発明1のタフトの表面粗さの測定に電子顕微鏡を利用した場合、測定する方向を数か所で設定し走査することが困難とも認められない。
以上の点から、本件発明1のタフトの壁の表面粗さRzを測定できなかったとまではいえないので、「タフト(21)の壁は、・・・5μm~30μmの平均粗さRzを有し、」を実現できないとまではいえない。
イ
請求人は、平成30年5月8日付けの意見書において、本件発明3は、ブレードの高さがDIN4768規格で規定されている最低測定拒理「4mm」(ただし、Rzが10以下の場合)に及ばず、総合測定区間lmを設定できないブレードが含まれていることから、実施可能要件違反である旨主張している(9頁7~12行)。
しかしながら、本件発明3の「複数のブレード」は、「互いに実質的に平行」であるので水平方向に延びていると理解でき、そうすると、上述の総合測定区間lmはブレードの壁に水平方向に採ることができることは十分に理解できる。
ウ
上記アで説示したことは、本件発明2、6についてもいえるし、上記イで説示したことは、本件発明4、5についてもいえる。
したがって、請求人の特許法第36条第4項第1号違反に関する主張は、理由があるとはいえない。
(4)無効理由7についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明1~6について、無効理由7は理由があるとはいえない。
5.まとめ
上記「1.」~「4.」で述べたとおり、本件発明1~5について、無効理由1、2、4、5は理由があるとはいえないし、本件発明1~6について、無効理由3、6、7は理由があるとはいえない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、訂正は認容する。
本件発明1~6についての特許は、請求人の主張する無効理由及び提出した証拠方法ないし当審が通知した無効理由によっては、無効とすることはできない。
訂正前の請求項7に係る発明についての特許に対する審判請求は、請求項7が本件訂正により削除され、審判請求の対象を欠くこととなったため、特許法135条の規定により却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、その7分の6を請求人の負担とし、7分の1を被請求人の負担とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-800115