特許異議申立
2016-700812
回路配線の製造方法
- 審判番号
- 2016-700812
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2014-183248
- 登録番号
- 特許第5880650号(P5880650)
- 請求日
- 2016年09月02日
- 審決日
- 2017年04月14日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】東洋紡株式会社
- 【異議申立人】加藤 加津子
- 審判長/審判官
- 審判長 中村 達之
- 審判官 小関 峰夫
- 審判官 中川 隆司
- 分類
- P1651.121-YAA(H05K) / P1651.537-YAA(H05K) / P1651.841-YAA(H05K) / P1651.851-YAA(H05K) / P1651.853-YAA(H05K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第2項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5880650号発明「回路配線の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5880650号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-7〕について訂正することを認める。
特許第5880650号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第5880650号の請求項1~7に係る特許についての出願は、2013年7月8日(優先権主張2012年7月20日、日本国)を国際出願日とする特願2013-532388号の一部を平成26年9月9日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月12日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人加藤加津子(以下、単に、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、平成28年12月1日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成29年2月3日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)があったものである。
なお、平成29年2月13日付けで、異議申立人に対して、訂正の請求があった旨の通知をし、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、異議申立人からは応答がなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)~(5)のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を以下の事項により特定されるとおりの請求項1として訂正する。
「【請求項1】
熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)、金属粉(B)および有機溶剤(C)を含有し、該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%の導電性ペーストを用いて基材上に塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させた後にエキシマレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー、半導体レーザーから選ばれかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工によりL/Sが50/50μm以下の回路配線を、透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成することを特徴とする、回路配線の製造方法。
式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100
但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」
(下線は特許権者付与。以下同様。)
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を以下の事項により特定されるとおりの請求項4として訂正する。
「【請求項4】
前記バインダ樹脂(A)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、繊維素誘導体樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の回路配線の製造方法。」
(3) 訂正事項3
明細書の段落【0007】の(1)において、「(1)熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)、金属粉(B)および有機溶剤(C)を含有する導電性ペーストを用いて基材上に塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させた後にエキシマレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー、半導体レーザーから選ばれかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工によりL/Sが50/50μm以下の回路配線を、透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成することを特徴とする、回路配線の製造方法。」と記載されているのを、
「(1)熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)、金属粉(B)および有機溶剤(C)を含有し、該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%の導電性ペーストを用いて基材上に塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させた後にエキシマレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー、半導体レーザーから選ばれかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工によりL/Sが50/50μm以下の回路配線を、透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成することを特徴とする、回路配線の製造方法。
式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100 但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」と訂正する。
(4) 訂正事項4
明細書の段落【0007】の(4)において、「(4)前記バインダ樹脂(A)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、繊維素誘導体樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の回路配線の製造方法。」と記載されているのを、
「(4)前記バインダ樹脂(A)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、繊維素誘導体樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の回路配線の製造方法。」と訂正する。
(5) 訂正事項5
明細書の段落【0011】において、2箇所の「エポキシ樹脂、」との記載を削除する。
2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1について
訂正事項1に関連する記載として、願書に添付した明細書(以下、「明細書」という。)の発明の詳細な説明には、「本発明に用いられる金属粉(B)の中心径(D50)は4μm以下であることが好ましい。中心径が4μm以下の金属粉(B)を用いることで、レーザーエッチング加工部位の細線形状が良好となる傾向にある。中心径が4μmより大きい金属粉を用いた場合には、レーザーエッチング加工後の細線形状が悪くなり、結果として細線同士が接触を起こし、短絡を招く可能性がある。さらには、レーザーエッチング加工で、一旦剥離・除去した導電性薄膜が再度加工部位に付着する可能性がある。金属粉(B)の中心径の下限は特に限定されないが、コスト的観点ならびに、粒径が細かくなると凝集し易く、結果として分散が困難となるため中心径は80nm以上であることが好ましい。中心径が80nmより小さくなると、金属粉の凝集力が増し、レーザーエッチング加工適正が悪化する他、コスト的観点からも好ましくない。」(段落【0026】)、「金属粉(B)の含有量は、形成された導電性薄膜の導電性が良好であるという観点から、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、400質量部以上が好ましく、560質量部以上がより好ましい。また、(B)成分の含有量は、基材とのとの密着性において良好であるという観点から、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、1,900質量部以下が好ましく、1,230質量部以下がより好ましい。」(段落【0028】)、及び「本発明で用いられる導電性ペーストは、F値が60~95%であることが好ましく、より好ましくは75~95%である。F値とはペースト中に含まれる全固形分100質量部に対するフィラー質量部を示す数値であり、F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100で表される。ここで言うフィラー質量部とは導電性粉末の質量部、固形分質量部とは溶剤以外の成分の質量部であり、導電性粉末、バインダ樹脂、その他の硬化剤や添加剤を全て含む。F値が低すぎると良好な導電性を示す導電性薄膜が得られず、F値が高すぎると導電性薄膜と基材との密着性及び/又は導電性薄膜の表面硬度が低下する傾向にあり、印刷性の低下も避けられない。尚、ここで導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」(段落【0041】)と記載されている。
そうすると、「該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%の導電性ペースト」、及び「式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100 但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」を用いてなる発明は明細書に記載されているものと認められる。
そして、上記「(1)」の訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において、導電性ペースト中の金属粉(B)の中心径及び含有量、並びに導電性ペーストのF値を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項4において、バインダ樹脂(A)について、択一的記載の要素の一つとして記載された「エポキシ樹脂」を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3) 訂正事項3~5について
訂正事項3~5は、訂正事項1及び訂正事項2に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明との整合を図るために、明細書の段落【0007】及び段落【0011】の記載を訂正するもので、明瞭でない記載の釈明を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、これらの訂正事項1~5は、一群の請求項に対して請求されたものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1~7〕について訂正を認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1~7に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明7」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)、金属粉(B)および有機溶剤(C)を含有し、該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%の導電性ペーストを用いて基材上に塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させた後にエキシマレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー、半導体レーザーから選ばれかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工によりL/Sが50/50μm以下の回路配線を、透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成することを特徴とする、回路配線の製造方法。
式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100
但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。
【請求項2】
前記レーザーエッチング加工におけるレーザー光の走査速度が、1500mm/s以上であることを特徴とする、請求項1に記載の回路配線の製造方法。
【請求項3】
前記バインダ樹脂(A)が、数平均分子量が5,000~60,000であり、なおかつ、ガラス転移温度が60~100℃である熱可塑性樹脂であり、前記レーザーエッチング加工がファイバーレーザーでありかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工であることを特徴とする、請求項1または2に記載の回路配線の製造方法。
【請求項4】
前記バインダ樹脂(A)が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、繊維素誘導体樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の回路配線の製造方法。
【請求項5】
前記バインダ樹脂(A)が、酸価50~300当量/106gであるポリエステル樹脂および酸価50~300当量/106gであるポリウレタン樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の回路配線の製造方法。
【請求項6】
前記導電性ペーストは更にレーザー光吸収剤(D)を含有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の回路配線の製造方法。
【請求項7】
前記回路配線が透明導電性層を有する基材上に形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の回路配線の製造方法。」
2 取消理由の概要
訂正前の請求項1~7に係る特許に対して平成28年12月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1
本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである
理由2
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
理由3
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
理由1(特許法第29条第2項)について
(1) 甲各号証の記載
甲第1号証:国際公開第2011/046076号
甲第2号証:特開2012-138017号公報
甲第3号証:特開平10-65312号公報
甲第4号証:特開2001-76569号公報
甲第5号証:特開2008-235679号公報
甲第6号証:佐野 康「プリンタブルエレクトロニクスとスクリーン印刷」、株式会社印刷学会出版部発行、印刷雑誌2010年5月号、39頁~43頁
甲第7号証:大阪市立工業研究所による平成15年10月15日付け報道発表「ライン・アンド・スペース30ミクロンの電子回路を実現する低コスト金属ナノ粒子ペーストを開発」、インターネット情報 http://www.omtri.or.jp/publicity/assets/files/031015.pdf
甲第8号証:特開2012-69924号公報
甲第9号証:特開2010-123457号公報
甲第9号証の1:東洋紡株式会社インターネットホームページ製品情報http://www.toyobo.co.jp/seihin/xi/vylon es/fra vylon hm/fra vylon hm.htm「非晶性ポリエステル樹脂バイロン」(著作権2005年)
甲第10号証:特開平8-157698号公報
甲第10号証の1:ユニチカ株式会社インターネットホームページ製品情報https://www.unitika.co.jp/plastics/products/elitel/et-0103.html「エリーテル」
甲第10号証の2:特開2004-314152号公報
甲第11号証:特開2009-176728号公報
甲第11号証の1:特表2013-543524号公報
甲第12号証:特開2007-320306号公報
甲第1号証には、特許異議申立書5ページ27行~8ページ27行に記載の事項が記載されている。また、導電性ペーストに有機溶剤を含有させることについても記載されている(特に、[0110]、[0111]の表4、及び請求項1を参照。)。
甲第2号証には、特許異議申立書8ページ28行~10ページ27行に記載の事項が記載されている。
甲第3号証には、特許異議申立書10ページ28行~11ページ30行に記載の事項が記載されている。また、スクリーン印刷法により導体膜を形成してこれを乾燥させ、乾燥後にレーザ光を照射すること、すなわち乾燥させた後にレーザエッチング加工することも記載されている(特に、段落【0012】~【0014】を参照。)。
甲第4号証~甲第12号証には、特許異議申立書12ページ1行~20ページ14行に記載の事項が記載されている。
(2) 判断
(2-1) 請求項1に係る発明について
ア 甲第1号証を主引例として
請求項1に係る発明は、特許異議申立書21ページ2行~23ページ25行「ウ-1-1 甲第1号証を主引例とした対比 ・・・(中略)・・・ 当業者が容易になし得たことである。」記載の理由により、甲第1~8号証記載の発明及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲第2号証を主引例として
請求項1に係る発明は、特許異議申立書23ページ26行~25ページ4行「ウ-1-2 甲第2号証を主引例とした対比 ・・・(中略)・・・ 当業者が容易になし得たことである。」記載の理由により、甲第1~8号証記載の発明及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、導電性ペーストに有機溶剤を含有させることは、例えば甲第1号証に記載されているように周知技術であり、また、乾燥させた後にレーザエッチング加工することも、例えば甲第3号証に記載されているように周知技術である。
ウ 小括
よって、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
(2-2) 請求項2~7に係る発明について
請求項2~7に係る発明は、特許異議申立書25ページ5行~28ページ7行「ウ-2 本件特許発明2 ・・・(中略)・・・ 当業者が容易になし得た発明である。」記載の理由により、甲第1~11号証記載の発明及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、請求項2~7に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
理由2(特許法第36条第6項第1号)について
請求項1に係る発明、及び請求項1を引用する請求項2~7に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
その理由は特許異議申立書28ページ9行~29ページ13行に記載のとおりである。
よって、請求項1~7に係る特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
理由3(特許法第36条第6項第2号)について
バインダ樹脂(A)としてエポキシ樹脂を含む請求項4、並びに請求項4を引用する請求項6及び7は、不明確である。
その理由は特許異議申立書29ページ14行~30ページ1行に記載のとおりである。なお、甲第13号証(岩波理化学事典第4版、1987年10月12日第4版第1刷発行、142頁~143頁及び950頁、株式会社岩波書店)の「エポキシ樹脂」及び「熱硬化性樹脂」の欄を参照。
よって、請求項4、6及び7に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
3 甲各号証の記載
(1) 甲第1号証:国際公開第2011/046076号(特に、段落[0001]、[0017]、[0018]、[0033]、[0038]、[0039]、[0041]、[0072]、[0075]、[0091]~[0111]、[請求項1]及び[請求項14]を参照。)には、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、「導電性ペースト、導電性膜、タッチパネル、及び導電性薄膜の製造方法」に関して、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「ポリウレタン樹脂からなるバインダー樹脂、金属粉末及び有機溶剤を含有する導電性ペーストを用いて、基材上にスクリーン印刷による塗膜を形成し、ついで乾燥させ、導電性薄膜を、透明導電性層を有する基材上に形成する、導電性薄膜の製造方法。」
(2) 甲第2号証:特開2012-138017号公報(特に、段落【0009】、【0010】、【0042】~【0045】、【0060】、【0061】、【0075】及び【図1】~【図11】を参照。)には、本件発明1の記載ぶりに則って整理すると、「タッチパネル、及びこのタッチパネルを備えた表示装置」に関して、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「アクリル樹脂等からなる樹脂材料及び銀を含有するペースト状の導電性材料を用いて、第2の光透過性樹脂フィルム35上に、スクリーン印刷法で外周パターンを形成し、レーザー加工で微細部のパターニングを行い、乾燥炉内に入れて加熱し銀ペーストを焼成し、第2の取出配線6、第2の透明電極用端子24及び第2の接続端子7を、第2の透明導電膜層38を有する第2の光透過性樹脂フィルム35上に形成する、第2の取出配線6、第2の透明電極用端子24及び第2の接続端子7を形成する方法。」
(3) 甲第3号証:特開平10-65312号公報(特に、【請求項1】、段落【0006】、【0008】、【0012】~【0014】及び【0028】を参照。)には、金属粉、バインダ樹脂、及び溶剤を含む導体ペーストを用いた導体パターンの形成に関し、スクリーン印刷法では幅50μm以下の導体を高精度で形成することが困難であるのに対し、YAGレーザ等を用いたレーザエッチング加工を組み合わせることでこの課題を解決すること、及び、この導体ペーストには、その加工精度を高めるために、カーボン等のレーザ光吸収剤を添加することが記載されている。
また、スクリーン印刷法により導体膜を形成してこれを乾燥させ、乾燥後にレーザ光を照射すること、すなわち乾燥させた後にレーザエッチング加工することも記載されている。
(4) 甲第4号証:特開2001-76569号公報(特に、【請求項1】、段落【0005】、【0006】及び【0016】を参照。)には、レーザーエッチング加工を行うことにより、スクリーン印刷に比べ、回路間距離が0.02mm(20μm)であるような高精細な回路を形成できることが記載されている。
(5) 甲第5号証:特開2008-235679号公報(特に、【請求項1】、【請求項2】、段落【0028】及び【0046】を参照。)には、導電性粒子とバインダー樹脂とを有する導電ペーストを印刷して導電層を形成し、該導電層の外形をレーザ照射によりパターン加工することにより、導電部及び導電部間の間隔を50μm程度の狭ピッチで高精度に形成できることが記載されている。
(6) 甲第6号証:佐野 康「プリンタブルエレクトロニクスとスクリーン印刷」、株式会社印刷学会出版部発行、印刷雑誌2010年5月号、39頁~43頁(特に、40頁右欄5行~19行、41頁右欄下から9行~5行、写真2、写真3及び写真4を参照。)には、ライン・スペースの要求が50μm・50μmにまでなってきていること、50μm以下のファインライン印刷が安定して実施できる環境が整ったこと、そして、L/Sが30μm/30μm等の配線が実現できたことが記載されている。
(7) 甲第7号証:大阪市立工業研究所による平成15年10月15日付け報道発表「ライン・アンド・スペース30ミクロンの電子回路を実現する低コスト金属ナノ粒子ペーストを開発」、インターネット情報 http://www.omtri.or.jp/publicity/assets/files/031015.pdf(特に、1頁1行~12行を参照。)には、金属粒子の粒子径を数ナノ~十数ナノレベルとすることにより、L/Sが30μmの電子回路を実現する金属ナノ粒子ペーストが開発されていたことが記載されている。
(8) 甲第8号証:特開2012-69924号公報(特に、【請求項1】、【請求項12】、【請求項14】、【請求項15】、段落【0061】、【0066】及び【0082】を参照。)には、YAGレーザ等を用いたレーザーエッチングにより、L/Sが20μm/20μm以下の導体パターンを良好に形成できること、及び、レーザ光の走査速度は、例えば3000mm/secであることが記載されている。
(9) 甲第9号証:特開2010-123457号公報(特に、【請求項1】、段落【0002】、【0027】、【0029】、【0050】、【0051】及び【0055】を参照。)には、バインダ樹脂と金属粉と有機溶剤を含む導電性ペーストにおいて、バインダ樹脂として数平均分子量が17,000、ガラス転移温度が35~170℃(具体的には67℃)のポリエステル樹脂等が使用されることが記載されている(なお、後述の甲第9号証の1に記載された事項を参酌した。)。
(9-1) 甲第9号証の1:東洋紡株式会社インターネットホームページ製品情報http://www.toyobo.co.jp/seihin/xi/vylon es/fra vylon hm/fra vylon hm.htm「非晶性ポリエステル樹脂バイロン」(著作権2005年)には、「バイロン200」のガラス転移温度が67℃であり、数平均分子量が17,000であることが記載されている。
(10) 甲第10号証:特開平8-157698号公報(特に、【請求項1】、【請求項2】、段落【0001】、【0021】、【0022】、【0035】及び【0036】を参照。)には、バインダ樹脂と金属粉と有機溶剤を含む導電性組成物において、バインダ樹脂として分子量が5000~25000(具体的には数平均分子量が20,000)、ガラス転移温度が25~140℃(具体的には75℃)のポリエステル樹脂が使用されることが記載されている(なお、後述の甲第10号証の1及び甲第10号証の2に記載された事項を参酌した。)。
(10-1) 甲第10号証の1:ユニチカ株式会社インターネットホームページ製品情報https://www.unitika.co.jp/plastics/products/elitel/et-0103.html 「エリーテル」には、「エリーテルUE3600」の分子量が20,000であり、ガラス転移温度が75℃であることが記載されている。
(10-2) 甲第10号証の2:特開2004-314152号公報の段落【0042】には、「エリーテルUE-3600(ユニチカ社製、ポリエステル樹脂、数平均分子量20,000、ガラス転移点75℃)」と記載されている。
(11) 甲第11号証:特開2009-176728号公報(特に、【請求項1】及び段落【0020】を参照。)には、数平均分子量が16,000であり、ガラス転移温度が95℃のフェノキシ樹脂、及びウレタン樹脂をバインダ樹脂とし、金属粉末、及び有機溶剤を含有する導電性ペーストが記載されている(なお、後述の甲第11号証の1に記載された事項を参酌した。)。
(11-1) 甲第11号証の1:特表2013-543524号公報(特に、段落【0066】を参照。)には、Inchem社から供給されるフェノキシ樹脂「PKFE(商標)」の数平均分子量が16,000であり、ガラス転移温度が95℃であることが記載されている。
(12) 甲第12号証:特開2007-320306号公報(特に、【請求項1】、【請求項6】、【請求項8】及び段落【0182】を参照。)には、レーザ加工によるパターン形成において、炭酸ガスレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、及びファイバーレーザ等が用いられることが記載されている。
4 判断
4-1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1) 理由1(特許法第29条第2項)について
ア 甲第1号証を主引例として
本件発明1と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「金属粉末」は、本件発明1の「金属粉(B)」に相当する。
以下同様に、「有機溶剤」は、「有機溶剤(C)」に、
「基材上にスクリーン印刷による塗膜を形成し、ついで乾燥させ」ることは、「基材上に塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させ」ることに、
「導電性薄膜」は、「回路配線」に、
「透明導電性層を有する基材上に形成する」ことは、「透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成すること」に、
「導電性薄膜の製造方法」は、「回路配線の製造方法」に、それぞれ相当する。
ポリウレタン樹脂には、熱可塑性のものと熱硬化性のものとの二種類があるところ、甲第1号証の段落[0099]の[表2]のポリウレタン樹脂U-1、U-2、U-4、及びU-5の原料の組成は、本件特許の明細書の段落【0084】の【表3】のポリウレタン樹脂U-1、U-2、U-3、及びU-4の原料の組成と同じであるから、甲第1号証の上記各ポリウレタン樹脂も熱可塑性樹脂であるといえる。
すると、引用発明1の「ポリウレタン樹脂からなるバインダー樹脂」は、本件発明1の「熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)」に相当する。
以上のことから、本件発明1と引用発明1とは次の点で一致する。
「熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)、金属粉(B)および有機溶剤(C)を含有する導電性ペーストを用いて基材上に塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させ、回路配線を、透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成する、回路配線の製造方法。」
一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点1]
本件発明1では、「塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させた後にエキシマレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー、半導体レーザーから選ばれかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工により」、回路配線を形成するのに対して、
引用発明1では、スクリーン印刷による塗膜を形成し、ついで乾燥させることにより、回路配線を形成する点。
[相違点2]
本件発明1では、「L/Sが50/50μm以下の回路配線」を形成するのに対して、
引用発明1では、回路配線のL/Sは、明らかではない点。
[相違点3]
本件発明1では、「該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%」、「式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100 但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」との構成を備えているのに対して、
引用発明1では、かかる構成を備えていない点。
相違点3について検討する。
「該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%」、「式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100 但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」ことについては、甲第1号証~甲第12号証のいずれの証拠にも記載も示唆もされていない。
そして、当該事項により、本件発明1は、レーザーエッチング加工により、L/Sが50/50μm以下の回路配線を製造するのに適した導電性ペーストを提供することができるという顕著な効果を奏するものである。
そうすると、たとえ引用発明1に、甲第1号証~甲第12号証に記載された事項、及び周知技術(甲第3、8及び12号証)を適用したとしても、上記相違点3に係る本件発明1の構成に至ることが容易であるとはいえない。
したがって、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1、甲第1号証~甲第12号証に記載された事項、及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
イ 甲第2号証を主引例として
本件発明1と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「アクリル樹脂等からなる樹脂材料」は、本件発明1の「熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)」に相当する。
以下同様に、「銀」は、「金属粉(B)」に、
「ペースト状の導電性材料」は、「導電性ペースト」に、
「第2の光透過性樹脂フィルム35上に、スクリーン印刷法で外周パターンを形成」することは、「基材上に塗膜を形成」することに、
「レーザー加工で微細部のパターニングを行」うことは、「レーザーエッチング加工」に、
「第2の取出配線6、第2の透明電極用端子24及び第2の接続端子7」は、「回路配線」に、
「第2の透明導電膜層38を有する第2の光透過性樹脂フィルム35上に形成する」ことは、「透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成すること」に、
「第2の取出配線6、第2の透明電極用端子24及び第2の接続端子7を形成する方法」は、「回路配線の製造方法」に、それぞれ相当する。
以上のことから、本件発明1と引用発明2とは次の点で一致する。
「熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)、金属粉(B)を含有する導電性ペーストを用いて基材上に塗膜を形成し、レーザーエッチング加工により回路配線を、透明導電性層を有する基材上、もしくは透明導電性層を有し該透明導電性層が一部除去された基材上に形成することを特徴とする、回路配線の製造方法。」
一方で、両者は次の点で相違する。
[相違点4]
本件発明1では、導電性ペーストとして「有機溶剤(C)」を含有しているのに対して、
引用発明2では、導電性ペーストが有機溶剤(C)を含有しているか否かは明らかでない点。
[相違点5]
本件発明1では、「塗膜を形成し、次いで該塗膜を乾燥させた後にエキシマレーザー、YAGレーザー、ファイバーレーザー、CO2レーザー、半導体レーザーから選ばれかつ固体UVレーザーを除くレーザーエッチング加工により」、回路配線を形成するのに対して、
引用発明2では、スクリーン印刷法で外周パターンを形成し、レーザー加工で微細部のパターニングを行い、乾燥炉内に入れて加熱し銀ペーストを焼成して、回路配線を形成する点。
[相違点6]
本件発明1では、「L/Sが50/50μm以下の回路配線」を形成するのに対して、
引用発明2では、回路配線のL/Sは、明らかではない点。
[相違点7]
本件発明1では、「該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%」、「式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100 但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」との構成を備えているのに対して、
引用発明2では、かかる構成を備えていない点。
相違点7について検討する。
相違点7は、前記「ア」において検討した相違点3と同じである。
そうすると、前記「ア」において検討したことと同様に、引用発明2に、甲第1号証~甲第12号証に記載された事項、及び周知技術(甲第3、8及び12号証)を適用したとしても、上記相違点7に係る本件発明1の構成に至ることが容易であるとはいえない。
したがって、上記相違点4~6について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明2、甲第1号証~甲第12号証に記載された事項、及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
ウ 小括
以上のことから、本件発明1は、引用発明1又は引用発明2、甲第1号証~甲第12号証に記載された事項、及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
本件発明2~7は、本件発明1を直接又は間接的に引用し、本件発明1を更に限定した発明であるから、本件発明1と同様に、引用発明1又は引用発明2、甲第1号証~甲第12号証に記載された事項、及び周知技術(甲第3、8及び12号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(2) 理由2(特許法第36条第6項第1号)について
前記訂正事項1により、本件発明1として、「該金属粉(B)の中心径(D50)は80nm以上4μm以下であり、該金属粉(B)の含有量は熱可塑性樹脂からなるバインダ樹脂(A)100質量部に対して400質量部以上1900質量部以下であり、該下記式(1)で定義されるF値が60~95%の導電性ペースト」、及び「式(1) F値=(フィラー質量部/固形分質量部)×100 但し、該フィラー質量部とは導電性粉末の質量部、該固形分質量部とは有機溶剤(C)以外の成分の質量部であり、該導電性粉末とは、金属粉(B)および非金属からなる導電性粉末の双方を指す。」の点が特定された。
これによって、本件発明1、及び本件発明1を引用する本件発明2~7は、発明の詳細な説明に記載された発明となったから、取消理由の理由2は解消した。
(3) 理由3(特許法第36条第6項第2号)について
前記訂正事項2により、本件発明4として、バインダ樹脂(A)について、択一的記載の要素の一つとして記載されたエポキシ樹脂が削除され、本件発明4と本件発明1とは矛盾しなくなった。
これにより、本件発明4、並びに本件発明4を引用する本件発明6及び7は、明確となったから、取消理由の理由3は解消した。
4-2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
特許異議申立理由は、全て取消理由において採用したので、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由はない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件発明1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2016-700812