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特許拒絶査定不服審判

2016-019581

帯電防止性能を有する発泡積層シートの製造方法

審判番号
2016-019581
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2012-082832外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年12月27日
審決日
2018年02月16日
公報発行日
2018年05月25日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (B29C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2012-82832号「帯電防止性能を有する発泡積層シートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月17日出願公開、特開2013-212594号〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成24年3月30日の出願であって、平成28年2月10付けで拒絶理由が通知され、同年4月13日に意見書が提出され、同年9月29日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年12月27日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成29年2月15日に手続補正書(方式)が提出され、その後、当審において、平成29年10月3日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月5日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 当審拒絶理由の概要 平成29年10月3日付けの当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。 [理由] この出願の請求項1及び2に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 [刊行物] 特開2010-84282号公報(以下、「刊行物1」という。) 特開2010-76213号公報(以下、「刊行物2」という。) 特開2001-150660号公報(以下、「刊行物3」という。) 特開昭63-175041号公報(以下、「刊行物4」という。) 第3 本願発明 本願の請求項1及び2に係る発明は、平成29年12月5日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである(下線部は補正箇所を示す。)。 「 【請求項1】 基材上に、少なくとも無機粒子を含有する発泡樹脂層、及び帯電防止剤含有樹脂層が順に積層されている発泡積層シートの製造方法であって、 (1)前記製造方法は、以下の工程1~4: (i)基材上に、無機粒子を含有する発泡剤含有樹脂層を積層した積層シートを用意する工程1、 (ii)前記発泡剤含有樹脂層に対して電子線を照射する工程2、 (iii)前記発泡剤含有樹脂層を210℃以上の加熱温度で加熱して発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3、 及び (iv)前記発泡樹脂層の上に、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4、 を順に有し、 (2)前記発泡剤含有樹脂層中の無機粒子の含有量が、前記発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分100質量部に対して35質量部以上70質量部未満であり、 (3)前記帯電防止剤が界面活性剤型帯電防止剤であり、 (4)前記発泡樹脂層の厚さは300~700μmである、 ことを特徴とする、発泡積層シートの製造方法。」 第4 当審の判断 1 刊行物に記載された事項及び発明 (1)刊行物1に記載された事項及び発明 ア 刊行物1に記載された事項 刊行物1には、次の事項が記載されている(下線は当審が加筆した。以下、同様である。)。 (1a) 「【0005】 ところで、発泡壁紙は、それ自身と他の物体とが接触することによる摩擦等が原因で帯電することがある。帯電すると、空気中の微小な浮遊物(例えば、チリ、ホコリ等)が発泡壁紙に吸着しやすくなる。特に、精密機器等を製造するためのクリーンルームや病院内では、前記浮遊物の吸着を防止する必要がある。」 (1b) 「【0092】 得られた積層体の非発泡樹脂層A上に、プライマー層、絵柄模様層および表面保護層を順に形成することにより発泡壁紙用原反を作製した後、該原反を加熱することにより発泡壁紙が得られる。 【0093】 加熱条件は、発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される限り限定されない。例えば、発泡剤としてADCAを用いた場合、加熱温度は、180~240℃程度が好ましく、210~230℃程度がより好ましい。また、加熱時間は、20~60秒程度が好ましく、25~40秒程度がより好ましい。【0094】 発泡樹脂層の発泡倍率(発泡剤含有樹脂層からみた倍率)は、特に限定されないが、通常4倍以上、好ましくは4~8倍程度である。発泡倍率が低すぎると優れた外観意匠を付与し難い。また、発泡倍率が高すぎると発泡樹脂層が機械的に弱くなり、耐スクラッチ性が低下しやすい。 【0095】 前記加熱処理の前に、前記発泡剤含有樹脂層及び/又は非発泡樹脂層Aに電子線照射を行ってもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射することにより、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分を架橋できるため、発泡程度を制御することができる。また、非発泡樹脂層Aに電子線を照射することにより、発泡壁紙の耐傷性等を向上させることができる。」 (1c) 「【0105】 実施例1 非発泡樹脂層Aを形成するために、EMAA(製品名「ニュクレルN1560」、MFR:60g/10分、MA含有量:15重量%、三井・デュポンポリケミカル製)を100重量部用意した。 【0106】 非発泡樹脂層Bを形成するために、EVA(製品名「エバフレックスEV150」、MFR:30g/10分、VA含有量:33重量%、三井・デュポンポリケミカル製)を100重量部用意した。 発泡剤含有樹脂層を形成するために、下記表1に記載の成分を含む組成物を用意した。」 (1d) 「【0108】 上記樹脂および樹脂含有組成物を溶融し、Tダイ押出し機を用いて、3層同時押出し積層することにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bからなる積層体を得た。非発泡樹脂層A、発泡剤含有樹脂層および非発泡樹脂層Bの厚みについては、それぞれ10μm、100μmおよび10μmとした。なお、このTダイ押出し機において、非発泡樹脂層Aを形成するためのEMAAの入ったシリンダー、非発泡樹脂層Bを形成するためのEVAの入ったシリンダーおよび発泡剤含有樹脂層を形成するための表1の各成分の入ったシリンダーの温度は、それぞれ140℃、100℃および120℃とした。また、ダイス温度は、すべて120℃とした。 【0109】 得られた積層体を厚み110μmの紙質基材(坪量70g)に、紙質基材と非発泡樹脂層Bとが接触するよう加圧・積層した。なお、加圧・積層前に予め、紙質基材表面を120℃で10秒間加熱した。」 (1e) 「【0110】 次いで、グラビア印刷により、プライマー剤を非発泡樹脂層A上に2g/m2塗布することにより厚み約1μmのプライマー層を形成した。前記プライマー剤としては、アクリル樹脂およびウレタン樹脂を重量比10:1の割合で水に分散させてなるエマルションである。 さらに、前記プライマー層上に水性インキ(製品名「ハイドリック」大日精化工業製)を用いて布目模様(絵柄模様層)を印刷した。前記絵柄模様層の厚みは、1μmであった。 【0111】 そして、前記絵柄模様層上に、水性エマルション組成物をグラビア印刷することにより表面保護層を形成させた。前記水性エマルションは、アクリル系樹脂を水中に分散させたものであり(アクリル樹脂含有量:22重量%)、スチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液(商品名「VERSA-TL YE920」アクゾノーベル製)を前記アクリル系樹脂固形分100重量部に対して23重量部添加したものである。」 (1f) 「【0112】 得られた積層体をギアオーブン中、220℃で30秒間加熱した。これにより、発泡剤が分解し、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とした。発泡倍率は5倍であり、発泡樹脂層の厚みは500μmであった。」 (1g) 「【0113】 さらに、発泡体のおもて側にエンボス加工を施して、布目模様パターンを賦型した。 【0114】 以上の過程を経て、発泡壁紙を作製した。」 (1h) 【0107】の【表1】には、「成分」として、「EVA」、「炭酸カルシウム」、「二酸化チタン」、「発泡剤」、「安定剤」及び「架橋助剤」が記載され、それらの各「成分」について、「含有量(重量部)」が、それぞれ、「100」、「30」、「25」、「4」、「5」及び「1」と記載されている。 イ 刊行物1に記載された発明 (ア) 段落【0112】(摘記(1f))に記載の「得られた積層体」は、段落【0105】~【0111】(摘記(1c)~(1e))に記載された各工程を経て得られた積層体であると認められる。 (イ) 段落【0105】~【0114】(摘記(1c)~(1h))の記載は、実施例1についての説明であり、段落【0114】(摘記(1g))に「以上の過程を経て、発泡壁紙を作製した。」と記載されているから、段落【0105】~【0114】(摘記(1c)~(1h))には、発泡壁紙を作製する工程を順に有する、発泡壁紙の製造方法が記載されていると認められる。 (ウ) 上記(ア)及び(イ)並びに摘記(1a)~(1h)を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 [引用発明] 「非発泡樹脂層Aを形成するために、EMAAを100重量部用意し、非発泡樹脂層Bを形成するために、EVAを100重量部用意し、発泡剤含有樹脂層を形成するために、EVA100重量部、炭酸カルシウム30重量部、二酸化チタン25重量部、発泡剤4重量部、安定剤5重量部及び架橋助剤1重量部の成分を含む組成物を用意し、これらを溶融し、押出し機を用いて、3層同時押出し積層することにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bからなる積層体を得、得られた積層体を紙質基材に、紙質基材と非発泡樹脂層Bとが接触するよう加圧・積層した工程A、 グラビア印刷により、プライマー剤を非発泡樹脂層A上に塗布することによりプライマー層を形成した工程B1、前記プライマー層上に絵柄模様層を印刷した工程B2、前記絵柄模様層上に、アクリル系樹脂を水中に分散させたものでありスチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液を添加したものである水性エマルション組成物をグラビア印刷することにより表面保護層を形成させた工程B3、 上記各工程を経て得られた積層体を220℃で30秒間加熱し、発泡剤が分解し、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とし、発泡樹脂層の厚みは500μmであった工程C、 を順に有する、発泡壁紙の製造方法。」 なお、各工程に付されたA~Cの符号は、便宜上、当審が付したものである。 (2)刊行物2に記載された事項 刊行物2には、次の事項が記載されている。 (2a) 「【0036】 ・・・ 2.化粧シートの製造方法 本発明の化粧シートの製造方法は限定されないが、着色ポリオレフィン発泡樹脂層は、例えば、顔料、ポリオレフィン樹脂及び熱分解型発泡剤を含む発泡剤含有樹脂層を形成後(又は形成と同時に)、加熱により発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより形成することが好ましい。」 (2b) 「【0041】 発泡剤含有樹脂層又は上記3層の積層体を形成後は、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。なお、装飾層、透明性樹脂層及び表面保護層の形成は、発泡樹脂層の形成後でも可能であるが、一般に発泡工程の前に装飾層及び表面保護層を予め形成することが好ましい。加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により発泡樹脂層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は230~240℃程度が好ましく、加熱時間は30~80秒程度が好ましい。」 (2c) 「【0042】 前記加熱処理の前に、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋できるため、化粧シートの表面強度、発泡程度等を制御することができる。電子線のエネルギーは、150~250kV程度が好ましい。照射量は、1~7Mrad程度が好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、架橋は、化学架橋剤(架橋剤又は架橋助剤ともいう。)を用いて実施することもできる。」 (3)刊行物3に記載された事項 刊行物3には、図面とともに次の事項が記載されている。 (3a) 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、建築物の内壁面を装飾するための壁紙やカーテン等に用いられる内装素材に関し、特にエンボス加工が施されていると共にインクジェットプリントによって絵柄がプリントされている、インクジェットプリント済みエンボス加工内装素材に関する。」 (3b) 「【0016】この図1(e)に示される壁紙34の作成方法について図1(a)~(e)を参照して説明する。図1(a)は発泡前のインクジェット壁紙素材30を示している。」 (3c) 「【0034】図1(b)は前記発泡前のインクジェット壁紙素材30をオーブン等の加熱装置内で180℃から230℃の温度に数十秒から2分程度の間、加熱することにより未発泡熱可塑性樹脂層14を発泡させ発泡済み熱可塑性樹脂層20とした、発泡済みエンボス加工前のインクジェット壁紙素材31を示している。この加熱によって未発泡熱可塑性樹脂14は3~5倍程度の厚さの発泡樹脂層20となる。図1(c)は前記発泡済みエンボス加工前のインクジェット壁紙素材31を加熱したエンボスロールを押し当てて、エンボスパターンを転写したエンボス加工済み熱可塑性樹脂層21と、エンボスパターンに沿って変形したインクジェットインク受容層19を有する、エンボス加工済みインクジェットプリント前のインクジェット壁紙素材32を示している。」 (3d) 「【0035】・・・図1(d) は、前記エンボス加工済みインクジェットプリント前のインクジェット壁紙素材32に対して、インクジェットプリントを行い、プリントされた絵柄18を有するインクジェットプリント済みエンボス加工壁紙素材33を示している。そしてこのインクジェットプリント済みエンボス加工壁紙素材33のインクジェットインク受容層19とインクジェットインクによる絵柄18を覆う様に、透明の表面被覆層22を設けたのが、図1(e)に示すインクジェットプリント済みエンボス加工壁紙34である。以下、この透明の表面被覆層22について説明する。・・・特に好ましいのは液状のコーティング剤を被着させる方法である。コーティング溶液であれば、エンボス加工の細かい襞の中にも良く馴染んで付着させる事が出来る。・・・コーティング溶液としては壁紙に要求される性能、品質等に応じて様々なものが考えられる。・・・」 (3e) 「【0036】これらのコーティング溶液によってコーティングを施すことによってインクジェットインク受容層及びインクによる絵柄の耐擦過強度が向上し、また樹脂を選ぶことによって撥水性を付与する事が出来る。 ・・・ (汚れ防止性)又、汚れ防止性はコーティング層の電気抵抗を下げて帯電を防止することによって達成される。帯電防止の一手段として、表面に湿気含有膜を形成することが出来る界面活性剤をコーティングすること、或いは樹脂系のコーティング溶液中に界面活性剤を含有させることが有効である。」 2 対比・判断 (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア (ア) 引用発明の「発泡剤含有樹脂層」及び「EVA」は、それぞれ、本願発明1の「発泡剤含有樹脂層」及び「樹脂成分」に相当する。 引用発明の「炭酸カルシウム」及び「二酸化チタン」は、本願発明1の「無機粒子」に相当する。 引用発明の「紙質基材」は、本願発明1の「基材」に相当する。 (イ) 引用発明の、「発泡剤含有樹脂層を形成するために、EVA100重量部、炭酸カルシウム30重量部、二酸化チタン25重量部、発泡剤4重量部、安定剤5重量部及び架橋助剤1重量部の成分を含む組成物を用意し」て、「形成」された「発泡剤含有樹脂層」は、「発泡剤含有樹脂層」中に、当該各「成分」が含有されるものであり、「発泡剤含有樹脂層」中の「炭酸カルシウム」及び「二酸化チタン」の含有量が、「EVA100重量部」に対して55重量部となる。 したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「発泡剤含有樹脂層」は、本願発明1の「前記発泡剤含有樹脂層中の無機粒子の含有量が、前記発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分100質量部に対して35質量部以上70質量部未満であ」る「発泡剤含有樹脂層」に相当する。 (ウ) 引用発明の「非発泡樹脂層Aを形成するために、EMAAを100重量部用意し、非発泡樹脂層Bを形成するために、EVAを100重量部用意し、発泡剤含有樹脂層を形成するために、EVA100重量部、炭酸カルシウム30重量部、二酸化チタン25重量部、発泡剤4重量部、安定剤5重量部及び架橋助剤1重量部の成分を含む組成物を用意し、これらを溶融し、押出し機を用いて、3層同時押出し積層することにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bからなる積層体を得、得られた積層体を紙質基材に、紙質基材と非発泡樹脂層Bとが接触するよう加圧・積層した工程A」は、「発泡壁紙」の製造工程の1つの工程であり、「3層同時押出し積層することにより」「得られた積層体を紙質基材に」「加圧・積層した工程」であるから、積層シートの態様をとる工程であるといえること、及び、上記(ア)及び(イ)を踏まえると、本願発明1の「基材上に、無機粒子を含有する発泡剤含有樹脂層を積層した積層シートを用意する工程1」に相当する。 イ (ア) 引用発明の「スチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)」(特開昭59-172136号公報の2頁左上欄~同頁右上欄等も参照)は、本願発明1の「帯電防止剤」及び「界面活性剤型帯電防止剤」に相当する。 (イ) 引用発明の「アクリル系樹脂を水中に分散させたものでありスチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液を添加したものである水性エマルション組成物」及び「グラビア印刷すること」は、それぞれ、本願発明1の「帯電防止剤を含有する樹脂組成物」及び「塗工すること」に相当する。 (ウ) 引用発明の「表面保護層」は、「アクリル系樹脂を水中に分散させたものでありスチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液を添加したものである水性エマルション組成物をグラビア印刷することにより」「形成さ」れている。 したがって、上記(ア)を踏まえると、引用発明の「表面保護層」は、本願発明1の「帯電防止剤含有樹脂層」に相当する。 (エ) 上記(イ)及び(ウ)を踏まえると、引用発明の「アクリル系樹脂を水中に分散させたものでありスチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液を添加したものである水性エマルション組成物をグラビア印刷することにより表面保護層を形成させた」ことは、本願発明1の「帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する」ことに相当する。 (オ) 上記(エ)を踏まえると、引用発明の「グラビア印刷により、プライマー剤を非発泡樹脂層A上に塗布することによりプライマー層を形成した工程B1、前記プライマー層上に絵柄模様層を印刷した工程B2、前記絵柄模様層上に、アクリル系樹脂を水中に分散させたものでありスチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液を添加したものである水性エマルション組成物をグラビア印刷することにより表面保護層を形成させた工程B3」(以下、工程B1~B3をまとめて、「工程B」ともいう。)と、本願発明1の「前記発泡樹脂層の上に、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4」とは、「帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程」(以下、当該「工程」を、「工程4’」という。)の限りで共通する。 ウ (ア) 引用発明の「発泡樹脂層の厚みは500μmであった」構成は、本願発明1の「発泡樹脂層の厚さは300~700μmである」構成に相当する。 (イ) 引用発明の「上記各工程を経て得られた積層体を220℃で30秒間加熱し、発泡剤が分解し、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とし」た「工程C」は、本願発明1の「前記発泡剤含有樹脂層を210℃以上の過熱温度で発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3」に相当する。 エ 上記ア~ウを踏まえると、引用発明の「発泡壁紙」は、各行程を有することでシート状に積層されたものといえることから、本願発明1の「発泡積層シート」に相当する。 オ 上記ア~エを踏まえると、引用発明の「工程A」、「工程B」、「工程C」、「を順に有する、発泡壁紙の製造方法」は、本願発明1の「基材上に、少なくとも無機粒子を含有する発泡樹脂層、及び帯電防止剤含有樹脂層が順に積層されている発泡積層シートの製造方法」に相当する。 以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「基材上に、少なくとも無機粒子を含有する発泡樹脂層、及び帯電防止剤含有樹脂層が順に積層されている発泡積層シートの製造方法であって、 (1)前記製造方法は、以下の工程1、3及び4’: (i)基材上に、無機粒子を含有する発泡剤含有樹脂層を積層した積層シートを用意する工程1、 (iii)前記発泡剤含有樹脂層を210℃以上の過熱温度で過熱して発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3、 及び (iv)帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4’、 を有し、 (2)前記発泡剤含有樹脂層中の無機粒子の含有量が、前記発泡剤含有樹脂層に含まれる樹脂成分100質量部に対して35質量部以上70質量部未満であり、 (3)前記帯電防止剤が界面活性剤型帯電防止剤であり、 (4)前記発泡樹脂層の厚さは300~700μmである、 発泡積層シートの製造方法。」 <相違点> 本願発明1は、 「(1)前記製造方法は、以下の工程1~4: (i)基材上に、無機粒子を含有する発泡剤含有樹脂層を積層した積層シートを用意する工程1、 (ii)前記発泡剤含有樹脂層に対して電子線を照射する工程2、 (iii)前記発泡剤含有樹脂層を210℃以上の加熱温度で加熱して発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3、 及び (iv)前記発泡樹脂層の上に、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4、 を順に有し」ているのに対して、 引用発明は、 「非発泡樹脂層Aを形成するために、EMAAを100重量部用意し、非発泡樹脂層Bを形成するために、EVAを100重量部用意し、発泡剤含有樹脂層を形成するために、EVA100重量部、炭酸カルシウム30重量部、二酸化チタン25重量部、発泡剤4重量部、安定剤5重量部及び架橋助剤1重量部の成分を含む組成物を用意し、これらを溶融し、押出し機を用いて、3層同時押出し積層することにより、非発泡樹脂層A/発泡剤含有樹脂層/非発泡樹脂層Bからなる積層体を得、得られた積層体を紙質基材に、紙質基材と非発泡樹脂層Bとが接触するよう加圧・積層した工程A、 グラビア印刷により、プライマー剤を非発泡樹脂層A上に塗布することによりプライマー層を形成した工程B1、前記プライマー層上に絵柄模様層を印刷した工程B2、前記絵柄模様層上に、アクリル系樹脂を水中に分散させたものでありスチレンスルホン酸塩-マレイン酸塩共重合体(帯電防止剤)を溶解させた水溶液を添加したものである水性エマルション組成物をグラビア印刷することにより表面保護層を形成させた工程B3、 上記各工程を経て得られた積層体を220℃で30秒間加熱し、発泡剤が分解し、発泡剤含有樹脂層を発泡樹脂層とし、発泡樹脂層の厚みは500μmであった工程C、 を順に有」し、 「(ii)前記発泡剤含有樹脂層に対して電子線を照射する工程2」が、特定されていない点。 (2)判断 以下、相違点について検討する。 ア 刊行物1(摘記(1b))には、「前記加熱処理の前に、前記発泡剤含有樹脂層及び/又は非発泡樹脂層Aに電子線照射を行ってもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射することにより、発泡剤含有樹脂層の樹脂成分を架橋できるため、発泡程度を制御することができる。」(以下、「技術事項1」という。)と記載されているところ、発泡剤含有樹脂層に電子線を照射するためには、「電子線照射を行」う前に「発泡剤含有樹脂層」が用意されている必要があるから、技術事項1は、工程の順序が、発泡剤含有樹脂層を用意する工程、電子線照射の工程、加熱処理の順となることを意味しているといえる。 したがって、技術事項1を引用発明に適用し、引用発明において、工程の順序として、工程A(本願発明1の「基材上に、無機粒子を含有する発泡剤含有樹脂層を積層した積層シートを用意する工程1」に相当。以下、同様に( )内は、上記(1)の対比で示した、本願発明1の対応する工程を示す。)よりも後、かつ、工程C(前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3)より前で、前記発泡剤含有樹脂層に対して電子線を照射する工程2を行うこと(以下、「工程2の順序」という。)、すなわち、引用発明において、工程2の順序を採用した具体的な工程の順序として、工程A(工程1)、工程B(工程4’)、工程2、工程C(工程3)を順に有する、あるいは、工程A(工程1)、工程2、工程B(工程4’)、工程C(工程3)を順に有するようにすることは、当業者が適宜になし得たものである。 イ (ア) 刊行物2には、「化粧シートの製造方法」(摘記(2a))に関して、「発泡剤含有樹脂層又は上記3層の積層体を形成後は、発泡剤含有樹脂層を加熱することにより発泡樹脂層を形成する。」及び「表面保護層の形成は、発泡樹脂層の形成後でも可能であるが、一般に発泡工程の前に」「表面保護層を予め形成することが好ましい。」(摘記(2b))と記載されているところ、当該記載は、表面保護層を形成する工程、及び、加熱することにより発泡させ発泡樹脂層を形成する工程の順序に関して、表面保護層を形成する工程、加熱することにより発泡させ発泡樹脂層を形成する工程の順とすることは、好ましいことであるといえるが、これとは逆の、加熱することにより発泡させ発泡樹脂層を形成する工程、表面保護層を形成する工程の順とすることも可能である旨が示されているものであり、いずれの順の態様もとり得るものであることが示唆されているといえる。 (イ) そして、刊行物2には、「前記加熱処理の前に、電子線照射を行ってもよい。これにより樹脂成分を架橋できるため、化粧シートの表面強度、発泡程度等を制御することができる。」(摘記(2c))と記載されていることから、電子線照射について記載がない上記(ア)の態様は、電子線照射を行ってもよいものであり、発泡剤含有樹脂層又は上記3層の積層体を形成する工程、表面保護層を形成する工程、電子線照射の工程、過熱して発泡させる工程の順が好ましいといえるが、発泡剤含有樹脂層又は上記3層の積層体を形成する工程、電子線照射の工程、過熱して発泡させる工程、表面保護層を形成する工程の順であってもよい(以下、「技術事項2」という。)といえる。 ウ また、刊行物3の、「建築物の内壁面を装飾するための壁紙に用いられる内装素材に関し」(摘記(3a))、「加熱することにより未発泡熱可塑性樹脂層14を発泡させ発泡済み熱可塑性樹脂層20とした、発泡済み・・・壁紙素材31」(摘記(3c))、その壁紙素材31の上に「透明の表面被覆層22を設けた」(摘記(3d))、「この透明の表面被覆層22について説明する。」(摘記(3d))、「汚れ防止性はコーティング層の電気抵抗を下げて帯電を防止することによって達成される。」(摘記(3e))、「帯電防止の一手段として、・・・樹脂系のコーティング溶液中に界面活性剤を含有させることが有効である。」(摘記(3e))という記載、及び、図1(a)~(e)を参照すると、刊行物3には、建築物の内壁面を装飾するための壁紙に用いられる内装素材の製造工程において、本願発明1のように、発泡剤含有樹脂層を過熱して発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3、前記発泡樹脂層の上に、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4を順に有する技術(以下、「技術事項3」という。)が示されているといえる。 エ 引用発明の工程B(工程4’)は、上記(1)イ(ウ)~(オ)で述べたとおり、表面保護層である帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程といえるところ、上記アで述べたとおり、技術事項1を引用発明に適用し、引用発明において、電子線照射すなわち本願発明1の工程2を行って、上記アで述べた「工程2の順序」となるようにし、さらに、上記イ及びウ、特に上記イ(イ)で述べた、技術事項2及び3を引用発明に適用し、その「工程2の順序」、すなわち、上記アで述べた工程2の順序を採用した具体的な工程の順序において、工程B(帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4’)と工程C(前記発泡剤含有樹脂層を210℃以上の過熱温度で過熱して発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3)との順序を入れ替えて、工程C(工程3)、工程B3を備える工程B(工程4’)を順に有するようにすること、すなわち、本願発明1の(iii)前記発泡剤含有樹脂層を210℃以上の過熱温度で過熱して発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3、(iv)前記発泡樹脂層の上に、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4、を順に有するようにすることで、工程A(工程1)、工程2、工程C(工程3)、その工程C(工程3)で形成された発泡樹脂層の上に、工程B3を備える工程B(工程4’)を行うこと、すなわち、工程4を順に有するようにして、上記相違点に係る本願発明1の構成を想到することは、当業者にとって格別に困難なことではない。 オ 以下、作用効果について検討する。 (ア) 上記エで述べたとおり、引用発明において、工程A(工程1)、工程2、工程C(工程3)を順に有するように構成するから、工程2の電子線照射により、「発泡剤含有樹脂層の樹脂成分を架橋できるため、発泡程度を制御することができる」(摘記(1b)の段落【0095】、摘記(2c))ようになり、平滑性を有する発泡樹脂層表面が得られるといえるし、また、引用発明において、工程C(工程3)で形成された発泡樹脂層の上に、行程B3を備える工程B(工程4’)を行うこと、すなわち、工程C(工程3)、工程4を順に有するように構成するから、工程C(工程3)で発生する熱によって耐電防止剤が失活してしまうことはなく、本願発明1の作用効果(本願の明細書の段落【0077】)と同様の作用効果が奏されるようになるといえる。 (イ) 平成29年12月5日に提出された意見書における、「上述の効果は、本願明細書の実施例及び比較例の結果から明らかです。本願発明(請求項1)の構成を備える製造方法により製造された本願実施例1及び2の発泡積層シートは([0080]~[0089])、発泡剤含有樹脂層を220℃で加熱し、580μmの厚みの発泡積層体とした場合であっても([0086])、表面抵抗値評価がB評価となっており、且つ、凹凸意匠性の評価がA評価となっており、これらの特性に優れることが確認されています([0105](表2))。」という、審判請求人の主張等も参照すると、本願の絵柄模様層を備えない実施例1も絵柄模様層を備える実施例2も、本願発明1に該当していることは明らかであり、引用発明を、上記エとした場合に、これらの実施例と同様の作用効果が奏されることは、上記(ア)で述べたとおりである。 カ 以上から、本願発明1は、引用発明及び刊行物1ないし3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 3 平成29年12月5日に提出された意見書について (1)上記意見書における審判請求人の主張の概要 上記意見書において、審判請求人は、 「刊行物2の[0041]には、審判官殿もご指摘のように、「装飾層、発泡樹脂層及び表面保護層の形成は、発泡樹脂層の形成後でも可能である」ことが記載されていますが、同段落には、『発泡工程の前に装飾層及び表面保護層を予め形成することが好ましい』ことが記載されています。 また、刊行物2では、実施例においても具体的に、発泡剤含有樹脂層上に装飾層、透明性樹脂層(ポリプロピレン樹脂)、表面保護層を設けた後に、発泡剤含有樹脂層を発泡させたことが記載されているに過ぎません(刊行物2の[0053])。 更に、刊行物2には、表面保護層が帯電防止剤を含有する構成については記載も示唆もされていません。 そうすると、このような記載に接した当業者にとって、本願発明のように、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより発泡樹脂層を形成する工程3の後に、当該発泡樹脂層の上に、帯電防止剤を含有する樹脂組成物を塗工することにより帯電防止剤含有樹脂層を形成する工程4を行う構成とすることには、動機付けが無いというべきです。」(以下、「主張1」という。)、 「また、刊行物1~4には、発泡剤含有樹脂層の表面に帯電防止剤含有樹脂組成物を塗工した後、加熱処理によって発泡剤含有樹脂層を発泡させると、熱によって帯電防止剤が失活(帯電防止機能の失活)してしまうということ、帯電防止剤の失活を防ぐために、先に発泡剤含有樹脂層を発泡させると、発泡剤含有樹脂層に含まれる無機粒子が原因で発泡倍率にばらつきが生じ、表面の平滑性が低い発泡樹脂層が形成されるため、その表面に均一な厚みの界面活性剤型帯電防止剤含有樹脂層を形成することは困難であること、その結果、製造した帯電防止用発泡積層シートは、表面抵抗値が高く、所望の帯電防止効果を得ることができないことについては記載も示唆もされていません(本願明細書[0005]、[0006])。」(以下、「主張2」という。)、 「その上、刊行物1~4には、本願発明の上述の構成を備える製造方法とすることにより、工程2で特定量の無機粒子を含む発泡剤含有樹脂層に対して電子線照射を行うので、工程3において発泡剤含有樹脂層を210℃以上の高い温度で加熱して、十分に発泡させて発泡樹脂層の厚みを300~700μmとした場合であっても、高い平滑性を有する発泡樹脂層表面が得られるため、工程4で均一な厚みの帯電防止剤含有樹脂層を形成することができ、その結果、基材上に、無機粒子を含有する発泡樹脂層、及び帯電防止剤含有樹脂層を形成した場合でも、帯電防止性能及び意匠性に優れた発泡積層シートが得られるとの技術思想は、記載も示唆もされていません。」(以下、「主張3」という。)と主張する。 (2)主張1について 引用発明と刊行物2に記載された技術事項とは、建築物の内装用の壁紙(化粧シート)という同様の技術分野に属し(刊行物1の段落【0002】及び刊行物2の段落【0001】)、発泡剤含有樹脂層を積層した積層シートと表面保護層とを有し、過熱して発泡させるという主要な構成も、ほぼ同様のものであるといえること(引用発明及び摘記(2b))、さらには、刊行物1及び2には、電子線照射についても示唆がある(摘記(1b)及び(2c))から、刊行物2に記載された技術事項2(上記2(2)イ(イ))を引用発明に適用する動機付けは充分にあるといえる。 そして、引用発明は、壁紙の保護表面層が帯電防止剤を含有する構成を備えているところ、当該構成を備えることは、周知技術といえるから(摘記(3d)及び(3e))、刊行物2の化粧シートの保護表面層に帯電防止剤を含有する構成が明記されていないというだけで、刊行物2に記載された保護表面層の工程に係る技術事項2を引用発明に適用する動機付が無いとまではいえない。 また、刊行物2に記載された記載事項に関しての判断は、上記2(2)イで述べたとおりであり、必ずしも好ましい実施例、例えば、刊行物2の段落【0044】に記載の実施例などにする必要はなく、この「好ましい」旨が、上記適用の阻害要因となるものではない。 したがって、適用に係る主張1は、採用できない。 (3)主張2について 上記2(2)エで述べたとおり、刊行物1ないし3に記載された技術事項を引用発明に適用することで、発泡剤含有樹脂層に対して電子線を照射して過熱して発泡させた後に帯電防止剤含有樹脂層を形成することになるから、上記2(2)オ(ア)で述べたとおりの作用効果を奏し、上記主張2は採用できない。 (4)主張3について 上記2(2)オ(ア)で述べたとおり、発泡剤含有樹脂層に対して電子線照射を行ってから発泡させれば、平滑性を有する発泡樹脂層表面が得られるといえるところ、発泡剤含有樹脂層に関して、引用発明も、本願発明1と同様の構成及び工程、すなわち、発泡剤含有樹脂層に特定量の無機粒子を含むものであり、発泡剤含有樹脂層を210℃以上の高い温度220℃で30秒間加熱し、十分に発泡させて発泡樹脂層の厚みを500μmとしている構成及び工程を有するから、上記2(2)エで述べたとおり、その発泡剤含有樹脂層に対して電子線照射を行えば、本願発明1と同様に、より高い平滑性を有する発泡樹脂層表面が得られ、その上に、均一な厚みの帯電防止剤含有樹脂層を形成することができ、帯電防止性能及び意匠性に優れた発泡積層シートが得られるといえるから、主張3も採用できない。 第5 むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び刊行物1ないし3に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-019581

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