特許拒絶査定不服審判
2016-018307
タッチ入力装置
- 審判番号
- 2016-018307
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-088212外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月06日
- 審決日
- 2017年06月12日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】富士通コンポーネント株式会社
- 【請求人代理人】片山 修平
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .575-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012- 88212「タッチ入力装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月24日出願公開、特開2013-218515、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年4月9日の出願であって、平成28年3月24日付けで拒絶理由が通知され、平成28年5月27日付けで手続補正がされ、平成28年8月31日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年12月6日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年2月14日に前置報告がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年8月31日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2009-258946号公報
2.特開2009-181407号公報
3.特開2002-244809号公報
第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成28年12月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
上方に膨らみ平坦部を含まない一体の膨出部を有し、対象物が前記膨出部をタッチしたタッチ座標を認識するタッチ面と、
前記タッチ面内の第1方向を、出力座標の第1方向として前記出力座標に関する情報を出力する制御部と、
を具備し、
前記タッチ面は、前記対象物が前記膨出部内の前記タッチ面のみをタッチしたとき前記膨出部内のタッチ座標を認識し、
前記膨出部は、前記タッチ面内の第1方向と前記タッチ面内の前記第1方向に交差する前記タッチ面内の第2方向とを認識できるように前記膨出部の前記第1方向の幅および高さの少なくとも一方を前記第2方向において変化させたことを特徴とするタッチ入力装置。
【請求項2】
前記膨出部は、前記タッチ面内の第1方向に延伸したいずれの軸に対しても非対称であることを特徴とする請求項1記載のタッチ入力装置。
【請求項3】
前記膨出部は、前記タッチ面内の第1方向に直交する前記第2方向に延伸する軸に対し対称であることを特徴とする請求項2記載のタッチ入力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記タッチ座標が前記タッチ面の第2方向のいずれの位置かにより、前記出力座標の第1方向の移動量を変化させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のタッチ入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記タッチ座標の位置が前記第2方向の一方向に行くに従い前記移動量を大きくすることを特徴とする請求項4記載のタッチ入力装置。
【請求項6】
前記一方向に行くに従い前記膨出部の前記第1方向の幅が狭いことを特徴とする請求項5記載のタッチ入力装置。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0013】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
図1はこの発明による静電容量式タッチセンサの一実施例の構成を示したものである。センサ基板11上には4つのセンサ電極12(121~124)が2行2列に配置されて形成されており、この例ではこれらセンサ電極121~124はそれぞれ中心角90°の扇形をなすものとされ、一つの円形領域内に配列されて配置されている。
【0014】
センサ基板11のセンサ電極121~124上には絶縁層13が配置され、この絶縁層13の上面(センサ基板11と反対側の面)13aがタッチ操作される操作面とされる。絶縁層13の上面13aには半球状の突起をなす操作基準14が設けられており、操作基準14は4つのセンサ電極121~124の中心に位置するように配置されている。なお、4つのセンサ電極121~124はそれぞれ配線15を介して制御部16に接続されている。
【0015】
センサ基板11はPWBやFPC、メンブレン印刷配線板等によって構成され、センサ電極121~124はセンサ基板11がPWBやFPCの場合には銅箔等で形成され、メンブレン印刷配線板の場合には銀インクやITOなどの透明抵抗体等で形成される。
【0016】
絶縁層13はこの静電容量式タッチセンサ10が小型携帯機器等の筐体に配置される場合はその筐体に相当し、構成材はポリカーボネートやABS、アクリル等の樹脂やガラス等、筐体の仕様に応じた仕様となる。このような絶縁層13に対するセンサ基板11の固定は例えば両面テープ(図示せず)を用いてセンサ基板11を絶縁層13に貼り付けることによって行うことができる。また、例えば図示しない構造物によりセンサ基板11の裏面から絶縁層13に押し付けるようにして固定することもできる。
【0017】
半球状をなす操作基準14の大きさは例えば径がφ1mm~φ2mm程度とされ、高さは0.3mm~0.5mm程度とされる。
制御部16は図示を省略しているが、スイッチ部と静電容量検出部とデータ処理部からなるものとされる。スイッチ部はセンサ電極12の中から1つ以上のセンサ電極12を選択し、静電容量検出部に接続する。静電容量検出部は接続されたセンサ電極12と指の間の静電容量を検出し、静電容量を示す情報を出力する。この出力はデータ処理部に送られ、適当なデジタル値に変換されて、図示しないホストコンピュータに送られる。
【0018】
静電容量検出部には特に制限はなく、発振回路、論理演算回路による遅延測定、チャージアンプ、スイッチトキャパシタ回路等、各種公知の技術が適用できる。データ処理部はデジタル回路で構成してもよいし、マイコン等のCPUで構成してもよい。データ処理部からホストコンピュータに渡すデータは静電容量をデジタル変換した値(生データ)でもよいし、ホスト側のアプリケーションに適した形に変換したデータでもよい。
【0019】
図2は上記のような構成を有する静電容量式タッチセンサ10に対する4方向操作の例を示したものであり、図中、21は指を示す。
図2(a)は静電容量式タッチセンサ10の上をタッチした場合、図2(b)は下をタッチした場合の正面図及び側面図をそれぞれ示したものであり、図2(c)は左をタッチした場合、図2(d)は右をタッチした場合の正面図をそれぞれ示したものである。
【0020】
突起状の操作基準14の存在により、指21がどの位置を触れているかが触覚によりわかる。また、操作基準14を起点にして操作することにより、指21が静電容量式タッチセンサ10のセンサ領域から外れることがない。なお、操作基準14は十分に小さいので、操作の妨げにならず、センサ感度も犠牲になることはない。」(段落【0013】-【0020】。下線は当審で付した。以下同様。)
(2)「【0032】
次に、加重平均法によるタッチ座標から、4つ以上のタッチ位置を判別する方法を説明する。
まず、従来の2次元平面内のタッチ座標を加重平均法により求める方法について図8を参照して説明する。
センサ電極は図8(a)に示したように、x座標検出電極X1,X2,…,Xn、y座標検出電極Y1,Y2,…,Ynを略直交配置させて形成される。x座標検出電極とy座標検出電極は互いに独立している。これら電極の数は操作領域に合わせて適宜選択される。
【0033】
各x座標検出電極の座標をxk(k=1~n)、出力をDk(k=1~n)とすると、タッチ位置のx座標は下記(1)式で表される。
【数1】
y座標も同様にして算出することができ、ノートパソコンに搭載されているタッチパッドでは、このようにして求めたタッチ位置のx座標とy座標により、マウスカーソルの移動を制御している。
【0034】
次に、この発明による静電容量式タッチセンサ10における加重平均法を図9を参照して説明する。
各センサ電極121~124からの出力を図9(a)中に示したようにS1~S4とする。出力S1~S4は指がオーバーラップする面積に比例して変化する。
この例ではx座標検出フェーズ(Phase1)、y座標検出フェーズ(Phase2)に分けて、x座標とy座標を検出する。なお、Phase1とPhase2は時分割して交互に行う。
【0035】
Phase1では図9(b)に示したように、左側の2つのセンサ電極121,123を合わせてX1電極(座標はx1)とし、右側の2つのセンサ電極122,124を合わせてX2電極(座標はx2)とする。
Phase2では図9(c)に示したように、上側の2つのセンサ電極121,122を合わせてY1電極(座標はy1)とし、下側の2つのセンサ電極123,124を合わせてY2電極(座標はy2)とする。
【0036】
・x座標の算出(Phase1)
X1電極の出力は2つのセンサ電極121,123の出力の和S1+S3となり、X2電極の出力は2つのセンサ電極122,124の出力の和S2+S4となる。加重平均法によるx座標は下記(2)式で表される。
【数2】
・y座標の算出(Phase2)
Y1電極の出力は2つのセンサ電極121,122の出力の和S1+S2となり、Y2電極の出力は2つのセンサ電極123,124の出力の和S3+S4となる。加重平均法によるy座標は下記(3)式で表される。
【数3】
上記のようにしてタッチ位置のx座標とy座標が求められる。
【0037】
ここで、上記の加重平均法による座標算出を具体的数値例を用いて説明する。
図10(a)はタッチする指21とセンサ電極121~124の位置関係の一例を示したものである。また、図10(b)におけるハッチング部はセンサ電極121~124と指21が対向している部分を示し、各センサ電極121~124に関連付けられた数値([ ]内の数値)は、各センサ電極121~124と指21が対向している面積を表す。これらの数値は出力の大きさを意味する。なお、この例では便宜上、1つのセンサ電極に完全にタッチした時の出力を10としている。
【0038】
X1電極の座標x1を0、X2電極の座標x2を1とし、Y1電極の座標y1を0、Y2電極の座標y2を1とする。加重平均法によりタッチ座標を計算すると、x座標、y座標ともに、0から1の値をとり得ることになり、中心を触ると0.5となる。
上記の数値を用い、前述の(2)式、(3)式に当てはめると、
【数4】
となる。この数値から指21の重心座標が静電容量式タッチセンサ10の左下寄りに位置していることがわかる。このようにして求めたx座標とy座標により、タッチ位置を判別することができる。」(段落【0032】-【0038】)
(3)「【0041】
図11(a),(b)はセンサ電極121~124の他の形状及び配置例を示したものである。円形領域内に4つ配置する構成に限らず、長方形や楕円形領域内に4つ配置する構成としてもよく、センシング領域の形状は用途に応じて適宜、決定される。
図12(a),(b)は操作基準14の他の形状例を示したものであり、操作基準14は半球状の突起(平面形状が円形をなす突起)に限らず、これら長円形や紡錘形の平面形状をなす突起とすることもできる。」(段落【0041】)
上記(3)によれば、操作基準14は紡錘形の平面形状をなす突起とすることができ、また、引用文献1の図12(b)によれば、当該操作基準14は、平坦部を含んでおらず、一体の形状をなしており、その短手方向の幅(図12(b)の左図の紙面左右方向)は、長手方向(同上下方向)において変化しており、さらに、その高さ(図12(b)の右図の紙面左右方向)もまた、前記長手方向において変化しているといえる。
以上を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「センサ基板11と、
センサ基板11上に2行2列に配置されて形成され、それぞれ中心角90°の扇形をなすものとされ、一つの円形領域内に配列されて配置された4つのセンサ電極12と、
センサ基板11のセンサ電極12上に配置された絶縁層13であって、この絶縁層13の上面(センサ基板11と反対側の面)13aがタッチ操作される操作面とされた絶縁層13と、
前記絶縁層13の上面13aには4つのセンサ電極12の中心に位置するように、紡錘形の平面形状をなし、平坦部を含んでおらず、一体の形状をなす突起であって、その短手方向の幅が長手方向において変化しており、その高さもまた、長手方向において変化している、操作基準14とを有し、
前記操作基準14の存在により、指21がどの位置を触れているかが触覚によりわかり、また、操作基準14を起点にして操作することにより、指21が静電容量式タッチセンサ10のセンサ領域から外れることがないものであって、
センサ電極12の出力に応じて、タッチ位置のx座標とy座標を求める、
静電容量式タッチセンサ。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の段落【0049】-【0053】、【0091】-【0098】及び図11-12の記載からみて、当該引用文献2には、携帯電話10において、決定ボタン50からヒンジ部16に向けて並ぶように突起部144、154が設けられており、突起部144、154は円孔状に形成され、決定ボタン50から遠くなるに従って弧の長さが長くなるように配置されるという技術的事項が記載されていると認められる。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0010】-【0023】及び図5の記載からみて、当該引用文献3には、ポインティング領域4の周辺部分に、ポインタの移動速度を大と小の2段階に切替えることのできる切替えタッチ領域5を設け、当該切替えタッチ領域5の大又は小の領域に触れた上でポインティング領域4でストロークすることにより、触れた切替えタッチ領域5に応じたストローク量によってポインタの操作を可能とするという技術的事項が記載されていると認められる。
4.その他の文献について
前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開2010-244772号公報)の段落【0065】及び図4の記載からみて、当該引用文献4には、静電容量式タッチ検出部材及びその支持体の形状を、各種の柱体、錐体、球体、楕円球の一部、又はこれらを組み合わせて得られる任意の立体とするという技術的事項が記載されていると認められる。
さらに、前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献5(特開2004-094450号公報)の段落【0013】及び図1の記載からみて、当該引用文献5には、タッチパネル1の形状を半球状又はドーム状にするという技術的事項が記載されていると認められる。
第5 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「操作基準14」は、「紡錘形の平面形状をなし、平坦部を含んでおらず、一体の形状をなす突起」であるから、本願発明1の「上方に膨らみ平坦部を含まない一体の膨出部」に相当する。
イ.引用発明において、「絶縁層13の上面13a」は、「タッチ操作される操作面」であって、絶縁層13の裏面に配された「センサ電極12の出力に応じて、タッチ位置のx座標とy座標を求める」ものであるから、本願発明1の「対象物が前記膨出部をタッチしたタッチ座標を認識するタッチ面」と、「対象物がタッチしたタッチ座標を認識するタッチ面」である点で共通し、引用発明の操作基準14が絶縁層13の上面13aに配置されている構成は、本願発明1の「上方に膨らみ平坦部を含まない一体の膨出部を有し、対象物が前記膨出部をタッチしたタッチ座標を認識するタッチ面」と「上方に膨らみ平坦部を含まない一体の膨出部を有し、対象物がタッチしたタッチ座標を認識するタッチ面」を具備する点では共通する。
ウ.引用発明は、「センサ電極12の出力に応じて、タッチ位置のx座標とy座標を求める」ことを特定する一方、その座標を出力することについては明確に特定していないが、その利用のために求めた座標を出力する構成を有していることは明らかであり、当該構成は本願発明1の「タッチ面内の第1方向を、出力座標の第1方向として前記出力座標に関する情報を出力する制御部」を具備している構成に相当するといえる。
エ.上記イ.から、本願発明1と引用発明とは、「前記タッチ面は、前記対象物が前記タッチ面をタッチしたときタッチ座標を認識」する点では共通するといえる。
オ.引用発明の「操作基準14」は、「紡錘形の平面形状をなし、平坦部を含んでおらず、一体の形状をなす突起であって、その短手方向の幅が長手方向において変化しており、その高さもまた、長手方向において変化している」ものであって、長手方向(本願発明1の「第2方向」に相当する。)は短手方向(本願発明1の「第1方向」に相当する。)に交差する関係にあるから、本願発明1の「前記膨出部は、前記タッチ面内の第1方向と前記タッチ面内の前記第1方向に交差する前記タッチ面内の第2方向とを認識できるように前記膨出部の前記第1方向の幅および高さの少なくとも一方を前記第2方向において変化させた」との構成と、「前記膨出部の前記第1方向の幅および高さの少なくとも一方を前記第2方向において変化させた」ものである点で共通する。
カ.引用発明の「静電容量式タッチセンサ」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「タッチ入力装置」に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「上方に膨らみ平坦部を含まない一体の膨出部を有し、対象物がタッチしたタッチ座標を認識するタッチ面と、
前記タッチ面内の第1方向を、出力座標の第1方向として前記出力座標に関する情報を出力する制御部と、
を具備し、
前記タッチ面は、前記対象物が前記タッチ面をタッチしたときタッチ座標を認識し、
前記膨出部の前記第1方向の幅および高さの少なくとも一方を第2方向において変化させたことを特徴とするタッチ入力装置。」
(相違点1)
「タッチ面」は、本願発明1では「膨出部をタッチしたタッチ座標を認識する」及び「膨出部内の前記タッチ面のみをタッチしたとき前記膨出部内のタッチ座標を認識」するものであるのに対し、引用発明では操作基準14をタッチしたタッチ座標を認識し、操作基準14内のタッチ面のみをタッチしたとき、操作基準14内のタッチ座標を認識するものではない点。
(相違点2)
一致点の「膨出部の前記第1方向の幅および高さの少なくとも一方を前記第2方向において変化させた」点に関し、本願発明1は「前記タッチ面内の第1方向と前記タッチ面内の前記第1方向に交差する前記タッチ面内の第2方向とを認識できるように」当該構成を採るのに対し、引用発明は、このような目的で操作基準14の形状を決定するものではなく、「突起状の操作基準14の存在により、指21がどの位置を触れているかが触覚によりわかり、また、操作基準14を起点にして操作することにより、指21が静電容量式タッチセンサ10のセンサ領域から外れることがない」ことを目的とした形状である点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点1について先に検討する。
上記「第4 引用文献、引用発明等」で述べたとおり、引用文献2には、携帯電話10において、決定ボタン50からヒンジ部16に向けて並ぶように突起部144、154が設けられており、突起部144、154は円孔状に形成され、決定ボタン50から遠くなるに従って弧の長さが長くなるように配置されるという技術的事項が、引用文献3には、ポインティング領域4の周辺部分に、ポインタの移動速度を大と小の2段階に切替えることのできる切替えタッチ領域5を設け、当該切替えタッチ領域5の大又は小の領域に触れた上でポインティング領域4でストロークすることにより、触れた切替えタッチ領域5に応じたストローク量によってポインタの操作を可能とするという技術的事項が、それぞれ記載されている。
さらに、前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献4には、静電容量式タッチ検出部材及びその支持体の形状を、各種の柱体、錐体、球体、楕円球の一部、又はこれらを組み合わせて得られる任意の立体とするという技術的事項が、引用文献5には、タッチパネル1の形状を半球状又はドーム状にするという技術的事項が、それぞれ記載されている。
ここで、引用発明に引用文献2に記載の技術的事項を適用することを検討するに、引用発明の操作基準14は、あくまで操作時に指21の位置を合わせるための指標であって、当該操作基準14をタッチしたタッチ座標を認識するものではないところ、引用文献2に記載の突起部144、154は、その部分自体を操作することに意味のあるものであって、引用発明の操作基準14と引用文献2に記載の突起部144、154とは、その性質が大きく異なるものである。
よって、引用発明に引用文献2に記載の技術的事項を適用することには、阻害要因がある。
そして、相違点1に係る本願発明1の構成は、引用文献3-5に記載されておらず、示唆もされていない。
また、相違点1に係る本願発明1の構成が、本願出願前に周知技術であったとも認められない。
したがって、相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.請求項2-6について
本願発明2-6は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-6は「前記タッチ面は、前記対象物が前記膨出部内の前記タッチ面のみをタッチしたとき前記膨出部内のタッチ座標を認識し、」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとは認められない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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