特許拒絶査定不服審判
2016-018034
改良された光のLEDランプ
- 審判番号
- 2016-018034
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-097298外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年12月01日
- 審決日
- 2017年12月26日
- 公報発行日
- 2018年07月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ソラア インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】舛谷 威志
- 分類
- P18 .121-WZ (F21S)
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013- 97298「改良された光のLEDランプ」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月 5日出願公開、特開2013-243129〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月7日(パリ条約による優先権主張2012年5月4日、2013年3月14日、米国)の出願であって、主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成25年 7月 3日:翻訳文提出
同年 7月11日:手続補正(図面)
同年 9月 6日:手続補正(明細書)
平成26年 5月28日:拒絶理由通知(6月6日発送)
同年10月 6日:意見書・手続補正(特許請求の範囲)
平成27年 3月23日:拒絶理由通知(3月27日発送)
同年 8月27日:意見書・手続補正(特許請求の範囲)
同年11月18日:最後の拒絶理由通知(12月1日発送)
平成28年 4月 1日:意見書
同年 7月21日:拒絶査定(8月2日送達)
同年12月 1日:審判請求
平成29年 8月23日:拒絶理由通知(8月24日発送)
(以下「当審拒絶理由」という。)
同年11月24日:意見書
第2 本願発明
本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成27年8月27日付け手続補正により補正された請求項1ないし24に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項13に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「LEDベースランプであって、
40mm2より小さい底面積を有するベースと、前記ベースに取り付けられ、n型領域、p型領域及び390~430nmの波長を有する光を放射するように構成された光放射領域を含む少なくとも1つのLED装置と、
前記ランプが、500lmよりも大きい光束とスペクトルパワー分布(SPD)において、出力の2%~10%が、390nm~430nmの波長範囲内で放射されるスペクトルパワー分布を有する白色光を放射するように前記LED装置と相互作用するように構成された波長変換物質と、
を含むLEDベースランプ。」
第3 刊行物の記載
(1)当審拒絶理由において引用文献2として引用した、本願の最先の優先日(2012年5月4日)前に日本国内または外国において頒布された刊行物である特開2012-56970号公報(2012年3月12日公開)には、図とともに、以下の記載がある。
ア 「【請求項10】
青色光成分と緑色光成分と赤色光成分とを含む白色光を放出し、
該青色光成分は440~480nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を含み、
該緑色光成分は515~560nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を含み、
該赤色光成分は615~645nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を含む、白色発光ユニットであって、
半導体発光素子と、
該半導体発光素子が発する光を吸収して波長変換により該青色光成分を含む光を放出する第1の蛍光体と、
該半導体発光素子が発する光を吸収して波長変換により該緑色光成分を含む光を放出する第2の蛍光体と、
該半導体発光素子が発する光を吸収して波長変換により該赤色光成分を含む光を放出する第3の蛍光体とを備え、
該白色光のスペクトルが615~645nmの範囲に極大波長を有し、
光束で規格化した該白色光のスペクトルの波長580nmにおける強度が、光束で規格化した演色性評価用基準光のスペクトルの波長580nmにおける強度の80~100%である、白色発光ユニット。
【請求項11】
該第1の蛍光体が青色蛍光体を含み、該第2の蛍光体が緑色蛍光体を含み、該第3の蛍光体が赤色蛍光体を含む、請求項10に記載の白色発光ユニット。
【請求項12】
該半導体発光素子が発光ピーク波長を400~420nmの範囲に有するInGaN系発光ダイオード素子を含む、請求項11に記載の白色発光ユニット。
【請求項13】
……
【請求項23】
請求項1~9および請求項20~22のいずれか1項に記載の白色半導体発光装置を含む、または請求項10~19のいずれか1項に記載の白色発光ユニットを含む、照明装置。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、照明に適した白色光を出力する白色発光装置に関し、とりわけ、発光要素として蛍光体を備えるとともに、その蛍光体の励起源として半導体発光素子を備える、白色半導体発光装置に関する。」
ウ 「【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の白色半導体発光装置は、好ましくは、少なくともひとつの白色発光ユニットを含む。白色発光ユニットは、半導体発光素子と、該半導体発光素子が発する光の波長を変換する蛍光体を含み、白色光を放出する。白色発光ユニットにおける半導体発光素子と蛍光体との光学的な結合の形態に限定はなく、両者の間は単に透明な媒体(空気を含む)で充たされているだけであってもよいし、あるいは、レンズ、光ファイバ、導光板、反射鏡などの光学素子が両者の間に介在していてもよい。
【0027】
……
【0030】
別の好ましい白色発光ユニットは、紫外発光ダイオード素子または紫色発光ダイオード素子と、青色蛍光体と、緑色蛍光体と、赤色蛍光体とを備え、発光ダイオード素子が放出する紫外光または紫色光の一部が青色蛍光体により波長変換されて生じる青色光と、該紫外光または紫色光の他の一部が緑色蛍光体で波長変換されて生じる緑色光と、該紫外光または紫色光の更に他の一部が赤色蛍光体で変換されて生じる赤色光と、を成分として含む白色光を放出する。紫色発光ダイオード素子を用いる場合には、該素子が放出する紫色光の一部が白色光の成分に含まれてもよい。ストークスシフト損失が小さくなるという理由から、この白色発光ユニットには、紫外発光ダイオード素子よりも紫色発光ダイオード素子を使用することがより好ましい。
【0031】
現在入手できる最も効率の高い紫色発光ダイオード素子は、InGaN系の紫色発光ダイオード素子である。InGaN系発光ダイオード素子は、InGaN井戸層を含むMQW活性層をp型およびn型のGaN系クラッド層で挟んだダブルヘテロ構造を備えるpn接合型発光ダイオード素子であり、発光ピーク波長を410~430nmの範囲としたときに発光効率が最大となることが知られている(非特許文献1)。一方で、高効率の青色蛍光体の励起効率は一般に紫外~近紫外領域において高く、波長405nmよりも長波長側では波長の増加とともに急激に低下する。このような青色蛍光体の励起特性も考慮すると、白色発光ユニットに最も適した紫色発光ダイオード素子は、発光ピーク波長を400~420nmの範囲、特に405~415nmの範囲に有する、InGaN系発光ダイオード素子であるといえる。
【0032】
白色発光ユニットの構成に特段の限定はなく、半導体発光素子と蛍光体とを組合せてなる公知の白色発光装置の構成を任意に参照することができる。好適例は、汎用の白色LEDの構造を包含する。すなわち、白色発光ユニットは、1個または複数個の発光ダイオード素子を、砲弾型パッケージ、SMD型パッケージなどのパッケージにマウントし、蛍光体を添加した透光性封止材で封止した構造とすることができる。」
エ 「【0045】
本発明の白色半導体発光装置は、白色照明に適した光、すなわち、光色の黒体輻射軌跡からの偏差Duvが-20~+20の範囲、好ましくは-6.0~+6.0の範囲に入る光を発生させることを目的としている。いうまでもないことだが、出力光の色は、出力光を構成する成分光間の強度バランスを調整することにより、設定することができる。白色発光ユニットを備える実施形態においては、半導体発光素子と蛍光体とを組合せてなる公知の白色発光装置(例えば、白色LED)で採用されている手法を適宜用いて、白色発光ユニットが放出する白色光の相関色温度を設定することができる。」
オ 「【0069】
<実験結果>
以下には、本発明者等が行った、実験(シミュレーションを含む)の結果を記載する。前述の第1の条件および第2の条件が充足されるとき白色半導体発光装置の鮮やかな赤色に関する再現性が改善される、との知見は、この実験を通して得られたものである。表1は、実験に用いた蛍光体のリストである。
【0070】
……
【0075】
表1に掲げた蛍光体を用いて作製した白色LEDサンプルのリストを、表2および表3に示す。表2に示すV-1からV-11までの11種類のサンプルは、発光ピーク波長を約405nmに有する紫色発光ダイオード素子を蛍光体の励起源に用いている。一方、表3に示すB-1からB-10までの10種類のサンプルは、発光ピーク波長を約450nmに有する青色発光ダイオード素子を、青色光の発生源および蛍光体の励起源に用いている。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
……
【0078】
白色LEDサンプルV-1~V-11、B-1~B-10は、いずれも、350μm角のInGaN系発光ダイオード素子(チップ)1個を3528SMD型PPA樹脂パッケージに実装し、パウダー状の蛍光体を添加したシリコーン樹脂組成物で封止することにより作製した。表2および表3には、各サンプルに用いた蛍光体の名称と、発光ダイオード素子を封止するシリコーン樹脂組成物における各蛍光体の配合比(濃度)を示している。例えば、サンプルV-1は、青色蛍光体BAM、緑色蛍光体BSSおよび赤色蛍光体CASON-1を、それぞれ9.0wt%、1.2wt%および4.3wt%の濃度で含むシリコーン樹脂組成物により、紫色発光ダイオード素子が封止された構造を有している。
【0079】
表4および表5に、白色LEDサンプルV-1~V-11、B-1~B-10のそれぞれの発光特性を示す。相関色温度、Duv、Ra、R9、赤色スペクトル領域における極大波長、および580nm強度比の各値は、いずれも、1個の白色LEDサンプルに電流20mAを印加して発光させたときの発光スペクトルに基づいている。
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
……
【0082】
赤色蛍光体としてCASON-1を用いた白色LEDサンプルV-1と、CASON-2を用いた白色LEDサンプルV-2に着目すると、表4に示すように、演色評価数Raが前者では97、後者では96と、いずれも極めて高い。また、特殊演色評価数R9についても、V-1が88、V-2が76と、いずれも良好な値である。しかし、Raとは異なり、R9に関してはV-1とV-2の差が比較的大きい。
【0083】
図1は、白色LEDサンプルV-1とV-2の発光スペクトルを、赤色スペクトル領域(波長590~780nm)に存する極大波長(V-1は631nm、V-2は624nm)におけるスペクトル強度(赤色スペクトル領域におけるピーク強度)で規格化し、重ねて示したものである。図1からは、580nmを中心とする幅約100nmの波長範囲内で、V-1のスペクトル強度をV-2のスペクトル強度が上回っていることがわかる。
【0084】
図2は、白色LEDサンプルV-1の発光スペクトルと、演色性評価用基準光(V-1と同一の相関色温度を有する完全放射体の光)のスペクトルとを、重ねて示したものである。2つのスペクトルの強度は、上記数式(1)により決定される光束が同一となるように規格化されている。」
カ 図1は、以下のものである。
キ 図2は、以下のものである。
(2)引用文献に記載された発明
ア 上記(1)ア及びイの記載からして、引用文献2には、
「照明に適した白色光を出力する白色発光ユニットを含む、照明装置であって、
該白色発光ユニットは、
発光ピーク波長を400~420nmの範囲に有するInGaN系発光ダイオード素子と、
該発光ダイオード素子が発する光を吸収して波長変換により440~480nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出する青色蛍光体と、
該発光ダイオード素子が発する光を吸収して波長変換により515~560nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出する緑色蛍光体と、
該発光ダイオード素子が発する光を吸収して波長変換により615~645nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出する赤色蛍光体とを備え、
該白色光のスペクトルが615~645nmの範囲に極大波長を有し、
光束で規格化した該白色光のスペクトルの波長580nmにおける強度が、光束で規格化した演色性評価用基準光のスペクトルの波長580nmにおける強度の80~100%である、
照明装置。」が記載されているものと認められる。
イ 上記(1)ウの記載によれば、以下のことが理解できる。
(ア)上記アの「照明装置」は、複数の白色発光ユニットを含むものであってもよいこと。
(イ)上記アの「InGaN系発光ダイオード素子」は、具体的には、
InGaN井戸層を含むMQW活性層をp型およびn型のGaN系クラッド層で挟んだダブルヘテロ構造を備えた紫色発光ダイオード素子であってもよいこと。
(ウ)紫色発光ダイオード素子を用いる場合は、該素子が放出する紫色光の一部が白色光の成分に含まれてもよいこと。
(エ)上記アの「白色発光ユニット」は、InGaN系発光ダイオード素子をSMD型樹脂パッケージにマウントし、各蛍光体を添加した透光性封止材で封止した構造であってもよいこと。
ウ 上記(1)エの記載によれば、
上記アの「照明に適した白色光」は、黒体輻射軌跡からの偏差Duvが-20~+20の範囲に入る白色照明に適した白色光であることが理解できる。
エ 上記(1)オの記載によれば、
上記アの「発光ピーク波長」は、具体的には、405nmであってもよいことが理解できる。
オ また、上記(1)オの記載を踏まえて、図1及び図2を見ると、以下のことが理解できる。
上記アの「照明に適した白色光」のスペクトルは、約380nmから780nmまで続く連続的なスペクトルであること。
カ 上記アないしオより、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「黒体輻射軌跡からの偏差Duvが-20~+20の範囲に入る白色照明に適した白色光を出力する複数の白色発光ユニットを含む、照明装置であって、
該白色発光ユニットは、
発光ピーク波長を405nmに有する、InGaN井戸層を含むMQW活性層をp型およびn型のGaN系クラッド層で挟んだダブルヘテロ構造を備えた紫色発光ダイオード素子と、
該発光ダイオード素子が発する光を吸収して波長変換により440~480nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出する青色蛍光体と、
該発光ダイオード素子が発する光を吸収して波長変換により515~560nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出する緑色蛍光体と、
該発光ダイオード素子が発する光を吸収して波長変換により615~645nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出する赤色蛍光体とを備え、
該発光ダイオード素子をSMD型樹脂パッケージにマウントし、各蛍光体を添加した透光性封止材で封止した構造であり、
該白色光のスペクトルは、約380nmから780nmまで続く連続的なスペクトルであって、615~645nmの範囲に極大波長を有し、
光束で規格化した該白色光のスペクトルの波長580nmにおける強度が、光束で規格化した演色性評価用基準光のスペクトルの波長580nmにおける強度の80~100%である、照明装置。」
第4 対比・判断
1 本願発明と引用発明を対比する。
(1)ア 引用発明の「紫色発光ダイオード素子」の「p型およびn型のGaN系クラッド層」及び「MQW活性層」は、それぞれ、本願発明の「p型領域」、「n型領域」及び「光放射領域」に、相当する。
イ 引用発明の「SMD型樹脂パッケージ」には、紫色発光ダイオード素子がマウント(取り付け)されていることから、該「SMD型樹脂パッケージ」は、本願発明の「ベース」に相当する。
ウ 引用発明の「紫色発光ダイオード素子」は、SMD型樹脂パッケージ(ベース)にマウント(取り付け)され、紫色光を発するものであるから、該「紫色発光ダイオード素子」は、ベースに取り付けられ、n型領域、p型領域及び所定領域の波長を有する光を放射するように構成された光放射領域を含むLED装置であるといえる。
エ してみると、本願発明と引用発明とは、
「所定の底面積を有するベースと、前記ベースに取り付けられ、n型領域、p型領域及び所定領域の波長を有する光を放射するように構成された光放射領域を含む少なくとも1つのLED装置」を含む点で一致する。
(2)ア 引用発明の「青色蛍光体」、「緑色蛍光体」及び「赤色蛍光体」は、本願発明の「波長変換物質」に相当する。
イ また、引用発明の「白色光のスペクトル」は、約380nmから780nmまで続く連続的なスペクトルであるから、出力の一定割合が390nm~430nmの波長範囲内で放射されるスペクトルパワー分布を有するものであるといえる。
ウ してみると、本願発明と引用発明とは、
「所定の光束とスペクトルパワー分布(SPD)において、出力の一定割合が、390nm~430nmの波長範囲内で放射されるスペクトルパワー分布を有する白色光を放射するようにLED装置と相互作用するように構成された波長変換物質」を含む点で一致する。
(3)上記(1)及び(2)より、
引用発明の「照明装置」は、「ベース」、「LED装置」及び「波長変換物質」を含むことから、本願発明の「LEDベースランプ」に相当する。
(4)以上のことから、本願発明と引用発明とは以下の点で一致する。
<一致点>
「LEDベースランプであって、
所定の底面積を有するベースと、前記ベースに取り付けられ、n型領域、p型領域及び所定領域の波長を有する光を放射するように構成された光放射領域を含む少なくとも1つのLED装置と、
前記ランプが、所定の光束とスペクトルパワー分布(SPD)において、出力の一定割合が、390nm~430nmの波長範囲内で放射されるスペクトルパワー分布を有する白色光を放射するように前記LED装置と相互作用するように構成された波長変換物質と、
を含むLEDベースランプ。」
(5)一方で、本願発明と引用発明とは、以下の点で相違する。
<相違点1>
ベースの底面積に関して、
本願発明は、「40mm2より小さい」のに対して、
引用発明は、不明である点。
<相違点2>
LEDベースランプの光束に関して、
本願発明は、「500lmよりも大きい光束」であるのに対して、
引用発明は、不明である点。
<相違点3>
光放射領域が放射する波長に関して、
本願発明は、「390~430nmの波長範囲」であるのに対して、
引用発明は、不明である点。
<相違点4>
スペクトルパワー分布における出力の割合に関して、
本願発明は、「2%~10%」であるのに対して、
引用発明は、不明である点。
2 判断
(1)上記<相違点1>及び<相違点2>について検討する。
ア 一般に、発光ダイオード素子は、1mm以下の非常に小さな素子(引用文献の【0078】には「350μm角」であると記載されている。)であることから、それをマウントする「SMD型樹脂パッケージ」の底面積を「40mm2より小さい」ものとすることは、当業者が適宜なし得た設計事項である。
イ(ア)照明装置の明るさの目安は、白熱灯や蛍光灯では「W(ワット)」が、消費電力の少ないLEDでは「lm(ルーメン)」が用いられ、電球40Wの明るさは、おおよそLED500lmの明るさに相当することは、当業者によく知られたことである。
(イ)引用発明は、「紫色発光ダイオード素子」、つまり、LEDを利用した「照明装置」であることから、白熱灯に換算して40Wよりも明るくすることで、500lmよりも大きい光束とすることは、当業者が使用場所等に応じて適宜なし得たことである。
ウ 以上の検討によれば、引用発明において、上記<相違点1>及び<相違点2>に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者が適宜なし得たことである。
(2)上記<相違点3>について検討する。
ア 引用発明の「白色光のスペクトル」は、約380nmから780nmまで続く連続的なスペクトルであるところ、引用発明の「青色蛍光体」は、440~480nmの範囲内のいずれかの波長を有する光を放出するものであるから、引用発明の「紫色発光ダイオード素子」が発する光には「約380nmから440nm」の範囲に含まれる「390~430nmの波長範囲」が含まれているものと認められる。
イ よって、上記<相違点3>は、実質的な相違ではない。
(3)上記<相違点4>について検討する。
ア 引用文献2の図1及び図2の記載からして、引用発明の「白色光のスペクトル」において、390nm~430nmの波長範囲内で放射される光の出力の割合が2%以上であることは明らかである。
また、390nm~430nmの波長範囲内で放射される光の出力の割合が増加すると、白色からの色ずれを生じることから、当該割合を制限することは当然であり、その割合の上限を10%とすることは 適宜設定し得ることであって、本願明細書の記載を見ても、その数値に臨界的な技術的意義は認められない。
イ 以上の検討によれば、引用発明において、上記<相違点4>に係る本願発明の発明特定事項を採用することは、当業者が適宜なし得たことである。
(4)効果
本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から予測し得る範囲内のものである。
3 平成29年11月24日提出の意見書について
請求人は、意見書(第3頁)において、「それゆえ、本願発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到可能なものではありません。」と主張しているが、引用文献2についての実質的な反論はなされておらず、上記判断を左右するものではない。
4 まとめ
本願発明は、当業者が引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用文献2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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