特許拒絶査定不服審判
2016-016660
プロセス環境におけるスクリプト化グラフィックス
- 審判番号
- 2016-016660
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-005701外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年11月07日
- 審決日
- 2017年11月28日
- 公報発行日
- 2018年01月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フィッシャー-ローズマウント システムズ,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】中島 淳
- 【請求人代理人】加藤 和詳
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .537-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 5701「プロセス環境におけるスクリプト化グラフィックス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月14日出願公開、特開2015- 92403、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2005年(平成17年)5月4日を国際出願日とする特願2007-511580号の一部を平成24年2月6日に新たな特許出願とした特願2012-22789号の一部を平成26年7月17日に新たな特許出願とした特願2014-146423号の一部を平成27年1月15日(パリ条約による優先権主張 平成16年5月4日、アメリカ合衆国)に新たな特許出願としたものであって、平成28年3月7日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年6月9日付けで手続補正がされ、平成28年6月30日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年11月7日に拒絶査定不服審判の請求がされ、同時に手続補正がされ、平成29年5月26日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成29年9月29日付けで手続補正がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年6月30日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献A、Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特表2003-525489号公報
B.特開平11-24736号公報
第3 当審拒絶理由通知の概要
1.本件出願の請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特表2003-525489号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開平11-24736号公報(拒絶査定時の引用文献B)
3.米国特許第5897635号明細書(当審において新たに引用した文献)
2.本件出願は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
第4 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年9月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
実行可能なグラフィック・ディスプレイをプロセス環境内で使用する方法であって、前記方法は、
コンピュータが、プロセスプラント内のデータソースとバインディングされる一以上の視覚的表示及び一以上のパラメータを含めて一以上の実行可能な、クラス・オブジェクトであるグラフィック・ディスプレイを作成し、
前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの各々のために定義された役割を格納し、
前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイのために前記定義された役割に応じて前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイをディスプレイデバイスに割り当てる、
ことを含み、
別々のグラフィック・ディスプレイは、複数の異なる機能において、全体にわたって一貫した外観を与えるため、同一のグラフィック・エレメントを用いて別々のビューを提供するように構成され、
前記別々のビューの各々は、構成ビュー、オペレータ・ビュー、メンテナンス・ビュー、又はシミュレーション・ビューから選択される、
方法。
【請求項2】
前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの各々のために定義された役割に応じて前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイをダウンロードすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの各々のために定義された役割を格納することは、前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの一つのためのオペレータ・インタフェース役割を格納することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの各々のために定義された役割を格納することは、前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの一つのためのメンテナンス・インタフェース役割を格納することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの各々のために定義された役割を格納することは、前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの一つのためのシミュレーション・インタフェース役割を格納することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイをディスプレイデバイスに割り当てることは、前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイのために定義された前記役割に応じて前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイを前記ディスプレイデバイスの一以上の機能的サブシステムに割り当てることを含む、請求項1に記載の方法。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
平成29年5月26日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付与したものである。
「【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、設備管理(asset management)システムに関し、より詳細には、機械装置及びプロセスの様々なグループ化を含む産業プラント設備の保護及び管理のための統合的な表示環境と共通データベース構造とを含む、産業プラント設備管理システムに関する。」
「【0009】
本発明の産業上の利用可能性は、本発明の以下の目的の論考を通して論証されるであろう。
したがって、本発明の主な目的は、新しく新規かつ有用な産業プラント設備管理システムすなわち装置及び方法を提供することである。」
「【0013】
【発明の実施の形態】
図面を通して同様の参照数字が同様の部分を示しており、参照数字10は、本発明による産業プラント設備管理システムを示している。
図1を参照すると、システム10は、設計がモジュール式でありスケーラブルであって、4つの主なモジュールグループを含むように割当てられることが可能である。これらモジュールグループは、単一のコンピュータ(プロセス機器)か、又はネットワークを介して対話可能な複数の独立したコンピュータに常駐することができる。グループ分けは、データ取得モジュール20、データベースモジュール80、統合グラフィカルユーザインタフェース102すなわち統合GUI102を含むディスプレイモジュール100、及びユーティリティモジュール200を含むことができる。
【0014】
データ取得モジュール20は、1又は複数のデータ取得コンピュータ又はクライアントに常駐することができるソフトウェアモジュールを含み、特に、それぞれデータ格納とリアルタイムデータ表示とのためにデータベースモジュール80とディスプレイモジュール100との両方に対しデータを提供するデータバッファとして作用する。データ取得モジュール20は、ハードウェア取得機器とソフトウェアアプリケーションとを共に含むデータ取得機器又はシステム60へのインタフェースとして作用する複数の異なるデータコレクタモジュール50を含む。データ取得機器60は、トランスデューサ/センサ70に作動的に接続されることにより、測定ポイントを含む設備位置から信号を収集する。
【0015】
データベースモジュール80は、データ取得機器60によって収集されるデータと共にすべてのコンフィギュレーション情報のリポジトリであるリレーショナルデータベース82を含む。データベースモジュール80は、サーバ、例えば、Microsoft(登録商標)SQLサーバに常駐することができる。さらに、データベース82は、引用をもって開示内容がすべて本明細書内に包含されたものとする、「Knowledge Manager Relying on a Hierarchical Default Expert System: Apparatus and Method」と題された、Biggsによる1996年11月27日に出願された、本願と同一の譲受人に譲渡された米国特許第5,905,989号において開示されたもの等のナレッジマネージャを含むことができる。
【0016】
ディスプレイモジュール100は、データベースモジュール80又はデータ取得モジュール20のデータを、統合グラフィカルユーザインタフェース102を介して、例えば1又は複数のコンピュータ又はディスプレイクライアントに表示するソフトウェアモジュールを含む。データ取得モジュール20との通信は、機械装置スタートアップ中にオービット等のデータのリアルタイム表示を可能にするものである。ディスプレイモジュール100は、2つのレベルのディスプレイ、すなわち基本ナビゲーション/オペレータディスプレイと、完全機械装置管理ディスプレイとを有するものとして見ることができる。」
「【0021】
より詳細には、図2を参照すると、本発明によるクライアント/サーバネットワークアーキテクチャの一実施例の簡略化した略図が示されており、図2において、データベースモジュール80は、1又は複数のサーバS1、S2、…SNに常駐し、データ取得モジュール20は1又は複数のデータ取得ノード又はコンピュータDAC1、DAC2、…DACNに常駐し、ディスプレイモジュール100は、1又は複数のディスプレイクライアント又はコンピュータDC1、DC2、…DCNに常駐する。このため、システム10は、少なくとも1つのサーバと、1又は複数のコンピュータと、ネットワークコントローラカードと、ハブ(単数又は複数)と、例えばシステム10を当業者には周知でありかつ本開示によって情報が与えられるように、集中ネットワーク、分散ネットワーク又はこれら2つの任意の組合せとしてコンフィギュレーションするためのイーサネット(登録商標)プロトコル通信リンクとを採用するクライアント/サーバネットワークアーキテクチャに基づくことができる。さらに、システム10は、複数のエンタプライズを管理するための広域ネットワーク(WAN)としてコンフィギュレーションすることができる。
【0022】
ディスプレイモジュール及び関連ディスプレイ機器
ディスプレイモジュール100は、それぞれ1又は複数のデータ取得ノードDACNと1又は複数のサーバSNとを介して、データ取得モジュール20とデータベースモジュール80の両方に有効に通信する。ディスプレイモジュール100は、1人又は複数のディスプレイクライアントDC1、DC2、…DCNにそれぞれ関連する1又は複数のディスプレイ機器D1、D2、…DNに、これらモジュールの両方からのデータを表示するために、統合グラフィカルユーザインタフェース102を採用する。各ディスプレイクライアントは、入力装置又はポインティングデバイス(例えば、タッチスクリーン、マウス、タッチパッド、キーパッド、ライトペン、音声作動等)を含み、それによりユーザは、グラフィカルユーザインタフェース102に関して「ポインタ」をナビゲートかつ表示されている情報と対話的に入力することができる。なお、本発明は、グラフィカルユーザインタフェース102と対話するために、特定の入力装置の使用に限定されるものではない。さらに、任意である1つの特定のポインティングデバイスの機能も、通常は、ユーザによって環境設定可能であり、ポインティングデバイスによって異なっていてもよい。」
「【0043】
ディスプレイモジュールアーキテクチャ及びビュー
図6には、本発明によるディスプレイモジュール100のオブジェクトアーキテクチャの概略図が示されている。ディスプレイモジュール100は、接続インタフェースとスクリプトベースロジックとを使用して、独立したオブジェクトとビューとの集まりを合わせて、設備管理と機械装置診断サービスとを合わせて提供するように機能するオブジェクトグループにリンクする。
2つの主なリンクは、ナビゲーション及び時間である。したがって、オブジェクトは時間及び/又は位置を通してリンクされる。時間リンクは、1つの特定の日付から別の特定の日付まで、あるいは現在すなわちリアルタイムリンク等、時間における履歴期間を指定する。位置は、オブジェクト設備(例えば、プラント、ユニット、機械、軸継手、軸受、シール等)と、監視システム及びトランスデューサ/センサ等の装置設備と、設備を見るために有用な所定のデータ提示等の知識設備と、を含むプラント中の位置を言う。さらに、位置は、物理的又は抽象的構造を言う。
【0044】
ディスプレイモジュール100のオブジェクトアーキテクチャにより、オブジェクトは、リンクに加わるか独立して動作するかを選択することができる。オブジェクトは、リンクに加わるように選択した場合、この要求をメインアプリケーションクラス110を通して登録することができ、その後リンクコマンドを受取る。
特に、メインアプリケーションクラス110は、リンクコマンドをブロードキャストする中央マネージャとして、及びオブジェクトが互いに通信するための中央コマンドセンタとして作用するアプリケーションマネージャとして、機能する。オブジェクトは、メインアプリケーションクラス110を通して、リンク(ナビゲーション又は位置)コマンドを送受信することができる。メインアプリケーションクラス110は、システム10のグラフィカルユーザインタフェース102における設備オブジェクト又は設備表現の表示された各ビューを管理し、種々のオブジェクトに対して、何の動作を実行することができるかを指示する。オブジェクトは、何のタイプのデータを有しているかをメインアプリケーションクラス110に提示し、メインアプリケーションクラス110は、コンポーネントにおける動作を合わせてスクリプトする。ここで、特定のオブジェクトアーキテクチャと関連するグラフィカルユーザインタフェースビューとを詳細に示す。」
「【0113】
使用及び動作時、図示したように、ディスプレイモジュール100は、ユーザが種々の異なるウインドウビューを通して設備オブジェクトか又は設備表現を見ることができるようにする統合グラフィカルユーザインタフェース102を有し、ユーザがシステム10内をナビゲートする間、各ビューはリンクされる。例えば上述したように、ユーザがエンタプライズエクスプローラツリービュー152上でクリックすると、ユーザはグラフィカルビュー160又はグラフィカルウインドウ162と直接には対話していないが、エンタプライズグラフィカルビュー160はナビゲーションを追従する。このリンクされたビューは、ユーザによるか又は警報によって駆動されてよい。すべてのビューがリンクされるため、警報の根本原因の探索が迅速である。すなわち、選択装置を単にクリックするだけで、ユーザは警報が発生している設備とそれを生成した計器類とを見る結果となる。さらに、システム10のディスプレイモジュール100は、機械メンテナンス専門家、機械オペレータ又は装置技術者に対する異なるビューの提示が可能であるため、ユーザに対してセンシティブである。
【0114】
1つの好ましい実施形態では、本発明は、複数の異なるビューを含む。例えば、システム10は、診断ビュー、オペレータビュー、装置ビュー、あるいは、基本的に、ユーザが生成し将来いつでも再現され得るように保存するビューである、ユーザカスタマイズビューを表示することができる。図7に示すように、診断ビューは、グラフィカルユーザインタフェース102を介して、設備オブジェクト又は設備表現の階層ビューを含むエンタプライズの階層エンタプライズツリービューを示すエンタプライズエクスプローラウインドウビュー154と、2次元又は3次元の設備オブジェクト又は設備表現の仮想ビューを示すエンタプライズグラフィカルウインドウビュー162と、プロットセッションツリービュー260か、あるいは代替的に棒グラフ又はトレンドプロットの形式でリアルタイム設備オブジェクト又は設備表現を示す現在値/履歴ウインドウビュー168と、を同時に表示する。オペレータビューは、グラフィカルユーザインタフェース102に、エンタプライズエクスプローラウインドウビュー154と現在値/履歴ウインドウビュー168とを同時に表示してよい。装置ビューは、装置設備オブジェクト又は設備表現の階層ビューを含む装置エクスプローラウインドウビュー172と、2次元及び3次元装置設備オブジェクト又は設備表現の仮想ビューを含む装置グラフィカルウインドウビュー176と、を同時に表示する(図9を参照)。好ましくは、これらウィンドウのすべてを、インターフェース102の任意箇所に再配置してドッキングすることができる。
【0115】
最高レベルにおいて、診断ビューは、プラントエクスプローラビュー154における強調表示されたエンタプライズと相関するエンタプライズグラフィカルウインドウビュー162におけるユニット(プロセス列又は機械列)のオブジェクトモデルを表示することができる。例えば、エンタプライズ設備は、ユニット1と命名された機械列を有する発電プラントのものとすることができる。そして、エンタプライズグラフィカルウインドウビュー162又は仮想ウインドウビューは、関連する発電プラントがエンタプライズ又はプラントエクスプローラウインドウビュー154において強調表示される時に、ユニット1の表示を含む。最高レベルにおいて、プロットセッションツリービュー260は、プロットセッションを含むことができ、あるいは代替的に、現在値/履歴ビュー168が、強調表示されたエンタプライズに関するデータを含むことができる。」
以上、特に下線部を参照すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「産業プラント設備管理システムの方法であって、
システム10は、設計がモジュール式でありスケーラブルであって、4つの主なモジュールグループを含むように割当てられることが可能であり、これらモジュールグループは、単一のコンピュータ(プロセス機器)か、又はネットワークを介して対話可能な複数の独立したコンピュータに常駐することができ、グループ分けは、データ取得モジュール20、データベースモジュール80、統合グラフィカルユーザインタフェース102すなわち統合GUI102を含むディスプレイモジュール100、及びユーティリティモジュール200を含むことができ、
データ取得モジュール20は、1又は複数のデータ取得コンピュータ又はクライアントに常駐することができるソフトウェアモジュールを含み、特に、それぞれデータ格納とリアルタイムデータ表示とのためにデータベースモジュール80とディスプレイモジュール100との両方に対しデータを提供するデータバッファとして作用し、データ取得モジュール20は、ハードウェア取得機器とソフトウェアアプリケーションとを共に含むデータ取得機器又はシステム60へのインタフェースとして作用する複数の異なるデータコレクタモジュール50を含み、データ取得機器60は、トランスデューサ/センサ70に作動的に接続されることにより、測定ポイントを含む設備位置から信号を収集し、
ディスプレイモジュール100は、データベースモジュール80又はデータ取得モジュール20のデータを、統合グラフィカルユーザインタフェース102を介して、例えば1又は複数のコンピュータ又はディスプレイクライアントに表示するソフトウェアモジュールを含み、1又は複数のディスプレイクライアント又はコンピュータDC1、DC2、…DCNに常駐し、ユーザが種々の異なるウインドウビューを通して設備オブジェクトか又は設備表現を見ることができるようにする統合グラフィカルユーザインタフェース102を有し、機械メンテナンス専門家、機械オペレータ又は装置技術者に対する異なるビューの提示が可能であり、
システム10は、複数の異なるビュー、例えば、診断ビュー、オペレータビュー、装置ビュー等を含む、ユーザカスタマイズビューを表示することができる、
方法。」
2.引用文献2、3について
平成29年5月26日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラントの運転状態を監視し、その動作を制御するプラント監視・制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラントの運転状態を監視し、その動作を制御する従来のプラント監視・制御装置は、図2に示すように構成されている。図2において、11は画面データ記憶装置で、監視・制御画面を記憶している。この画面データ記憶装置11に保存された監視・制御画面を表示画面選択装置12で読み取り、画面表示装置13に表示する。
【0003】通常、プラントの監視・制御は数名のチームで行なわれるが、上記従来のプラント監視・制御装置においては、運転操作員が誰であっても表示される画面は同じ、すなわち、予め画面データ記憶装置11に保存された監視・制御画面を表示画面選択装置12が読み取って画面表示装置13に表示するのみであり、運転操作員の特性(年齢・性別・性格・役割など)は、表示画面に反映させていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】通常、プラントの監視・制御は数名のチームで行なわれ、操作員・監視者毎に役割が異なるため、自ずと必要とする画面や良く使用する画面も異なってくる。また、年齢・性別・性格などの運転員の条件によっても見やすい画面の要件、例えば画面中のボタンの大きさ・個数・形、文字の大きさ、分量などが異なる。従来、これら運転員の特性を考慮した監視・制御画面が提供されなかったため、操作員によっては使いにくい画面となり、ご判断を招く恐れがあり、場合によってはプラントトリップに至る可能性があった。
【0005】本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、画面表示装置に表示される監視・制御画面を各運転操作員に適応させて変化させることができ、運転操作員にとって使い易いプラント監視・制御装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラント監視・制御装置は、運転操作員を識別する識別コードを入力する運転操作入力手段と、各運転操作員と監視・制御画面との対応関係を記憶する個人データ記憶手段と、複数の監視・制御画面を記憶する画面データ記憶手段と、前記運転操作入力手段から入力された運転操作員の識別コードに応じて前記個人データ記憶手段から個人データを読み出し、該個人データに基づいて前記画面データ記憶手段に格納されている画面データを選択する表示画面選択手段と、この表示画面選択装置により選択された画面を表示する画面表示手段とからなることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプラント監視・制御装置の構成を示すブロック図である。
【0008】図1において、1は運転操作員2が誰かを自動的に検出する運転操作員検出装置で、例えば電波発信機能を持つIDカードを使用して運転操作員2が誰であるかを自動的に検出する。3は運転操作員2が誰であるかを示す識別コード(識別データ)、パスワード等をキー入力し、あるいはIDカード等を利用して入力する運転操作入力装置である。この運転操作入力装置3は、運転操作員2からのコード入力、または運転操作員検出装置1の検出結果により、現在監視・制御画面を使用している運転操作員2が誰であるかを識別し、表示画面選択装置4に入力する。このとき運転操作入力装置3において、運転操作員検出装置1の検出結果と運転操作員2からの入力のどちらを優先させるかは設定可能である。なお、運転操作員検出装置1で運転操作員を自動検出するようにした場合は、運転操作入力装置3からの入力は不要であるが、その他の操作のために必要なものは運転操作入力装置3から入力する。また、運転操作入力装置3における入力としては、運転操作員2が一人で画面を使用している状態、あるいは多人数で同時に画面を共有している状態のどちらも入力可能である。
【0009】上記表示画面選択装置4には、運転操作員2毎に画面に表示すべき監視・制御画面がどれかを記憶する個人データ記憶装置5、及び各運転操作員の特性(年齢・性別・性格・役割など)を反映させた監視・制御画面を記憶する画面データ記憶装置6が接続される。上記表示画面選択装置4は、運転操作入力装置3からの入力及び個人データ記憶装置5の記憶データに基づいて画面データ記憶装置6から表示すべき監視・制御画面を選択して画面表示装置7に出力する。この画面表示装置7は、表示画面選択装置4により選択された画面、例えば運転操作員A用画面、運転操作員B用画面、共用画面等を表示する。」
平成29年5月26日付け当審拒絶理由通知の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「The look and feel of the user computer interface is determined largely by the collection of interaction techniques provided for it. Designing and implementing interaction techniques for each individual application would be a time consuming and expensive task. Furthermore, each application would end up with a different look and feel making it difficult for a user to move from one application to another. Applications sharing a common window management system can utilize a common interactive technique toolkit built for the window management system to assure a common look and feel. An interactive technique toolkit consists of a set of subroutines that provide different types of display objects.
Interactive technique toolkits, which are subroutine libraries of interaction techniques, are mechanisms for making a collection of techniques available for use by application programs. By using interactive technique toolkits, a consistent look and feel among application programs sharing a common window management system can be insured. Using the same toolkit across all applications is a commonly used approach for providing a look and feel that unifies both multiple applications and the window environment itself. Interactive technique toolkits are available for specific windowing management systems. For instance, the menu style used to select window operations should be the same style used within all applications. Basic elements of the toolkit can include menus, dialog boxes, scroll bars, file selection boxes and the like, all which can be conveniently implemented in windows.」(第1欄第59行-第2欄第20行)
(当審仮訳:ユーザコンピュータインターフェースのルックアンドフィールは、主に、提供された対話型技術のコレクションにより決定される。個々のアプリケーションの対話型技術の設計と実装には、時間と費用がかかる。さらに、個々のアプリケーションのルックアンドフィールが異なってしまうために、ユーザが1のアプリケーションから他のアプリケーションに移動するのは難しくなる。共通のウインドウマネージメントシステムで共有される複数のアプリケーションは、共通のルックアンドフィールを確立するために、ウインドウマネージメントシステムのために構築された共通の対話型技術のツールキットを利用することができる。1つの対話型技術のツールキットは、異なるタイプの表示オブジェクトを供給するサブルーチンのセットで構成されている。
対話型技術のツールキットは、対話型技術のサブルーチンライブラリであって、アプリケーションプログラムによって利用される技術のコレクションを作成する仕組みである。対話型技術のツールキットを使用することにより、共通のウインドウマネージメントシステムで共有された複数のアプリケーションの間で一貫性のあるルックアンドフィールが保証され得る。全てのアプリケーションに同じツールキットを使用することは、複数のアプリケーションとウインドウ環境自体の両方を統一するルックアンドフィールを提供するための一般的に使われるアプローチである。対話型技術のツールキットは、特定のウインドウマネージメントシステムで利用可能である。例えば、ウインドウ操作の選択に使用されるメニュースタイルは、全てのアプリケーションで使用される際に同じスタイルである必要がある。ツールキットの基本要素は、メニュー、ダイアログボックス、スクロールバー、ファイル選択ボックスなどのウインドウ内で有用に実装される全てのものを含むことができる。)
第6 当審の判断
1.当審拒絶理由通知により通知した上記「第3 2.」の拒絶の理由(特許法第36条第6項第1号及び第2号)について
当審拒絶理由通知により通知した上記「第3 2.」の拒絶の理由は、平成29年9月29日付け手続補正書による補正により解消したので、“本願は、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていないから拒絶すべきものである”とすることはできない。
2.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明は、「産業プラント設備管理システムの方法」であって、該システムは、「データベースモジュール80又はデータ取得モジュール20のデータを、統合グラフィカルユーザインタフェース102を介して、例えば1又は複数のコンピュータ又はディスプレイクライアントに表示するソフトウェアモジュールを含む」、「ディスプレイモジュール100」を含む。
この「ディスプレイモジュール100」は、システムで実行可能なソフトウェアモジュールを含み、統合グラフィカルユーザインターフェース102を介してビューを提示するものであるから、本願発明1の「実行可能なグラフィック・ディスプレイ」に相当するものである。
したがって、本願発明1と引用発明は、「実行可能なグラフィック・ディスプレイをプロセス環境内で使用する方法」といえる点で一致する。
また、引用発明における「ディスプレイモジュール100」は、データ取得機器が設備位置から収集した信号を取得したデータ取得モジュール20のデータを、統合グラフィカルユーザインターフェースを介して表示するものであるから、本願発明1における「プロセスプラント内のデータソースとバインディングされる一以上の視覚的表示及び一以上のパラメータを含めて一以上の実行可能な、グラフィック・ディスプレイ」に相当し、該「ディスプレイモジュール100」は、コンピュータを用いて作成されたソフトウェアであるのは明らかである。
したがって、本願発明1と引用発明は、「コンピュータが、プロセスプラント内のデータソースとバインディングされる一以上の視覚的表示及び一以上のパラメータを含めて一以上の実行可能な、グラフィック・ディスプレイを作成する、ことを含む、方法」といえる点で一致する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「実行可能なグラフィック・ディスプレイをプロセス環境内で使用する方法であって、前記方法は、
コンピュータが、プロセスプラント内のデータソースとバインディングされる一以上の視覚的表示及び一以上のパラメータを含めて一以上の実行可能な、グラフィック・ディスプレイを作成する、
ことを含む、
方法。」
(相違点)
(相違点1)
「グラフィック・ディスプレイ」(引用発明でいう「ディスプレイモジュール100」)が、本願発明1では、「クラス・オブジェクト」であるのに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1は、「前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイの各々のために定義された役割を格納し、
前記コンピュータが、前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイのために前記定義された役割に応じて前記一以上の実行可能なグラフィック・ディスプレイをディスプレイデバイスに割り当てる」ことを含むのに対し、引用発明は、ディスプレイモジュール100が単一又は複数の独立したコンピュータに常駐するものである点。
(相違点3)
本願発明1では、「別々のグラフィック・ディスプレイは、複数の異なる機能において、全体にわたって一貫した外観を与えるため、同一のグラフィック・エレメントを用いて別々のビューを提供するように構成され、
前記別々のビューの各々は、構成ビュー、オペレータ・ビュー、メンテナンス・ビュー、又はシミュレーション・ビューから選択される」のに対し、引用発明では、ディスプレイモジュール100により、複数の異なるビュー、例えば、診断ビュー、オペレータビュー、装置ビュー等を含む、ユーザカスタマイズビューを表示することができるものの、「別々のグラフィック・ディスプレイは、複数の異なる機能において、全体にわたって一貫した外観を与えるため、同一のグラフィック・エレメントを用いて別々のビューを提供するように構成され、
前記別々のビューの各々は、構成ビュー、オペレータ・ビュー、メンテナンス・ビュー、又はシミュレーション・ビューから選択される」ものではない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点3について先に検討する。
相違点3に係る本願発明1の「別々のグラフィック・ディスプレイは、複数の異なる機能において、全体にわたって一貫した外観を与えるため、同一のグラフィック・エレメントを用いて別々のビューを提供するように構成され、
前記別々のビューの各々は、構成ビュー、オペレータ・ビュー、メンテナンス・ビュー、又はシミュレーション・ビューから選択される」構成は、上記引用文献1-3には記載乃至示唆されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。引用発明では、各ディスプレイクライアントに常駐する(一つの)ディスプレイモジュール100により、複数の異なるビュー、例えば、診断ビュー、オペレータビュー、装置ビュー等を含む、ユーザカスタマイズビューを表示することができるものであり、該ディスプレイモジュール100を、相違点3に係る本願発明1の構成とする動機づけはなく、そのようにすることが当業者に容易に想到し得たとはいえない。
したがって、他の相違点について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明2-6について
本願発明2-6も、本願発明1の「別々のグラフィック・ディスプレイは、複数の異なる機能において、全体にわたって一貫した外観を与えるため、同一のグラフィック・エレメントを用いて別々のビューを提供するように構成され、
前記別々のビューの各々は、構成ビュー、オペレータ・ビュー、メンテナンス・ビュー、又はシミュレーション・ビューから選択される」との構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
平成29年9月29日付けの補正により、補正後の請求項1-6は、「別々のグラフィック・ディスプレイは、複数の異なる機能において、全体にわたって一貫した外観を与えるため、同一のグラフィック・エレメントを用いて別々のビューを提供するように構成され、
前記別々のビューの各々は、構成ビュー、オペレータ・ビュー、メンテナンス・ビュー、又はシミュレーション・ビューから選択される」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A、B(当審拒絶理由における引用文献1、2)には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-6は、当業者であっても、原査定における引用文献A、Bに基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-016660