特許拒絶査定不服審判
2016-015260
情報処理端末およびゲーム装置
- 審判番号
- 2016-015260
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-524965外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年10月11日
- 審決日
- 2017年04月10日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】任天堂株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人深見特許事務所
- 【請求人代理人】石原 盛規
- 分類
- P18 .121-WY (G06F) / P18 .575-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015-524965「情報処理端末およびゲーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月 3日国際公開、WO2016/031028、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)8月28日を国際出願日とする出願であって、平成28年6月30日付けで拒絶理由が通知され、平成28年7月28日付けで手続補正がされ、平成28年8月19日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成28年10月11日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成28年10月28日に前置報告がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(平成28年8月19日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1.本願請求項1-7、10-18に係る発明は、以下の引用文献1-8に記載された発明及び周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.国際公開第2014/061362号
2.特開2014-089578号公報
3.特開2014-061225号公報
4.特開2014-102785号公報(周知技術を示す文献)
5.特開2007-282660号公報
6.実願平4-038224号(実開平6-002424号)のCD-ROM(周知技術を示す文献)
7.Pelican's Third-Party GCN Controller,online,IGN,2001年 8月 6日,http://www.ign.com/articles/2001/08/06/pelicans-third-party-gcn-controller(周知技術を示す文献)
8.ニンテンドーゲームキューブ専用コントローラ エメラルドブルー,online,Amazon,2002年12月 5日,https://www.amazon.co.jp/任天堂-ニンテンドーゲームキューブ専用コントローラ-エメラルドブルー/dp/B00007IRC5/(周知技術を示す文献)
第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正は、補正前の請求項1及び2を削除し、補正前の請求項1の従属項であった請求項2を引用する請求項7を新たな請求項1とするとともに、補正前の独立形式の請求項である請求項18について、新たな請求項1と同旨の補正を行って新たな請求項16としたものであって、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとは認められない。
第4 本願発明
本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、平成28年10月11日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
手持ち式の情報処理端末であって、
本体部と、
前記本体部の主面上の、前記本体部をユーザが両手で把持したときに前記ユーザの一方の手で操作できる位置に配置された方向入力部と、
前記本体部の主面上の、前記本体部を前記ユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置され、前記ユーザの入力操作に応じた方向を検知するポインティングスティックと、
前記本体部の主面上において前記ポインティングスティックと同じ側に配置された1または複数の第1の操作ボタンとを備え、
前記ポインティングスティックの操作部は、前記方向入力部の操作部より小さく、
前記ポインティングスティックは、前記他方の手の親指が第1の操作ボタンに触れている状態において、当該親指の伸びる方向の延長線上に配置される、情報処理端末。
【請求項2】
前記ポインティングスティックは、前記第1の操作ボタンの近傍に配置される、請求項1に記載の情報処理端末。
【請求項3】
前記ポインティングスティックおよび前記第1の操作ボタンは、前記他方の手による選択的な操作が可能な位置に配置される、請求項1または2に記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記ポインティングスティックは、前記本体部を両手で把持するユーザから見て、前記第1の操作ボタンより遠い位置に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項5】
前記ポインティングスティックは、前記本体部の主面上において前記第1の操作ボタンの上側に配置されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記ポインティングスティックの前記操作部は、前記第1の操作ボタンの操作部と実質的に同じ大きさである、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項7】
前記本体部の主面上において、前記方向入力部と同じ側に配置されるとともに、当該方向入力部とは異なる1つの方向入力部をさらに備え、
前記第1の操作ボタンの数は複数である、請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項8】
前記本体部上側の側面に配置された第2の操作ボタンをさらに備え、
前記ポインティングスティックは、前記他方の手による前記第2の操作ボタンとの同時操作が可能な位置に配置される、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項9】
前記ポインティングスティックは、前記第2の操作ボタンを前記他方の手の人差し指で操作している場合に、前記他方の手の親指で操作が可能な位置に配置される、請求項8に記載の情報処理端末。
【請求項10】
前記第2の操作ボタンが配置される前記本体部の面において、当該面の端部側に配置される第3の操作ボタンをさらに備え、
前記ポインティングスティックは、前記他方の手による前記第3の操作ボタンとの同時操作が可能な位置に配置される、請求項8または9に記載の情報処理端末。
【請求項11】
前記方向入力部は、前記ユーザに対する入力操作に応じた方向を検知するアナログ入力部である、請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項12】
前記ポインティングスティックは、前記ユーザの入力操作に応じた歪みを検知し、当該検知された歪みに基づいて、前記ユーザの入力操作の方向を検知し、
前記アナログ入力部は、前記ユーザの入力操作が行なわれる部分の所定の基準に対する移動を検知し、当該検知された移動に基づいて、前記ユーザの入力操作の方向を検知する、請求項11に記載の情報処理端末。
【請求項13】
前記方向入力部は、前記アナログ入力部と、前記ユーザが押下可能な方向ボタンとを含む、請求項11または12に記載の情報処理端末。
【請求項14】
前記本体部の主面上において、前記方向入力部と前記ポインティングスティックとの間に配置されたタッチパネルをさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項15】
前記方向入力部および前記ポインティングスティックの少なくともいずれかに対する前記ユーザの操作に応じて所定の情報処理を実行する情報処理手段をさらに備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項16】
本体部と、
前記本体部の主面上の、前記本体部をユーザが両手で把持したときに前記ユーザの一方の手で操作できる位置に配置された方向入力部と、
前記本体部の主面上の、前記本体部を前記ユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置され、前記ユーザの入力操作に応じた方向を検知するポインティングスティックと、
前記本体部の主面上において前記ポインティングスティックと同じ側に配置された1または複数の第1の操作ボタンとを備え、
前記ポインティングスティックの操作部は、前記方向入力部の操作部より小さく、
前記ポインティングスティックは、前記他方の手の親指が前記第1の操作ボタンに触れている状態において、当該親指の伸びる方向の延長線上に配置される、ゲーム装置。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(1)「【0034】
以下、ゲームシステムを例に情報処理システム及び情報処理装置等の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るゲームシステムは、ユーザが持ち運ぶことが可能な携帯型のゲーム機(情報処理装置)と、一又は複数の操作体とを含んで構成されている。図1は、実施の形態1に係るゲーム機及び操作体の外観を示す模式図である。本実施の形態に係るゲーム機は、略長方形の板状をなす筐体1を備えており、筐体1の正面1aの略中央に表示部2が設けられている。筐体1には、表示部2の左隣の領域に、アナログスティック3a及び十字キー3bが上下に並べて設けてある。また筐体1には、表示部2の右隣の領域に、操作体7を装着する装着部4が上側に設けられ、4つのプッシュボタン3c~3fが下側に設けられている。4つのプッシュボタン3c~3fは、それぞれ略円形をなし、菱形の頂点に対応する位置関係で配置されている。更に筐体1には、表示部2の下隣の領域に、略長方形の3つのプッシュボタン3g~3iが左右に並べて設けてある。本実施の形態に係るゲーム機は、アナログスティック3a~プッシュボタン3iと、装着部4に装着された操作体7とに対するユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容に応じてゲームに係る情報処理を行う。
【0035】
図2は、ゲーム機の装着部4及び操作体7の一構成例を示す模式的拡大斜視図である。操作体7は、略円板形の基部7aの一面に、略十字型の指標部7bが立体的に設けられた構成である。操作体7は、例えば合成樹脂などによる一体成型品として提供され得るものである。また操作体7には、基部7aの周面の2箇所に略円形の凹部7cが形成されている。ただし図2には、2つの凹部7cの内の1つのみを図示してある。これはもう一方の凹部7cが基部7aの周面の略反対側に形成されているためである。
【0036】
ゲーム機の装着部4は、筐体1に形成された凹所として構成され、筐体1の右側面1bに形成された開口4aから操作体7を挿入することで、操作体7を装着することができる。開口4aは略長方形であり、その長さが操作体7の基部7aの直径と略同じ又は該直径より若干長く設定してあり、その幅が操作体7の基部7aの厚さと略同じ又は該厚さより若干長く設定してある。開口4aから続く筐体1の凹所は、奥側が略半円形とされている。また装着部4を構成する凹所には、筐体1の正面1aに開放部4bが形成されており、この開放部4bを通して装着部4に装着された操作体7の指標部7bが外部へ露出するよう構成されている。開放部4bは、凹所の平面形状を一回り小さくした形状をなしており、右側面1bから筐体1の一部を切り欠いた態様で形成されている。
【0037】
また凹所の内側面には、対向する2箇所に位置決め突部4cがそれぞれ設けられている。2つの位置決め突部4cは、例えばバネなどの部材により付勢され、その突出量が変化するよう構成されている。位置決め突部4cは、装着部4へ挿入された操作体7の周面に設けられた凹部7cに挿入されることによって、操作体7の装着位置を定めるためのものである。また装着部4の凹所内において、解放部4bに臨む面積が最も大きい内面4dは、装着された操作体7に対する操作を検知するための圧力センサ、及び、近距離無線通信のためのアンテナが配設されている。この圧力センサ及びアンテナの詳細は後述する。
【0038】
操作体7を装着部4に装着する場合、ユーザは、操作体7を開口4aから凹所内へスライドさせて挿入し、位置決め突部4cのバネなどによる付勢に抗して操作体7を凹所の奥方へ押し込む。位置決め突部4cが凹部7cへ挿入されるまで操作体7をスライドさせることで、ユーザは、操作体7を装着部4に装着することができる。また操作体7を装着部4から取り外す場合、ユーザは、位置決め突部4cのバネなどによる付勢に抗して操作体を開口4aへスライドさせることで、凹部7cへの位置決め突部4cの挿入を解除し、開口4aから装着部4の外部へ操作体7を取り外すことができる。」(段落【0034】-【0038】。下線は当審で付した。以下同様。)
(2)「【0059】
例えば図1及び図2に示すような略十字型の指標部7bが設けられた操作体7がゲーム機の装着部4に装着された場合、まずゲーム機の近距離無線通信部16と操作体7の近距離無線通信部72との間で近距離無線通信が行われる。これにより処理部10は、装着部4に操作体7が装着されたと判断し、情報読取部31が操作体7からの識別情報73aの読み取りを行う。処理部10は、読み取った識別情報73aに基づいて、装着部4に装着された操作体7が、略十字型の指標部7bが設けられた操作体7であると判定することができる。
【0060】
略十字型の指標部7bが設けられた操作体7は、操作部3の十字キー3bと略同じ操作を受け付けるためのものであり、例えばゲームキャラクタの移動操作又はメニューの選択操作等の受け付けに用いられる。以下、この操作体7を、十字キー用の操作体7という。十字キー用の操作体7は、上下左右などの4方向に対する操作を受け付けるためのものである。装着部4に装着された十字キー用の操作体7に対してユーザが指標部7bを押圧した場合、操作体7の基部7aが変位する。この変位が基部7aの底面部分により圧力センサS1~S9へ伝達される。
【0061】
このためゲーム機の処理部10は、十字キー用の操作体7が装着部4に装着された場合には、図5に示した9個の圧力センサS1~S9のうち、上下左右に対応する4個の圧力センサS2、S4、S6、S8に対する加圧の有無に応じた操作検知を操作検知部15にて行う。また処理部10のゲーム処理部32は、操作検知部15にて受け付けた操作を十字キーに対する操作として受け付け、操作体7に対する操作に応じて例えばゲームキャラクタの上下左右方向への移動などのゲーム処理を行う。」(段落【0059】-【0061】)
また、上記(2)の段落【0060】の記載から、十字キー3bは、操作体7は略同じ操作である、上下左右などの4方向に対する操作を受け付けるものといえる。
したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ユーザが持ち運ぶことが可能な携帯型のゲーム機(情報処理装置)であって、
略長方形の板状をなす筐体1と、
前記筐体1の正面1aの略中央に設けられた表示部2と、前記表示部2の左隣の領域に上下に並べて設けられた、アナログスティック3a及び上下左右などの4方向に対する操作を受け付ける十字キー3bと、
前記表示部2の右隣の領域の上側に設けられた装着部4に装着する、上下左右などの4方向に対する操作を受け付ける十字キー用の操作体7と、
前記表示部2の右隣の領域の下側に設けられた4つのプッシュボタン3c~3fとを備えた、
ユーザが持ち運ぶことが可能な携帯型のゲーム機(情報処理装置)。」
2.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1の段落[0057]-[0060]及び図13、17の記載からみて、当該引用文献1には、左手で方向キー19を、右手で操作ボタン11及び右側の操作スティック31bとを操作可能な、ゲーム装置などの情報処理装置のための入力装置として利用される操作デバイス101が記載されていると認められる。
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の段落【0013】-【0030】及び図1の記載からみて、当該引用文献3には、左手の親指により押圧可能な位置に前後左右の十字方向の操作情報を発生させるための十字キー31を配置し、右手の親指により操作又は押圧可能な位置に右側アナログスティック322及び操作ボタン群35を配置した、ゲーム機用のコントローラ本体2が記載されていると認められる。
4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の段落【0033】-【0038】及び図1の記載からみて、当該引用文献4には、歪みセンサ43によって、操作スティック33に作用する傾倒の方向および大きさの信号を検出するポインティングスティック1が記載されていると認められる。
5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5の段落【0050】-【0058】及び図1の記載からみて、当該引用文献5には、その上部側面に動作スイッチ20L(Lボタン)及び動作スイッチ20R(Rボタン)を有するゲーム機10が記載されていると認められる。
6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献6の段落【0009】-【0015】及び図1-3の記載からみて、当該引用文献6には、ジョイスティック本体3とスティック2とからなるジョイスティックに把手1を取付け、この直径を操作者の手の大きさなどの条件に応じて決定するという技術的事項が記載されていると認められる。
7.引用文献7及び8について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献7及び8には、これら文献に含まれる写真の内容からみて、ゲーム機のコントローラが記載されていると認められる。
第6 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「ユーザが持ち運ぶことが可能な携帯型のゲーム機(情報処理装置)」及び「筐体1」は、本願発明1のそれぞれ「手持ち式の情報処理端末」及び「本体部」に相当する。
イ.引用発明において、「表示部2」は、「筐体1の正面1a」に設けられ、「十字キー3b」は「前記表示部2の左隣の領域に設けられ」ていることから、「十字キー3b」は、「筐体1の正面1a」、すなわち、筐体1の主面に設けられているといえ、「筐体1」が「略長方形の板状をなす」ゲーム機を構成することから、筐体1をユーザが両手で把持したときに一方の手で操作できる位置に配置されているといえる。
ウ.また、引用発明の「十字キー3b」は、「上下左右などの4方向に対する操作を受け付ける」ものであるから、方向を入力するためのものといえる。
エ.上記イ.及びウ.から、引用発明の「前記表示部2の左隣の領域に」「設けられた」「上下左右などの4方向に対する操作を受け付ける十字キー3b」は、本願発明1の「前記本体部の主面上の、前記本体部をユーザが両手で把持したときに前記ユーザの一方の手で操作できる位置に配置された方向入力部」に相当するといえる。
オ.引用発明の「十字キー用の操作体7」は、「上下左右などの4方向に対する操作を受け付ける」、すなわち、「ユーザの入力操作に応じた方向を検知する」ものといえ、「表示部2の右隣の領域の上側に設けられた装着部4に装着する」ことから、筐体1の主面上の、前記筐体1をユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置されるものといえる。
カ.また、引用発明の「十字キー用の操作体7」と、本願発明1の「ポインティングスティック」とは、「操作部」であるといえる点で共通する。
キ.上記オ.及びカ.から、引用発明の「前記表示部2の右隣の領域の上側に設けられた装着部4に装着する、上下左右などの4方向に対する操作を受け付ける十字キー用の操作体7」と、本願発明1の「前記本体部の主面上の、前記本体部を前記ユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置され、前記ユーザの入力操作に応じた方向を検知するポインティングスティック」とは、「前記本体部の主面上の、前記本体部を前記ユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置され、前記ユーザの入力操作に応じた方向を検知する操作部」である点で共通する。
ク.引用発明において、「表示部2」は、「筐体1の正面1a」に設けられ、「4つのプッシュボタン3c~3f」は、「前記表示部2の右隣の領域の下側に設けられ」ているから、「4つのプッシュボタン3c~3f」は、「筐体1の正面1a」、すなわち、筐体1の主面に設けられているといえる。
ケ.また、引用発明において、「4つのプッシュボタン3c~3f」及び「十字キー用の操作体7」は、いずれも「表示部2の右隣の領域」に設けられていることから、両者は「同じ側に配置され」ているといえる。
コ.したがって、引用発明の「前記表示部2の右隣の領域の下側に設けられた4つのプッシュボタン3c~3f」と、本願発明1の「前記本体部の主面上において前記ポインティングスティックと同じ側に配置された1または複数の第1の操作ボタン」とは、「前記本体部の主面上において前記操作部と同じ側に配置された1または複数の第1の操作ボタン」である点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「手持ち式の情報処理端末であって、
本体部と、
前記本体部の主面上の、前記本体部をユーザが両手で把持したときに前記ユーザの一方の手で操作できる位置に配置された方向入力部と、
前記本体部の主面上の、前記本体部を前記ユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置され、前記ユーザの入力操作に応じた方向を検知する操作部と、
前記本体部の主面上において前記操作部と同じ側に配置された1または複数の第1の操作ボタンとを備えた、情報処理端末。」
(相違点1)
上記一致点の「前記本体部の主面上の、前記本体部を前記ユーザが両手で把持したときに前記ユーザの他方の手で操作できる位置に配置され、前記ユーザの入力操作に応じた方向を検知する操作部」に関し、本願発明1のものは「ポインティングスティック」であるのに対し、引用発明のものは「十字キー用の操作体7」である点。
(相違点2)
本願発明1が「前記ポインティングスティックの操作部は、前記方向入力部の操作部より小さく、前記ポインティングスティックは、前記他方の手の親指が第1の操作ボタンに触れている状態において、当該親指の伸びる方向の延長線上に配置される」との構成を有するのに対し、引用発明はそのような構成について特定していない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
上記「第3 引用文献、引用発明等」で述べたとおり、引用文献1には、左手で方向キー19を、右手で操作ボタン11及び右側の操作スティック31bとを操作可能な操作デバイス101が、引用文献3には、左手の親指により押圧可能な位置に前後左右の十字方向の操作情報を発生させるための十字キー31を配置し、右手の親指により操作又は押圧可能な位置に右側アナログスティック322及び操作ボタン群35を配置したコントローラ本体2が、引用文献4には、歪みセンサ43によって、操作スティック33に作用する傾倒の方向および大きさの信号を検出するポインティングスティック1が、引用文献5には、その上部側面に動作スイッチ20L(Lボタン)及び動作スイッチ20R(Rボタン)を有するゲーム機10が、引用文献6には、ジョイスティック本体3とスティック2とからなるジョイスティックに把手1を取付け、この直径を操作者の手の大きさなどの条件に応じて決定するという技術的事項が、そして、引用文献7及び8には、ゲーム機のコントローラが、それぞれ記載されている。
しかしながら、相違点2に係る本願発明の構成は、引用文献1-8に記載されておらず、示唆もされていない。また、本願出願前において周知技術であるともいえない。
したがって、相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献1、3-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.請求項2-16について
本願発明2-15は、本願発明1をさらに限定したものであり、また、本願発明16は、本願発明1冒頭の「手持ち式の情報処理端末であって、」を除き、末尾の「情報処理端末」を「ゲーム装置」に変更しただけのものであるから、本願発明1と同様に、当業者であっても引用発明及び引用文献1、3-8に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定について
審判請求時の補正により、補正後の本願発明1-16は、上記「第5 当審の判断」で述べた相違点2に係る構成を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-8に基づいて、容易に発明できたものとは認められない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2016-015260