特許拒絶査定不服審判
2016-015088
車両のドアフレームに細長いストリップを貼付する方法
- 審判番号
- 2016-015088
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-527137
- 請求日
- 2016年10月06日
- 審決日
- 2018年01月30日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】池田 成人
- 【請求人代理人】清水 義憲
- 【請求人代理人】酒巻 順一郎
- 【請求人代理人】柳 康樹
- 【請求人代理人】鈴木 英彦
- 【請求人代理人】阿部 寛
- 審判長/審判官
- 審判長 島田 信一
- 審判官 一ノ瀬 覚
- 審判官 氏原 康宏
- 分類
- P18 .121-WZ (B62D) / P18 .536-WZ (B62D) / P18 .537-WZ (B62D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-527137号「車両のドアフレームに細長いストリップを貼付する方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 3月 8日国際公開、WO2012/030635、平成25年11月28日国内公表、特表2013-542873号〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)8月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年9月3日 (EP)欧州特許庁)を国際出願日とするものであって、平成26年8月22日に手続補正書が提出され、平成27年7月16日付けで拒絶理由が通知されたが、意見書あるいは手続補正書の提出はなく、平成28年5月31付けで拒絶査定がされ、同年10月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後、当審において平成29年4月5日付けで拒絶理由が通知され、同年10月2日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
第2 当審の判断
1 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年10月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「細長いストリップを車両のボディのドアフレームに取り付ける方法であって、前記方法は、
(i)駆動手段、
(ii)ピンローラ、
(iii)前記駆動手段と前記ピンローラとの間に位置付けられ、かつ1つ以上のセンサユニットを備える応力制御ユニット、及び
(iv)前記駆動手段を制御するための制御ユニット、
を備える装置を用いて細長いストリップの貼付を含み、前記細長いストリップの貼付は、前記駆動手段によって前記細長いストリップを前進させる工程と、前記ピンローラを用いて前記ドアフレームに前記細長いストリップを位置決めし、押圧し、及び/又は回転させる工程と、前記応力制御ユニット及び前記駆動手段を制御するための前記制御ユニットを用いて前記細長いストリップの応力を制御する工程と、を含み、それにより、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサユニットは、前記細長いストリップの応力を測定し、前記制御ユニットは、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサによる前記細長いストリップの応力の測定に基づいて、前記細長いストリップの応力を所望の応力範囲内に維持するために、前記駆動手段を制御し、
前記細長いストリップが、ゴムガスケットと、第1及び第2の主面を有するフォーム層及び該フォーム層の前記第1の主面に関連付けられた感圧性接着剤層を含む接着テープと、を含み、前記感圧性接着剤が架橋ゴムを含み、前記フォーム層が、アルキル基中に平均で3~14個の炭素原子を有する1つ以上のアルキルアクリレートのアクリルポリマーを含み、前記フォーム層の密度が少なくとも540kg/m3であり、前記ゴムガスケットが、前記フォーム層の前記第2の主面に関連付けられた追加の接着剤層を介して前記接着テープに取り付けられている、方法。」
2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
(1)引用文献1の記載事項
当審の拒絶の理由に「引用文献1」として示され、本願の優先日前に頒布された特表2010-504263号公報には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下同様。)
ア 「【請求項1】
細長いストリップを基部に貼付するための装置であって、
前記細長いストリップを前進させるための駆動手段(5)と、
前記細長いストリップを基部上で、位置決め、押圧および回転の少なくとも1つを行うための貼付ユニット(9)と、
前記細長いストリップの応力を制御するための応力制御ユニット(8)であって、前記駆動手段(5)と貼付ユニット(9)との間の領域において、前記細長いストリップ(1)の応力レベルを測定するための少なくとも1つのセンサユニット(17;19)を含む応力制御ユニット(8)と、
前記センサユニット(8)によって測定された前記細長いストリップの応力の状態に基づいて前記駆動手段(5)を制御するための制御ユニット(21)と、を備える装置。」
イ 「【請求項12】
ストリップを基部に貼付する方法であって、駆動手段(5)によって細長いストリップを前進させることと、貼付ユニット(9)によって前記細長いストリップを基部上で、位置決め、押圧および回転の少なくとも1つを行うことと、応力制御ユニット(8)によって前記細長いストリップの応力を制御することと、前記駆動手段と貼付ユニットとの間の領域に位置決めされたセンサユニットによって前記細長いストリップの前記応力レベルを測定することと、前記センサユニットによって測定された前記細長いストリップの前記応力レベルに基づいて前記駆動手段(5)を制御することと、を含む、方法。」
ウ 「【0013】
従って、引張応力および圧縮応力の双方とも、特に幾何学的形状の基部に貼付される細長いストリップ、例えば、車体のドア開口部に沿って設けられたウェザーストリップの隅部においては、細長いストリップの基部からの緩みをもたらし得る。」
エ 「【0016】
従って、本発明は、例えば弾性材料のストリップ、一般に細長いストリップを基部へ貼付するための装置に関する。一般的に、細長いストリップは、一般にライナと称される除去可能な保護カバーシートを有する接着剤層をさらに含み、保護カバーシートは、一般に基部へのストリップの最終貼付のために感圧接着剤層の表面を保護する働きをする。細長いストリップを、駆動手段によって前進または駆動させる。これらの駆動手段は、例えば、細長いストリップを、反対に作用する案内レールに対して押圧する前進ローラであってもよい。一実施形態では、駆動手段は少なくとも1つの、好ましくは2つのベルト駆動手段である。一層好ましくは、そのようなベルト駆動手段を、互いに対向させて配置し、それにより、細長いストリップの対向面を接触させる。好ましくは、駆動手段を独立して駆動させる。一層好ましくは、駆動手段は、細長いストリップを貼付位置に前進させる働きをするだけでなく、例えば、伸縮力により細長いストリップに蓄積された応力に影響を与える働きもする。」
オ 「【0034】
それゆえ、図1に、接着剤層を備える細長いストリップ1を車体3のアパーチャまたは開口部2へ貼付するための装置(または手順)を示す。図示のように、エンドレスの細長いストリップまたはシール1が供給ロール4からもたらされる。ストリップはロール4から剥離され、駆動手段29によって前進させられる。それに加えてまたはその代わりに、装置は、細長いストリップをスリップすることなくさらに前進させるために、対向するベルト駆動手段5を備える。以下説明するように、駆動手段5を一般的にピンローラ9付近に配置する。一般に、駆動手段5とピンローラ9との間の距離は、約100~300mmの範囲、例えば約150~250mmの範囲または約170~220mmの範囲である。一般に、この距離は、駆動手段5の端部とピンローラ9の中心点または軸との間を測定したものである。一般的に、この距離は、ピンローラ9と駆動手段5との間の、細長いストリップが駆動手段5およびピンローラ9に接触しない細長いストリップの自由長に対応する。駆動手段5によってもたらされる細長いストリップの前進方向から見ると、細長いストリップ1の接着剤層を覆うライナ6を駆動手段5の後側で除去する。ライナ6を制御された方法で個々の手段31によって除去し処分する。ライナ6を除去し処分する個々の手段31は任意選択であり、細長いストリップがライナを有するかどうかにより、それらは設けられる。
【0035】
センサ測定の特定の位置により、細長いストリップ1の前進方向から見た場合に細長いストリップが駆動手段5に達する前に有している初期応力による影響を受けずに、細長いストリップの応力を信頼性高く制御することができる。
・・・
【0038】
装置はさらに、直接または貼付直前に、制御され再現性のある方法で細長いストリップの応力を制御するための応力制御ユニット8を含む。
【0039】
装置は、制御された方法で細長いストリップを基部、ここでは車体のフランジ10上に位置決めし、押圧しおよび/またはそこで回転させるためのピンローラ9、好ましくは従動ピンローラ9をさらに含む。」
カ 「【0043】
図2に、本発明による装置およびプロセスの概略図を示す。それゆえ、細長いストリップ1は、駆動手段5によって前進させられるかまたは駆動される。図2に示すように、駆動手段5は、ベルト駆動手段5’および5’’で構成される。本発明によれば、駆動手段5は、当該技術分野において公知の別の駆動手段、例えば駆動ローラなどで構成されてもよい。しかしながら、ベルト駆動手段、とりわけ、対向するベルト駆動手段が好ましい。なぜなら、そのような駆動手段は、細長いストリップ1の特に制御された、正確でスリップのない駆動を可能にするためである。
【0044】
さらに、図2に、細長いストリップ1を、制御された方法で基部13に位置決めし、押圧しおよび/またはそこで回転させるピンローラ9を示す。ピンローラ9のトルクは調整可能であり、ピンローラ9は好ましくはモータM15によって駆動される。特定の実施形態によれば、モータM15を使用して、ピンローラ9の回転モーメントとしてのトルクを制御する。モータM15を設けることによって、規定の応力レベル、例えば、規定の歪みまたは伸張において細長いストリップを基部へ貼付することが可能となる。しかしながら、モータM15を設けることは一つの特定の実施形態であり、ピンローラ9は、モータM15が設けられていなくても動作してよい。この場合、細長いストリップを、応力のない状態において基部に貼付する。
【0045】
図2から分かるように、本発明による装置は、細長いストリップが応力下、特に、引張応力または圧縮応力下にあるかどうかに応じて制御するための応力制御ユニット8を含む。応力制御ユニット8は、駆動手段5とピンローラ9との間の領域にある細長いストリップの応力を検出するために配置されかつそれに好適なセンサユニット17を含む。一般的に、センサユニット17は、オドメータ、またはストリップの応力の状態に起因するストリップの変位を検出および/または測定する変位変換器である。実施形態によれば、センサユニット17は、図3を参照して以下詳細に説明するようにフォーク状レバー機構である。
【0046】
センサユニット17は、細長いストリップ1の応力の状態を検出し、細長いストリップ1の応力を示す個々の信号を生成し、かつこの信号を応力制御ユニット8の制御ユニット21に提供する。応力制御ユニットは、評価・制御手段21をさらに含んでもよく、それは、センサ手段17によってもたらされたセンサ信号に基づいて、駆動手段5への入力信号を生成する。駆動手段5の速度および/またはモーメントを、応力制御ユニット17から受信した入力信号に従って変化させる。それにより、矢印Aで示す細長いストリップ1の供給方向から見た駆動手段の後側かつピンローラの前側での細長いストリップ1の応力、従って、基部への貼付時における応力を調整できる。
【0047】
一実施形態では、ピンローラ9は被駆動ピンローラである。この特定の実施形態を、図2にシステムBとして示す。ここでは、ピンローラ9はモータM15によって駆動される。被駆動ピンローラ9は、モータM15を設けることにより調整可能なトルクを有する。ピンローラ9が被駆動ピンローラである場合、応力制御ユニット8は、ピンローラ9の角度位置などの情報を検出するための第2のセンサユニット19をさらに含んでもよい。個々の信号はまた、応力制御ユニット8にもたらされる。応力制御ユニット8は、センサユニット17および19によってもたらされた信号に基づいて駆動手段5および/またはピンローラ9/モータM15に出力命令を提供する。」
(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)の各摘示事項と【図1】~【図4】の記載から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。(なお、引用文献1の段落【0053】及び【図3a】において、「ピボット」に対しても符号21が付されているが、引用発明の認定においては、符号21は「制御ユニット」に対し用いた。)
「細長いストリップ(1)を車体(3)のドア開口部(2)に貼付する方法であって、駆動手段(5)によって細長いストリップ(1)を前進させることと、ピンローラ(9)によって前記細長いストリップ(1)を基部上で、位置決め、押圧および回転の少なくとも1つを行うことと、応力制御ユニット(8)によって前記細長いストリップ(1)の応力を制御することと、前記駆動手段(5)とピンローラ(9)との間の領域に位置決めされた少なくとも1つのセンサユニット(17)によって前記細長いストリップ(1)の前記応力レベルを測定することと、前記センサユニット(17)によって測定された前記細長いストリップ(1)の前記応力レベルに基づいて、制御ユニット(21)により前記駆動手段(5)を制御し、
前記細長いストリップ(1)が、感圧接着剤層を備えるウェザーストリップである方法。」
(3)引用文献2の記載事項
当審の拒絶の理由に「引用文献2」として示され、本願の優先日前に頒布された特表2010-512428号公報には、次の事項が記載されている。
ア 「【請求項1】
感圧性接着剤であって、
(a)式R-(G)m(式中、mは1又は2である)の直鎖ブロックコポリマーと、
(b)式Qn-Y(式中、
(i)Qは多腕ブロックコポリマーの腕を表し、各腕は独立して式G-Rを有し、
(ii)nは腕の数を表し、少なくとも3の整数であり、
(iii)Yは多官能性カップリング剤の残基である)の多腕ブロックコポリマーと、
(式中、各Rは重合共役ジエン、重合共役ジエンの水素添加誘導体、又はこれらの組み合わせを含むゴム状ブロックであり、各Gは重合モノビニル芳香族モノマーを含むガラス状ブロックである)
(c)少なくとも60℃のTgを有する第1高Tg粘着付与剤であって、主にゴム状ブロックに適合する第1高Tg粘着付与剤と、
(d)少なくとも60℃のTgを有する第2高Tg粘着付与剤であって、主にガラス状ブロックに適合する第2高Tg粘着付与剤と、
(e)低Tg粘着付与剤、可塑剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される成分の少なくとも1種と、を含む、感圧性接着剤。」
イ 「【0063】
図1を参照すると、本開示のある実施形態による代表的なテープ10は、裏材(又は芯)30及び2つの接着層を含む。第1接着層20は、裏材30の第1主表面31に接着し、一方第2接着層40は裏材30の第2主表面32に接着している。図1に示すように、第1接着層20及び第2接着層40は両方、裏材30の主表面に直接接着している。ある実施形態では、一方又は両方の接着層を、裏材30に間接的に接着することができる。例えば、ある実施形態では、1層又はそれ以上の追加層(例えば、下塗、接着促進層、フィルム、ウェブ、スクリム等)を、裏材と接着層との間に挿入することができる。」
ウ 「【0066】
ある実施形態では、接着界面は、裏材の第1主表面に接着している第1スキン接着剤と、裏材の第2主表面に接着している第2スキン接着剤とを有する裏材を含む。スキン接着剤の少なくとも1つは、本明細書で記載するような、直鎖ブロックコポリマーと、多腕ブロックコポリマーと、少なくとも2種の高Tg粘着付与剤とを含む感圧性接着剤を含む。ある実施形態では、第1スキン接着剤と第2スキン接着剤は両方、本明細書で記載するような、直鎖ブロックコポリマーと、多腕ブロックコポリマーと、少なくとも2種の高Tg粘着付与剤とを含む。」
エ 「【0078】
ある実施形態では、第1及び/又は第2接着剤を硬化してもよい。例えば熱硬化及び放射線硬化等の、任意の既知の硬化プロセスを用いることができる。ある実施形態では、接着剤の一方又は両方を、例えば電子ビーム照射又は紫外線等の化学線への曝露を介して架橋してもよい。」
オ 「【0081】
アクリルポリマーの調製
45部のIOA、45部のBA、10部のAA、0.15部のイルガキュア651、及び0.06部のIOTGを混合することにより、アクリルポリマー(AP-1)を調製した。包装フィルム(CTフィルム(テキサス州ダラス(Dallas)からVA-24フィルムとして販売されている厚さ0.0635mmのエチレンビニルアセテートコポリマーフィルム)から目立たない(Discreet)フィルム包装を形成した。AP-1組成物を、約10センチメートル(cm)×5cm×厚さ0.5cmと測定されたフィルム包装内に密封した。約21℃と約32℃の間に維持された水浴中に浸漬している間、包装を、約3.5ミリワット/平方センチメートル(mW/sq cm)の強度及びNIST単位で測定したとき約1680ミリジュール/平方センチメートル(mJ/sq cm)の総エネルギーを有する紫外線(UV)に曝露した。包装の形成及び硬化方法は、米国特許第5,804,610号の実施例1に記載されており、その全文を参照することにより組み込むこととする。
【0082】
85部の2-EHA、15部のAA、0.15部のイルガキュア651及び0.8部のIOTGを用いたことを除き、AP-1の手順に従ってアクリルポリマー2(AP-2)を調製した。同様に、95部の2-EHA、5部のAA、0.15部のイルガキュア651、及び0.03部のIOTGを用いたことを除き、アクリルポリマー1の手順に従ってアクリルポリマー3(AP-3)を調製した。AP-2及びAP-3の組成物を、AP-1の手順に従って、包装内に入れ、紫外線エネルギーに曝露した。」
カ 「【0083】
第1スキン接着剤
表2に示す組成物による感圧性接着剤を、60mmの共回転2軸押出成形機(バーストルフ(Berstorff)から入手可能)(第1接着剤押出成形機)を用いて配合した。・・・」
キ 「【0086】
第2スキン接着剤
・・・組成であることを除き、第1スキン接着剤で記載したのと同じ方式で、感圧性接着剤を60mmの共回転2軸押出機(バーストルフ(Berstorff)から入手可能)(「第2接着剤押出成形機」)内で配合した。」
ク 「【0087】
両面発泡体テープ試料
表4に示す組成を有する発泡体裏材(FC1~FC2)を、以下の手順に従って配合した。・・・」(合議体注:「表4」は「表3」の誤記と認める。)
ケ 段落【0088】の【表3】は次のとおり。
コ 「【0089】
3層の共押出テープ試料を、第1スキン接着層、中間層としての発泡体裏材層、及び第2スキン接着層を共押出成形することにより調製した。・・・」
サ 「【0092】
発泡体裏材及び両方の接着スキンを、ライナ上に支持されている間、電子ビーム硬化を用いてウェブ上で架橋した。・・・」
(4)引用文献2に記載された技術的事項
上記(3)の各摘示事項と【図1】の記載から、引用文献2には、次の技術的事項(以下「引用文献2技術」という。)が記載されているものと認める。
「第1主表面(31)及び第2主表面(32)を有する発泡体裏材(30)及び該発泡体裏材(30)の前記第1主表面(31)に接着された感圧性の第1スキン接着剤からなる第1接着層(20)と、前記第1スキン接着剤が架橋されており、前記発泡体裏材(30)は、AP-3を90.22重量部%、AP-2を6.6重量部%含み、発泡体密度は0.54g/cm3の組成物FC-1、AP-3を86.33重量部%、AP-2を9.59重量部%含み、発泡体密度は0.54g/cm3の組成物FC-2で、前記発泡体裏材(30)の前記第2主表面(32)に接着された感圧性の第2スキン接着剤からなる第2接着層(40)を有するテープ(10)。」
3 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「細長いストリップ(1)」は前者の「細長いストリップ」に相当し、以下同様に、「車体(3)のドア開口部(2)」は「車両ボディのドアフレーム」に、「駆動手段(5)」は「駆動手段」に、「ピンローラ(9)」は「ピンローラ」にそれぞれ相当する。
また、本願明細書の段落【0124】の「応力制御ユニット8は、駆動手段5とピンローラ9との間の領域にある細長いストリップの応力を検出するために配置されかつ検出に適したセンサユニット17を備えている。」という記載及び段落【0125】の「センサユニット17は、細長いストリップ1の応力の状態を検出し、細長いストリップ1の応力を示す対応の信号を生成し、かつこの信号を応力制御ユニット8の制御ユニット21に提供する。」という記載と、上記2(1)カの段落【0045】及び【0046】の記載を踏まえると、後者の「応力制御ユニット(8)」は前者の「応力制御ユニット」に相当し、以下同様に、「センサユニット(17)」は「センサユニット」に、「制御ユニット(21)」は「制御ユニット」に相当するといえる。
(2)上記(1)を踏まえると、後者の
「細長いストリップ(1)を車体のドア開口部に貼付する方法であって、駆動手段(5)によって細長いストリップ(1)を前進させることと、ピンローラ(9)によって前記細長いストリップ(1)を基部上で、位置決め、押圧および回転の少なくとも1つを行うことと、応力制御ユニット(8)によって前記細長いストリップ(1)の応力を制御することと、前記駆動手段(5)とピンローラ(9)との間の領域に位置決めされた少なくとも1つのセンサユニット(17)によって前記細長いストリップ(1)の前記応力レベルを測定することと、前記センサユニット(17)によって測定された前記細長いストリップ(1)の前記応力レベルに基づいて、制御ユニット(21)により前記駆動手段(5)を制御する」
という事項は、前者の
「細長いストリップを車両のボディのドアフレームに取り付ける方法であって、前記方法は、
(i)駆動手段、
(ii)ピンローラ、
(iii)前記駆動手段と前記ピンローラとの間に位置付けられ、かつ1つ以上のセンサユニットを備える応力制御ユニット、及び
(iv)前記駆動手段を制御するための制御ユニット、
を備える装置を用いて細長いストリップの貼付を含み、前記細長いストリップの貼付は、前記駆動手段によって前記細長いストリップを前進させる工程と、前記貼付ヘッドを用いて前記ドアフレームに前記細長いストリップを位置決めし、押圧し、及び/又は回転させる工程と、前記応力制御ユニット及び前記駆動手段を制御するための前記制御ユニットを用いて前記細長いストリップの応力を制御する工程と、を含み、それにより、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサユニットは、前記細長いストリップの応力を測定し、前記制御ユニットは、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサによる前記細長いストリップの応力の測定に基づいて、前記細長いストリップの応力を所望の応力範囲内に維持するために、前記駆動手段を制御」する
という事項に相当するといえる。
(3)してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
[一致点]
「細長いストリップを車両のボディのドアフレームに取り付ける方法であって、前記方法は
(i)駆動手段、
(ii)貼付ヘッド、
(iii)前記駆動手段と前記貼付ヘッドとの間に位置付けられ、かつ1つ以上のセンサユニットを備える応力制御ユニット、及び
(iv)前記駆動手段を制御するための制御ユニット、
を備える装置を用いて細長いストリップの貼付を含み、前記細長いストリップの貼付は、前記駆動手段によって前記細長いストリップを前進させる工程と、前記貼付ヘッドを用いて前記ドアフレームに前記細長いストリップを位置決めし、押圧し、及び/又は回転させる工程と、前記応力制御ユニット及び前記駆動手段を制御するための前記制御ユニットを用いて前記細長いストリップの応力を制御する工程と、を含み、それにより、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサユニットは、前記細長いストリップの応力を測定し、前記制御ユニットは、前記応力制御ユニットの前記1つ以上のセンサによる前記細長いストリップの応力の測定に基づいて、前記細長いストリップの応力を所望の応力範囲内に維持するために、前記駆動手段を制御する、方法。」
[相違点]
「細長いストリップ」に関し、本願発明が、「ゴムガスケットと、第1及び第2の主面を有するフォーム層及び該フォーム層の前記第1の主面に関連付けられた感圧性接着剤層を含む接着テープと、を含み、前記感圧性接着剤が架橋ゴムを含み、前記フォーム層が、アルキル基中に平均で3~14個の炭素原子を有する1つ以上のアルキルアクリレートのアクリルポリマーを含み、前記フォーム層の密度が少なくとも540kg/m3であり、前記ゴムガスケットが、前記フォーム層の前記第2の主面に関連付けられた追加の接着剤層を介して前記接着テープに取り付けられている」ものであるのに対し、引用発明は、「感圧接着剤層を備えるウェザーストリップ」であって、ウェザーストリップ自体の材質及び感圧接着剤層の詳細な構成の特定がない点。
(4)次に、上記相違点について検討する。
ア 例えば、引用文献1において、【背景技術】を説明する段落【0003】に「接着面を備えるストリップを、基部へ貼付けるための方法および装置は、当該技術分野で周知である。例えば、ゴムまたは他の弾性異形材が、例えば自動車および冷蔵庫のドアに使用される防水および/または気密シール作製用として知られている。」、同【0005】に「自動車のドアまたはトランクの開口部のシールに使用されるゴムまたは他の弾性異形材を付着するために特に好適なテープは、3M社(3M Company)(3M Deutschland GmbH、独国ノイス(Neuss,Germany))から入手可能である。例として、一方の側に弾性異形材に接合するための加熱活性化接着剤、および他方の側に、テープされた弾性異形材をドア開口部に付着するための粘着性感圧接着剤を備える二機能性の接着テープ、またはそれぞれの側に感圧接着剤を含むテープが挙げられる。」と記載されるように、車両のボディのドアフレームに取り付けるウェザーストリップを、ゴムガスケットと、両面に感圧接着剤を有するテープを当該ゴムガスケットに貼り付けて構成することは、本願の優先日前の技術常識といえるものである。
イ そして、引用文献2技術の「第1主表面(31)」は本願発明の「第1の主面」に、以下同様に「第2主表面(32)」は「第2の主面」に、「発泡体裏材(30)」は「フォーム層」に、「第1主表面(31)に接着された感圧性の第1スキン接着剤からなる第1接着層(20)」は「第1の主面に関連付けられた感圧性接着層」に、「第2主表面(32)に接着された感圧性の第2スキン接着剤からなる第2接着層(40)」は「第2の主面に関連付けられた追加の接着剤層」、「テープ(10)」は「接着テープ」に相当するといえる。
さらに、引用文献2には「AP-2」、「AP-3」の説明として、「85部の2-EHA、15部のAA、0.15部のイルガキュア651及び0.8部のIOTGを用いたことを除き、AP-1の手順に従ってアクリルポリマー2(AP-2)を調製した。同様に、95部の2-EHA、5部のAA、0.15部のイルガキュア651、及び0.03部のIOTGを用いたことを除き、アクリルポリマー1の手順に従ってアクリルポリマー3(AP-3)を調製した。AP-2及びAP-3の組成物を、AP-1の手順に従って、包装内に入れ、紫外線エネルギーに曝露した。」(上記2(3)エの段落【0082】)と記載されている。
ウ ここで、本願発明の「フォーム層」の実施例2として、発明の詳細な説明に具体的に記載されるのは、「表4のアクリルポリマー2(AP-2)は、85部の2-EHA、15部のAA、0.15部のIRGACURE(商標)651、及び0.8部のIOTGを重合することにより得た。同様に、アクリルポリマー3(AP-3)は、90部の2-EHA、10部のAA、0.15部のIRGACURE(商標)651、及び0.03部のIOTGを重合することにより得た。」(本願明細書の段落【0153】)というものである。
エ 引用文献2の「紫外線エネルギーに曝露」することは、いわゆる光重合を行っていることに相当することは技術的に明らかであるから、上記イとウを対比すると、本願発明の「フォーム層」と引用文献2技術の「発泡体裏材(30)」は、同種の原材料を配合して重合することにより製造されている2種のアクリルポリマーを含むことが把握できる。そして、引用文献2技術の「0.54g/cm3」を換算すれば、「540kg/m3」ということになるので、結局のところ、引用文献2技術の「発泡体裏材(30)」は、本願発明の「フォーム層」の「アルキル基中に平均で3~14個の炭素原子を有する1つ以上のアルキルアクリレートのアクリルポリマーを含み」、「密度が少なくとも540kg/m3であり」という事項を充足するものといえる。
オ そして、引用文献2の段落【0094】には、作成される「テープ(10)」が「自動車塗料への接着を試験した」ものであることが記載されており、車体に貼付するものであることの示唆があること、及び、上記アの技術常識を併せてみれば、引用発明の「ウェザーストリップ」の材質をゴムとし、引用文献2技術を引用発明の「接着剤層」として採用することの動機付けは充分にあるといえる。
カ また、引用文献2技術の「第1スキン接着剤が架橋されており」ということについて、その材料は、上記2(3)アに示される要件を満たすものであるところ、本願発明の「架橋ゴム」を説明する「感圧性接着剤層の架橋ゴムは、次式の直鎖ブロックコポリマーの架橋によって得てもよい。
R-(G)m
(式中、Rはゴム状ブロックを表し、Gはガラス状ブロックを表し、ガラス状ブロックの数であるmは1又は2である。)いくつかの実施形態では、mは1であり、直鎖ブロックコポリマーは1個のゴム状ブロックと1個のガラス状ブロックを含むジブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、mは2であり、直鎖ブロックコポリマーは、2個のガラス状末端ブロックと1個のゴム状中央ブロックを含む、即ち、直鎖ブロックコポリマーはトリブロックコポリマーである。」(本願明細書の段落【0084】)という記載と併せてみれば、引用文献2技術の「第1スキン接着剤」も実質的に「架橋ゴムを含む」といえるものである。仮にそこまでいえないとしても、感圧接着剤として架橋ゴムを含むものは特段文献を例示するまでもなく周知のものであり、このようなものを選択することは設計的事項にすぎない。
キ 以上のとおりであるから、引用発明において引用文献2技術(ないし周知技術)を採用することにより、上記相違点に係る本願発明の事項を有するものとすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
また、本願発明が奏する作用効果についても、引用発明、引用文献2技術(ないし周知技術)及び技術常識から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。
よって、本願発明は、引用発明、引用文献2技術(ないし周知技術)及び技術常識に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2技術(ないし周知技術)及び技術常識に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-015088