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特許拒絶査定不服審判

2016-015046

カーテンエアバッグ装置

審判番号
2016-015046
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-148508外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年10月06日
審決日
2017年06月13日
公報発行日
2017年07月28日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (B60R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

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特願2014-148508号「カーテンエアバッグ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月12日出願公開、特開2015- 44573号、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年7月22日(優先権主張 平成25年7月30日)の出願であって、平成28年2月19日付けで拒絶理由が通知され、同年4月1日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、同年10月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、その後当審において平成29年3月30日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年4月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月12日に再度意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1~6に係る発明(以下「本願発明1」~「本願発明6」という。)は、平成29年5月12日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~6に記載された事項により特定されるとおりと認められることろ、独立請求項に係る本願発明1及び5は次のとおりである。 (1)本願発明1 「車両の車室側面上方に巻回され車両前後方向に長尺な状態で収納されるクッション部と、 前記クッション部を該クッション部の上面から車外側にわたって覆い該クッション部の展開方向を規制する車両前後方向に長尺な樹脂製のプロテクタとを備え、 前記プロテクタは、前記クッション部を前記プロテクタに係止するテープを巻き付けるテープ巻きエリアを有し、 前記クッション部は、前記プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジからはみ出して膨張展開し、 前記プロテクタの前記エッジは、鈍い形状を有し、 前記プロテクタは、収納状態の前記クッション部に接触する内面と、車両のルーフサイドレールに面する外面とを備え、 前記プロテクタの長手方向に直交する断面において、前記エッジのうち、前記内面と前記外面との間隔である該プロテクタの厚みを等分割する中心線よりも前記外面の側に前記プロテクタのパーティングラインが設けられていて、前記エッジのうち、前記内面の側は曲面で形成されていることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。」 (2)本願発明5 「車両の車室側面上方に巻回され車両前後方向に長尺な状態で収納されるクッション部と、 前記クッション部を該クッション部の上面から車外側にわたって覆い該クッション部の展開方向を規制する車両前後方向に長尺な樹脂製のプロテクタとを備え、 前記プロテクタは、前記クッション部を前記プロテクタに係止するテープを巻き付けるテープ巻きエリアを有し、 前記クッション部は、前記プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジからはみ出して膨張展開し、 前記プロテクタの前記エッジは、鈍い形状を有し、 前記鈍い形状は、鈍角を含み、 前記鈍角は、前記プロテクタのパーティングラインであることを特徴とするカーテンエアバッグ装置。」 第3 原査定の理由について 1 原査定の理由の概要 請求項1~6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献:特開2012-179923号公報 2 原査定の理由の判断 (1)引用文献に記載された発明 引用文献の段落【0021】の「カーテンエアバッグ装置100は、矢印178で示すような揺動が生じないようにルーフサイドレール110に固定される。」との記載及び【図1】、【図5】、【図7】の記載より、プロテクタ180はルーフサイドレール110に面する外面を備えていることは明らかといえる。また、段落【0027】の「その内面でクッション部140に接触してクッション部140を被覆する」という記載は、クッション部140が収納状態である「図5(c)等」における状態の説明文であることから、クッション部140の収納状態において内面がクッション部140に接触していることも明らかといえる。 以上のことと、引用文献の【請求項1】、段落【0014】~【0017】、【0023】~【0026】、【0031】、【0042】~【0043】及び【図1】~【図5】の記載からみて、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「車室側面上方に収納されるカーテンエアバッグ装置100において、 車両前後方向に延伸し、下端から上端に向かって巻回された状態で収納され、ガスを供給されて下方へ膨張展開するクッション部140と、 前記クッション部140の上端の所定位置から該クッション部140にガスを供給するインフレータ120と、 下方に開口した弧状の開曲線の断面を有する長尺のプロテクタ180であって、その内面で前記クッション部140に接触して該クッション部140を被覆するプロテクタ180と、 を備え、 該プロテクタ180が、クッション部140に粘着テープ152で固定されていて、 前記プロテクタ180の断面は、前記インフレータ120に近い第1の端部180Aにて、該断面をなす開曲線の車内側の端点がなだらかに上昇し、該開曲線の間口が拡大しており、 前記プロテクタ180は、収納状態の前記クッション部140に接触する内面と、車両のルーフサイドレール110に面する外面とを備えているカーテンエアバッグ装置100。」 (2)本願発明1と引用発明との対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 後者の「カーテンエアバッグ装置100」は前者の「カーテンエアバッグ装置」に相当し、以下同様に、「クッション部140」は「クッション部」に、「プロテクタ180」は「プロテクタ」に、「粘着テープ152」は「テープ」に相当する。 イ 後者の「車室側面上方に収納されるカーテンエアバッグ装置100において、車両前後方向に延伸し、下端から上端に向かって巻回された状態で収納され、ガスを供給されて下方へ膨張展開するクッション部140と」は、前者の「車両の車室側面上方に巻回され車両前後方向に長尺な状態で収納されるクッション部と」を充足するといえる。 ウ 後者の「プロテクタ180」は、「下方に開口した弧状の開曲線の断面を有する」ものであるので、【図5】(c)の記載も併せると、「クッション部140」をその上面から車外側にわたって覆うことは明らかといえ、クッション部の展開方向を規制するものであることも明らかといえる。また、「プロテクタ180」は、「クッション部140に粘着テープ152で固定されてい」るものであるから、「粘着テープ152」を巻き付けるエリアがあることは明らかといえる。そして、「プロテクタ180」には、車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタ180の当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジといえる箇所があることは明らかであって、「クッション部140」は、当該エッジからはみ出して膨張展開するものであることも構造上自明といえる。 そうすると、後者の「車両前後方向に延伸し、下端から上端に向かって巻回された状態で収納され、ガスを供給されて下方へ膨張展開するクッション部140と」、「下方に開口した弧状の開曲線の断面を有する長尺のプロテクタ180であって、その内面で前記クッション部140に接触して該クッション部140を被覆するプロテクタ180と、を備え」、「該プロテクタ180が、クッション部140に粘着テープ152で固定されていて」と、前者の「前記クッション部を該クッション部の上面から車外側にわたって覆い該クッション部の展開方向を規制する車両前後方向に長尺な樹脂製のプロテクタとを備え、前記プロテクタは、前記クッション部を前記プロテクタに係止するテープを巻き付けるテープ巻きエリアを有し、前記クッション部は、前記プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジからはみ出して膨張展開し」とは、「前記クッション部を該クッション部の上面から車外側にわたって覆い該クッション部の展開方向を規制する車両前後方向に長尺なプロテクタとを備え、前記プロテクタは、前記クッション部を前記プロテクタに係止するテープを巻き付けるテープ巻きエリアを有し、前記クッション部は、前記プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジからはみ出して膨張展開し」の限度で一致するといえる。 エ してみると、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点1] 「車両の車室側面上方に巻回され車両前後方向に長尺な状態で収納されるクッション部と、 前記クッション部を該クッション部の上面から車外側にわたって覆い該クッション部の展開方向を規制する車両前後方向に長尺なプロテクタとを備え、 前記プロテクタは、前記クッション部を前記プロテクタに係止するテープを巻き付けるテープ巻きエリアを有し、 前記クッション部は、前記プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジからはみ出して膨張展開し、 前記プロテクタは、収納状態の前記クッション部に接触する内面と、車両のルーフサイドレールに面する外面とを備えたカーテンエアバッグ装置。」 [相違点1] 「プロテクタ」の材質について、本願発明1が「樹脂製」であるのに対し、引用発明は材質の特定がない点。 [相違点2] 「プロテクタ」の構造について、本願発明1が「前記プロテクタの前記エッジは、鈍い形状を有し」、「前記プロテクタの長手方向に直交する断面において、前記エッジのうち、前記内面と前記外面との間隔である該プロテクタの厚みを等分割する中心線よりも前記外面の側に前記プロテクタのパーティングラインが設けられていて、前記エッジのうち、前記内面の側は曲面で形成されている」という事項を有しているのに対し、引用発明は当該事項の特定がない点。 (3)判断 事案に鑑み、上記相違点2について検討する。 ア 引用発明も膨張展開時のクッション部140のバーストを防止するためのものであるが、バーストの起点としている箇所は、「クッション部のプロテクタのうちインフレータに近い端部」であり、バーストの原因は、当該端部が「ボトルネックとなってガス流にチョークが生じ、その端部で急激にクッション部の形状が変化」することによるものである(引用文献の段落【0005】)。 そして、その解決手段として「前記プロテクタ180の断面は、前記インフレータ120に近い第1の端部180Aにて、該断面をなす開曲線の車内側の端点がなだらかに上昇し、該開曲線の間口が拡大しており」という事項を採用しているものである。 イ 一方、本願発明1では、クッション部のバーストの起点としている箇所は、「プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジ」であって、バーストの原因は、「エッジに擦れること」(本願明細書の段落【0008】)によるものである。 そして、その解決手段として上記相違点2に係る本願発明1の事項を採用しているものである。 ウ そうすると、本願発明1と引用発明では、クッション部のバーストが発生するおそれがあると認識している箇所も、バーストが発生する原因も、その解決手段も異なるものであり、また、上記相違点2に係る本願発明1の事項が周知技術であるとも認められない。 したがって、当業者であっても、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明1の事項を採用することが容易ということはできない。 エ よって、引用発明において、少なくとも相違点2に係る本願発明1の事項を有するものとすることは当業者にとって容易とはいえないことから、本願発明1は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本願発明5と引用発明との対比 本願発明5と引用発明とを対比すると、対応関係は上記(1)ア、イ及びウにおける「プロテクタ」の「内面」、「外面」に関することを除いたものと同様であるので、本願発明5と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点2] 「車両の車室側面上方に巻回され車両前後方向に長尺な状態で収納されるクッション部と、 前記クッション部を該クッション部の上面から車外側にわたって覆い該クッション部の展開方向を規制する車両前後方向に長尺なプロテクタとを備え、 前記プロテクタは、前記クッション部を前記プロテクタに係止するテープを巻き付けるテープ巻きエリアを有し、 前記クッション部は、前記プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジからはみ出して膨張展開するカーテンエアバッグ装置。」 [相違点3] 「プロテクタ」の材質について、本願発明5が「樹脂製」であるのに対し、引用発明は材質の特定がない点。 [相違点4] 「プロテクタ」の構造について、本願発明5が「前記プロテクタの前記エッジは、鈍い形状を有し、前記鈍い形状は、鈍角を含み、前記鈍角は、前記プロテクタのパーティングラインである」という事項を有しているのに対し、引用発明は当該事項の特定がない点。 (5)判断 事案に鑑み、上記相違点4について検討する。 ア 上記(3)の説示と同様、引用発明も膨張展開時のクッション部140のバーストを防止するためのものであるが、バーストの起点としている箇所は、「クッション部のプロテクタのうちインフレータに近い端部」であり、バーストの原因は、当該端部が「ボトルネックとなってガス流にチョークが生じ、その端部で急激にクッション部の形状が変化」することによるものである(引用文献の段落【0005】)。 そして、その解決手段として「前記プロテクタ180の断面は、前記インフレータ120に近い第1の端部180Aにて、該断面をなす開曲線の車内側の端点がなだらかに上昇し、該開曲線の間口が拡大しており」という事項を採用しているものである。 イ 一方、本願発明5では、クッション部のバーストの起点としている箇所は、「プロテクタの車両前後方向に延びる長手方向に沿った端部の、前記プロテクタの当該長手方向に直交する断面における輪郭であるエッジ」であって、バーストの原因は、「エッジに擦れること」(本願明細書の段落【0008】)によるものである。 そして、その解決手段として上記相違点4に係る本願発明5の事項を採用しているものである。 ウ そうすると、本願発明5と引用発明では、クッション部のバーストが発生するおそれがあると認識している箇所も、バーストが発生する原因も、その解決手段も異なるものであり、また、上記相違点4に係る本願発明5の事項が周知技術であるとも認められない。 したがって、当業者であっても、引用発明において、上記相違点4に係る本願発明5の事項を採用することが容易ということはできない。 エ よって、引用発明において、少なくとも相違点4に係る本願発明5の事項を有するものとすることは当業者にとって容易とはいえないことから、本願発明5は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (6)小括 以上検討したとおり、本願発明1及び5は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。また、本願発明2~4は本願発明1をさらに限定したものであり、本願発明6は本願発明1~5をさらに限定したものであるから、同様に引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由の概要 平成28年10月6日に提出された手続補正書により補正された請求項1、3~5、7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2012-179923号公報 引用文献2:国際公開第2012/053082号 2 当審拒絶理由の判断 平成29年5月12日に提出された手続補正書により、本願の請求項1、5の記載は、上記第2に示すとおりに補正され、補正後の請求項1は補正前の請求項2に対応するものであり、補正後の請求項5は補正前の請求項6に対応するものであって、いずれも当審拒絶理由の指摘のないものである。 したがって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2016-015046

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