特許拒絶査定不服審判
2016-013238
シート搬送装置、画像形成装置、シート搬送距離算出装置及びシート長算出装置
- 審判番号
- 2016-013238
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-123115外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年09月05日
- 審決日
- 2017年03月13日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (B65H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項第1号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-123115「シート搬送装置、画像形成装置、シート搬送距離算出装置及びシート長算出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日出願公開、特開2013- 53004、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成24年5月30日(優先権主張 平成23年8月5日(以下、「優先日」という。))の出願であって、平成27年5月1日付けで手続補正がされ、平成28年3月16日付けで拒絶理由が通知され、同年5月10日付けで手続補正がされたが、同年同月30日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という)がされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同年6月7日)、これに対し、同年9月5日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に、手続補正がされたものである。
第2 平成28年9月5日付けの手続補正の適否
1 補正の内容
平成28年9月5日提出の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし15を、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし13とする補正である。補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし15、及び、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし13は、それぞれ以下のとおりである。
(補正前)
「【請求項1】
回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラを備えるシート搬送手段と、
前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより前記シート搬送手段による前記シートの搬送量を計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートを検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートを検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づき、前記シートの搬送距離を算出する搬送距離算出手段とを備える
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記搬送距離算出手段は、
前記下流側検知手段が前記シートの先端部通過を検知してから、前記上流側検知手段が前記シートの後端部通過を検知するまでの間に、前記搬送量計測手段によって計測される前記搬送量に基づいて、前記シートの搬送距離を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記駆動ローラ及び前記従動ローラの少なくとも一方が、金属製のローラであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記下流側検知手段と、前記シート搬送手段との距離が、
前記従動ローラの共振周波数の3倍に前記シートの搬送速度を掛けた値以上であることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記従動ローラの前記シートの搬送方向に直交する幅方向の長さが、当該シート搬送装置が対応する前記シートの最小幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段は、
それぞれ透過型又は反射型の光センサである
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記下流側検知手段と、前記上流側検知手段とは、
前記シートの搬送方向に直交する幅方向位置が略同一に設けられている
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記下流側検知手段と、前記上流側検知手段とは、
前記幅方向位置が略中央に設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記搬送距離算出手段は、算出する前記シートの搬送距離に、前記下流側検知手段と前記上流側検知手段との間の距離を加えることで、前記シートの搬送方向の長さを算出する
ことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載のシート搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記シート搬送装置が、前記シートにトナー像を転写する転写手段の前記シートの搬送方向上流側に設けられている
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記シート搬送手段を通過した前記シートを反転させて再び前記シート搬送手段に搬送する反転搬送手段を有し、
前記搬送距離算出手段は、前記シートの反転前後で求められる前記シートの搬送距離に基づいて、前記シートの伸縮率を求める
ことを特徴とする請求項10又は11に載の画像形成装置。
【請求項13】
前記シートの伸縮率に基づいて前記シートに形成する画像長を補正する画像補正手段を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラとを備えるシート搬送手段による前記シートの搬送量を、前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートの先端部通過を検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートの後端部通過を検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づき、前記シートの搬送距離を算出する搬送距離算出手段とを備える
ことを特徴とするシート搬送距離算出装置。
【請求項15】
回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラとを備えるシート搬送手段による前記シートの搬送量を、前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートの先端部通過を検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートの後端部通過を検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づいて求められる前記シートの搬送距離に、前記下流側検知手段と前記上流側検知手段との間の距離を加えることで、前記シートの搬送方向の長さを算出するシート長算出手段とを備える
ことを特徴とするシート長算出装置。」
(補正後)
「【請求項1】
回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラを備えるシート搬送手段と、
前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより前記シート搬送手段による前記シートの搬送量を計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートを検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートを検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づき、前記シートの搬送距離を算出する搬送距離算出手段とを備える
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記搬送距離算出手段は、
前記下流側検知手段が前記シートの先端部通過を検知してから、前記上流側検知手段が前記シートの後端部通過を検知するまでの間に、前記搬送量計測手段によって計測される前記搬送量に基づいて、前記シートの搬送距離を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記駆動ローラ及び前記従動ローラの少なくとも一方が、金属製のローラである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記下流側検知手段と、前記シート搬送手段との距離が、
前記従動ローラの共振周波数の3倍に前記シートの搬送速度を掛けた値以上である
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記従動ローラの前記シートの搬送方向に直交する幅方向の長さが、当該シート搬送装置が対応する前記シートの最小幅よりも小さい
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段は、
それぞれ透過型又は反射型の光センサである
ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記下流側検知手段と、前記上流側検知手段とは、
前記シートの搬送方向に直交する幅方向位置が略同一に設けられている
ことを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記下流側検知手段と、前記上流側検知手段とは、
前記幅方向位置が略中央に設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記搬送距離算出手段は、算出する前記シートの搬送距離に、前記下流側検知手段と前記上流側検知手段との間の距離を加えることで、前記シートの搬送方向の長さを算出する
ことを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のシート搬送装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載のシート搬送装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記シート搬送装置が、前記シートにトナー像を転写する転写手段の前記シートの搬送方向上流側に設けられている
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラとを備えるシート搬送手段による前記シートの搬送量を、前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートの先端部通過を検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートの後端部通過を検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づき、前記シートの搬送距離を算出する搬送距離算出手段とを備える
ことを特徴とするシート搬送距離算出装置。
【請求項13】
回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従ローラとを備えるシート搬送手段による前記シートの搬送量を、前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートの先端部通過を検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートの後端部通過を検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づいて求められる前記シートの搬送距離に、前記下流側検知手段と前記上流側検知手段との間の距離を加えることで、前記シートの搬送方向の長さを算出するシート長算出手段とを備える
ことを特徴とするシート長算出装置。」
2 補正の適否
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項12及び13を削除し、これに伴って、補正前の請求項14及び15をそれぞれ繰り上げて新たな請求項12及び13としたものであって、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。
3 小括
よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記「第2」のとおり特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請項1ないし13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明13」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定される、上記「第2」1に記載したとおりのものである。
2 原査定の理由の概要
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項 1ないし7、9ないし11、14、15
・引用文献等 1ないし6
・請求項 8ないし11
・引用文献等 1ないし8
刊行物1.特開平9-226982号公報
刊行物2.特開平9-156797号公報
刊行物3.特開2006-62872号公報
刊行物4.特開2010-241600号公報
刊行物5.特開2011-20842号公報
刊行物6.特開2011-6202号公報
刊行物7.実願昭58-74570号(実開昭59-181451号)のマイクロフィルム
刊行物8.特開2002-165072号公報
第4 当審の判断
1 引用例
(1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-226982号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
ア.「【0016】この自動原稿送り装置12は、原稿支持手段である原稿給紙トレイ13上の原稿Dを取り出す取り出し手段であるピックアップロ-ラ14、分離搬送装置16、レジスト手段であり、φ19.97径であるレジストロ-ラ17、ベルト駆動ロ-ラ18間に掛け渡され、原稿台11に摺接される無端状の搬送ベルト20、搬送ベルト20内周に設けられるベルト抑えローラ20aを有している。更に自動原稿送り装置12は、搬送ベルト20により原稿台11から送り出された原稿Dの搬送を伝達する反転ローラ21、反転ローラ21により搬送された原稿Dを原稿排紙トレイ22側に排出する排紙ローラ23、原稿Dの搬送を排紙ローラ23側あるいは搬送ベルト20側のいずれかに切り換えるフラッパ25を有している。
【0017】次に原稿給紙トレイ13に載置される原稿Dの長さを検知する検知手段について詳述する。φ19.97径であるレジストローラ17は、リンク装置36により、搬送モータ31aに対するギア比が7/24となるよう接続されている。ここで搬送モータ31aの搬送モータ軸31bには、1周で40パルスを発生する円板状のパルス発生器37が取着される。そしてレジストローラ17は、パルス発生器37からのパルス数をカウントするパルス検知器34が1パルスを検知する間に、原稿Dを0.46mm搬送する様その搬送速度を設定されている。
【0018】更に又レジストローラ17の上流には、第1の検知手段であり、レジストローラ17により搬送される原稿Dの後端を検知するRGT前センサ24が設けられ、レジストローラ17下流には、第2の検知手段であり、レジストローラ17により搬送中される原稿Dの先端を検知するRGT後センサ26が設けられている。尚RGT前センサ24及びRGT後センサ26間の距離は50mmとされている。
【0019】又、図4は自動原稿送り装置12の制御系を示すブロック図であり、自動原稿送り装置12の制御を行なうADFプロセッサ27は、画像形成装置10の制御を行うメインプロセッサ28に接続制御されている。ADFプロセッサ27には、ADF入力インタフェ-ス27aを介してRGT前センサ24、RGT後センサ26、その他、原稿Dの有無や送りタイミング等を検知する各種ADF検出器30が接続されている。更に、ADFプロセッサ27にはADF出力インタフェース27bを介しピックアップロ-ラ14やレジストローラ17を駆動する搬送モ-タ31aの搬送ドライバ31、その他クラッチ32aやソレノイド33aを駆動する夫々のドライバ32、33が接続されている。又、ADFプロセッサ27には、搬送モ-タ31aに取着されたパルス発生器37によるパルスを検知するパルス検知器34が接続されている。」
イ.「【0021】即ち、コピーキー(図示せず)オン後、原稿給紙トレイ13より取り出され、レジストローラ17にて一旦停止され先端を揃えられた原稿Dは、ステップ100にてレジストローラ17が駆動されると、原稿台11方向への搬送を再開する。そしてステップ101にてRGT後センサ26が原稿D先端を検知すると、ステップ102に進みパルス検知器34にてパルス数をカウントする。次いでステップ103にてRGT前センサ24が原稿D後端を検知すると、ステップ104に進み、パルス検知器34によるパルス数のカウントを停止し、ADFプロセッサ27にて、下式により原稿Dの長さを演算する。
【0022】L=S×t+l[mm]
ここでLは原稿Dの長さ、Sは1パルスの間にレジストローラ17が原稿Dを搬送する搬送距離、tはADFプロセッサ27に入力されるパルス数、lはRGT前センサ24からRGT後センサ迄の距離であり、S=0.46[mm]、l=50.0[mm]である事から、原稿Dの長さLは、
L=0.46×t+50[mm]
と、パルス数(t)に応じて演算され、ステップ106にて原稿Dサイズを認識し、メインプロセッサ(図示せず)に入力し、次の原稿サイズ検知を待機する。このようにしてサイズを検出され搬送ベルト20に達した原稿Dは、原稿台11上に搬送され、原稿読み取り位置に一旦静止される。」
ウ.図1ないし2からは、レジストローラ17が1対のローラから成る点を看取することができる。
上記の記載事項を総合すると、引用例1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「レジストローラ17が原稿Dを搬送し、
1対のローラから成り、
レジストローラ17を駆動する搬送モ-タ31aの搬送モータ軸31bには、1周で40パルスを発生する円板状のパルス発生器37が取着され、
パルス検知器34がパルス発生器37からのパルス数をカウントし、
レジストローラ17下流には、レジストローラ17により搬送中される原稿Dの先端を検知するRGT後センサ26が設けられ、
レジストローラ17の上流には、レジストローラ17により搬送される原稿Dの後端を検知するRGT前センサ24が設けられ、
RGT後センサ26が原稿D先端を検知すると、パルス検知器34にてパルス数をカウントし、RGT前センサ24が原稿D後端を検知すると、パルス検知器34によるパルス数のカウントを停止し、
ADFプロセッサ27にて、L=S×t+l[mm]により原稿Dの長さを演算し、
ここでLは原稿Dの長さ、Sは1パルスの間にレジストローラ17が原稿Dを搬送する搬送距離、tはADFプロセッサ27に入力されるパルス数、lはRGT前センサ24からRGT後センサ迄の距離である
自動原稿送り装置12。」
(2)引用例2
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平9-156797号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
エ.「【0030】図2及び図3は露光記録部20の詳細構成図を示し、図4は露光記録部20の制御タイミングチャートを示すものである。これら図2乃至図4を用いて本発明の特徴的な走査記録について詳述する。露光記録部20の副走査方向の搬送機構として被走査体の搬送方向に対して上流側に駆動ローラ21aと該駆動ローラ21aの回転に合わせて連れ回りする従動ローラ21bが対(以後、単に上流側ローラ対と称する)をなして配設されている。また、下流側には同様に駆動ローラ22aと従動ローラ22bが対(以後、単に下流側ローラ対と称する)をなして配設されている。これら従動ローラ21a,22bの回転軸両端はコイルスプリング21c,22cにより駆動ローラ方向に押圧されているため、各駆動ローラと従動ローラとは所定のニップ圧でニップを形成している。」
上記の記載事項を総合すると、引用例2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
「被走査体の搬送方向に対して上流側に駆動ローラ21aと該駆動ローラ21aの回転に合わせて連れ回りする従動ローラ21bが対をなして配設され、
下流側には同様に駆動ローラ22aと従動ローラ22bが対をなして配設された
搬送機構。」
(3)引用例3
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2006-62872号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
オ.「【0031】
次に、搬送装置19について説明を行う。図2は、搬送装置19の側面概略図である。搬送装置19は、5個の搬送ローラ対(搬送手段)34,35,37~39と、傾き補正手段である傾き補正部50と、4個の検出センサ61,62,63,64と、搬送装置19の全体を制御する制御手段である制御部70とを備えている。5個の搬送ローラ対34,35,37~39は、感光材料24aをニップして搬送を行うニップローラである。これらの搬送ローラ対34,35,37~39は、搬送路17に沿って裏印字装置18の下流側に順に配置されている。」
カ.「【0044】
また、図2に示すように、検出センサ61,62は、2個の搬送ローラ対34,35間の搬送路17に配置されており、所定の間隔で搬送路17の幅方向(露光装置21の主走査方向)に配列されている。これらの検出センサ61,62は、検出センサ65と同様のフォトインタラプタであり、各配置位置において搬送路17上の感光材料の有無を検出する。」
キ.「【0046】
また、検出センサ63は、2個の搬送ローラ対37,38間の搬送路17に配置されている。また、検出センサ64は、搬送ローラ対39より下流の搬送路17に配置されている。これらの検出センサ63,64は、検出センサ61,62と同様のフォトインタラプタであり、各配置位置において搬送路17上の感光材料24aの有無を検出する。」
ク.「【0049】
また、搬送ローラ対34~39は、図示せぬモータによって駆動される。このモータは、制御部70に接続されており、制御部70が、このモータを制御することにより感光材料24aを搬送路17に沿って搬送させる。また、前述のニップ解除機構74~79及び検出センサ61~64も同様に制御部70と接続されており、制御部70は、後述するように、検出センサ61~64の検出信号に基づいて、解除機構74~79を制御する。」
上記の記載事項を総合すると、引用例3には、次の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。
「搬送ローラ対と検出センサとを備え、
搬送ローラ対は、感光材料をニップして搬送を行い、モータによって駆動され、
検出センサは、2個の搬送ローラ対間の搬送路に配置されており、搬送路上の感光材料の有無を検出する
搬送装置。」
(4)引用例4
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2010-241600号公報(以下「引用例4」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ケ.「【0009】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る画像形成装置の構造]
図1は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略の構造を例示する図である。図1を参照するに、画像形成装置10は、無端状搬送体である中間転写ベルトを用いたカラー画像形成装置であり、スキャナユニット11と、感光体ドラム12aと、感光体ドラム12bと、感光体ドラム12cと、感光体ドラム12dと、定着ユニット13と、中間転写ベルト14と、二次転写ローラ15と、斥力ローラ16と、搬送ローラ17と、給紙ユニット18と、給紙ローラ19と、紙搬送ローラ20と、排紙ユニット21と、中間転写スケール検出センサ22と、駆動ローラ23と、従動ローラ24と、通過検出手段25と、制御部30とを有する。90は、転写紙等の被転写体を示している。」
コ.「【0024】
図3は、図1の中間転写ベルト近傍を拡大して例示する図である。図3において、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図3を参照するに、搬送ローラ17には、エンコーダ17aが取り付けられている。エンコーダ17aは、回転方向の機械的変位量をデジタル量に変換するセンサであり、搬送ローラ17の回転に対応したパルス信号を出力する機能を有する。エンコーダ17aは本発明にかかるパルス信号出力手段の代表的な一例である。エンコーダ17aは、搬送ローラ17の回転角を計測する本発明に係る回転角計測手段の代表的な一例を構成している。制御部30は、エンコーダ17aの出力するパルス信号をカウントすることにより、搬送ローラ17の回転量を計測することができる。このように、エンコーダ17a及び制御部30は、本発明に係る回転量計測手段の代表的な一例を構成している。
【0025】
エンコーダ17aは、周知のものを用いることができる。エンコーダ17aの一例としては、目盛りを形成したスリット円板に光を当て、回転の位置情報をスリットを通過した光パルスの信号としてとらえる光電方式、磁気パターンを形成した回転ディスク又はドラムによって、回転の位置情報を周期的な磁界の変化としてとらえる磁気方式、静電容量の変化をとらえる静電容量方式、電気的導通をとらえる接点方式等のセンサを挙げることができる。なお、搬送ローラ17は、本発明に係る第1の回転体の代表的な一例を構成している。」
サ.「【0032】
図4は、被転写体が搬送される様子を説明するための図である。図4において、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図4を参照しながら、被転写体90が搬送される様子を説明する。始めに図4(a)に示すように、第1の回転体である搬送ローラ17に被転写体90が突入し、搬送ローラ17が被転写体90を搬送している状態となる。次いで図4(b)に示すように、通過検出手段25で被転写体90の通過を検出する。このとき、図4(a)と同様に搬送ローラ17が被転写体90を搬送している状態となる。」
シ.「【0083】
図11は、第5の実施の形態に係る搬送距離計測手段を例示する図である。図11において、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。図11を参照するに、搬送距離計測手段50は、搬送ローラ17と同様に1対の回転体から構成されている。」
上記の記載事項を総合すると、引用例4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。
「搬送ローラ17は1対の回転体から構成され、
搬送ローラ17が被転写体90を搬送し、
搬送ローラ17には、エンコーダ17aが取り付けられ、
制御部30は、エンコーダ17aの出力するパルス信号をカウントすることにより、搬送ローラ17の回転量を計測することができる
画像形成装置。」
(5)引用例5
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2011-20842号公報(以下「引用例5」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
ス.「【0019】
まず、図1を参照しながら本実施例の構成について説明する。本実施例のシート長測定装置100は、用紙長の測定用に設けられた測長ロール101と、測長ロール101に対向する対向ロール120とを備えている。
測長ロール101は、搬送路を搬送される用紙(記録シート)150を対向ロール120との間に挟み、用紙150の搬送に従動して回転する。対向ロール120は、用紙150の搬送に従動して測長ロール101が回転するように、測長ロール101に所定のニップ圧で接する。
【0020】
測長ロール101は、円筒状であって、測長ロール101の中心には回転軸102を備える。これら測長ロール101や回転軸102の周囲には、測長ロール101の回転量を検出する手段の一例であるエンコーダ装置103を備える。エンコーダ装置103は、測長ロール101が所定角度回転するごとにパルス信号を出力する。エンコーダ装置103の出力するパルス信号は、後述するコントローラ200に送られる。なお、エンコーダ装置103の詳細については、図2を参照しながら後述する。」
上記の記載事項から見て、引用例5には、次の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されているものと認められる。
「測長ロール101と、測長ロール101に対向する対向ロール120とを備え、
測長ロール101は、用紙150の搬送に従動して回転し、
対向ロール120は、用紙150の搬送に従動して測長ロール101が回転するように、測長ロール101に所定のニップ圧で接し、
測長ロール101は、測長ロール101の中心には回転軸102を備え、測長ロール101や回転軸102の周囲には、測長ロール101の回転量を検出するエンコーダ装置103を備える
シート長測定装置100。」
(6)引用例6
同じく原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2011-6202号公報(以下「引用例6」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
セ.「【0019】
(測長装置の構成の一例の説明)
まず、図1を参照しながら本実施例の測長装置100aの構成について説明する。本実施例の測長装置100aは、測定用回転体の一例である測長ロール(回転体)101aを備えている。測長ロール101aは、円筒状であって、測長ロール101aの中心には回転軸102aを備えている。測長ロール101aの回転軸102aには、回転量を検出する手段の一例であるロータリエンコーダ(回転量検出手段)103aが取り付けられている。ロータリエンコーダ103aは、測長ロール101aの所定の回転角毎にパルス信号を発生する。ロータリエンコーダ103aの出力するパルス信号は、後述するコントローラ200に送られる。」
ソ.「【0055】
(中略)
用紙150の搬送速度が不安定な状態となると、測長ロール101bの回転が用紙150の搬送に追従しない状態となり、用紙150の長さを正確に測定することができなくなる。」
上記の記載事項を総合すると、引用例6には、次の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されているものと認められる。
「測長ロール101aを備え、
測長ロール101aの回転軸102aには、ロータリエンコーダ103aが取り付けられ、
用紙150の搬送速度が不安定な状態となると、測長ロール101bの回転が用紙150の搬送に追従しない状態となり、用紙150の長さを正確に測定することができなくなる
測長装置100a。」
2 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
後者の「原稿D」は、前者の「シート」に相当する。また、後者の「レジストロ-ラ17」は、原稿Dを搬送するから、前者の「シート搬送手段」に相当する。後者の「レジストロ-ラ17」は、1対のローラから成り、搬送モ-タ31aによって駆動されるから、少なくともその一方のローラが回転駆動されることは明らかであって、当該駆動される「レジストロ-ラ17」は、前者の「駆動ローラ」に相当する。
そうすると、前者の「回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラを備えるシート搬送手段」と後者の「原稿Dを搬送」する「レジストローラ17」とは、「回転駆動する駆動ローラ及びローラを備えるシート搬送手段」との概念で共通する。
後者の「パルス発生器37」はレジストローラ17を駆動する搬送モ-タ31aの搬送モータ軸31bに取着され、1周で40パルスを発生する円板状のものであり、また、「パルス検知器34」はRGT後センサ26が原稿D先端を検知するとパルス数をカウントし、RGT前センサ24が原稿D後端を検知するとパルス数のカウントを停止するから、「パルス発生器37」及び「パルス検知器34」はレジストローラ17の回転量を計測しているといえる。そして、レジストローラ17の回転量が原稿Dの搬送量に対応することは明らかであるから、後者の「パルス発生器37」及び「パルス検知器34」は、前者の「ロータリーエンコーダ」及び「ロータリーエンコーダにより前記シート搬送手段による前記シートの搬送量を計測する搬送量計測手段」に相当する。
後者の「レジストローラ17下流」に設けられた「レジストローラ17により搬送中される原稿Dの先端を検知するRGT後センサ26」は前者の「前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートを検知する下流側検知手段」に相当し、同様に、「レジストローラ17の上流」に設けられた「レジストローラ17により搬送される原稿Dの後端を検知するRGT前センサ24」は「前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートを検知する上流側検知手段」に相当する。
後者の「ADFプロセッサ27」は、L=S×t+l[mm]により原稿Dの長さを演算するところ、Sは1パルスの間にレジストローラ17が原稿Dを搬送する搬送距離、tはADFプロセッサ27に入力されるパルス数なのだから、S×tが、レジストローラ17が原稿Dを搬送する搬送距離にあたることは明らかである。また、RGT後センサ26が原稿D先端を検知すると、パルス検知器34にてパルス数をカウントし、RGT前センサ24が原稿D後端を検知すると、パルス検知器34によるパルス数のカウントを停止するから、パルス数のカウントは、RGT後センサ26及びRGT前センサ24の検知に基づくものであるといえる。そうすると、後者の「ADFプロセッサ27」は、「前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づき、前記シートの搬送距離を算出する搬送距離算出手段」に相当する。
後者の「自動原稿送り装置12」は、レジストローラ17が原稿Dを搬送するものであるから、後者の「シート搬送装置」に相当する。
したがって、両者は、
「回転駆動する駆動ローラ及びローラを備えるシート搬送手段と、
ロータリーエンコーダにより前記シート搬送手段による前記シートの搬送量を計測する搬送量計測手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向下流側で、前記シートを検知する下流側検知手段と、
前記シート搬送手段の前記シートの搬送方向上流側で、前記シートを検知する上流側検知手段と、
前記搬送量計測手段の計測結果と、前記下流側検知手段及び前記上流側検知手段の検知結果とに基づき、前記シートの搬送距離を算出する搬送距離算出手段とを備える
ことを特徴とするシート搬送装置。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
前者が、「回転駆動する駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラを備え」、「従動ローラの回転軸上に設けられている」ロータリーエンコーダによりシート搬送手段によるシートの搬送量を計測するのに対して、後者は、レジストローラ17の一方のローラが回転駆動するものの、他方のローラが従動回転するか否かが明らかでなく、パルス発生器37がレジストローラ17を駆動する搬送モ-タ31aの搬送モータ軸31bに取着される点。
3 判断
上記相違点について検討する。
一般に、シート搬送装置において、駆動ローラと対をなすローラを「回転駆動する駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラ」とすることは、例えば、ローラ21aと該駆動ローラ21aの回転に合わせて連れ回りする従動ローラ21bを有する引用発明2のように、本願の優先日前に周知の技術である(以下、「周知技術」という。)。
次に、引用発明2ないし4について検討する。
引用発明2は、前述の通り、「回転駆動する駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラ」を有するが、「駆動ローラ21a」及び「従動ローラ21b」には、ロータリーエンコーダは設けられていない。
引用発明3の「搬送ローラ対」には、ロータリーエンコーダは設けられていない。
引用発明4は、1対の回転体から構成された搬送ローラ17に、エンコーダ17aが取り付けられたものであって、搬送ローラ17が被転写体90を搬送するのだから、搬送ローラ17が駆動されていることは明らかである。しかしながら、搬送ローラ17を構成する1対の回転体のいずれが駆動されるのかは明らかではない。
そうすると、引用発明4は、従動回転する搬送ローラ17にエンコーダ17aが設けられたものであるとはいえない。
以上のとおりであるから、引用発明2ないし4は、いずれも「従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダによりシート搬送手段によるシートの搬送量を計測する」ものではない。
さらに、引用発明5及び6について検討する。
引用発明5において、エンコーダ装置103を備える測長ロール101は、用紙150の搬送に従動して回転するから、「測長ロール101」は本願発明1の「従動ローラ」に相当する。そうすると、引用発明5は「従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダによりシート搬送手段によるシートの搬送量を計測する」ものである。
しかしながら、引用発明1を上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項とするためには、まず、引用発明5を上記周知技術に適用して、さらに、上記周知技術に引用発明5を適用したものを引用発明1に適用しなければならず、つまり、容易の容易、いわゆる後付けの論理となる。
また、引用発明5の対向ロール120は、用紙150の搬送に従動して測長ロール101が回転するように、測長ロール101に所定のニップ圧で接しており、用紙150を搬送するものではないから、駆動されていないことは明らかであって、引用発明5の測長ロール101及び対向ロール120はいずれも回転駆動するものではないから、引用発明5は一方が回転駆動され他方が従動回転するローラを備えるものを想定していない。
引用発明6は、測長ロール101aの回転軸102aにロータリエンコーダ103aが取り付けられたものであって、用紙150の搬送速度が不安定な状態となると、測長ロール101bの回転が用紙150の搬送に追従しない状態となり、用紙150の長さを正確に測定することができなくなるのだから、用紙150の搬送速度が適正な場合には、測長ロール101bの回転は用紙150の搬送に追従していることは明らかであって、測長ロール101bは従動回転しているといえるから、「測長ロール101b」は本願発明1の「従動ローラ」に相当する。そうすると、引用発明6は「従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダによりシート搬送手段によるシートの搬送量を計測する」ものである。
しかしながら、引用発明1を上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項とするためには、まず、引用発明6を上記周知技術に適用して、さらに、上記周知技術に引用発明6を適用したものを引用発明1に適用しなければならず、つまり、容易の容易、いわゆる後付けの論理となる。
また、引用発明6の測長ロール101bは回転駆動されるローラに従動回転するものではないから、引用発明6は一方が回転駆動され他方が従動回転するローラを備えるものを想定していない。
そして、本願発明1は、本願明細書に記載された「簡易な構成でシートの搬送距離を精度良く求めることが可能なシート搬送装置を提供すること」(段落【0013】)を課題とし、「回転駆動する駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラを備え」、「従動ローラの回転軸上に設けられている」ロータリーエンコーダによりシート搬送手段によるシートの搬送量を計測することにより、「シートSの搬送時には駆動ローラ14に接触することが無いため、シートSとの間に生じる摩擦のみで従動回転することとなる。そのため、駆動ローラ14の影響を受けることなく、シートSの搬送距離の計測をより正確に行うことが可能になる。」(同段落【0021】)という作用効果を奏するものである。
なお、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である実願昭58-74570号(実開昭59-181451号)のマイクロフィルム(以下「引用例7」という。)、及び、特開2002-165072号公報(以下「引用例8」という。)にも、本願発明1の「ロータリーエンコーダ」に相当する発明特定事項は開示されていない。
そうすると、引用発明1において、引用発明2ないし6に記載された事項を適用したとしても、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到できたことではない。
4 小括
したがって、本願発明1は、当業者が引用発明1ないし6に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
本願発明2ないし11は、本願発明1をさらに限定したものである。また、本願発明12及び13は、それぞれ本願発明を「シート搬送距離算出装置」及び「シート長算出装置」としたものであって、その「回転駆動する駆動ローラ及び前記駆動ローラとの間でシートを挟持して従動回転する従動ローラとを備えるシート搬送手段による前記シートの搬送量を、前記従動ローラの回転軸上に設けられているロータリーエンコーダにより計測する搬送量計測手段」の点は、上記相違点に係る本願発明1の発明特定事項と実質的に同一の発明特定事項である。
すると、本願発明2ないし13は、本願発明1と同様に、当業者が引用発明1ないし6並びに引用例7及び8に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2016-013238