特許拒絶査定不服審判
2016-011310
少なくとも1つのメディアアイテムを選択するための方法及び装置
- 審判番号
- 2016-011310
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-524502外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月28日
- 審決日
- 2017年08月08日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】津軽 進
- 【請求人代理人】笛田 秀仙
- 【請求人代理人】小松 広和
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-524502「少なくとも1つのメディアアイテムを選択するための方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月23日国際公開、WO2012/023091、平成25年 9月19日国内公表、特表2013-536509、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月11日(パリ条約による優先権主張 平成22年8月16日 欧州)を国際出願日としたものであって、その手続の経緯は以下の通りである。
平成26年 8月 6日 :手続補正書
平成27年 6月29日付け:拒絶理由の通知
平成27年 9月30日 :意見書、手続補正書の提出
平成28年 3月23日付け:拒絶査定
平成28年 7月28日 :審判請求書の提出
第2 原査定の概要
平成28年3月23日付けでなされた原査定の概要は以下の通りである。
「この出願については、平成27年6月29日付け拒絶理由通知書に記載した理由4によって、拒絶をすべきものです。
なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。
備考
●理由4(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-7,8,9
・引用文献等 1-3
本願の請求項1,8に係る発明について、出願人は、意見書にて「しかしながら、引用文献1は、ユーザが基準画像A、B、Cを直接指定することを開示しているに過ぎず、基準画像A、B、Cを所定の検索条件に基づいて選択(検索)することを開示するものではありません。また、引用文献1は、各基準画像に色、構造及びテスクチャといった属性が関連付けられていることを開示していますが、これらの属性は、予め決められているものであり、前記基準画像を選択するために用いられた基準、即ち本願発明のような検索条件に基づくものではありません。」と主張している。
しかしながら、引用文献1には、基準画像A、B、Cを、画像表示欄202に表示された検索結果の画像を問合せ画像として指定して、絞込み検索を行う技術が記載されている(特に、段落【0114】,【図9】)。
したがって、出願人の主張は、採用できない。
そのほかの事項については、平成27年 6月29日付け拒絶理由通知書に記載したとおりである。
よって、請求項1-7,8,9に係る発明は、引用文献1-3に記載された技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、平成27年 6月29日付け拒絶理由通知書に記載した理由が解消されているとは認められないので、上記の通り結論する。
<引用文献等一覧>
1.特開2000-285141号公報
2.特開2003-157285号公報
3.特開2010-176675号公報 」
第3 本願発明
本願請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」~「本願発明9」という。)は、平成27年9月30日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される以下の通りの発明である。
「【請求項1】
装置が、入力された検索条件に基づいて複数の第1のアイテムを選択するステップと、
前記装置が、選択された複数の第1のアイテムの各々について、それに関連付けられた複数の属性を選択するステップであって、前記複数の属性のうち少なくとも1つは、前記検索条件に基づくものであり、前記複数の属性の各々は、評価を持ち、前記評価は、ユーザへの前記属性の重要性を示す、ステップと、
前記装置が、前記選択された複数の第1のアイテムの各々及びその関連付けられた複数の属性及び対応する評価を表示手段に表示させるステップと、
前記装置が、前記表示された複数の属性のうちいずれか1つの前記評価のユーザによる調節を可能にするステップと、
前記装置が、前記評価のユーザによる調節に基づいて前記選択された複数の第1のアイテムを絞り込むステップとを有し、
前記評価のユーザによる調節のためのインターフェースが、前記選択された複数の第1のアイテムの表示に含まれる、方法。
【請求項2】
前記装置が、前記選択された複数の第1のアイテムの表示中に、ユーザプロフィールに基づいて及び/又は評価の調節に基づいて、それぞれ選択された第1のアイテムと関連付けられた各属性の評価を決定するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置が、前記選択された複数の第1のアイテムの表示中に、評価の調節に基づいて前記ユーザプロフィールを更新するステップをさらに有し、
前記それぞれ選択された第1のアイテムと関連付けられた各属性の評価を決定するステップが、
前記更新されたユーザプロフィールに基づいて、それぞれ選択された第1のアイテムと関連付けられた各属性の評価を決定するステップを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記選択された複数の第1のアイテムの各々及びその関連付けられた複数の属性及び対応する評価を表示手段に表示させるステップが、
前記関連付けられた複数の属性のうち少なくとも1つ及び対応する評価を選択するステップと、
前記選択された少なくとも1つの属性及び対応する評価を表示するステップとを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記関連付けられた複数の属性のうち少なくとも1つ及び対応する評価を選択するステップが、
最適属性を選択するステップを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最適属性を選択するステップが、
ユーザ好み及び/又はユーザプロフィールに基づいて最適属性を選択するステップを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法を実行するための複数のプログラムコード部分を有する、コンピュータプログラム。
【請求項8】
入力された検索条件に基づいて複数の第1のアイテムを選択するためのプロセッサであって、前記プロセッサは、選択された複数の第1のアイテムの各々について、それに関連付けられた複数の属性を選択し、前記複数の属性のうち少なくとも1つは、前記検索条件に基づくものであり、前記複数の属性の各々は、評価を持ち、前記評価は、ユーザへの前記属性の重要性を示す、プロセッサと、
前記選択された複数の第1のアイテムの各々及びその関連付けられた複数の属性及び対応する評価を表示するためのディスプレイを制御するためのコントローラと、
前記表示された複数の属性のうちいずれか1つの評価のユーザによる調節を可能にするためのユーザインターフェースと通信するためのインターフェースとを有し、
前記プロセッサが、前記評価のユーザによる調節に基づいて前記選択された複数の第1のアイテムを絞り込み、
前記評価のユーザによる調節のためのインターフェースが、前記選択された複数の第1のアイテムの表示に含まれる、装置。
【請求項9】
ユーザプロフィールを記憶するための記憶デバイスと通信するためのインターフェースを有し、前記ユーザプロフィールは、それぞれ選択された第1のアイテムと関連付けられた各属性の評価を決定する、請求項8に記載の装置。 」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2000-285141号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(なお、下線部は当審にて付与した。)
(ア)「【発明の属する技術分野】本発明は、大量の画像の中からユーザが希望する画像を探し出すための画像検索装置および大量の画像を所定の分類先に分類する画像分類装置に関し、ユーザが望む通りの方法で精度の高い画像検索処理および画像分類処理を行うことが可能な画像検索装置および画像分類装置に関する。」(【0001】)
(イ)「〔実施の形態19〕実施の形態19に係る画像分類装置は、実施の形態17の画像分類装置において、実施の形態6で説明した画像検索処理を応用することにより、分類に対するユーザの意図を正確に表現できるようにしたものである。なお、実施の形態19に係る画像分類装置においては、例として、色、構造およびテクスチャの3種類の特徴量を用いて分類処理を行うものとする。」(【0431】)
(ウ)「(1)分類項目設定処理
図43は、実施の形態19に係る画像分類装置において用いられる画像分類ウインドウ350fを示す説明図である。ここで、ユーザは、フォルダ352を作成したものとし、フォルダ352に分類条件を設定するため、図43に示すような分類条件設定ウインドウ360fを表示させる。
図43に示す分類条件設定ウインドウ360fは、図41に示した分類条件設定ウインドウ360dに加えて、画像指定欄A,BおよびCに指定された各基準画像毎に、分類対象の画像との類似度を求める際に使用される特徴量の種類毎の重要度を指定するための重要度指定バー367を備えている。
ユーザは、図43に示すように、例えば3枚の画像をそれぞれ画像指定欄A,BおよびCに基準画像A,BおよびCとして指定し、指定した基準画像A,BおよびC毎に、特徴量の種類毎の重要度を指定する。この重要度指定バー367は、実施の形態6で説明したように、各基準画像の特徴量の種類毎に、「0」を中心にして「+」の重要度および「-」の重要度を指定することを可能にするものである。なお、重要度として「+」方向および「-」方向の両方ではなく、「+」方向のみ、または「-」方向のみを指定できるようにしても良い。
このように、各種類の特徴量毎の重要度を各基準画像毎に指定することにより、分類に対するユーザの意図を正確に表現することが可能となる。すなわち、後述する分類処理によって、重要度は各種類の特徴量毎に求めた類似度に対する重み付けとして反映されるため、ユーザの意図が反映された分類結果の画像を得ることが可能となる。
さらに、ユーザは、AND指定ボタン364を選択してAND条件を指定すると共に、フォルダ352の閾値を指定した後、設定ボタン361を選択すると、U/I部151は、基準画像,重要度,AND条件の指定および閾値を分類条件としてフォルダ352に設定する。
このような処理を各フォルダに対して行うことにより、図43に示すような複数のフォルダ352~358が分類対象の画像を分類するための分類項目として設定される。なお、設定された各フォルダのフォルダ情報は、分類木DB302に登録される。
【図43】
」(【0433】~【0438】、【図43】)
(エ)「(2)画像分類処理
実施の形態19に係る画像分類処理について図40を参照しつつ説明する。ユーザが分類処理の開始を指定すると、図34のマッチング・エンジン153は、フォルダ352~358毎に、3種類の特徴量を用いて各基準画像および分類対象の画像の類似度を求め、求めた各類似度に対して重要度に応じた重み付けを行い、各類似度を合計して分類対象の画像の総合類似度を求める処理を実行する(S1601)。
このステップS1601における処理についてフォルダ352を例にとって具体的に説明する。マッチング・エンジン153は、分類木DB302のフォルダ情報を参照し、フォルダ352に設定された基準画像A(図43の分類条件設定ウインドウ360fを参照)および分類対象の画像の類似度を色の特徴量を用いて求める。すなわち、マッチング・エンジン153は、色の特徴量に基づいて図4に示した特徴量空間中にプロットされた分類対象の画像と基準画像Aとの距離を例えばユークリッド距離などのベクトルの距離定義式を用いて求める。続いて、マッチング・エンジン153は、求めた距離に対し、ユーザが基準画像Aに対して指定した色の特徴量の重要度に応じて重み付けを行う。さらに、マッチング・エンジン153は、分類対象の画像と基準画像Aとの距離を構造の特徴量およびテクスチャの特徴量を用いてそれぞれ求め、求めた各距離に対し、ユーザが基準画像Aに対して指定した構造の特徴量の重要度およびテクスチャの特徴量の重要度に応じて重み付けを行う。
マッチング・エンジン153は、同様に、分類対象の画像と基準画像Bとの距離を3種類の特徴量毎に求め、求めた各距離に対し、基準画像Bに対して指定された各特徴量毎の重要度に応じた重み付けを行う。また、分類対象の画像と基準画像Cとの距離を3種類の特徴量毎に求め、求めた各距離に対し、基準画像Cに対して指定された各特徴量毎の重要度に応じた重み付けを行う。
その後、マッチング・エンジン153は、3種類の特徴量毎に求めた分類対象の画像と各基準画像A,BおよびCとの距離を合計し、距離の合計値を総合類似度とする(数6を参照)。マッチング・エンジン153は、このようにしてフォルダ352~358毎に総合類似度を求める。
続いて、マッチング・エンジン153は、フォルダ352~358毎に、ステップS1601で求めた総合類似度が閾値を超えるか否かを判定する(S1602)。ただし、ここでは類似度として距離を用いており、距離が短い(距離の値が小さい)ほど類似性が高いことになるため、実際には、総合類似度が閾値以下(または未満)であるか否かを判定することになる。
そして、マッチング・エンジン153は、求めた総合類似度が閾値を超えるフォルダに分類対象の画像を分類する(S1603)。すなわち、マッチング・エンジン153は、求めた総合類似度が閾値を超えるフォルダを分類対象の画像の分類先として決定し、分類木DB302中に登録された該当するフォルダのフォルダ情報に関連付けて分類対象の画像のID(予め設定されているものとする)を分類木DB302に登録する。
以上説明したステップS1601~S1603の処理を画像DB108中に登録されている各画像に対して実行することにより、画像DB108中の画像を分類することができる。また、マッチング・エンジン153は、各フォルダ352~358に分類された画像のうち、最も高い総合類似度(距離で表現すれば最も小さい総合類似度)を持つ画像を代表画像として選択し、該当するフォルダ情報に関連付けて分類木DB302に登録する。画像の分類処理が実行されると、図43の画像分類ウインドウ350fの各フォルダ352~358には、図37に示すように代表画像が表示される。
このように、実施の形態19に係る画像分類装置によれば、複数種類の特徴量を用いて基準画像および検索対象の画像の類似度を求める場合に、求めた類似度に対し、基準画像および特徴量の種類に応じて任意の重み付けを行うことができるように、各種類の特徴量毎の重要度を各基準画像毎に設定することが可能であり、フォルダそれぞれについて、各種類の特徴量毎に各基準画像および分類対象の画像の類似度を求め、各種類の特徴量毎に求めた類似度に対し、設定された重要度に応じた重み付けを行うことにより、ユーザの意図を分類条件として正確に表現できるため、ユーザの意図を正確に装置に伝えることが可能となると共に、重要度は類似度に対する重み付けとして反映されるため、ユーザの意図が反映された画像の分類結果を得ることが可能となる。
なお、特徴量の種類は、色、構造およびテクスチャの3種類に限定するものではなく、いかなる種類の特徴量の組み合わせであっても良い。」(【0439】~【0447】
上記(ア)から(エ)から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「大量の画像を所定の分類先に分類する画像分類処理を行う方法であって、 画像分類装置においては、色、構造およびテクスチャの3種類の特徴量を用いて分類処理を行うものであって、
分類条件設定ウインドウ360fは、画像指定欄A、BおよびCに指定された各基準画像毎に、分類対象の画像との類似度を求める際に使用される特徴量の種類毎の重要度を指定するための重要度指定バー367を備えており、ユーザは、例えば3枚の画像をそれぞれ画像指定欄A、BおよびCに基準画像A、BおよびCとして指定し、指定した基準画像A、BおよびC毎に、特徴量の種類毎の重要度を指定し、重要度指定バー367は、各基準画像の特徴量の種類毎に、「0」を中心にして「+」の重要度および「-」の重要度を指定することを可能にするものであり、重要度は各種類の特徴量毎に求めた類似度に対する重み付けとして反映されるため、ユーザの意図が反映された分類結果の画像を得ることが可能となり、
マッチング・エンジン153は、フォルダ352~358毎に、3種類の特徴量を用いて各基準画像および分類対象の画像の類似度を求め、求めた各類似度に対して重要度に応じた重み付けを行い、各類似度を合計して分類対象の画像の総合類似度を求める処理を実行し、求めた総合類似度が閾値を超えるフォルダを分類対象の画像の分類先として決定し、分類木DB302中に登録された該当するフォルダのフォルダ情報に関連付けて分類対象の画像のID(予め設定されているものとする)を分類木DB302に登録する、方法。」(以下、「引用発明」という。)
2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2003-157285号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(オ)「第3の実施例の処理フローを図12に示す。まず検索利用者は、検索を行うにあたり、パスワード入力により個人認証を行う(ステップS21)。検索利用者にはあらかじめ利用者を一意に識別するユーザIDが付与されている。
検索利用者は、条件入力手段3を使って、コンテンツ格納手段1に格納されている任意のコンテンツを1つ指定する(例示コンテンツ)(ステップS22)。
コンテンツ格納手段1では、図2に示すような形式で、コンテンツを一意に識別するコンテンツID、コンテンツの名称や制作者やジャンルなどの属性情報、コンテンツ本体などのデータが格納されている。以下では格納されているコンテンツの総数をNとする。
特徴量格納手段4においては、図3に示すような形式で、N個のコンテンツのM次元の特徴量が格納されている。
距離パラメータ指定手段9では、図13に示すように各特徴量ごとに、特徴量の大きなコンテンツの属性情報を数個、特徴量の小さなコンテンツの属性情報を数個、表示手段6に表示する。本実施例における距離計算パラメータは重み係数W[j]であり、検索利用者は、図13の下方にあるスライダー部を使用して距離計算に使う重み係数W[j](j=1~M)を設定する(ステップS23)。スライダー部のスライダーの初期値は前回その利用者が設定した値が再現されるようになっている。検索利用者は特徴量ごとに、特徴量の大きなコンテンツと小さなコンテンツを見比べて、両者の違いが大きいと判断した場合は、その特徴量の重み係数を大きく設定する。逆に違いが小さいと感じた場合には、その特徴量の重み係数を小さく設定する。このように設定された重み係数W[j]は、図14に示す形式で検索利用者毎に距離パラメータ格納手段10に格納される(ステップS24)。そして、格納された値は次回その検索利用者が検索する場合の初期値として利用される。
距離計算手段2においては、例示コンテンツと他の全てのコンテンツとの重み付き距離D[i] (i∈Δ)を上述した(2)式に従って計算する(ステップS25)。
ここで、Ps[j](j=1~M)は例示コンテンツの特徴量であり、Δは、例示コンテンツ以外の全てのコンテンツの集合である。また、P[i][j]はΔに属するコンテンツの特徴量であり、W[j]は利用者が設定した重み係数である。選択手段においては、この距離D[i]が小さい順に一定数のコンテンツを選択し、検索結果とする(ステップS26)。
なお、上記各実施例においては、多次元特徴量の距離を用いて、利用者が所望するコンテンツの選択を行ったが、距離の代わりに類似性を用いて選択を行っても良い。」(【0046】~【0053】)
3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2010-176675号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。
(カ)「(「UPI」とも呼ばれる)「ユーザプロファイル情報」は、個人ユーザ又はユーザのグループについての任意の情報を含んでよい。このような情報は、ユーザによって提供されてよく、ユーザ情報を公開することを許可されているサードパーティによって提供されてよく、及び/又はユーザアクションから引き出されてよい。特定のユーザ情報は、同じユーザの他のユーザ情報及び/又は他のユーザのユーザ情報を使用して演繹又は推測できる。UPIは多様なエンティティと関連付けられてよい。「ユーザUPI」は特定のユーザ又はユーザのグループと関連付けられるユーザプロファイル情報である。「文書UPI」は、文書と関連付けられるユーザプロファイル情報である。例えば、文書UPIは、文書を要求した又は文書にアクセスしたユーザの多様なユーザUPIの複合表現であってよい。「広告待ち受けページUPI」は特定のタイプの文書UPIであり、おそらく彼らが広告を選択した(例えばクリックした)ことに応じて、ある特定のウェブページにアクセスした、あるいはある特定のウェブページで購入を完了した多様なユーザの複合表現であってよい。「対象設定UPI」は、ユーザプロファイル供給制約を含んでよい。例えば、前立腺がん検診のための広告は、属性「男性」及び「年齢45歳以上」を有するユーザプロファイルに限定される可能性がある。」(【0045】)
(キ)「第4.2項 例示的な実施形態
第4.2.1項 例示的なユーザ情報
図4は、本発明にしたがった方法でユーザプロファイル情報(UPI)を記憶するために使用されてよい、例示的なデータ構造400である。図示されていないが、そのデータ構造400は識別子を含んでよい。このような識別子は、ある特定のユーザ、ユーザのグループ、文書、広告、広告待ち受けページ等と、UPIとを関連付けるために使用されてよい。UPIは、1つ以上のUPI属性420に関連する情報410の1つ以上の集合体を含んでよい。各属性420は、関連付けられた値430とスコア440を有してよい。」(【0047】)
(ク)「第4.3.1.1項 類似性決定技法の改良版
UPIを一致させるプロセスを効率的に保つために、属性選択、属性汎用化及び/又は属性集約の技法が、比較されているベクトルのサイズを縮小するために使用されてよい。例えば、属性選択は、UPIの間の一致プロセスの一部として使用される属性の数及び/又はサイズを削減するために使用されてよい。このような属性選択技法は、(絶対項及び/又は相対項の中で)高いスコア(例えば、確率又は重要性重み)を有する何らかの数の属性だけを、UPIのベクトル表現で保つことを含んでよい。別の属性選択技法は、うまく機能する(例えばクリックされる)可能性が高い1つ以上の一致を生成するために、他よりどの属性がより指標となるかを決定するために、「相互情報」、カイ二乗適合(Chi-squared fit)、又は例えば相関等の、統計基準を使用することを含んでよい。さらに別の属性選択技法は、最も有用であると考えられるそれらの属性を単に手作業で選択することである。これらの又は他の属性選択技法の2つ以上がいっせいに使用されてよい。」(【0091】)
(ケ)「本発明の一実施形態では、少なくともいくつかのUPI属性のそれぞれが、関連付けられたスコア(重要性重み、確率等)を有する。複数のUPI属性の重要性重みは、何らかの方法でともに分類されるあるいは集約されてよい。」(【0098】)
(コ)「UPI属性の重要性重みは、特定のユーザの、又はユーザのグループのアクションに基づいて更新されてよい。例えば、(参照してここに組み込まれ、「第791号出願」と呼ばれる)2003年6月2日に出願された、Steve Lawrence、Mehran Sahami及びAmit Singhalを発明者として示す「ユーザ要求情報とユーザ情報を使用して広告を供給すること(SERVING ADVERTISEMENTS USING USER REQUEST INFORMATION AND USER INFORMATION)」と題される米国特許出願第10/452,791号の図9は、本発明にしたがった方法で広告UPI又はユーザUPIを管理するために使用されてよい例示的な方法を示す。例えば、その例示的な方法では、ユーザが広告を選択すると、推奨されているこの広告につながったユーザUPI属性の重要性重みが増加してよい。重要性重み(複数の場合がある)が増す量(絶対又は相対)は、各UPI属性が広告推奨スコアにどの程度貢献したのかに少なくとも部分的に依存してよい。同様に、関連性のあるUPI属性の重要性重みは、ユーザが広告を選択しないときには削減されてよい。本発明の一実施形態では、重み削減係数は重み増加係数より小さい。」(【0100】)
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
(1-1)
引用発明は、「画像分類装置においては、色、構造およびテクスチャの3種類の特徴量を用いて分類処理を行うものであって、分類条件設定ウインドウ360fは、画像指定欄A、BおよびCに指定された各基準画像毎に、分類対象の画像との類似度を求める際に使用される特徴量の種類毎の重要度を指定するための重要度指定バー367を備えており、ユーザは、例えば3枚の画像をそれぞれ画像指定欄A、BおよびCに基準画像A、BおよびCとして指定し、指定した基準画像A、BおよびC毎に、特徴量の種類毎の重要度を指定し、重要度指定バー367は、各基準画像の特徴量の種類毎に、「0」を中心にして「+」の重要度および「-」の重要度を指定することを可能にするものであり、重要度は各種類の特徴量毎に求めた類似度に対する重み付けとして反映されるため、ユーザの意図が反映された分類結果の画像を得ることが可能とな」るものである。
ここで、ユーザが指定した基準画像A、BおよびCには、それぞれ、色、構造およびテクスチャの3種類の特徴量と当該特徴量の種類毎の重要度を指定するための重要度指定バー367が対応付けられているのであるから、前記「基準画像A、BおよびC」、「色、構造およびテクスチャの3種類の特徴量」、「特徴量の種類毎の重要度」は、それぞれ、本願発明でいうところの『第1のアイテム』、『それ(アイテム)に関連付けられた複数の属性』、『評価』に対応するものである。
してみると、引用発明には、本願発明1でいうところの『複数の第1のアイテムを選択するステップ』、『選択された複数の第1のアイテムの各々について、それに関連付けられた複数の属性を選択するステップ』、『複数の属性の各々は、評価を持ち、前記評価は、ユーザへの前記属性の重要性を示す、ステップ』に対応する構成を備えているものといえる。
(1-2)
引用発明における「分類条件設定ウインドウ360f」は、「基準画像A、BおよびC」、「色、構造およびテクスチャの3種類の特徴量」、「特徴量の種類毎の重要度を指定するための重要度指定バー367」を表示しているのであるから、本願発明1でいうところの『表示手段』に対応するものである。
また、引用発明における「画像分類装置」が本願発明1でいうところの『装置』に対応するものであることは明らかである。
してみると、引用発明には、本願発明1でいうところの『装置が、前記選択された複数の第1のアイテムの各々及びその関連付けられた複数の属性及び対応する評価を表示手段に表示させるステップ』に対応する構成を備えているものといえる。
(1-3)
引用発明における「重要度指定バー367」は、ユーザによって「各基準画像の特徴量の種類毎に、「0」を中心にして「+」の重要度および「-」の重要度を指定することを可能にするもの」であるから、引用発明には、本願発明1でいうところの『装置が、前記表示された複数の属性のうちいずれか1つの前記評価のユーザによる調節を可能にするステップ』及び『評価のユーザによる調節のためのインターフェースが、前記選択された複数の第1のアイテムの表示に含まれる』に対応する構成を備えているものといえる。
(1-4)
引用発明においては、「マッチング・エンジン153」を用いることで、ユーザが指定した「特徴量の種類毎の重要度」は「類似度に対する重み付けとして反映されるため、ユーザの意図が反映された分類結果の画像を得ることが可能となる」ものである。
ここで、前記「画像」は、本願発明1でいうところの『アイテム』に対応するものであり、そして、前記「マッチング・エンジン153」は、画像分類装置が備える構成の一つであることは明らかである。
なお、前記「特徴量の種類毎の重要度」が本願発明1でいうところの『評価』に対応するものであることは、上記(1-1)で言及した通りである。
また、引用発明における「類似度に対する重み付けとして反映されるため、ユーザの意図が反映された分類結果の画像を得ること」は、大量の画像を所定の分類先に分類するために絞り込むための処理といえる。
してみると、本願発明1と引用発明とは、『装置が、前記評価のユーザによる調節に基づいてアイテムを絞り込むステップ』を備えているという点で一致しているといえる。
(1-5)
以上、上記(1-1)から(1-4)で対比した様に、本願発明1と引用発明とは、
「装置が、複数の第1のアイテムを選択するステップと、
前記装置が、選択された複数の第1のアイテムの各々について、それに関連付けられた複数の属性を選択するステップであって、前記複数の属性の各々は、評価を持ち、前記評価は、ユーザへの前記属性の重要性を示す、ステップと、
前記装置が、前記選択された複数の第1のアイテムの各々及びその関連付けられた複数の属性及び対応する評価を表示手段に表示させるステップと、
前記装置が、前記表示された複数の属性のうちいずれか1つの前記評価のユーザによる調節を可能にするステップと、
前記装置が、前記評価のユーザによる調節に基づいてアイテムを絞り込むステップとを有し、
前記評価のユーザによる調節のためのインターフェースが、前記選択された複数の第1のアイテムの表示に含まれる、方法。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本願発明1は『装置が、入力された検索条件に基づいて複数の第1のアイテムを選択するステップ』を備えているのに対し、引用発明は「基準画像」を選択するに際して、ユーザがそれを指定している点。
(相違点2)
本願発明1には、『装置が、選択された複数の第1のアイテムの各々について、それに関連付けられた複数の属性を選択するステップであって、前記複数の属性のうち少なくとも1つは、前記検索条件に基づくものであり、』との限定が特定されているのに対し、引用発明においては、かかる限定がない点。
(相違点3)
本願発明1は『前記装置が、前記評価のユーザによる調節に基づいて前記選択された複数の第1のアイテムを絞り込むステップ』を備えているのに対し、引用発明は「大量の画像を所定の分類先に分類するために絞り込むための処理」を行っているものの、絞り込みのための対象となるものが「大量の画像」であり、ユーザによって指定された「基準画像」ではない点。
(2)判断
上記(相違点2)について判断する。
引用発明においては、「特徴量」は、「色、構造およびテクスチャの3種類」が例示されており、また、上記(エ)で摘記した様に、引用文献1には、特徴量の種類として「色、構造およびテクスチャの3種類に限定するものではなく、いかなる種類の特徴量の組み合わせであっても良い。」と記載されている。
しかしながら、引用発明には「特徴量」を選択するにあたって、本願発明1の様に『複数の第1のアイテム』を選択するために用いられた『入力された検索条件』に基づいて選択するとの事項は開示されていない。また、当該事項が当業者にとって自明であるとも認められない。
更に、引用発明においては、上記(相違点1)で言及した様に、基準画像を選択するに際して、ユーザによって入力された「検索条件」を用いるものではないから、「特徴量」の選択として「検索条件」の内容に基づくことは当業者といえども想定できるものではない。
また、上記(相違点2)で言及した事項は、原査定で引用された引用文献2及び3にも開示されておらず、当該事項を示唆する記載も認められない。
したがって、本願発明1に係る上記(相違点2)で言及した事項は、当業者が引用発明に基づいて、又は、引用発明と引用文献2及び3に開示されている事項とに基づいて、容易に想到し得たとは認められない。
以上の通りであるから、上記(相違点1)及び(相違点3)について判断するまでもなく、本願発明1は、引用発明に基づいて、又は、引用発明と引用文献2及び3に開示されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
2.本願発明2から本願発明9について
本願発明2から本願発明7は、いずれも本願発明1であるところの請求項1を直接的又は間接的に引用する発明であり、そして、本願発明8は本願発明1に対応する装置であり、更に、本願発明9は本願発明8であるところの請求項8を引用する発明であり、本願発明2から本願発明9のいずれの発明も本願発明1が備える『装置が、選択された複数の第1のアイテムの各々について、それに関連付けられた複数の属性を選択するステップであって、前記複数の属性のうち少なくとも1つは、前記検索条件に基づくものであり、』という構成を備えているのであるから、本願発明1と同様に、引用発明に基づいて、又は、引用発明と引用文献2及び3に開示されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1~9は、引用発明に基づいて、又は、引用発明と引用文献2及び3に開示されている事項とに基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-011310