特許拒絶査定不服審判
2016-010683
モバイルデバイスの触覚出力表面にユーザへの情報を提示するためのデバイスおよび方法
- 審判番号
- 2016-010683
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-511441外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月14日
- 審決日
- 2017年03月27日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-511441「モバイルデバイスの触覚出力表面にユーザへの情報を提示するためのデバイスおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月22日国際公開、WO2012/158641、平成26年 8月 7日国内公表、特表2014-519098、請求項の数(64)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2012年5月14日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年5月13日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年3月3日付けで拒絶理由が通知され、同年6月9日付けで手続補正がなされ、同年11月24日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月23日付けで意見書が提出されたが、同年3月10日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月14日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の理由の概要
原査定(平成28年3月10日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1-64に係る発明は、下記の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献一覧
1.特開2010-250735号公報
2.特表2010-531027号公報
第3 本願発明
本願の請求項1~64に係る発明は、平成27年6月9日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1~64に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)、及び本願の請求項61に係る発明(以下、「本願発明61」という。)は以下のとおりである。
「【請求項1】
モバイルデバイス上でユーザに情報を伝達する方法であって、
前記ユーザに伝達するための前記情報を決定するステップと、
相対的大きさの情報を示すフォーマットされた情報を生成するために、触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットするステップと、
前記フォーマットされた情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面の局所部分を活性化するステップとを含み、前記ハプティック活性化領域が、前記触覚出力表面にタッチしているユーザに触覚的感覚を与えるとともに、前記触覚出力表面の少なくとも一部分のサイズと比較した前記ハプティック活性化領域の相対的サイズが、前記相対的大きさの情報を示す、方法。」
「【請求項61】
モバイルデバイス上でユーザに情報を伝達する方法であって、
前記ユーザに伝達するための前記情報を決定するステップと、
前記触覚出力表面に割り当てられた範囲に合うように前記情報をスケーリングし、
前記スケーリングした情報を前記触覚出力表面に割り当てられた範囲で割ることによって相対的大きさの値を計算するとともに、
前記計算された相対的大きさの値をフォーマットされた情報として使用することによって、
前記触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットするステップと、
前記フォーマットされた情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面を活性化するステップとを含み、前記ハプティック活性化領域が、ユーザが前記触覚出力表面にタッチすることによって触知され得る、方法。」
第4 引用文献・引用発明
1.引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、駆動手段を制御してピン群のピンを駆動させて凸部又は凹部を形成し、発光手段の駆動を制御して凸部又は凹部を形成するピンが当該発光手段の発光色を呈する入力部を構成し、ピンの長手方向の動きを検出する第1の検出手段の検出結果に基づいて、入力部に対する操作の有無を判断するので、操作の感触をフィードバックして誤操作の防止を図ることができ、発光手段の発光色によって操作すべき部分を容易に視認できるという効果がある。」
「【0016】
この実施の形態1による入力装置では、基部11側のアクチュエータ(不図示)でピン12を長手方向に駆動させてピン12群に形成した隆起部分(凸部)や窪み部分(凹部)を、各ピン12毎に設けた発光素子の発光色で色分けする。このように色分けされた隆起部分(凸部)や窪み部分(凹部)を、様々な操作シーンに応じた入力部として利用する。
【0017】
例えば、複数の押しボタンが必要な操作シーンであれば、図1に示すようにピン12群の一部を同時に長手方向上方に移動させて盛り上げ、それぞれを色分けすることにより、使用目的に応じた様々な色及び形状のボタン13を形成できる。また、ピン12群の一部を同時に長手方向下方に移動させて窪ませれば、連続して数値を可変する際のスライダー14として利用できる。このとき、図1に示すように、入力操作された部分のピン12の発光素子を周囲とは異なる色で発光させることで、スライダー14が操作された方向に矢印を表示することもできる。」
「【0020】
図2は、実施の形態1による入力装置を適用した車載機器の利用形態を示す図であり、図2(a)はボタンを形成した場合を示し、図2(b)はスライダーを形成した場合を示している。図2(a)に示す例では、車載機器15が実行しているアプリケーションソフトウエアにより、4つのボタン17a~17dが記載された入力用画面16aが表示されている。この場合、入力インタフェース部10のピン12を長手方向上方に駆動させ、ピン12の発光素子の発光色で色分けすることにより、ボタン17a~17dの各々に対応した色の操作入力用ボタン13a~13dを形成する。
【0021】
ユーザは、入力用画面16aに記載のボタン17a~17dを選択する入力操作を行う場合、操作入力用ボタン13a~13dを押下すればよい。このように操作シーンに応じた形状及び色の入力インタフェースを形成することにより、入力操作を迅速に実行できる。また、ピン12を実際に押下して入力が実行されるので、ボタン押下の際に本来得られる感触をユーザにフィードバックすることもできる。
【0022】
また、図2(b)の例は、車載機器15の表示画面上に車内温度の調節用画面16bを表示し、温度を調節するための入力部として、ピン12の押下に応じて色が変化するスライダー14を入力インタフェース部10に形成した場合を示している。ユーザは、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下してその色を変化させることで、押下されたピン12で形成される領域の面積等に応じた数値が車内のエアコントローラ(不図示)に伝送され、車内温度が調節される。
【0023】
図3及び図4は、実施の形態1による入力装置を適用した車載機器の利用形態を示す図である。ピン12を発光素子の発光色とすれば、入力インタフェース部10を表示部としても利用できる。図3に示す例では、ピン12の発光素子の発光色で時計表示している。また、図4に示すように、入力インタフェース部10を手書き入力の入力盤として利用してもよい。この場合、入力された文字(図4中の「こ」)を車載機器15の表示画面上に表示してもよいが、手書き入力で押下されたピン12を周囲と異なる色にすることで、入力インタフェース部10に文字表示してもよい。」
「【0028】
なお、ピン12の長手方向上下の位置レベルは、ピン12の長さに応じて、例えば4段階に上下駆動させる。この場合、入力部の形成前は、ピン上下駆動アクチュエータ20で基準となる位置レベル(0レベル)まで押し上げて、各ピン12の端面がほぼ同一平面上に揃うように並べておく。この状態からボタン形状の入力部を形成する場合、例えば+2レベルまでピン12を長手方向上方に移動させてボタンを形成する。位置センサによってピン12が+1レベル以下まで押下されたことが検出されると、当該ボタンが押下されたと判断する。また、スライダー14を形成する場合は、例えば-1レベルまでピン12を下方に移動させてスライダー溝を形成する。位置センサによって-2レベルまで押下されたことが検出されると、スライダー14が操作されたと判断する。」
上記下線部の記載及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「基部11側のアクチュエータでピン12を長手方向に駆動させてピン12群に形成した隆起部分(凸部)や窪み部分(凹部)を、各ピン12毎に設けた発光素子の発光色で色分けし、色分けされた隆起部分(凸部)や窪み部分(凹部)を、様々な操作シーンに応じた入力部として利用する車載機器の入力インタフェース方法であって、
ピン12群の一部を同時に長手方向下方に移動させて窪ませ、連続して数値を可変する際のスライダー14として利用でき、
ユーザは、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下してその色を変化させることで、押下されたピン12で形成される領域の面積等に応じた数値が車内のエアコントローラに伝送され、車内温度が調節され、
-1レベルまでピン12を下方に移動させてスライダー溝を形成し、位置センサによって-2レベルまで押下されたことが検出されると、スライダー14が操作されたと判断する車載機器の入力インタフェース方法。」
2.引用文献2について
原査定の拒絶理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0073】
前述の一例として、モバイル・デバイス404は触覚フィードバックを提供する触覚感覚特徴(例えば、振動デバイス、触覚ディスプレイ)を含む。触覚感覚特徴は触覚情報をモバイル・デバイスのユーザーへ伝達するために製品関連のアプリケーションによって用いられる。例えば、レース用自動車エンジンのオーディオ/ビデオ・メディア408は強力なエンジン・モータによって引起こされる振動の代表的な「感触(feel)」をユーザーに与えるために振動デバイスまたは触覚ディスプレイを用いる触覚アプリケーションと連結されるであろう。高性能モーター・オイル製品と関連するDMCはオーディオ/ビジュアル/触覚メディア408とともに束ねられ、それは製品の広告として役立つ。前述はDMCに関連する製品またはサービスの形態を増大させるために利用されるモバイル・デバイス404の感覚機能(例えば、グラフィック・ディスプレイ、オーディオ・コントローラー及びスピーカー、振動デバイス、触覚ディスプレイ、香り再生器)の一例に過ぎない。当分野で既知の、或いはここに提供された文脈により当業者に既知となったデバイス感覚特徴(例えば、オーディオ、視覚、触覚、嗅覚、味覚、等)の他の例は主題開示に含まれる。いくつかの例は香水または香り製品(例えば、石けん、空気清浄器)に関係するメディア(408)を拡大させるために嗅覚特徴(例えば、香りスプレー、または排出器と結合した組込済み香水)を用いることを含む。別の例は大騒ぎの群集と一致するデバイス振動と「空気中の」バター付きポップコーンで結合された、大リーグ野球ワールド・シリーズのオーディオ/ビデオ表示のような、感覚特徴の組合せを用いるメディア(408)を含む。」
したがって、引用文献2には、モバイル・デバイス上で触覚フィードバックを提供する触覚ディスプレイを含み、触覚情報をモバイル・デバイスのユーザーへ伝達するという技術的事項が記載されていると認められる。
第5 当審の判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明を対比すると次のことがいえる。
ア 引用発明の「車載機器」は、本願発明1の「モバイルデバイス」と、「デバイス」である点で共通し、引用発明の「色分けされた隆起部分(凸部)や窪み部分(凹部)を、様々な操作シーンに応じた入力部として利用する車載機器の入力インタフェース方法」は、ユーザに入力部の情報を伝達しているといえるから、本願発明1の「モバイルデバイス上で情報を伝達する方法」と、「デバイス上で情報を伝達する方法」である点では共通するといえる。
イ 引用発明の「ピン12群の一部を同時に長手方向下方に移動させて窪ませれば、連続して数値を可変する際のスライダー14として利用」する構成は、本願発明1の「前記ユーザに伝達するための前記情報を決定するステップ」を含む構成に相当するといえる。
ウ 引用発明の「ユーザは、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下してその色を変化させることで、押下されたピン12で形成される領域の面積等に応じた数値が車内のエアコントローラに伝送」される構成は、本願発明1の「前記フォーマットされた情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面の局所部分を活性化するステップ」を含む構成と、「前記情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面の局所部分を活性化するステップ」を含む構成である点では共通するといえる。
エ 引用発明の「ユーザは、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下」する構成は、ユーザに触覚的感覚を与えることは明らかであるから、本願発明1の「前記ハプティック活性化領域が、前記触覚出力表面にタッチしているユーザに触覚的感覚を与えるとともに、前記触覚出力表面の少なくとも一部分のサイズと比較した前記ハプティック活性化領域の相対的サイズが、前記相対的大きさの情報を示す」構成と「前記ハプティック活性化領域が、前記触覚出力表面にタッチしているユーザに触覚的感覚を与える」構成である点では共通するといえる。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「モバイルデバイス上でユーザに情報を伝達する方法であって、
前記ユーザに伝達するための前記情報を決定するステップと、
前記情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面の局所部分を活性化するステップとを含み、前記ハプティック活性化領域が、前記触覚出力表面にタッチしているユーザに触覚的感覚を与える、方法。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1は、「モバイルデバイス上でユーザに情報を伝達する方法」であるのに対し、引用発明は、「車載機器」上でユーザに情報を伝達する点。
(相違点2)本願発明1は、「相対的大きさの情報を示すフォーマットされた情報を生成するために、触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットするステップ」を含むものであるのに対し、引用発明は、ピン12群の一部を同時に長手方向下方に移動させて窪ませ、スライダー溝を形成しているものの、スライダー溝は、相対的大きさの情報を示すフォーマットされた情報とはいえない点。
(相違点3)本願発明1は、ハプティック活性化領域が「前記フォーマットされた情報に対応」し、「前記触覚出力表面の少なくとも一部分のサイズと比較した前記ハプティック活性化領域の相対的サイズが、前記相対的大きさの情報を示す」ものであるのに対し、引用発明は、「スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下し」、「押下されたピン12で形成される領域」が、「前記情報に対応するハプティック活性化領域」といえるものではあるが、「前記フォーマットされた情報に対応」しているとはいえず、「触覚出力表面の少なくとも一部分のサイズと比較した前記ハプティック活性化領域の相対的サイズが、前記相対的大きさの情報を示す」ものともいえない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、引用発明は、ピン群のピンを駆動させて凸部又は凹部を形成するピンが入力部を構成し、ピンの長手方向の動きを検出する検出結果に基づいて、入力部に対する操作の有無を判断し、操作の感触をフィードバックして誤操作の防止を図ることを課題とし(段落【0013】参照。)、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下げることで、押下されたピン12で形成される領域の面積等に応じた数値を入力するものであって、引用発明自体には、「相対的大きさの情報を示すフォーマットされた情報を生成するために、触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットする」ことを示唆するものではない。
引用文献2には、「第4 引用文献・引用発明」、「2.引用文献2について」に記載のとおり、モバイル・デバイス上で触覚フィードバックを提供する触覚ディスプレイを含み、触覚情報をモバイル・デバイスのユーザーへ伝達するという技術的事項が記載されているが、上記相違点2に係る本願発明1の「相対的大きさの情報を示すフォーマットされた情報を生成するために、触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットする」という構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。
したがって、上記相違点1、3を検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。
2.本願請求項2~15に係る発明は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
3.本願請求項16に係る発明は、本願発明1をコンピューティングデバイスとして記載したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
4.本願請求項17~30に係る発明は、本願請求項16に係る発明をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
5.本願請求項31に係る発明は、本願請求項16に係る発明のコンピューティングデバイスの構成要件を手段として記載したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
6.本願請求項32~45に係る発明は、本願請求項31に係る発明をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
7.本願請求項46に係る発明は、本願請求項16に係る発明を非一時的コンピュータ可読記録媒体として記載したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
8.本願請求項47~60に係る発明は、本願請求項46に係る発明をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
9.本願発明61について
(1)対比
本願発明61と引用発明を対比すると次のことがいえる。
ア 引用発明の「車載機器」は、本願発明61の「モバイルデバイス」と、「デバイス」である点で共通し、引用発明の「色分けされた隆起部分(凸部)や窪み部分(凹部)を、様々な操作シーンに応じた入力部として利用する車載機器の入力インタフェース方法」は、ユーザに入力部の情報を伝達しているといえるから、本願発明61の「モバイルデバイス上でユーザに情報を伝達する方法」と、「デバイス上でユーザに情報を伝達する方法」である点では共通するといえる。
イ 引用発明の「ピン12群の一部を同時に長手方向下方に移動させて窪ませ、連続して数値を可変する際のスライダー14として利用」する構成は、本願発明61の「前記ユーザに伝達される前記情報を決定するステップ」を含む構成に相当するといえる。
ウ 引用発明の「ユーザは、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下してその色を変化させることで、押下されたピン12で形成される領域の面積等に応じた数値が車内のエアコントローラに伝送」される構成は、本願発明61の「前記フォーマットされた情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面を活性化するステップ」を含む構成と、「前記情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面を活性化するステップ」を含む構成である点では共通するといえる。
エ 引用発明の「ユーザは、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下」する構成は、ユーザに触覚的感覚を与えることは明らかであるから、本願発明61の「前記ハプティック活性化領域が、ユーザが前記触覚出力表面をタッチすることによって触知され得る」構成に相当するといえる。
したがって、本願発明61と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「デバイス上でユーザに情報を伝達する方法であって、
前記ユーザに伝達するための前記情報を決定するステップと、
前記情報に対応するハプティック活性化領域を生成するために、触覚出力表面を活性化するステップとを含み、前記ハプティック活性化領域が、ユーザが前記触覚出力表面にタッチすることによって触知され得る、方法。」
(相違点)
(相違点1)本願発明61は、「モバイルデバイス上でユーザに情報を伝達する方法」であるのに対し、引用発明は、「車載機器」上でユーザに情報を伝達する点。
(相違点2)本願発明61は、「触覚出力表面に割り当てられた範囲に合うように前記情報をスケーリングし、前記スケーリングした情報を前記触覚出力表面に割り当てられた範囲で割ることによって相対的大きさの値を計算するとともに、前記計算された相対的大きさの値をフォーマットされた情報として使用することによって、前記触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットするステップ」を含むものであるのに対し、引用発明は、ピン12群の一部を同時に長手方向下方に移動させて窪ませ、スライダー溝を形成しているものの、スライダー溝は上記のような相対的大きさの値をフォーマットされた情報とはいえない点。
(相違点3)本願発明61は、ハプティック活性化領域が「前記フォーマットされた情報に対応」するものであるのに対し、引用発明は、「スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下し」、「押下されたピン12で形成される領域」が、「前記情報に対応するハプティック活性化領域」といえるものではあるが、「前記フォーマットされた情報に対応」しているとはいえない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点2について検討すると、引用発明は、ピン群のピンを駆動させて凸部又は凹部を形成するピンが入力部を構成し、ピンの長手方向の動きを検出する検出結果に基づいて、入力部に対する操作の有無を判断し、操作の感触をフィードバックして誤操作の防止を図ることを課題とし(段落【0013】参照。)、スライダー14の溝に沿ってピン12をさらに押下げることで、押下されたピン12で形成される領域の面積等に応じた数値を入力するものであって、引用発明自体には、「触覚出力表面に割り当てられた範囲に合うように前記情報をスケーリングし、前記スケーリングした情報を前記触覚出力表面に割り当てられた範囲で割ることによって相対的大きさの値を計算するとともに、前記計算された相対的大きさの値をフォーマットされた情報として使用することによって、前記触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットする」ことを示唆するものではない。
引用文献2には、「第4 引用文献・引用発明」、「2.引用文献2について」に記載のとおり、モバイル・デバイス上で触覚フィードバックを提供する触覚ディスプレイを含み、触覚情報をモバイル・デバイスのユーザーへ伝達するという技術的事項が記載されているが、上記相違点2に係る本願発明61の「触覚出力表面に割り当てられた範囲に合うように前記情報をスケーリングし、前記スケーリングした情報を前記触覚出力表面に割り当てられた範囲で割ることによって相対的大きさの値を計算するとともに、前記計算された相対的大きさの値をフォーマットされた情報として使用することによって、前記触覚出力表面に提示するための前記情報をフォーマットする」という構成は、記載されておらず、示唆されてもいない。
したがって、上記相違点1、3を検討するまでもなく、本願発明61は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたとは認められない。
10.本願請求項62に係る発明は、本願発明61をコンピューティングデバイスとして記載したものであるから、本願発明61と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
11.本願請求項63に係る発明は、本願請求項61に係る発明のコンピューティングデバイスの構成要件を手段として記載したものであるから、本願発明61と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
12.本願請求項64に係る発明は、本願請求項61に係る発明を持続性コンピュータ可読記録媒体として記載したものであるから、本願発明61と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明をすることができたとはいえない。
第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1-64に係る発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2016-010683