特許拒絶査定不服審判
2016-010240
質量流量コントローラを通る流量を実時間で監視するシステムおよび方法
- 審判番号
- 2016-010240
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-553321外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年07月06日
- 審決日
- 2017年09月20日
- 公報発行日
- 2018年03月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人酒井国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (G05D) / P18 .113-Z (G05D) / P18 .575-Z (G05D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-553321「質量流量コントローラを通る流量を実時間で監視するシステムおよび方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年7月25日国際公開,WO2013/109443,平成27年3月26日国内公表,特表2015-509250〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2013年(平成25年)1月9日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年1月20日,米国)を国際出願日とする出願であって,その主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 9月18日 :手続補正書の提出
平成27年 8月10日付け:拒絶理由の通知
平成27年11月18日 :意見書,手続補正書の提出
平成28年 3月 3日付け:拒絶査定(謄本送達日同月8日)
平成28年 7月 6日 :審判請求書と同時に手続補正書の提出
第2 平成28年7月6日になされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年7月6日になされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された(下線部は補正箇所である。)。
「質量流量コントローラを通る質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第1の流量測定信号を生成するように構成され、配置された第1の流量計と、
前記第1の流量計と同時に質量流量を測定する第2の流量計であって、前記質量流量コントローラを通る質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第2の流量測定信号を生成するように構成され、配置された第2の流量計と、
前記流量計のうちの1つによって測定された前記流量の関数として生成された制御信号に応じて、前記質量流量コントローラを通る前記質量流量を、工程の実行中に実時間で制御するように構成され、配置された制御弁と、
前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2流量測定信号を受信し、前記制御信号を生成し、前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号との差が所定の閾値を超えた場合を示すアラーム信号を提供するように構成され、配置されたシステムコントローラと、
を備え、
前記システムコントローラは、
(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し、これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部と、
(ii)前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2流量測定信号を受信し、前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器と、
(iii)前記差信号を所定の閾値と比較し、前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器と
を含み、
前記第1および前記第2の流量計はそれぞれ制御弁の上流および下流に配置されている違う種類のものである、質量流量コントローラ。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,平成27年11月18日になされた手続補正による特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「質量流量コントローラを通る質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第1の流量測定信号を生成するように構成され、配置された第1の流量計と、
前記第1の流量計と同時に質量流量を測定する第2の流量計であって、前記質量流量コントローラを通る質量流量を、工程の実行中に実時間で測定し、前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第2の流量測定信号を生成するように構成され、配置された第2の流量計と、
前記流量計のうちの1つによって測定された前記流量の関数として生成された制御信号に応じて、前記質量流量コントローラを通る前記質量流量を、工程の実行中に実時間で制御するように構成され、配置された制御弁と、
前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2流量測定信号を受信し、前記制御信号を生成し、前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号との差が所定の閾値を超えた場合を示すアラーム信号を提供するように構成され、配置されたシステムコントローラと、
を備え、
前記システムコントローラは、
(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し、これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部と、
(ii)前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2流量測定信号を受信し、前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器と、
(iii)前記差信号を所定の閾値と比較し、前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器と
を含み、
前記第1および前記第2の流量計はそれぞれ制御弁の上流および下流に配置されている、質量流量コントローラ。」
2 補正の適否
上記補正のうち,第1および第2の流量計に係る補正は,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である第1および第2の流量計について,上記のとおりこれらの流量計が違う種類のものであるという限定を付加するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
ア 引用例1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された,本願の優先日前に頒布された刊行物である,特開平3-211601号公報(平成3年9月17日出願公開。以下,「引用例1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
a 第1ページ右欄第3~最終行
「ガス流量制御装置に係り,特に半導体装置の製造工程で使用するガス流量制御装置に関し,
ガスのコンタミネーションによる誤動作を直ちにキャッチして被害を防止するガス流量制御装置の提供を目的とし,
第1の流量センサと,第2の流量センサと,バルブと,比較回路と,警報器と,比較制御回路を有し,
該第1の流量センサ及び該第2の流量センサはガス流量を検知して電気信号に変換し,該バルブはガス流量を調節し,該比較回路は該第1の流量センサの出力電圧と該第2の流量センサの出力電圧を比較し,その差が予め設定した値より大きい時に該警報器を作動させ,該比較制御回路は該第1の流量センサの出力電圧と予めガス流量に応じて設定した設定電圧を比較し,その差に応じて該バルブを作動させてガス流量を一定に制御するガス流量制御装置により構成する。」
b 第2ページ左上欄第1~4行
「〔産業上の利用分野〕
本発明はガス流量制御装置に係り,特に半導体装置の製造工程で使用するガス流量制御装置に関する。」
c 第3ページ左上欄下から2行~左下欄第11行
「〔実施例〕
第1図は実施例で,本発明によるマスフローコントローラを説明するための図であり,1は第1の流量センサで第1のセンサ管1a,検出回路1b,増幅回路1cからなり,2は第2の流量センサで第2のセンサ管2a,検出回路2b,増幅回路2cからなり,3はバルブ,4は比較回路,5は警報器,6は比較制御回路,7は電圧設定回路を表す。
第1のセンサ管1a,第2のセンサ管2aはともにサーモレジスタをもっていて,これらは検出回路1b,2bのブリッジ回路の一部を構成し,ガス流量に比例した出力電圧が増幅回路1c,2cに送られる。比較回路は第1の流量センサ1からの出力電圧と第2の流量センサ2からの出力電圧を比較する。そして,その差が予め設定してある異常値を超えると警報器5を動作させる。
一方,第1の流量センサ1からの出力電圧は予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路7に設定された設定電圧と比較制御回路6で比較され,その差に応じてバルブ3が駆動されてガス流量を一定に保つように制御系が動作する。
このようにして,警報器が動作しない間はガス流量を一定に保ち,警報器が動作したら直ちに,その事態に対処することができる。
なお,実施例(第1図)では第1の流量センサ1と第2の流量センサ2をバルブ3の上流側に設置したが,下流側に設置してもよく,警報器5を動作させる異常値の設定に注意を払えば第1の流量センサ1と第2の流量センサ2を上流側と下流側に分けて設置することもできる。
さらに,電圧設定回路7の設定電圧と比較する出力電圧は第1の流量センサ1と第2の流量センサ2のどちらからとってもよい。」
(イ)上記記載から,引用例1には,次の技術的事項が記載されている。
a 引用例1に記載された技術は,ガス流量制御装置に関するものであり,誤動作を直ちにキャッチして被害を防止するガス流量制御装置を提供することを目的としたものである。
b 第1の流量センサは第1のセンサ管,検出回路,増幅回路からなり,第2の流量センサは第2のセンサ管,検出回路,増幅回路からなり,第1及び第2のセンサ管はともにサーモレジスタをもっていて,これらは検出回路のブリッジ回路の一部を構成し,ガス流量に比例した出力電圧が増幅回路に送られ,比較回路は第1の流量センサからの出力電圧と第2の流量センサからの出力電圧を比較して,その差が予め設定してある異常値を超えると警報器を動作させる。
c 第1の流量センサからの出力電圧は予め流すべきガス流量に応じて電圧設定回路に設定された設定電圧と比較制御回路で比較され,その差に応じてバルブが駆動されてガス流量を一定に保つように制御系が動作する。
d 第1の流量センサと第2の流量センサは,警報器を動作させる異常値の設定に注意を払えば第1の流量センサと第2の流量センサをバルブの上流側と下流側に分けて設置することもできる。
(ウ)これらのことから,引用例1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ガス流量制御装置を通るガス流量に比例した第1の出力電圧を生成するように構成され,配置された第1の流量センサと,
前記第1の流量センサと同時に流量を測定する第2の流量センサであって,前記ガス流量制御装置を通るガス流量に比例した第2の出力電圧を生成するように構成され,配置された第2の流量センサと,
前記第1の流量センサからの出力電圧に応じて,ガス流量を制御するように構成され,配置されたバルブと,
第1の流量センサからの出力電圧と第2の流量センサからの出力電圧を比較して,その差が予め設定してある異常値を超えると警報器を動作させる制御系と,
を備え,
前記制御系は,
(i)前記第1および第2の流量センサによって生成された2つの出力電圧のうち1つを前記バルブのための制御に用いるように機能する比較制御回路と,
(ii)前記第1および第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1及び第2の出力電圧を受信し,前記第1および前記第2の出力電圧の差を示す比較回路と,
(iii)前記出力電圧の差が,予め設定してある異常値を超えた場合に動作させられる警報器と
を含み,
前記第1および前記第2の流量センサはそれぞれバルブの上流および下流に配置されている,ガス流量制御装置。」
イ 引用例2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された,本願の優先日前に頒布された刊行物である,特開平3-166611号公報(平成3年7月18日出願公開。以下,「引用例2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
a 第1ページ左欄下から5行~最終行
「[産業上の利用分野]
本発明は被制御流体の質量流量を検出し、流量コントロールバルブの開度を調節して、被制御流体の質量流量を自動的に制御する質量流量制御装置に関する。」
b 第2ページ右上欄第5~16行
「[課題を解決するための手段]
本発明に係る質量流量制御装置は、被制御流体の流路に設けられた流量コントロールバルブと、前記被制御流体の質量流量を検出する第1の質量流量センサと、この第1の質量流量センサの出力に基づいて前記流量コントロールバルブのバルブ開度を調節する制御回路と、前記被制御流体の質量流量を検出する第2の質量流量センサと、前記第1の質量流量センサの出力と前記第2の質量流量センサの出力との差が所定範囲から外れた場合に警報信号を出力する警報回路とを有することを特徴とする。」
c 第3ページ左下欄第7~17行
「本実施例においては、比較用質量流量センサ2aが被制御流体の流路に直接設置されている。従って、本実施例の質量流量制御装置から供給される被制御流体は、その全量が比較用質量流量センサ2a内を通流する。このため、第1の実施例と異なり、比較用質量流量センサ2aに異物が詰まる虞れが少ない。また、本実施例においても、第1の実施例と同様に、流量制御用質量流量センサ1の入口部における分流バランスが変化した場合は、比較回路5から警報信号15が出力され、装置の異常を迅速に知らせることができる。」
d 第2図
第2図には,バイパスチューブを有する質量流量センサ,バイパスチューブを有さない質量流量センサ,流量コントロールバルブがこの順で直列に配置された質量流量制御装置であって,バイパスチューブを有する質量流量センサからの出力信号とバイパスチューブを有さない質量流量センサからの出力信号が入力される比較回路と,バイパスチューブを有する質量流量センサからの出力信号が入力される比較制御回路と,当該比較制御回路からのバルブ制御信号が入力される駆動装置と,当該駆動装置に接続された前記流量コントロールバルブとが看取される。
(イ)上記記載から,引用例2には,次の技術的事項が記載されている。
「質量流量制御装置において,第1の質量流量センサの出力を流量コントロールのバルブ開度を調整するために用いるとともに,
前記第1の質量流量センサの出力と及び第2の質量流量センサの出力との差が所定範囲から外れた場合に警報信号を出力する,質量流量制御装置において,
第1の質量流量センサとしてバイパス流路を有する質量流量センサを用い,第2の質量流量センサとしてバイパス流路を有さない質量流量センサを用いるという技術。」
ウ 引用例3
(ア)本願の優先日前に頒布された刊行物である,米国特許第7826986号明細書(2010年11月2日発行。以下,「引用例3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(丸括弧内は,引用例3に対応した日本出願の公表公報である特表2012-503833号公報をもとに,当審で付した和訳及び当該公表公報の関連箇所である。)
a 第1欄第8~12行(段落【0002】)
“The present invention relates generally to mass flow controllers. In particular, but not by way of limitation, the present invention relates to methods and apparatus for operating a mass flow controller.”(本発明は,概略的には質量流量コントローラに関する。限定するつもりはないが,具体的には,本発明は,質量流量コントローラを動作させる方法および装置に関する。)
b 第1欄下から8行~最終行(段落【0006】)
“Another illustrative embodiment is a method of validating a mass flow controller thermal sensor. One such method comprises producing thermal sensor and pressure sensor signals, modifying the signals, and using the modified signals to calculate a mass flow rate of a substance flowing through a mass flow controller as measured by the thermal and pressure sensors. The mass flow rates are then compared in order to validate that the thermal sensor is operating properly.”(別の例示的な実施形態は,質量流量コントローラ熱センサを確認する方法である。そのような1つの方法は,熱センサ信号および圧力センサ信号を生成する機能と,信号を変換する機能と,熱センサおよび圧力センサによって測定される質量流量コントローラを通って流れている物質の質量流量を計算するのに変換信号を使用する機能とを含む。次に,熱センサが正常に動作していることを確認するために,質量流量が比較される。)
c 第2欄下から32行~下から20行(段落【0011】)
“Referring now to the drawings, where like or similar elements are designated with identical reference numerals throughout the several views where appropriate, and referring in particular to FIG. 1, it is a functional block diagram of a mass flow controller (MFC) 100 in accordance with an illustrative embodiment of the invention is shown. Base 105 of MFC 100 includes a main flow path 175 through which a flow substance, such as, but not limited to, a gas, flows. A bypass 110 directs a constant proportion of gas through a first tube 120 and the main path 175 by creating a pressure differential across the bypass, essentially creating an upstream high pressure gas flow section 180 and a downstream low pressure gas flow section 115.”(必要に応じて,いくつかの図面を通して同様または類似の要素を同一の参照番号で示す図面をここで参照し,特に図1を参照すると,図1は,本発明の例示的な実施形態による質量流量コントローラ(MFC)100の機能ブロック図を示すものである。MFC100の基底部105は,限定はしないが,ガスなどの流動物質が流れる主流経路175を含む。バイパス110は,該バイパスにわたって差圧を発生させることによって,第1の管120および主経路175を通して一定の割合のガスを導き,基本的に,上流高圧ガス流部分180および下流低圧ガス流部分115を生成する。)
d 第2欄下から19行~下から10行(段落【0012】)
“The first tube 120, a small bore tube in this embodiment, is coupled to a thermal mass flow sensor 135 of the MFC 100. In one embodiment, sensing elements 125 and 130 are wound around the outside of the first tube 120. Each of the sensing elements 125 and 130 may be resistance-thermometer elements, which have a resistance that varies with temperature. However, it is to be appreciated that an embodiment may be comprised of other temperature sensing elements such as, but not limited to, thermopile or infra-red temperature sensing elements.”(この実施形態においては小口径管である第1の管120は,MFC100の質量流量熱センサ135に結合する。一実施形態において,検知素子125および130は,第1の管120の外側面の周りに巻かれる。検知素子125および130のそれぞれは,温度と共に変化する抵抗値を有する抵抗温度計素子とすることができる。しかし,一実施形態は,限定はしないが,サーモパイル,または赤外線温度検知素子などの別の温度検知素子から構成することができることを理解されたい。)
e 第2欄下から9行~第3欄第2行(段落【0013】)
“In addition to the first tube 120, a second tube 165 is coupled to an upstream-main-flow-path-section 180. An opposing end of the second tube 165 is coupled to a pressure sensor 155. One pressure sensor that may be used in an embodiment is a modified Honeywell Model P-30-P differential pressure transducer, manufactured by Honeywell International Inc., of Golden Valley, Minn. A third tube 170 is coupled to the low pressure downstream section 115, with an opposing third tube end coupled to the pressure sensor 155. The second and third tubes 165 and 170 also comprise small bores in one embodiment, similar to the first tube 120 .”(第1の管120に加えて,第2の管165は,上流主流経路部分180に結合する。第2の管165の反対端は,圧力センサ155に結合する。一実施形態において使用することができる1つの圧力センサは,Honeywell International Inc.,Golden Valley,MNによって製造される改良型Honeywell Model P-30-P差圧変換器である。第3の管170は,低圧下流部分115に結合し,第3の管の反対端は,圧力センサ155に結合する。一実施形態において,第2の管165および第3の管170も,第1の管120と同様に,小口径を有する。)
f 第4欄第30~48行(段落【0021】)
“Referring next to FIG. 2, shown is a flowchart 200 depicting an exemplary method for validating the output of the thermal sensor 135 which may be carried out in connection with the embodiments discussed with reference to FIG. 1. However, the method shown in FIG. 2, and the other methods described herein are not limited for use only with the embodiment shown in FIG. 1. In one method, in order to detect thermal sensor 135 drift, a first mass flow rate calculated from a first signal 185 produced by the thermal sensor 135 is compared to a second mass flow rate calculated from a second signal 190 produced by the pressure sensor 155. At 205, the thermal sensor 135 produces a thermal sensor output voltage, also referred to herein as the first signal 185. At 210, the first signal is then modified (e.g., through amplification, digital conversion, linearization, or otherwise) to at least partially produce the modified signal 195. Using a thermal-sensor-signal-portion of the modified signal, a first mass flow rate of a substance flowing through the mass flow controller 100 is calculated at 225.”(次に図2を参照すると,図1を参照して説明した実施形態に関連して実行することができる熱センサ135の出力を確認する例示的な方法を示すフローチャート200が示される。しかし,図2に示す方法および本明細書に説明する別の方法は,図1に示す実施形態のみを伴う使用には限定されない。1つの方法において,熱センサ135のドリフトを検出するために,熱センサ135によって生成される第1の信号185から計算される第1の質量流量が,圧力センサ155によって生成される第2の信号190から計算される第2の質量流量と比較される。205において,熱センサ135は,本明細書で第1の信号185とも呼ばれる,熱センサ出力電圧を生成する。210で,次に,第1の信号は,(たとえば,増幅,デジタル変換,線形化,または別の方法によって)変換され,少なくとも部分的に変換信号195を生成する。225において,変換信号の熱センサ信号部分を使用して,質量流量コントローラ100を通って流れている物質の第1の質量流量が計算される。)
g 第4欄第49~58行(段落【0022】)
“A similar procedure is used to determine the second mass flow rate as determined by the pressure sensor 155. For example, at 215, a pressure sensor signal is produced, also referred to as a second signal 190. The second signal 190 may be amplified, digitized, linearized, or otherwise modified to produce at least a portion of the modified signal 195, which is then used to calculate a second mass flow rate of a substance flowing through the mass flow controller 100 (Blocks 220 and 230). The two mass flow rates are then compared to validate the thermal sensor output (Blocks 235 and 240).”(同様の手順が,圧力センサ155によって規定される第2の質量流量を決定するのに使用される。たとえば,215で,第2の信号190とも呼ばれる圧力センサ信号が,生成される。第2の信号190は,増幅され,デジタル化され,線形化され,または別に変換され,変換信号195の少なくとも一部分を生成することができ,次に,変換信号195の少なくとも一部分は,質量流量コントローラ100を通って流れている物質の第2の質量流量を計算するのに使用される(ブロック220および230)。次に,2つの質量流量は,熱センサ出力を確認するために比較される(ブロック235および240)。)
h 第1図には,“a main path 175”(主流経路175)に,“a thermal mass flow sensor 135”(質量流量熱センサ135)と“a pressure sensor 155”(圧力センサ155)とが並列に接続されている事項が看取される。
(イ)上記記載から,引用例3には,次の技術的事項が記載されている。
「質量流量コントローラにおいて,質量流量熱センサによって生成される第1の信号から計算される第1の質量流量が,圧力センサによって生成される第2の信号から計算される第2の質量流量と比較され,質量流量コントローラ熱センサが正常に動作しているかを確認する技術。」
エ 引用例4
(ア)本願の優先日前に頒布された刊行物である,特表2006-527352号公報(平成18年11月30日公表。以下,「引用例4」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
「【0062】
例えば,制御システム515が,基準セクション541をフロー・ループ502に組み込んだものとする。すると,タービン流量計542によって気体の体積流量が測定され,圧力センサ及び温度センサからは,夫々,圧力測定値及び温度測定値が送出される。制御システム515は,タービン流量計542,圧力センサ,及び温度センサから,それらの測定値を受取る。制御システム515は,それらの測定値から,気体の質量流量を算出する。タービン流量計542は,この具体例では,品質検証用の流量計として機能する。コリオリ流量計543は,気体の質量流量を測定し,その質量流量の測定値は制御システム515へ供給される。コリオリ流量計543は,UUT572のための基準流量計として用いられるトランスファスタンダード流量計として機能する。制御システム515は,コリオリ流量計543により測定された質量流量を,タービン流量計542の測定値から算出した質量流量と比較する。そして,その比較結果に基づいて,制御システム515は,コリオリ流量計543の精度が,UUT572のための基準流量計として機能するのに十分な精度であるか否かを検証する。更に,UUT572が,気体の質量流量を測定し,その質量流量の測定値は制御システム515へ供給される。制御システム515は,コリオリ流量計543による質量流量を,UUT572による質量流量の測定値と比較して,UUT572の較正を実行する。
【0063】
別の実施例として,コリオリ流量計543を品質検証用の流量計として機能させ,タービン流量計542を基準流量計として機能させることも可能である。或いはまた,コリオリ流量計543及びタービン流量計542の両方を基準流量計として機能させるようにすることも可能である。いずれにせよ,同一の基準セクションにおいて,質量流量計及び体積流量計の両方を備えることによって,利点が得られる。いずれの流量計も,測定値に誤差が生じる恐れがあるが,質量流量計に悪影響を及ぼしても体積流量計に悪影響を及ぼさない条件や,その逆の条件が幾つも存在している。それゆえ,このように流量計を組合せることによって,より良い精度が得られる。」
(イ)上記記載から,引用例4には,次の技術的事項が記載されている。
「コリオリ流量計により測定された質量流量を,タービン流量計の測定値から算出した質量流量と比較した結果に基づいて,コリオリ流量計の精度が基準流量計として機能するのに十分な精度であるか否かを検証する技術。」
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明は,ガス流量制御装置に用いられている流量センサが正常であるかどうかを,ガス流量制御装置の使用中に検出する技術であり,本件補正発明と,技術分野及び課題が共通する。
(イ)引用発明の「ガス流量制御装置」,「第1の流量センサ」,「第2の流量センサ」,「第1の出力電圧」,「第2の出力電圧」及び「バルブ」はそれぞれ,本件補正発明の「質量流量コントローラ」,「第1の流量計」,「第2の流量計」,「第1の流量測定信号」,「第2の流量測定信号」及び「制御弁」に相当する。
(ウ)引用発明の「第1の流量センサ」及び「第2の流量センサ」は,「バルブ」とともにガスの流れる流路に配置されており,バルブの制御をしながら,第1及び第2の流量センサの動作を検証するものであるから,引用発明の「第1の流量センサ」及び「第2の流量センサ」も「工程の実行中に実時間で測定」するものであり,引用発明の「バルブ」も「工程の実行中に実時間で制御するように構成」されていることは明らかである。
(エ)引用発明の「ガス流量」も質量を有するものであり,また,「第1の流量センサ」及び「第2の流量センサ」ではその流量を測定しているものであるから,引用発明の「ガス流量」は,本件補正発明の「質量流量」に相当する。
(オ)引用発明の「前記バルブのための制御に用いるように機能する比較制御回路」,「前記第1および前記第2の出力電圧の差を示す比較回路」及び「警報器を動作させる制御系」といった,制御に関する構成は総合して,本件補正発明における「システムコントローラ」に相当する。
(カ)引用発明の「予め設定してある異常値」は,本件補正発明における「所定の閾値」に相当する。
(キ)本件補正発明の「前記システムコントローラは,
(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し,これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部と」という記載に関し,本件明細書の翻訳文の段落【0011】に「コントローラ16は、2つの流量計12および14から受信した2つの信号を処理し、流量計のうちの1つによって測定された流量および設定値に基づいて比例制御弁18へ制御信号を送り、2つの流量計によって測定された流量の差が所定の閾値を超えたと判断された場合に指示(「アラーム」)信号を送る。」という記載があり,同翻訳文の段落【0016】に「図3に示されるように、第1の流量計70からの測定結果は、MFCの流量出力を制御するために流量制御部74において使用され、第2の流量計72からの測定結果は、実時間でMFCの精度を検証するために使用されるが、第2の流量計72からの測定結果を、MFCの流量出力を制御するために流量制御部74において使用することもでき、第1の流量計70からの測定結果を、流量検証に使用することもできる。」と記載され,本件図面の図3にも「流量制御部74」に「第1の流量計70」からの信号が入力される一方で,「第2の流量計72」からの信号は入力されていない。
そのため,本件補正発明の「(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信」する動作主体は,「前記システムコントローラ」であると認められる。
そうすると,引用発明の「(i)前記第1および第2の流量センサによって生成された2つの出力電圧のうち1つを前記バルブのための制御に用いるように機能する比較制御回路」は,本件補正発明の「これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部」に相当する。
(ク)引用発明における「前記第1および前記第2の出力電圧の差を示す比較回路」は,本件補正発明における「前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器」に相当する。
(ケ)引用発明における「(iii)前記出力電圧の差が,予め設定してある異常値を超えた場合に動作させられる警報器」という事項は,その実現のために,「前記出力電圧の差」を「予め設定してある異常値」との比較を行い,その結果,「前記出力電圧の差」を「予め設定してある異常値」を超えた場合に「警報器」を動作させるための「アラーム信号」を発生する構成を引用発明が有していることは明らかであるから,引用発明も,本件補正発明における「(iii)前記差信号を所定の閾値と比較し,前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器」に相当する構成を有しているものと認められる。
イ 以上のことから,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
<一致点>
質量流量コントローラを通る質量流量を,工程の実行中に実時間で測定し,前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第1の流量測定信号を生成するように構成され,配置された第1の流量計と,
前記第1の流量計と同時に質量流量を測定する第2の流量計であって,前記質量流量コントローラを通る質量流量を,工程の実行中に実時間で測定し,前記質量流量コントローラを通る測定された流量を表す第2の流量測定信号を生成するように構成され,配置された第2の流量計と,
前記流量計のうちの1つによって測定された前記流量の関数として生成された制御信号に応じて,前記質量流量コントローラを通る前記質量流量を,工程の実行中に実時間で制御するように構成され,配置された制御弁と,
前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2流量測定信号を受信し,前記制御信号を生成し,前記第1の流量測定信号と前記第2の流量測定信号との差が所定の閾値を超えた場合を示すアラーム信号を提供するように構成され,配置されたシステムコントローラと,
を備え,
前記システムコントローラは,
(i)前記第1および前記第2の流量計によって生成された2つの信号を受信し,これらの信号のうち1つを前記制御弁のための前記制御信号のために用いるように機能する流量制御部と,
(ii)前記第1および前記第2の流量計によってそれぞれ生成された前記第1および前記第2流量測定信号を受信し,前記第1および前記第2の流量測定信号の差を示す差信号を出力信号として生成するように機能する比較器と,
(iii)前記差信号を所定の閾値と比較し,前記差信号が前記所定の閾値を超えた場合にアラーム信号を生成するように機能する閾値検出器と
を含み,
前記第1および前記第2の流量計はそれぞれ制御弁の上流および下流に配置されている質量流量コントローラ。
<相違点>
本件補正発明における,第1および第2の流量計は違う種類のものであるのに対し,引用発明の第1および第2の流量計は同じ種類のものである点。
(4)判断
以下,相違点について検討する。
引用例2には,上記(2)イ(イ)のとおり,質量流量制御装置において,第1の質量流量センサの出力を流量コントロールのバルブ開度を調整するために用いるとともに,前記第1の質量流量センサの出力と及び第2の質量流量センサの出力との差が所定範囲から外れた場合に警報信号を出力する,質量流量制御装置において,第1の質量流量センサとしてバイパス流路を有する質量流量センサを用い,第2の質量流量センサとしてバイパス流路を有さない質量流量センサを用いるという技術が記載されている。ここで,第1の質量流量センサと第2の質量流量センサとは,流路構成が異なるものであるから,「違う種類の質量流量センサ」である,といえる。
また,引用例3には,上記(2)ウ(イ)のとおり,質量流量コントローラにおいて,質量流量熱センサによって生成される第1の信号から計算される第1の質量流量が,圧力センサによって生成される第2の信号から計算される第2の質量流量と比較され,質量流量コントローラ熱センサが正常に動作しているかを確認する技術が記載されている。
さらに,引用例4には,上記(2)エ(イ)のとおり,コリオリ流量計により測定された質量流量を,タービン流量計の測定値から算出した質量流量と比較した結果に基づいて,コリオリ流量計の精度が基準流量計として機能するのに十分な精度であるか否かを検証する技術が記載されている。
そうすると,検証対象として比較される2つのセンサ構成を異なるものとすることは,従来から周知の技術的事項である。また,引用発明に用いられる「第1の流量センサ」及び「第2の流量センサ」が同じ種類のものでなければならない理由も存在せず,上記のとおり,2つのセンサを用いる場合に,引用発明のように同じ種類のセンサを用いることも,上記周知の技術的事項のように違う種類のセンサを用いることも,いずれも当業者が採用し得る選択肢として知られているものであるから,引用発明における2つのセンサとして違う種類のセンサを用いることを選択し,上記相違点を備えたものとすることは,当業者が設計において適宜なすべき事項にすぎない。
なお,請求人は,審判請求書の【請求の理由】(3)(d)において「また、引用文献2に記載の質量流量制御装置も、第3頁左下欄第2行以下に『本実施例が第1の実施例と異なる点は比較用質量流量センサ2aの設置方法が異なることにあり、その他の構成は基本的には第1の実施例と同様である』との記載があるように、流量制御用質量流量センサ1と比較用質量流量センサ2aとは、配置方法が異なるものの、同じ種類の流量計であると考えられる。」と主張しているが,引用例2の第1図に記載された第1の実施例と第2の実施例とで,質量流量を測定するための流路構成が異なっており,また,引用例2の第1図と第2図とで,同じ構成については同じ符号を付しているにもかかわらず,比較用質量流量センサについては,2と2aというように,符号を異なるものとしている事項や,「異なる種類」とは必ずしも,測定メカニズムが異なるものに限定解釈される理由もなく,流路構成等が異なるものも「異なる種類」であるといえることから,当該主張は採用の限りではない。
また,仮に,本件補正発明の「異なる種類」を測定メカニズムの違いと限定解釈し,請求人の主張どおり,引用例2では当該事項が示されていないと認定したとしても,引用例3,4に例示するように,当該事項が周知の技術的事項であることに変わりはなく,原査定の理由で指摘した「質量流量センサを,違う種類とすることは,本願優先日前の周知技術である。」という判断に影響を及ぼすものではない。
したがって,本件補正発明は,引用発明及び引用例2ないし4に例示された上記周知の技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり,同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 請求項1に係る発明
平成28年7月6日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成27年11月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1及び引用発明は,前記第2の[理由]2(2)アに記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は,前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から「第1および第2の流量計は違う種類のものである」という限定事項,すなわち,上記第2[理由]2(3)イにおける<相違点>を削除したものであるから,本願発明は,上記第2[理由]2(3)イに示した<一致点>に記載された質量流量コントローラに係る発明であって,引用発明にほかならない。
したがって,本願発明は,引用例1に記載された発明である。
4 むすび
以上のとおり,本願の特許請求の範囲に記載された発明は,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-010240