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特許拒絶査定不服審判

2016-008538

サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法

審判番号
2016-008538
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2011-152208外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2016年06月08日
審決日
2017年11月13日
公報発行日
2018年02月23日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .536-WZ (G11B) / P18 .537-WZ (G11B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第4項第1号、特許法第29条
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2011-152208「サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンションおよびハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月31日出願公開、特開2013- 20669〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成23年7月8日の出願であって、平成27年8月11日付けで拒絶理由が通知され、同年10月9日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成28年3月3日付けで拒絶査定されたところ、同年6月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成29年5月16日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年7月18日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 当審において通知した拒絶理由 当審拒絶理由の概要は、以下のとおりである。ただし、平成29年7月18日付け手続補正により対象となる請求項が削除された理由1(特許法29条2項進歩性)については省略した。 理由2)本件出願は、明細書、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号、第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。 記 (1)【0039】段落に「・・・絶縁層10上に形成される端子側スペーサ11用のレジストは、端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まで延びるように形成される。このことにより、エッチング液が、図6に示す上方から端子側スペーサ11に供給されることを防止でき、端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aのエッチング量を低減することができる。このようにして、端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aを、タング部22の端子開口部21の側の外縁22aに一致させることができる。」と記載されている。 ここで、レジストを、端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まで延びるように形成して絶縁層10をエッチングしたのでは、レジストが存在する端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まではエッチングで絶縁層が除去されないことになり、端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aは形成されないと考えられ、どのようにして端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aを形成するのか不明である。 また、「エッチング液が、図6に示す上方から端子側スペーサ11に供給されることを防止でき、端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aのエッチング量を低減することができる。」という記載の意味内容は不明瞭である。 そして、「端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aを、タング部22の端子開口部21の側の外縁22aに一致させることができる。」と記載されているが、上述したように、そもそもどのようにして「端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11a」を形成するのか不明であり、これをどのようにして「タング部22の端子開口部21の側の外縁22aに一致させる」のかも不明である。(36条4項1号実施可能要件) (2)・・略・・ (3)請求項8に「前記配線層をエッチングして、前記ヘッド領域に、前記ヘッドスライダに電気的に接続されるヘッド端子を形成するとともに、前記金属支持層をエッチングして、前記ヘッド領域に、開口部の一部を形成する工程」と記載されているが、発明の詳細な説明(特に【0038】段落参照)には、配線層のエッチングとともに、金属支持層をエッチングして、ヘッド領域に、開口部の一部を形成する工程については記載されておらず、上記請求項8の構成は発明の詳細な説明に記載されたものではない。請求項8を直接あるいは間接的に引用する請求項9、10についても同様である。(36条6項1号)(なお、当該事項は出願当初明細書に記載されているのか。) ・・略・・ (4)・・略・・ 第3 請求人の対応 当審拒絶理由に対して、請求人は、平成29年7月18日付けで、特許請求の範囲を補正する手続補正書及び意見書を提出した。 1 補正後の特許請求の範囲 平成29年7月18日付け手続補正により、旧請求項1~7は削除され、旧請求項8~10が新たな請求項1~3となった。補正後の特許請求の範囲(抜粋)は以下のとおりである。 「 【請求項1】 ヘッドスライダが実装されるヘッド領域から、外部接続基板が接合されるテール領域に延びるサスペンション用基板の製造方法において、 絶縁層と、前記絶縁層の一方の面に設けられた金属支持層と、前記絶縁層の他方の面に設けられた配線層と、を有する積層体を準備する工程と、 前記配線層をエッチングして、前記ヘッド領域に、前記ヘッドスライダに電気的に接続されるヘッド端子を形成するとともに、前記金属支持層をエッチングして、前記ヘッド領域に、開口部の一部を構成する金属支持層開口部を形成する工程と、 前記ヘッド端子および前記金属支持層開口部を形成した後、前記絶縁層をエッチングして、前記ヘッドスライダを支持すると共に接着剤の塗布領域を形成するスペーサを形成する工程と、 前記スペーサを形成した後、前記金属支持層をエッチングして、前記ヘッド端子に前記金属支持層開口部を介して配置されるタング部であって、前記ヘッドスライダが前記接着剤により接着されるタング部を形成する工程と、を備え、 前記絶縁層をエッチングする工程において、前記絶縁層の前記金属支持層の側とは反対側に、前記スペーサに対応する部分から前記ヘッド端子上まで延びるようにレジストが形成され、その後、前記絶縁層がエッチングされて、前記絶縁層に前記開口部の他の一部を構成する絶縁層開口部が形成されるとともに、前記金属支持層のうち前記タング部に対応する部分上に、前記スペーサが形成され、 前記スペーサの前記絶縁層開口部の側の外縁は、前記タング部の前記金属支持層開口部の側の外縁に位置することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。」 2 意見書の主張 請求人は平成29年7月18日付け意見書において、当審拒絶理由の理由2に対して、以下のとおり主張している。 「 (1)端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aについて (1-1)端子側スペーサ11の外縁11aの形成方法について 本願明細書の段落[0039]では、「絶縁層10上に形成される端子側スペーサ11用のレジストは、端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まで延びるように形成される。」と記載されている。このことから、このレジストは、絶縁層10の図6における上方に形成され、絶縁層10に対してエッチング液が上方から供給されないようにしていることは明白である。 そして、このようなレジストが形成されている状態で絶縁層10がエッチングされるためには、絶縁層10には下方からエッチング液が供給されることは容易に理解できる。 また、図6に示すヘッド端子32は、絶縁層10よりも右側に突出している。このことは、絶縁層10を上方からではなく、下方からエッチングして形成していることも容易に理解できる。 このため、絶縁層10には、レジストとは反対側である下方からエッチング液が供給されることは明白である。そして、絶縁層10が部分的にエッチングされ、端子側スペーサ11の外縁11aが形成されることは、当業者にとって明らかであるものと思料する。 (1-2)端子側スペーサ11の外縁11aのエッチング量を低減させることについて 絶縁層10をエッチングする際には、上面(配線層30の側の面)および絶縁層10の下面(金属支持層10の側の面)に、所望のパターンでレジストがそれぞれ形成されることは技術常識である。 絶縁層10の上面のレジストは、エッチング液が図6に示す上方から端子側スペーサ11に供給されることを防止できるようにパターン状に形成されていることは明白である。 絶縁層10の下面のレジストは、絶縁層10に向かって図6に示す下方からエッチング液を供給可能なようにパターン状に形成されていることも明白である。このようにして両面に形成されたレジストのパターン開口からエッチングを行うことにより、絶縁層10に下方からエッチング液を供給することで端子側スペーサ11の外縁11aが形成されるが、この外縁11aには、上方からエッチング液が供給されることを防止できる。このことにより、上方からエッチング液が供給される場合と比較して外縁11aに供給されるエッチング液の流量を低減させることができるため、外縁11aのエッチング量を低減させることができ、端子側スペーサ11の外縁11aが、本願の図6に示す右方向に浸食されていくことを防止できる。 従って、端子側スペーサ11の外縁11aのエッチング量を低減させることは、当業者にとって明らかであるものと思料する。 (1-3)端子側スペーサ11の外縁11aをタング部22の外縁22aに一致させることについて 端子側スペーサ11に対応する部分(端子側スペーサ11が形成される部分)の下方には、金属支持層11のタング部22に対応する部分が存在している。このため、この部分をレジストの代わりに用いることは容易に理解することができる。 この場合、絶縁層10は、金属支持層11のタング部22に対応する部分をレジストとしてエッチングされるため、端子側スペーサ11の外縁11aがタング部22の外縁22a上に一致した状態を維持することができる。 このため、端子部スペーサ11の外縁11aをタング部22の外縁22aに一致させることは、当業者にとって明らかであるものと思料する。 ・・・・・・・ (3)開口部の一部について 本願明細書の段落[0038]では、配線層30が所望の形状にエッチングされて、配線31、ヘッド端子32およびテール端子33が形成される旨記載されている。 しかしながら、配線層のエッチング工程時に、金属支持層もエッチングすることは技術常識であるものと思料する。 例えば、特開2008-287856号公報の図1、当該公報の明細書の段落[0029]等には、金属基板1(本願の金属支持層に相当)および金属めっき層4(本願の配線層に相当)をエッチングし、金属めっき層4から配線パターン層4a(本願の配線に相当)が形成され、金属基板1に治具孔1aが形成されると記載されている。 また、特開2008-310946号公報の図4、当該公報の明細書の段落[0148]にも同様の記載がある。 このため、配線層のエッチング工程時に金属支持層をもエッチングすることは、技術常識であることは明白である。更に言えば、上述したように絶縁層10を図6に示す下方からエッチングすることを考慮すれば、絶縁層10にエッチング液を触れさせるために予め金属支持層をエッチングして開口(金属支持層開口部)を形成させておく必要があることは自明である。このため、金属支持層に、端子開口部21の一部を構成する金属支持層開口部を形成することは自明である。 従って、本願の請求項1の構成は、発明の詳細な説明に記載されたものであることは明らかである。 また、「開口部の一部」という記載に関し、「開口部の一部を構成する金属支持層開口部」と補正するとともに、「開口部の他の一部」という記載に関し、「開口部の他の一部を構成する絶縁層開口部」と補正したことにより、「開口部の一部」がどの部分を指すのかが明確化されたものと思料する。なお、「金属支持層開口部」は、「開口部」(端子開口部21)のうち金属支持層のエッチングによって形成された部分であり、「絶縁層開口部」は、「開口部」のうち絶縁層のエッチングによって形成された部分である旨、付言する。」 第4 当審の判断 1 当審拒絶理由の理由2(1)について 理由2(1)はサスペンション用基板の製造方法に関して指摘したものであり、請求項1(旧請求項8)についての実施可能要件であるから、旧請求項1~7を削除する補正によって解消するものでないことは明らかである。 サスペンション用基板の製造方法に係る発明である本願の請求項1に記載された発明に関連して、発明の詳細な説明にはサスペンション用基板の製造方法に関して以下のように記載されているのみである。(なお、下線は当審で付した。) 「【0037】 次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、一例として、サブトラクティブ法によりサスペンション用基板1を製造する方法について説明する。なお、当然のことながら、サブトラクティブ法ではなく、アディティブ法によりサスペンション用基板1を製造することも可能である。 【0038】 まず、絶縁層10と、絶縁層10の一方の面に設けられた金属支持層20と、絶縁層10の他方の面に設けられた配線層30と、を有する積層体(図示せず)を準備する。続いて、配線層30が、所望の形状にエッチングされて、配線31、ヘッド端子32およびテール端子33が形成される。次に、絶縁層10上に、各配線31を覆う保護層40が形成される。 【0039】 続いて、絶縁層10が所望の形状にエッチングされて外形加工され、ヘッド領域2において、図2および図3に示すように、金属支持層20のタング部22上に、端子側スペーサ11およびテール側スペーサ12が形成される。この場合、絶縁層10上に形成される端子側スペーサ11用のレジストは、端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まで延びるように形成される。このことにより、エッチング液が、図6に示す上方から端子側スペーサ11に供給されることを防止でき、端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aのエッチング量を低減することができる。このようにして、端子側スペーサ11の端子開口部21の側の外縁11aを、タング部22の端子開口部21の側の外縁22aに一致させることができる。また、端子側スペーサ11用のレジストがヘッド端子32まで延びていることにより、当該レジストを、タング部22に略平行な状態で上昇させるようにして端子側スペーサ11およびヘッド端子32から除去することができる。このことにより、形成された端子側スペーサ11に曲げモーメントが負荷されることを防止して、端子側スペーサ11の欠損を防止することができる。 【0040】 その後、金属支持層20が所望の形状にエッチングされて外形加工され、ヘッド領域2において、タング部22、端子支持体23などが形成される。このようにして、本実施の形態におけるサスペンション用基板1が得られる。」 上記摘記した記載に基づいて製造工程を追っていくと、【0038】によれば、まず、金属支持層20、絶縁層10及び配線層30からなる積層体を用意し、続いて、配線層30を所望の形状にエッチングして、配線31、ヘッド端子32及びテール端子33を形成する。次に、各配線31を覆う保護層40を形成したのち、【0039】によれば端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まで延びるように形成される端子側スペーサ11用のレジストを使って、絶縁層10をエッチングし、金属支持層20のタング部22上に、端子側スペーサ11およびテール側スペーサ12を形成する。 このような工程をたどるとすると、絶縁層10をエッチングする時点では、まだ金属支持層20はエッチングされておらず、絶縁層10の下方は金属支持層20で覆われていることになる。このような状態で、端子側スペーサ11に対応する部分からヘッド端子32上の部分まで延びるように形成される端子側スペーサ11用のレジストを設けて絶縁層10をエッチングしても、金属支持層20に端子開口部21が形成されていないため、端子開口部21に対応する部分の絶縁層10は、上方をレジスト、下方を金属支持層20に挟まれてエッチングできないから、絶縁層10は開口部を形成することができず、この工程によって端子側スペーサ11の外縁11aを形成できないと解される。 これに関して、意見書において請求人は、概略、上方にレジストが形成されている状態で絶縁層10がエッチングされるには下方からエッチング液が供給されると理解でき、また、金属支持層のタング部22に対応する部分をレジストの代わりに用いてエッチングすることは容易に理解できるとし、さらに、配線層のエッチング工程時に、金属支持層もエッチングすることは技術常識であると主張している。 しかしながら、上記摘記した発明の詳細な説明の記載をみても、絶縁層10のエッチングに先だって金属支持層20がエッチングによって除去され、下方から絶縁層10のエッチングが可能になることは記載されていない。また、絶縁層10のエッチング工程について記載された【0039】に続けて、【0040】において、「その後」として金属支持層20がエッチングされ、タング部22や端子支持体23などが形成されるとしており、絶縁層10のエッチング工程の後に別工程で金属支持層20のエッチングを行うように記載されているから、配線層のエッチング時に金属支持層もエッチングするという請求人の主張と矛盾する。よって、請求人の主張を採用することはできない。 したがって、発明の詳細な説明は,請求項1に係る発明を当業者が実施できる程度に十分に記載されているとはいえない。 2 当審拒絶理由の理由2(3)について 請求項1に、「前記配線層をエッチングして、前記ヘッド領域に、前記ヘッドスライダに電気的に接続されるヘッド端子を形成するとともに、前記金属支持層をエッチングして、前記ヘッド領域に、開口部の一部を構成する金属支持層開口部を形成する工程」と記載され、配線層のエッチングと金属支持層のエッチングが同一の工程で行われるように特定されている。 しかしながら、上記「1」において検討したように、発明の詳細な説明には、配線層のエッチングの後に別工程で金属支持層のエッチングを行なうことが記載されており、配線層のエッチングと金属支持層のエッチングを同一工程で行なうことは記載されていない。 したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載されているものとはいえない。請求項1を引用する請求項2、3についても同様である。 第5 むすび 以上のとおり、本件出願は、発明の詳細な説明の記載、特許請求の範囲の記載にそれぞれ不備があり、特許法第36条第4項第1号、同条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する

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2016-008538

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