特許拒絶査定不服審判
2016-008212
ビジュアルクエリシステムを使用したオブジェクトの可視化
- 審判番号
- 2016-008212
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-060864外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年06月03日
- 審決日
- 2017年06月19日
- 公報発行日
- 2017年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ・ボーイング・カンパニー
- 【請求人代理人】園田・小林特許業務法人
- 分類
- P18 .113-Z (G06F) / P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条第7項、特許法第159条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 60864「ビジュアルクエリシステムを使用したオブジェクトの可視化」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 9日出願公開、特開2014-194771〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本願は,平成26年3月24日(パリ条約による優先権主張2013年3月28日,米国)の出願であって,平成27年8月28日付けで拒絶理由が通知され,平成27年12月7日付けで手続補正がなされ,平成28年1月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成28年6月3日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。
第2.補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年6月3日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の発明
上記手続補正(以下,「本件補正」という。)は補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明を,
「 オブジェクト(106)についてのデータ(104)を可視化するためのコンピュータ実装された方法であって,
イメージブロックの階層(138)およびアクションスキーム(140)を識別する命令(136)を受信すること(1000)と,
イメージブロックの前記階層(138)内のイメージブロック(142)をロードして(1002),前記イメージブロック(142)に対応するイメージ(144)を,表示システム(124)上に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示することであって,前記イメージ(144)上の複数のイメージ領域(146)が選択可能であり,各イメージ領域は分岐イメージ領域又は最終イメージ領域のいずれかであり,分岐イメージ領域は新規のイメージブロックへの分岐を可能にする,表示することと,
前記命令(136)において識別された前記アクションスキーム(140)に基づいて,前記複数のイメージ領域(146)内のイメージ領域(148)の選択に応答して1組のアクション(150)を実行すること(1004)と
を含み,
前記1組のアクション(150)を実行することが,前記イメージ領域(148)が最終イメージ領域であるとき前記ユーザ(105)に関心のあるデータを視覚的に提示する際に使用するために可視化システム(102)に送られる可視化情報(152)を生成することと,前記イメージ領域(148)が分岐イメージ領域であるとき現在のイメージブロック(142)の直下のレベルの新規のイメージブロックがロードされ,前記新規のイメージブロックに対応する新規のイメージが,グラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示され,前記新規のイメージに対応する複数のイメージ領域が,ユーザ(105)によって選択可能になることとを含む,方法。」
という発明(以下,「補正後の発明」という。)に変更することを含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
2.新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件について
本件補正は,外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内において,補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「イメージ領域」について「各イメージ領域は分岐イメージ領域又は最終イメージ領域のいずれかであり,分岐イメージ領域は新規のイメージブロックへの分岐を可能にする」点を付加してこれを限定するとともに,「1組のアクション(150)を実行すること」について「前記イメージ領域(148)が分岐イメージ領域であるとき現在のイメージブロック(142)の直下のレベルの新規のイメージブロックがロードされ,前記新規のイメージブロックに対応する新規のイメージが,グラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示され,前記新規のイメージに対応する複数のイメージ領域が,ユーザ(105)によって選択可能になること」を付加してこれを限定することにより特許請求の範囲を減縮することを含むものであるから,特許法第17条の2第3項(新規事項)及び第5項第2号(補正の目的)の規定に適合している。
また,特許法第17条の2第4項(シフト補正)に違反するものでもない。
3.独立特許要件について
本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,上記補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのかどうかについて以下に検討する。
(1)補正後の発明
上記「1.補正後の発明」の項で認定したとおりである。
(2)引用発明
原査定の根拠となった平成27年8月28日付けの拒絶の理由で引用された特開2007-95039号公報(以下,「引用例」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている(下線は重要箇所に対して当審が付与した。以下,同様。)。
ア 「【0036】
次に,添付図面を参照しながら本発明の実施形態である情報提供サーバ,クライアント,情報提供システムの処理方法,プログラムを記録した記録媒体,広告提供方法を詳細に説明する。図1から図18を参照すると,本発明に係る情報提供サーバ,クライアント,情報提供システムの処理方法,プログラムを記録した記録媒体,広告提供方法の実施の形態が示されている。
【0037】
図1は,本発明の実施形態である情報提供サーバ並びにクライアント端末を用いたシステムの概略を示すブロック構成図である。図1において,本発明の実施形態としてのシステムは,情報提供サーバ1と,クライアント端末2と,スポンサー端末3と,がそれぞれインターネット等による通信回線100を介して接続されて構成される。」
イ 「【0041】
〈本発明の第1の実施形態である情報提供サーバの構成〉図2は,本発明の第1の実施形態である情報提供サーバの概略構成を示すブロック図である。本発明の第1の実施形態である情報提供サーバ1は,3次元画像変換部101と,3次元画像合成部102と,3次元画像ブラウザ103と,時計部104と,3次元広告情報データベース105と,を有して構成される。
【0042】
3次元画像変換部101は,2次元画像情報から3次元画像データへの変換処理を行う。この3次元画像変換部101は,同一の地域を異なる場所から撮影した物理位置が明記された少なくとも2枚の航空写真(航空写真Aと航空写真B)が入力された3次元画像変換部101は,ステレオ処理,DEM処理,ポリゴン処理を行い,3次元画像データに変換して3次元画像合成部102に出力する。
【0043】
なお,本発明において,宇宙衛星による衛星画像または航空機などによる航空写真のように,定期的に同一地域(地表)を撮影したものを航空写真と称する。また,航空写真A及び航空写真Bの2枚の航空写真と記載しているが,これらの撮影は,必ずしも左右方向から行う必要はなく,同一地域を異なる角度から撮影したものであれば,上下方向であってもよい。
【0044】
図3は,本発明の第1の実施形態における3次元画像変換部の各処理を説明する図である。まず,同一場所を撮影した衛星画像や航空写真などを少なくとも2枚(航空写真A,航空写真B)用いてステレオ処理を行い,2枚の航空写真の視差から計算することでビルや山などの高さ方向の情報を計算する。次に,計算された値を標高メッシュ化(DEM画像化:Digital Elevation Model )した中間表現31を再現し,それをポリゴン化して3次元画像データ32を自動生成し,この生成された3次元画像データ32を,さらに利用者からの視点位置情報に基づいて徐々に変えることで,あたかも空中遊覧しているかのような3次元空中遊覧サービスを利用者に提供する。
【0045】
上述されるような航空写真は,既に一般に購入することが可能である。例えば,米国SpaceImaging社が運営する人工衛星IKONOSは,同社日本子会社から1キロメートル四方につきを数千円(モノクロの場合)で購入可能である。IKONOSは,地球全体を撮影することが可能なので,地球全体の地表の航空写真を毎週最新のものを購入することが可能である。このような航空写真は,正確な緯度経度情報が付与されているので,どの地域を撮影したといった物理位置情報を正確に把握することができる。
【0046】
ステレオ処理では,航空写真からどれが建造物でどれが山であるかという情報を抽出することはできず,単位地点毎の高さ情報が計算できるのみである。例えば,低空飛行の可能な飛行機による撮影によるものでは,地表で25cm四方単位で高さの計算が可能である。IKONOSはそれに比べるとはるかに上空からの撮影なので,地表で1m四方単位ごとに高さの計算が可能である。これを表すと,あたかも生け花に使われる剣山のような中間表現31となる。
【0047】
ステレオ処理に関しては,既に確立された技術である。本発明の立場は,適当な既存のステレオ処理を利用すればよいというものである。従って,本発明では特定のステレオ処理を限定するものではない。
【0048】
図4は,中間表現としてのDEM画像の具体例を示す図である。図4に示されるように,DEM画像は,各要素位置毎の高さ情報が抽出され,直方体形状で示されている。1m四方単位ごとの高さ情報が計算される場合で説明を続けると,縦横20m四方で高さ30mのビルの場合は,そのビルのある位置の20×20で400点では高さ30mであると計算され,その周囲は平地だとすると,それ以外の点では,高さが0mであると計算される。「同一の高さの点が連続している場合には1つの建造物である」という規則を適用すると,この20×20のところにビルがあると推測できる。
【0049】
このようなステレオ処理が成されたDEM画像は,ポリゴン化処理により要素単位の高さが同じである場合には,連続面であると仮定することで立体構造を推測する。
【0050】
ステレオ処理が行われると,建造物や山などのいわゆるランドマーク(目印)が,多角形のポリゴンデータとして抽出されることになる。本発明では,この抽出された多角形ポリゴンデータのランドマークを1または複数含むものを3次元画像データと呼んでいる。また,航空写真では写真中の基準点の正確な位置情報が付与されているので,これらのランドマークの位置情報は,基準点からのxy軸の距離によって容易に計算される。
【0051】
図5は,3次元画像立体表現の具体例を示す図である。図5に示されるように,上述のステレオ処理,DEM処理,ポリゴン処理により生成された3次元画像データ32を用いて3次元画像立体表現33が作成され,利用者に提供される。この場合,どの視点から見るかという視点位置情報を与える必要がある。この視点位置情報を変更すると,異なる位置から見た立体表現に変わる。この視点位置情報を徐々に連続的に移動させると,あたかも空中で遊覧飛行をしているような立体画像として再現される。」
ウ 「【0079】
〈本発明の第3の実施形態である情報提供サーバの構成〉図10は,本発明の第3の実施形態である情報提供サーバの概略構成を示すブロック図である。本発明の第3の実施形態である情報提供サーバ1は,3次元画像変換部101と,3次元画像合成部102と,時計部104と,3次元広告情報データベース105と,広告契約部106と,広告契約記載部107と,3次元画像データベース108と,位置入力型3次元画像合成部109と,を有して構成される。なお,上述される本発明の第1の実施形態と同一構成要素に関しては,同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
3次元画像データベース108は,3次元画像変換器101により3次元画像データが自動生成されると,この生成された3次元画像データとこの3次元画像データを一意に識別するための画像IDとこの3次元画像データの位置(基準位置の緯度及び経度)とが単位レコードとして格納される。この3次元画像データベース3は,関係データベースとして構成しても通常のファイル形式で構成しても構わない。また,上記の項目において,3次元画像データは多角形ポリゴンデータのランドマークを1または複数含むものであり,画像IDは生成された3次元画像データを一意に識別するために付記された番号等であり,位置は2つの航空写真A,Bを基に生成された3次元画像データの地表面での基準位置の場所を示すものである。
【0081】
但し,この位置の指定としては,生成される3次元画像データが,固定された大きさ(縦・横・形状共に)である場合には,基準点の緯度及び経度を指定するのみで構わないが,大きさが個々の3次元画像データにおいて異なる場合,この形状に関するデータも同一のレコードに格納されるよう構成する。これは,例えば,各3次元画像データが長方形の領域を示すことのみが決められており,長方形における各辺の長さが決まっていない場合では,位置の指定として,この長方形において対角に位置する2点を指定するよう構成することで実現される。
【0082】
位置入力型3次元画像合成部109は,指定された位置情報に基づく3次元画像データと広告情報とを合成する。この位置入力型3次元画像合成部109は,3次元画像データの位置情報を指定されると,3次元画像データベース108を検索し,指定された特定の位置と撮影位置項目の値を比較して指定された特定の位置を含む3次元画像データのレコードを見つけ出し,その3次元画像データ部分を取り出して,時計部104を参照して現在日時データを取得し,3次元広告情報データベース105に格納されている広告掲載情報(広告ID,場所,掲載期間,広告内容)を1つずつ取り出して,各レコードの「掲載期間」項目が,先に取得した現在日時データを含んでいるか否かを判定すると共に,「掲載場所」項目が3次元画像データの位置情報に含まれているか否かを判定する。ここで現在日時データを含むと共に3次元画像データの位置情報に含まれている広告掲載情報を抽出し,「広告内容」項目に登録されているデータを取り出し,当該広告内容のデータを上記3次元画像変換部101からの出力である3次元画像データに合成して合成3次元画像データをクライアント端末2に配信する。
【0083】
クライアント端末2には,位置出力型3次元画像ブラウザ201が設けられ,位置入力型3次元画像合成部109から配信された合成3次元画像データを利用者指示(視点位置,情報提示指示)に基づいて,3次元画像立体表現を利用者に提供する。
【0084】
位置出力型3次元画像ブラウザ201は,利用者からの位置指定情報や視点位置情報に基づいて合成3次元画像データを3次元画像立体表現に変換する。この位置出力型3次元画像ブラウザ201は,利用者から,まず空中遊覧したい特定の位置のデータを入力部202から入力されると,そのデータを位置入力型3次元画像合成部109へ渡し,その結果として合成3次元画像データを受け取り,内部に記憶する。次に,利用者から特定の視点位置情報を入力部202から入力されると,受け取った3次元画像データをその視点位置情報から見た3次元画像立体表現に作成した後,利用者に表示部203で提示し,利用者から新たな視点位置情報が入力されると,新しい視点位置情報から見た3次元画像立体表現を生成し直して提示することを繰り返す。なお,本実施形態において,位置出力型3次元画像ブラウザ201をクライアント端末2に設けているが,情報提供サーバ1に設けても構わない。
【0085】
図11は,位置出力型3次元画像ブラウザを備えるクライアント端末の第1の表示例を示す平面図である。まず,利用者は,情報提供サーバ1に対して3次元空中遊覧サービスを利用するための「メニュー」画面を要求すると,図9に示されるような画面がクライアント端末2に表示される。
【0086】
この画面において,メニュー91の表示内容は,地球全体を階層の最上位に位置させ,その下層には,アジア,アフリカ,アメリカ,ヨーロッパ,の順に各大陸が列挙されて表示される。その下層には,さらに細分化された,例えば,「北アメリカ」や「日本」といった各国名,また各国名の下層には,都市名というようなツリー構造で表示される。この表示形式は,ウインドゥズ等で用いられるエクスプローラの形式と同様のものである。
【0087】
また,図12に示されるように,このメニュー画面をイメージ形式で作成することも可能である。図12において,地球儀,日本地図,特定地域の写真などのイメージが対応して貼り付けられている。ここで貼り付けられるイメージは,2次元のビットマップ形式のものでも,3次元空間のスナップショットでも構わない。利用者は,図12(a)に示される地球儀の地図上に立てられている任意の旗をクリックすると,その下層で管理される各国または各大陸の地図,例えば,日本の上に立てられている旗をクリックした場合には,図12(b)に示されるような各地方あるいは各地域に旗が立っている日本地図が立ちあがる。次に,各地方に立っている旗のうち,任意の旗をクリックすると,クリックされた旗の下層で管理される各地方または各地域の地図,例えば,東京の上に立てられている旗をクリックした場合には,図12(c)に示されるような各都市に旗が立っている東京の地図が立ちあがる。さらに,各都市に立っている旗のうち,任意の旗をクリックすると,クリックされた旗の下層で管理される各都市,例えば,新宿の上に立てられている旗をクリックした場合には,図12(d)新宿上空の3次元画像立体表現がクライアント端末に表示される。なお,上述される地図上に立てられている旗は,必ずしも旗の形状に限定されるものでなく,その他の形状であっても構わない。
【0088】
以上のように,3次元空間遊覧サービスを実際に利用することができる最下位レベルのメニュー項目が選択されるまで3次元画像立体表現は,利用者に提示されない。例えば,,利用者が希望する地域として新宿が選択された場合,利用者は,クライアント端末上で「新宿」上空の3次元画像立体表現が提示されると,まさに新宿上空を遊覧しているかのような3次元空中遊覧サービスを利用することができる。この場合,最下位レベルのメニュー項目には,3次元空間画像の静止状態のスナップショットを貼り付けることが考えられる。なお,実際に利用者が空中遊覧サービスを利用できる最下位レベルをどこに設定するかは,サービス提供者側で自由に設定することができる。」
引用例の上記記載及び図面ならびにこの分野における技術常識を考慮すると,引用例には,特にその第3の実施形態として,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
『情報提供システムの処理方法であって,システムは,情報提供サーバ1と,クライアント端末2と,スポンサー端末3と,がそれぞれインターネット等による通信回線100を介して接続されて構成され,
まず,利用者は,情報提供サーバ1に対して3次元空中遊覧サービスを利用するための「メニュー」画面を要求すると,メニュー91がクライアント端末2に表示され,この画面において,メニュー91の表示内容は,地球全体を階層の最上位に位置させ,その下層には,アジア,アフリカ,アメリカ,ヨーロッパ,の順に各大陸が列挙されて表示され,その下層には,さらに細分化された,例えば,「北アメリカ」や「日本」といった各国名,また各国名の下層には,都市名というようなツリー構造で表示され,
また,このメニュー画面をイメージ形式で作成することも可能であり,地球儀,日本地図,特定地域の写真などのイメージが対応して貼り付けられており,ここで貼り付けられるイメージは,2次元のビットマップ形式のものでも,3次元空間のスナップショットでも構わず,利用者は,地球儀の地図上に立てられている任意の旗をクリックすると,その下層で管理される各国または各大陸の地図,例えば,日本の上に立てられている旗をクリックした場合には,各地方あるいは各地域に旗が立っている日本地図が立ちあがり,次に,各地方に立っている旗のうち,任意の旗をクリックすると,クリックされた旗の下層で管理される各地方または各地域の地図,例えば,東京の上に立てられている旗をクリックした場合には,各都市に旗が立っている東京の地図が立ちあがり,さらに,各都市に立っている旗のうち,任意の旗をクリックすると,クリックされた旗の下層で管理される各都市,例えば,新宿の上に立てられている旗をクリックした場合には,新宿上空の3次元画像立体表現がクライアント端末に表示され,
情報提供サーバ1の3次元画像変換部101は,2次元画像情報から3次元画像データへの変換処理を行うものであり,まず,同一場所を撮影した衛星画像や航空写真などを少なくとも2枚(航空写真A,航空写真B)用いてステレオ処理を行い,2枚の航空写真の視差から計算することでビルや山などの高さ方向の情報を計算し,次に,計算された値を標高メッシュ化(DEM画像化:Digital Elevation Model)した中間表現31を再現し,それをポリゴン化して3次元画像データ32を自動生成し,位置入力型3次元画像合成部109は,指定された位置情報に基づく3次元画像データと広告情報とを合成するものであり,広告内容のデータを上記3次元画像変換部101からの出力である3次元画像データに合成して合成3次元画像データをクライアント端末2に配信し,
クライアント端末2には,位置出力型3次元画像ブラウザ201が設けられ,位置入力型3次元画像合成部109から配信された合成3次元画像データを利用者指示(視点位置,情報提示指示)に基づいて,3次元画像立体表現を利用者に提供するよう構成され,位置出力型3次元画像ブラウザ201は,利用者からの位置指定情報や視点位置情報に基づいて合成3次元画像データを3次元画像立体表現に変換するものであり,利用者から,まず空中遊覧したい特定の位置のデータが入力部202から入力されると,そのデータを位置入力型3次元画像合成部109へ渡し,その結果として合成3次元画像データを受け取り,内部に記憶し,次に,利用者から特定の視点位置情報が入力部202から入力されると,受け取った3次元画像データをその視点位置情報から見た3次元画像立体表現に作成した後,利用者に表示部203で提示する,方法。』
(3)対比・判断
補正後の発明と引用発明とを対比するに,
a 引用発明では「3次元画像立体表現」が「利用者に表示部203で提示」されるが,該「3次元画像立体表現」は,「同一場所を撮影した衛星画像や航空写真などを少なくとも2枚(航空写真A,航空写真B)用いてステレオ処理を行い,2枚の航空写真の視差から計算することでビルや山などの高さ方向の情報を計算し,次に,計算された値を標高メッシュ化(DEM画像化:Digital Elevation Model)した中間表現31を再現し,それをポリゴン化して」生成した「3次元画像データ32」から作成されるものであり,また,引用発明の方法は「情報処理システム」により実行されることから「コンピュータ実装された方法」であることは明らかであるところ,引用発明の「情報提供システムの処理方法」は「同一場所を撮影して生成した3次元画像データ32を可視化するためのコンピュータ実装された方法」であるといえる。
一方,補正後の発明の「オブジェクト(106)」に関し,本願明細書には「オブジェクト106は,複数の様々な形態をとることができる。オブジェクト106は,たとえば,以下のものだけには限らないが,空中輸送手段,地上車両,水上車両,宇宙船,製造施設,建物,電力網,電気システム,機械システム,コンピュータ,近隣区域,都市,または他の何らかのタイプのオブジェクトでもよい。」(【0016】)と記載されていることから,該「オブジェクト(106)」は「近隣区域,都市」などを含むものであって,引用発明の「同一場所を撮影して生成した3次元画像データ32」は,補正後の発明の「オブジェクト(106)についてのデータ(104)」に含まれる。
そうすると,引用発明の「同一場所を撮影して生成したデータを可視化するためのコンピュータ実装された方法」である「情報提供システムの処理方法」は,補正後の発明の「オブジェクト(106)についてのデータ(104)を可視化するためのコンピュータ実装された方法」に相当する。
b 引用発明では「メニュー91がクライアント端末2に表示され,この画面において,メニュー91の表示内容は,地球全体を階層の最上位に位置させ,その下層には,アジア,アフリカ,アメリカ,ヨーロッパ,の順に各大陸が列挙されて表示され,その下層には,さらに細分化された,例えば,「北アメリカ」や「日本」といった各国名,また各国名の下層には,都市名というようなツリー構造で表示され,
また,このメニュー画面をイメージ形式で作成することも可能であり,地球儀,日本地図,特定地域の写真などのイメージが対応して貼り付けられており,ここで貼り付けられるイメージは,2次元のビットマップ形式のものでも,3次元空間のスナップショットでも構わず,利用者は,地球儀の地図上に立てられている任意の旗をクリックすると,その下層で管理される各国または各大陸の地図,例えば,日本の上に立てられている旗をクリックした場合には,各地方あるいは各地域に旗が立っている日本地図が立ちあがり,次に,各地方に立っている旗のうち,任意の旗をクリックすると,クリックされた旗の下層で管理される各地方または各地域の地図,例えば,東京の上に立てられている旗をクリックした場合には,各都市に旗が立っている東京の地図が立ちあがり,さらに,各都市に立っている旗のうち,任意の旗をクリックすると,クリックされた旗の下層で管理される各都市,例えば,新宿の上に立てられている旗をクリックした場合には,新宿上空の3次元画像立体表現がクライアント端末に表示され」るが,
ここで,「イメージ形式」で作成された「地球儀,日本地図,特定地域の写真などのイメージ」は「ツリー構造」の各「階層」に属するものであって,補正後の発明の「イメージブロックの階層(138)」に相当するから,利用者が「地球儀の地図」,「日本地図」,「東京の地図」の上に立った「旗」をクリックすることは,補正後の発明の「イメージブロックの階層(138)およびアクションスキーム(140)を識別する命令(136)」に相当する。
そして,「旗」のクリックによる命令が「クライアント端末2」で受信されることは明らかであるから,引用発明は,補正後の発明の「イメージブロックの階層(138)およびアクションスキーム(140)を識別する命令(136)を受信すること(1000)」に相当する構成を備えているといえる。
c 引用発明において,「地球儀の地図」,「日本地図」,「東京の地図」などのメニュー画面のイメージは,旗を選択してクリックすることでその下層にある複数のイメージのいずれかに「分岐」可能であるから,これらは補正後の発明の「分岐イメージ領域」に相当し,また,「東京の地図」の「新宿の上に立てられている旗をクリックした場合」に表示される「新宿上空の3次元画像立体表現」は,その下層にイメージを有しないため「分岐」できないことは明白であって,補正後の発明の「最終イメージ領域」に相当する。
また,「地球儀の地図」,「日本地図」,「東京の地図」などのメニュー画面のイメージや「新宿上空の3次元画像立体表現」は,いずれも「情報提供サーバ1」から送信されるイメージである。
そうすると,引用発明は,補正後の発明の「イメージブロックの前記階層(138)内のイメージブロック(142)をロードして(1002),前記イメージブロック(142)に対応するイメージ(144)を,表示システム(124)上に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示することであって,前記イメージ(144)上の複数のイメージ領域(146)が選択可能であり,各イメージ領域は分岐イメージ領域又は最終イメージ領域のいずれかであり,分岐イメージ領域は新規のイメージブロックへの分岐を可能にする,表示すること」
に相当する構成を備えているといえる。
d 引用発明において,例えば「地球儀の地図」には「日本」以外にも複数の国のイメージが含まれているが,その中から「日本」の上に立った旗を選択してクリックすることは,補正後の発明の「複数のイメージ領域(146)内のイメージ領域(148)の選択」に相当する。さらに,このような旗の選択は複数の階層にわたって行なわれるものであって補正後の発明の「1組のアクション(150)」に相当する。
そうすると,引用発明は補正後の発明の「前記命令(136)において識別された前記アクションスキーム(140)に基づいて,前記複数のイメージ領域(146)内のイメージ領域(148)の選択に応答して1組のアクション(150)を実行すること(1004)」に相当する構成を備えているといえる。
e 引用発明の「位置出力型3次元画像ブラウザ201は,利用者から,まず空中遊覧したい特定の位置のデータが入力部202から入力されると,そのデータを位置入力型3次元画像合成部109へ渡し,その結果として合成3次元画像データを受け取り,内部に記憶し,次に,利用者から特定の視点位置情報が入力部202から入力されると,受け取った3次元画像データをその視点位置情報から見た3次元画像立体表現に作成した後,利用者に表示部203で提示する」によれば,引用発明における「最終イメージ」である「3次元画像立体表現」は,「利用者から,まず空中遊覧したい特定の位置のデータが入力部202から入力され」ることによって「受け取」った「合成3次元画像データ」を使用して「位置出力型3次元画像ブラウザ201」が作成するものである。
そうすると,引用発明の「位置出力型3次元画像ブラウザ201」,「合成3次元画像データ」は,それぞれ,補正後の発明の「可視化システム(102)」,「可視化情報(152)」に相当するものであり,引用発明は,補正後の発明の「前記1組のアクション(150)を実行することが,前記イメージ領域(148)が最終イメージ領域であるとき前記ユーザ(105)に関心のあるデータを視覚的に提示する際に使用するために可視化システム(102)に送られる可視化情報(152)を生成すること」に相当する構成を備えているといえる。
f 上記cでの検討を踏まえれば,引用発明は,補正後の発明の「前記イメージ領域(148)が分岐イメージ領域であるとき現在のイメージブロック(142)の直下のレベルの新規のイメージブロックがロードされ,前記新規のイメージブロックに対応する新規のイメージが,グラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示され,前記新規のイメージに対応する複数のイメージ領域が,ユーザ(105)によって選択可能になること」に相当する構成を備えているといえる。
したがって,補正後の発明と引用発明とは,
「 オブジェクト(106)についてのデータ(104)を可視化するためのコンピュータ実装された方法であって,
イメージブロックの階層(138)およびアクションスキーム(140)を識別する命令(136)を受信すること(1000)と,
イメージブロックの前記階層(138)内のイメージブロック(142)をロードして(1002),前記イメージブロック(142)に対応するイメージ(144)を,表示システム(124)上に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示することであって,前記イメージ(144)上の複数のイメージ領域(146)が選択可能であり,各イメージ領域は分岐イメージ領域又は最終イメージ領域のいずれかであり,分岐イメージ領域は新規のイメージブロックへの分岐を可能にする,表示することと,
前記命令(136)において識別された前記アクションスキーム(140)に基づいて,前記複数のイメージ領域(146)内のイメージ領域(148)の選択に応答して1組のアクション(150)を実行すること(1004)と
を含み,
前記1組のアクション(150)を実行することが,前記イメージ領域(148)が最終イメージ領域であるとき前記ユーザ(105)に関心のあるデータを視覚的に提示する際に使用するために可視化システム(102)に送られる可視化情報(152)を生成することと,前記イメージ領域(148)が分岐イメージ領域であるとき現在のイメージブロック(142)の直下のレベルの新規のイメージブロックがロードされ,前記新規のイメージブロックに対応する新規のイメージが,グラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示され,前記新規のイメージに対応する複数のイメージ領域が,ユーザ(105)によって選択可能になることとを含む,方法。」
の点で一致しており相違点はない。
補正後の発明の作用効果についても,引用発明との差異は認められない。
したがって,補正後の発明は引用発明と同一であり,また,引用発明に基づいて引用発明と同一である補正後の発明を発明することは当業者にとって容易である。
(4)まとめ
以上のとおり,補正後の発明は,引用発明と同一であるから特許法第29条第1項第3号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであり,また,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する特許法第126条第7項の規定に違反するので,特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願発明について
1.本願発明
平成28年6月3日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年12月7日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「オブジェクト(106)についてのデータ(104)を可視化するためのコンピュータ実装された方法であって,
イメージブロックの階層(138)およびアクションスキーム(140)を識別する命令(136)を受信すること(1000)と,
イメージブロックの前記階層(138)内のイメージブロック(142)をロードして(1002),前記イメージブロック(142)に対応するイメージ(144)を,表示システム(124)上に表示されるグラフィカルユーザインターフェース(122)を介してユーザ(105)に表示することであって,前記イメージ(144)上の複数のイメージ領域(146)が選択可能である,表示することと,
前記命令(136)において識別された前記アクションスキーム(140)に基づいて,前記複数のイメージ領域(146)内のイメージ領域(148)の選択に応答して1組のアクション(150)を実行すること(1004)と
を含み,
前記1組のアクション(150)を実行することが,前記イメージ領域(148)が最終イメージ領域であるとき前記ユーザ(105)に関心のあるデータを視覚的に提示する際に使用するために可視化システム(102)に送られる可視化情報(152)を生成することを含む,方法。」
2.引用発明
引用発明は,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項中の「(2)引用発明」の項で認定したとおりである。
3.対比・判断
そこで,本願発明と引用発明とを対比するに,本願発明は上記補正後の発明から当該補正に係る限定を省いたものである。
そうすると,本願発明の構成に当該補正に係る限定を付加した補正後の発明が,上記「第2.補正却下の決定」の項中の「3.独立特許要件について」の項で検討したとおり,引用発明と同一であり,また,引用発明に基づいて容易に発明できたものであるから,本願発明も同様の理由により引用発明と同一であり,また,引用発明から当業者が容易に発明をすることができたものである。
4.むすび
以上のとおり,本願発明は引用発明と同一であるから特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。また,本願発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-008212