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特許拒絶査定不服審判

2021-002527

個人情報(PII)開示検出

審判番号
2021-002527
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-095892外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年02月26日
審決日
2021年11月19日
公報発行日
2022年05月27日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (G06F) / P18 .121-Z (G06F) / P18 .575-Z (G06F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第36条の2第2項、特許法第164条、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2016- 95892「個人情報(PII)開示検出」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月 2日出願公開,特開2017- 27582〕について,次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は,成り立たない。

理由

理 由 第1.手続の経緯 本願は,平成28年5月12日(パリ条約による優先権主張2015年7月23日(以下,「優先日」という) アメリカ合衆国)の外国語書面出願であって, 平成28年7月29日付けで特許法36条の2第2項の規定による外国語書面,及び,外国語要約書面の日本語による翻訳文が提出され,令和1年5月10日付けで審査請求がなされ,令和2年3月5日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して令和2年5月8日付けで意見書が提出されると共に誤訳訂正書が提出されたが,令和2年10月19日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;令和2年10月26日),これに対して令和3年2月26日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,令和3年4月16日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされ,令和3年8月10日付けで上申書の提出があったものである。 第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定 [補正却下の決定の結論] 令和3年2月26日付け手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 令和3年2月26日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,令和2年5月8日付けの誤訳訂正書により訂正された特許請求の範囲, 「 【請求項1】 ユーザ情報拡散を追跡する方法であって, 少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ(525)と, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約するステップ(550)と, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ(555)と, を含む,方法。 【請求項2】 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つのアドレスまたは前記PIIのうち前記少なくとも1つにマッチングされた前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを記録するステップ(535)をさらに含む,請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIを前記少なくとも1人のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行う前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダを記録するステップ(530)をさらに含む,請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記少なくとも1つのプロセッサは,少なくとも1つの第1のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスまたは前記PIIのうち前記少なくとも1つにマッチングされた前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを記録し, 前記少なくとも1つのプロセッサは,少なくとも1つの第2のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行う前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダを記録する(525), 請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記少なくとも1つのプロセッサは,少なくとも1つの第1のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスまたは前記PIIのうち前記少なくとも1つにマッチングされた前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを記録し, 前記少なくとも1つのプロセッサは,前記少なくとも1つの第1のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行う前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダを記録する(555), 請求項3に記載の方法。 【請求項6】 前記少なくとも1つのアドレスは電子メール・アドレスまたは住所のうち少なくとも1つである,請求項1に記載の方法。 【請求項7】 前記少なくとも1つのアドレスは使用可能アドレスまたはエイリアス・アドレスのうち少なくとも1つである,請求項1に記載の方法。 【請求項8】 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダに対して使用される前記少なくとも1人のユーザに関連する前記エイリアス・アドレスを生成するステップ(730)をさらに含む,請求項7に記載の方法。 【請求項9】 前記PIIは実際のPIIまたは疑似PIIのうち少なくとも1つである(930),請求項1に記載の方法。 【請求項10】 前記方法は,前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダに対して使用される前記少なくとも1人のユーザに関連する前記疑似PIIを生成するステップ(555)をさらに含む,請求項9に記載の方法。 【請求項11】 前記PIIは異なる種類の個人情報を含む,請求項1に記載の方法。 【請求項12】 前記個人情報の種類は,名前,請求書送付先住所,発送先住所,自宅の電話番号,職場の電話番号,携帯電話番号,誕生日,職業,勤務先,勤務先住所,収入,クレジット・カード情報,またはユーザ識別番号(ID)のうち少なくとも1つを含む,請求項11に記載の方法。 【請求項13】 重要度レベルを前記PIIの前記個人情報の種類の各々に割り当てるステップ(520)をさらに含む,請求項11に記載の方法。 【請求項14】 前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダに関する前記信頼性の順位は,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが前記少なくとも1人のユーザに送信した前記PIIの個人情報の種類の重要度レベルにさらに基づく(555),請求項13に記載の方法。 【請求項15】 少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダ(160A)を,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)(150A)のうち少なくとも1つにマッチングし,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダ(160A)が,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約し,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダ全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて生成する(555)ための少なくとも1つのプロセッサ(1120)を備えた,ユーザ情報拡散を追跡するシステム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は, 「 【請求項1】 ユーザ情報拡散を追跡する方法であって, 少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ(525)であって,前記少なくとも1つのアドレスは,前記少なくとも1人のユーザがユーザ情報を提供するサービス・プロバイダにわたって一意の使用可能電子メールアドレスまたはエイリアス電子メールアドレスであり,前記PIIは,任意の電子メールアドレスにわたって一意の実際のPIIまたは疑似PIIである,ステップと, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約するステップ(550)と, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ(555)と, を含む,方法。 【請求項2】 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つのアドレスまたは前記PIIのうち前記少なくとも1つにマッチングされた前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを記録するステップ(535)をさらに含む,請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIを前記少なくとも1人のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行う前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダを記録するステップ(530)をさらに含む,請求項2に記載の方法。 【請求項4】 前記少なくとも1つのプロセッサは,少なくとも1つの第1のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスまたは前記PIIのうち前記少なくとも1つにマッチングされた前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを記録し, 前記少なくとも1つのプロセッサは,少なくとも1つの第2のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行う前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダを記録する(525), 請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記少なくとも1つのプロセッサは,少なくとも1つの第1のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスまたは前記PIIのうち前記少なくとも1つにマッチングされた前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを記録し, 前記少なくとも1つのプロセッサは,前記少なくとも1つの第1のレコードに,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザに送信することのうち少なくとも1つを行う前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダを記録する(555), 請求項3に記載の方法。 【請求項6】 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダに対して使用される前記少なくとも1人のユーザに関連する前記エイリアス電子メールアドレスを生成するステップ(730)をさらに含む,請求項1に記載の方法。 【請求項7】 前記方法は,前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダに対して使用される前記少なくとも1人のユーザに関連する前記疑似PIIを生成するステップ(555)をさらに含む,請求項1に記載の方法。 【請求項8】 前記PIIは異なる種類の個人情報を含む,請求項1に記載の方法。 【請求項9】 前記個人情報の種類は,名前,請求書送付先住所,発送先住所,自宅の電話番号,職場の電話番号,携帯電話番号,誕生日,職業,勤務先,勤務先住所,収入,クレジット・カード情報,またはユーザ識別番号(ID)のうち少なくとも1つを含む,請求項8に記載の方法。 【請求項10】 重要度レベルを前記PIIの前記個人情報の種類の各々に割り当てるステップ(520)をさらに含む,請求項8に記載の方法。 【請求項11】 前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダに関する前記信頼性の順位は,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが前記少なくとも1人のユーザに送信した前記PIIの個人情報の種類の重要度レベルにさらに基づく(555),請求項10に記載の方法。 【請求項12】 少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダ(160A)を,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)(150A)のうち少なくとも1つにマッチングし,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダ(160A)が,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約し,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて生成する(555)ための少なくとも1つのプロセッサであって,前記少なくとも1つのアドレスは,前記少なくとも1人のユーザがユーザ情報を提供するサービス・プロバイダにわたって一意の使用可能電子メールアドレスまたはエイリアス電子メールアドレスであり,前記PIIは,任意の電子メールアドレスにわたって一意の実際のPIIまたは疑似PIIである,プロセッサ(1120)を備えた,ユーザ情報拡散を追跡するシステム。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。 2.補正の適否 (1)本件手続補正は,補正前の請求項1,及び,補正前の請求項15に記載の「アドレス」について,「少なくとも1人のユーザがユーザ情報を提供するサービス・プロバイダにわたって一意の使用可能電子メールアドレスまたはエイリアス電子メールアドレス」であるという限定を加え,同じく,補正前の請求項1,及び,補正前の請求項15に記載の「PII」について,「任意の電子メールアドレスにわたって一意の実際のPIIまたは疑似PIIである」という限定を加えると共に(以下,これを「補正事項1」という),補正前の請求項1,補正前の請求項3~補正前の請求項5,及び,補正前の請求項15に記載の「少なくとも1人のユーザに郵送する」を,「少なくとも1人のユーザに電子メールを送信する」と補正し(以下,これを「補正事項2」という),補正前の請求項8に記載の「エイリアス・アドレス」を,「エイリアス電子メールアドレス」と補正し(以下,これを「補正事項3」という),補正前の請求項6,及び,補正前の請求項7を削除し(以下,これを「補正事項4」という),それに伴って,請求項の番号を整理するものであって,補正事項1~補正事項3は,平成28年7月29日付けで提出された外国語書面の日本語による翻訳文に記載した事項の範囲内でなされたものであるから,特許法17条の2第3項の規定を満たすものであり,補正事項1は,限定的減縮を目的とし,補正事項2,及び,補正事項3は,明瞭でない記載の釈明を目的とし,補正事項4は,請求項の削除を目的とするものであって,補正前に受けた拒絶理由通知において特許することができないものか否かについて判断が示された発明と,補正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明とが,第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものであるから,本件手続補正は,特許法17条の2第3項~同第5項を満たすものである。 そこで,本件手続補正が,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際,独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。 (2)本件補正発明 補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次のとおりのものである。 「ユーザ情報拡散を追跡する方法であって, 少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ(525)であって,前記少なくとも1つのアドレスは,前記少なくとも1人のユーザがユーザ情報を提供するサービス・プロバイダにわたって一意の使用可能電子メールアドレスまたはエイリアス電子メールアドレスであり,前記PIIは,任意の電子メールアドレスにわたって一意の実際のPIIまたは疑似PIIである,ステップと, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約するステップ(550)と, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ(555)と, を含む,方法。」 (3)引用文献に記載の事項 原審における令和2年3月5日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の優先日前に既に公知である,特開2003-067524号(2003年3月7日公開,以下,これを「引用文献」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。 A.「【0007】本発明は,係る実情に鑑み考え出されたものであり,その目的は,個人情報の不正流通を監視できるようにすることである。」 B.「【0047】図3は,金融機関7を説明するための説明図である。金融機関7には,VP管理サーバ9,決済サーバ10,認証用サーバ11,データベース12a,12bが備えられている。VP管理サーバ9は,仮想人物としてのバーチャルパーソン(以下,単に「VP」という)を管理するためのサーバである。VPとは,現実世界に実在しないネットワーク上で行動する仮想の人物のことであり,現実世界での実在人物であるリアルパーソン(以下,単に「RP」という)がネットワーク上で行動する際に,VPになりすましてそのVPとして行動できるようにするために誕生させた仮想人物のことである。」 C.「【0052】トラップ情報とは,サイト(業者)側が個人情報を収集してそれを不正に流通させた場合に,それを行なった犯人を割出すためにトラップ(罠)を仕掛けるための情報である。たとえば,VPが自己の個人情報をあるサイト(第1譲渡先)に譲渡する際に,その第1譲渡先特有の氏名を用いる。すなわち,VPが自己の氏名を複数種類有し,サイト(業者)ごとに使い分ける。このようなVP氏名を,便宜上トラップ型VP氏名という。このようにすれば,ダイレクトメールやEメールが業者側から送られてきた場合には,そのメールの宛名がトラップ型VP氏名となっているはずである。その送ってきたサイト(業者)が,トラップ型VP氏名から割出される第1譲渡先とは異なりかつ譲渡した自己の個人情報の開示許容範囲(流通許容範囲)を超えたサイト(業者)であった場合には,その個人情報が第1譲渡先によって不正に開示(流通)されたこととなる。このように,不正流通(不正開示)を行なった第1譲渡先を,トラップ型VP氏名から割出すことができる。 【0053】なお,図3では,次郎が第2トラップ情報,第3トラップ情報,第2個人情報,第3個人情報,2つの情報を有している。次郎が,ネットワーク上で行動する場合に,この2人のVPを使い分けて行動するために,これら2種類のVP情報を金融機関7に登録している。VPの住所とは,後述するように,RPの希望するまたはRPの住所に近いコンビニエンスストア2の住所である。その結果,VPとして電子ショッピングをした場合の商品の配達先が,そのVPの住所であるコンビニエンスストア2に配達されることとなる。RPは,その配達されてきた商品をVPになりすましてコンビニエンスストア2にまで出向いて商品を引取ることが可能となる。このようにすれば,住所を手がかりにVPとRPとの対応関係が見破られてしまう不都合が防止できる 【0054】図3に示したトラップ情報の詳細は,図4に示されている。第1トラップ情報,第2トラップ情報,…の各トラップ情報は,サイト名ごとに,氏名(トラップ型VP氏名),公開鍵,Eメールアドレス,バーチャル口座番号,バーチャルクレジット番号を含んでいる。たとえば,サイト名(業者名)ABCにVPがアクセスする際には,VPの本名であるB13Pを用い,VPの秘密鍵KSBとペアの公開鍵KPB'を用い,VPの本当のEメールアドレスである○□×△×を用い,VPの本当の口座番号である2503を用い,VPの本当のクレジット番号である3288を用いる。」 D.「【0055】一方,サイト名(業者名)MTTにアクセスする場合には,VPの本名をそのVPの秘密鍵で1回暗号化したE(B13P)を,トラップ型VP氏名として用いる。秘密鍵としては,VPの本当の秘密鍵KSBをVPの本当の秘密鍵KSBで1回暗号化したEKSB(KSB)を用いる。この秘密鍵EKSB(KSB)に対する公開鍵KPBがデータベース12aに格納されている。Eメールアドレスとしては,金融機関7がトラップ型VPのために開設しているEメールアドレス△△△△△を用いる。口座番号としては,VPの本当の口座番号をVPの本当の秘密鍵で1回暗号化したE(2503)をバーチャル口座番号として用いる。クレジット番号は,VPの本当のクレジット番号をVPの本当の秘密鍵で1回暗号化したE(3288)を用いる。 【0056】さらに,サイト名(業者名)MECにアクセスする場合には,VPの秘密鍵でVPの本名を2回暗号化したE2(B13P)をトラップ型VP氏名として用いる。 【0057】VPがトラップ型VP氏名E2(B13P)を用いてネットワーク上で行動する場合には,秘密鍵KSBを秘密鍵KSBで2回暗号化した2回暗号化秘密鍵E2KSB(KSB)を用いる。その2回暗号化秘密鍵とペアになっている公開鍵がKPB″である。Eメールアドレスは,金融機関7がトラップ型VP用のEメールアドレスとして開設している△△△△△を用いる。バーチャル口座番号は,VPの本当の口座番号を秘密鍵で2回暗号化したE2(2503)を用いる。クレジット番号は,VPの本当のクレジット番号をVPの秘密鍵で2回暗号化したバーチャルクレジット番号E2(3288)を用いる。 【0058】このように,サイト名ごとに,トラップ情報の暗号回数が異なる。サイト側(業者側)に提供した個人情報というものは,ネットワーク上を流通した後最終的にはその個人情報主にEメールやダイレクトメールの形で返ってくる。この個人情報の帰還ループを利用してトラップを仕掛けて個人情報の不正流通を行なった犯人を追跡できるようにするのが,このトラップ情報の狙いである。すなわち,ユーザをネット上で追跡するトラッキング型クッキーの逆を行なうものである。」 E.「【0059】図5は,図3に示したVPの個人情報を説明する図である。第1個人情報,第2個人情報,第3個人情報,…の各個人情報は,個人情報A,個人情報B,…の複数種類の個人情報が集まって構成されている。たとえば,個人情報Aは,VPの年齢,性別,職業,年収等であり,個人情報Bは,VPの嗜好に関する情報である。 【0060】図5に示すように,各個人情報は,金融機関7の秘密鍵KSによるデジタル署名が付されている。たとえば,第1個人情報の個人情報Aは,○○△の個人情報自体に対しデジタル署名であるDKS(○○△)が付されている。 【0061】このデータベース12aに格納されている各個人情報は,後述するように,金融機関7がその真偽をチェックして正しいもののみをデータベース12aに格納し,正しいことを認証するためのデジタル署名が付される。 【0062】図6は,金融機関7のデータベース12bに格納されている情報を示す図である。データベース12bには,サイト名(業者名)ごとに,その業者が個人情報を不正入手した値と,個人情報を不正流出(不正流通)した値と,それら両値から割出される悪い順位とが記憶されている。 【0063】後述するように,あるサイト名(業者名)MTTが,個人情報を不正に入手すればその不正入手値が「1」加算更新され,個人情報を不正に流通すれば,その不正流通値が「1」加算更新される。そして悪い順位は,不正入手値+2×不正流出値の計算式で値を出し,その値が大きいほど悪い順位が上位となる。前記計算式の値が一番大きければ悪い順位が一番となる。」 F.「【図3】 [図:0001383747000001.jpg] 」 G.「 [図:0001383747000002.jpg] 」 H.「 [図:0001383747000003.jpg] 」 (4)引用文献に記載の発明 ア.上記Aの「個人情報の不正流通を監視できるようにすることである」という記載から,引用文献には, “個人情報の不正流通を監視する方法”が記載されていることが読み取れる。 イ.上記Cの「VPが自己の個人情報をあるサイト(第1譲渡先)に譲渡する際に,その第1譲渡先特有の氏名を用いる。すなわち,VPが自己の氏名を複数種類有し,サイト(業者)ごとに使い分ける。このようなVP氏名を,便宜上トラップ型VP氏名という」という記載,同じく,上記Cの「図3に示したトラップ情報の詳細は,図4に示されている。第1トラップ情報,第2トラップ情報,…の各トラップ情報は,サイト名ごとに,氏名(トラップ型VP氏名),公開鍵,Eメールアドレス,バーチャル口座番号,バーチャルクレジット番号を含んでいる。たとえば,サイト名(業者名)ABCにVPがアクセスする際には,VPの本名であるB13Pを用い,VPの秘密鍵KSBとペアの公開鍵KPB'を用い,VPの本当のEメールアドレスである○□×△×を用い,VPの本当の口座番号である2503を用い,VPの本当のクレジット番号である3288を用いる」という記載,上記Dの「サイト名(業者名)MTTにアクセスする場合には,VPの本名をそのVPの秘密鍵で1回暗号化したE(B13P)を,トラップ型VP氏名として用いる。秘密鍵としては,VPの本当の秘密鍵KSBをVPの本当の秘密鍵KSBで1回暗号化したEKSB(KSB)を用いる。この秘密鍵EKSB(KSB)に対する公開鍵KPBがデータベース12aに格納されている。Eメールアドレスとしては,金融機関7がトラップ型VPのために開設しているEメールアドレス△△△△△を用いる。口座番号としては,VPの本当の口座番号をVPの本当の秘密鍵で1回暗号化したE(2503)をバーチャル口座番号として用いる。クレジット番号は,VPの本当のクレジット番号をVPの本当の秘密鍵で1回暗号化したE(3288)を用いる」という記載,同じく,上記Dの「サイト名(業者名)MECにアクセスする場合には,VPの秘密鍵でVPの本名を2回暗号化したE2(B13P)をトラップ型VP氏名として用いる」という記載,及び,同じく,上記Dの「VPがトラップ型VP氏名E2(B13P)を用いてネットワーク上で行動する場合には,秘密鍵KSBを秘密鍵KSBで2回暗号化した2回暗号化秘密鍵E2KSB(KSB)を用いる。その2回暗号化秘密鍵とペアになっている公開鍵がKPB″である。Eメールアドレスは,金融機関7がトラップ型VP用のEメールアドレスとして開設している△△△△△を用いる。バーチャル口座番号は,VPの本当の口座番号を秘密鍵で2回暗号化したE2(2503)を用いる。クレジット番号は,VPの本当のクレジット番号をVPの秘密鍵で2回暗号化したバーチャルクレジット番号E2(3288)を用いる」という記載と,上記Gに引用した【図4】に開示の事項から,引用文献においては, “VPが,自己の個人情報の譲渡先であるサイトに対して,サイト名ごとに,氏名(トラップ型VP氏名),公開鍵,Eメールアドレス,バーチャル口座番号,バーチャルクレジット番号を含むトラップ情報を割り当てる”ものであることが読み取れる。 ウ.上記Cの「ダイレクトメールやEメールが業者側から送られてきた場合には,そのメールの宛名がトラップ型VP氏名となっているはずである。その送ってきたサイト(業者)が,トラップ型VP氏名から割出される第1譲渡先とは異なりかつ譲渡した自己の個人情報の開示許容範囲(流通許容範囲)を超えたサイト(業者)であった場合には,その個人情報が第1譲渡先によって不正に開示(流通)されたこととなる。このように,不正流通(不正開示)を行なった第1譲渡先を,トラップ型VP氏名から割出すことができる。」という記載,上記Dの「サイト名ごとに,トラップ情報の暗号回数が異なる。サイト側(業者側)に提供した個人情報というものは,ネットワーク上を流通した後最終的にはその個人情報主にEメールやダイレクトメールの形で返ってくる。この個人情報の帰還ループを利用してトラップを仕掛けて個人情報の不正流通を行なった犯人を追跡できるようにするのが,このトラップ情報の狙いである」という記載,及び,上記Eの「あるサイト名(業者名)MTTが,個人情報を不正に入手すればその不正入手値が「1」加算更新され,個人情報を不正に流通すれば,その不正流通値が「1」加算更新される。そして悪い順位は,不正入手値+2×不正流出値の計算式で値を出し,その値が大きいほど悪い順位が上位となる。前記計算式の値が一番大きければ悪い順位が一番となる」という記載と,上記Hに引用した【図6】に開示の事項から,引用文献には, “VPの個人情報の譲渡先とは異なるサイトが,VPに対して,個人情報の譲渡先が譲渡されたEメールアドレスを用いて,VPにEメールを送信し, Eメールを送信したサイトが,個人情報の譲渡先と異なる場合に,前記譲渡先が,個人情報を不正に流通させた不正流通値を加算更新し, 前記不正流通値を用いて,VPの個人情報を譲渡されるサイトの悪い順位を決定する”ものであることが読み取れる。 エ.以上,上記ア.~ウ.において検討した事項から,引用文献には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。 「個人情報の不正流通を監視する方法であって, VPが,自己の個人情報の譲渡先であるサイトに対して,サイト名ごとに,氏名(トラップ型VP氏名),公開鍵,Eメールアドレス,バーチャル口座番号,バーチャルクレジット番号を含むトラップ情報を割り当て, 前記VPの個人情報の譲渡先とは異なるサイトが,前記VPに対して,個人情報の譲渡先が譲渡されたEメールアドレスを用いて,前記VPにEメールを送信し, 前記Eメールを送信した前記サイトが,個人情報の譲渡先と異なる場合に,前記譲渡先が,個人情報を不正に流通させた不正流通値を加算更新し, 前記不正流通値を用いて,前記VPの個人情報を譲渡されるサイトの悪い順位を決定する,方法。」 (5)本件補正発明と引用発明との対比 ア.引用発明における「個人情報」が, 本件補正発明における「ユーザ情報」に相当し, 引用発明における「個人情報の不正流出」の「監視」は,「個人情報」が拡散することを追跡することに他ならないので, 引用発明における「個人情報の不正流通を監視する方法」が, 本件補正発明における「ユーザ情報拡散を追跡する方法」に相当する。 イ.引用発明において,「VP」とは,上記Bの「VPとは,現実世界に実在しないネットワーク上で行動する仮想の人物のことであり,現実世界での実在人物であるリアルパーソン(以下,単に「RP」という)がネットワーク上で行動する際に,VPになりすましてそのVPとして行動できるようにするために誕生させた仮想人物のことである」という記載から,「ネットワーク」上の「ユーザ」を表現するものに他ならないので, 引用発明における「VP」が, 本件補正発明における「ユーザ」に相当し, 引用発明における「自己の個人情報の譲渡先であるサイト」が, 本件補正発明における「少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダ」に相当し, 引用発明において「個人情報」は,「Eメールアドレス」を含む「トラップ情報」として,各「サイト」に譲渡され, 引用発明における「トラップ情報」は,「Eメールアドレス」の他,「氏名」等も含むものであるから, 本件補正発明における「個人情報」に相当するものである。 そして,引用発明において,「サイト」に,「トラップ情報」を譲渡するということは,「サイト」に,「Eメールアドレス」,或いは,「氏名」といった「個人情報」を「マッチング」させることに他ならないので, 引用発明における「VPが,自己の個人情報の譲渡先であるサイトに対して,サイト名ごとに,氏名(トラップ型VP氏名),公開鍵,Eメールアドレス,バーチャル口座番号,バーチャルクレジット番号を含むトラップ情報を割り当て」ることと, 本件補正発明における「少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ」とは, “少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ”である点で共通する。 ウ.引用発明における「VPの個人情報の譲渡先とは異なるサイト」が, 本件補正発明における「少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダ」に相当し, 引用発明における「VPの個人情報の譲渡先とは異なるサイトが,前記VPに対して,個人情報の譲渡先が譲渡されたEメールアドレスを用いて,前記VPにEメールを送信」することと, 本件補正発明における「少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信すること」とは, “少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること”である点で共通する。 エ.上記ウ.において検討した事項を踏まえると, 引用発明における「Eメールを送信した前記サイトが,個人情報の譲渡先と異なる場合に,前記譲渡先が,個人情報を不正に流通させた不正流通値を加算更新」することが, 本件補正発明における「少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信することを行う回数を集約するステップ」に相当し, 引用発明における「前記不正流通値を用いて,前記VPの個人情報を譲渡されるサイトの悪い順位を決定する」ことが, 本件補正発明における「前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信することを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ」に相当する。 オ.以上,上記ア.~エ.において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。 [一致点] ユーザ情報拡散を追跡する方法であって, 少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップと, 少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信することを行う回数を集約するステップと, 少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信することを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップと, を含む,方法。 [相違点1] “マッチングするステップ”に関して, 本件補正発明においては,当該「ステップ」を,「少なくとも1つのプロセッサ」が行うものであるに対して, 引用発明においては,そのような言及がない点。 [相違点2] 本件補正発明においては,「少なくとも1つのアドレスは,前記少なくとも1人のユーザがユーザ情報を提供するサービス・プロバイダにわたって一意の使用可能電子メールアドレスまたはエイリアス電子メールアドレスであり,前記PIIは,任意の電子メールアドレスにわたって一意の実際のPIIまたは疑似PIIである」のに対して, 引用発明においては,そのような言及が,特段為されていない点。 [相違点3] “信頼性の順序を生成するステップ”に関して, 本件補正発明においては,当該「ステップ」を,「少なくとも1つのプロセッサ」が行うものであるに対して, 引用発明においては,そのような言及がない点。 (6)相違点についての当審の判断 ア.[相違点1],及び,[相違点3]について, 引用文献の【図10】に開示されているように,「ユーザ」の有する「VP用のIC端末」には,「CPU」が内蔵されているので, 引用発明においても,「マッチングするステップ」,及び,「信頼性の順序を生成するステップ」を,当該「CPU」で処理するよう構成していることは明らかである。 よって,[相違点1],及び,[相違点3]は,実質的な相違点には当たらない。 イ.[相違点2]について, 引用文献の段落【0285】に,別の実施形態として,「トラップ型VPのEメールアドレスがVP本名のEメールアドレスと同じである」ものが示されているので,引用発明においても,「Eメールアドレス」を,「自己の個人情報の譲渡先であるサイト」にわたって「一意の使用可能メールアドレス」とすることは,当業者が適宜なし得る事項である。 よって,[相違点2]は,格別なものではない。 ウ.以上,上記ア.で検討したとおり,[相違点1],及び,[相違点3]は,実質的な相違点には当たらず,上記イ.で検討したとおり,[相違点2]は格別のものではなく, そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば当然に予測可能なものに過ぎず格別なものとは認められない。 よって,本件補正発明は,引用発明と,当該技術分野における周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により,特許出願の際,独立して特許を受けることができない。 3.補正却下むすび したがって,本件手続補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。 第3.本願発明について 令和3年2月26日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,令和2年5月8日付けの誤訳訂正書により訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。 「ユーザ情報拡散を追跡する方法であって, 少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ(525)と, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約するステップ(550)と, 前記少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること,または,前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ(555)と, を含む,方法。」 第4.原審における拒絶査定の理由 原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,本願の優先日前に日本国内において,頒布された下記の引用文献1に記載された発明(以下「引用発明」という)を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。 したがって,この出願の請求項1に係る発明は,引用発明に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。 引用文献1.特開2003-067524号公報 第5.引用文献に記載の発明 1.上記Eに引用した引用文献(上記「第4.原審における拒絶査定の理由」において記載した,「引用文献1」と同じものである)の「データベース12bには,サイト名(業者名)ごとに,その業者が個人情報を不正入手した値と,個人情報を不正流出(不正流通)した値と,それら両値から割出される悪い順位とが記憶されている」という記載と,上記「第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(4)引用文献に記載の発明」においても引用した,上記Eの「あるサイト名(業者名)MTTが,個人情報を不正に入手すればその不正入手値が「1」加算更新され,個人情報を不正に流通すれば,その不正流通値が「1」加算更新される。そして悪い順位は,不正入手値+2×不正流出値の計算式で値を出し,その値が大きいほど悪い順位が上位となる。前記計算式の値が一番大きければ悪い順位が一番となる」という記載から, 引用文献1においては, “サイトが,個人情報を不正に他のサイトに送信することを不正流通値として加算し,及び,サイトが,他のサイトから,個人情報を不正に受信することを不正入手値として加算し,前記不正流通値と,前記不正入手値を用いて,サイトの悪い順位を算出する”ものであることが読み取れる。 2.以上,上記1において検討した事項と,上記「第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(4)引用文献に記載の発明」において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「原審時の引用発明」という)が記載されている。 「個人情報の不正流通を監視する方法であって, VPが,自己の個人情報の譲渡先であるサイトに対して,サイト名ごとに,氏名(トラップ型VP氏名),公開鍵,Eメールアドレス,バーチャル口座番号,バーチャルクレジット番号を含むトラップ情報を割り当て, サイトが,個人情報を不正に他のサイトに送信することを不正流通値として加算更新し, 前記不正流通値を用いて,前記VPの個人情報を譲渡されるサイトの悪い順位を決定する,方法。」 第6.本願発明と原審時の引用発明との対比 1.本願発明は,本件補正発明における「電子メールアドレス」及び「個人情報(PII)」に対する, 「少なくとも1つのアドレスは,前記少なくとも1人のユーザがユーザ情報を提供するサービス・プロバイダにわたって一意の使用可能電子メールアドレスまたはエイリアス電子メールアドレスであり,前記PIIは,任意の電子メールアドレスにわたって一意の実際のPIIまたは疑似PIIである」, という限定を無くし, 本件補正発明における, 「少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること」, を, 「少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること」, とし, 本件補正発明における, 「少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに電子メールを送信すること」, を, 「少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送すること」, としたものである。 2.上記「第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(5)本件補正発明と引用発明との対比」において検討した事項を踏まえると, 原審時の引用発明における「サイトが,個人情報を不正に他のサイトに送信すること」が, 本願発明における「PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信すること」, に相当する。 3.同じく,上記「第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(5)本件補正発明と引用発明との対比」において検討した事項を踏まえると, 原審時の引用発明における「サイトが,個人情報を不正に他のサイトに送信することを不正流通値として加算更新」することが, 本願発明における「PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数」に相当する。 4.原審時の引用発明における「不正流通値を用いて,前記VPの個人情報を譲渡されるサイトの悪い順位を決定する」ことが, 本願発明における「行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ」に相当する。 5.以上,1.~4.において検討した事項と,上記「第2.令和3年2月26日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」における「(5)本件補正発明と引用発明との対比」において検討した事項から, 本願発明と,原審時の引用発明とは, 「ユーザ情報拡散を追跡する方法であって, 少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダを,少なくとも1人のユーザに関連する少なくとも1つのアドレスまたは前記少なくとも1人のユーザに関連する個人情報(PII)のうち少なくとも1つにマッチングするステップ(525)と, 前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行う回数を集約するステップ(550)と, 前記PIIの少なくとも一部を前記少なくとも1人のユーザまたは前記少なくとも1人の他のユーザのうち少なくとも1つに送信することのうち少なくとも1つを行った回数に基づいて,前記少なくとも1つの第1のサービス・プロバイダの信頼性の順位を生成するステップ(555)と, を含む,方法。」 である点で,一致するので,本願発明と,原審時の引用発明とは,同じものである。 よって,本願発明は,原審時の引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 仮に,本願発明が,「少なくとも1つのプロセッサにより,少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送する」, 及び, 「少なくとも1つのプロセッサにより,前記少なくとも1つの第2のサービス・プロバイダの全てが,前記少なくとも1つのアドレスを利用して前記少なくとも1人のユーザに郵送する」, という構成を採用したとしても,「個人情報」に,「郵送」用の「アドレス」を含ませること,及び,当該「アドレス」を用いて郵送を行うこと自体は,当業者が適宜なし得る程度の事項に過ぎないので,原審時の引用発明においても,「サイト」間で,情報の授受を「郵送」で行う構成を採用することに格別の困難性は見出せない。 第8.むすび したがって,本願発明は,引用文献に記載された発明であるから,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができない。 加えて,本願発明は,引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって,結論のとおり審決する。

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2021-002527

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