特許拒絶査定不服審判
2016-007463
移動通信システム及び基地局装置
- 審判番号
- 2016-007463
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-065445外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年05月23日
- 審決日
- 2017年06月05日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社NTTドコモ
- 【請求人代理人】青木 宏義
- 【請求人代理人】天田 昌行
- 【請求人代理人】守屋 芳隆
- 分類
- P18 .121-Z (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 65445「移動通信システム及び基地局装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月31日出願公開、特開2014-140237〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成22年10月4日に出願された特願2010―225223号の一部を、平成24年4月2日に新たに出願した特願2012―084095号の一部を、さらに平成26年3月27日に新たに出願したものであって、平成26年11月7日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月16日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成27年6月24日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年8月19日付けで意見書が提出され、平成28年2月26日付けで拒絶査定されたところ、同年5月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成28年5月23日付け手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成28年5月23日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、補正書に記載のとおり。)
「複数の送信地点において下りリンクチャネル推定のための参照信号であるCSI-RS(Channel State Information-Reference Signal)の送信周期が同じであり、ある送信地点での前記CSI-RSの割り当て位置に対して別の送信地点での前記CSI-RSの割り当て位置がオフセットを有しており、前記CSI-RSのミューティングリソースが設定されており、前記ミューティングリソースの配置が一つ又はそれ以上で設定されており、CSI-RSが割り当てられるサブフレームの位置が前記CSI-RSの送信周期及び前記オフセットを用いて特定されることを特徴とする移動通信システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成27年1月16日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。(下線は省略。)
「複数の送信地点において下りリンクチャネル推定のための参照信号であるCSI-RS(Channel State Information-Reference Signal)の送信周期が同じであり、ある送信地点での前記CSI-RSの割り当て位置に対して別の送信地点での前記CSI-RSの割り当て位置がオフセットを有しており、前記CSI-RSのミューティングリソースが設定されており、前記ミューティングリソースの配置が一つ又はそれ以上で設定されていることを特徴とする移動通信システム。」
2 補正の適否
上記本件補正は,補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「CSI-RSの割り当て位置」について,上記のとおり限定を付加するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法17条の2第5項の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか否か)について以下に検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載した請求項1に記載した事項により特定されるとおりのものである。
(2)引用例の記載事項
ア 引用例1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、Nokia, Nokia Siemens Networks,Multi-cell CSI-RS transmission and related impact to LTE Rel'8[online],3GPP TSG-RAN WG1#59 R1-094649(以下「引用例1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付与した。)
「Title: Multi-cell CSI-RS transmission and related impact to LTE Rel'8
1. Introduction
CSI-RS are transmitted into the data region of normal/MBSFN subframes[9] with configurable periodicity in terms of an integer number of subframes. Whenever they puncture Rel'8 PDSCH, CSI-RS result in additional interference. Rel'8 UEs are not aware of which degrades the link quality to some extent. Provided that such performance degradation can be kept at tolerable level, it was shown in[10] that Rel'8 UEs could still be scheduled in CSI-RS subframes. Some other companies have argued in favour of reducing the Rel'8 impact and thus advise setting the maximum allowable CSI-RS density per subframe to e.g. 8 RE/PRB or even lower figure. Two or more (consecutive) subframes are then necessary in case all eight CSI-RS ports are active, and potentially even more if more orthogonal CSI-RS ports are needed for CoMP purpose[5]. The argument for splitting CSI-RS into multiple subframes has thus been that it minimizes the impact to Rel'8 UEs, however all evidence presented so far on this issue relies on link performance studies at subframe level only. This contribution goes beyond the pure link level analysis in order to get insight on the potential impact of CSI-RS puncturing to LTE Rel'8 from a system perspective.
2. CSI-RS design principles and Rel'8 impact
Current 3GPP guidelines regarding CSI-RS design refer to allowed overhead and CSI-RS operation as follows:
・Estimates of RS overhead for evaluations (figures assume normal CP)
・CSI-RS overhead of 1/840=0.12% per antenna port (8 antenna ports = 0.96%)
・Possibility of assuming a larger/lower overhead in simulations of CSI-RS is not precluded (e.g. a larger time density)
・Example:
・Time density: 1 symbol every 10ms per antenna port: 1/140
・Frequency density: 1 subcarrier every 6 subcarriers per antenna port: 1/6
・Possibility to configure the periodicity of CSI RS transmissions in terms of an integer number of subframes.
・Possible to use LTE-Advanced features without any LTE-Advanced subframes
・Cell specific CSI RS possible to transmit in normal, Rel-8, subframes.
・Studies on CSI RS impact on PDSCH transmissions to Rel-8 UEs for various RS densities needed
Minimizing the impact of CSI-RS to LTE Rel'8 transmission has been widely acknowledged among the 3GPP community[1][2][3][4]. It has been also mentioned that proper link adaptation at eNB can help mitigating the performance degradation[1] due to puncturing the REs for CSI-RS. CSI-RS densities per subframe investigated at link level so far lie within the boundaries of the above agreement on CSI-RS overhead. The above way forward was originally drafted aiming at eight CSI-RS ports sustaining 8-by-x single-cell spatial multiplexing. Relying on this agreement for CoMP CSI-RS design and trying at the same time to ensure a flexible CoMP measurement set providing sufficient CSI-RS orthogonality might prove to be two conflicting goals.
One recognized CoMP prerequisite is accurate channel measurements for the cells in the CoMP measurement set. While the size of the measurement set and cooperation area remain open for investigation and are not addressed in this paper, current studies[11][12] indicate that the number of cells having orthogonal CSI-RS has to be larger than the size of the CoMP measurement set itself. This leads to the principle of inter-cell orthogonal CSI-RS multiplexing. In the following, we consider from Rel'8 puncturing point of view two main alternatives serving this purpose.
Alternative 1: Inter-cell CSI-RS multiplexing can be achieved by adding a TDM component for the CSI-RS transmission between the cells[5],[6],[7],[8]. This implies that each cell (or small subset of the measured cells) sends CSI-RS in one subframe, while in order to increase the size of the set of cells with orthogonal CSI-RS (reuse cluster), other cells are allowed to transmit CSI-RS in next subframes, leading to a duty cycle of several consecutive subframes until the UE captures the channel information from the entire CoMP measurement set, as depicted in Figure 1 below. While a certain cell transmits CSI-RS, the other cells within the reuse cluster do not transmit anything on corresponding CSI-RS resources, which is referred to as nulling. The latter ensures inter-cell orthogonality and thus lower interference experienced by CSI-RS among the cells of the CoMP measurement set. CSI-RS impact on Rel'8 UE operation is depicted in Figure 2 where the Rel'8 serving cell operation is considered. From this perspective, Rel'8 UE suffers from the whole CSI-RS duty cycle, from both full and nulled CSI-RS transmission. Additionally, this multiplexing alternative is essentially same as the TDM option discussed in[11] but across the subframe boundary and therefore inherits the corresponding pros and cons.
Figure 1: TDM operation of orthogonal inter-cell CSI-RS transmission. In the worst case CoMP UE has to wait for a duty cycle of four subframes until it captures channel information from the entire measurement set.」
(当審訳「タイトル:マルチセルCSI-RS伝送とLTEリリース8への関連する影響
1.はじめに
CSI-RSは、周期性を有する整数個のサブフレームとして構成可能なノーマル/MBSFNサブフレーム[9]のデータ領域で送信される。それらがRel'8 PDSCHをパンクチャするたびに、CSI-RSは付加的な干渉を生じる。Rel'8UEは、リンク品質をある程度劣化させることを認識していない。このような性能劣化が許容可能なレベルに保たれていれば、Rel8 UEはCSI-RSサブフレームでスケジューリングできることが[10]に示されている。他のいくつかの企業は、Rel'8の影響を低減することを好意的に主張し、こうして、サブフレーム当たりの最大許容CSI-RS密度を、例えば、 8 RE / PRBまたはそれ以下の数字にすることを助言する。 8つのCSI-RSポートがすべてアクティブである場合は2つ以上の(連続した)サブフレームが必要であり、CoMPの目的により多くの直交CSI-RSポートが必要な場合は潜在的にさらに多くなる[5]。したがって、CSI-RSを複数のサブフレームに分割する議論は、Rel'8 UEへの影響を最小限に抑えることであったが、これまでにこの問題に関して提示されたすべての証拠は、サブフレームレベルでのリンクパフォーマンスの調査のみに依存している。この寄与は、システムの観点からLTE Rel'8へのCSI-RSパンクチャリングの潜在的な影響についての洞察を得るために、純粋なリンクレベル分析より優れている。
2. CSI-RS設計の原則とRel'8の影響
CSI-RS設計に関する現在の3GPPのガイドラインは、許容オーバヘッドおよびCSI-RS動作を以下のように参照する。
・評価のためのRSオーバヘッドの見積もり(数値は通常のCPと仮定)
・アンテナポートあたり1/840 = 0.12%のCSI-RSオーバヘッド(8つのアンテナポート= 0.96%)
・CSI-RSのシミュレーションにおけるオーバヘッドの大小を想定する可能性は排除されない
(例えば、より大きな時間密度)
・例:
・時間密度:アンテナポートあたり10msごとに1シンボル:1/140
・周波数密度:アンテナポートあたり6サブキャリアごとに1サブキャリア:1/6
・整数のサブフレームの観点からCSI RS送信の周期性を構成する可能性。
・LTE-Advancedサブフレームを使用せずにLTE-Advanced機能を使用できる
・通常のRel-8サブフレームで送信可能なセル固有のCSI RS。
・必要とされる様々なRS密度に対するRel-8 UEへのPDSCH送信に対するCSI RSの影響に関する研究
LTE Rel'8伝送へのCSI-RSの影響を最小化することは、3GPP共同体の間で広く認められている[1] [2] [3] [4]。eNBでの適切なリンクアダプテーションは、CSI-RSのREをパンクチャリングすることによるパフォーマンスの低下[1]を緩和するのに役立つとも言われている。これまでのリンクレベルで調査されたサブフレームあたりのCSI-RS密度は、CSI-RSオーバーヘッドに関する上記の合意の範囲内にある。上記の方法は、もともと8×xのシングルセル空間多重を維持する8つのCSI-RSポートを目指して作成された。CoMP CSI-RS設計のこの合意に依拠し、同時に、十分なCSI-RS直交性を提供する柔軟なCoMP測定セットを確実にすることを試みることは、2つの相反する目標であると判明する可能性がある。
1つの認識されたCoMP前提条件は、CoMP測定セット内のセルの正確なチャネル測定値である。測定セットのサイズと共同エリアは、研究のために開放されたままで本紙では触れていないが、現在の研究[11] [12]は、直交CSI-RSを有するセルの数は、CoMP測定セットそれ自身のサイズよりも大きくなければならないことを示している。これは、セル間直交CSI-RS多重化の原理につながる。以下では、Rel'8のパンクチャリングの観点から、この目的に役立つ2つの主要な代替案を考察する。
代替案1:セル間CSI-RS多重化は、セル間のCSI-RS伝送用のTDMコンポーネントを追加することによって達成することができる[5]、[6]、[7]、[8]。これは、1つのサブフレームで各セル(または測定セルの小さなサブセット)がCSI-RSを送信する、一方、直交CSI-RS(再使用クラスタ)を有するセルのセットのサイズを増加させるために、以下の図1に示すように、UEがCoMP測定セット全体からチャネル情報を捕捉するまで、いくつかの連続するサブフレームのデューティサイクルにつながる次のサブフレームで、他のセルはCSI-RSを送信することを許されることを意味する。一つの特定のセルがCSI-RSを送信している間に、再使用クラスタ内の他のセルは、対応するCSI-RSリソース上で何も送信しない、これはヌリングと呼ばれる。後者は、セル間直交性を保証し、したがってCoMP測定セットのセルの中でCSI-RSが被る干渉を低減する。 Rel'8 UEの動作に対するCSI-RSの影響は、図2に示されており、ここで、Rel'8のサービングセル動作が考慮されている。このような観点から、Rel'8 UEは、CSI-RSの完全送信および非送信の両方から、CSI-RSデューティサイクル全体から影響を受けている。さらに、この多重化の案は[11]で議論されたTDMオプションと本質的に同じであるが、サブフレームの境界を越えており、したがって対応する長所と短所を継承している。
図1:直交セル間CSI-RS伝送のTDM動作。最悪の場合、CoMP UEは、測定セット全体からチャネル情報を捕捉するまで、4サブフレームのデューティサイクルを待たなければならない。」)
(イ)上記記載から、引用例1には、次の技術的事項が記載されている。
a 引用例1に記載された技術は、「Title」から、LTEリリース8におけるマルチセルCSI-RSの影響に関するものである。
b 「1. Introduction」には、CSI-RSは、周期性を有する整数個のサブフレームのデータ領域で送信されることが記載されている。
c 「2. CSI-RS design principles and Rel'8 impact」には、「セル間CSI-RS多重化は、セル間のCSI-RS伝送用のTDMコンポーネントを追加することによって達成することができる[5]、[6]、[7]、[8]。これは、1つのサブフレームで各セル(または測定セルの小さなサブセット)がCSI-RSを送信する、一方、直交CSI-RS(再使用クラスタ)を有するセルのセットのサイズを増加させるために、以下の図1に示すように、UEがCoMP測定セット全体からチャネル情報を捕捉するまで、いくつかの連続するサブフレームのデューティサイクルにつながる次のサブフレームで、他のセルはCSI-RSを送信することを許されることを意味する。一つの特定のセルがCSI-RSを送信している間に、再使用クラスタ内の他のセルは、対応するCSI-RSリソース上で何も送信しない、これはヌリングと呼ばれる。」と記載され、
Figure1には、セル1、3、5、7において、CSI-RSの送信サブフレームの周期が10msであり、各セルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置がそれぞれ1TTIづつオフセットしていることが示されている。
したがって、「2. CSI-RS design principles and Rel'8 impact」には、複数のセルでCSI-RSの送信周期が同じであり、あるセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置に対して、別のセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置がオフセットを有しており、あるセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置に対して別のセルでは対応する送信サブフレームでは何も送信しない(ヌリング)サブフレームとし、そのようなサブフレームが複数配置されていることが記載されている。
(ウ)これらのことから、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「複数のセルにおいてCSI-RS(Channel State Information-Reference Signal)の送信サブフレームの周期が同じであり、あるセルでの前記CSI-RSの送信サブフレームの位置に対して別のセルでの前記CSI-RSの送信サブフレーム位置がオフセットを有しており、あるセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置に対して別のセルでは対応する送信サブフレームでは何も送信しない(ヌリング)サブフレームとし、そのようなサブフレームが複数で設定されていることを特徴とするLTEリリース8におけるマルチセルCSI-RS。」
イ 引用例2
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である、Samsung,Indication and Determination of CSI-RS Configuration[online], 3GPP TSG-RAN WG1#62 R1-104597(以下「引用例2」という。)には、次の記載がある。(下線は当審で付与した。)
「2 CSI-RS Configuration
In order to accurately receive and measure the CSI-RS, a set of CSI-RS parameters are required at the UE. Specifically, the following information is needed:
CSI-RS periodicity
CSI-RS number of ports
CSI-RS reuse pattern index
CSI-RS scrambling sequence initial state
CSI-RS subframe offset
CSI-RS pattern type (required for TDD only)」
(当審訳「2 CSI-RSの設定
CSI-RSを正確に受信し測定するために、CSI-RSパラメータのセットがUEで必要とされる。特に、次の情報が必要である:
CSI-RS周期
CSI-RSポート数
CSI-RS再利用パターンインデックス
CSI-RSスクランブリングシーケンスの初期状態
CSI-RSサブフレームオフセット
CSI-RSパターンタイプ(TDDにのみ必要)」)
(イ)上記記載から、引用例2には、CSI-RSを正確に受信し測定するためには、UEでCSI-RS周期及びCSI-RSサブフレームオフセットのパラメータが必要であることが記載されている。
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア)引用発明のLTEとは移動通信システムに使用される技術であることは自明であるから、引用発明と本件補正発明はともに移動通信システムに関する発明であり、技術分野が共通する。
(イ)引用発明のセルは領域であることは当業者に周知な技術事項であり、送信地点も領域とみなすことが出来るから、引用発明のセルと本件補正発明の送信地点は、ともに領域である点において一致する。
(ウ)CSI-RSが下りリンクチャネル推定のための参照信号であることは当業者に周知であるから、引用発明の「CSI-RS」は本件補正発明の「下りリンクチャネル推定のための参照信号であるCSI-RS」に相当する。
(エ)引用発明の「CSI-RSの送信サブフレームの位置」はCSI-RSが送信される時の割り当て位置であるから、本件補正発明の「CSI-RSの割り当て位置」に相当する。
(オ)サブフレームのヌリングとは、そのサブフレームにおいて有意な情報を伝送しないという点においてミューティングと同意であることから、引用発明の「あるセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置に対して別のセルでは対応する送信サブフレームでは何も送信しない(ヌリング)サブフレーム」とは、CSI-RSのサブフレームをミューティングすることである。
また、サブフレームとはリソースであることは自明であるから、引用発明における「あるセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置に対して別のセルでは対応する送信サブフレームでは何も送信しない(ヌリング)サブフレーム」とは、本件補正発明の「CSI-RSのミューティングリソース」に相当する。
(カ)引用発明では、あるセルでのCSI-RSの送信サブフレームの位置に対して別のセルでは対応する送信サブフレームでは何も送信しない(ヌリング)サブフレームが複数設定されているから、上記(オ)での検討結果を参酌すると、ミューティングリソースの配置が二つ以上で設定されているといえる。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次の通りである。
【一致点】
「複数の領域において下りリンクチャネル推定のための参照信号であるCSI-RS(Channel State Information-Reference Signal)の送信周期が同じであり、ある領域での前記CSI-RSの割り当て位置に対して別の領域での前記CSI-RSの割り当て位置がオフセットを有しており、前記CSI-RSのミューティングリソースが設定されており、前記ミューティングリソースの配置が二つ以上で設定されていることを特徴とする移動通信システム。」
【相違点】
相違点1
本件補正発明は、領域が送信地点であるのに対して、引用発明では領域がセルである点。
相違点2
本件補正発明は「CSI-RSが割り当てられるサブフレームの位置が前記CSI-RSの送信周期及び前記オフセットを用いて特定される」のに対して、引用発明にはサブフレームの位置を特定することに関する記載がないこと。
相違点3
本件補正発明では「ミューティングリソースの配置が一つ又はそれ以上で設定されている」のに対して、引用発明では「ミューティングリソースの配置が一つで設定されている」ことが記載されていない点。
(4)判断
以下、相違点について検討する。
相違点1に関して。
引用発明のセルにおいては、CSI-RSが、周期性を有する整数個のサブフレームのデータ領域で送信されるのであるから、CSI-RSを送信する時に送信地点が存在することは明らかである。したがって、引用発明の「セル」を「送信地点」とすることは当業者が容易に成し得たことにすぎない。
相違点2に関して。
引用例2には、CSI-RSを正確に受信し測定するためには、CSI-RS周期及びCSI-RSサブフレームオフセットが必要であることが記載されている。ここで、CSI-RS周期及びCSI-RSサブフレームオフセットとは、本件補正発明のCSI-RSの送信周期及びオフセットに相当することは明らかである。そして、引用発明においても、CSI-RSを正確に受信し測定する必要があるこという課題が存在することは明らかであり、CSI-RS周期及びCSI-RSサブフレームオフセットから、CSI-RSが割り当てられるサブフレームの位置が特定されることは当業者に自明であるから、引用発明に引用例2に記載された技術を適用して、CSI-RSが割り当てられるサブフレームの位置を特定するように構成することは当業者が容易に成し得たことにすぎない。
相違点3に関して。
本件補正発明においてミューティングリソースの配置の数は、オフセットさせるCSI-RSの割り当て位置の数で決まる。そして、オフセットさせるCSI-RSの割り当て位置の数は送信地点の数に応じて決まるものである。そして、引用発明においてもセルの数(送信地点の数)は当業者がシステムの規模等に応じて適宜決定可能な技術事項にすぎないから、それを1をも含むとすることは当業者が容易に設定可能である。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用例2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(5)本件補正についてのむすび
本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反してなされたものであるから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。
第3 本願発明に関して
1 本願発明
平成28年5月23日付け手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成27年1月16日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,明細書及び図面の記載からみて,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 引用刊行物
原査定の拒絶の理由で引用された引用例1、2及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
3 対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から,「CSI-RSが割り当てられるサブフレームの位置が前記CSI-RSの送信周期及び前記オフセットを用いて特定される」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(3),(4)に記載したとおり,引用発明及び引用例2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明及び引用例2に記載された技術事項及び周知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。
4 本願発明についてのむすび
以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願発明は拒絶されるべきものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2016-007463